特許拒絶査定不服審判
2023-005449
ナノ粉末、ナノセラミック材料並びにこれらの製造方法及び使用方法
- 審判番号
- 2023-005449
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-522918外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年04月05日
- 審決日
- 2024年10月22日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】安齋 嘉章
- 分類
- P18 .536-WZ (C04B) / P18 .537-WZ (C04B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号特許法36条6項1号特許法49条4号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第49条第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-522918「ナノ粉末、ナノセラミック材料並びにこれらの製造方法及び使用方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月 2日国際公開、WO2019/084486、令和 3年 1月14日国内公表、特表2021-501106〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本件拒絶査定不服審判事件に係る特願2020-522918号の出願(以下、「本願」という。)は、2018年(平成30年)10月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2017年10月27日(US)アメリカ合衆国、2018年10月23日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、令和3年7月21日付けで拒絶理由が通知され、令和4年1月26日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月12日付けで拒絶理由が通知され、同年10月19日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月1日付けで拒絶査定がされ、令和5年4月5日に拒絶査定不服審判が請求され、その後、令和6年1月30日付けで、当審から拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年5月29日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2 本願発明(特許請求の範囲の記載)
本願の請求項1~14に係る発明は、令和6年5月29日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
複数のナノ粒子を含むナノ粉末であって、複数のナノ粒子の少なくとも一部は、
酸化ジルコニウム(ZrO2)、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の材料を含むコア粒子と、
コア粒子上の薄膜コーティングであって、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の材料を含む薄膜コーティングを含み、
複数のナノ粒子の一部は、反対側にくぼみを有する球形を含むドーナツ形状を有するナノ粉末。」
3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次の(1)及び(2)を含むものである。
(1) サポート要件違反の拒絶理由
本件補正前の請求項1に係る発明は、その課題を「ナノメートルスケールの半導体製造プロセスにおいて、チャンバ内のコンポーネントのプラズマによる深刻な侵食と粒子生成を抑制し、十分な機械的特性を有する保護コーティング等のナノセラミック材料を形成できるナノ粉末、当該ナノ粉末の製造及び使用する方法を提供すること」とするところ、本願の願書に添付された明細書の発明の詳細な説明(以下、それぞれ「本件明細書」、「本件発明の詳細な説明」といい、同特許請求の範囲、図面を「本件特許請求の範囲」、「本件図面」という。)の記載により当業者が当該課題を解決できると認識できる範囲のものであるとも、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該課題を解決できる範囲のものであるともいえないから、本件特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。
よって、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(2) 実施可能要件違反の拒絶理由
本件発明の詳細な説明の記載には、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、本件補正前の請求項1に係る発明の「ナノ粉末」を形成できる程度に記載されているとはいえないから、本件発明の詳細な説明の記載は特許法第36条第4項第1号に適合するものではない。
よって、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
4 本件明細書及び本件図面の記載
本件明細書及び本件図面には、以下の記載がある(下線は当審が付した。以下同様である。)。
「【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、ナノ粉末、ナノセラミック材料、並びにこれらを製造及び使用する方法に関する。ナノ粉末は、薄膜コーティングされたコア粒子を有するナノ粒子を含む。コア粒子及び薄膜コーティングは、独立して、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物又はこれらの組み合わせの少なくとも1つから形成される。薄膜コーティングは、原子層堆積(ALD)等の非見通し技術を用いて形成することができる。」
「【背景】
【0002】
様々な半導体製造プロセスは、高温、高エネルギープラズマ、腐食性ガスの混合物、高応力、及びこれらの組み合わせを用いる。これらの極端な条件により、処理チャンバ内のコンポーネントがプラズマ照射に曝され、プロセスのドリフトとパーティクルの発生につながる。例えば、ドライエッチング及びクリーニングプロセスに用いられるフッ素ベースのプラズマは、コンポーネントの表面のフッ素化を引き起こす可能性がある。チャンバ内のコンポーネントには通常、アルミナが含まれる。これは、ナノメートルスケールのデバイス製造において、深刻な侵食と粒子生成の問題を生じさせてきた。
【0003】
保護コーティングは、典型的には、様々な方法(例えば、溶射、スパッタリング、プラズマ溶射又は蒸発技術等)によりチャンバコンポーネント上に堆積される。しかしながら、そのようなコーティングは、半導体処理にとって不十分な機械的特性(例えば、曲げ強度及び破壊靭性)を有する可能性がある。そのようなコーティングは通常微結晶構造を有している。」
「【詳細な説明】
【0008】
本明細書に記載の実施形態は、ナノ粉末、ナノセラミック材料、並びにこれらの調製及び使用方法に関する。ナノ粉末は、各々の少なくとも一部が薄膜でコーティングされたコア粒子を有するナノ粒子を含む。コア粒子及び薄膜コーティングは、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物又は希土類金属含有酸フッ化物のうちの少なくとも1つから独立して選択される異なる材料で構成される。
【0009】
図1は、本明細書に記載の実施形態による複数のナノ粒子105を含むナノ粉末100を表す。図1に示されるように、各々のナノ粒子の少なくとも一部は、コア粒子110と、コア粒子上の薄膜コーティング115とを含む。特定の実施形態では、ナノ粒子105のコア粒子110は、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物又はこれらの組み合わせから選択される第1の材料を含む粉末から形成される。特定の実施形態では、コア粒子110のサイズは、約5nm~約100nm、約10nm~約90nm、約20nm~約80nm、又は約30nm~約70nmである。幾つかの実施形態では、コア粒子のサイズは、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、又は約100nm未満である。
【0010】
実施形態は、ナノ粒子を参照して本明細書で説明されることに留意すべきである。しかしながら、実施形態は、約1~100ミクロンの規模のサイズを有するマイクロ粒子でも機能すると理解すべきである。
【0011】
特定の実施形態では、コア粒子110上の薄膜コーティング115は、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物又はこれらの組み合わせから選択される第2の材料から形成される。薄膜コーティング115の第2の材料は、コア粒子110の第1の材料とは異なる。特定の実施形態では、薄膜コーティング115の厚さは、約1nm~約500nm、約1nm~約250nm、約1nm~約100nm、約1nm~約50nm、約1nm~約25nm、約1nm~約10nm、約1nm~約5nm、約30nm~約40nm、又は約3nm~約5nmであってもよい。幾つかの実施形態では、薄膜コーティングの厚さは、約1nm、約3nm、約4nm、約5nm、約10nm、約25nm、約50nm、又は約100であってもよい。実施形態では、薄膜コーティング115は、約1g/cm3~約20g/cm3、約2g/cm3~約15g/cm3、約3g/cm3~約10g/cm3、又は4g/cm3~約7g/cm3の密度を有する。幾つかの実施形態では、薄膜コーティング115の密度は、約1g/cm3、約2g/cm3、約3g/cm3、約4g/cm3、約5g/cm3、約6g/cm3、又は約7g/cm3の密度を有する。本明細書に記載の実施形態によるナノ粉末100中のナノ粒子105は、約5nm~約600nm、約10nm~約300nm、約25nm~約250nm、又は約50nm~約100nmである。
