特許拒絶査定不服審判
2023-002990
薬液注入装置
- 審判番号
- 2023-002990
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-023142外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年02月21日
- 審決日
- 2024年03月06日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 23142「薬液注入装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 6月17日出願公開、特開2021- 90794〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年) 1月31日(優先権主張 平成23年 2月 1日 平成23年10月27日)を国際出願日とする特願2012-555913号の一部を平成29年 2月 2日に新たな出願とした特願2017-17279号の一部を平成31年 3月20日に新たな出願とした特願2019-53245号の一部を令和 3年 2月17日に新たな出願としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和 3年 8月17日付け:拒絶理由通知書
令和 3年12月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 4月 4日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 4年 8月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年11月15日付け:補正の却下の決定及び拒絶査定(以下「原
査定」という。)
令和 5年 2月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 5年11月 1日付け:拒絶理由通知書
令和 5年12月27日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1~6に係る発明は、令和 5年12月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
シリンジ内に充填された造影剤を含む薬液を患者に注入する注入装置と、撮像装置と、医療システムと、を有するシステムであって、
前記注入装置は、前記シリンジの識別タグの情報を読み込むことができる注入ヘッドと、タッチパネル式のディスプレイを有するコンソールとを備え、かつ、前記薬液の種類についての情報を含む注入結果のグラフを前記医療システムに外部出力する処理を行い、
前記注入装置から外部出力された前記グラフが、前記撮像装置によって撮像された、前記薬液が注入された患者の診断画像とともに、前記医療システムが備えるディスプレイに表示されるように構成される、システム。」
第3 当審拒絶理由
当審が通知した令和 5年11月 1日付け拒絶理由通知書に係る拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)は、次の理由を含むものである。
請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知の技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2010-51418号公報
引用文献2:特開2005-278786号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献の記載事項、認定事項及び技術事項並びに引用発明
1 引用文献1
(1) 記載事項
当審拒絶理由で引用された引用文献1には、次の記載がある(「・・・」は記載の省略を表し、下線は当審で付した。以下同様。)。
ア 「【0010】
このデータ保存装置は、一般的にはPACS(Picture Archive and Communication System)等と呼称されており、撮像オーダデータが付与された透視画像データを保存する。
【0011】
データ保存装置には、一般にビューアと呼称される画像閲覧装置が接続されている。この画像閲覧装置は、例えば、撮像オーダデータを検索キーとして透視画像データを読み出し、その透視画像データを表示する。」
イ 「【0019】
上述のような透視撮像システムでは、薬液注入装置により造影剤などの注入薬液が撮像被験者に注入され、この撮像被験者から透視撮像装置により撮像オーダデータに対応して透視画像データが撮像される。」
ウ 「【0051】
本発明の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。本発明の実施の形態の透視撮像システム1000は、図1ないし図3に示すように、撮像管理装置であるRIS100、透視撮像装置であるCTスキャナ200、データ保存装置であるPACS300、薬液注入装置400、データ制御装置である制御ボックス500、画像閲覧装置600、被験者管理装置の一つであるHIS900、被験者管理装置の一つであり携帯カルテ媒体である患者リストバンド910,被験者管理装置の一つであり作業カルテ媒体である電子カルテボード920、を有する。」
