2022-003652
庫内監視システム、庫内監視方法、プログラム、および冷蔵庫
- 審判番号
- 2022-003652
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-051041外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年03月10日
- 審決日
- 2022年11月09日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (F25D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年3月16日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和2年11月24日付け 拒絶理由通知
令和3年1月13日 意見書の提出
令和3年6月8日付け 拒絶理由通知
令和3年7月8日 意見書の提出
令和3年12月9日付け 拒絶査定
令和4年3月10日 審判請求書の提出
令和4年8月5日付け 当審による拒絶理由通知
令和4年9月21日 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和4年9月21日の手続補正より補正された特許請求の範囲からみて、その請求項1に記載されたとおりであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「 【請求項1】冷蔵庫の内部を監視する庫内監視システムであって、前記冷蔵庫の内部を撮像して前記冷蔵庫の内部の画像データを生成する撮像手段と、前記撮像手段により生成された第1の前記画像データと前記第1の画像データよりも前に生成された第2の前記画像データとの差分を用いて、前記冷蔵庫の内部における物品の位置の変化を判断し、前記物品の位置履歴データを更新するデータ更新手段と、基準時間以上位置に変化のない位置不変物品を前記位置履歴データに基づいて検出した場合に、所定の報知情報を出力する報知手段と、を備え、前記位置履歴データは、前記物品毎の位置不変期間を含む庫内監視システム。」
第3 当審による拒絶理由の概要
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引用文献等一覧>
1.特開2016-196981号公報
2.特開2012-193873号公報
・請求項1
請求項1に係る発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 当審の判断
1 引用文献1
当審による拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用文献1には、「庫内管理システム」に関して以下の記載がある(下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。
(1)引用文献1の記載
ア「【0001】
この発明は、収納庫、特に保冷庫又は保温庫などの収納庫内の管理に関する。
【0002】
保冷庫又は保温庫の収納庫内(以下、庫内とのみ記載する場合がある)に物品を保管する場合には、庫内にどのような物品がいつから存在するかを使用者が全て記憶しておくのは困難である。そのため、例えば、冷蔵庫の場合には、食品が庫内に残っていることを忘れてしまい賞味期限が過ぎてしまったり、庫内に既にある食品と同じものを重複して購入してしまったりすることが起こりうる。」
イ「【0009】
本発明の庫内管理システムは、物品を収納する収納庫と、前記収納庫から送信される情報を受信して、受信した情報に基づき画像を表示する表示端末とを備えた庫内管理システムであって、前記収納庫は、内部を撮影する撮影部と、前記撮影部が撮影した画像の情報を保管する画像保管部と、前記撮影部が新たに撮影した画像の情報と前記画像保管部に保管されている画像の情報とを比較して、所定の領域を抽出する領域抽出部と、前記領域抽出部が抽出した領域に基づいて、前記収納庫に収められた物品の変化履歴に関する情報を管理する情報管理部と、前記情報管理部で管理された情報又は前記画像保管部で保管された情報を送信する送信部と、を備え、前記表示端末は、前記送信部から送信された情報を受信する受信部と、前記受信部で受信した情報から前記収納庫に収められた物品の在庫期間を求め、該在庫期間に応じた画像処理による可視化を行う可視化処理部と、前記可視化処理部で処理された画像を表示する表示部と、を備えるものである。」
