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特許拒絶査定不服審判

2023-001539

冷凍装置

審判番号
2023-001539
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-570247外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年01月30日
審決日
2023年10月12日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (F25B) / P18 .561-WZ (F25B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-570247「冷凍装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月13日国際公開、WO2020/161804〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、2019年(平成31年)2月5日を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和3年 7月13日 :手続補正書の提出 令和4年 7月 5日付け:拒絶理由通知 同 年 8月18日 :意見書及び手続補正書の提出 同 年12月13日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。) 令和5年 1月30日 :拒絶査定不服審判の請求書及び手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)の提出 同 年 3月29日 :上申書の提出 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1. 本件補正について(補正の内容) 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1-2の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 冷媒が圧縮機、第1熱交換器、膨張装置、第2熱交換器の順に循環する冷媒回路と、 前記第2熱交換器の下方に配置されるドレンパンと、 前記第1熱交換器と前記膨張装置とを接続する冷媒配管とを備え、前記冷媒配管は前記ドレンパンと熱交換するように構成され、 前記第2熱交換器を用いて冷却を行なう冷凍モードと、前記第2熱交換器を加熱する第1除霜モードと、前記第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱する第2除霜モードとを動作モードとして有し、 前記第2熱交換器を加熱するヒーターと、 前記第1熱交換器に送風するファンとをさらに備え、 前記第1除霜モードにおいては、前記ヒーターが作動し、 前記第2除霜モードにおいては、前記ヒーターが非作動とされ、 前記第2除霜モードにおける前記ファンの回転速度は、前記冷凍モードにおける前記ファンの回転速度よりも低く設定される、冷凍装置。 【請求項2】 前記冷媒回路の前記冷媒の循環方向を、正方向とは逆の前記圧縮機、前記第2熱交換器、前記膨張装置、前記第1熱交換器の順に循環する逆方向に変更する四方弁をさらに備え、 前記冷凍モードにおいては、前記循環方向が前記正方向となるように前記四方弁が設定され、 前記第1除霜モードにおいては、前記循環方向が前記逆方向となるように前記四方弁が設定され、 前記第2除霜モードにおいては、前記循環方向が前記正方向となるように前記四方弁が設定される、請求項1に記載の冷凍装置。」 2. 本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等」という。)に記載された事項 当初明細書等には、次の記載がある(下線は、当審において付したものである。)。 (1)「【0010】 実施の形態1. 図1は、実施の形態1に係る冷凍装置の構成を示す図である。図1を参照して、冷凍装置100は、冷媒が圧縮機1、第1熱交換器2、膨張装置3、第2熱交換器4の順に循環する冷媒回路と、第2熱交換器4の下方に配置されるドレンパン5とを備える。冷凍装置の通常運転(冷凍モード)において、第1熱交換器2は凝縮器として作動し、第2熱交換器4は蒸発器(クーラともいう)として作動する。膨張装置3としては、開度が変更可能な電子膨張弁を使用することができるが、温度式自動膨張弁または開度が固定されたキャピラリーチューブなどを使用しても良い。 【0011】 冷凍装置100は、第2熱交換器4を加熱する除霜用のヒーター6と、第1熱交換器2に送風するファン7と、冷媒温度を検出する温度センサ30とをさらに備える。」 (2)「【0021】 本実施の形態の冷凍装置は、動作モードとして、第2熱交換器4を用いて冷却を行なう冷凍モードと、第2熱交換器4を加熱する第1除霜モードと、ドレンパン5を加熱する第2除霜モードとを有する。なお、第2除霜モードは、ドレンパン5の霜を融解する以外にも、第2熱交換器4からドレンパン5に落下した氷塊または水を加熱し排水を促す。 【0022】 第1熱交換器2と膨張装置3とを接続する管24は、ドレンパン5と熱交換するように構成される。たとえば、ドレンパン5の底面と熱伝導可能な状態で接触するように、引き回された管24の一部がドレンパン5内部または外部に配置される。 【0023】 第1除霜モードにおいては、制御装置10は、ヒーター6を作動させる。除霜を促進するために、第1除霜モードでは圧縮機1は停止され、第2熱交換器4における冷媒の蒸発が起こらないようにすることが好ましい。したがって、第1除霜モードにおいては、第2熱交換器4による庫内の冷却は中断される。」 (3)「【0035】 実施の形態2. 実施の形態1では、第1除霜モードにおいて、第2熱交換器4の除霜にヒーター6を使用した。これに対し、実施の形態2では、第1除霜モードにおいて、圧縮機1が吐出する高温高圧のガス冷媒を第2熱交換器4に導入する。 【0036】 図5は、実施の形態2に係る冷凍装置の構成を示す図である。