特許拒絶査定不服審判
2025-002663
頭皮ケア装置
- 審判番号
- 2025-002663
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-093892
- 請求日
- 2025年02月20日
- 審決日
- 2025年12月15日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】森 太士
- 審判長/審判官
- 審判長 土居 仁士
- 審判官 丸山 高政
- 審判官 松原 徳久
- 分類
- P18 .113-Z (A61H) / P18 .121-Z (A61H) / P18 .575-Z (A61H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-93892「頭皮ケア装置」拒絶査定不服審判事件〔令和4年12月15日出願公開、特開2022-185948〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年6月3日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 6年 7月 5日付け 拒絶理由通知書
9月11日 意見書・手続補正書
11月29日付け 拒絶査定
令和 7年 2月20日 審判請求書・手続補正書
4月30日付け 前置報告書
以下では、令和6年11月29日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和7年2月20日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を以下の(1)に、本件補正後の請求項1の記載を以下の(2)に示す。
(1)本件補正前の請求項1の記載
本件補正前の令和6年9月11日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
【請求項1】
出力軸を駆動させる駆動源が収容された本体部と、
前記出力軸の駆動により前記出力軸の軸方向と直交する平面に沿って回転運動を行う施術子を有する施術部と、
を備え、
前記施術子が施術突起を有しており、
前記施術突起は、先端が前記施術部の中心軸を向くように前記出力軸の軸方向に対して傾斜した傾斜施術突起を有しており、
前記施術子は、前記出力軸を中心とした円周であって、前記中心軸を内部に含まない円周上を平行移動しながら回転しており、
前記施術子が複数の施術突起を備えており、
複数の前記施術突起は、前記中心軸に近い側の先端が前記本体部側となるように形成されている、
頭皮ケア装置。
(2)本件補正後の請求項1の記載
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。
【請求項1】
出力軸を駆動させる駆動源が収容された本体部と、
前記出力軸の駆動により前記出力軸の軸方向と直交する平面に沿って回転運動を行う施術子を有する施術部と、
を備え、
前記施術子が施術突起を有しており、
前記施術突起は、先端が前記施術部の中心軸を向くように前記出力軸の軸方向に対して傾斜した傾斜施術突起を有しており、
前記施術子は、前記出力軸を中心とした円周であって、前記中心軸を内部に含まない円周上を平行移動しながら回転しており、
前記施術子が複数の施術突起を備えており、
複数の前記施術突起は、前記中心軸に近づくにつれて先端が前記本体部側となるように形成されている、
頭皮ケア装置。
2 補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「複数の前記施術突起」について、本件補正前は「前記中心軸に近い側の先端が前記本体部側となるように形成されている」と特定されていたのを、本件補正後は「前記中心軸に近づくにつれて先端が前記本体部側となるように形成されている」と特定することにより、中心軸に近い施術突起のみならず、施術突起全体について、その先端の位置についての限定を加えるものである。
そして、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
よって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものに該当する。
3 補正の適否
本件補正の目的が限定的減縮に該当するので、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)に適合するかについて、以下、検討する。
(1)本件補正発明の認定
本件補正発明は、前記1(2)に示した請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