エ 「【0063】
本実施の形態のCTスキャナ200は、図3に示すように、撮像実行機構である透視撮像ユニット201と撮像制御ユニット210とを有する。透視撮像ユニット201は、撮像被験者から透視画像データを撮像する。撮像制御ユニット210は、透視撮像ユニット201を動作制御する。」
オ 「【0069】
本実施の形態の薬液注入装置400は、図5に示すように、注入制御ユニット401と注入実行ヘッド410とを有する。注入制御ユニット401が注入実行ヘッド410を動作制御する。注入実行ヘッド410は、図6に示すように、着脱自在に装着される薬液シリンジ800を駆動して注入薬液を撮像被験者に注入する。」
カ 「【0075】
薬液シリンジ800のRFIDチップ810には、少なくとも注入薬液に関連する薬液条件データが登録されている。より詳細には、薬液シリンジ800は、注入薬液が充填された状態で出荷される、いわゆるプレフィルドタイプであり、RFIDチップ810には、出荷される以前に薬液条件データが登録される。」
キ 「【0085】
また、前述のように薬液シリンジ800は、少なくとも注入薬液に関連する薬液条件データを記憶するRFIDチップ810が搭載されており、注入実行ヘッド410にはRFIDリーダ416が搭載されている。そこで、制御設定部423は、薬液シリンジ800から取得する薬液条件データも利用して注入制御データを生成する。」
ク 「【0091】
このような注入履歴データは、例えば、横軸と縦軸との一方が経過時間で他方が注入速度の経時グラフの画像データからなり、注入制御データや被験者管理データや注入作業ID等がテキストデータで付与される。」
ケ 「【0164】
そこで、薬液シリンジ800にRFIDチップ810が搭載されていた場合は(ステップS20-Y)、RFIDリーダ416により薬液条件データが取得される(ステップS21)。
【0165】
この薬液条件データは、前述のように、充填されている注入薬液に関連する薬液IDや製品名称や消費期限などの各種データと、その薬液シリンジ800に関連する容量やロット番号などの各種データからなる。
【0166】
そこで、このように取得された薬液条件データの一部が、図17に示すように、注入制御ユニット401のタッチパネル403と注入実行ヘッド410のヘッドディスプレイ415とに表示出力される(ステップS22)。」
コ 「【0186】
さらに、実際の注入速度からなる経時グラフがリアルタイムに生成され(ステップS35)、例えば、注入制御データとともにタッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に表示出力される(ステップS36)。
【0187】
・・・
【0188】
一方、被験者管理データや薬液条件データが取得されて注入制御データが自動設定された場合は、図21に示すように、経時グラフは自動設定された注入制御データおよび被験者管理データや薬液条件データなどとともに表示出力される。さらに、撮像オーダデータから撮像開始時刻も取得された場合には、この撮像開始時刻も経時グラフに所定のシンボルマークで表示出力される。
【0189】
そして、注入作業が完了すると(ステップS37-Y)、実際の注入速度の経時グラフを内包する注入履歴データが生成される(ステップS38)。このように生成される注入履歴データは、注入条件データとして被験者管理データが取得されることなく注入制御データが手動設定された場合は、経時グラフの画像データと手動設定された注入制御データのテキストデータからなる。」
サ 「【0200】
その場合、例えば、撮像作業IDが検索キーとして入力操作されることにより、その撮像作業IDの透視画像データがPACS300から読み出されて画像閲覧装置600のディスプレイユニット602に表示出力される。
【0201】
このとき、その撮像作業IDにより注入履歴データもPACS300から読み出されるので、必要により画像閲覧装置600のディスプレイユニット602に表示出力される。
【0202】
このように表示出力される注入履歴データにより、その注入作業の注入制御データの全部が手動入力されたか、一部が注入条件データから取得されたか、一部が薬液条件データから取得されたか、等も確認される。
【0203】
しかも、注入制御データの少なくとも一部が注入条件データから取得された場合は、その注入条件データが撮像オーダデータから取得されたか、患者リストバンド910から取得されたか、電子カルテボード920から取得されたか、その第一回目と第二回目との日時、等も取得された注入条件データの内容とともに確認される。
【0204】
さらに、上述の注入履歴データにより、薬液条件データがRFIDチップ810から取得されたか手動入力されたか、RFIDチップ810から取得された場合は、その注入薬液の製品名称、薬液ID、消費期限、販売価格、等も確認される。」
シ 「【0223】
さらに、本実施の形態の薬液注入装置400は、設定された注入制御データに対応して実際に実行された注入動作をデータ記録して注入履歴データを生成し、この注入履歴データをPACS300に送信して対応する透視画像データとともに保存させる。
【0224】