図5を参照して、冷凍装置200は、冷媒が圧縮機1、第1熱交換器2、膨張装置3、第2熱交換器4の順に循環する冷媒回路と、第2熱交換器4の下方に配置されるドレンパン5とを備える。冷凍装置の通常運転(冷凍モード)において、第1熱交換器2は凝縮器として作動し、第2熱交換器4は蒸発器(クーラともいう)として作動する。膨張装置3としては、開度が変更可能な電子膨張弁を使用することができるが、温度式自動膨張弁または開度が固定されたキャピラリーチューブなどを使用しても良い。 【0037】 冷凍装置200は、冷媒の循環方向を変更する四方弁207と、第1熱交換器2に送風するファン7と、冷媒温度を検出する温度センサ30とをさらに備える。」 (4)「【0045】 すなわち、四方弁207は、第1除霜モードにおいて、冷媒回路の冷媒の循環方向を、正方向とは逆の圧縮機1、第2熱交換器4、膨張装置3、第1熱交換器2の順に循環する逆方向に変更するように構成される。 【0046】 実施の形態2の冷凍装置では、冷凍モードにおいては、冷媒の循環方向が正方向となるように四方弁207が設定される。このとき第1熱交換器2は凝縮器として作動し第2熱交換器4は蒸発器として作動する。 【0047】 一方、第1除霜モードにおいては、冷媒の循環方向が逆方向となるように四方弁207が設定される。このとき第1熱交換器2は蒸発器として作動し第2熱交換器4は凝縮器として作動するため、庫内の冷却は継続できず一時中断される。 【0048】 これに対し、第2除霜モードにおいては、冷媒の循環方向が正方向となるように四方弁207が設定される。第1熱交換器2と膨張装置3との間に接続される管24は、実施の形態2の冷凍装置200でも、実施の形態1の冷凍装置100と同様に、ドレンパン5と熱交換するように構成される。 【0049】 そして、第2除霜モードにおけるファン7の回転速度は、冷凍モードにおけるファン7の回転速度よりも低く設定される。このため、管24を流れる冷媒の温度が上昇し、ドレンパン5の加熱が促進される。」 (5)「【0058】 今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。」 (6)「【請求項1】 冷媒が圧縮機、第1熱交換器、膨張装置、第2熱交換器の順に循環する冷媒回路と、 前記第2熱交換器の下方に配置されるドレンパンとを備え、 前記第2熱交換器を用いて冷却を行なう冷凍モードと、前記第2熱交換器を加熱する第1除霜モードと、前記ドレンパンを加熱する第2除霜モードとを動作モードとして有する、冷凍装置。 【請求項2】 前記第2熱交換器を加熱するヒーターと、 前記第1熱交換器に送風するファンとをさらに備え、 前記第1熱交換器と前記膨張装置との間に接続される冷媒配管は、前記ドレンパンと熱交換するように構成され、 前記第1除霜モードにおいては、前記ヒーターが作動し、 前記第2除霜モードにおいては、前記ヒーターが非作動とされ、 前記第2除霜モードにおける前記ファンの回転速度は、前記冷凍モードにおける前記ファンの回転速度よりも低く設定される、請求項1に記載の冷凍装置。 【請求項3】 前記冷媒回路の前記冷媒の循環方向を、正方向とは逆の前記圧縮機、前記第2熱交換器、前記膨張装置、前記第1熱交換器の順に循環する逆方向に変更する四方弁と、 前記第1熱交換器に送風するファンとをさらに備え、 前記第1熱交換器と前記膨張装置との間に接続される冷媒配管は、前記ドレンパンと熱交換するように構成され、 前記冷凍モードにおいては、前記循環方向が前記正方向となるように前記四方弁が設定され、 前記第1除霜モードにおいては、前記循環方向が前記逆方向となるように前記四方弁が設定され、 前記第2除霜モードにおいては、前記循環方向が前記正方向となるように前記四方弁が設定され、 前記第2除霜モードにおける前記ファンの回転速度は、前記冷凍モードにおける前記ファンの回転速度よりも低く設定される、請求項1に記載の冷凍装置。」 3. 判断 本件補正後の請求項2に係る発明は、その記載から、請求項2が引用する請求項1で特定される「第1除霜モード」で作動する「第2熱交換器を加熱するヒーター」に加え、請求項2で特定される「冷媒回路の前記冷媒の循環方向を、正方向とは逆の前記圧縮機、前記第2熱交換器、前記膨張装置、前記第1熱交換器の順に循環する逆方向に変更する四方弁をさらに備え」、「第1除霜モードにおいては、前記循環方向が前記逆方向となるように前記四方弁が設定され」るものである。 しかしながら、「第1除霜モード」における「第2熱交換器」の加熱手段について、当初明細書等には、「実施の形態1」についての上記2.(2)の段落【0023】の記載事項から「ヒーター6を作動」することが記載されている。また、上記2.(3)の段落【0035】の記載事項から「実施の形態2」において「圧縮機1が吐出する高温高圧のガス冷媒を第2熱交換器4に導入する」ことが記載されている。 これらの加熱手段は、上記2.(3)の段落【0035】に「実施の形態1では、第1除霜モードにおいて、第2熱交換器4の除霜にヒーター6を使用した。これに対し、実施の形態2では、第1除霜モードにおいて、圧縮機1が吐出する高温高圧のガス冷媒を第2熱交換器4に導入する。」と記載されていることから、「ヒーター6を作動」すること及び「圧縮機1が吐出する高温高圧のガス冷媒を第2熱交換器4に導入する」ことのいずれか一方が採用されるものである。そして、これらを両方同時に採用した加熱手段は、当初明細書等に記載されていない。 そして、両方同時に採用する加熱手段が当初明細書等に示唆されているかについて検討すると、「実施の形態1」についての上記2.(2)の段落【0023】の「第1除霜モードでは圧縮機1は停止され、第2熱交換器4における冷媒の蒸発が起こらないようにすることが好ましい。」という記載事項から、「実施の形態1」の「第1除霜モード」では、圧縮機1が停止するものと考えられる。 一方で、上記2.(3)の段落【0035】の「第1除霜モードにおいて、第2熱交換器4の除霜にヒーター6を使用した。これに対し、実施の形態2では、第1除霜モードにおいて、圧縮機1が吐出する高温高圧のガス冷媒を第2熱交換器4に導入する。」