特許無効審判
2022-800059
配線器具
- 審判番号
- 2022-800059
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2021-062662
- 登録番号
- 6924960
- 請求日
- 2022年06月29日
- 審決日
- 2023年12月05日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】大和電器 株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人IP-FOCUS
- 【請求人代理人】押久保 政彦
- 【被請求人】パナソニックIPマネジメント 株式会社
- 【被請求人代理人】小菅 一弘
- 【被請求人代理人】森林 克郎
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 脇岡 剛
- 審判官 稲垣 良一
- 分類
- P1123.113-YAA(H02G) / P1123.121-YAA(H02G) / P1123.851-YAA(H02G) / P1123.854-YAA(H02G) / P1123.856-YAA(H02G) / P1123.857-YAA(H02G) / P1123.841-YAA(H02G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第29条第2項、特許法第134条の2第3項、特許法第29条第1項第3号、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第6924960号発明「配線器具」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6924960号の特許請求の範囲を令和4年11月18日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3、5、10~12〕、〔6、8〕、13について訂正することを認める。
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨
1 請求の趣旨
特許第6924960号発明の特許請求の範囲の請求項3に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。
2 答弁の趣旨
本審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。
第2 手続の経緯
1 本件特許の設定登録までの経緯の概略
特許第6924960号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成29年1月13日を出願日とする特願2017-004711号の一部を令和2年1月23日に特願2020-009460号として新たな出願とし、さらにその一部を令和3年4月1日に特願2021-062662号として新たな出願としたものであって、令和3年8月5日に設定登録がなされた。
2 本件特許無効審判事件における手続の経緯の概略
本件特許無効審判事件における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和4年 6月29日 : 審判請求書の提出
令和4年11月18日 : 審判事件答弁書及び訂正請求書の提出
令和4年12月27日付け: 答弁書副本の送付通知(弁駁指令)
令和5年 2月 3日 : 審判事件弁駁書の提出
令和5年 3月 3日付け: 補正許否の決定
令和5年 3月 3日付け: 通知書(答弁指令)
令和5年 4月 6日 : 審判事件答弁書(以下、「第2回答弁書」
という。)の提出
令和5年 4月27日付け: 答弁書副本の送付通知(弁駁指令)
令和5年 7月 6日付け: 審理事項通知
令和5年 7月21日 : 口頭審理陳述要領書(被請求人:以下、
「被請求人陳述要領書」という。)の提出
令和5年 7月24日 : 口頭審理陳述要領書(請求人:以下、
「請求人陳述要領書」という。)の提出
令和5年 8月 7日 : 口頭審理(第1回口頭審理調書)
令和5年 8月 7日 : 上申書(請求人:以下、
「請求人上申書1」という。)の提出
令和5年 8月 8日 : 上申書(被請求人)の提出
令和5年 8月21日 : 上申書(請求人:以下、
「請求人上申書2」という。)の提出
令和5年 8月21日 : 上申書(被請求人)の提出
なお、令和5年4月27日付けの答弁書副本の送付通知(弁駁指令)に対して、請求人からの応答はなかった。
第3 訂正請求について
1 訂正の趣旨
令和4年11月18日に提出された訂正請求書による訂正請求の趣旨は、「特許第6924960号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項3、5、6、8、10~13について訂正することを求める。」というものである。
2 訂正の内容
上記訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は当審で付与した。以下同様。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項3に「前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、支持部材と、」と記載されているのを、
「前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、第2基板と、支持部材と、」に、
「前記支持部材は、前記第1基板を支持する支持部と、前記ハウジングに接触する接触部と、を有している、」と記載されているのを、
「前記支持部材は、前記第1基板を支持する支持部と、側壁部と、前記ハウジングに接触する接触部と、を有し、前記側壁部で囲まれた空間内に前記第2基板の一部が収納される、」に訂正する。(請求項3の記載を引用する請求項5、請求項10~12も同様に訂正する)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に「取付枠を用いて施工面に取り付けられる、請求項3又は4に記載の配線器具。」と記載されているのを「取付枠を用いて施工面に取り付けられる、請求項3に記載の配線器具。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に「前記ハウジングに収納される第2基板を更に備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の配線器具。」と記載されているのを、訂正前の請求項1ないし5を引用するもののうち、訂正前の請求項3を引用するものについて独立形式に改めた上で、
「埋込型の配線器具であって、
第1面及び第2面を有し、前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、
支持部材と、
前記第1基板を収納するハウジングと、を備え、
前記支持部材は、
前記第1基板を支持する支持部と、
前記ハウジングに接触する接触部と、を有し
前記ハウジングに収納される第2基板を更に備え、
前記支持部材は、側壁部を有し、
前記接触部は、前記側壁部から前記第1内側端子に対する第1外側端子の差込方向に突出する、
配線器具。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項8に「前記支持部材は、前記第2基板の一部を収納する収納部を有している、請求項6又は7に記載の配線器具。」と記載されているのを「前記支持部材は、前記第2基板の一部を収納する収納部を有している、請求項6に記載の配線器具。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項10に「前記第1基板の前記第2面には電子部品が配置され、前記支持部は、前記電子部品が通る部品挿通孔を有している、請求項1~9のいずれか1項に記載の配線器具。」と記載されているのを「前記第1基板の前記第2面には電子部品が配置され、前記支持部は、前記電子部品が通る部品挿通孔を有している、請求項3に記載の配線器具。」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項11に「前記第1内側端子は、差込式の第1外側端子を接続可能に構成され、前記ハウジングは、前記第1外側端子を通すための第1挿通孔を有するカバーと、前記カバーと結合するボディと、を含み、前記支持部材は、前記カバーと前記ボディにより前記第1内側端子に対する前記第1外側端子の差込方向に位置決めされている、請求項1~10のいずれか1項に記載の配線器具。」と記載されているのを「前記第1内側端子は、差込式の第1外側端子を接続可能に構成され、前記ハウジングは、前記第1外側端子を通すための第1挿通孔を有するカバーと、前記カバーと結合するボディと、を含み、前記支持部材は、前記カバーと前記ボディにより前記第1内側端子に対する前記第1外側端子の差込方向に位置決めされている、請求項3、10のいずれか1項に記載の配線器具。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項12に「前記支持部材は、前記第1基板を前記支持部材に固定するための固定構造を有している、請求項1~11のいずれか1項に記載の配線器具。」と記載されているのを「前記支持部材は、前記第1基板を前記支持部材に固定するための固定構造を有している、請求項3、10、11のいずれか1項に記載の配線器具。」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項13に「前記第1内側端子はUSBソケットである、請求項1~12のいずれか1項に記載の配線器具。」とされているのを、訂正前の請求項1ないし12を引用するもののうち、訂正前の請求項3を引用するものについて独立形式に改めた上で、
