審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-018207

無人運転車両の制御方法、装置及び電子機器

審判番号
2023-018207
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-179388
請求日
2023年10月27日
審決日
2024年12月06日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
  • 【請求人代理人】上田 邦生
審判長/審判官
  • 審判長 伏本 正典
  • 審判官 緑川 隆
  • 審判官 月野 洋一郎
分類
P18 .121-WZ (G08G) / P18 .537-WZ (G08G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-179388「無人運転車両の制御方法、装置及び電子機器」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月 8日出願公開、特開2022- 23969〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2021年(令和3年)11月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2020年(令和2年)12月15日、中国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年11月28日付け:拒絶理由通知書 令和5年 2月28日 :意見書、手続補正書の提出 令和5年 6月19日付け:拒絶査定 令和5年10月27日 :審判請求書の提出 令和6年 6月13日 :当審の拒絶理由通知書 なお、請求人は、令和6年6月13日付けの拒絶理由通知に対して、その指定期間内に何ら応答しなかった。 第2 本願の特許請求の範囲の記載 令和5年2月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び請求項11には、以下の事項が記載されている。 「 【請求項1】 停車指令を受信した場合又は無人運転車両が所定位置に到着した場合、前記無人運転車両のドアと同じ側に位置するカメラによって撮影された第1路面画像を取得することと、 前記第1路面画像に基づいて、前記無人運転車両のドアが設けられた片側又は両側の目標路面状態を取得することと、 前記目標路面状態が第1路面状態である場合、前記無人運転車両を停車制御することと、 を含み、 前記第1路面画像に基づいて、前記無人運転車両のドアが設けられた片側又は両側の目標路面状態を取得することが、 前記第1路面画像を特徴抽出して第1特徴データを得ることと、 前記第1特徴データを、前記無人運転車両に記憶された所定特徴データベースとマッチングして、前記目標路面状態を決定することと、 を含み、 前記第1特徴データを、前記無人運転車両に記憶された所定特徴データベースとマッチングして、前記目標路面状態を決定することが、 前記第1特徴データにマッチした目標特徴データが前記所定特徴データベースに含まれない場合、前記目標路面状態を第1路面状態に決定することと、 前記第1特徴データにマッチした目標特徴データが前記所定特徴データベースに含まれる場合、前記目標路面状態を第2路面状態に決定することと、 を含む、無人運転車両の制御方法。」 「 【請求項11】 コンピュータプログラムを備えるコンピュータプログラムプロダクトであって、 前記コンピュータプログラムが、請求項1から4のいずれか一項に記載の無人運転車両の制御方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムプロダクト。」 第3 当審拒絶理由の概要 当審が令和6年6月13日付けで通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。 1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 引用文献2.米国特許第9919704号明細書 引用文献5.特開2013-47934号公報(周知技術を示す文献) 引用文献6.特開2020-144722号公報(周知技術を示す文献) 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献2に記載された事項 当審で通知した拒絶理由で引用された、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に公知となっている引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。) 「The present disclosure relates to self-driving cars(“SDCs”).」(第1欄5行~6行) (当審訳:本開示は、自動運転車(“SDCs”)に関するものである。) 「FIG. 7 illustrates an improved SDC 400, on which like numbers indicate like components to those shown and described with reference to FIG. 4. The improved SDC includes road hazard sensors 401 that are mounted on the SDC 400 adjacent a door 402 of the SDC. The road hazard sensors 401 are directed toward the ground near the SDC 400, and are connected in communication with the processor 107, which facilitates a road hazard identification package, further described below with reference to FIG. 8, in order to detect and identify a road hazard 403. 」(第8欄37行~50行) (当審訳:図7は、改良されたSDC400を示しており、図4を参照して示されているものと同じ番号は同じ構成要素を示している。