という記載事項から、「実施の形態2」の「第1除霜モード」では、圧縮機1がガス冷媒を吐出するように作動するものである。 そうすると、「実施の形態1」と「実施の形態2」とを同時に採用する場合には、圧縮機1の作動が停止することと、ガス冷媒を吐出するように作動することとの矛盾が生じるものとなる。 したがって、「実施の形態1」と「実施の形態2」は、同時に採用できないものだから、両方同時に採用した加熱手段は、当初明細書等に示唆されているとはいえない。 さらに、上記2.(6)の記載から、当初明細書等における請求項2、3に係る発明は、それぞれ「実施の形態1」及び「実施の形態2」に対応する発明特定事項を含むものと考えられる。 そして、請求項2、3は、それぞれ請求項1を引用するものであるが、請求項3は、請求項2を引用していない。 そうすると、当初明細書等の特許請求の範囲の記載にも、「ヒーター6を作動」すること及び「圧縮機1が吐出する高温高圧のガス冷媒を第2熱交換器4に導入する」ことを両方同時に採用するものが、意図されていたとはいえない。 よって、「ヒーター6を作動」することと、「圧縮機1が吐出する高温高圧のガス冷媒を第2熱交換器4に導入する」こととは、いずれか一方が選択的に採用されるものであるから、「第1除霜モード」における「第2熱交換器」の加熱手段として、「ヒーター6を作動」することに加えて、「圧縮機1が吐出する高温高圧のガス冷媒を第2熱交換器4に導入する」ものであると解される本件補正後の請求項2に係る発明は、当初明細書等には記載も示唆もなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 4. 結び 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 上記のとおり本件補正は却下されたので、本願の請求項1-3に係る発明は、令和4年8月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 〔本願発明〕 「冷媒が圧縮機、第1熱交換器、膨張装置、第2熱交換器の順に循環する冷媒回路と、 前記第2熱交換器の下方に配置されるドレンパンと、 前記第1熱交換器と前記膨張装置とを接続する冷媒配管とを備え、前記冷媒配管は前記ドレンパンと熱交換するように構成され、 前記第2熱交換器を用いて冷却を行なう冷凍モードと、前記第2熱交換器を加熱する第1除霜モードと、前記第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱する第2除霜モードとを動作モードとして有する、冷凍装置。」 第4 原査定における拒絶の理由 本願発明についての原査定の拒絶の理由は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 記 引用文献1.特開昭58-69364号公報 第5 引用文献 1. 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、次の事項及び図面が記載されている(下線は、当審において付したものである。以下同様。)。 ア「この発明は、ホツトガスデフロスト回路を備えた冷凍装置に関するものである。 通常、この種の装置は第1図に示すように構成されていた。すなわち、同図において、(1)は圧縮機、(2)は送風機(3)を有する凝縮器で室外に設置されている。(4)は絞り装置、(5)は送風機(6)を有する蒸発器で、上記機器(1)~(4)と連通し、通常の冷凍サイクルを形成する。また蒸発器(5)は冷凍庫(図示せず)内に設置されている。(7)は蒸発器(5)の下方に設けられ、蒸発器(5)から流下するドレンを受けるドレンパン、(8)は圧縮機(1)出口と蒸発器(5)入口とを連通するホツトガスデフロスト回路、(9)はホツトガスデフロスト回路(8)に設けられ、蒸発器(5)のデフロスト運転時に開、冷却運転時に閉となる電磁弁、(10)はホツトガスデフロスト回路(8)の電磁弁(9)の下流側に設けられた熱交換器で、ドレンパン(7)の底面に密着するように蛇行させている。」(第1ページ左下欄末行-右下欄第16行) イ「すなわち、第2図に示すように従来、ホツトガスデフロスト回路(8)に設けていた熱交換器(10)を凝縮器(2)と絞り装置(4)との間に挿入すると共に冷却運転時にドレンパン(7)の温度を検出し、その温度に応じて送風機(3)の運転を制御する温度検出器(11)を設け、かつドレンパン(7)の温度を検出する感温部(11a)はドレンパン(7)に密着して取けられ、しかもその周囲を断熱材(12)で覆つており、その他の構成については従来のものと同様である。従つて、通常の冷却運転において、ドレンパン(7)の温度が低下してくると、凝縮器(2)での液化冷媒は熱交換器(10)で過冷却され、冷凍庫(図示せず)を充分に冷却する。そして、ドレンパン(7)内に、流下したドレンが氷結して温度が例えば0℃以下に低下すると、その温度を感温部(11a)が検出し、温度検出器(11)の接点が開路して送風機(3)の運転を停止する。このことによつて圧縮機(1)からの吐出ガスは凝縮器(2)では殆んど熱交換せず、熱交換器(10)で熱交換するので、ドレンパン(7)を加熱し、氷結したドレンを融触すると共に吐出ガスは液化する。それ以降は絞り装置(4)介して蒸発器(5)に至り通常の冷却作用をなす。そしてドレンパン(7)の温度が0℃以上になれば感温部(lla)により温度検出器(11)が閉路し、送風機(3)を運転するので、圧縮機(1)からの吐出ガスは凝縮器(2)で液化し、通常の冷却運転に戻るが、吐出ガスによるドレンパン(7)の加熱時は、ドレンパン(7)が集中的に加熱され、その時間も短かいので、冷凍庫(図示せず)内の温度上昇は極力抑えられる。一方、蒸発器(5)のデフロスト時には従来のものと同様電磁弁(9)が開、送風機(3)(6)の運転が停止され、圧縮機(1)からの吐出ガスをホツトガスデフロスト回路(8)に供給し、蒸発器(5)を集中的に加熱するので、蒸発器(5)のデフロスト時間も短かくなる。また、冷却運転時にドレンパン(7)のドレン氷結は融解しているのでデフロストにより蒸発器(5)から流下したドレンパン(7)から外部へ円滑に排出される。 