特許拒絶査定不服審判
2023-003540
マッサージ機の制御装置およびその方法
- 審判番号
- 2023-003540
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-560176外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年03月01日
- 審決日
- 2025年03月04日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】セラジェム カンパニー、リミテッド
- 【請求人代理人】アクシス国際弁理士法人
- 分類
- P18 .121-WZ (A61H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-560176「マッサージ機の制御装置およびその方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 元年10月31日国際公開、WO2019/208935、令和 3年 8月12日国内公表、特表2021-519659〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年) 3月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年 4月26日 (KR)大韓民国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和 4年10月25日付け:拒絶査定
令和 5年 3月 1日 :審判請求書及び同時に手続補正書の提出
同年 3月24日 :上申書の提出
同年11月 7日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 2月 9日 :意見書及び手続補正書の提出
同年 2月14日 :上申書の提出
同年 5月16日付け:拒絶理由通知書
同年 8月21日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~11に係る発明は、令和 6年 8月21日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
マッサージモードを設定する設定部と、
前記設定部によって設定されたマッサージモードおよびユーザーの体型に応じて前記マッサージモードに当たるマッサージパターンの動作時間を調整するように、マッサージを行う駆動モジュールの移動速度を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
ユーザーの身体をスキャンしてユーザーの体重および脊椎の長さの両方を算出する体型算出部と、
前記算出された体型情報に基づいて前記駆動モジュールの移動速度を制御し、当該マッサージパターンが同じ時間に終了するように調整する時間調整部と、を含み、
前記時間調整部は、前記設定されたマッサージパターンが前記算出されたユーザーの体重および脊椎の長さに関係なく同じ時間に終了されるように調整し、
前記時間調整部は、ユーザーの体重に応じて前記駆動モジュールに印加される負荷の変化による駆動モジュールの移動速度の変化を一定になるように調整し、
前記時間調整部は、当該マッサージパターンについて予め設定された標準動作時間と前記ユーザーの脊椎の長さに基づいて前記駆動モジュールの移動速度を算出し、前記駆動モジュールの移動速度を調整するマッサージ機の制御装置。」
第3 当審の拒絶理由
令和 6年 5月16日付けで当審が通知した拒絶理由は、本願発明は、その優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内または外国において頒布された下記の引用文献に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献:特開2011-130811号公報
第4 引用文献の記載事項及び引用発明
1 引用文献
上記引用文献には、以下の事項が記載されている。
ア「【0001】
本発明は、施療子を有するメカマッサージ機構と、膨縮動作可能なエアバッグとを備えたマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば椅子型のマッサージ機では、背もたれ部に設けられたメカマッサージ機構によりメカマッサージ動作を行い、オットマン等に膨縮動作可能に内蔵されたエアバッグによりエアマッサージ動作を行うマッサージ機が知られている(例えば特許文献1参照)。このようなマッサージ機が備えている制御部には、施療プログラム(通常施療コース等)が記憶されており、この施療プログラムに基づきメカマッサージ機構とエアバッグとが所定の動作で駆動されるようになっている。通常、施療プログラムは、メカマッサージ動作とエアマッサージ動作とが対応付けられて設定されており、その対応付けられたメカマッサージ動作とエアマッサージ動作のそれぞれの終了時間が揃うのが望ましい。
【0003】