改良されたSDCは、SDCのドア402に隣接してSDC400に設置された道路障害物センサ401を備えている。道路障害物センサ401は、SDC400の近くの地面に向けられ、プロセッサ107と通信できるように接続されており、プロセッサ107は、道路障害物403を検出して識別するために、図8を参照して後述するように、道路障害物識別パッケージを促進している。) 「FIG. 8 illustrates steps implemented in an exemplary road hazard identification package or module (RHIP) 500, which may be facilitated by the processor 107 or by remote (cloud) processing capabilities. The RHIP comprises of one or more hazard detection analytics models which are developed based on historical road hazards data. The road hazards data can be obtained from crowdsourcing reports, from satellite or aerial image data, from one or more online sources such as Google image data, etc. The RHIP 500 first detects 501 that the SDC is in a parking mode. The RHIP 500 then receives 502 a stream of data (e.g., image data), corresponding to external road conditions, from one or more sensors 401. Next, the RHIP 500 uses the one or more analytics models to identify, detect and classify the received stream data belonging to one or more of the hazards models. Thus, the RHIP 500 detects 503 a level of road-surface risk or inconvenience for an SDC occupant who will open the door of the SDC and step out. For the step of detecting road-surface risk, the RHIP 500 may make use of visual analytics, deep learning, neural net, etc. The RHIP 500 also detects or analyzes 504 a vehicle occupant's cohort (e.g., weight range, health condition, pregnancy status, age range, etc.) and context (e. g., meeting schedule, hospital visit, etc.). The RHIP also determines 505 a person state variable (e.g., health state, apparel, etc.) relating to the vehicle occupant. Using one or more risk-management modules, the RHIP 500 computes 506 an overall risk level (multidimensional risk) related to the one or more occupants of the SDC. The risk assessment may be of any: (a) risk assessment based on the type and characteristics of external hazard detected, as well as contextual information (e.g., occupant(s)'s context); (b) determine the need for specialized emergency in-vehicle sensors or equipment to aid the occupant(s); (c) using video feed monitor the condition of the road hazard and send a signal for the SCD control unit for further actions, etc. Based on the multidimensional risk, the RHIP 500 assesses 507 whether the multidimensional risk exceeds a risk threshold T. If so, then the RHIP alerts 508 the vehicle occupant for the presence of one or more outside hazards; optionally, providing an interface and device, i.e. a means for occupant of SDC to interact during the decision process. Further, the RHIP 500 invokes 509 a planning module 600 for determining one or more amelioration actions.」(第8欄51行~第9欄27行) (当審訳:図8は、例示的な道路障害物識別パッケージまたはモジュール(“RHIP”)500に実施されるステップであり、プロセッサ107によって、またはリモート(クラウド)処理機能によって促進されてもよい。