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特許拒絶査定不服審判

2023-007523

マッサージ機

審判番号
2023-007523
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-229515
請求日
2023年05月10日
審決日
2024年05月08日
公報発行日
2024年07月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ファミリーイナダ株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 内藤 真徳
  • 審判官 後藤 泰輔
  • 審判官 井上 哲男
分類
P18 .121-Z (A61H) / P18 .575-Z (A61H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-229515「マッサージ機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月18日出願公開、特開2020- 92726〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年12月 7日(優先権主張 平成30年11月29日)の出願であって、その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和 4年10月17日付け:拒絶理由通知書 令和 4年12月 6日提出:意見書、手続補正書 令和 5年 3月 8日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。) 令和 5年 5月10日提出:審判請求書、手続補正書 第2 令和 5年 5月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 5年 5月10日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。 「【請求項1】 使用者の身体を支持する身体支持部と、 前記身体支持部の内部に設けられ、使用者の身体をマッサージする施療子を有する機械式のマッサージ機構と、 サポート動作を行うサポート部と、 少なくとも前記マッサージ機構のマッサージ動作と前記サポート部のサポート動作を制御する制御部と、を有するマッサージ機であり、 前記サポート部は、エアセルにより構成され、前記身体支持部に設けられており、 前記制御部は、前記マッサージ動作を停止させた状態で前記サポート動作を実行するサポートモードと、少なくとも前記マッサージ動作を実行するマッサージモードと、を有し、 前記サポート動作は、前記エアセルの膨脹状態を維持させることにより、前記マッサージ機構が前記使用者に対し与える負荷又は使用者の身体と前記身体支持部との当接の度合を調整するための動作であり、 少なくとも前記マッサージモードを選択可能な操作部を更に有し、 前記マッサージ機の電源をONにすることで、前記制御部は、前記サポートモードを開始し、 電源ONの状態から前記操作部で前記マッサージモードを選択することで、前記制御部は、前記サポートモードから前記マッサージモードに移行し、 前記マッサージモードによるマッサージ動作が終了すると、再び前記サポートモードへ自動的に移行することを特徴とするマッサージ機。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和 4年12月 6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 使用者の身体を支持する身体支持部と、 前記身体支持部の内部に設けられ、使用者の身体をマッサージする施療子を有する機械式のマッサージ機構と、 サポート動作を行うサポート部と、 少なくとも前記マッサージ機構のマッサージ動作と前記サポート部のサポート動作を制御する制御部と、を有し、 前記サポート部は、エアセルにより構成され、前記身体支持部に設けられており、 前記制御部は、 前記マッサージ動作を停止させた状態で前記サポート動作を実行するサポートモードと、 少なくとも前記マッサージ動作を実行するマッサージモードと、を有し、 前記サポート動作は、前記エアセルの膨脹状態を維持させることにより、前記マッサージ機構が前記使用者に対し与える負荷又は使用者の身体と前記身体支持部との当接の度合を調整するための動作であり、 少なくとも前記マッサージモードを選択可能な操作部を更に有し、 前記操作部で前記マッサージモードを選択することで、前記制御部は、前記サポートモードから前記マッサージモードに移行し、 前記マッサージモードによるマッサージ動作が終了すると、再び前記サポートモードへ自動的に移行することを特徴とするマッサージ機。