しかしながら、上記のようなマッサージ機では、エアバッグは被施療者の体型によらずエアマッサージ動作をほぼ予定時間通りに終了することができるが、メカマッサージ機構によるメカマッサージ動作の終了時間は、被施療者の体型によって予定時間に対して遅延することがある。このメカマッサージ動作とエアマッサージ動作の終了時間のズレの発生を防止すべく、特許文献1のマッサージ機では、メカマッサージ動作の終了に基づいてエアマッサージ動作が強制終了するように制御されている。」
イ「【0021】
背もたれ部13の幅方向中央部には、施療子18aを有するメカマッサージ機構18が内装されている。メカマッサージ機構18は、モータ(図示略)により背もたれ部13の上下方向に移動可能に備えられ、また施療子18aに施療動作を行わせるモータ(図示略)も内蔵されている。メカマッサージ機構18は、各種モータの駆動に基づく施療子18aの施療動作により、使用者Hの背中に対して施療が行われる。
【0022】
メカマッサージ機構18の上下方向の移動、及び施療子18aによる施療動作(メカマッサージ動作)は、コントローラ33にて制御されるようになっている。」
ウ「【0028】
ここで、コントローラ33は、前記通常施療コースが選択されると、上記のようにメカマッサージ機構18を駆動させるとともに、駆動装置30を駆動させてエアバッグ22を動作させる。このとき、コントローラ33は、3つのメカステップMS1~MS3と1つのエアステップAS1とが連動(セットで動作)するように制御する。尚、エアステップAS1では、エアバッグ22が所定のパターンを行うように予め設定されており、図5に示したようなエアバッグ22の膨縮動作が繰り返されるようになっている。
【0029】
コントローラ33は、メカマッサージ機構18の施療子18aによって使用者Hの体型(詳しくは肩位置)を検出可能となっている。つまり、メカマッサージ機構18及びコントローラ33が体型検知手段を構成している。本実施形態では、コントローラ33は、肩位置を高い方から順に肩位置1~肩位置5の5段階で検出する。そして、コントローラ33は、検出した使用者Hの肩位置に基づいてメカマッサージ動作の各メカステップの開始位置を可変する。これにより、体型に応じてメカマッサージ動作の施療範囲を大きくすることができ、体型に合ったメカマッサージ動作が可能となっている。」
エ「【0030】
ここで、使用者によって肩位置が異なると、各メカステップの開始位置の間隔が異なり、その結果、メカステップ間でのメカマッサージ機構18を移動させるのに掛かる時間が異なってくる。具体的には、使用者Hの肩位置が高いほど、各メカステップでの開始位置の間隔が大きくなるため、メカステップ間でメカマッサージ機構18を移動させるのに時間が掛かる。これにより、メカマッサージ機構18に連続的に複数のメカステップを順次行わせる場合、そのメカマッサージ動作の終了時間が使用者Hの肩位置に応じて変化する。」
オ「【0036】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。
前記第1実施形態では、エアマッサージ動作の終了時間がメカマッサージ動作の終了時間と揃えるために、エアマッサージ動作の動作時間を可変する手段をとったが、本実施形態では、メカマッサージ動作の動作時間を可変する手段をとっている。尚、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
コントローラ33は、通常施療コースが選択されると、メカステップMS1~MS3をさせるべくメカマッサージ機構18を駆動させるとともに、エアバッグ22にエアステップAS1をさせるべく駆動装置30を駆動させる。このとき、コントローラ33は、エアマッサージ動作の終了時間とメカマッサージ動作の終了時間とが揃うように、メカマッサージ動作の動作時間を肩位置1~肩位置5に基づいて可変する。尚、エアマッサージ動作の動作時間AT(図9参照)は体型によらず一定とする。」
カ「【0038】
詳しくは、肩位置1~肩位置5にそれぞれ対応するメカ係数L1~L5が予め設定されており、コントローラ33は、検出した肩位置1~5に対応するメカ係数L1~L5を、メカステップMS1~MS3の基準メカ動作時間N1~N3(基準施療時間)にそれぞれ掛け合わせる。そして、それら積の値をメカステップMS1~MS3のメカ動作時間にそれぞれ設定する(図8及び図9参照)。
【0039】
メカマッサージ動作全体の動作時間(各メカステップMS1~MS3の施療時間と各メカステップMS1~MS3間の移動時間との和)が肩位置によっておおよそどのくらい変化するかは予測可能であり、その予測とエアマッサージ動作の動作時間とに基づいてメカ係数L1~L5は予め設定されている。例えば、使用者Hの肩位置が1のときにメカマッサージ動作全体の動作時間がエアマッサージ動作の動作時間と一致するように、各メカステップMS1~MS3の基準メカ動作時間N1~N3を設定した場合、肩位置1に対応するメカ係数L1は1に設定される。そして、肩位置2~肩位置5に対応するメカ係数L2~L5は、1よりも大きな値で順に大きくなるように設定される(例えば、L2=1.1、L3=1.2、L4=1.3、L5=1.4)。この各メカ係数K1~K5及び各メカステップMS1~MS3の基準メカ動作時間N1~N3は、構成に応じて適宜変更してもよい。