【0012】
図1に示されるように、ナノ粉末100中のナノ粒子105の少なくとも一部は、薄膜コーティング115を有する。幾つかの実施形態では、ナノ粒子の少なくとも一部は、薄膜コーティング120で完全にコーティングされる。幾つかの実施形態では、ナノ粒子の少なくとも一部は、薄膜コーティング125で部分的にコーティングされる。特定の実施形態では、ナノ粉末100中のナノ粒子105の少なくとも約5%、約10%、約25%、約50%、約75%、約90%、又は約95%が少なくとも部分的にコーティングされる。特定の実施形態では、ナノ粉末100中のナノ粒子105の少なくとも約5%、約10%、約25%、約50%、約75%、約90%、又は約95%が薄膜コーティングで完全にコーティングされる。
【0013】
コア粒子110の第1の材料と薄膜コーティング115の第2の材料は、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせから独立して選択される。第1の材料と第2の材料は共通の元素を含むことができるが、第1の材料は第2の材料とは異なる。第1の材料及び/又は第2の材料中の希土類金属は、イットリウム、エルビウム、ランタン、ルテチウム、スカンジウム、ガドリニウム、サマリウム及び/又はジスプロシウムから選択することができる。希土類金属含有酸化物の例には、イットリア(Y2O3)、酸化エルビウム(Er2O3)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)、酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化スカンジウム(Sc2O3)、これらの組み合わせ等が含まれるが、これらに限定されない。希土類金属含有フッ化物の例には、フッ化イットリウム(YF3)、フッ化エルビウム(ErF3)、フッ化ジスプロシウム(DyF3)、フッ化ガドリニウム(GdF3)、フッ化スカンジウム(ScF3)、これらの組み合わせ等が含まれるが、これらに限定されない。希土類金属含有酸フッ化物の例には、酸フッ化イットリウム(YxOyFz又はYOF)、酸フッ化エルビウム(ErxOyFz)、フッ化ジスプロシウム(DyF3)、酸フッ化ジスプロシウム(DyxOyFz)、酸フッ化ガドリニウム(GdxOyFz)、酸フッ化スカンジウム(ScxOyFz)、これらの組み合わせ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
特定の実施形態では、コア粒子110及び/又は薄膜コーティング115は、Y2O3、Y3Al5O12(YAG)、Y4Al2O9(YAM)、YF3、YOF、Er2O3、Er3Al5O12(EAG)、ErF3、EOF、La2O3、Lu2O3、Sc2O3、ScF3、ScOF、Gd2O3、Sm2O3又はDy2O3の少なくとも1つを含むことができる。また、コア粒子110及び/又は薄膜コーティング115は、YAlO3(YAP)、Er4Al2O9(EAM)、ErAlO3(EAP)、又はランタン、ルテチウム、スカンジウム、ガドリニウム、サマリウム又はジスプロシウムの他のターナリーバリアントであってもよい。前述の希土類金属含有材料には、他の材料(例えば、ZrO2、Al2O3、SiO2、B2O3、Er2O3、Nd2O3、Nb2O5、CeO2、Sm2O3、Yb2O3、及び/又は他の酸化物等)の微量を含んでいてもよい。
【0015】
幾つかの実施形態では、複数のナノ粒子105を含むナノ粉末100は、約40モル%~約90モル%、約50モル%~約80モル%、又は約60モル%~約70モル%の酸化イットリウムと、約10モル%~約60モル%、約20モル%~約50モル%、又は約30モル%~約40モル%の酸化ジルコニウムを含む。特定の実施形態では、複数のナノ粒子105を含むナノ粉末100は、約60モル%~約70モル%の酸化イットリウムと、約30モル%~約40モル%の酸化ジルコニウムを含む。幾つかの実施形態では、コア粒子110は酸化ジルコニウムであり、薄膜コーティング115は酸化イットリウムである。幾つかの実施形態では、コア粒子110は酸化イットリウムであり、薄膜コーティング115は酸化ジルコニウムである。幾つかの実施形態では、コア中の希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物又はこれらの組み合わせの、薄膜コーティング中の希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物又はこれらの組み合わせに対する比は、約1:100~約100:1、約1:75~約75:1、約1:50~約50:1、約1:35~約35:1、約1:20~約20:1、約1:15~約15:1、約1:10~約10:1、約1:5~約5:1、又は約1:100~約35:1であってもよい。
【0016】
コア粒子がZrO2で形成され、約100nmのサイズを有し、薄膜コーティングが様々な厚さのY2O3で形成される特定の実施形態において、各々の成分の濃度(モル%)を表1に示すことができる。同様に、表1は、コア粒子がY2O3で形成され、約100nmのサイズを有し、薄膜コーティングが様々な厚さのZrO2で形成される各々の成分の濃度を示す。
【0017】
【表1】
[図:0001420742000001.jpg]
[図:0001420742000002.jpg]
【0018】
表1を参照すると、特定の実施形態では、Y2O3(薄膜コーティング)のZrO2(コア粒子)に対する比が約60モル%~約70モル%の組成を達成するために、Y2O3薄膜コーティング(即ち、「シェル」)の厚さは、約30nm~約40nmの範囲にあるべきである。同様に、約100nmのY2O3コア粒子の場合、特定の実施形態では、Y2O3(コア粒子)のZrO2(薄膜コーティング)に対する比が約60モル%~約70モル%の組成を達成するために、ZrO2薄膜コーティングの厚さは約3nm~約5nmの範囲であるべきである。
【0019】
図2は、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態によるナノ粉末200中のナノ粒子205を示す。ナノ粒子205の少なくとも一部は、球形の反対側に深いくぼみ210を有する球形を有することができる。即ち、幾つかのナノ粒子205はドーナツ形状215を有することができる。特定の理論に束縛されることなく、幾つかの実施形態では、ドーナツ形状215を有するナノ粒子205を有するナノ粉末200から形成されたナノコーティングは、他の形状のナノ粒子で形成されたナノコーティングと比較して、改善された形態及び多孔性を有することができると考えられる。例えば、ドーナツ形状215を有するナノ粒子205から形成されたナノコーティングは、ナノ粉末の溶融の改善、粗さの減少、及び多孔性の減少により、より少ないノジュール及びスプラットを有する可能性があり、これらの全てはオンウェーハ粒子性能の改善に寄与する。
【0020】
本明細書に記載の実施形態による複数のナノ粒子を有するナノ粉末は、原子層堆積(ALD)を用いて形成することができる。ALDは、基板の表面(例えば、コア粒子の出発材料)との化学反応を介して、材料の制御された自己制限的な堆積を可能にする。ALDは、コンフォーマルプロセスであるだけでなく、均一プロセスでもあり、例えば約1nm以上の非常に薄い膜を形成することができる。コア粒子のすべての露出面には、同じ又はほぼ同じ量の材料が堆積する。ALDプロセスの典型的な反応サイクルは、前駆体(つまり、単一の化学物質A)がALDチャンバに注入され、コア粒子の露出面に吸着することから始まる。次に、反応物質(即ち、単一の化学物質R)がALDチャンバに導入され、続いて洗い流される前に、過剰な前駆体がALDチャンバから洗い流される。ALDの場合、各反応サイクルは1つの原子層又は原子層の一部である特定の厚さの層を成長させるため、材料の最終的な厚さは実行される反応サイクルの数に依存する。ALD技術は、比較的低温(例えば、約25℃~約350℃)で材料の薄層を堆積できるため、出発材料に損傷を与えない。
【0021】
ALDは、本明細書に記載されるような希土類金属含有ナノ粉末を形成するために特に有用である。従来の見通し内堆積法では、ALDにより堆積されるものよりもコア粒子上に厚いコーティングが生成される。実際、そのような従来の方法は、凝集を引き起こしてミクロンサイズの粒子をもたらす可能性がある。そのような粒子は、ナノスケールのデバイス製造に用いるには大きすぎる。従って、本明細書における幾つかの実施形態の成果は、コア粒子に薄膜コーティングを適用して、処理チャンバ内の過酷なプラズマ及び反応物質条件に耐性のある複数のナノ粒子を含むナノ粉末を生成することである。このようなナノ粉末は、例えば、プラズマ溶射プロセスのベース材料として、イオンアシスト蒸着スパッタリングデバイスのターゲットを形成するために、又はナノセラミックコンポーネントを形成するために用いることができる(例えば、部品の型にナノ粉末を充填し、ナノ粉末を焼結してナノセラミックコンポーネントを形成する)。
【0022】