ウ「【0013】
図1は、この発明の実施の形態1における庫内管理システムの構成を示すブロック図である。図において、庫内管理システムは、収納庫100、表示端末200、及び、サーバ300で構成される。以下、収納庫として、冷蔵庫を例にとり説明する・・・
【0014】
・・・
【0015】
収納庫100は、庫内を撮影する撮影部101と、撮影部101が撮影した画像を保存し管理する画像保管部103と、撮影部101が撮影した画像と画像保管部103に保管されている画像とを比較し異なる(変化した)領域(以下、変化領域と記載する場合がある)を抽出する領域抽出部102と、領域抽出部102が抽出した領域を元に変化があった履歴の情報を管理する履歴情報管理部105と、画像保管部103から得られた新たに撮影した画像の情報と履歴情報管理部105から得られた履歴情報とをサーバ300に送信する収納庫通信部106を含み構成される。
【0016】
表示端末200は、収納庫通信部106から送信された画像情報と履歴情報とをサーバ300から受信する端末通信部201と、画像情報及び履歴情報を記憶する記憶部202と、履歴情報に応じて画像情報から得られる物品の在庫期間に関する情報を目に見える形で表示するための処理を行う可視化処理部203と、ユーザの操作に応じて、履歴情報の詳細を提示する変化時情報提示部204と、画像を表示する表示部205とを含み構成される。」
エ「【0017】
次に動作について説明する。図2は、この発明の実施の形態1における収納庫の処理を示すフローチャートである。
【0018】
ステップS101は、収納庫100のドアが閉まったことを検出するステップである。また、ステップS102は、画像を取得するステップである。撮影部101は、収納庫100のドアが閉まったことを検知すると、収納庫100の庫内を撮影する。・・・
【0019】
庫内の撮影は、ドアの内側に設けられたカメラ等で行えばよい。特に設ける位置に制限は無いが、庫内全体を撮影することが必要となる。物品の近くから庫内全体を撮影するためには広角のレンズを用いた方が良いが、庫内全体が狭い場合には特に必要はない。なお、物品の詳細な状態を知るために画像を得ることが目的ではなく、その物品の位置変化を検知することが主な目的であるから、カメラの撮像素子に求められる画素数は多くないが、高精細なカメラを用いても構わない。」
オ「【0025】
差分領域の抽出は、例えば、新たに撮影した画像と前回撮影した画像とを対応する画素毎に比較して、例えば、各画素がRGBから構成され各8ビットの諧調で示される場合には、RGBごとに諧調値の差の絶対値を計算し、その合計がある閾値Thd以上である画素を抜き出すことで行い得る。・・・
【0026】
ステップS104は、領域抽出部102により差分が認められる画素が一定数以上ある領域を抜き出すステップである。図4は、庫内を撮影した画像を縦横に分割した様子を示す模式図である。画素に差が認められる領域であるか否かについては、撮影した画像を分割した領域(以下、分割領域とのみ記載する場合がある)、内で一定以上の変化をした画素がどの程度の面積を占めるかで判断する。・・・
【0027】
ステップS105は、変化領域を抽出後に、撮影したが画像を用いて画像保管部103に記憶された画像を更新するステップである。更新された画像は、新規撮影画像としてサーバへ送信するほか、次回撮影時の差分抽出時に比較画像として用いる。・・・
【0028】
ステップS106は、履歴情報管理部105により、領域抽出部102が抽出した変化領域を元に変化履歴の情報を更新するステップである。画像の変化領域に関する履歴情報(以下、変化履歴情報とのみ記載する場合がある)は、分割領域ごとに最終変化の日時を示したテーブルである最終変化日時テーブルと変化時の画像である変化時画像からなる。
【0029】
最終変化日時テーブルは、分割領域ごとの最終変化日時を表すテーブルである。最終変化日時とは、領域抽出部102により、その分割領域内で最後に変化が起きたと判定された日時である。在庫期間とは、分割領域内に変化のない期間を表し、最終変化日時の形式で管理する。」
カ「【0035】
ステップS201は、例えば、ボタン押下などのユーザ操作をトリガーとして、表示端末200の端末通信部201がサーバ300から新規撮影画像情報および変化履歴情報を受信するステップである。・・・
【0036】
・・・
【0037】