【0040】
このように、メカマッサージ動作のうちの施療時間(各メカステップMS1~MS3の動作時間)を可変することで、メカマッサージ動作の終了時間とエアマッサージ動作の終了時間とが揃うように制御されている(図9(a)(b)参照)。これにより、メカマッサージ動作とエアマッサージ動作とを使用者Hの体型に関係なく、且つ違和感なく揃って終了させることが可能となる。また、メカマッサージ動作のうち、施療時間(各メカステップMS1~MS3の動作時間)のみを可変するため、各メカステップMS1~MS3間のメカマッサージ機構18の移動時間を無駄に増加させることがなく効率的である。
【0041】
本実施形態は、メカマッサージ動作の終了時間とエアマッサージ動作の終了時間が揃うように、検知した肩位置に基づきメカマッサージ動作の動作時間を可変する点で前記第1実施形態とは異なっているが、第1実施形態で記載したものと略同様の作用効果を有している。」
キ「【0042】
尚、本発明の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・・・
【0044】
・上記第2実施形態では、メカマッサージ動作のうちの施療時間(各メカステップMS1~MS3の動作時間)を可変したが、これに特に限定されるものではなく、例えば、各メカステップMS1~MS3間の移動時間を可変してもよい。使用者Hの体型によらず各メカステップMS1~MS3の施療時間を一定とすることができる。」
ク「【0050】
・上記各実施形態では、コントローラ33は、メカマッサージ機構18にて肩位置を検出し、その検出結果に基づいてメカマッサージ動作とエアマッサージ動作の動作時間を揃えるように制御したが、これに特に限定されるものではない。例えば、座面12に掛かる荷重を検出する荷重センサを設け、その荷重センサの検出結果に基づき制御するように構成してもよい。」
ケ 上記カの記載によれば、コントローラ33は、メカマッサージ動作の終了時間とエアマッサージ動作の終了時間とを揃えるために、メカマッサージ動作全体の動作時間を可変とし、当該動作時間を構成する各メカステップMS1~MS3の施療時間及び各メカステップMS1~MS3間のメカマッサージ機構18の移動時間のうち、上記施療時間を可変とする態様として、使用者Hの体型が所定の肩位置である場合のメカステップMS1~MS3の基準メカ動作時間(基準施療時間)を定め、これを基準として、所定の係数を掛け合わせることで他の肩位置である場合のメカ動作時間をそれぞれ算出し、メカマッサージ機構18による施療時間を調整するものである。
そして、引用文献には、上記キの記載のとおり、上記の施療時間を調整する実施形態(第2実施形態)を変更した実施形態として、メカマッサージ動作全体の動作時間のうちの施療時間ではなく各メカステップMS1~MS3間のメカマッサージ機構18の移動時間を可変とする実施形態が開示されているところ、上記キの「各メカステップMS1~MS3間の移動時間を可変してもよい。使用者Hの体型によらず各メカステップMS1~MS3の施療時間を一定とすることができる。」との記載は、実態として、「使用者Hの体型によらず各メカステップMS1~MS3の施療時間を一定とするために、各メカステップMS1~MS3間の移動にかかる時間を使用者Hの肩位置によらず一定とする、すなわち、各メカステップMS1~MS3間におけるメカマッサージ機構18の移動速度を可変することとしてもよい。」との意味内容であると解するのが相当である。
そうすると、引用文献には、コントローラ33が、メカマッサージ動作のうちの施療時間である各メカステップMS1~MS3の施療時間と、エアマッサージ動作の動作時間ATとを体型によらず一定とし、メカマッサージ動作の終了時間とエアマッサージ動作の終了時間が揃うように、使用者Hの肩位置に基づいて、各メカステップMS1~MS3間におけるメカマッサージ機構18の移動速度を算出し、調整することが開示されている。
2 引用発明
上記ア~キ及びケを総合すると、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「施療子18aを有するメカマッサージ機構18と、膨縮動作可能なエアバッグ22とを備え、メカマッサージ動作とエアマッサージ動作とを使用者Hの体型に関係なく、且つ違和感なく揃って終了させることが可能なマッサージ機10を制御するコントローラ33であって、
コントローラ33には、通常施療コース等の、メカマッサージ動作とエアマッサージ動作とが対応付けられて設定された施療プログラムが記憶されており、この施療プログラムに基づきメカマッサージ機構18とエアバッグ22とが所定の動作で駆動され、メカマッサージ機構18の上下方向の移動、及び施療子18aによるメカマッサージ動作がコントローラ33にて制御されるものであり、
コントローラ33は、3つのメカステップMS1~MS3と1つのエアステップAS1とが連動してセットで動作するように制御し、
メカマッサージ機構18及びコントローラ33が体型検知手段を構成しており、
コントローラ33は、