本明細書に記載されるコア粒子上の薄膜コーティングは、希土類金属含有前駆体と、酸素及び/又はフッ素からなる又はこれらを含む1つ以上の反応物質によるALDを用いて形成することができる。金属酸化物層を形成するのに適した酸素反応物は、酸素、水蒸気、オゾン、純酸素、酸素ラジカル、又は他の酸素源であってもよい。金属フッ化物層を形成するための適切なフッ化物反応物は、例えば、フッ化物(例えば、TiF4、HF)又は他のフッ素源であってもよい。
【0023】
希土類金属含有前駆体は、イットリウム、エルビウム、ランタン、ルテチウム、スカンジウム、ガドリニウム、サマリウム又はジスプロシウムを含むことができるが、これらに限定されない。適切なイットリウム前駆体の例には、トリス(N、N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(III)又はイットリウム(III)ブトキシドが含まれるがこれらに限定されず、対応する反応物は、O2、H2O又はO3であってもよい。適切なエルビウム前駆体の例には、トリス-メチルシクロペンタジエニルエルビウム(III)(Er(MECp)3)、エルビウムボラナミド(Er(BA)3)、Er(TMHD)3、エルビウム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、又はトリス(ブチルシクロペンタジエニル)エルビウム(III)が含まれるがこれらに限定されず、対応する反応物は、O2、H2O又はO3であってもよい。
【0024】
様々なタイプのALDプロセスが存在し、特定のタイプは、コーティングされる基材、コーティング材料、表面とコーティング材料との間の化学的相互作用等の幾つかの要因に基づいて選択することができる。様々なALDプロセスの原理は、コーティングされる表面を、自己制限的に1回に1つずつ表面と化学的に反応するガス状化学前駆体のパルスに繰り返し曝露することにより、薄膜層を成長させることを含む。
【0025】
例示的な実施形態では、希土類金属含有酸フッ化物薄膜コーティングを形成するための第1のプロセスは、x回の原子層堆積(ALD)サイクルを実行してコア粒子上に第1の希土類酸化物層を形成することを含むことができる。プロセスは、y回のALDサイクルを実行して第1の希土類酸化物薄膜層上に第1の希土類フッ化物薄膜層を形成することを更に含むことができる。第1の希土類酸化物層及び第1の希土類フッ化物層は、同じ希土類金属を含むことができる。プロセスは、インサイチュで、第1の希土類フッ化物層からのフッ素の第1の希土類金属含有酸化物層への拡散、又は、第1の希土類金属含有酸化物層からの酸素の第1の希土類金属含有フッ化物層への拡散の少なくとも1を実行して、第1の希土類金属含有酸フッ化物薄膜コーティングを形成することを更に含むことができる。第1の希土類酸フッ化物薄膜コーティングは、x及びyに基づく、酸素対フッ素のモル比を有することができる。
【0026】
例示的な実施形態では、コア粒子上に希土類酸フッ化物薄膜コーティングを形成するための第2のプロセスは、ALDサイクルを実行してコア粒子の表面上に第1の希土類酸フッ化物層を形成することを含むことができる。第1の希土類酸フッ化物層は、目標となるモル酸素対フッ素比を有することができる。ALDサイクルは、コア粒子を含む堆積チャンバに希土類金属含有前駆体を注入することにより、コア粒子の表面上に希土類金属の第1の吸収層を形成することを含むことができる。更に、ALDサイクルは、第1の用量レートの少なくとも1つの酸素含有反応物と第2の用量レートの少なくとも1つのフッ素含有反応物を堆積チャンバ内に共注入することにより、少なくとも1つの酸素含有反応物と少なくとも1つのフッ素含有反応物を第1吸収層と反応させることを含むことができる。
【0027】
例示的な実施形態では、コア粒子上に希土類酸フッ化物薄膜コーティングを形成するための第3のプロセスは、z回のALDサイクルを実行しコア粒子の表面上に第1の希土類金属含有酸化物層を形成することを含むことができる。更に、プロセスは、コア粒子をフッ素含有種に曝露することを含むことができる。更に、プロセスは、第1の希土類金属含有酸化物層を第1の希土類金属含有酸フッ化物薄膜コーティングに変換することを含むことができる。更に、プロセスは、少なくとも1回の追加のALDサイクルを実行し追加の希土類酸化物層を形成することを含むことができる。更に、プロセスは、コア粒子をフッ素含有種に曝露することを含むことができる。更に、プロセスは、追加の希土類金属含有酸化物層を追加の希土類金属含有酸フッ化物薄膜コーティングに変換することを含むことができる。
【0028】
これらのプロセスを繰り返して、目標の厚さに達するまで、更なる希土類酸フッ化物層を形成することができる。
【0029】
図3Aは、実施形態による、複数のナノ粒子を含むナノ粉末を調製するための方法300を示す。ブロック304で、方法300は、コア粒子の出発材料を選択することにより、又は当業者に知られている粒子サイズ分布を制御するための逆ストライク共沈プロセスを用いて出発材料を形成することにより、任意に開始することができる。出発材料の選択又は形成は、ALDでナノ粉末を形成するのと同じエンティティーにより、又は異なるエンティティーにより実行されてもよい。幾つかの実施形態において、出発材料中のコア粒子は、純粋な酸化イットリウム、純粋な酸化ジルコニウム、又は約60mol%~約70mol%の酸化イットリウムと約30mol%~約40mol%の酸化ジルコニウムの酸化イットリウムと酸化ジルコニウムの複合物であってもよい。
【0030】
ブロック305では、コア粒子を含む出発材料がALD堆積チャンバにロードされる。例えば、コア粒子は、当業者に知られている様々な方法を用いて反応チャンバに導入される粉末の形態であってよい。
【0031】
ブロック310で、方法300は、ALDを用いて薄膜コーティングをコア粒子の少なくとも一部の上に堆積させることを含む。表面反応(例えば、半反応)は連続して行われ、前駆体と反応物は実施形態では接触しない。前駆体又は反応物質を導入する前に、ALDプロセスが行われるチャンバを不活性キャリアガス(窒素又は空気等)でパージして、未反応の前駆物質及び/又は表面前駆体副産物を除去することができる。ALDプロセスは、プロセスのタイプに応じて様々な温度で実行することができる。特定のALDプロセスの最適な温度範囲は、「ALD温度ウィンドウ」と呼ばれる。ALD温度ウィンドウを下回る温度では、成長速度が低下し、非ALDタイプの堆積が発生する可能性がある。ALD温度ウィンドウを超える温度では、化学気相堆積(CVD)メカニズムを介した反応が発生する可能性がある。ALD温度ウィンドウは、約100℃~約650℃の範囲であってもよい。幾つかの実施形態では、ALD温度ウィンドウは、約20℃~約200℃、約25℃~約150℃、約100℃~約120℃、又は約20℃~125℃である。
【0032】
ALDプロセスは、コア粒子上に均一な厚さを有するコンフォーマルな薄膜コーティングを提供することができる。コア粒子の表面への前駆体の十分な曝露時間は、前駆体が分散し、コア粒子と完全に反応することを可能にする。更に、ALD技術は、ソース材料(粉末原料や焼結ターゲット等)の長くて難しい製造なしに、特定の組成物又は配合の現場でのオンデマンドの材料合成を可能にするため、他の一般的に用いられるコーティング技術よりも優れている。
【0033】
薄膜コーティングは、約1nm~約500nm、約1nm~約250nm、約1nm~約100nm、約1nm~約50nm、約1nm~約25nm、約1nm~約10nm、又は約1nm~約5nmの厚さを有することができる。幾つかの実施形態では、薄膜コーティングの厚さは、約1nm、約5nm、約25nm、約50nm、又は約100nmであってもよい。幾つかの実施形態では、コア中の希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物又はこれらの組み合わせの、薄膜コーティング中の希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物又はこれらの組み合わせに対する比は、約1:100~約100:1、約1:75~約75:1、約1:50~約50:1、約1:35~約35:1、約1:20~約20:1、約1:15~約15:1、約1:10~約10:1、約1:5~約5:1、又は約1:100~約35:1であってもよい。幾つかの実施形態では、少なくとも約90%、少なくとも約80%、少なくとも約70%、少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも約40%、少なくとも約30%、少なくとも約20%、少なくとも約10%、少なくとも約5%、少なくとも約1%のナノ粉末中のコア粒子が薄膜でコーティングされる。個々のナノ粒子の場合、薄膜コーティングは、コア粒子全体又はコア粒子の一部のみをカバーすることができる(例えば、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約5%、又は約1%)。
【0034】
ブロック315で、複数のナノ粒子を含む生成されたナノ粉末が収集される。ナノ粉末中のナノ粒子は、約5nm~約600nm、約10nm~約300nm、約25nm~約250nm、又は約50nm~約100nmであってもよい。ナノ粒子は、球形であり、全ての側面が丸められていてもよく、又は幾つかの実施形態では、上記のようにドーナツ形状を有していてもよい。幾つかの実施形態において、コア粒子中の希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物、又はこれらの組み合わせの、薄膜コーティング中の希土類金属含有酸化物、希土類金属含有酸フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物、又はこれらの組み合わせに対する重量比は、約1:100~約100:1、約1:75~約75:1、約1:50~約50:1、約1:35~約35:1、約1:20~約20:1、約1:15~約15:1、約1:10~約10:1、約1:5~約5:1、又は約1:100~約35:1である。