このため、例えば、透視画像データを閲覧するときに注入履歴データと注入制御データも確認することができる。従って、透視画像データを閲覧する注入作業者が、その透視画像データの撮像時に撮像被験者に薬液注入が如何に実行されたかまで確認することができる。
【0225】
特に、上述の注入履歴データには、取得された被験者管理データから注入制御データが生成されたか、生成された場合は被験者管理データが何処から取得されたか、も登録される。
【0226】
このため、薬液注入に利用された被験者管理データか適切であったか、その被験者管理データの入力経路が適切であったか、なども透視画像データとともに確認することができる。
【0227】
同様に、上述の注入履歴データには、取得された薬液条件データから注入制御データが生成されたか、も登録される。このため、利用された注入薬液が適切であったか、なども透視画像データとともに確認することができる。
【0228】
従って、もしも造影剤の注入作業に疑義が発生したような場合でも、透視画像データとともに注入履歴データを注入制御データおよび被験者管理データや薬液条件データとともに確認することができる。このため、その注入履歴データと注入制御データと被験者管理データや薬液条件データを証拠とすることができる。」
ス 「【0233】
そして、上述のようにリアルタイムに生成された経時グラフも注入履歴データに設定される。このため、注入履歴データにより薬液注入の動作内容を詳細に確認することができる。」
引用文献1には、次の図がある。
セ 「【図17】
[図:0001409828000001.jpg]
」
ソ 「【図21】
[図:0001409828000002.jpg]
」
(2) 認定事項
ア 上記(1)カから、薬液シリンジ800内には注入薬液が充填されている。よって、上記(1)オから、薬液注入装置400が有する注入実行ヘッド410は、薬液シリンジ800内に充填された注入薬液を撮像被験者に注入する。また、上記(1)イから、注入薬液は造影剤を含む。
イ 上記(1)ケ、コ、セ及びソから、注入制御ユニット401のタッチパネル403は、表示部を有する。
ウ 上記(1)ケから、RFIDチップ810から取得される薬液条件データは、注入薬液の製品名称、薬液IDを含む。また、上記(1)サ及びシから、RFIDチップ810から薬液条件データが取得された場合には、PACS300から読み出されディスプレイユニット602に表示出力される注入履歴データにより、注入薬液の製品名称、薬液IDが確認できる。よって、薬液注入装置400がPACS300に送信する注入履歴データは、薬液条件データの注入薬液の製品名称、薬液IDを含む。
エ 上記(1)イから、注入薬液が注入された撮像被験者から透視撮像装置により透視画像データが撮像される。よって、上記(1)エから、CTスキャナ200は、薬液が注入された撮像被験者から透視画像データを撮像する。
オ 上記(1)セで「造影剤名」の右に図示される「Xxxxxx300」は、上記(1)ソの右上にも図示されている。よって、上記(1)コの、タッチパネル403にリアルタイムに生成される経時グラフとともに表示出力される薬液条件データは、造影剤名を含む。
(3) 引用発明
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「透視撮像システム1000は、透視撮像装置であるCTスキャナ200、データ保存装置であるPACS300、薬液注入装置400、画像閲覧装置600を有し、
薬液注入装置400は、注入制御ユニット401と注入実行ヘッド410とを有し、注入実行ヘッド410は、薬液シリンジ800内に充填された造影剤を撮像被験者に注入し、注入実行ヘッド410にはRFIDリーダ416が搭載され、薬液シリンジ800のRFIDチップ810には、薬液条件データが登録され、RFIDリーダ416により薬液シリンジ800から薬液条件データが取得され、注入制御ユニット401のタッチパネル403は、表示部を有し、実際の注入速度の経時グラフを内包する注入履歴データが生成され、薬液注入装置400は、注入履歴データをPACS300に送信し、注入履歴データは、薬液条件データの注入薬液の製品名称、薬液IDを含み、
CTスキャナ200は、薬液が注入された撮像被験者から透視画像データを撮像し、透視画像データがPACS300から読み出されて画像閲覧装置600のディスプレイユニット602に表示出力され、このとき、注入履歴データもPACS300から読み出されるので、必要により画像閲覧装置600のディスプレイユニット602に表示出力される、透視撮像システム1000。」
2 引用文献2
(1) 記載事項
当審拒絶理由で引用された引用文献2には、次の記載がある。
ア 「【0070】
ここで、操作者が、マウス5の操作によりこの「Otherメニュー画面」30Aの“Curveアイコン”30Bの上にカーソルを移動させて、クリックした場合には、カーソル位置判断部6とクリック判断部7によってこれが判断されて、A/P部11は、当該“Curveアイコン”30Bに対応するプロファイル処理プログラムを実行して、(表示画面データ生成部3を介して)医用画像データ記憶部1から当該“画像表示ウィンドウ”10Bの“ウィンドウ”Aに表示されるCT画像の画像データを取得すると共に、当該CT画像の画像データに含まれる画素値の情報に基づいて、そのプロファイル処理結果データ生成し、これをオーバーレイ画像データ生成部13に出力する。