なお、上記実施例では温度検出器(11)により送風機(3)の運転を制御するようにしたが、冷却運転時に、時限装置により所定時開だけ送風機(3)の運転を制御するようにしてもよく、また回転数を低下させるようにしても同様の効果がある。」(第2ページ左上欄第19行-左下欄末行) ウ「 [図:0001404577000001.jpg] 」(第2図) (2)上記(1)から認められること ア 上記(1)アの「(1)は圧縮機、(2)は送風機(3)を有する凝縮器で室外に設置されている。(4)は絞り装置、(5)は送風機(6)を有する蒸発器で、上記機器(1)~(4)と連通し、通常の冷凍サイクルを形成する。」という記載事項から、冷凍サイクルの技術常識を踏まえると、引用文献1に記載された冷凍装置には、「冷媒」が用いられているから、この「冷媒」が流れる回路は、「冷媒回路」と認められる。 イ 上記(1)イの記載及び上記(1)ウの第2図の図示から、「熱交換器(10)」は、「冷媒」が流れ、凝縮器(2)と絞り装置(4)との間に挿入されていると認められる。 また、「熱交換器(10)」は、上記(1)アの「(10)はホツトガスデフロスト回路(8)の電磁弁(9)の下流側に設けられた熱交換器で、ドレンパン(7)の底面に密着するように蛇行させている。」という記載事項及び上記(1)ウの第2図の図示から、凝縮器(2)と絞り装置(4)とを接続する冷媒配管により構成され、ドレンパン(7)と熱交換を行うものである。 ウ 上記(1)イの「ドレンパン(7)内に、流下したドレンが氷結して温度が例えば0℃以下に低下すると、その温度を感温部(11a)が検出し、温度検出器(11)の接点が開路して送風機(3)の運転を停止する。このことによって圧縮機(1)からの吐出ガスは凝縮器(2)では殆んど熱交換せず、熱交換器(10)で熱交換するので、ドレンパン(7)を加熱し、氷結したドレンを融触すると共に吐出ガスは液化する。それ以降は絞り装置(4)介して蒸発器(5)に至り通常の冷却作用をなす。」という記載事項から、ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、熱交換器(10)を流れる冷媒により、熱交換器(10)とドレンパン(7)とが熱交換するように構成されていると認められる。 また、ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、ドレンパン(7)のみを加熱し、蒸発器(5)では通常の冷却作用を奏していると認められる。 エ 上記(1)イの「通常の冷却運転」、「蒸発器(5)のデフロスト時には従来のものと同様電磁弁(9)が開、送風機(3)(6)の運転が停止され、圧縮機(1)からの吐出ガスをホツトガスデフロスト回路(8)に供給し、蒸発器(5)を集中的に加熱する」という記載事項及び「ドレンパン(7)内に、流下したドレンが氷結して温度が例えば0℃以下に低下すると、その温度を感温部(11a)が検出し、温度検出器(11)の接点が開路して送風機(3)の運転を停止する。このことによって圧縮機(1)からの吐出ガスは凝縮器(2)では殆んど熱交換せず、熱交換器(10)で熱交換するので、ドレンパン(7)を加熱し、氷結したドレンを融触すると共に吐出ガスは液化する。それ以降は絞り装置(4)介して蒸発器(5)に至り通常の冷却作用をなす。」という記載事項から、引用文献1に記載されている冷凍装置は、通常の冷却運転と、従来のものと同様であるデフロスト運転と、上記ウで認定したとおり、ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、「ドレンパン(7)のみを加熱し、蒸発器(5)では通常の冷却作用を奏する」運転とを行うものと認められる。 (3)引用発明1 上記(1)及び(2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 〔引用発明1〕 「冷媒が圧縮機(1)、凝縮器(2)、絞り装置(4)、蒸発器(5)の順に循環する冷媒回路と、 前記蒸発器(5)の下方に設けられたドレンパン(7)と、 前記凝縮器(2)と前記絞り装置(4)との間に挿入されたドレンパン(7)の底面に密着するように蛇行させている冷媒配管とを備え、前記蛇行させている冷媒配管は、前記ドレンパン(7)と熱交換するように構成され、 前記蒸発器(5)を用いて冷却を行なう通常の冷却運転と、前記蒸発器(5)を加熱するデフロスト運転と、前記ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、ドレンパン(7)のみを加熱し、蒸発器(5)では通常の冷却作用を奏する運転とを行う、冷凍装置。」 第6 対比・判断 1. 対比 本願発明と引用発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 引用発明1の「冷媒」は、その機能、構成及び技術的意義からみて本願発明の「冷媒」に相当する。以下同様に、「圧縮機(1)」は「圧縮機」に、「凝縮器(2)」は「第1熱交換器」に、「絞り装置(4)」は「膨張装置」に、「蒸発器(5)」は「第2熱交換器」に、「冷媒回路」は「冷媒回路」に、「ドレンパン(7)」は「ドレンパン」に、「冷凍装置」は「冷凍装置」に相当する。 そして、引用発明1の「凝縮器(2)と前記絞り装置(4)との間に挿入されたドレンパン(7)の底面に密着するように蛇行させている冷媒配管とを備え、前記蛇行させている冷媒配管は、前記ドレンパン(7)と熱交換するように構成され」ることは、本願発明の「第1熱交換器と前記膨張装置とを接続する冷媒配管とを備え、前記冷媒配管は前記ドレンパンと熱交換するように構成され」ることに相当する。 また、引用発明1の「蒸発器(5)を用いて冷却を行なう通常の冷却運転」は、本願発明の「第2熱交換器を用いて冷却を行なう冷凍モード」と、「第2熱交換器を用いて冷却を行なうこと」である限りにおいて一致する。 また、引用発明1の「蒸発器(5)を加熱するデフロスト運転」は、本願発明の「第2熱交換器を加熱する第1除霜モード」と、「第2熱交換器を加熱する除霜」である限りにおいて一致する。 