ステップS202は、可視化処理部203が受信した変化履歴情報中の最終変化日時テーブルに基づいて、ユーザが在庫期間を視覚により直観的に把握できるように画像を編集するするステップである。編集の一例として、分割領域内の撮影画像全体に赤色を重畳し、変化がない期間が長いほど、その赤色が濃くなるような画像処理をすることで、ユーザが物品の出し入れが行われていない期間が長い領域を一目で認識できるようにする。」
キ「【0044】
図7は、ユーザが視覚により直観的に把握できるように可視化された画面を示す概略図である。図7(A)は、全分割領域において変化履歴情報を表示した例を示す。ここでは、変化履歴情報の内、保管期間、つまり、現在日時と最終変化日時テーブル中の各分割領域の最終変化日時との差の場合が示されている。図7(B)は、1日単位で撮影画像に重ねる色を濃くしていった場合のイメージを示す図である。可視化処理部203が出力する画像はこのようになる。ここでは、5日以上変化の無い分割領域に重ねる色は全て同じとしている。図7(B)で示される画像により、F02の物体は最近入庫されたが、F05の物体は少なくとも5日以上前に入庫されたことが一目でわかる。
【0045】
図8は、ユーザが視覚により直観的に把握できるように可視化された画面を示す概略図である。変化履歴情報を表示する表示例を図8に示す。例えば、図4で示したR2-4の領域をユーザがタッチ操作などにより選択した場合には、変化時情報提示部204が変化のあった日時、ここでは、2014/1/1 12:00、その日時の変化前分割領域画像、及び、変化後分割領域画像をポップアップ画面P01として表示する。・・・」
ク「【0064】
図10に本実施の形態における物品領域抽出部206の処理の一例を示す。・・・
【0065】
物品領域抽出部206は、図10(A)の新規撮影画像と図10(B)の初期画像との差分を抽出した画像である図10(C)を生成する。差分の抽出は、例えば実施の形態1における領域抽出部102と同様の処理で行うことができる。図10(C)で白く表示されている領域が、初期画像と差がある領域、つまり物品が存在する領域を示す。
【0066】
続いて、可視化処理部207は、上記実施の形態1における庫内管理システムと同じく在庫期間に応じて重ねる色が濃くなるように新規撮影画像を編集する。ただし、色を重ねる領域は図10(C)で白く表示されている領域、つまり物品が存在する領域に限定する。つまり、可視化処理部203が生成する画像は図10(D)のようになる。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態では、物品の存在する領域のみ在庫期間を可視化するので、ユーザが長い間変化のない物品、つまり長い間収納されている物品をより把握しやすくなる。」
ケ「 図10
[図:0001392916000001.jpg]
」
(2)引用発明
上記アないしケから、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「収納庫100、表示端末200、及びサーバ300で構成される庫内管理システムであって、庫内を撮影する撮影部101と、撮影部101が撮影した画像を保存し管理する画像保管部103と、撮影部101が撮影した画像と画像保管部103に保管されている画像とを比較して画像の変化した領域を抽出し、抽出した領域を元に変化があった履歴の情報を管理する履歴情報管理部105と、画像の変化した領域に関する履歴情報の最終変化日時テーブルに基づいて収納庫に収められた物品の在庫期間を求め、該在庫期間に応じた画像処理による可視化を行う可視化処理部203と、前記可視化処理部203で処理された画像を在庫期間に応じて重ねる色が濃くなるように表示する表示部205と、を備え、履歴情報は、画像の変化領域に関する履歴情報の最終変化日時テーブルと変化時画像からなる、庫内管理システム。」
2 引用文献2
当審による拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用文献2には、「収納装置」に関して以下の記載がある。
(1)引用文献2の記載事項
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ア「【0031】
・・・図4(a)は、図2に示した冷蔵庫100の収納スペース204aの上部に設置された撮像部101aにより撮影された画像251の例を示している。画像251は、収納スペース204aを上部から撮影した画像で、物品aと物品bとが写っている。