【0035】
図3Bは、方法300で形成されたナノ粉末を用いる方法301を示す。ブロック315でALDチャンバから収集されたナノ粉末は、様々な異なる方法で用いることができる。一例では、ブロック320で、ナノ粉末はイオン支援堆積(IAD)プロセス用のスパッタリングターゲットを形成するために用いることができる。ナノ粉末は、IADプロセスを用いて物品に保護コーティングを形成するために用いることができる。材料源は堆積材料のフラックスを提供するナノ粉末から形成されるターゲットであり、一方、エネルギー粒子源は、エネルギー粒子のフラックス(即ち、ターゲットからのナノ粒子)を提供する。これらの両方は、IADプロセス全体で物品に衝突する。堆積材料を提供するために用いられるターゲットは、本明細書に記載されるようなナノ粉末から形成されたバルク焼結セラミックであってもよい。実施形態では、1以上のプラズマ又はビームを利用して、堆積材料及び高エネルギーイオン源を提供することができる。反応種は保護コーティングの堆積中に提供することもできる。IADプロセスでは、エネルギー粒子は、他の堆積パラメータとは関係なく、エネルギーイオン(又は他の粒子)源により制御することができる。エネルギー(例えば、速度)とエネルギーイオンフラックスの密度及び入射角により、物品上の保護コーティングの組成、構造、結晶配向及び粒径を操作することができる。調整可能な追加のパラメータは、堆積中の物品の温度と堆積の時間である。イオンエネルギーは、低エネルギーイオンアシストと高エネルギーイオンアシストに大別される。イオンは、低エネルギーイオンアシストよりも高エネルギーイオンアシストの方でより高速で照射される。
【0036】
他の例では、ブロック325で、ナノ粉末を物品にプラズマスプレー(溶射)することができる。例えば、ナノ粉末は物品にプラズマ溶射することができ、物品にはチャンバ壁、シャワーヘッド、ノズル、プラズマ発生ユニット(例えば、ハウジングを有する高周波電極)、ディフューザー及びガスラインを含まれるが、これらに限定されない。ナノ粉末をプラズマ溶射してコーティングを形成する前に、物品を粗面化することができる。粗面化は、例えば、物品をビードブラストすることにより実行することができる。物品の粗面化は、プラズマ溶射ナノ粉末と物品の表面との間に機械的結合を作成するためのアンカーポイントを提供し、より良好な接着を実現する。プラズマ溶射ナノ粉末から形成されて得られるコーティングは、溶射したままの厚さが最大約200ミクロン以上であり、幾つかの実施形態では、約50ミクロンの最終厚さまで研磨することができる。プラズマ溶射ナノ粉末コーティングは、約2%~約4%の多孔度を有することができる。
【0037】
他の例では、ブロック330で、コンポーネント用の型にナノ粉末を充填し、その後、(例えば、焼結により)ナノセラミックコンポーネントに形成することができる。
【0038】
ブロック335で、複数のナノ粒子を含むナノ粉末を焼結して、ナノセラミック材料を形成することができる。焼結は、熱、圧力、及び/又はエネルギーを用いて、粉末からバルク材料を形成する方法である。幾つかの実施形態では、複数のナノ粒子は、約2730°F~約3275°Fの温度及び/又は約25MPa~約1GPaの圧力を加えることにより焼結される。粉末は、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の様々なサイズの粒子を有する様々な材料(例えば、金属、セラミック等)であってもよい。粉末は、単相又は2以上の成分を有するより複雑なものであってもよい。
【0039】
焼結技術の例には、常圧焼結、スパークプラズマ焼結、及び高圧焼結が含まれるが、これらに限定されない。実施形態では、ナノ粉末は、スパークプラズマ焼結プロセス(SPS)を用いて焼結される。SPSは、高温プラズマ(即ち、スパークプラズマ)を用いる圧力支援高速焼結法であり、オンとオフの直流(DC)パルス中に放電により粉末材料間のガス内で瞬間的に発生する。DC電流は、スパークプラズマ、スパークインパクト圧力、ジュール加熱、及び電場拡散効果を含む幾つかの効果を発生する可能性がある。これらの効果により、SPSは、急速加熱、圧力、粉末表面のクリーニングの組み合わせ効果を通じて、パワーを理論に近い密度に迅速に統合することができる。
【0040】
他の実施形態では、ナノ粉末は、強化圧力支援焼結プロセス(EPAS)を用いて焼結される。EPASは圧力支援焼結アプローチを利用するが、ナノ粉末処理の全てのステップと焼結中に厳格な環境制御を組み込んでいるため、ナノ粒子表面はクリーンで、吸着物、添加物、又は焼結助剤がない。本来的に、クリーンなナノ粒子の表面は高ポテンシャル状態にあり、ここで、表面のエネルギーは最大化され、緻密化に関与する拡散メカニズムが強化される。圧力効果(高密度化率の増加等)と高活性ナノ粒子表面の組み合わせにより、制御された粗大化を備えた高密度化率が向上する。これにより、これまでにない構造、組成、特性を持つ材料、サブミクロン又はナノスケールの材料、及び独自の/一般的でない組成/性能を持つ複合材料を生成することが可能になる。EPASは、粗大化メカニズムを効果的に遅らせるために用いることができ、これにより、ナノ粉末の結晶子サイズが保持することができる。
【0041】
焼結は、ナノ粉末をナノセラミック材料に変換する。ナノセラミック材料は、例えば、Y3Al5O12(YAG)、Y4Al2O9(YAM)、YAlO3(YAP)、Y2O3-ZrO2固溶体、Er3Al5O12(EAG)、Er4Al2O9(EAM)及びErAlO3(EAP)から選択される化合物を含むことができる。実施形態では、得られるナノセラミック材料は、半導体製造プロセス中に用いられるフッ素及び水素プラズマに耐性を有することができる。ナノセラミック材料は、約1kg/cm3~約10kg/cm3、約2kg/cm3~約8kg/cm3、約3kg/cm3~約6kg/cm3、約5kg~約6kg/cm3、約3kg/cm3、約4kg/cm3、約5kg/cm3、又は約5.25kg/cm3、又は約6kg/cm3の密度を有することができる。得られるナノセラミック材料の曲げ強度は、約170MPA~約250MPA、約190MPA~約230MPA、又は約200MPA~約225MPAであってもよい。得られるナノセラミック材料の弾性率は、約100GPA~約300GPA、約150GPA~約275GPA、又は約195GPA~約250GPAであってもよい。得られるナノセラミック材料のビッカース硬度は、約1GPA~約50GPA、約5GPA~約25GPA、約9GPA~約20GPA、又は約9.4GPA~約18GPAであってもよい。得られるナノセラミック材料の破壊靭性は、約0.1Mpam1/2~約5.0Mpam1/2、約0.5Mpam1/2~約4.0Mpam1/2、又は約1.1Mpam1/2~約3.0Mpam1/2であってもよい。得られるナノセラミック材料の熱膨張係数(RT-800C)は、約1.0×106~約15×106、約5.0×106~約10×106、又は約8.3×106~約9.5×106であってもよい。得られるナノセラミック材料の体積抵抗率は、約1.0×1016Ohm-cm~約10×1016Ohm-cm、約2.0×1016Ohm-cm~約8.0×1016Ohm-cm、又は約4.0×1016Ohm-cm~約6.0×1016Ohm-cmであってもよい。得られるナノセラミック材料の13.56MHzでの誘電率は、約5~約25、約10~約20、又は約15~約16.5であってもよい。13.56MHzでの誘電正接は、約10×104未満であってもよい。得られるナノセラミック材料の熱伝導率は、約1.0W/mK~約15W/mK、約2.5W/mK~約10.0W/mK、又は約3.6W/mK~約5.0W/mKであってもよい。
【0042】
図4は、実施形態によるナノ粉末でコーティング又は形成された1以上のチャンバコンポーネントを有する半導体処理チャンバ400の断面図である。チャンバのベース材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)及びステンレス鋼(SST)のうちの1以上を含むことができる。処理チャンバ400は、プラズマ処理条件を有する腐食性プラズマ環境が提供されるプロセスに用いることができる。例えば、処理チャンバ400は、プラズマエッチャ即ちプラズマエッチングリアクタ、プラズマクリーナ、プラズマ強化CVD又はALDリアクタ等のためのチャンバであってもよい。ナノセラミックコーティングを有することができる、又は本明細書に記載されるナノ粉末から成形することができるチャンバコンポーネントの例には、シャワーヘッド、ガス分配プレート、チャンバ蓋及び/又はノズルが含まれるが、これらに限定されない。ナノ結晶構造を有するナノセラミック材料は、約100nm未満の粒度及び当該技術分野で以前から知られているマイクロ結晶材料では見られなかった特性を有するバルク材料を提供することができる。
【0043】
一実施形態では、処理チャンバ400は、内部容積406を囲むチャンバ本体402と、シャワーヘッド430とを含む。シャワーヘッド430は、シャワーヘッドベースとシャワーヘッドガス分配プレートとを含むことができる。代替的に、シャワーヘッド430は、幾つかの実施形態では蓋及びノズルにより、又は他の実施形態では複数のパイ形状のシャワーヘッドコンパートメント及びプラズマ生成ユニットにより置き換えることができる。チャンバ本体402は、アルミニウム、ステンレス鋼、又はチタン(Ti)等の他の適切な材料から製造されてもよい。チャンバ本体402は、概して、側壁408及び底部410を含む。外側ライナー416を側壁408に隣接して配置し、チャンバ本体402を保護することができる。