【0071】
オーバーレイ画像データ生成部13は、当該プロファイル処理結果を示す画像(後述するグラフDa)を生成すると共に、これを所定位置に配置するための画像テンプレートをオーバーレイ画像データ記憶部12から読み出して、その画像テンプレートの所定位置に当該プロファイル処理結果を示す画像(後述する、グラフDa)を配置することでオーバーレイ画像データを生成して、これを(表示画面データ合成部14を介して)表示部4に表示させる。これにより、“画像表示ウィンドウ”10Bの“ウィンドウ”Dには、図9に示すようなプロファイル処理結果を示すオーバーレイ画像であるグラフDaが表されることになる。因みに、図9に示す“画像表示ウィンドウ”10Bの“ウィンドウ”Dには、“ウィンドウ”A、Bの各々に対応するグラフが2つ表示されている。」
イ 「【図9】
[図:0001409828000003.jpg]
」
(2) 引用文献2に記載の技術事項
上記(1)から、引用文献2には、次の技術事項が記載されている。
「CT画像とグラフDaをともに表示部4に表示させること」
3 引用文献3
(1) 記載事項
特開2004-275601号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
ア 「【0003】
また、このような医用画像を用いた診断時には、医用画像の他、医用画像における異常部位の詳細な画像(例えば胸部画像における骨部領域を除去したエネルギーサブトラクション画像)や、検査結果を表す表やグラフ等の関連データを医用画像とともに並べて表示することにより、より効率よく診断を行うことができる。」
イ 「【0015】
画像サーバ3には、入力モダリティ5が生成した医用画像および医用画像に関連する関連データがネットワーク2を介して送信されて保管される。ここで、関連データとしては、医用画像に含まれる異常部位の詳細な画像(例えば、胸部の放射線画像においてサブトラクション処理により骨部を除去したエネルギーサブトラクション画像)、検査結果を表す表、グラフ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。なお、関連データは入力モダリティ5から送信される他、医師や検査技師等が所有するパソコン等の端末装置から送信されて、画像サーバ3に保管される。また、画像サーバ3は、ネットワーク2を介して送信された医用画像および関連データを患者毎または検査毎にまとめて保管する。具体的には、患者毎または検査毎にフォルダを作成し、そのフォルダに対応する医用画像および関連データを保管する。」
(2) 引用文献3に記載の技術事項
上記(1)から、引用文献3には、次の技術事項が記載されている。
「グラフ等の関連データを医用画像とともに並べて表示すること」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「薬液シリンジ800」は、その構造及び作用から、本願発明の「シリンジ」に相当し、以下同様に、
「薬液注入装置400」は、「注入装置」に、
「透視撮像装置であるCTスキャナ200」は、「撮像装置」に、
「データ保存装置であるPACS300」及び「画像閲覧装置600」は、前記第4の1(1)アから、透視画像データの保存及び表示をするものであるから、「医療システム」に、
「薬液シリンジ800内に充填された造影剤を撮像被験者に注入」する「薬液注入装置400」と、「透視撮像装置であるCTスキャナ200」と、「データ保存装置であるPACS300」及び「画像閲覧装置600」と、を「有」する「透視撮像システム1000」は、「シリンジ内に充填された造影剤を含む薬液を患者に注入する注入装置と、撮像装置と、医療システムと、を有するシステム」に、
「薬液シリンジ800のRFIDチップ810に」「登録され」る「薬液条件データ」を「取得」する「注入実行ヘッド410」は、「前記シリンジの識別タグの情報を読み込むことができる注入ヘッド」に、
「表示部を有」する「タッチパネル403」を有する「注入制御ユニット401」は、「タッチパネル式のディスプレイを有するコンソール」に、
「薬液注入装置400は、注入制御ユニット401と注入実行ヘッド410とを有し、」は、「前記注入装置は、」「注入ヘッドと、」「コンソールとを備え、」に、
「注入薬液の製品名称、薬液ID」は、「前記薬液の種類についての情報」に、
「注入履歴データ」が「内包する」「実際の注入速度の経時グラフ」は、「注入結果のグラフ」に、
「CTスキャナ200」が「薬液が注入された撮像被験者から」「撮像」した「透視画像データ」は、「前記撮像装置によって撮像された、前記薬液が注入された患者の診断画像」に、
「画像閲覧装置600のディスプレイユニット602」は、「前記医療システムが備えるディスプレイ」に、
それぞれ相当する。
2 引用発明の「薬液注入装置400」が、「実際の注入速度の経時グラフを内包」し「注入薬液の製品名称、薬液IDを含」む「注入履歴データをPACS300に送信」することと、本願発明の「前記注入装置は、」「前記薬液の種類についての情報を含む注入結果のグラフを前記医療システムに外部出力する処理を行」うことは、前記注入装置は、前記薬液の種類についての情報と注入結果のグラフを前記医療システムに外部出力する処理を行うことの限りで一致する。