なお、後の参照の便宜のため、請求項1に以下のようにA~Hの記号を付して分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。
【請求項1】
A 出力軸を駆動させる駆動源が収容された本体部と、
B 前記出力軸の駆動により前記出力軸の軸方向と直交する平面に沿って回転運動を行う施術子を有する施術部と、
C を備え、
D 前記施術子が施術突起を有しており、
E 前記施術突起は、先端が前記施術部の中心軸を向くように前記出力軸の軸方向に対して傾斜した傾斜施術突起を有しており、
F 前記施術子は、前記出力軸を中心とした円周であって、前記中心軸を内部に含まない円周上を平行移動しながら回転しており、
D′ 前記施術子が複数の施術突起を備えており、
G 複数の前記施術突起は、前記中心軸に近づくにつれて先端が前記本体部側となるように形成されている、
H 頭皮ケア装置。
(2)引用文献の記載
原査定の拒絶の理由で引用された特開2013-106646号公報(以下「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した。
ア 「【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、頭皮により均一に施術突起を接触させて頭皮のケア効果をより好適に付与することが可能な頭皮ケア装置を提供することにある。」
イ 「【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の頭皮ケア装置10は、装置本体部11と、この装置本体部11の一端側(下端側)において着脱可能に設けられる施術ヘッド部12とを有している。
【0016】
図2及び図3に示すように装置本体部11は、中空の本体ハウジング13を備えている。図3及び5に示すように、本体ハウジング13は、前記施術ヘッド部12が取付けられる一端側(下端側)に略四角形状の開口部が形成されている。この開口部を覆うように前記施術ヘッド部12が装置本体部11に取付けられる。また、本体ハウジング13の前記開口部とは反対側である他端側(上端側)には、前記一端側の開口部より開口面積の小さな略楕円形状の開口部が形成されている。」
ウ 「【0024】
また、本体ハウジング13は、その内部において前記中間壁部13bよりも下方側に略平板状のモータ基台30が収容されている。図6に示すように、モータ基台30の下に後述するギヤ基台40が配置されている。そして、複数のねじ31でギヤ基台40を本体ハウジング13に固定することにより、モータ基台30はギヤ基台40と本体ハウジング13との間で保持(挟持)される。
【0025】
図5に示すようにモータ基台30の上面略中央部に2つの側壁からなるモータ支持部30aが形成されるとともに、このモータ支持部30aは駆動源としてのモータ32を支持する。」
エ 「【0030】
モータ32のモータ軸32aの先端側がモータ基台30の略中央部において上下方向に貫通する貫通孔30cに挿通された状態で、その先端部にピニオンギヤ32bが一体回転可能に圧入固定されている。ピニオンギヤ32bには、モータ基台30とねじ31にて固定されるギヤ基台40に圧入固定される軸40aに対して回転可能とされる第1伝達ギヤ41の大径ギヤ部41aが噛合される。
【0031】
第1伝達ギヤ41には、前記大径ギヤ部41aよりも小径の小径ギヤ部41bが一体成形される。この小径ギヤ部41bには前記ギヤ基台40に圧入固定される軸40bに対して回転可能とされるとともに前記第1伝達ギヤ41の小径ギヤ部41bよりも大径の第2伝達ギヤ42の大径ギヤ部42aが噛合される。
【0032】
第2伝達ギヤ42の大径ギヤ部42aには、この第2伝達ギヤ42と略同形状・略同サイズで前記ギヤ基台40に圧入固定される軸40cに対して回転可能とされる第3伝達ギヤ43の大径ギヤ部43aが噛合される。前記第2伝達ギヤ42及び第3伝達ギヤ43には各大径ギヤ部42a,43aの一端面にそれぞれ小径ギヤ部42b,43bが一体成形されている。
【0033】
第2伝達ギヤ42の小径ギヤ部42bには、この小径ギヤ部42bよりも大径の第4伝達ギヤ44の大径ギヤ部44aが噛合される。そして、第3伝達ギヤ43の小径ギヤ部43bには、この小径ギヤ部43bよりも大径で前記第4伝達ギヤ44と略同一形状・同サイズの第5伝達ギヤ45の大径ギヤ部45aが噛合される。なお、第3及び第4伝達ギヤ43,44は、ギヤ基台40に圧乳固定される軸40d,40eに対して回転可能とされる、
第4伝達ギヤ44及び第5伝達ギヤ45には、各大径ギヤ部44a,45aのそれぞれの一端面に小径ギヤ部44b,45bが一体成形されている。第4伝達ギヤ44及び第5伝達ギヤ45の各小径ギヤ部44b,45bには、それぞれ2つ、つまり計4つの最終ギヤ46a~46dが噛合される。これらの各最終ギヤ46a~46dには、その径方向略中心位置にそれぞれ駆動源の出力軸としての連結軸47が圧入若しくはインサート成形にて一体回転可能に配置されている。」