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の「制御部と、を有し、」を「制御部と、を有するマッサージ機であり、」とするとともに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の「前記操作部で前記マッサージモードを選択することで、」を「前記マッサージ機の電源をONにすることで、前記制御部は、前記サポートモードを開始し、電源ONの状態から前記操作部で前記マッサージモードを選択することで、」に限定するものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ここで、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0060】に、「図9に示すとおり、使用者はマッサージ機1の電源をONにする(S-1)。電源をONにすると、マッサージ機1は、サポートモードSの実行を開始する(S-2)。・・・使用者は、操作部としてのコントローラ10で、記憶部50に記憶された所定のプログラム(マッサージコース)の中から任意のマッサージモードMを選択する(S-3)。」、段落【0061】に「マッサージモードMが選択されると、マッサージモードMの実行を開始する(S-4)。」と記載されている。 そうすると、「前記マッサージ機の電源をONにすることで、前記制御部は、前記サポートモードを開始し、電源ONの状態から前記操作部で前記マッサージモードを選択することで、」とすることは、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載された事項であるから、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定を満たすものである。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献 原査定の拒絶の理由2で引用され、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-139612号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項と図面が記載されている(下線は当審において付与した。)。 a 「【0012】 (本マッサージ機が取り得る形態の一例) 〔1〕本マッサージ機の独立した一形態によれば、背もたれに配置され、前記背もたれに対して高さ方向に移動し得る施療ブロックと、前記施療ブロックにより駆動される揉み玉と、座に配置されたエアバッグである座エアバッグと、前記背もたれに配置されたエアバッグである腰エアバッグと、前記施療ブロック、前記座エアバッグ、および、前記腰エアバッグを制御する制御部とを含むマッサージ機であって、前記制御部は、前記座エアバッグが膨張した状態、および、前記腰エアバッグが膨張した状態を保持し、そのときにマッサージの対象部位である臀部、肩、および、首の少なくとも1箇所を前記揉み玉にマッサージさせる。 【0013】 使用者が覚えるマッサージ感は、揉み玉が対象部位に加える力に応じて変化する。揉み玉が対象部位に加える力は、種々の要因に応じて変化する。対象部位と背もたれとの距離は、そのうちの1つに該当する。この距離が長くなるにつれて、揉み玉が対象部位に加える力が低下するおそれが高くなる。このため、対象部位である臀部、肩、および、首に好ましいマッサージ感を与えるための1つの方法として、これら対象部位と背もたれとの距離が短くなるように使用者の姿勢を変化させることが考えられる。」 b 「【0030】 (第1実施形態) 図1を参照して、マッサージ機10の構成について説明する。 マッサージ機10は、脚11、および、脚11の上部に固定された座12を備えている。この座12は、柔軟性を有する座カバー42で覆われている。マッサージ機10は、座12の後部に、座12に着座した使用者の背を支える背もたれ13を備えている。背もたれ13は、右側部および左側部のそれぞれに形成された肩壁14を含んでいる。また、背もたれ13は、柔軟性を有する背カバー41で覆われている。マッサージ機10は、座12に対する背もたれ13の角度を調整することができる。 【0031】 マッサージ機10は、座12の前部にオットマン15を備えている。マッサージ機10は、座12に対するオットマン15の角度を調整することができる。また、マッサージ機10は、オットマン15の先端を上方に向けて立ち上げることにより、収納状態(図2参照)を形成する。マッサージ機10は、座12の右側部および左側部のそれぞれに側面16、および、背もたれ13から座12の前方にかけて延びる肘掛17を備えている。 【0032】 マッサージ機10は、背もたれ13に配置された施療ブロック20を備えている。背もたれ13には、施療ブロック20が背もたれ13に対して高さ方向に移動するための空間である内部空間13Aが形成されている。