「埋込型の配線器具であって、
第1面及び第2面を有し、前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、
支持部材と、
前記第1基板を収納するハウジングと、を備え、
前記支持部材は、
前記第1基板を支持する支持部と、
前記ハウジングに接触する接触部と、を有し
前記第1内側端子はUSBソケットであり、
前記第1基板の前記第2面には電子部品が配置され、
前記支持部材は前記電子部品が通る部品挿通孔を有している、
配線器具。」に訂正する。
3 一群の請求項について
本件訂正前の請求項3、5、6、8、10~13について、請求項5、6、8、10~13は、請求項3の記載を直接又は間接的に引用しており、訂正事項1によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものであるから、本件訂正後の請求項3、5、6、8、10~13は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。
なお、被請求人は、訂正請求書第19頁において「訂正後の請求項3およびこれを引用する請求項5、10~12、訂正後の請求項6およびこれを引用する請求項8、訂正後の請求項13については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正する」ことを求めている。
4 訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1
ア.訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前の請求項3の「配線器具」について、「第2基板」を備えるとの事項を付加するとともに、本件訂正前の請求項3の「支持部材」について、当該「支持部材」は「側壁部」を有し、「前記側壁部で囲まれた空間内に前記第2基板の一部が収納される」との事項を付加するものである。
したがって、訂正事項1は、上記「配線器具」及び上記「支持部材」の構成に、更に発明特定事項を付加して限定しようとするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件設定登録時の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件訂正前明細書等」という。)の「配線器具10は、図1に示すように、第1内側端子8と、第2内側端子9と、第1基板5と、第2基板6と、第3基板7と、ハウジング1と、を備えている。」(段落0015)によると、本件訂正前明細書等には、「配線器具」が「第2基板」を備えることが記載されているといえる。
また、本件訂正前明細書等の「支持部材4は、支持部41と、下側壁部42と、上側壁部43と、左側壁部44と、右側壁部45と、を有している。ここに、本実施形態では、下側壁部42、上側壁部43、左側壁部44及び右側壁部45により側壁部が構成されている。」(段落0061)と、「ボディ2に支持部材4を載せた状態では、支持部41、下側壁部42、上側壁部43、左側壁部44及び右側壁部45で囲まれた空間内に第2基板6の一部が収納される。」(段落0076)との記載、及び、図面(図1、図7、図9)によると、本件訂正前明細書等には、「支持部材」に「側壁部」を付加し、「前記側壁部で囲まれた空間内に前記第2基板の一部が収納される」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正事項1は、本件訂正前明細書等の記載に基づくものであるから、本件訂正前明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、訂正事項1は、本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、上記アで検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア.訂正の目的
訂正事項2は、請求項5が引用する請求項について、「請求項3又は4」から「請求項3」のみに訂正するものである。
したがって、訂正事項2は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、本件訂正前明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2は、本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、上記アで検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項2は、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(3)訂正事項3
ア.訂正の目的
訂正事項3は、請求項6について、「請求項1~5のいずれか1項」を引用するものから、他の請求項との引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
さらに、訂正事項3は、本件訂正前の請求項6の「支持部材」について、「側壁部」を有するとの事項を付加するとともに、本件訂正前の請求項6の「接触部」について、「前記側壁部から前記第1内側端子に対する第1外側端子の差込方向に突出する」との事項を付加するものといえるところ、上記訂正事項は、上記「支持部材」及び上記「接触部」の構成に、更に発明特定事項を付加して限定しようとするものであるから、訂正事項3は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件訂正前明細書等の「支持部材4は、支持部41と、下側壁部42と、上側壁部43と、左側壁部44と、右側壁部45と、を有している。ここに、本実施形態では、下側壁部42、上側壁部43、左側壁部44及び右側壁部45により側壁部が構成されている。」(段落0061)との記載によると、本件訂正前明細書には、「支持部材」に「側壁部を有する」ことが記載されているといえる。
また、本件訂正前明細書等の「第1基板5及び第3基板7の法線方向は、第1内側端子8に対する第1外側端子18の差込方向(前後方向)に沿う方向である。」(段落0017)、及び、「複数の押さえ部420、421は、下側壁部42の後端部から後方に突出している。」(段落0069)との記載によると、本件訂正前明細書には、「接触部」を「前記側壁部から前記第1内側端子に対する第1外側端子の差込方向に突出する」ものとすることが記載されているといえる。
したがって、訂正事項3は、本件訂正前明細書等に記載されたものであるから、本件訂正前明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、訂正事項3は、本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、上記アで検討したとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的し、また、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項3は、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(4)訂正事項4
ア.訂正の目的
訂正事項4は、請求項8が引用する請求項について、「請求項6又は7」から「請求項6」のみに訂正するものである。
したがって、訂正事項4は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、本件訂正前明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項4は、本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、上記アで検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項4は、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(5)訂正事項5
ア.訂正の目的
訂正事項5は、請求項10が引用する請求項について、「請求項1~9のいずれか1項」から「請求項3」のみに訂正するものである。