また、引用発明1の「前記ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、ドレンパン(7)のみを加熱し、蒸発器(5)では通常の冷却作用を奏する運転」は、本願発明の「第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱する第2除霜モード」と、「第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱すること」である限りにおいて一致する。 そうすると、引用発明1の「前記蒸発器(5)を用いて冷却を行なう通常の冷却運転と、前記蒸発器(5)を加熱するデフロスト運転と、前記ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、ドレンパン(7)のみを加熱し、蒸発器(5)では通常の冷却作用を奏する運転とを行う」ことは、本願発明の「前記第2熱交換器を用いて冷却を行なう冷凍モードと、前記第2熱交換器を加熱する第1除霜モードと、前記第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱する第2除霜モードとを動作モードとして有する」ことと、「前記第2熱交換器を用いて冷却を行なうことと、前記第2熱交換器を加熱する除霜と、前記第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱することとを動作として有する」という限りにおいて一致する。 以上のことから、本願発明と引用発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。 [一致点] 「冷媒が圧縮機、第1熱交換器、膨張装置、第2熱交換器の順に循環する冷媒回路と、 前記第2熱交換器の下方に配置されるドレンパンと、 前記第1熱交換器と前記膨張装置とを接続する冷媒配管とを備え、前記冷媒配管は前記ドレンパンと熱交換するように構成され、 前記第2熱交換器を用いて冷却を行なうことと、前記第2熱交換器を加熱する除霜と、前記第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱することとを動作として有する、冷凍装置。」 [相違点1] 「第2熱交換器を用いて冷却を行なうことと、前記第2熱交換器を加熱する除霜と、前記第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱することとを動作として有する」ことについて、本願発明は、「冷凍モード」、「第1除霜モード」及び「第2除霜モード」と表現することで、これらのモードを「動作モードとして有」しているのに対して、引用発明1は、「通常の冷却運転」、「デフロスト運転」及び「ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、ドレンパン(7)のみを加熱し、蒸発器(5)では通常の冷却作用を奏する運転」を動作として行うものの、各動作を動作モードとして有するという表現がなされていない点。 2. 判断 相違点1について判断する。 一般に、場面に応じて制御を行う場合、それぞれの制御をその制御内容に応じた「モード」として動作させることは、例示するまでもない慣用手段である。そして、引用発明1の「蒸発器(5)を用いて冷却を行なう通常の冷却運転」、「蒸発器(5)を加熱するデフロスト運転」及び「蒸発器(5)を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパン(7)のみを加熱する運転」も冷凍装置を制御して行う動作であるから、これらの制御内容に応じた「モード」として動作させて、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者にとって容易になし得たものである。 また、上記相違点1を勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 よって、本願発明は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 小括 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 第8 本件補正に対する予備的検討 上記第2において述べたとおり、本件補正は、新規事項を含むものであるから却下されるべきものである。一方、審判請求書において、審判請求人は、本件補正が適法であることを前提に、その特許性についての主張を行っている。そこで、当該前提を踏まえてさらに検討を行う。 1. 本件補正発明 仮に、本件補正が、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものと扱う場合、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明を、本件補正前の請求項2で特定されていた事項により限定するものといえるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 そこで、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)を以下検討する。 本件補正後の請求項1-2に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1-2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、次のとおりである。 〔本件補正発明〕 「冷媒が圧縮機、第1熱交換器、膨張装置、第2熱交換器の順に循環する冷媒回路と、 前記第2熱交換器の下方に配置されるドレンパンと、 前記第1熱交換器と前記膨張装置とを接続する冷媒配管とを備え、前記冷媒配管は前記ドレンパンと熱交換するように構成され、 前記第2熱交換器を用いて冷却を行なう冷凍モードと、前記第2熱交換器を加熱する第1除霜モードと、前記第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱する第2除霜モードとを動作モードとして有し、 前記第2熱交換器を加熱するヒーターと、 前記第1熱交換器に送風するファンとをさらに備え、 前記第1除霜モードにおいては、前記ヒーターが作動し、 前記第2除霜モードにおいては、前記ヒーターが非作動とされ、 前記第2除霜モードにおける前記ファンの回転速度は、前記冷凍モードにおける前記ファンの回転速度よりも低く設定される、冷凍装置。」 