オ 「【0039】
一方、上記のように構成された装置本体部11に着脱可能に設けられる施術ヘッド部12は、本体ハウジング13の下方側に形成される略四角形状の前記開口部を閉塞させるカバー部61と、前記モータ32の駆動力を受けて駆動される施術子81a~81dとを有している。ここで、頭皮ケア装置10を軸方向視した場合に本実施形態では施術ヘッド部12は、複数の角部Kを有する多角形状(略四角形状)を成している。そして、前記施術子81a~81dは、前記各角部Kに対応する位置に配置されている。」
カ 「【0054】
また、図16及び図17に示すように施術子ベース部82は、そのベース面82aが傾斜するように構成される。詳述すると、施術子ベース部82のベース面82aは、各施術子81a~81dの配置中心CP(図9参照)側ほど低く、配置中心CPから離間するほど高くなるように傾斜される。
【0055】
次に、本実施形態の頭皮ケア装置10の特徴部位である第1及び第2施術突起83,84及びこれらを備えた施術子81a~81dの形状について説明する。
図19(a)に示すように第1施術突起83は、頭皮ケア装置10に計4個設けられる施術子81a~81dのそれぞれに4個ずつ、計16個設けられている。また、第1施術突起83は、施術子ベース部82の中心P1~P4を中心として同心円上に配置、即ち各中心P1~P4からの距離が同一となるように構成されている。
【0056】
第1施術突起83を構成する大突起83aは、図19(a)(b)に示すように略台形状の第1~第6平面部83c~83hを有した側面を備えて上下方向視(延出方向視)で略六角形状を成し、先細形状となるように構成されている。また、各大突起83aは、同一長さとなるように構成される。
【0057】
大突起83aの先端部には、大突起83aと同方向に延出する小突起83bがそれぞれ3つずつ形成される。これらの小突起83bは、同一長さとなるように構成される。そして前述したように配置中心CP側ほど低く形成される施術子ベース部82に形成されることで、配置中心CPほど第1施術突起83の先端位置が低くなるように形成される。このため、第1施術突起83の先端位置を結んでなる仮想面LX1が図16に示すように湾曲(球面)形状とされ。なお、この仮想面LX1は、施術突起83の基端側であるベース面82a側に凹状をなすように形成される。
【0058】
また、大突起83aを構成する第1~第6平面部83c~83hの1つの平面部83cが、各施術子ベース部82の中心P1~P4側に面するように構成される。第1~第6平面部83c~83hは、略同一形状となるように形成される。このため、各平面部83c~83hの同一高さでの延出方向の直交方向における長さ(=辺部の長さ)Ha1~Ha6が同一長さとなるように形成される(図19(b)参照)。
【0059】
図19(a)に示すように第2施術突起84は、施術子81a~81dのそれぞれに4個ずつ、計16個設けられている。即ち、各施術子81a~81dには、第1及び第2施術突起83,84が8個ずつ、計32個設けられている。」
キ 「【0064】
大突起84aの先端部には、大突起84aと同方向に延出する小突起84bがそれぞれ3つずつ形成される。これらの小突起84bは、同一長さとなるように構成される。そして、前述したように配置中心CP側ほど低く形成される施術子ベース部82に形成されることで、配置中心CPほど第2施術突起84の先端位置が低くなるように形成される。このため、第2施術突起84を結んでなる仮想面LX2が図16に示すように湾曲形状とされる。なお、この仮想面LX2は、施術突起84の基端側であるベース面82a側に凹状をなすように形成される。
【0065】
また、第2施術突起84の先端位置(小突起84bの先端位置)は、図16に示すように前記第1施術突起83の先端位置(小突起83bの先端位置)よりもS1分だけ低い位置となるよう構成される。」
ク 「【0067】
上記のように構成された頭皮ケア装置10では、使用者によりスイッチ操作部材22が押圧操作されることで、スイッチ24aがオンとオフとに切替えられてモータ32が駆動されて施術子81a~81dが回転する。従ってモータ32の駆動力が各ギヤ41~46を介して伝達されることで連結軸47周りを施術ヘッド部12の施術子81a~81dが周回するように動作される。この施術子81a~81dの施術突起83(突起83a)を頭皮に接触させると、施術突起83の動きに合わせて使用者の頭皮が動かされることになり、頭皮がケア(マッサージ)されることになる。このとき、各施術子81a~81dは、前記各ギヤ41~46の動作並びに回転基台55の配置関係から頭皮を一方向に動かすような動作が実施される。」