したがって、訂正事項5は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、本件訂正前明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項5は、本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、上記アで検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項5は、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(6)訂正事項6
ア.訂正の目的
訂正事項6は、請求項11が引用する請求項について、「請求項1~10のいずれか1項」から「請求項3、10のいずれか1項」に訂正するものである。
したがって、訂正事項6は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、本件訂正前明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項6は、本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、上記アで検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項6は、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(7)訂正事項7
ア.訂正の目的
訂正事項7は、請求項12が引用する請求項について、「請求項1~11のいずれか1項」から、「請求項3、10、11のいずれか1項」に訂正するものである。
したがって、訂正事項7は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、本件訂正前明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項7は、本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、上記アで検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項7は、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(8)訂正事項8
ア.訂正の目的
訂正事項8は、請求項13について、「請求項1~12のいずれか1項」を引用するとしていたものから、他の請求項との引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
さらに、訂正事項8は、本件訂正前の請求項13の「第1基板」について、「前記第2面には電子部品が配置」されるとの事項を付加するとともに、本件訂正前の請求項13の「支持部材」について、「前記電子部品が通る部品挿通孔を有している」との事項を付加するものといえるところ、上記訂正事項は、上記「第1基板」及び上記「支持部材」の構成に、更に発明特定事項を付加して限定しようとするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件訂正前明細書等の「また、支持部41に第1基板5が取り付けられた(支持された)状態では、第1基板5に実装された電子部品15が支持部41の部品挿通孔411に通される。」(段落0067)、「続けて、作業者は、支持部材4の支持部41に第1基板5を固定する。このとき、第1基板5に設けられた3個の位置決め孔53に、支持部41に設けられた3個の位置決め突起412がそれぞれ嵌め込まれる。またこのとき、第1基板5の第2面52に配置された電子部品15が部品挿通孔411に通され、」(段落0077)との記載、及び、図面(図1)によると、本件訂正前明細書には、「第1基板の第2面には電子部品が配置され、支持部材は電子部品が通る部品挿通孔を有している」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正事項8は、本件訂正前明細書等の記載に基づくものであるから、本件訂正前明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、訂正事項8は、本件訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項8は、上記アで検討したとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的し、また、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
よって、訂正事項8は、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項に適合するものである。
5 本件訂正後の発明の独立特許要件
本件無効審判の請求は、本件訂正前の請求項3に係る発明についての特許が対象とされているので、特許法第134条の2第9項の規定により読み替えて準用される同法第126条第7項に規定される独立特許要件は、本件訂正後の請求項3に係る発明に課されない。
一方、上記の請求項と一群の請求項の関係であることにより訂正がなされる請求項5、6、8、10~13に係る発明についての特許は、本件無効審判の請求の対象とされておらず、いずれも上記4で説示したとおり、これらの請求項が直接又は間接的に引用する請求項と連動して、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正がなされるものであるから、本件訂正後の請求項5、6、8、10~13に係る発明は、上記独立特許要件が課されるものである。
以下、本件訂正後の請求項5、6、8、10~13に係る発明に係る発明の上記独立特許要件ついて検討する。
(1)本件訂正後の請求項5、10~12に係る発明について
下記第7で説示するように、本件訂正後の請求項3に係る発明についての特許は無効とするべきものではないところ、本件訂正後の請求項5、10~12に係る発明は、本件訂正後の請求項3に係る発明を直接的又は間接的に引用して、本件訂正後の請求項3に係る発明をさらに限定したものであって、他に無効とする理由も発見されないから、上記独立特許要件を満たしていると認められる。
(2)本件訂正後の請求項6、8に係る発明について
本件訂正後の請求項6に係る発明(以下、「本件訂正発明6」という。)の「前記ハウジングに接触する接触部」及び「前記支持部材は、側壁部を有し、前記接触部は、前記側壁部から前記第1内側端子に対する第1外側端子の差込方向に突出する」に関して、本件明細書(段落0009、0069-0072、0075、0085)の記載を参酌すると、「支持部材」は、「支持部41の載置面400」から「後方(第1基板5と反対側)に突出」する「下側壁部42、上側壁部43、左側壁部44及び右側壁部45」(「側壁部」)と、「下側壁部42、上側壁部43及び右側壁部45」の「後端部から後方に突出」して設けられた「接触部としての押さえ部420、430、450」とを有し、「接触部としての押さえ部420、430、450」が「ボディ2」に接触することによって、「第1内側端子に第1外側端子を差し込む際に、第1外側端子から加えられる応力を支持部材で受ける」ものといえることからすると、本件訂正発明6の「側壁部」は、「第1基板」とは反対側(差込方向)に設けられるものであり、また、上記「接触部」は「側壁部」の差込方向に突出して設けられるものと解される。
この点を踏まえて本件訂正発明6と、下記第7の1において説示する甲1発明とを対比すると、本件訂正発明6では、「支持部材」が、「側壁部」と「接触部」とを有し、「前記側壁部から前記第1内側端子に対する第1外側端子の差込方向に突出」する「前記ハウジングに接触する接触部」を有するものであるところ、甲1発明は、当該「側壁部」と「接触部」とに係る構成を具体的に特定していない点で相違し、その余の点において一致すると認められる。
上記相違点について検討すると、下記第7の3及び同5での説示と同様の理由により、少なくとも上記「側壁部」に係る構成は、甲1発明、及び、甲6技術又は甲7技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないといえる。
したがって、上記相違点の「接触部」に係る構成を判断するまでもなく、上記相違点は、当業者が容易に発明することができたとはいえない。
また、他に無効とする理由も発見されないから、本件訂正発明6は、上記独立特許要件を満たしていると認められる。
さらに、本件訂正後の請求項8は、請求項6を引用するものであるところ、同様の理由により、上記独立特許要件を満たしていると認められる。
(3)本件訂正後の請求項13に係る発明について
本件訂正後の請求項13に係る発明(以下、「本件訂正発明13」という。)は、「前記第1基板の前記第2面には電子部品が配置され、前記支持部材は、前記電子部品が通る部品挿通孔を有している」及び「前記支持部材は、」「前記ハウジングに接触する接触部」「を有し」ているのに対して、甲1発明は、これらの事項に係る構成を具体的に特定していない点で相違し、その余の点において一致すると認められる。