2. 引用文献と引用発明2 (1)引用文献1について ア 引用文献1に記載された事項 引用文献1に記載された事項は、上記第5の1.(1)で示したとおりである。 イ 引用文献1に記載された事項から認められること 引用文献1に記載された事項から認められることについては、上記第5の1.(2)で示したア-エに加え、以下の(ア)-(イ)のとおりである。 (ア) 上記第5の1.(1)ウの第2図の図示から、送風機(3)は、凝縮器(2)に送風するものと認められる。 (イ) 上記第5の1.(1)イには、「圧縮機(1)からの吐出ガスをホツトガスデフロスト回路(8)に供給し、蒸発器(5)を集中的に加熱する」と記載されているから、ホツトガスデフロスト回路(8)に供給した冷媒は、デフロスト運転において、蒸発器(5)を加熱するものと認められる。 ウ 引用発明2 上記ア及びイから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 〔引用発明2〕 「冷媒が圧縮機(1)、凝縮器(2)、絞り装置(4)、蒸発器(5)の順に循環する冷媒回路と、 前記蒸発器(5)の下方に設けられたドレンパン(7)と、 前記凝縮器(2)と前記絞り装置(4)との間に挿入されたドレンパン(7)の底面に密着するように蛇行させている冷媒配管とを備え、前記蛇行させている冷媒配管は前記ドレンパン(7)と熱交換するように構成され、 前記蒸発器(5)を用いて冷却を行なう通常の冷却運転と、前記蒸発器(5)を加熱するデフロスト運転と、前記ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、ドレンパン(7)のみを加熱し、蒸発器(5)では通常の冷却作用を奏する運転とを行い、 前記蒸発器(5)を加熱するホツトガスデフロスト回路(8)と、 前記凝縮器(2)に送風する送風機(3)とをさらに備え、 前記デフロスト運転においては、ホツトガスデフロスト回路(8)に蒸発器(5)を加熱する冷媒を供給し、 通常の冷却運転において前記ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、前記送風機(3)の運転が停止される冷凍装置。」 (2)特開2010-60177号公報(以下、「引用文献2」という。)について ア 引用文献2に記載された事項 原査定で周知技術を示す文献として引用され、本願の出願前に頒布された引用文献2には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0015】 蒸発器ユニット40が有する除霜用加熱手段8は、蒸発器用ヒータ8aと底面用ヒータ8bからなる。本実施の形態では、蒸発器4に設ける蒸発器用ヒータ8aについては、蒸発器4において空気の流れ61に対して風上側となる側面の上部及び下部並びに下面にそれぞれ設けている。ここで、鉛直方向又はそれに近い方向を上下方向として上下に関する以下の説明を行うものとする。また、ドレンパン42に設ける底面用ヒータ8bは、ドレンパン42に付いた霜を融かし、また、ドレンパン42に溜まったドレン水が凍らないように設ける。そして、制御手段50は、蒸発器用ヒータ8a、各底面用ヒータ8bに対して、それぞれ独立してON(通電、加熱)/OFF(通電、加熱停止)制御することができるものとする。」 (イ)「【0067】 本実施の形態の空気調和装置は、実施の形態1における蒸発器用ヒータ8aにより熱源側熱交換器104を加熱する代わりに、熱源側熱交換器104の伝熱管に高温の冷媒を通過させることで加熱するようにした、いわゆるリバース方式による除霜運転を行うようにしたものである。負荷側熱交換器201においては基本的に除霜運転は行わないため、ここでは熱源側熱交換器104の除霜運転について説明するが、負荷側熱交換器201における除霜運転を妨げるものではない。」 イ 引用文献2に記載された技術的事項 上記(ア)の記載から、蒸発器用ヒータ8aと、底面用ヒータ8bとは、それぞれ設置する箇所も異なり、独立して通電の制御がなされるものである。また、上記(イ)の記載から、熱源側熱交換器104を加熱する手段としては、蒸発器用ヒータ8aを用いることと、熱源側熱交換器104に高温の冷媒を通過させることとが、代替的な手段とされている。 以上から、引用文献2には、以下の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。 「蒸発器用ヒータ8a又はリバース方式により、熱源側熱交換器104を加熱すること。」 (3)特開2009-144951号公報(以下、「引用文献3」という。)について ア 引用文献3に記載された事項 原査定で周知技術を示す文献として引用され、本願の出願前に頒布された引用文献3には、次の事項が記載されている。 「【0026】 図1は、ポンプダウン方式の冷凍冷蔵装置であって、この冷凍冷蔵装置1は、圧縮機2と、凝縮器8と、電磁弁6と、膨張弁5と、蒸発器31とが配管9で接続され、これらの間を冷媒が循環する。ここで、蒸発器31が、図7に示したユニットクーラー31に相当する。また、主ヒーター41は、コイル33及びフィン34(熱交換器)を加熱し、副ヒーターは、ドレンパン38を加熱し、副ヒーター2(15)は、吸込みフード35、チャッキダンパー36、ファン37、排水管39の入口部、及び排水管39の全体を加熱する。」 イ 引用文献3に記載された技術的事項 上記アの記載から、引用文献3には、以下の技術的事項(以下、「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。 「フィン34(熱交換器)用の主ヒーター41を設けた冷凍冷蔵装置1。」 3. 対比・判断 (1)対比 本件補正発明と引用発明2とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、上記第6の1.に加え、以下のとおりの相当関係を備えている。 