ケ 「【0074】
また、各第1及び第2施術突起83,84を結んでなる仮想面LX1,LX2が湾曲(球面)形状とされて、各施術子81a~81dの配置中心CP側ほど低くなるように形成される。このため、第1施術突起83同士は、頭皮と略同時に接触して、この第1施術突起83によって同等の接触圧で頭皮に刺激を付与することができる。また、相対的に高い第1施術突起83が先に当接して撓んだ状態となるまで該突起83を密着させることで、第2施術突起84が軽当接する。この状態で、前述のように施術子81a~81dを動作させることで、頭皮に密着する施術突起83によって施術突起83間の当接力を同等として頭皮ケア効果を付与しつつ、頭皮に軽当接する第2施術突起84によって施術突起84缶の当接色を同等として頭皮上を滑るような動作によって洗浄効果を付与される。」
(当審注:【0074】の「施術突起84缶の当接色を同等として」は、「施術突起84間の当接力を同等として」の誤記と認める。)
コ 「【0079】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
…(略)…
【0084】
・上記実施形態では、高さの異なる2種類の第1及び第2施術突起83.84を用いたが、高さの異なる施術突起を3種類以上備える構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、ベース部82のベース面82aの高さを外側ほど高くすることで施術突起83,84の先端位置を結んでなる曲面が中央側ほど窪む様に湾曲形状となるように構成したが、これに限らない。例えば、図20に示すように、
・上記実施形態では、施術突起83,84の延出方向を全て同一方向となるように構成したが、これに限らない。例えば、図20に示すように施術突起83,84の先端位置を結んでなる仮想面LX1,LX2と直交するように施術突起83,84を延出させる構成を採用してもよい。この場合施術突起83,84の延出方向と直交する方向に駆動させたり、前記仮想面LX1,LX2と平行に駆動させる構成を採用してもよい。例えば、仮想面LX1,LX2と平行に駆動させる構成を採用することで、頭皮に対して平行な動作となる。このため、各施術突起83,84による施術の間隔を頭皮に対して均一に付与することができ、より好適に洗浄効果並びに頭皮ケア効果を付与することができる。」
サ 図4
[図:0001432893000001.jpg]
シ 図9
[図:0001432893000002.jpg]
ス 図16
[図:0001432893000003.jpg]
セ 図20
[図:0001432893000004.jpg]
(3)引用発明の認定
前記(2)の記載によれば、引用文献には、次に示す発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明にa~nの記号を付して分説し、「構成a」のようにして参照する。
a 装置本体部11と、この装置本体部11の一端側において着脱可能に設けられる施術ヘッド部12とを有している頭皮ケア装置10であって、(【0015】)
b1 装置本体部11は、本体ハウジング13を備え、(【0016】)
b2 本体ハウジング13は、その内部においてモータ基台30が収容され、(【0024】)
b3 モータ基台30の上面略中央部にモータ支持部30aが形成されるとともに、モータ支持部30aは駆動源としてのモータ32を支持し、(【0025】)
c1 モータ32のモータ軸32aの先端部にピニオンギヤ32bが一体回転可能に圧入固定され、ピニオンギヤ32bには、第1伝達ギヤ41が噛合され、(【0030】)
c2 第1伝達ギヤ41には、小径ギヤ部41bが一体成形され、小径ギヤ部41bには第2伝達ギヤ42が噛合され、(【0031】)
c3 第2伝達ギヤ42には、第3伝達ギヤ43が噛合され、(【0032】)
c4 第2伝達ギヤ42には、第4伝達ギヤ44が噛合され、第3伝達ギヤ43には、第5伝達ギヤ45が噛合され、第4伝達ギヤ44及び第5伝達ギヤ45には、最終ギヤ46a~46dが噛合され、各最終ギヤ46a~46dには、その径方向略中心位置にそれぞれ駆動源の出力軸としての連結軸47が一体回転可能に配置され、(【0033】)
d 施術ヘッド部12は、複数の角部Kを有する多角形状を成し、施術子81a~81dは、各角部Kに対応する位置に配置され、(【0039】)
e 施術子ベース部82のベース面82aは、各施術子81a~81dの配置中心CP側ほど低く、配置中心CPから離間するほど高くなるように傾斜され、(【0054】)
f 第1施術突起83は、施術子81a~81dのそれぞれに4個ずつ設けられ、(【0055】)