3 引用発明の「薬液注入装置400」が「送信」した「注入履歴データ」と、「CTスキャナ200」が「薬液が注入された撮像被験者から」「撮像」した「透視画像データ」とが、「画像閲覧装置600のディスプレイユニット602に表示出力される」ことと、本願発明の「前記注入装置から外部出力された前記グラフが、前記撮像装置によって撮像された、前記薬液が注入された患者の診断画像とともに、前記医療システムが備えるディスプレイに表示されるように構成される」ことは、前記注入装置から外部出力されたグラフと、前記撮像装置によって撮像された、前記薬液が注入された患者の診断画像とが、前記医療システムが備えるディスプレイに表示されるように構成されることの限りで一致する。
そうすると、両者は、
「シリンジ内に充填された造影剤を含む薬液を患者に注入する注入装置と、撮像装置と、医療システムと、を有するシステムであって、
前記注入装置は、前記シリンジの識別タグの情報を読み込むことができる注入ヘッドと、タッチパネル式のディスプレイを有するコンソールとを備え、かつ、前記薬液の種類についての情報と注入結果のグラフを前記医療システムに外部出力する処理を行い、
前記注入装置から外部出力されたグラフと、前記撮像装置によって撮像された、前記薬液が注入された患者の診断画像とが、前記医療システムが備えるディスプレイに表示されるように構成される、システム。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
「前記注入装置」が「前記医療システムに外部出力する」「注入結果のグラフ」が、本願発明は、「前記薬液の種類についての情報を含む」のに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
[相違点2]
「前記医療システムが備えるディスプレイに表示される」「グラフ」と「診断画像」とが、本願発明は、「ともに」表示されるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
第6 判断
1 相違点の判断
(1) 相違点1
引用発明の注入履歴データは、経時グラフと薬液注入の製品名称、薬液IDとを含んでいる。
また、引用文献1には、タッチパネル403にリアルタイムに生成される経時グラフとともに造影剤名を表示出力することが記載されている(前記第4の1(2)オ)。
そして、引用文献1には、「リアルタイムに生成された経時グラフも注入履歴データに設定される」ことが記載されている(前記第4の1(1)ス)。
引用発明において、ディスプレイユニット602でもタッチパネル403と同様の表示出力とすることは、通常考えることであって、そのために、薬液注入装置400がPACS300に送信する経時グラフ及び注入薬液の製品名称、薬液IDを、注入薬液の製品名称、薬液IDを含む経時グラフとすることで、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(2) 相違点2
引用文献1には、透視画像データを閲覧する注入作業者が、その透視画像データの撮像時に撮像被験者に薬液注入が如何に実行されたかまで確認することができると記載されており(前記第4の1(1)シの段落【0224】)、透視画像データと経時グラフを併せて確認する課題が内在している。
また、引用文献2、3にみられるように、グラフを診断画像とともにディスプレイに表示することは従来周知である(前記第4の2(2)及び3(2))。
よって、引用発明において透視画像データと経時グラフを併せて確認すべく、両者をともにディスプレイに表示することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(3) 効果
本願発明の奏する効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た範囲内のものであり、各別顕著なものとはいえない。
(4) 小括
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
2 請求人の主張
令和 5年12月27日提出の意見書において請求人は、引用文献2のCT画像及びグラフDaは、いずれもX線CT装置から得られたものであり、CT装置とは異なる他の装置から得られたものではないから、本願発明は当業者が容易に想到し得たものではない旨主張する。
しかしながら、そもそも引用発明が、透視画像データ及び注入履歴データをそれぞれ異なる装置から得て、かつ、両データを同じディスプレイユニット602に表示出力するものである。そして、得られたデータの表示出力の態様として、両データをともにディスプレイに表示することは、前記1(2)で述べたとおり、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、引用文献3にみられるように、撮像装置から送信された診断画像と、撮像装置とは異なる他の装置から送信されたグラフをともにディスプレイに表示することも周知の技術である。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-002990