RHIPは過去の道路障害物データに基づいて開発された1つ以上の障害物検出解析モデルを含む。道路障害物データは、衛星又は空中画像データから、Google(登録商標)画像データなどの1つ以上のオンラインソースからなど、クラウドソーシング・レポートから得ることができる。RHIP500は、まず、SDCが駐車モードであることを検出する(501)。次に、RHIP500は、1つ以上のセンサ401から、外部の道路状況に対応するデータ(例えば、画像データ)のストリームを受信する(502)。次に、RHIP500は、1つ以上の解析モデルを用いて、障害物モデルの1または複数に属する受信したストリームデータを、識別、検出、分類する。このように、RHIP500は、SDCのドアを開けて降車するSDCの乗員に対する路面の危険または不便さのレベルを検出する(503)。路面の危険性を検出するステップのために、RHIP500は、ビジュアル解析、ディープラーニング、ニューラルネットなどを利用することができる。RHIP500はまた車両の乗員の“コホート”(例えば、体重、健康状態、妊娠状態、年齢等)及び“コンテキスト”(例えば、会議スケジュール、病院訪問など)を検出または分析する(504)。RHIPはまた、車両の乗員に関する人の状態変数(例えば、健康状態、衣装など)を決定する(505)。1つ以上のリスク管理モジュールを使用して、RHTP500は、SDCの1人または複数の乗客に関連する全体的なリスクレベル(多次元のリスク)を算出する(506)。リスク評価は、次のいずれかになる;(a)検出された外部の障害物の種類および特性、ならびにコンテキスト情報(例えば、乗員(単数または複数)のコンテキスト)に基づくリスク評価;(b)乗員を助けるための、特殊な緊急車載センサーまたは機器の必要性の判断;(c)道路の障害物の状況を監視し、SCD制御ユニットにさらなる措置などを求める信号を送信する、ビデオフィードの使用、など。多次元リスクに基づいて、RHIP500は、多次元リスクがリスクしきい値Tを超えているかどうかを評価します(507)。超えている場合は、1つ以上の外部障害物の存在について車両の乗員に警告します(508);オプションで、インターフェイスとデバイス、つまりSDCの乗員が決定プロセス中に対話する手段を提供します。さらに、RHIP500は、1つ以上の改善アクションを決定するための計画モジュール600を呼び出します(509)。」 「 [図:0001421974000001.jpg] 」 「 [図:0001421974000002.jpg] 」 「 [図:0001421974000003.jpg] 」 2 引用文献2に記載された発明 上記1の摘記事項から、引用文献2には、「自動運転車(SDCs)」に関する次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「自動運転車(SDCs)において、 SDCのドア402に隣接してSDC400に設置された道路障害物センサ401が備えられており、道路障害物センサ401は、SDC400の近くの地面に向けられ、プロセッサ107と通信できるように接続されており、プロセッサ107は、道路障害物403を検出して識別するために、道路障害物識別パッケージを促進しており、 道路障害物識別パッケージ(“RHIP”)500に実施されるステップでは、RHIP500は、まず、SDCが駐車モードであることを検出し(501)、 次に、RHIP500は、1つ以上のセンサ401から、外部の道路状況に対応するデータ(例えば、画像データ)のストリームを受信し(502)、 次に、RHIP500は、1つ以上の解析モデルを用いて、障害物モデルの1または複数に属する受信したストリームデータを、識別、検出、分類して、SDCのドアを開けて降車するSDCの乗員に対する路面の危険または不便さのレベルを検出するものであって(503)、 路面の危険性を検出するステップのために、RHIP500は、ビジュアル解析を利用し、 1つ以上のリスク管理モジュールを使用して、RHTP500は、SDCの1人または複数の乗客に関連する全体的なリスクレベル(多次元のリスク)を算出し(506)、 多次元リスクに基づいて、RHIP500は、多次元リスクがリスクしきい値Tを超えているかどうかを評価し(507)、 超えている場合は、1つ以上の外部障害物の存在について車両の乗員に警告し(508)、 RHIP500は、1つ以上の改善アクションを決定するための計画モジュール600を呼び出す(509)、方法。」 第5 理由1(進歩性)について 1 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の【請求項1】のとおりである。 2 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)「停車指令を受信した場合又は無人運転車両が所定位置に到着した場合、前記無人運転車両のドアと同じ側に位置するカメラによって撮影された第1路面画像を取得することと、」について 引用発明の「RHIP500」により検出される「駐車モード」は、車両を所定の場所に停止させるモードであることは自明であるから、「駐車モード」であることを検出することは、本願発明の「停車指令を受信した場合」に相当する。 また、引用発明の「SDC400」は本願発明の「無人運転車両」に相当し、「ドア402」に隣接して「道路障害物センサ401」が設置されている。そして、引用発明の「RHIP500」は、「センサ401から、外部の道路状況に対応するデータ(例えば、画像データ)のストリームを受信する」ものである。 また、引用発明の「RHIP500」は、「SDCのドアを開けて降車するSDCの乗員に対する路面の危険または不便さのレベルを検出する」のであるから、「SDCの乗員」が降車する位置の付近に到着した場合に、「データ(例えば、画像データ)のストリーム」を「センサ401」から受信することは自明である。 してみると、引用発明は、「RHIP500」により、「停車指令を受信した場合又は無人運転車両が所定位置に到着した場合、無人運転車両のドアと同じ側に位置するカメラによって撮影された第1路面画像を取得する」点で、本願発明と共通している。 (2)「前記第1路面画像に基づいて、前記無人運転車両のドアが設けられた片側又は両側の目標路面状態を取得することと、」について 引用発明の「RHIP500」は、「受信したストリームデータを、識別、検出、分類」し、「SDCの乗員に対する路面の危険または不便さのレベルを検出する」ものであり、「SDCの乗員に対する路面の危険または不便さのレベル」は、「ドアが設けられた」側の「目標路面状態」に相当するものである。 してみると、引用発明は、「RHIP500」により、「前記第1路面画像に基づいて、前記無人運転車両のドアが設けられた側の目標路面状態を取得する」点で、本願発明と共通している。 (3)「前記目標路面状態が第1路面状態である場合、前記無人運転車両を停車制御することと、を含み」について 引用発明の「RHIP500」は、「駐車モード」であることを検出した際に、「センサ401から、外部の道路状況に対応するデータ(例えば、画像データ)のストリームを受信」し、「受信したストリームデータを、識別、検出、分類」して、「SDCの乗員に対する路面の危険または不便さのレベルを検出する」ものであるから、「危険または不便さのレベル」が、自立的な駐車に問題がないレベルである場合に、駐車のための制御を継続することは自明である。また、「危険または不便さのレベル」が、自立的な駐車に問題がないレベルである状態を本願発明の「第1路面状態」に対応する。 してみると、引用発明は、「RHIP500」により、「前記目標路面状態が第1路面状態である場合、前記無人運転車両を停車制御すること」を含む点で、本願発明と共通している。 (4)「無人運転車両の制御方法」について 上記(3)で検討したように、引用発明の「方法」は、「RHIP500」により、「前記目標路面状態が第1路面状態である場合、前記無人運転車両を停車制御すること」を含む点で、本願発明と共通しているから、後述する相違点は別にして、本願発明の「無人運転車両の制御方法」に相当する。 (5)上記(1)~(4)によれば、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は以下の通りである。 [一致点] 「停車指令を受信した場合又は無人運転車両が所定位置に到着した場合、無人運転車両のドアと同じ側に位置するカメラによって撮影された第1路面画像を取得することと、 前記第1路面画像に基づいて、前記無人運転車両のドアが設けられた側の目標路面状態を取得することと、 前記目標路面状態が第1路面状態である場合、前記無人運転車両を停車制御することと、 を含む、無人運転車両の制御方法。」 [相違点] (相違点1) 「前記第1路面画像に基づいて、前記無人運転車両のドアが設けられた側の目標路面状態を取得すること」に関して、引用発明には、 「前記第1路面画像を特徴抽出して第1特徴データを得ることと、 前記第1特徴データを、前記無人運転車両に記憶された所定特徴データベースとマッチングして、前記目標路面状態を決定することと、 を含み、」との事項が特定されていない点。 (相違点2) 引用発明には「前記第1特徴データを、前記無人運転車両に記憶された所定特徴データベースとマッチングして、前記目標路面状態を決定することが、 前記第1特徴データにマッチした目標特徴データが前記所定特徴データベースに含まれない場合、前記目標路面状態を第1路面状態に決定することと、 前記第1特徴データにマッチした目標特徴データが前記所定特徴データベースに含まれる場合、前記目標路面状態を第2路面状態に決定することと、 を含む」との事項が特定されていない点。 (相違点3) 「前記第1路面画像に基づいて、前記無人運転車両のドアが設けられた側の目標路面状態を取得すること」に関して、引用発明には、「ドアが設けられた片側又は両側の目標路面状態を取得する」との事項が特定されていない点。 3 相違点についての判断 (1)相違点1及び相違点2について 例えば引用文献5の段落【0013】、【0024】、【0122】に、車載カメラで撮像した画像に基づいて自車の周辺環境を認識する車載用環境認識装置において、路面状況を認識するために設定した処理領域から路面状況特徴量を抽出し、パターンマッチングすることで、湿潤等の路面状況を認識することが記載されているように、車載カメラで撮像した画像から特徴量を抽出し、路面状況を判定することは周知技術である。 そして、引用発明は、受信した「画像データのストリーム」を解析して、「SDCの乗員に対する路面の危険または不便さのレベルを検出するものであって(503)、路面の危険性を検出するステップのために、RHIP500は、ビジュアル解析を利用」するものであるから、かかる路面状況を検出するためのビジュアル解析の手法として上記周知技術を採用し、「画像データのストリーム」から特徴量(本願発明の「第1特徴データ」)を得るとともに、当該特徴量をパターンマッチングする解析手法を採用することは、当業者であれば容易に成し得たことである。なお、特徴量をパターンマッチングする際に特徴データベースとマッチングすることは、普通に行われている技術事項である。(必要であれば、引用文献6の段落【0045】を参照されたい。) また、パターンマッチングにおいて、マッチするものがあるか否かに応じて、判定結果を切り替えることは当然に行われていることに過ぎないから、当該特徴量をパターンマッチングした際、当該特徴量にマッチングするものがなく、「路面の危険または不便さのレベル」が低く検出される場合に、自立的な駐車に問題がないレベルである状態(本願発明の「第1路面状態」)と決定し、そうでない場合に、別の状態(本願発明の「第2路面状態」)と決定することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。 (2)相違点3について 乗員が乗り降りするためのドアが、片側のみに設けられた車両と両側に設けられた車両は、いずれも広く知られている。してみれば、引用発明において、「SDCの乗員に対する路面の危険または不便さのレベル」を検出する際に、ドアが設けられた片側又は両側のレベルを検出すること、つまり、「ドアが設けられた片側又は両側の目標路面状態を取得する」ことは、当業者であれば適宜成し得たことである。 4 作用効果について そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 5 小括 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 理由2(明確性)について 1 明確性要件の判断の前提 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 そのため、本願の請求項11に係る発明の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かについて、検討する。 