g 第1施術突起83の先端位置を結んでなる仮想面LX1が湾曲(球面)形状とされ、仮想面LX1は、施術突起83の基端側であるベース面82a側に凹状をなすように形成され、(【0057】)
h 第2施術突起84は、施術子81a~81dのそれぞれに4個ずつ設けられ、(【0059】)
i 第2施術突起84を結んでなる仮想面LX2が湾曲形状とされ、仮想面LX2は、施術突起84の基端側であるベース面82a側に凹状をなすように形成され、(【0064】)
j 第2施術突起84の先端位置は、第1施術突起83の先端位置よりもS1分だけ低い位置となるよう構成され、(【0065】)
k モータ32の駆動力が各ギヤ41~46を介して伝達されることで連結軸47周りを施術ヘッド部12の施術子81a~81dが周回するように動作され、(【0067】)
l 各第1及び第2施術突起83,84を結んでなる仮想面LX1,LX2が湾曲(球面)形状とされて、各施術子81a~81dの配置中心CP側ほど低くなるように形成され、このため、第1施術突起83同士は、頭皮と略同時に接触して、第1施術突起83によって同等の接触圧で頭皮に刺激を付与することができ、また、相対的に高い第1施術突起83が先に当接して撓んだ状態となるまで該突起83を密着させることで、第2施術突起84が軽当接し、この状態で、頭皮に密着する施術突起83によって施術突起83間の当接力を同等として頭皮ケア効果を付与しつつ、頭皮に軽当接する第2施術突起84によって施術突起84間の当接力を同等として頭皮上を滑るような動作によって洗浄効果を付与され、(【0074】)
m 施術突起83,84の先端位置を結んでなる仮想面LX1,LX2と直交するように施術突起83,84を延出させる、(【0084】)
n 頭皮ケア装置10。
(4)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 発明特定事項A及びCについて
発明特定事項Aは「出力軸を駆動させる駆動源が収容された本体部と、」というものであり、発明特定事項Cは「を備え、」というものである。
(ア)引用発明の「装置本体部11」(構成a)は、本件補正発明の「本体部」に相当し、引用発明の「駆動源としてのモータ32」(構成b3)は、本件補正発明の「駆動源」に相当する。
(イ)引用発明の「装置本体部11」は、「本体ハウジング13を備え」(構成b1)、「本体ハウジング13は、その内部においてモータ基台30が収容され」(構成b2)、「モータ基台30の上面略中央部にモータ支持部30aが形成されるとともに、モータ支持部30aは駆動源としてのモータ32を支持」する(構成b3)から、「モータ32」は「装置本体部11」に収容される。
よって、引用発明の「装置本体部11」は、本件補正発明の「駆動源が収容された本体部」に相当する。
(ウ)引用発明の「駆動源の出力軸としての連結軸47」(構成c4)は、本件補正発明の「出力軸」に相当する。
そして、引用発明では、「モータ32のモータ軸32aの先端部にピニオンギヤ32bが一体回転可能に圧入固定され、ピニオンギヤ32bには、第1伝達ギヤ41が噛合され」(構成c1)、「第1伝達ギヤ41には、小径ギヤ部41bが一体成形され、小径ギヤ部41bには第2伝達ギヤ42が噛合され」(構成c2)、「第2伝達ギヤ42には、第3伝達ギヤ43が噛合され」(構成c3)、「第2伝達ギヤ42には、第4伝達ギヤ44が噛合され、第3伝達ギヤ43には、第5伝達ギヤ45が噛合され、第4伝達ギヤ44及び第5伝達ギヤ45には、最終ギヤ46a~46dが噛合され、各最終ギヤ46a~46dには、その径方向略中心位置にそれぞれ駆動源の出力軸としての連結軸47が一体回転可能に配置され」る(構成c4)。
そうすると、引用発明の「モータ32」のモータ軸32aの回転は、ピニオンギヤ32b、第1~第5伝達ギヤ41~45及び最終ギヤ46a~46dを経由して、「連結軸47」を駆動するから、引用発明の「モータ32」は、本件補正発明の「出力軸を駆動させる駆動源」に相当する。
(エ)前記(ア)~(ウ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「出力軸を駆動させる駆動源が収容された本体部」「を備え」る点で一致する。
イ 発明特定事項B及びCについて
発明特定事項Bは「前記出力軸の駆動により前記出力軸の軸方向と直交する平面に沿って回転運動を行う施術子を有する施術部と、」というものであり、発明特定事項Cは「を備え、」というものである。
(ア)引用発明の「施術ヘッド部12」(構成a)は、本件補正発明の「施術部」に相当し、引用発明の「施術子81a~81d」(構成d)は、本件補正発明の「施術子」に相当する。