【0044】
排気ポート426をチャンバ本体402内に画定することができ、内部容積406をポンプシステム428に結合することができる。ポンプシステム428は、1以上のポンプ及スロットルバルブを含むことができ、処理チャンバ400の内部容積406の排気及び圧力調整に利用することができる。
【0045】
シャワーヘッド430はチャンバ本体402の側壁408上に支持されることができる。シャワーヘッド430(又は蓋)は処理チャンバ400の内部容積406へのアクセスを可能にするために開くことができ、閉じた状態の処理室400のためのシールを提供することができる。ガスパネル458を処理チャンバ400に結合し、シャワーヘッド430又は蓋及びノズルを介して内部容積406にプロセス及び/又はクリーニングガスを提供することができる。シャワーヘッド430は、誘電体エッチング(誘電体材料のエッチング)に用いられる処理チャンバで用いることができる。シャワーヘッド430は、ガス分配プレート(GDP)を含むことができ、GDP全体に亘って複数のガス送出孔432を有することができる。シャワーヘッド430は、アルミニウムベース又は陽極酸化アルミニウムベースに結合されたGDPを含むことができる。GDPは、Si又はSiCから作られてもよく、又はY2O3、Al2O3、Y3Al5O12(YAG)等のようなセラミックであってもよい。
【0046】
伝導体エッチング(伝導性材料のエッチング)に用いられる処理チャンバでは、シャワーヘッドではなく蓋を用いることができる。蓋は、蓋の中央穴に嵌合する中央ノズルを含むことができる。蓋は、Al2O3、Y2O3、YAG等のセラミック、又はY4Al2O9とY2O3‐ZrO2の固溶体を含むセラミック化合物であってもよい。また、ノズルは、Y2O3、YAG等のセラミック、又はY4Al2O9とY2O3‐ZrO2の固溶体を含むセラミック化合物であってもよい。
【0047】
処理チャンバ400内で基板を処理するために用いることができる処理ガスの例には、とりわけ、C2F6、SF6、SiCl4、HBr、NF3、CF4、CHF3、CH2F3、F、NF3、Cl2、CCl4、BCl3、SiF4等のハロゲン含有ガス、及びO2やN2O等の他のガスが含まれる。キャリアガスの例には、N2、He、Ar、及びプロセスガスに不活性な他のガス(例えば、非反応性ガス)が含まれる。
【0048】
ヒータセンブリ448は、シャワーヘッド430又は蓋の下の処理チャンバ400の内部容積406に配置される。ヒータセンブリ448は、処理中に基板444を保持する支持体450を含む。支持体450は、フランジ454を介してチャンバ本体402に結合されたシャフト452の端部に取り付けられる。支持体450、シャフト452、及びフランジ454は、AlNを含むヒータ材料、例えば、AlNセラミックで構成することができる。更に、支持体450はメサ456(例えば、くぼみ又は隆起)を含むことができる。追加的に、支持体は、支持体450のヒータ材料内に埋設されたワイヤー、例えばタングステンワイヤー(図示せず)を含むことができる。一実施形態において、支持体450は、AlNセラミック層の間に挟まれた金属ヒータ及びセンサー層を含むことができる。このようなアセンブリは、高温炉内で焼結されて、モノリシックアセンブリを作成することができる。層は、ヒータ回路、センサー要素、接地面、高周波グリッド、金属及びセラミックのフローチャネルの組み合わせを含むことができる。ヒータセンブリ448は、真空条件下(例えば、約1mTorr~約5Torr)で最大約650℃のヒータ温度を提供することができる。本明細書に記載の実施形態によるナノ粉末から形成されたナノセラミックコーティング460は、チャンバ400内の支持体450上又はヒータセンブリ448(支持体450、シャフト452及びフランジ454を含む)の全ての表面上に堆積させることができる。
【0049】
ナノ粉末、ナノセラミック材料、並びにこれらを製造及び使用する方法の利点は、当業者には明らかであろう。追加的に、本明細書で形成及び説明されるナノ材料は、既知のマイクログレイン材料と比較して、曲げ強度及び破壊靭性等の改善された機械的特性を有することができることに留意すべきである。更に、本明細書で形成及び説明されるバルクナノ材料(例えば、100nm未満の粒径を有する)は、これらのマイクロ結晶の対応物よりも有利な特性を有することができる。本明細書で形成及び説明されるナノ材料は、爆発的な粒子成長が制限されるか又は全くないナノ結晶構造を保持しながら、高密度のナノ複合材料を形成することができる。
【0050】
前述の説明は、本明細書で説明される幾つかの実施形態の十分な理解を提供するために、特定のシステム、コンポーネント、方法等の例等の多数の特定の詳細を説明している。しかしながら、本明細書に記載される少なくとも幾つかの実施形態は、これらの特定の詳細なしで実施され得ることが当業者には明らかであろう。他の例では、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知のコンポーネント又は方法は詳細には説明されないか、又は単純なブロック図形式で提示される。従って、述べられた特定の詳細は単なる例示である。特定の実装は、これらの例示的な詳細とは異なってもよく、それでも本発明の範囲内であると考えられる。
【0051】
本明細書を通して「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の構成、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体にわたる様々な場所での「一実施形態では」又は「実施形態では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を示していない。更に、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。「約」又は「およそ」という用語が本明細書で用いられる場合、これは、提示された公称値が±10%以内で正確であることを意味することを意図している。本明細書で「少なくとも約」という用語が用いられる場合、提示された公称値が-10%以内で正確であり、それ以上のものであることを意味するものとする。同様に、本明細書で「約未満」という用語が用いられる場合、提示された公称値が+ 10%以内で正確であり、それよりも低いことを意味することを意図している。
【0052】
本明細書の方法のオペレーションは特定の順序で示され説明されているが、各々の方法のオペレーションを変更し、これにより、特定のオペレーションを逆の順序で実行し、特定のオペレーションを、少なくとも部分的に、他のオペレーションと同時に実行することができる。他の実施形態では、別個のオペレーショのインストラクション又はサブオペレーションは、断続的及び/又は交互的であってもよい。
【0053】
上記の説明は、例示的であり、限定的ではないと意図されていると理解するべきである。上記説明を読んで理解すると、当業者には他の多くの実施形態が明らかになるであろう。従って、その範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲とともに決定されるべきである。」
「【図1】
[図:0001420742000003.jpg]
【図2】
[図:0001420742000004.jpg]
【図3A】
[図:0001420742000005.jpg]
【図3B】
[図:0001420742000006.jpg]
【図4】
[図:0001420742000007.jpg]
」
5 当審の判断
(1) サポート要件違反について
ア サポート要件の判断手法について
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。以下、この観点に立って検討する。
イ 本件特許請求の範囲の記載
本件特許請求の範囲の請求項1の記載は、前記2のとおりである。
ウ 本件発明の詳細な説明の記載
本件発明の詳細な説明(及び本件図面)には、前記4において摘記した記載があるところ、特に、以下の記載事項を認めることができる。
(ア) 「発明の技術分野」について、ナノ粉末、ナノセラミック材料、並びにこれらを製造及び使用する方法に関すること(【0001】)。
(イ) 「発明が解決する課題」に関して、様々な半導体製造プロセスは、高温、高エネルギープラズマ、腐食性ガスの混合物、高応力、及びこれらの組み合わせを用いており、これらの極端な条件により、処理チャンバ内のコンポーネントがプラズマ照射に曝され、ナノメートルスケールのデバイス製造において、深刻な侵食と粒子生成の問題を生じさせてきたこと(【0002】)、及び、保護コーティングは、典型的には、様々な方法、例えば、溶射、スパッタリング、プラズマ溶射又は蒸発技術等によりチャンバコンポーネント上に堆積されるが、このようなコーティングは、半導体処理にとって不十分な機械的特性、例えば、曲げ強度及び破壊靭性を有する可能性があること(【0003】)。
(ウ) 「ナノ粉末」の構造に関して、ナノ粉末100は、複数のナノ粒子105を含み、各々のナノ粒子の少なくとも一部は、コア粒子110とコア粒子上の薄膜コーティング115とを含むこと(【0009】、【0012】、【図1】)、コア粒子110のサイズは、約5nm~約100nmであること(【0009】)、及び、薄膜コーティング115の厚さは、約1nm~約500nmであること(【0011】)。