メカマッサージ機構18の施療子18aによって使用者Hの体型としての肩位置を検出可能であって、肩位置を高い方から順に肩位置1~肩位置5の5段階で検出し、
メカマッサージ動作のうちの施療時間である各メカステップMS1~MS3の施療時間と、エアマッサージ動作の動作時間ATとを体型によらず一定とし、メカマッサージ動作の終了時間とエアマッサージ動作の終了時間が揃うように、使用者Hの肩位置に基づいて、各メカステップMS1~MS3間におけるメカマッサージ機構18の移動速度を算出し、調整する
マッサージ機10のコントローラ33。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「マッサージ機10を制御するコントローラ33」及び「マッサージ機10のコントローラ33」は、その機能及び構造からみて、本願発明の「マッサージ機の制御装置」に相当し、以下同様に、
「施療プログラム」は「マッサージモード」に、
「施療プログラムに基づ」く「3つのメカステップMS1~MS3と1つのエアステップAS1」は「前記マッサージモードに当たるマッサージパターン」に、
「使用者Hの体型」は「ユーザーの体型」に、
「施療子18aを有するメカマッサージ機構18」は「駆動モジュール」に、それぞれ相当する。
そうすると、引用発明の「マッサージ機10のコントローラ33」に、「通常施療コース等の、メカマッサージ動作とエアマッサージ動作とが対応付けられて設定された施療プログラムが記憶されて」いることは、本願発明の「マッサージ機の制御装置」が、「マッサージモードを設定する設定部」を含むことに相当する。
2 同様に、引用発明の「マッサージ機10のコントローラ33」が、「メカマッサージ動作とエアマッサージ動作とを使用者Hの体型に関係なく、」「メカマッサージ動作のうちの施療時間である各メカステップMS1~MS3の施療時間と、エアマッサージ動作の動作時間ATとを体型によらず一定とし、メカマッサージ動作の終了時間とエアマッサージ動作の終了時間が揃うように、」「検出し」た「使用者Hの肩位置に基づいて、各メカステップMS1~MS3間におけるメカマッサージ機構18の移動速度を算出し、調整する」ことは、本願発明の「マッサージ機の制御装置」が、「前記設定部によって設定されたマッサージモードおよびユーザーの体型に応じて前記マッサージモードに当たるマッサージパターンの動作時間を調整するように、マッサージを行う駆動モジュールの移動速度を制御する制御部」を含むことであって、「前記制御部は、」「体型情報に基づいて前記駆動モジュールの移動速度を制御し、当該マッサージパターンが同じ時間に終了するように調整する時間調整部」「を含」むことに相当する。
3 引用発明の「コントローラ33は、メカマッサージ機構18の施療子18aによって使用者Hの体型としての肩位置を検出可能であって、肩位置を高い方から順に肩位置1~肩位置5の5段階で検出」する「体型検知手段」と、本願発明の「前記制御部」が含む「ユーザーの身体をスキャンしてユーザーの体重および脊椎の長さの両方を算出する体型算出部」とは、ユーザーの身体をスキャンしてユーザーの体型情報を取得する手段の限りで一致する。
4 そうすると、引用発明の「マッサージ機10のコントローラ33」が、「メカマッサージ動作とエアマッサージ動作とを使用者Hの体型に関係なく、」「メカマッサージ動作のうちの施療時間である各メカステップMS1~MS3の施療時間と、エアマッサージ動作の動作時間ATとを体型によらず一定とし、メカマッサージ動作の終了時間とエアマッサージ動作の終了時間が揃うように、」「検出し」た「使用者Hの肩位置に基づいて、各メカステップMS1~MS3間におけるメカマッサージ機構18の移動速度を算出し、調整する」ことと、本願発明の「前記時間調整部は、前記設定されたマッサージパターンが」「ユーザーの体重および脊椎の長さに関係なく同じ時間に終了されるように調整」することとは、引用発明のコントローラ33が、メカマッサージ動作の動作時間を可変にする時間調整部を有するといえるから、時間調整部は、設定されたマッサージパターンがユーザーの体型情報に関係なく同じ時間に終了されるように調整することの限りで一致する。
5 引用発明の「マッサージ機10のコントローラ33」が、「メカマッサージ動作のうちの施療時間である各メカステップMS1~MS3の施療時間と、エアマッサージ動作の動作時間ATとを体型によらず一定とし、メカマッサージ動作の終了時間とエアマッサージ動作の終了時間が揃うように、使用者Hの肩位置に基づいて、各メカステップMS1~MS3間におけるメカマッサージ機構18の移動速度を算出し、調整する」ことと、本願発明の「前記時間調整部は、当該マッサージパターンについて予め設定された標準動作時間と前記ユーザーの脊椎の長さに基づいて前記駆動モジュールの移動速度を算出し、前記駆動モジュールの移動速度を調整する」こととは、本願発明の「標準動作時間」が、引用発明の「メカマッサージ動作」と「エアマッサージ動作」の終了が「揃う」「終了時間」に相当するから、時間調整部は、当該マッサージパターンについて予め設定された標準動作時間とユーザーの体型情報に基づいて駆動モジュールの移動速度を算出し、駆動モジュールの移動速度を調整することの限りで一致する。