引用発明の「施術ヘッド部12」は、「複数の角部Kを有する多角形状を成し、施術子81a~81dは、各角部Kに対応する位置に配置され」る(構成d)から、「施術ヘッド部12」は「施術子81a~81d」を有すると解される。
よって、引用発明の「施術ヘッド部12」は、本件補正発明の「施術子を有する施術部」に相当する。
(イ)引用発明では、「連結軸47周りを施術ヘッド部12の施術子81a~81dが周回するように動作され」る(構成k)から、「施術子81a~81d」は、「連結軸47」の軸方向と直交する平面に沿って回転運動を行うと解される(図9も参照)。
引用発明の「連結軸47」が本件補正発明の「出力軸」に対応することは、前記ア(ウ)で触れたとおりである。
そうすると、引用発明の「施術子81a~81d」は、本件補正発明の「前記出力軸の軸方向と直交する平面に沿って回転運動を行う施術子」に相当する。
(ウ)引用発明では、「モータ32の駆動力が各ギヤ41~46を介して伝達されることで」「施術子81a~81dが周回するように動作され」(構成k)、前記ア(ウ)で触れたように、引用発明の「モータ32」は「連結軸47」を駆動するから、引用発明の「施術子81a~81d」は、モータ32による「連結軸47」の駆動により、回転運動を行うと解される。
よって、引用発明の「施術子81a~81d」は、本件補正発明の「前記出力軸の駆動により」「回転運動を行う施術子」に相当する。
(エ)前記(ア)~(ウ)によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記出力軸の駆動により前記出力軸の軸方向と直交する平面に沿って回転運動を行う施術子を有する施術部」「を備え」る点で一致する。
ウ 発明特定事項D及びD′について
発明特定事項Dは「前記施術子が施術突起を有しており、」というものであり、発明特定事項D′は「前記施術子が複数の施術突起を備えており、」というものである。
引用発明の「第1施術突起83」(構成f)又は「第2施術突起84」(構成h)は、本件補正発明の「施術突起」に相当する。
引用発明の「第1施術突起83」は、「施術子81a~81dのそれぞれに4個ずつ設けられ」(構成f)、「第2施術突起84」は、「施術子81a~81dのそれぞれに4個ずつ設けられ」る(構成h)から、「施術子81a~81d」は、「第1施術突起」及び「第2施術突起」のいずれをも複数備えている。
よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記施術子が施術突起を有して」いる点、及び「前記施術子が複数の施術突起を備えて」いる点で一致する。
エ 発明特定事項Eについて
発明特定事項Eは「前記施術突起は、先端が前記施術部の中心軸を向くように前記出力軸の軸方向に対して傾斜した傾斜施術突起を有しており、」というものである。
(ア)引用発明の「各施術子81a~81dの配置中心CP」(構成e)は、本件補正発明の「前記施術部の中心」に相当し、引用発明の各施術子81a~81dが配置される面と垂直で「配置中心CP」を通る線、すなわち、図9において配置中心CPを通り紙面の表裏を垂直に貫通する直線であり、図20において符号S1が振られている直線を紙面上下に伸ばした直線(以下「CP線」という。)は、本件補正発明の「前記施術部の中心軸」に相当する。
(イ)引用発明の「第1施術突起83の先端位置を結んでなる仮想面LX1」は、「湾曲(球面)形状とされ」、「施術突起83の基端側であるベース面82a側に凹状をなすように形成され」る(構成g)から、基端側に凸な球面であると解される。同様に、引用発明の「第2施術突起84を結んでなる仮想面LX2」も、基端側に凸な球面であると解される(構成i、l)。
そして、引用発明では、「施術突起83,84の先端位置を結んでなる仮想面LX1,LX2と直交するように施術突起83,84を延出させる」(構成m)から、「第1施術突起83」及び「第2施術突起84」のそれぞれは、前記凸な球面と直交するように延出する。
そうすると、引用発明の「第1施術突起」及び「第2施術突起」のそれぞれが延出する方向は、先端側がCP線(図20の符号S1が振られている直線を上下に伸ばした直線)を向くように傾斜しているから、「第1施術突起」及び「第2施術突起」をそれぞれ「第1傾斜施術突起」及び「第2傾斜施術突起」と呼ぶことは任意である。
また、引用発明の「連結軸47」の向きがCP線の向きと一致することは、図4から明らかであるから、引用発明の「第1施術突起」及び「第2施術突起」のそれぞれは、「連結軸47」に対して傾斜している。なお、引用発明の「連結軸47」が本件補正発明の「出力軸」に相当することは、前記ア(ウ)で触れたとおりである。
(ウ)以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記施術突起は、先端が前記施術部の中心軸を向くように前記出力軸の軸方向に対して傾斜した傾斜施術突起を有して」いる点で一致する。