施療ブロック20は、マッサージ機10が備える駆動モーター(図示略)の駆動力を受けて、背もたれ13に対して内部空間13Aを高さ方向に移動する。 【0033】 施療ブロック20は、背もたれ13の幅方向の中心を挟んで対となった揉み玉21を備えている。揉み玉21は、駆動モーターの駆動力を受けて、対を成す左右の揉み玉の間隔である幅間隔を変更する。 【0034】 マッサージ機10は、各種駆動モーターを駆動することによりマッサージ機10の動作を制御する制御部18を脚11の内部に備えている。 制御部18は、各種駆動モーターを駆動させるによって、揉み玉21が使用者に力を加える揉みマッサージ、叩きマッサージ、さすりマッサージ等を行う。制御部18は、施療ブロック20を上下移動させることにより、使用者の上下方向における各部位に対してこれらのマッサージを行う。」 c 「【0035】 マッサージ機10は、座エアバッグ31、腰エアバッグ32、肩エアバッグ33、および、座横エアバッグ34を備えている。各エアバッグは、図示しないポンプから圧縮空気が送り込まれることにより膨張する。そして、各エアバッグは、制御部18からの制御に応じたポンプの動作に基づいて、膨張状態および収縮状態が変更される。 【0036】 図2を参照して、各種エアバッグの構成について説明する。なお、図2は、オットマン15の先端が上方に向けて立ち上がった収納状態を示している。 肩エアバッグ33は、肩壁14のマッサージ機10の幅方向における内側の面に取付けられ、内側に向けて膨張する。座横エアバッグ34は、側面16のマッサージ機10の幅方向における内側の面に取付けられ、内側に向けて膨張する。 【0037】 マッサージ機10は、肩エアバッグ33および座横エアバッグ34の膨張および収縮を繰り返す膨縮動作によって、座12に着座した使用者の肩および腰側面に押圧力を付与する施療動作を行う。」 d 「【0038】 一方、マッサージ機10は、座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張および収縮させることにより、使用者の姿勢を制御する。 図3Aおよび図3Bを参照して、座エアバッグ31の詳細について説明する。 【0039】 座エアバッグ31は、座12の上面に取付けられており、上方に向けて膨張する。 図3Aに示すように、座エアバッグ31は、マッサージ機10の幅方向に1対の下部座エアバッグ31A、および、1対の上部座エアバッグ31Bを有している。左右の下部座エアバッグ31A、ならびに、左右の上部座エアバッグ31Bは、それぞれ、図1に示す制御部18からの制御信号に基づいて、同じ膨縮動作を行うよう制御される。 【0040】 図3Bに示すように、下部座エアバッグ31Aは、上部座エアバッグ31Bのうちの前方部分の下方に配置されている。 マッサージ機10は、下部座エアバッグ31Aおよび上部座エアバッグ31Bを膨張させることにより、下部座エアバッグ31Aによって上部座エアバッグ31Bのうちの前方部分を持ち上げる。このため、座エアバッグ31は、前方から後方に向かうにつれて、上面が下方に向けて傾斜する。この座エアバッグ31の形状は、座12に着座した使用者の臀部が背もたれ13の根本の窪みに向けて移動することを促進する形状となる。 【0041】 次に、腰エアバッグ32の構成について説明する。 図2に示すように、腰エアバッグ32は、背もたれ13の前面の下側部において対を成す右側の腰エアバッグ32である右側エアバッグ32A、および、左側の腰エアバッグ32である左側エアバッグ32Bを有している。右側エアバッグ32Aは、内部空間13Aの右側に存在する部分である右隣接部13Bに配置され、かつ、施療ブロック20の幅方向において、右隣接部13Bのうちの内部空間13Aの縁から離れた箇所に配置される。左側エアバッグ32Bは、内部空間13Aの左側に存在する部分である左隣接部13Cに配置され、かつ、施療ブロック20の幅方向において、左隣接部13Cのうちの内部空間13Aの縁から離れた箇所に配置される。右側エアバッグ32Aおよび左側エアバッグ32Bは、前方に向けて膨張する。 【0042】 図4を参照して、マッサージ機10の腰エアバッグ32を含む断面構造について説明する。図4は、マッサージ機10に使用者100が着座した状態を示している。 図4における2点鎖線は、右側エアバッグ32Aおよび左側エアバッグ32Bが収縮した状態を形成しているときの背カバー41および使用者100を示している。また、実線は、右側エアバッグ32Aおよび左側エアバッグ32Bが膨張した状態を形成しているときの背カバー41および使用者100を示している。 【0043】 マッサージ機10は、右側エアバッグ32Aおよび左側エアバッグ32Bを膨張させることにより、背カバー41を白抜き矢印で示す前方に押し出す。このため、背カバー41は、内部空間13Aを覆う部分が使用者100の背面を前方に押し出すように張る。」 e 「【0045】 次に、図5を参照して、マッサージ機10の作用について説明する。 