【0032】
ここで、撮像部101aで用いられる撮像素子の画素座標252の例を図4(b)に示す。図4(b)の例では、撮像部101aは、横方向をx軸として36画素、奥行き方向をy軸として16画素の解像度で収納スペース204aを撮影する。ここで、図4(b)において、各画素の位置を座標(x,y)で表記すると、収納スペース204aの左奥(紙面左上)は画素(1,1)となり、収納スペース204aの右前(紙面右下)は画素(36,16)となる。そして、図4(a)の画像251を図4(b)の画素座標に重ねると、図4(c)のようになる。図4(c)において、物品aはx=6から14の範囲と、y=7から15の範囲にあり、中心は画素(10,11)である。また、物品bはx=23から29の範囲と、y=4から10の範囲にあり、中心は画素(26,7)である。
【0033】
このように、画像処理部103の物品認識処理部151は、物品の位置情報を撮影される画像の画素座標として認識することができる。・・・
【0034】
・・・図5において、パターンマッチングなどによって認識した物品情報と、その物品の中心画素の座標を位置情報とが対応付けられたリストが各収納スペース204毎に表示部106に表示されている。例えば収納スペース204aには、物品aが位置(10,11)に、物品bが位置(26,7)にそれぞれ置かれていることがわかる。尚、物品の位置情報は、物品の中心にある画素の座標ではなく、図4(c)で説明したように、x軸方向とy軸方向の座標値で物品が置かれている範囲を示してもよい。例えば、図4(c)の例では、物品aは範囲(x=6から14とy=7から15)、物品bは範囲(x=23から29とy=4から10)を位置情報として表示部106に表示してもよい。
【0035】
ここで、上記の説明では、物品の位置情報を物品の中心画素の座標またはx軸とy軸の範囲で表記する例を示したが、図6(a)に示すように図4(b)の画素座標を複数の領域に分け、物品の中心画素の座標がどの領域にあるかによって物品の位置を判断してもよい。例えば図6(a)の例では、収納スペース204aを左奥、中奥、右奥、左前、中前、右前の6つの領域に分けている。この場合、物品aの中心の画素は左前にあるので位置は「左前」になり、物品bの中心の画素は右奥にあるので位置は「右奥」になる。そして、表示部106には、図7に示すように、冷蔵庫100に収納されている各物品は、収納スペース204毎(上棚、中棚、下棚、引出)に、物品情報に対応付けられた位置情報(左奥、中奥、右奥、左前、中前、右前のいずれか)が表示される。」
イ「【0062】
・・・変化検出処理部152は、画像バッファ102の領域Aに記憶されている画像Aと領域Bに記憶されている画像Bとを比較して、変化の有無の判別する。・・・そして、例えば図4(b)で説明したように、画像Aと画像Bの同じ座標位置の画素同士で差分を計算し、差分の絶対値が予め設定した閾値以上である場合に変化有と判断する。・・・」
ウ 「図2[図:0001392916000002.jpg]」
エ 「図4[図:0001392916000003.jpg]」
オ 「図5[図:0001392916000004.jpg]」
(2)引用文献2に記載された事項
上記アないしオから、引用文献2には以下の事項(以下、「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されている。
「冷蔵庫の内部に置かれた物品の位置の変化に関する情報を、物品毎の位置情報(中心画素の座標、x軸とy軸の範囲、又は中心画素の領域)によって判断すること。」
3 本願発明と引用発明との対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明における「収納庫100、表示端末200、及びサーバ300で構成される庫内管理システム」は、収納庫が冷蔵庫を例にとり説明されているものであり、庫内を撮影する撮影部101によりその内部を監視するシステムであるから、本願発明における「冷蔵庫の内部を監視する庫内監視システム」に相当する。
イ 引用発明における「庫内を撮影する撮影部101」は、冷蔵庫の内部を撮像してその画像データを生成する撮像手段といえるものであるから、本願発明における「前記冷蔵庫の内部を撮像して前記冷蔵庫の内部の画像データを生成する撮像手段」に相当する。