オ 発明特定事項Fについて
発明特定事項Fは「前記施術子は、前記出力軸を中心とした円周であって、前記中心軸を内部に含まない円周上を平行移動しながら回転しており、」というものである。
引用発明の「施術子81a~81d」が、「連結軸47」を中心とした円周であって、CP線(前記エ(ア))を内部に含まない円周上を平行移動しながら回転することは、図9から明らかである。
よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記施術子は、前記出力軸を中心とした円周であって、前記中心軸を内部に含まない円周上を平行移動しながら回転して」いる点で一致する。
カ 発明特定事項Gについて
発明特定事項Gは「複数の前記施術突起は、前記中心軸に近づくにつれて先端が前記本体部側となるように形成されている、」というものである。
引用発明の「第1施術突起」が、CP線に近づくにつれて先端が「装置本体部11」側となるように形成されていることは、図20及び前記エから明らかである。同様に、引用発明の「第2施術突起」が、CP線に近づくにつれて先端が「装置本体部11」側となるように形成されていることは、明らかである。
よって、本件補正発明と引用発明とは、「複数の前記施術突起は、前記中心軸に近づくにつれて先端が前記本体部側となるように形成されている」点で一致する。
キ 発明特定事項Hについて
発明特定事項Hは「頭皮ケア装置。」というものである。
引用発明の「頭皮ケア装置10」(構成a、n)は、本件補正発明の「頭皮ケア装置」に相当する。
ク 一致点及び相違点
前記ア~キによれば、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違するところがない。
〈一致点〉
「出力軸を駆動させる駆動源が収容された本体部と、
前記出力軸の駆動により前記出力軸の軸方向と直交する平面に沿って回転運動を行う施術子を有する施術部と、
を備え、
前記施術子が施術突起を有しており、
前記施術突起は、先端が前記施術部の中心軸を向くように前記出力軸の軸方向に対して傾斜した傾斜施術突起を有しており、
前記施術子は、前記出力軸を中心とした円周であって、前記中心軸を内部に含まない円周上を平行移動しながら回転しており、
前記施術子が複数の施術突起を備えており、
複数の前記施術突起は、前記中心軸に近づくにつれて先端が前記本体部側となるように形成されている、
頭皮ケア装置。」である点。
ケ 請求人の主張について
上記一致点に関し、請求人は、概略、以下を主張する。
本願請求項1にかかる発明は、構成A(当審注:発明特定事項F、D′及びGに対応)の点で、引用文献と全く相違する。
引用文献の図20には、施術突起83、84の先端位置を結んでなる仮想面LX1、LX2と直交するように施術突起83、84を延出させるようにした構成は開示されている。しかしながら、この引用文献の図20では、先端が仮想面LX1よりも本体部側となる仮想面LX2を形成する施術突起84が、中心軸に最も近い側及び中心軸から最も遠い側に形成されており、その間に、先端が仮想面LX2よりも本体部から離れた側となる仮想面LX1を形成する施術突起83が形成されている。
また、引用文献1には、高さの異なる2種類の第1及び第2施術突起83、84を用いた図(仮想面LX1、LX2が形成される図)しか開示されておらず、段落0084には、「上記実施形態では、高さの異なる2種類の第1及び第2施術突起83.84を用いたが、高さの異なる施術突起を3種類以上備える構成を採用してもよい。」と記載されており、この引用文献1では、1種類の施術突起を用いた構成については一切言及していない。
(審判請求書「【本願発明が特許されるべき理由】」「(3)本願発明と引用文献との対比」)
上記主張について検討する。
(ア)請求人は、要するに、引用発明のCP線(前記エ(ア))に最も近い「第2施術突起84」とCP線から最も遠い「第2施術突起84」との間に「第1施術突起83」が存在するから、引用発明の施術突起83及び84を合わせて見ると、「複数の前記施術突起は、前記中心軸に近づくにつれて先端が前記本体部側となるように形成されている」(発明特定事項G)とはいえない旨を主張すると解される。
しかしながら、引用発明の「第1施術突起83」と「第2施術突起84」とを同一視することは、引用発明の技術的意義に反することである。以下に詳述する。