制御部18は、まず、座エアバッグ31を膨張させることにより、座12の使用者100の臀部および大腿部を支持する面を、座12の前方から背もたれ13に向かうにつれて下方に向けて傾斜させる。このため、座エアバッグ31は、座12に着座した使用者100を上方に押し上げながら臀部を背もたれ12の根本の窪みに移動させる。また、座エアバッグ31は、使用者100の大腿部の膝側を、座エアバッグ31の上面の傾斜に沿って浮き上がらせる。 【0046】 次に、制御部18は、腰エアバッグ32を膨張させることにより、使用者100の腰近傍に位置する背カバー41の内部空間13Aを覆う部分を使用者の腰近傍の背面を前方の押し出すように張る。このことにより、使用者100の腰が背カバー41で押し出されて反らされる。 【0047】 制御部18は、座エアバッグ31および腰エアバッグ32が膨張した状態を保持する。このことにより、使用者100は、背筋が伸びた直立姿勢をとり易くなる。使用者100が直立姿勢をとるとき、使用者100の臀部、肩、および、首と背もたれ13との距離が短くなる。制御部18は、揉み玉21に直立姿勢をとる使用者100の臀部、肩、および、首をマッサージさせる。」 f 「【0051】 マッサージ機10は、以下の効果を奏する。 (1)マッサージ機10は、座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張させて、膨張した状態を保持する。このことにより、座エアバッグ31および腰エアバッグ32が収縮した状態のときと比較して、臀部、肩、および、首のそれぞれと背もたれ13との距離が短くなる。そして、このような状態において揉み玉21がこれらの部位をマッサージするため、その部位に対して好ましいマッサージ感を与えることができる。このように、本マッサージ機によれば、使用者の姿勢の影響によりマッサージ感が低下することが抑制される。」 g 「【0068】 (第3実施形態) 第3実施形態のマッサージ機10は、以下の部分において、第1実施形態のマッサージ機10と異なる。なお、第1実施形態のマッサージ機10と共通する構成については同一の符号を付して、その説明の一部または全部を省略する。 【0069】 第1実施形態のマッサージ機10は、使用者の臀部、肩、および、首をマッサージするときに座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張させ、膨張した状態を保持する。一方、第3実施形態のマッサージ機10は、使用者がマッサージを行わないときにおいても、座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張させ、膨張した状態を維持する。 【0070】 座エアバッグ31および腰エアバッグ32が膨張した状態を形成しているとき、マッサージ機10は、着座する使用者に対して、好ましいすわり心地を与えることができる。 マッサージ機10は、着座する使用者に好ましいすわり心地を与える構成を実現している。 【0071】 座エアバッグ31および腰エアバッグ32は、圧縮空気が送り込まれて膨張した状態を、圧縮空気が停止した後にも維持する圧縮状態維持機能を有している。制御部18は、マッサージを行わないときに、座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張させ、圧縮状態を維持させる制御を行う。 【0072】 マッサージ機10は、第1実施形態のマッサージ機10が奏する(1)~(7)と同様の効果を奏する。また、マッサージ機10は、以下の効果を奏する。 (10)マッサージ機10は、使用者がマッサージを行わないときにおいても、座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張させ、膨張した状態を維持する。このため、マッサージ機10は、腰を掛けるための椅子としてマッサージ機10を使用する使用者に対して、好ましいすわり心地を与えることができる。」 h 「 [図:0001411980000001.jpg] 」(図2) i 「 [図:0001411980000002.jpg] 」(図5) (イ)上記(ア)から、以下の事項が理解できる。 a 段落【0030】、【0031】(上記(ア)b)の記載からして、「座12」、「背もたれ13」、「オットマン15」、「肘掛17」は、使用者の体を支えるものである。 b 段落【0032】~【0034】(上記(ア)b)には、「背もたれ13」の「内部空間13A」に「施療ブロック20」が配置されていること、「施療ブロック20」が「駆動モーター」の駆動力により動作すること、「施療ブロック20」が使用者の体をマッサージする「揉み玉21」を有すること、が記載されている。 c 段落【0034】、【0035】(上記(ア)b、c)には、「制御部18」は、「マッサージ機10」の動作と、「座エアバッグ31」および「腰エアバッグ32」を含む各エアバッグの動作を制御することが記載されている。 