ウ 引用発明における「撮影部101が撮影した画像」及び「画像保管部103に保管されている画像」は、それぞれ本願発明における「撮像手段により生成された第1の前記画像データ」及び「第1の画像データよりも前に生成された第2の前記画像データ」に相当するものであり、引用発明における「比較」することは、「画像の変化した領域を抽出」するために行うのであるから、本願発明における「差分を用い」ることに相当する。
エ 引用発明における「画像の変化した領域」を抽出することと、本願発明における「物品の位置の変化」を判断することとは、「物品の位置に基づくデータの変化を判断する」という限りにおいて共通する。
オ 引用発明における「画像の変化した領域を抽出し、抽出した領域を元に変化があった履歴の情報を管理する履歴情報管理部105」と、本願発明における「前記物品の位置履歴データを更新するデータ更新手段」とは、「物品の位置に基づく履歴データを更新するデータ更新手段」であるという限りおいて共通する。
カ 引用発明における「画像の変化した領域に関する履歴情報の最終変化日時テーブルに基づいて収納庫に収められた物品の在庫期間を求め、該在庫期間に応じた画像処理による可視化を行う」ことは、画像の変化した領域に関する履歴情報の最終変化日時からの期間をもとに在庫期間を求めることに他ならないから、本願発明における「基準時間以上位置に変化のない位置不変物品を前記位置履歴データに基づいて検出」とは、「基準時間以上位置に変化のない位置不変物品を前記物品の位置に基づく履歴データに基づいて検出」するという限りにおいて共通する。
キ 引用発明における「在庫期間に応じて重ねる色が濃くなるように表示する表示部205」は、本願発明における「所定の報知情報を出力する報知手段」に相当する。
ク 引用発明における「庫内管理システム」は、本願発明における「庫内監視システム」に相当する。
そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「冷蔵庫の内部を監視する庫内監視システムであって、前記冷蔵庫の内部を撮像して前記冷蔵庫の内部の画像データを生成する撮像手段と、前記撮像手段により生成された第1の前記画像データと前記第1の画像データよりも前に生成された第2の前記画像データとの差分を用いて、前記冷蔵庫の内部における物品の位置に基づくデータの変化を判断し、前記物品の位置に基づく履歴データを更新するデータ更新手段と、基準時間以上位置に変化のない位置不変物品を前記物品の位置に基づく履歴データに基づいて検出した場合に、所定の報知情報を出力する報知手段と、を備えた、庫内監視システム。」
[相違点1]
「物品の位置に基づくデータの変化を判断する」ことに関して、本願発明においては、「物品の位置の変化」を判断することであるのに対して、引用発明においては、「画像の変化した領域」を抽出することである点。
[相違点2]
「物品の位置に基づく履歴データを更新するデータ更新手段」に関して、本願発明においては、「前記物品の位置履歴データを更新するデータ更新手段」であるのに対して、引用発明においては、「画像の変化した領域を抽出し、抽出した領域を元に変化があった履歴の情報を管理する履歴情報管理部105」である点。
[相違点3]
「基準時間以上位置に変化のない位置不変物品を前記物品の位置に基づく履歴データに基づいて検出」することに関して、本願発明においては、「基準時間以上位置に変化のない位置不変物品を前記位置履歴データに基づいて検出」することであるのに対して、引用発明においては、「画像の変化した領域に関する履歴情報の最終変化日時テーブルに基づいて収納庫に収められた物品の在庫期間を求め、該在庫期間に応じた画像処理による可視化を行う」ことである点。
[相違点4]
本願発明においては、「前記位置履歴データは、前記物品毎の位置不変期間を含む」のに対して、引用発明においては、「履歴情報は、画像の変化領域に関する履歴情報の最終変化日時テーブルと変化時画像からなる」点。
(2)判断
[相違点1ないし3について]
引用発明は、「冷蔵庫の場合には、食品が庫内に残っていることを忘れてしまい賞味期限が過ぎてしま」うことを課題としている(引用文献1の段落【0002】)点において、本願発明が課題とする「冷蔵庫の中に複数の物品を保管している場合、後方に位置する物品が前方に位置する物品の死角に入ってしまい、ユーザがその存在を忘れてしまうこともある。」(本願の明細書段落【0004】)と共通するものといえる。