引用発明2の「送風機(3)」は、その機能、構成及び技術的意義からみて本件補正発明の「ファン」に相当する。 また、引用発明2の「蒸発器(5)を加熱するホツトガスデフロスト回路(8)」は、本件補正発明の「第2熱交換器を加熱するヒーター」と、「第2熱交換器を加熱する手段」である限りで一致し、引用発明2の「前記デフロスト運転においては、ホツトガスデフロスト回路(8)に蒸発器(5)を加熱する冷媒を供給」することは、本件補正発明の「前記第1除霜モードにおいては、前記ヒーターが作動」することと、「除霜においては、前記手段が作動する」限りにおいて一致する。 以上のことから、本件補正発明と引用発明2とは、次の一致点及び相違点を有する。 [一致点] 「冷媒が圧縮機、第1熱交換器、膨張装置、第2熱交換器の順に循環する冷媒回路と、 前記第2熱交換器の下方に配置されるドレンパンと、 前記第1熱交換器と前記膨張装置とを接続する冷媒配管とを備え、前記冷媒配管は前記ドレンパンと熱交換するように構成され、 前記第2熱交換器を用いて冷却を行なうことと、前記第2熱交換器を加熱する除霜と、前記第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱することとを動作として有し、 前記第2熱交換器を加熱する手段と、 前記第1熱交換器に送風するファンとをさらに備え、 前記除霜においては、前記手段が作動する冷凍装置。」 [相違点2] 「第2熱交換器を用いて冷却を行なうことと、前記第2熱交換器を加熱して除霜することと、前記第2熱交換器を用いた冷却を行ないながら前記ドレンパンのみを加熱することとを動作として有する」ことについて、本件補正発明では、「冷凍モード」、「第1除霜モード」及び「第2除霜モード」と表現することで、これらのモードを「動作モードとして有」しているのに対して、引用発明2では、「通常の冷却運転」、「デフロスト運転」及び「ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、ドレンパン(7)のみを加熱し、蒸発器(5)では通常の冷却作用を奏する運転」を動作として行うものの、各動作を動作モードとして有するという表現がなされていない点。 [相違点3] 「第2熱交換器を加熱する手段」について、本件補正発明は、「ヒーター」を用い、「第1除霜モードにおいては、前記ヒーターが作動」するのに対して、引用発明2は、「蒸発器(5)を加熱するホツトガスデフロスト回路(8)」を用い、「デフロスト運転においては、ホツトガスデフロスト回路(8)に蒸発器(5)を加熱する冷媒を供給」するものである点。 [相違点4] 本件補正発明は、「第2除霜モードにおいては、前記ヒーターが非作動とされ」、「第2除霜モードにおける前記ファンの回転速度は、前記冷凍モードにおける前記ファンの回転速度よりも低く設定される」のに対して、引用発明2は、「通常の冷却運転において前記ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、前記送風機(3)の運転が停止される」点。 (2)判断 相違点2については、相違点1と実質的に同じであって、上記第6の2.の相違点1の判断において検討したとおりである。 次に、相違点3について検討するに、引用発明2の「蒸発器(5)を加熱するホツトガスデフロスト回路(8)」は、冷媒により、蒸発器(5)を加熱するものである。 そうすると、引用発明2の「蒸発器(5)を加熱するホツトガスデフロスト回路(8)」は、「ヒーター」であるとも理解できる。また、引用発明2の「デフロスト運転においては、ホツトガスデフロスト回路(8)に蒸発器(5)を加熱する冷媒を供給」することは、本件補正発明の「第1除霜モードにおいては、前記ヒーターが作動」することに相当すると理解できる。この理解において、相違点3は、実質的な相違とはいえず、引用発明2も相違点3に係る本件補正発明の発明特定事項を実質的に備えている。 相違点3が仮に実質的な相違であるものとしてさらに検討を進めると、引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献3に記載された技術的事項に見られるとおり、熱交換器を加熱する手段として、ヒーターを用いることは、冷凍サイクルを用いた機器の技術分野において従来周知の技術に過ぎない。 そして、熱交換器を加熱する手段について、引用発明2における蒸発器(5)を加熱するホツトガスデフロスト回路(8)を、作用・機能が共通する手段である従来周知のヒーターと置換することは、当業者が容易になし得たものである。 そうすると、相違点3が仮に実質的な相違であるとしても、引用発明2及び従来周知の技術に基いて相違点3に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 次に、相違点4について検討するに、通常の冷却運転では、ホツトガスデフロスト回路(8)に蒸発器(5)を加熱する冷媒が流れないのであるから、「ホットガスデフロスト回路(8)が非作動とされ」ることといえる。 この理解において、相違点3で述べたとおり、「蒸発器(5)を加熱するホツトガスデフロスト回路(8)」が、「ヒーター」であると解した場合、引用発明2の「通常の冷却運転において前記ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、前記送風機(3)の運転が停止される」は、「第2除霜モードにおいては、前記ヒーターが非作動」との事項を備えている。 また、仮にこのように解せないとしても、熱交換器を加熱する手段について、引用発明2における蒸発器(5)を加熱するホツトガスデフロスト回路(8)を、作用・機能が共通する手段である従来周知のヒーターと置換することは、当業者が容易に想到し得たものである。 また、通常の冷却運転時には、上記第5の1.(1)イに「ドレンパン(7)の温度が0℃以上になれば感温部(11a)により温度検出器(11)が閉路し、送風機(3)を運転する」と記載されていることから、送風機(3)は作動している。 そうすると、ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合には、送風機(3)の運転が停止されるから、送風機(3)の回転速度は、蒸発器(5)を用いて冷却を行う通常の冷却運転の送風機(3)の回転速度よりも低く設定されるものということができる。 