上記相違点について検討すると、上記「前記第1基板の前記第2面には電子部品が配置され、前記支持部材は、前記電子部品が通る部品挿通孔を有している」に係る構成(以下、「部品挿通孔に係る構成」という。)は、下記第7の1において説示する甲第6号証及び甲第7号証には開示されておらず、本件特許出願時の技術常識であるともいえない。
特に、建物内の壁面に取り付けられる配線器具に関し、筐体の機能や構造を最適なものとすることが、本件特許出願時の技術常識であるところ、上記配線器具である甲1発明においても、セパレータ15やハウジングアセンブリ等の筐体の機能や構造は、既に最適化されたものであると考えるのが合理的であるから、当該最適化された構成を変更してまで、甲1発明に上記部品挿通孔に係る構成を適用する動機付けがあるとは当業者といえども認められない。
また、甲1発明において上記部品挿通孔に係る構成を設ける場合、「第1基板の第2面」に配置した電子部品が「部品挿通孔」を介して第2基板側へ突出し、第2基板に配置された部品と干渉することが想定されるため、この干渉を避けるために、筐体の大型化や部品の再配置などを強いられることからすると、阻害要因が存在するともいえる。
したがって、甲1発明において、上記部品挿通孔に係る構成を設けることは、当業者が容易に想到することができたものではない。
以上のとおりであるから、上記相違点の「前記支持部材は、」「前記ハウジングに接触する接触部」を有することに係る構成について判断するまでもなく、本件訂正発明13は、甲1発明、及び、甲6技術又は甲7技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
また、他に無効とする理由も発見されないから、本件訂正発明13は、上記独立特許要件を満たしていると認められる。
(4)小括
したがって、本件訂正後の請求項5、6、8、10~13に係る発明は、特許法第134条の2第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に適合するものである。
6 訂正請求についての結論
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項ないし第7項に適合するものである。
よって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔3、5、10~12〕、〔6、8〕、13について訂正を認める。
第4 本件特許発明
本件訂正の請求が認められたことにより、本件特許の請求項1ないし13に係る発明は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
このうち、請求人が本件無効審判の請求を行っている本件特許の請求項3に係る発明を、以下、「本件特許発明」という。
「【請求項1】
施工面に形成された施工孔から前面を前方に露出させるように前記施工面に取り付けられる配線器具であって、
第1面及び第2面を有し、前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、
支持部材と、
前記第1基板を収納するハウジングと、を備え、
前記支持部材は、
前記第1基板を支持する支持部と、
前記ハウジングに接触する接触部と、を有している、
配線器具。
【請求項2】
取付枠を用いて前記施工面に取り付けられる、
請求項1に記載の配線器具。
【請求項3】
埋込型の配線器具であって、
第1面及び第2面を有し、前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、第2基板と、
支持部材と、
前記第1基板を収納するハウジングと、を備え、
前記支持部材は、
前記第1基板を支持する支持部と、側壁部と、
前記ハウジングに接触する接触部と、を有し、前記側壁部で囲まれた空間内に前記第2基板の一部が収納される、
配線器具。
【請求項4】
第1面及び第2面を有し、前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、
支持部材と、
前記第1基板を収納するハウジングと、を備え、
前記支持部材は、
前記第1基板を支持する支持部と、
前記ハウジングに接触する接触部と、を有し、
前記支持部は、前記第1基板の前記第2面と接触する載置面を有している、
配線器具。
【請求項5】
取付枠を用いて施工面に取り付けられる、
請求項3に記載の配線器具。
【請求項6】
埋込型の配線器具であって、
第1面及び第2面を有し、前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、
支持部材と、
前記第1基板を収納するハウジングと、を備え、
前記支持部材は、
前記第1基板を支持する支持部と、
前記ハウジングに接触する接触部と、を有し
前記ハウジングに収納される第2基板を更に備え、
前記支持部材は、側壁部を有し、
前記接触部は、前記側壁部から前記第1内側端子に対する第1外側端子の差込方向に突出する、
配線器具。
【請求項7】
第1面及び第2面を有し、前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、
前記第1基板の前記第2面側に配置される第2基板と、
支持部材と、
前記支持部材と別体であって、前記第1基板及び前記第2基板を収納するハウジングと、を備え、
前記支持部材は、
前記第1基板を支持する支持部と、
前記ハウジングに接触する接触部と、を有している、
配線器具。
【請求項8】
前記支持部材は、前記第2基板の一部を収納する収納部を有している、
請求項6に記載の配線器具。
【請求項9】
前記支持部は、前記第1基板の前記第2面と接触する載置面を有している、
請求項7に記載の配線器具。
【請求項10】
前記第1基板の前記第2面には電子部品が配置され、
前記支持部は、前記電子部品が通る部品挿通孔を有している、
請求項3に記載の配線器具。
【請求項11】
前記第1内側端子は、差込式の第1外側端子を接続可能に構成され、
前記ハウジングは、
前記第1外側端子を通すための第1挿通孔を有するカバーと、
前記カバーと結合するボディと、を含み、
前記支持部材は、前記カバーと前記ボディにより前記第1内側端子に対する前記第1外側端子の差込方向に位置決めされている、
請求項3、10のいずれか1項に記載の配線器具。
【請求項12】
前記支持部材は、前記第1基板を前記支持部材に固定するための固定構造を有している、
請求項3、10、11のいずれか1項に記載の配線器具。
【請求項13】
埋込型の配線器具であって、
第1面及び第2面を有し、前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、
支持部材と、
前記第1基板を収納するハウジングと、を備え、
前記支持部材は、
前記第1基板を支持する支持部と、
前記ハウジングに接触する接触部と、を有し
前記第1内側端子はUSBソケッ卜であり、
前記第1基板の前記第2面には電子部品が配置され、
前記支持部材は、前記電子部品が通る部品挿通孔を有している、
配線器具。」
第5 請求人の主張及び証拠方法
1 無効理由
請求人が主張する無効理由は、審判請求書、審判事件弁駁書、請求人陳述要領書、口頭審理、請求人上申書1、及び、請求人上申書2を総合すると、次のとおりのものである。
なお、請求人は、口頭審理において、特許法第29条第1項第3号を根拠とする無効理由の主張を取り下げ、被請求人は当該取り下げを承諾した(第1回口頭審理調書)。
「本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第6号証に記載された発明又は甲第7号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。」
2 証拠方法
請求人は、審判請求書に以下の甲第1号証、甲第2号証を添付して提出し、審判事件弁駁書に以下の甲第3号証ないし甲第7号証を添付して提出し、請求人陳述要領書に以下の甲8号証を添付して提出した。(以下、甲第1号証ないし甲第8号証を「甲1」ないし「甲8」という場合がある。)
甲第1号証:米国特許出願公開2013/0280956号明細書
甲第2号証:対比表
甲第3号証:対比表
甲第4号証:甲1の実施品である製品に関する説明
甲第5号証:甲4の製品カタログ
甲第6号証:特開2011-67019号公報
甲第7号証:米国特許出願公開2014/0177169号明細書
甲第8号証:甲4製品と甲1発明との対比説明
第6 被請求人の主張及び証拠方法
1 主張の概要
請求人の主張する上記無効理由は理由がない。(第2回答弁書第2頁「7.答弁の理由」参照)
2 証拠方法
被請求人は、被請求人陳述要領書に以下の乙第1号証を添付して提出した。
乙第1号証:令和4年(ワ)第2501号侵害事件における被告準備書面(8)
第7 当審の判断
1 甲号証の記載事項
(1)甲第1号証
ア.甲1には、図面とともに次の事項が記載されている。(日本語訳は請求人による。)
(ア)「
[0003] The present invention relates generally to electrical wiring devices, and particularly to devices that include relatively high current USB charging receptacles.