そして、「物品の位置」の変化を判断するにあたって、引用発明は、「画像の変化した領域」を判断するものであるが、引用文献1の段落【0067】(上記1(1)ク)を参照。)等の記載によると、引用発明の庫内管理システムは、画像の変化領域を抽出することにより、長い間収納されている物品の存在を、履歴情報の最終変化日時テーブルと変化時画像から把握するものであって、長い間収納されている物品の存在の報知も、「物品の存在する領域のみ在庫期間を可視化する」(同、段落【0067】)ことにより、物品に対応して行うものである。
そして、引用文献2に記載された事項によれば、冷蔵庫の内部に置かれた物品の位置の変化に関する情報を、物品毎の位置情報(中心画素の座標、x軸とy軸の範囲、又は中心画素の領域)によって判断することも行われているから、「物品の位置に基づくデータの変化」あるいは「物品の位置に基づく履歴データ」について、引用発明における「画像の変化した領域」によって判断するのに代えて、直接、「物品の位置の変化」あるいは「物品の位置履歴データ」によって判断することにより上記相違点1ないし3に係る本願発明の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得ることである。
[相違点4について]
上記[相違点1ないし3について]において判断したとおり、引用発明は、画像の変化領域を抽出することにより、長い間収納されている物品の存在を、履歴情報の最終変化日時テーブルと変化時画像から把握するものであって、長い間収納されている物品の存在の報知も、「物品の存在する領域のみ在庫期間を可視化する」(同、段落【0067】)ことにより物品に対応して行うものである。そして、物品が存在する位置の把握を、画像の変化した領域によるのではなく、物品毎の位置情報をもって行うことは引用文献2に記載されているから、引用発明における「画像の変化領域に関する最終変化日時テーブルと変化時画像からなる」「履歴情報」を、「物品毎の位置不変期間を含む」「位置履歴データ」とすることにより、上記相違点4に係る本願発明の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得ることである。
(3)令和4年9月21日提出の意見書について
請求人は、令和4年9月21日提出の意見書において、
「引用文献1における領域とは、[0026]、図4に記載されているように、画像を縦横などに分割したものです。また、履歴情報は、領域ごとに最終変化の日時を示したテーブルである最終変化日時テーブルと変化時の画像である変化時画像からなるものです([0028]等)。このように、引用文献1に係る発明は、画像毎(領域毎)の履歴データを更新するものであり、物品毎の位置不変期間を含む位置履歴データを更新する、本願請求項1に係る発明とは異なります。また、引用文献1に係る発明は、上記構成により、最終変化日時テーブルに基づいてユーザが在庫期間を視覚により直観的に把握できるように画像を編集します(段落[0010][0037]等)。そのため、上記構成は引用文献1に係る発明において必須のものであり、上記構成を、本願のように、物品毎の位置不変期間を含む位置履歴データを更新するように変更することは、引用文献1に係る発明の目的に反することと思料いたします。そのため、引用文献1に基づいて本願発明を想到することは容易ではないと思料いたします。」と主張している。
そこで、上記請求人の意見書における主張につき検討する。
引用文献1の段落【0067】(上記1(1)ク)を参照。)等の記載によると、引用発明の庫内管理システムは、画像の変化した領域を抽出することにより、長い間収納されている物品の存在を把握するものである。また、長い間収納されている物品の存在の報知も、「物品の存在する領域のみ在庫期間を可視化する」(同、段落【0067】)ことにより物品単位で行うものである。
そして、物品が存在する位置の把握を、画像の変化した領域によるのではなく、物品毎の位置情報をもって行うことは引用文献2に記載されているから、引用発明の画像が変化した領域によるものに代えて、引用文献2に記載された事項の物品毎の位置情報(中心画素の座標、x軸とy軸の範囲、又は中心画素の領域)の変化によって判断することを適用することに困難性はない。
よって、請求人による上記の主張は採用できない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項から予測できる以上の格別な効果を奏するものではない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-003652