(エ) 「ナノ粉末」の材料に関して、コア粒子110は、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物又はこれらの組み合わせから選択される第1の材料を含む粉末から形成されること(【0009】、【0013】)、薄膜コーティング115は、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物又はこれらの組み合わせから選択される第2の材料から形成されること(【0011】、【0013】)、第1の材料と第2の材料は共通の元素を含むことができるが、第1の材料と第2の材料は異なること(【0013】)、希土類金属含有酸化物の例には、イットリア(Y2O3)、酸化エルビウム(Er2O3)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)、酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化スカンジウム(Sc2O3)、これらの組み合わせ等が含まれ、希土類金属含有フッ化物の例には、フッ化イットリウム(YF3)、フッ化エルビウム(ErF3)、フッ化ジスプロシウム(DyF3)、フッ化ガドリニウム(GdF3)、フッ化スカンジウム(ScF3)、これらの組み合わせ等が含まれ、希土類金属含有酸フッ化物の例には、酸フッ化イットリウム(YxOyFz又はYOF)、酸フッ化エルビウム(ErxOyFz)、酸フッ化ジスプロシウム(DyxOyFz)、酸フッ化ガドリニウム(GdxOyFz)、酸フッ化スカンジウム(ScxOyFz)、これらの組み合わせ等が含まれるが、これらに限定されないこと(【0013】)、コア粒子110及び/又は薄膜コーティング115は、Y2O3、Y3Al5O12(YAG)、Y4Al2O9(YAM)、YF3、YOF、Er2O3、Er3Al5O12(EAG)、ErF3、EOF、La2O3、Lu2O3、Sc2O3、ScF3、ScOF、Gd2O3、Sm2O3又はDy2O3の少なくとも1つを含むことができ、YAlO3(YAP)、Er4Al2O9(EAM)、ErAlO3(EAP)、又はランタン、ルテチウム、スカンジウム、ガドリニウム、サマリウム又はジスプロシウムの他のターナリーバリアントであってもよいこと(【0014】)、及び、コア粒子110は酸化ジルコニウムであり、薄膜コーティング115は酸化イットリウムであり、又は、コア粒子110は酸化イットリウムであり、薄膜コーティング115は酸化ジルコニウムであること(【0015】~【0018】)。
(オ) 「ナノ粉末」の形状に関して、ナノ粉末200中のナノ粒子205の少なくとも一部は、球形の反対側に深いくぼみ210を有する球形、即ち、ドーナツ形状215を有することができること(【0019】)、及び、深いくぼみ210を有する球形のドーナツ形状215の粒子を含む複数の粒子が示されている画像(【図2】)。
(カ) 「ナノ粉末」の奏する作用効果について、ドーナツ形状215を有するナノ粒子205を有するナノ粉末200から形成されたナノコーティングは、他の形状のナノ粒子で形成されたナノコーティングと比較して、改善された形態及び多孔性を有することができると考えられ、例えば、ドーナツ形状215を有するナノ粒子205から形成されたナノコーティングは、ナノ粉末の溶融の改善、粗さの減少、及び多孔性の減少により、より少ないノジュール及びスプラットを有する可能性があり、これらの全てはオンウェーハ粒子性能の改善に寄与すること(【0019】)、ALDは、希土類金属含有ナノ粉末を形成するために特に有用であって、コア粒子に薄膜コーティングを適用して、処理チャンバ内の過酷なプラズマ及び反応物質条件に耐性のある複数のナノ粒子を含むナノ粉末を生成できること(【0021】)、焼結により、ナノ粉末をナノセラミック材料に変換し、得られるナノセラミック材料は、半導体製造プロセス中に用いられるフッ素及び水素プラズマに耐性を有し、その曲げ強度は、約170MPA~約250MPA、約190MPA~約230MPA、又は約200MPA~約225MPAであり、その破壊靭性は、約0.1Mpam1/2~約5.0Mpam1/2、約0.5Mpam1/2~約4.0Mpam1/2、又は約1.1Mpam1/2~約3.0Mpam1/2であってもよいこと(【0041】)(当審注:MPA、Mpam1/2は、それぞれ「MPa」、「MPam1/2」の誤記と解される。)、及び、ナノ材料は、既知のマイクログレイン材料と比較して、曲げ強度及び破壊靭性等の改善された機械的特性を有することができ、爆発的な粒子成長が制限されるか又は全くないナノ結晶構造を保持しながら、高密度のナノ複合材料を形成できること(【0049】)。
エ サポート要件適合性(本件特許請求の範囲の記載と本件発明の詳細な説明の記載との対比・検討)について
(ア) 本願発明の課題は、前記ウ(ア)、(イ)からみて、ナノメートルスケールの半導体製造プロセスにおいて、チャンバ内のコンポーネントのプラズマによる深刻な侵食と粒子生成を抑制し、十分な機械的特性を有する保護コーティング等のナノセラミック材料を形成できるナノ粉末を提供することといえる。
(イ) 本件発明の詳細な説明には、前記ウ(ウ)~(オ)に示したとおり、「ナノ粉末」に関する記載事項はあるものの、当該記載事項では、本願発明の「第1の材料を含むコア粒子」や「第2の材料を含む薄膜コーティング」の各材料の種類や、「ナノ粒子」の構造や形状が個別に羅列されているにすぎない。また、前記ウ(オ)の画像(前記4の【図2】参照)からは、ドーナツ形状を有する粒子を含む粉末が見て取れるものの、当該画像のみからでは、当該粒子の材料や、当該粒子がコア粒子と薄膜コーティングの構造を有しているナノ粒子であることは理解できないし、図2に示されたドーナツ形状を有する粒子を含む粉末の材料や構造を裏付ける実験結果は何ら記載されていない。
したがって、本件発明の詳細な説明には、特定材料のコア粒子の表面に、特定材料の薄膜コーティングが形成され、反対側にくぼみを有する球形のドーナツ形状を有するナノ粒子を含むナノ粉末の具体例が記載されているといえないし、さらに、当該ナノ粉体が、ナノメートルスケールの半導体製造プロセスのチャンバ内のコンポーネントのプラズマによる深刻な侵食と粒子生成を抑制し、十分な機械的特性を有する保護コーティング等のナノセラミック材料を提供できることについても、具体的な評価結果に基づいて説明されていない。
(ウ) 本件発明の詳細な説明には、前記ウ(カ)に示した作用効果に関する事項が記載され、ドーナツ形状を有するナノ粒子を有するナノ粉末から形成されたナノコーティングが、他の形状のナノ粒子で形成されたナノコーティングと比較して、改善された形態及び多孔性を有することや、ナノ粉末の溶融の改善、粗さの減少、及び多孔性の減少により、より少ないノジュール及びスプラットを有する可能性があり、これらの全てはオンウェーハ粒子性能の改善に寄与すること(【0019】)、ALDでコア粒子に薄膜コーティングを形成した希土類金属含有ナノ粉末は、処理チャンバ内の過酷なプラズマ及び反応物質条件に耐性のあること(【0021】)、及び、希土類金属含有ナノ粉末を焼結したナノセラミック材料は、フッ素及び水素プラズマに耐性を有し、また、約170~約250MPaの曲げ強度、約0.1~約5.0MPam1/2の破壊靱性といった、改善された機械的特性を有すること(【0041】、【0049】)が一応記載されている。
そして、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物、酸化ジルコニウムといった材料が耐プラズマ性を有するとの技術常識を踏まえれば、これらの材料のナノ粉末から形成されたコーティングや焼結体がプラズマ耐性を有することは理解できる。
しかしながら、本件発明の詳細な説明には、これらの材料からなるナノ粉体であって、コア粒子の表面に薄膜コーティングが形成され、反対側にくぼみを有する球形のドーナツ形状を有するナノ粒子を含むナノ粉末から形成されたコーティングや焼結体が、前記改善された機械的特性を有することについて、具体例に対する評価結果に基づいて説明されていないし、当該特性が向上する機序も説明されていない。また、このようなことが技術常識であるとの証拠もない。
(エ) 前記(イ)及び(ウ)によれば、本件発明の詳細な説明には、「複数のナノ粒子を含むナノ粉末であって、複数のナノ粒子の一部は、酸化ジルコニウム(ZrO2)、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の材料を含むコア粒子と、コア粒子上の薄膜コーティングであって、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の材料を含む薄膜コーティングを含み、複数のナノ粒子の一部は、反対側にくぼみを有する球形を含むドーナツ形状を有するナノ粉末」に関する事項及びその作用効果について一応記載されているものの、当該ナノ粉末の具体例はなく、当該作用効果も具体的な評価結果に基づくものではないから、本件発明の詳細な説明の前記記載や出願時の技術常識を考慮しても、当該ナノ粉末が、本願発明の課題、特に、十分な機械的特性を有する保護コーティング等のナノセラミック材料を形成できるナノ粉末を提供するとの課題を解決できることを当業者が認識できない。
(オ) 他方、本件特許請求の範囲の請求項1の記載は、上記2のとおりであるところ、本願発明は、前記(エ)で検討した「ナノ粉末」であるから、本件発明の詳細な説明の記載により、又は、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本願発明の課題を解決できる範囲のものであるともいえない。
したがって、前記アの判断手法に従えば、本件特許請求の範囲の請求項1の記載は、サポート要件に適合しない。
オ 請求人の主張の検討
(ア) 請求人の主張について
令和6年5月29日提出の意見書における請求人の主張は、次のとおりである(同意見書の「第5」参照。)。