(中略)
[0005] Electrical distribution systems deliver power throughout a building from the power source to electrical wiring devices. Electrical wiring devices are connected to the electrical distribution system by way of a plurality of terminals and deliver power from the power source to a load. One or more electrical wiring devices can be mounted to a device box depending on the size of the device box. Once the electrical wiring device is installed inside the device box, a cover plate is disposed over the electrical wiring device to complete the installation. Electrical wiring devices typically include receptacles, switches, ground fault circuit interrupters, GFCIs, arc fault circuit interrupters, AFCIs, transient surge suppressors, TVSSs, occupancy sensors, dimmers, timers, and low voltage devices. These devices were introduced to the market place as the state of the art developed over time. Of course, the state of the art continues to develop.
(中略)
[0013] The present invention addresses the needs described above by providing a wall mountable electrical wiring device that includes multiple USB receptacles that provide a relatively high charging current. The present invention addresses the needs described above by providing a wall mountable electrical wiring device that includes at least one USB receptacle in combination with a power control device such as an AC outlet receptacle or a switching device.
(中略)
[0038] As embodied herein, and depicted in FIG. 1, a perspective view of an embodiment of an electrical wiring device 10 is disclosed. This embodiment of the present invention includes a front cover 12 that has dual USB receptacle ports 12-1 and a 120 VAC, 15 A receptacle 12-2. The front cover 12 mates with a back body member 14. Back body member 14 includes vent openings 14-1 that allows thermal energy generated by the internal circuitry to dissipate. A mounting strap 16 is coupled to the back body member 14 and provides the means for the user to connect the device 10 to a device box installed in a wall opening (not shown). FIG. 2 is a rear view of the device depicted in FIG. 1. In this view, the vent openings 14-1 are shown to be disposed in both the side and rear portions of the back body member 14. The device 10 includes a hot terminal 18 and a neutral terminal 19 that allow the device 10 to be connected to AC power. Once the device is installed, a cover plate (not shown) surrounds front cover 12 to complete the enclosure. By completing the enclosure, the inventors mean that no electrical charged components or electrical distribution wires connected to terminals 18, 19 are accessible to the user after the plate is in place.
[0039] Referring to FIG. 3, an exploded view of the device depicted in FIG. 1 is disclosed. As noted above, the device 10 includes a housing assembly that has back body member 14 coupled to the front cover member 12. The plurality of terminals (18, 19) is configured to connect the device 10 to a source of AC power. The back body member 14 includes compartments 14-2, 14-3. The compartment 14-2 is configured to accommodate a separator member 15 that is further configured to divide compartment 14-2 into a lower compartment and an upper compartment. Thus, during assembly, the AC printed circuit board (PCB) assembly 140 is inserted into the first compartment 14-2, the separator member 15 is disposed over top, and then the low voltage PCB assembly 120 is placed on top of the separator 15.
(中略)
[0042] Referring to the low voltage printed circuit board (PCB) assembly 120 disposed over the separator member 15, it includes a universal serial bus (USB) charging interface circuit that is configured to convert the modulated power signal (of the AC assembly 140) into a low voltage direct current (DC) charging signal. The low voltage PCB assembly 120 includes two single port USB sockets 120-1, 120-2 coupled to the USB charging interface circuit. Low voltage PCB 122 is parallel to separator member 15. Thus the sockets 120-1, 120-2 are each accessible via the USB apertures 12-1 formed in the front cover member 12. In an embodiment of the invention, the center lines of the two single port USB sockets are spaced apart by about 0.5 inches whereas known unitized dual port USB sockets are spaced apart by about 0.3 inches. Series “A” USB plugs are about 0.3 inches wide. By using single port sockets and going to a greater separation distance it is easier to insert and remove a plug while the other one is in use. The USB charging interface circuit is configured to provide the low voltage DC charging signal to two devices-under-charge at a maximum predetermined charging current. In one embodiment, the maximum charging current provided by assembly 120 is approximately 2.1 Amperes.