d 段落【0038】~【0042】、【0045】~【0047】、【0051】(上記(ア)d、e、f)には、マッサージ機の動作にあたっては、制御部18は、まず、座エアバッグ31、次に腰エアバッグ32を膨張させることで、使用者の姿勢を制御し、臀部、肩、および、首のそれぞれと背もたれ13との距離が短くなるようにした上で、マッサージを行うことが記載されている。 e 段落【0068】~【0072】(上記(ア)g)には、使用者がマッサージを行わないときにおいても、座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張させ、膨張した状態を維持することで、着座する使用者に好ましいすわり心地を与えることが記載されている。 (ウ)引用発明 上記(ア)で摘記したa~gの特に下線を付した部分、h、iの図面の記載および上記(イ)の事項をふまえると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「使用者の体を支える座12、背もたれ13、オットマン15および肘掛17と、 前記背もたれ13の内部空間13Aに配置され、使用者の体をマッサージする揉み玉21を有し、駆動モーターの駆動力により動作する施療ブロック20と、 座エアバッグ31および腰エアバッグ32と、 マッサージ機10の動作と、座エアバッグ31および腰エアバッグ32を含む各エアバッグの動作を制御する制御部18と、を有するマッサージ機であり、 前記座エアバッグ31および腰エアバッグ32は、前記座12および背もたれ13に設けられており、 前記制御部18は、まず、座エアバッグ31、次に腰エアバッグ32を膨張させることで、使用者の姿勢を制御し、臀部、肩、および、首のそれぞれと背もたれ13との距離が短くなるようにした上で、マッサージを行い、 使用者がマッサージを行わないときにおいても、前記座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張させ、膨張した状態を維持し、着座する使用者に好ましいすわり心地を与えるマッサージ機。」 (3)対比・判断 ア 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「座12、背もたれ13、オットマン15および肘掛17」は、その機能および構造からして、本願発明の「身体支持部」に相当する。 引用発明の「揉み玉21」および「施療ブロック20」は、その機能および構造からして、それぞれ本願発明の「施療子」および「マッサージ機構」に相当する。また、引用発明の「施療ブロック20」が「背もたれ13の内部空間13Aに配置され」、「駆動モーターの駆動力により動作する」構成は、本願発明の「マッサージ機構」が「身体支持部の内部に設けられ」、「機械式」である構成に相当する 引用発明の「マッサージ機10の動作」、「座エアバッグ31および腰エアバッグ32を含む各エアバッグの動作」および「制御部18」は、それぞれ本願発明の「マッサージ機構のマッサージ動作」、「サポート部のサポート動作」および「制御部」に相当する。 引用発明の「座エアバッグ31および腰エアバッグ32」は、その機能および構造からして、本願発明の「エアセルにより構成され」た「サポート部」に相当する。 引用発明の「使用者がマッサージを行わないときにおいても、前記座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張させ、膨張した状態を維持し、着座する使用者に好ましいすわり心地を与える」制御は、本願発明の「前記マッサージ動作を停止させた状態で前記サポート動作を実行するサポートモード」に相当する。 引用発明の「まず、座エアバッグ31、次に腰エアバッグ32を膨張させることで、使用者の姿勢を制御し、臀部、肩、および、首のそれぞれと背もたれ13との距離が短くなるようにした上で、マッサージを行」う制御は、本願発明の「前記マッサージ動作を実行するマッサージモード」に相当する。 引用発明の「使用者がマッサージを行わないときにおいても、前記座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張させ、膨張した状態を維持し、着座する使用者に好ましいすわり心地を与える」制御は「着座する使用者に好ましいすわり心地を与える」ものであるから、本願発明の「前記エアセルの膨脹状態を維持させることにより、前記マッサージ機構が前記使用者に対し与える負荷又は使用者の身体と前記身体支持部との当接の度合を調整するための動作」に相当する。 