2 判断 請求項11の記載は、上記第2の【請求項11】のとおりであるところ、「コンピュータプログラムプロダクト」との記載が、(a)「プログラム」自体、(b)「プログラムが記載された記録媒体」、(c)「プログラムが読み込まれたコンピュータシステム」などのプログラムが読み込まれたシステム、のいずれの意味であるのか不明確である。 この点に関し、本願明細書の発明の詳細な説明には、次のような記載がある。 「【0010】 第5態様によれば、本願のコンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータプログラムを備え、該コンピュータプログラムが、本願の各実施例による無人運転車両の制御方法を前記コンピュータに実行させる。」 「【0055】 本願の実施例によれば、本願は、電子機器、読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムプロダクトを更に提供する。」 「【0059】 本願の実施例に係るコンピュータプログラムプロダクトは、本願の各実施例に係る無人運転車両の制御方法を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを備える。」 発明の詳細な説明の上記記載によれば、「コンピュータプログラムプロダクト」は、「コンピュータプログラム」を備えることは把握できるものの、上記(a)~(c)のうち、いずれの意味で用いているのかは説明されていないし、把握することもできない。 また、「コンピュータプログラムプロダクト」を、上記(a)~(c)のいずれかの意味で用いることが、本願出願当時の当業者の技術常識であったともいえない。 したがって、請求項11に記載された「コンピュータプログラムプロダクト」は、本願明細書の記載や技術常識を含めて検討しても不明確であるから、請求項11に係る発明は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であり、特許法第36条第6項第2項に規定する要件を満たしていない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 したがって、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-018207

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決7件(阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司)
  • 2024-009812拒絶査定不服審判 / 2025-02-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)ブックマーク共有方法及び装置、電子機器、記憶媒体並びにコンピュータプログラム
    同じ当事者: 阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
  • 2023-012611拒絶査定不服審判 / 2025-01-31 / 請求不成立オーディオデータ処理方法、装置、デバイス、記憶媒体及びプログラム
    同じ当事者: 阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
  • 2023-017812拒絶査定不服審判 / 2024-11-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)表示される認識テキストの決定方法、装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体及びコ…
    同じ当事者: 阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
  • 2023-013340拒絶査定不服審判 / 2024-08-20 / 請求不成立放送テキストの決定方法、放送テキストの決定装置、電子機器、記憶媒体及びコンピュー…
    同じ当事者: 阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
  • 2023-013158拒絶査定不服審判 / 2024-03-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)音声放送方法、装置、システム、機器およびコンピュータ可読媒体
    同じ当事者: 阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)265件(121・G08G、537・G08G)
  • 2025-004369拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)車両の到着時間を表示するための装置
    共通の審決分類: 121・G08G、537・G08G
  • 2025-008440拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)運転支援装置、運転支援方法、プログラム
    共通の審決分類: 121・G08G、537・G08G
  • 2024-019889拒絶査定不服審判 / 2026-06-01 / 原査定取消(特許/登録すべき)移動制限及び観察された走行挙動から生成されたデルタコストボリュームを使用した経路…
    共通の審決分類: 121・G08G、537・G08G
  • 2025-004199拒絶査定不服審判 / 2026-03-30 / 請求不成立運転支援装置、運転支援方法、プログラム、車両
    共通の審決分類: 121・G08G、537・G08G
  • 2025-001050拒絶査定不服審判 / 2026-02-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)車両制御およびガイダンス
    共通の審決分類: 121・G08G、537・G08G

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存