」
(日本語訳:「
[0003] 本発明は、一般に電気配線装置に関し、特に、比較的大電流のUSB充電レセプタクルを含む装置に関するものである。
(中略)
[0005] 配電システムは、電源から電気配線機器まで、建物全体に電力を供給する。電気配線デバイスは、複数の端子を介して配電システムに接続され、電源から負荷に電力を供給する。電気配線機器は、機器箱の大きさに応じて、1つまたは複数個を機器箱に取り付けることができる。電気配線装置が装置ボックス内に設置されると、電気配線装置の上にカバープレートが配置され、設置が完了する。電気配線機器には、レセプタクル、スイッチ、漏電遮断器(GFCI)、漏電遮断器(AFCI)、過渡電圧抑制器(TVSS)、居住センサー、調光器、タイマー、低圧機器などがあります。これらの機器は、時間の経過とともに技術の進歩に伴って市場に導入されました。もちろん、技術的な進歩は続いている。
(中略)
[0013] 本発明は、比較的高い充電電流を提供する複数のUSBレセプタクルを含む壁取付け可能な電気配線装置を提供することによって、上述のニーズに対応する。本発明は、ACコンセントレセプタクルまたはスイッチングデバイスなどの電力制御デバイスと組み合わせて少なくとも1つのUSBレセプタクルを含む壁取付け可能な電気配線デバイスを提供することによって、上述したニーズに対処している。
(中略)
[0038] 本明細書に具体化され、図1に描かれているように、電気配線装置10の一実施形態の透視図が開示される。本発明のこの実施形態は、デュアルUSBレセプタクルポート12-1と120VAC、15Aレセプタクル12-2とを有するフロントカバー12を含む。フロントカバー12は、バックボディ部材14と嵌合する。バックボディ部材14は、内部回路によって発生する熱エネルギーを放散させるベント開口部14-1を含む。取り付けストラップ16は、バックボディ部材14に結合され、ユーザが装置10を壁の開口部(図示せず)に設置された装置ボックスに接続するための手段を提供する。図2は、図1に描かれた装置の背面図である。この図において、通気口14-1は、バックボディ部材14の側部および後部の両方に配置されることが示されている。装置10は、装置10がAC電源に接続されることを可能にするホット端子18およびニュートラル端子19を含む。装置が設置されると、カバープレート(図示せず)がフロントカバー12を囲み、筐体が完成する。筐体を完成させることによって、本発明者らは、プレートが設置された後、端子18、19に接続された電荷部品または配電線がユーザからアクセスできないことを意味している。
[0039] 図3を参照すると、図1に描かれた装置の分解図が開示されている。上述したように、装置10は、フロントカバー12に結合されたバックボディ部材14を有するハウジングアセンブリを含む、複数の端子(18、19)は、装置10をAC電源の供給源に接続するように構成される。バックボディ部材14は、区画14-2、14-3を含む。区画14-2は、区画14-2を下部区画と上部区画とに分割するようにさらに構成されたセパレータ15を収容するように構成されている。したがって、組み立ての際にACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140が第1の区画14-2に挿入され、セパレータ15が上に配置され、その後、低電圧PCBアセンブリ120がセパレータ15の上に配置される。
(中略)
[0042] セパレータ15の上に配置された低電圧プリント回路基板(PCB)アセンブリ120を参照すると、(ACアセンブリ140の)変調電力信号を低電圧直流(DC)充電信号に変換するように構成されたユニバーサルシリアルバス(USB)充電インターフェース回路を含んでいる。低電圧PCBアセンブリ120は、USB充電インターフェース回路に結合された2つのシングルポートUSBソケット120-1、120-2を含む。低電圧PCB122は、セパレータ15に平行である。従って、ソケット120-1、120-2はそれぞれ、フロントカバー12に形成されたUSB開口部12-1を介してアクセス可能である。本発明の実施形態では、2つのシングルポートUSBソケットの中心線は約0.5インチ離れているのに対し、公知のユニット化されたデュアルポートUSBソケットは約0.3インチ離れている。シリーズ”A”のUSBプラグは約0.3インチ幅です。シングルポートソケットを使用し、より大きな間隔にすることで、他のプラグが使用されている間、プラグを挿入したり取り外したりすることが容易になります。USB充電インターフェース回路は、低電圧DC充電信号を、最大所定の充電電流で2つの充電不足の機器に供給するように構成されている。一実施形態では、アセンブリ120によって提供される最大充電電流は、約2.1アンペアである。
(イ)「
[図:0001408633000001.jpg]
」
イ.甲1発明
(ア)上記段落0005、0038の記載によると、甲1には、壁の開口部に設置された装置ボックスに取り付けられる電気配線装置10が記載されているといえる。
(イ)上記段落0003、0039の記載及びFig.3によると、上記電気配線装置10は、低電圧PCBアセンブリ120と、ACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140と、セパレータ15と、フロントカバー12に結合されたバックボディ部材14を有するハウジングアセンブリとを備えるといえる。
(ウ)上記段落0042の記載及びFig.3によると、低電圧PCBアセンブリ120は、上面と下面とを有するプリント回路基板であって、当該上面には、シングルポートUSBソケット120-1、120-2が実装されているといえる。
(エ)上記段落0042の「セパレータ15の上に配置された低電圧プリント回路基板(PCB)アセンブリ120」との記載及びFig.3によれば、セパレータ15は低電圧PCBアセンブリ120を載置する載置面を有しているといえる。
(オ)上記段落0039の記載及びFig.3によると、ハウジングアセンブリは、低電圧PCBアセンブリ120、ACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140、セパレータ15を収納するものであるといえる。
(カ)以上のとおりであるから、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「壁の開口部に設置された装置ボックスに取り付けられる電気配線装置10であって、
低電圧PCBアセンブリ120と、ACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140と、セパレータ15と、フロントカバー12に結合されたバックボディ部材14を有するハウジングアセンブリとを備え、
低電圧PCBアセンブリ120は、上面と下面とを有し、当該上面にはシングルポートUSBソケット120-1、120-2が実装され、
セパレータ15は、低電圧PCBアセンブリ120を載置する載置面を有しており、
ハウジングアセンブリは、低電圧PCBアセンブリ120、ACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140、セパレータ15を収納する、
電気配線装置10。」
(2)甲第6号証
ア.甲6には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
本発明は、例えば自動車の電気回路に用いられ、各種の配線を分岐、結合する回路、更には信号の変換、増幅、演算を行う回路を内蔵した電気接続箱に関するものである。