よって、引用発明2の「ドレンパン(7)内の温度が0℃以下に低下した場合、ドレンパン(7)のみを加熱し、蒸発器(5)では通常の冷却作用を奏する運転」において「送風機(3)の運転が停止される」ことは、本件補正発明の「第2除霜モードにおける前記ファンの回転速度は、前記冷凍モードにおける前記ファンの回転速度よりも低く設定される」と、実質的に相違しない。 そうすると、相違点4は、実質的な相違でないか、引用発明2及び従来周知の技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 また、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明2及び従来周知の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 4. 小括 以上のとおり、本件補正発明も、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 5. 審判請求書及び令和5年3月29日の上申書における審判請求人の主張について (1) 審判請求人の主張 審判請求人は、令和5年1月30日に提出された審判請求書において、「引用文献2,引用文献3はいずれも熱交換器、ドレンパンを別々のヒーターで加熱している。引用文献2または引用文献3を引用文献1に組み合わせる場合に、ドレンパンのヒーターを削除して組み合わせるのは、本願の明細書を見た上でないと思い付く内容ではないので、本願出願時の当業者にとって容易とは言えない。」と主張すると共に、令和5年3月29日に提出された上申書において、「周知技術の例として引用された引用文献2および3に記載された構成は、いずれも、第2熱交換器のヒーターとドレンパンのヒーターとの両方を備えております。前置報告書では、「ドレンパンのヒーター」が請求項1の記載に基づくものではないと記載されています。しかし、出願人は審査官が文献1と文献2または3とを組み合わせる際の手法について述べており、「ドレンパンのヒーター」について請求項1の構成要件であるとは述べておりません。すなわち、引用文献2および3に記載の構成は、いずれも、第2熱交換器のヒーターとドレンパンのヒーターとの両方を備えることを主張しており、これらを引用文献1に組み合わせるに際し、引用文献2または引用文献3に記載の構成からドレンパンのヒーターを削除して、第2熱交換器のヒーターのみを採用して文献1に組み合わせることは、出願時の当業者が容易に採用することであるとは言えない旨を主張しております。また、引用文献2または3をドレンパンのヒーターを削除せずに引用文献1に組み合わせるとすると、ドレンパンに過剰な加熱手段を有することとなるので、そもそも当業者は組み合わせることを思いつきません。」と主張している。 (2) 当審の見解 引用文献2及び引用文献3に、熱交換器を加熱するヒーターと、ドレンパンを加熱するヒーターとの両方を備えるものが記載されていることは、審判請求人が主張しているとおりである。 しかしながら、引用文献2及び引用文献3に開示される、熱交換器を加熱するヒーターとドレンパンを加熱するヒーターとは、それぞれが独立したものであって、熱交換器を加熱するヒーターでドレンパンを加熱する、或いはその逆を行うなど、両者が一体不可分であることによってのみ作動する等、熱交換器を加熱するヒーターとドレンパンを加熱するヒーターとを両方備えるように適用しなければならないとする特別な事情は見出せない。 また、上記第8の2.(2)ア(イ)の段落【0067】に「蒸発器用ヒーター8aにより熱源側熱交換器104を加熱する代わりに、熱源側熱交換器104の伝熱管に高温の冷媒を通過させることで加熱するようにした」という記載事項があるとおり、引用文献2は、熱交換器を加熱する手段として、ヒーター(蒸発器用ヒーター8a)と異なる加熱手段(熱源側熱交換器104の伝熱管に高温の冷媒を通過させること)を採用することも教示している。 そして、上記教示は、ドレンパンの加熱手段とは別に、熱交換器を加熱するための適宜の手段を選択できることを示すものといえるから、引用発明2に、引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献3に記載された技術的事項から導出される周知の技術を適用するに当たり、ドレンパンを加熱するヒーターを共に採用しなければならない事情はない。 したがって、上記審判請求人の主張を採用することはできない。 第9 結び 上記第7及び第8の4.で示したとおり、本願発明及び本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-001539

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  • 2024-013752拒絶査定不服審判 / 2026-07-15 / 請求不成立ヒートポンプ
    共通の審決分類: 121・F25B、561・F25B
  • 2023-018244拒絶査定不服審判 / 2025-06-06 / 請求不成立冷凍サイクル装置
    共通の審決分類: 121・F25B、561・F25B
  • 2016-008469拒絶査定不服審判 / 2017-07-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)極低温冷凍機
    共通の審決分類: 121・F25B、561・F25B
  • 2024-000308拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)冷凍装置
    共通の審決分類: 121・F25B
  • 2024-017643拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)極低温冷凍機および熱スイッチ
    共通の審決分類: 121・F25B

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