「特許・実用新案審査基準第II部第2章第2節2.1によれば、サポート要件を満たしているかは、請求項にかかる発明が発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載されているかにより決せられる。
また、知財高裁令和2年7月2日判決(平成30年(行ケ第10158号、10113号))によれば、サポート要件を充足するには、「明細書に接した当業者が、特許請求された発明が明細書に記載されていると合理的に認識できれば足り、また、課題の解決についても、当業者において、技術常識も踏まえて課題が解決できるであろうとの合理的な期待が得られる程度の記載があれば足りる」旨を判示する。
本件において、「第1の材料を含むコア粒子」、「第2の材料を含む薄膜コーティング」及び「ドーナツ形状」という構成は、明細書段落0009、0013~0015、0019、0035、図2等に明確に記載されている。従って、明細書に接した当業者が、特許請求された発明が明細書に記載されていると合理的に認識することは十分に可能である。
また、本願発明の課題は、明細書の段落0002、0021、0049等に記載されているように、半導体処理チャンバ内でチャンバコンポーネントの浸食を防止し、所望の機械的強度を有するナノ粉末を提供することである。従って。当業者において、技術常識も踏まえて課題が解決できるであろうとの合理的な期待を得ることは十分に可能である。
従って、本件特許出願では、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されていると認められ、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。」
(イ) 主張に対する判断
請求人は、「当業者において、技術常識も踏まえて課題が解決できるであろうとの合理的な期待を得ることは十分に可能である」と主張しているが、当該主張の前提となる「技術常識」について何ら説明していないし、また、「課題が解決できるであろうとの合理的な期待を得ること」について具体的に説明していない。
そして、前記エで検討したとおり、本件発明の詳細な説明には、本願発明の構成や課題が記載され、さらに、作用効果に関する一応の記載はあるものの、本件発明の詳細な説明には、本願発明が本願発明の課題を解決できることについての具体的な裏付けはなく、理論的な説明もなされていないし、さらに、これらの事項が技術常識であるとの証拠もないため、当業者において、本願発明が本願発明の課題を解決できることを合理的に認識できない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
カ 小括
以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合しない。
(2) 実施可能要件違反について
ア 実施可能要件の判断手法
発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合するというためには、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があることを要すると解される。そして、この規定のいう「実施」とは、物の発明においては、当該発明にかかる物の生産、使用等をいうものであるから、実施可能要件を満たすといえるためには、明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が当該発明に係る物を生産し、使用することができる程度のものでなければならない。以下、この観点に立って検討する。
イ 実施可能要件適合性について
(ア) 本願発明は、前記2に示したとおりの発明であって、「複数のナノ粒子を含むナノ粉末であって」、「複数のナノ粒子の少なくとも一部は、酸化ジルコニウム(ZrO2)、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の材料を含むコア粒子と、コア粒子上の薄膜コーティングであって、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の材料を含む薄膜コーティングを含み」、「複数のナノ粒子の一部は、反対側にくぼみを有する球形を含むドーナツ形状を有する」ことを特徴とする「ナノ粉末」の発明である。
(イ) これに対して、本件発明の詳細な説明には、前記(1)エ(イ)で検討したとおり、「ナノ粉末」に関する記載事項はあるものの、当該記載事項は、本願発明の「第1の材料を含むコア粒子」や「第2の材料を含む薄膜コーティング」の各材料の種類や、「ナノ粒子」の構造や形状を個別に羅列しているにすぎず、特定材料のコア粒子の表面に、特定材料の薄膜コーティングが形成され、反対側にくぼみを有する球形のドーナツ形状を有するナノ粒子を含むナノ粉末の具体例は記載されていない。
(ウ) また、本件発明の詳細な説明には、前記4によれば、「ナノ粉末」の形成方法に関して、実施形態による複数のナノ粒子を有するナノ粉末は、希土類金属含有前駆体と、酸素及び/又はフッ素からなる又はこれらを含む1つ以上の反応物質による原子層堆積(ALD)を用いて形成することができること(【0020】、【0022】)、希土類金属含有前駆体は、トリス(N、N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(III)、イットリウム(III)ブトキシド、トリス-メチルシクロペンタジエニルエルビウム(III)(Er(MECp)3)、エルビウムボラナミド(Er(BA)3)、Er(TMHD)3、エルビウム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、又はトリス(ブチルシクロペンタジエニル)エルビウム(III)などであり、また、反応物質は、酸素、水蒸気、オゾン、純酸素、酸素ラジカルなどの酸素反応物や、TiF4、HFなどのフッ化物反応物であってもよいこと(【0022】、【0023】)、複数のナノ粒子を含むナノ粉末を調製するための方法300として、逆ストライク共沈プロセスを用いてコア粒子の出発材料を形成し(ブロック304)、コア粒子を含む出発材料をALDチャンバにロードし(ブロック305)、ALDを用いて薄膜コーティングをコア粒子の少なくとも一部の上に堆積させ(ブロック310)、複数のナノ粒子を含む生成されたナノ粉末が収集され(ブロック315)、ナノ粉末中のナノ粒子は、全ての側面が丸められた球形、又は、ドーナツ形状を有していること(【0029】~【0031】、【0034】、【図3A】)、及び、特定のALDプロセスの最適な温度範囲は、「ALD温度ウィンドウ」と呼ばれ、ALD温度ウィンドウは、約100℃~約650℃、約20℃~約200℃、約25℃~約150℃、約100℃~約120℃、又は約20℃~125℃であること(【0031】)が一応記載されている。
しかしながら、当該記載事項は、コア粒子を逆ストライク共沈プロセスで形成すること、コア粒子上の薄膜コーティングをALDで形成すること、当該ALDで使用する希土類金属含有前駆体や反応物質、温度条件、及び、得られたナノ粉体中のナノ粒子がドーナツ形状を有していてもよいことが羅列されているにすぎず、特定材料のコア粒子の表面に、特定材料の薄膜コーティングが形成され、反対側にくぼみを有する球形のドーナツ形状を有するナノ粒子を含むナノ粉末の製造方法の具体例は記載されていない。
(エ) 次に、本願出願時の技術常識についてみてみると、まず、ALDを用いて粒子表面上に薄膜を形成する技術に関して、特開2005-501176号公報(拒絶査定で引用した引用文献1のファミリー文献)には、実施例に係る具体例として、次の事項が記載されている。
「【実施例1】
【0065】
BN粒子上のアルミナ原子層の成膜
生体内透過FTIR振動分光法用に設計された真空装置の中で、アルミナ(Al2O3)をBN粒子に成膜する。この装置は、Dillon等のSurface Science 139:537-543 (1992)及び共に係属中の出願第08/442,907号(1995年5月17日出願)に詳細に記載されている。BN窒化物粒子はAdvanced Ceramics Corporation製HCVグレードBN粒子である。これは、全表面積約40m2/g、約0.1~0.5ミクロン(μm)のターボ成薄膜結晶を主成分とする約10ミクロンの凝集体である。
【0066】
BN粒子はミネソタ州セントポールのBuckbee Mears製の寸法2×3cm、厚さ2ミル、グリッド間隔1インチ(2.54cm)あたり100ラインのフォトエッチングされたタングステングリッド上に担持れている。・・・
【0067】
第一のゲート弁により、装置の内部は上側と下側のチェンバーに分かれる。下側チェンバーには高真空を維持するためのターボ式ポンプが2台設置されている。第二のゲート弁で該ターボ式ポンプと下側チェンバーが接続される。下側チェンバーには電離ゲージとダイコア4倍質量分光計が設置されている。
【0068】
上側チェンバーにBN粒子を入れた後、700°Kでサンプルの焼きなましを行い、H2O吸着層が見つかった場合はそれを粒子の表面から取り除く。粒子の表面機能性を観察するために、水素原子をジュウテリウム原子に交換するよう700°KでD2Oに粒子を曝す。するとFTIRにより粒子表面にB-O-D及びB-N-D表面群の存在が確認される。
その後、粒子を連続的に450°KでAl(CH3)3と水に50サイクル曝し、粒子表面に90オングストロームの皮膜を成膜する。各反応ステップで反応が完了するように、各反応とも、反応物の露出は1.8×108ラングミュア(L, = 10-6 Torr(約133×10-6 Pa)・秒)とする。低圧露出は1×10-4 ~1×10-3 Torr(約133×10-4 ~133×10-3 Pa)の範囲の反応圧力とし、ゲート弁で上側チェンバーと下側チェンバーを開いておく。高圧露出は、0.01~10Torr(約1.33~1330 Pa)で曝すために、上側チェンバーは機械式ポンプにより封じ込められた液体N2で排出する。次に上側チェンバーを下側チェンバーとターボ分子ポンプに開き、露出と露出の間に2×10-6Torr(約266×10-6 Pa)以下の圧力をかける。各反応サイクル毎に、約1.8オングストロームのAl2O3形成が見られる。