(中略)
【0013】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る電気接続箱の実施例の斜視図、図2は断面図、図3、図4は分解斜視図である。蓋部材1、スルーピン2、スルーピン保持板3、複数枚の回路基板を積層して成る積層回路ユニット4、接続ピン5、中継部材6、コネクタ7を備えた電子回路基板8、底部材9を相互に組み付けることにより、筐体状の電気接続箱が構成されている。
【0014】
合成樹脂材から成る蓋部材1の上部には、ヒューズ素子、スイッチ素子、リレー素子などの回路素子1aを保持する複数の枠部1b、他回路のコネクタを嵌合する嵌合部1cが形成され、蓋部材1にはこれらの回路素子1aの接続端等に接続するための挿通孔1d、嵌合部1c内に突出するためのスルーピン2の接続端2aを挿通する挿通孔1dが設けられている。また、蓋部材1の左右両側には、自動車のフレーム等にこの電気接続箱を固定するための固定部1eが設けられ、蓋部材1の下部には、周囲を囲む壁部1fが形成され、壁部1fの前後に下方の中継部材6と連結するための連結部1gが設けられている。
(中略)
【0023】
中継部材6は合成樹脂材から成り、板体部6aの上面にスルーピン保持板3、積層回路ユニット4を保持し、その周囲を囲む上壁部6bが設けられ、この上壁部6bは蓋部材1の壁部1fの内側に嵌合される。また、下面の周囲にも上壁部6bよりも周囲の長さが小さな下壁部6cが設けられている。下壁部6c内には、後述する電子回路基板8のピン接続孔8dに相当する位置に、複数本の筒状のピン収容筒6dが設けられ、ピン収容筒6dの孔の上部は、積層回路ユニット4のピン挿通孔4dと連通している。
【0024】
また、下壁部6cのコネクタ7の嵌合部が位置する個所は開口部6eとされている。更に、中継部材6には蓋部材1の連結部1gと連結する連結部6fが設けられ、下方の底部材9の連結部と連結する連結部6gが設けられている。
(中略)
【0037】
次に、底部材9内に中継部材6、電子回路基板8を嵌め込むと、中継部材6の下壁部6cは底部材9の壁部9a内に嵌まり込み、中継部材6の連結部6gと底部材9の連結部9cは連結される。
」
(イ)「
[図:0001408633000002.jpg]
[図:0001408633000003.jpg]
」
イ.甲6技術
(ア) 上記段落0001によると、甲6には、各種の配線を分岐、結合する回路、更には信号の変換、増幅、演算を行う回路を内蔵した電気接続箱に関する技術が記載されているといえる。
(イ)上記段落0013の記載によると、上記電気接続箱は、複数枚の回路基板を積層して成る積層回路ユニット4と、中継部材6と、電子回路基板8とを含むものであるといえる。
(ウ)上記0023の記載によると、上記中継部材6は、上面で積層回路ユニット4を保持するとともに、下面に下壁部6cを設けられているといえる。また、上記図2、4によると、下壁部6cで囲まれた空間内に、電子回路基板8が収納されることが見て取れる。
(エ)以上のとおりであるから、甲6には次の技術(以下、「甲6技術」という。)が記載されていると認められる。
「積層回路ユニット4と中継部材6と電子回路基板8とを含む電気接続箱における中継部材6であって、
上面で積層回路ユニット4を保持するとともに、下面には下壁部6cが設けられ、当該下壁部6cで囲まれた空間内に電子回路基板8が収納される中継部材6。」
(3)甲第7号証
ア.甲7には、図面とともに次の事項が記載されている。(日本語訳は請求人による。)
(ア)
「[0027] FIG. 3 is an exploded view of the wiring device 100 including certain internal components, in accordance with an example embodiment of this disclosure. Referring to FIG. 3, the wiring device 100 further includes a daughter printed circuit board (“PCB”) 310, a hot terminal 316, a neutral terminal 318, a midframe 320, and a main PCB 330. As illustrated in FIG. 3, the top housing 104 further includes one or more cutouts 302 at one or more respective ends 301 of the top housing 104. ・・
(中略)
[0030] Referring to FIG. 3, the midframe 320 is generally disposed over the main PCB 330 and around at least a portion of the daughter PCB 310 when the daughter PCB 310, the main PCB 330 and the midframe 320 are coupled together. Also, portions of the midframe 320 are disposed between the main PCB 330 and the daughter PCB 310 when the daughter PCB 310, the main PCB 330 and the midframe 320 are coupled together. FIG. 7 illustrates a perspective view of the midframe 320, in accordance with an example embodiment. Referring to FIGS. 3 and 7, the midframe 320 includes an inner housing 322 which houses the daughter PCB 310 and first and second USB receptacles 312, 314 when the wiring device 100 is assembled. The midframe 320 also includes a plurality of walls 324 at various positions for keeping the terminals 316, 318 and coupling bands 106, 108 separated and in their respective positions when the wiring device 100 is assembled. Further, the inner housing 322 of the midframe 320 includes a first opening 702, a second opening 703, and a third opening 704 according to certain example embodiments. ・・(後略)
」
(日本語訳:「
[0027] 図3は、本開示の例示的な実施形態による、特定の内部構成要素を含む配線装置100の分解斜視図である。図3を参照すると、配線装置100は、ドータープリント回路基板(「PCB」)310と、ホット端子316と、ニュートラル端子318と、ミッドフレーム320と、メインPCB330とを更に含む。図3に示されるように、トップハウジング104は、トップハウジング104の1つ又は複数のそれぞれの端部301に1つ又は複数の切り欠き302をさらに含む。・・