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点および相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「使用者の身体を支持する身体支持部と、 前記身体支持部の内部に設けられ、使用者の身体をマッサージする施療子を有する機械式のマッサージ機構と、 サポート動作を行うサポート部と、 少なくとも前記マッサージ機構のマッサージ動作と前記サポート部のサポート動作を制御する制御部と、を有するマッサージ機であり、 前記サポート部は、エアセルにより構成され、前記身体支持部に設けられており、 前記制御部は、前記マッサージ動作を停止させた状態で前記サポート動作を実行するサポートモードと、少なくとも前記マッサージ動作を実行するマッサージモードと、を有し、 前記サポート動作は、前記エアセルの膨脹状態を維持させることにより、前記マッサージ機構が前記使用者に対し与える負荷又は使用者の身体と前記身体支持部との当接の度合を調整するための動作である、マッサージ機。」 <相違点> 本願発明は「少なくとも前記マッサージモードを選択可能な操作部を更に有し、前記マッサージ機の電源をONにすることで、前記制御部は、前記サポートモードを開始し、電源ONの状態から前記操作部で前記マッサージモードを選択することで、前記制御部は、前記サポートモードから前記マッサージモードに移行し、前記マッサージモードによるマッサージ動作が終了すると、再び前記サポートモードへ自動的に移行する」するのに対して、引用発明はそのような操作部を有し、そのような制御を行うか不明である点。 イ 判断 以下、上記相違点について検討する。 使用者の身体に圧力等を加えるマッサージを開始する際に、操作部の操作によりマッサージを開始することは、この種のマッサージ機でごく普通に採用される常とう手段である(必要であれば、新たに引用した特開2014-155547号公報(特に段落【0053】~【0054】および図11に記載された、施療開始指示用のスイッチ31bの構成を参照。)、新たに引用した特開2016-202818号公報(特に段落【0052】~【0058】および図3に記載された、自動コース等によるマッサージの開始/停止をさせる入/切ボタン42bの構成を参照。))。 そして、引用発明において、上記常とう手段を採用し、マッサージモードへの移行を操作部の操作により行うことは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、引用発明において、サポートモード、すなわち、「使用者がマッサージを行わないときにおいても、前記座エアバッグ31および腰エアバッグ32を膨張させ、膨張した状態を維持」し、「着座する使用者に好ましいすわり心地を与え」る制御は、使用者がマッサージを行わないときに行うものであるから、サポートモードを、「マッサージ機の電源をONにした直後」や「マッサージ動作が終了した後」に行うことは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び常とう手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。 (4)本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するので、同法159条第1項の規定において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和 5年 5月10日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和 4年12月 6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由2は、次のとおりのものである。 本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献2に記載された発明及び周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献2.特開2015-139612号公報 3 引用文献の記載事項及び引用発明等 原査定における拒絶の理由2で引用された引用文献2の記載事項、認定事項及び引用発明は、上記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明の「前記マッサージ機の電源をONにすることで、前記制御部は、前記サポートモードを開始し、電源ONの状態から前記操作部で前記マッサージモードを選択することで、」を、「前記操作部で前記マッサージモードを選択することで、」としたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明及び常とう手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-007523

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    同じ当事者: ファミリーイナダ株式会社
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