【0069】
・・・電子分散分光法とスロースキャンCCDカメラ付GATANデジタルマイクログラムを用いたHRTEM JEOL 2010 高分解能透過電子顕微鏡(TEM)で透過電子顕微鏡像が得られる。TEM から、この生成物には極めて均一でコンフォーマルなAl2O3皮膜が90オングストロームの厚さで成膜していることが分かる。皮膜はベース面と粒子の端部に対して良好に成膜されている。」
「【実施例3】
【0071】
膜厚25オングストロームのアルミナ薄膜を流動層の中にある平均粒径100ミクロンのニッケル粒子の上に置いた。・・・実験に用いられる反応器はステンレス鋼製で、ディストリビュータープレートの上に反応ガス入り口が2つ付いている。ディストリビューターは 平均孔径0.25ミクロンの多孔金属製である。また、反応器は内径4cm、高さ1mのチューブ形である。反応器の上側は、内径4cm、高さ1mの大型真空ポンプ(アルカテル2063型)に接続され、システムを真空にする。反応器の底は質量流量コントローラに接続され、流動化ガスの流れを制御する。流動化ガスは液体窒素源ジュワービンから取り込まれた乾燥窒素である。反応ガス(トリメチルアルミニウムと水)は2つの別々の噴射ループを介して入る。ループは、両方のループが同じ導電率で、各ループの最終導電率を制御するニードル弁が各一つ付いた入念な構成となっている。ニードル弁は両方とも約1/4のターン開口に設定されている。反応蒸気圧は流れの駆動力として使われる。システムを、窒素パージ源を提供する質量流動コントローラと各ループに一台設置された真空ポンプ(アルカテル2008A型)に接続することにより、パージの立ち上げを完了する。システムの流れを制御する弁は全てニューマチック操作で、パソコンに搭載されたLABVIEWプログラムを通じて遠隔制御された。
【0072】
100ミクロンのニッケル粒子100グラムをステンレス鋼製チューブ形流動層反応器に置いた。これにより、静止層の高さが約1.5cmとなった。系の圧力を操作圧力に引き下げ、流動化ガスの流れを100sccmで開始した。次にパージの流れを50sccmで開始した。反応器を700°Kに加熱し、ニッケル粒子を焼なました後、反応のために450°Kに冷却した。最初に、TMAを反応器へ5秒間導入し、パージ流を120秒間行った。次に、H2Oを反応器に5秒間導入し、パージ流を120秒間行った。このA-B工程(A=TMA、B= H2O)を25回繰り返した。1サイクルにつき平均1オングストロームが得られた。
粒子表面のXPS分析から、約72-77eVの結合エネルギー値でスペクトルにAl 2pのピークが出現したことから実証されるように、表面がアルミナで被膜されることがわかる。」
これらの記載事項からして、粒径が10~100μm程度のマイクロサイズの粒子上にALDで薄膜を形成することは、本願出願時に公知ないし周知の方法であるといえる。
しかしながら、粒径が小さい粒子ほど凝集性が高まることを踏まえると、前述のマイクロサイズの粒子上にALDで薄膜を形成する方法が、ナノ粒子を構成するナノサイズのコア粒子にも適用できるとはいえないため、ナノサイズのコア粒子上にALDで薄膜を形成する方法が、本願出願時に公知ないし周知の方法であるといえない。
(オ) 次に、ドーナツ状の粒子を形成する技術に関して、特開平6-263529号公報には、次の事項が記載されている。
「【0012】
【課題を解決する為の手段】アルミナゾルとシリカゾルとの混合液を噴霧焼成することにより、ムライト質(アルミナ-シリカ系)セラミックスを製造する方法についての研究を鋭意押し進めていく中で、この噴霧焼成の技術によれば球状のセラミックス粉末が得られることが判明した(特願平3-120113号公報)。・・・
【0015】尚、上記の発明において、・・・又、混合ゾル液の固形分濃度が3wt%未満の低すぎる場合、噴霧焼成して得られる粉末粒子の形状は非球状のドーナツ状になったり、大きなくぼみが出来たりし、これも焼結原料として好ましくない。
【0016】又、上記の発明において、噴霧液滴の粒径が150μm以下となるよう噴霧することが好ましい。すなわち、これ以上の液滴粒径では噴霧焼成後に得られる粉末粒子サイズが20μm以上の大きなものとなり、粉末の焼結性が低下したり、極端な場合には焼結しなかったりする。・・・」
これらの記載事項からして、混合ゾル液を用いた噴霧焼成により、マイクロサイズのセラミックス粉末を製造する方法において、混合ゾル液の固形分濃度を調整することで、粉末粒子をドーナツ形状にできることは、本願出願時に公知ないし周知の技術であるといえるが、当該技術が、ナノサイズのドーナツ形状ナノ粒子の形成に適用できるかは不明である。
また、本件発明の詳細な説明には、前記(ウ)で検討したとおり、逆ストライク共沈プロセスでコア粒子を形成することが記載されているが(【0029】)、当該プロセスで形成されたコア粒子が、ドーナツ形状となっていることを示す証拠はない。
したがって、ナノサイズのドーナツ形状ナノ粒子を形成する方法が本願出願時に公知ないし周知の方法であるといえない。
(カ) 前記(イ)~(オ)によれば、本件発明の詳細な説明の記載や出願時の技術常識を考慮しても、本願発明の「複数のナノ粒子を含むナノ粉末であって」、「複数のナノ粒子の少なくとも一部は、酸化ジルコニウム(ZrO2)、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の材料を含むコア粒子と、コア粒子上の薄膜コーティングであって、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の材料を含む薄膜コーティングを含み」、「複数のナノ粒子の一部は、反対側にくぼみを有する球形を含むドーナツ形状を有する」ことを特徴とする「ナノ粉末」を製造することが、当業者の過度の試行錯誤を要することなく実施できるとはいえない。
したがって、前記アの判断手法に従えば、本件発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に適合しない。
ウ 請求人の主張の検討
(ア) 請求人の主張について
令和6年5月29日提出の意見書における請求人の主張は、次のとおりである(同意見書の「第6」参照。)。
「拒絶理由通知書にも記載されているように、実施可能要件を満たしているかは、明細書に、当業者が、発明の詳細な説明及び出願時の技術水準に基づいて、過度の試行錯誤をすることなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるかにより決せられる。
上述のように、「第1の材料を含むコア粒子」、「第2の材料を含む薄膜コーティング」及び「ドーナツ形状」という構成は、明細書段落0009、0013~0015、0019、0035、図2等に明確に記載されている。また、ナノ粉末の製造方法については、本件明細書の段落0020、0029、0031、0034等に詳しく説明されている。そして、ナノ粉末の製造に用いられるALD等の技術は公知の方法である。だとすれば、当業者であれば、本件明細書及び出願時の技術水準に基づいて、過度の試行錯誤をすることなく、本願発明を実施することは十分に可能である。
従って、本件特許出願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。」
(イ) 主張に対する判断
前記イ(イ)及び(ウ)で検討したとおり、本件発明の詳細な説明には、本願発明の「ナノ粉末」及びその製造方法についての一応の記載はあるものの、当該製造方法によって、本願発明の「複数のナノ粒子を含むナノ粉末であって」、「複数のナノ粒子の少なくとも一部は、酸化ジルコニウム(ZrO2)、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の材料を含むコア粒子と、コア粒子上の薄膜コーティングであって、希土類金属含有酸化物、希土類金属含有フッ化物、希土類金属含有酸フッ化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の材料を含む薄膜コーティングを含み」、「複数のナノ粒子の一部は、反対側にくぼみを有する球形を含むドーナツ形状を有する」ことを特徴とする「ナノ粉末」を製造できたことは具体的に記載されていない。
また、前記イ(エ)で検討したとおり、マイクロサイズの粒子上に薄膜を形成するALD技術は本願出願時に公知ないし周知の方法であるといえるものの、当該方法をナノ粉末の製造に適用できることが本願出願時の技術水準であるといえない。
しかも、請求人は、ナノ粉末の製造に用いられるALD等の技術が公知の方法であることの証拠を示していない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合しない。
6 むすび
以上のとおり、本件特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものでないし、また、本件発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合するものでないため、本願は、特許法第36条第4項第1号及び第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、その余の事項について検討するまでもなく、特許法第49条第4号に該当するため拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-005449