6 そうすると、両者は、
「 マッサージモードを設定する設定部と、
前記設定部によって設定されたマッサージモードおよびユーザーの体型に応じて前記マッサージモードに当たるマッサージパターンの動作時間を調整するように、マッサージを行う駆動モジュールの移動速度を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
ユーザーの身体をスキャンしてユーザーの体型情報を取得する手段と、
前記体型情報に基づいて前記駆動モジュールの移動速度を制御し、当該マッサージパターンが同じ時間に終了するように調整する時間調整部と、を含み、
前記時間調整部は、前記設定されたマッサージパターンが前記ユーザーの体型情報に関係なく同じ時間に終了されるように調整し、
前記時間調整部は、当該マッサージパターンについて予め設定された標準動作時間と前記ユーザーの体型情報に基づいて前記駆動モジュールの移動速度を算出し、前記駆動モジュールの移動速度を調整するマッサージ機の制御装置。」
である点で一致し、次の各点で相違する。
[相違点1]
ユーザーの体型情報が、本願発明は、「ユーザーの体重および脊椎の長さ」であるのに対し、引用発明は、使用者Hの肩位置であって、
ユーザーの身体をスキャンしてユーザーの体型情報を取得する手段が、本願発明は、「ユーザーの体重および脊椎の長さの両方を算出する体型算出部」であるのに対し、引用発明は、使用者Hの肩位置を検出することで使用者Hの体型を検知する体型検知手段である点。
[相違点2]
本願発明は、「ユーザーの体重」「を検出」し、「前記時間調整部は、ユーザーの体重に応じて前記駆動モジュールに印加される負荷の変化による駆動モジュールの移動速度の変化を一定になるように調整」するのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
[相違点3]
時間調整部は、当該マッサージパターンについて予め設定された標準動作時間とユーザーの体型情報に基づいて駆動モジュールの移動速度を算出し、駆動モジュールの移動速度を調整することが、本願発明は、「前記時間調整部は、」「標準動作時間と前記ユーザーの脊椎の長さに基づいて」「前記駆動モジュールの移動速度を調整する」のに対し、引用発明は、メカマッサージ動作のうちの施療時間である各メカステップMS1~MS3の施療時間と、エアマッサージ動作の動作時間ATとを体型によらず一定とし、メカマッサージ動作の終了時間とエアマッサージ動作の終了時間が揃うように、使用者Hの肩位置に基づいて、各メカステップMS1~MS3間におけるメカマッサージ機構18の移動速度を算出し、調整する点。
第6 判断
1 上記相違点1~3について検討する。
引用発明は、使用者Hの体型を検知するにあたって、使用者Hの肩位置を検出している。そして、肩位置と脊椎の長さはともに、使用者Hの体型情報に係るパラメータであって、両者は互いに相関のある量であることに照らせば、使用者Hの肩位置を検出して体型情報を得ることと、使用者Hの脊椎の長さを検知して体型情報を得ることとは、情報の取得として同等であるといえる。
そうすると、肩位置の検知に代えて、周知である脊椎の長さの算出を行うことは、当業者が適宜なし得る事項にすぎない。
また、負荷が変動する状況において、メカマッサージ機構18の移動速度を一定に制御することは、メカマッサージ機構18に対する負荷による移動速度の変動を考慮して制御を行っていると解するのが技術常識であるところ、使用者Hの体重は、メカマッサージ機構18に印加される負荷に関係し、その移動の速度に影響することは自明であることに照らせば、引用発明は、使用者Hの体重を加味した上でメカマッサージ機構18の移動速度を一定に制御している。
そして、引用文献の段落【0050】(上記第4の1ク参照)に、荷重センサを用いてメカマッサージ機構18の移動制御を行ってもよいことが記載されていることを踏まえれば、引用発明において算出された移動速度で移動するために、荷重センサを用いて使用者Hの体重を計測し、その計測結果をメカマッサージ機構18の移動速度の制御に用いることは、当業者が容易になし得たことである。
そうすると、引用発明において、コントローラ33が、メカマッサージ動作の終了時間とエアマッサージ動作の終了時間が揃うように、使用者Hの肩位置に代えて脊椎の長さに基づくとともに、メカマッサージ機構18の移動速度に影響することでメカマッサージ動作の終了時間に影響を及ぼす使用者Hの体重に基づいて、各メカステップMS1~MS3間におけるメカマッサージ機構18の移動速度を算出し、調整することは、当業者が容易になし得たことである。
以上のとおりであるから、引用発明において上記相違点1~3に係る本願発明の事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
2 効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献の記載事項の奏する効果から当業者が予測し得る範囲内ものにすぎず、格別顕著なものではない。
3 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-003540