引用発明の「第1施術突起83」は、「第1施術突起83同士」が「頭皮と略同時に接触して、第1施術突起83によって同等の接触圧で頭皮に刺激を付与する」(構成l)ためのものであり、頭皮に刺激を与えるための施術突起である。これに対して、「第2施術突起84」は、「施術突起84間の当接力を同等として頭皮上を滑るような動作によって洗浄効果を付与」する(構成l)ためのものであり、洗浄効果を与えるための施術突起である。すなわち、「第1施術突起83」と「第2施術突起84」とは、その目的を違えるものであって、両者がそれぞれ異なる目的を達成できるようにするために、かつ、「頭皮により均一に施術突起を接触させて頭皮のケア効果をより好適に付与する」という課題(【0007】)を解決するために、「各第1及び第2施術突起83,84を結んでなる仮想面LX1,LX2が湾曲(球面)形状と」し(構成l)、「第2施術突起84の先端位置は、第1施術突起83の先端位置よりもS1分だけ低い位置となるよう構成」したもの(構成j)と解される。
そうすると、引用発明の「第1施術突起83」と「第2施術突起84」とは、引用発明の技術的意義に照らして、これらを同一の施術突起であると解釈することはできず、「第1施術突起83」と「第2施術突起84」とはそれぞれ別個の構成として把握されるべきである。
そして、請求人の主張は、「第1施術突起83」と「第2施術突起84」とを別個の構成として把握せず、これらを同一の施術突起であるとの前提に立つ点で、引用発明の技術的意義を正解しておらず、前提において失当である。
(イ)また、請求人は、本件補正発明が1種類の施術突起しか包含しないことを前提としているが、本件補正発明は複数種類の施術突起を包含することを排除しておらず、この点においても請求人の主張は失当である。
(ウ)前記(ア)及び(イ)のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
(5)独立特許要件の判断
前記(4)のとおりであるから、本件補正発明は、特許法29条1項3号に掲げる発明に該当する引用発明と同一であり、同項の規定に違反するため、特許を受けることができない。
また、本件補正発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
4 本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明
本件補正は上述のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(1)に示した請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
第4 原査定の概要
原査定の概要は、以下のとおりである。
1.(新規性)この出願の請求項1~4及び6に係る発明は、文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の請求項1~6に係る発明は、文献1に記載された発明、文献2に記載された技術及び文献3に示される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
4.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
文献1.特開2013-106646号公報
文献2.特開昭62-109569号公報
文献3.特開2017-158925号公報
第5 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された文献1(この審決における引用文献に対応)の記載事項は、前記第2[理由]3(2)に記載したとおりである。
第6 本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]3で検討した本件補正発明から、その発明特定事項である「複数の前記施術突起」について、「前記中心軸に近づくにつれて先端が前記本体部側となるように形成されている」との特定を削除し、それに代えて「前記中心軸に近い側の先端が前記本体部側となるように形成されている」と特定するものであって、施術突起全体の限定から、中心軸に近い側の施術突起のみの限定としたものである(前記第2[理由]2を参照)。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、第2[理由]3に示したとおり、引用発明と同一であり、かつ、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明と同一であり、かつ、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明と同一であり、かつ、引用発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条1項及び2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-002663