(中略)
[0030] 図3を参照すると、ミッドフレーム320は、一般に、ドーターPCB310、メインPCB330及びミッドフレーム320が一緒に結合されたとき、メインPCB330の上及びドーターPCB310の少なくとも一部の周りに配置される。また、ミッドフレーム320の一部は、ドーターPCB310、メインPCB330、及びミッドフレーム320が一緒に結合されたとき、メインPCB330とドーターPCB310との間に配置される。図7は、例示的な実施形態によるミッドフレーム320の透視図である。図3及び図7を参照すると、ミッドフレーム320は、配線装置100が組み立てられたときにドーターPCB310及び第1及び第2USBレセプタクル312、314を収容するインナーハウジング322を含む。また、ミッドフレーム320は、配線装置100が組み立てられたときに、端子316、318及びカップリングバンド106、108を分離してそれぞれの位置に保つための複数の壁324を様々な位置に含んでいる。さらに、ミッドフレーム320の内側ハウジング322は、ある例示的な実施形態によれば、第1の開口部702、第2の開口部703、及び第3の開口部704を含む。・・
(後略)
」
(イ)「
[図:0001408633000004.jpg]
」
イ.甲7技術
(ア)上記段落0027によると、甲7には、ドータープリント回路基板310と、ミッドフレーム320と、メインPCB330とを含む配線装置100が記載されているといえる。
(イ)上記段落0030の記載、及び、Fig.3によると、ミッドフレーム320は、上面に壁324を備えており、当該壁324で囲まれた空間内には、ドータープリント回路基板310が収容されるといえる。
(ウ)以上のとおりであるから、甲7には次の技術(以下、「甲7技術」という。)が記載されていると認められる。
「ドータープリント回路基板310と、ミッドフレーム320と、メインPCB330とを含む配線装置100におけるミッドフレーム320であって、
上面に壁324を備えており、当該壁324で囲まれた空間内には、ドータープリント回路基板310が収容されるミッドフレーム320。」
2 本件特許発明と甲1発明との対比
ア.甲1発明において、「壁の開口部に設置された装置ボックスに取り付けられる電気配線装置10」は、本件特許出願時の技術常識によると、壁の中に埋め込まれる配線器具であるといえるから、本件特許発明の「埋込型の配線器具」に相当する。
イ.甲1発明の「シングルポートUSBソケット120-1、120-2」は、電気配線装置10の内部端子であるといえるから、本件特許発明の「第1内側端子」に相当する。そして、甲1発明の「上面と下面とを有し、当該上面にはシングルポートUSBソケット120-1、120-2が実装」された「低電圧PCBアセンブリ120」は、プリント回路基板(PCB)であって、「第1面」(上面)と「第2面」(下面)とを有し、「前記第1面に第1内側端子が実装」されたものといえるから、本件特許発明の「第1面及び第2面を有し、前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板」に相当する。
ウ.甲1発明の「ACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140」は、プリント回路基板(PCB)であるから、本件特許発明の「第2基板」に相当する。
エ.甲1発明において、「セパレータ15」の「載置面」は、「低電圧PCBアセンブリ120」を支持するものといえるから、甲1発明の「セパレータ15」と「載置面」とは、本件特許発明の「支持部材」と「前記第1基板を支持する支持部」とに相当する。
オ.甲1発明の「ハウジングアセンブリ」は、「低電圧PCBアセンブリ120」を収容するものであるから、本件特許発明の「前記第1基板を収納するハウジング」に相当する。
カ.したがって、本件特許発明と甲1発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。
[一致点]
「埋込型の配線器具であって、
第1面及び第2面を有し、前記第1面に第1内側端子が実装される第1基板と、第2基板と、
支持部材と、
前記第1基板を収納するハウジングと、を備え、
前記支持部材は、
前記第1基板を支持する支持部と、を有する
配線器具。」
[相違点1]
本件特許発明の「支持部材」は、「側壁部と、」「を有し、前記側壁部で囲まれた空間内に前記第2基板の一部が収納される」のに対して、甲1発明の「セパレータ15」は当該事項を有することが特定されていない点。
[相違点2]
本件特許発明の「支持部材」は、「前記ハウジングに接触する接触部とを有し」ているのに対して、甲1発明の「セパレータ15」は当該事項を有することが特定されていない点。
3 判断
上記相違点1について検討する。
まず、甲1発明に甲6技術を組み合わせることについて検討する。
甲1発明は、「壁の開口部に設置された装置ボックスに取り付けられる電気配線装置10」に係るものであるところ、埋込型の配線器具に係るものと認められる。
ここで、配線器具は、日本においてはJIS規格、米国においてはNEMA規格によって大きさ、形状等が規定されており、特に、埋込型の配線器具の規格においては、その1辺の大きさが数センチから十数センチ程度に制限されていることが本件特許出願時における技術常識である。
加えて、埋込型の配線器具は、商用電源の電力を建物内の電気機器に提供することを目的とするものである。
しかるに、甲1発明の「電気配線装置10」は埋込型の配線器具に係るものである以上、上記規格及び目的に従って設計されていると解されるところ、その筐体、部品及び配線の形状、大きさ及び配置が、上記規格(特に大きさ)及び目的に適合するように最適化されたものであると考えるのが合理的である。
一方、甲6は、甲6の段落0001等の記載によれば、自動車等に用いられる電気接続箱に係るものであるところ、当該電気接続箱は、移動する自動車等に設置され、バッテリの電力を自動車内の電気機器に提供することを前提に設計されたものであり、また、その設置位置及び機能は、自動車の仕様により様々であることが本件特許出願時における技術常識である。
したがって、甲6に係る電気接続箱の筐体、部品及び配線の形状、大きさ及び配置は、上記の設置位置及び機能に適合するように最適化されたものであると考えるのが合理的である。
そして、甲6の図2、4によれば、甲6に係る電気接続箱において、内部に含まれる部品とその配置は、甲1発明のものとは明らかに異なっているが、これは、甲1発明と甲6の各々において異なる技術思想(設計思想)の下で最適化がなされている結果とみることができる。
そのような事情に鑑みれば、甲6の電気接続箱に係る構成の一部(側壁部)のみ甲6技術として切り離して、甲6とは異なる技術思想の下で最適化された甲1発明に適用する動機付けは当業者といえども認められない。
仮に、甲6の構成の一部(側壁部)を甲6技術として甲1発明に適用しようとしても、「前記側壁部で囲まれた空間内に前記第2基板の一部が収納される」との要件を満たすように適用するには、甲1発明の「ACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140」(第2基板)の少なくとも一部を囲う「側壁部」を追加配置するスペースを得るために「ハウジングアセンブリ」を大きくして、最適化された構成を変更しなければならないため、技術的な阻害要因があるといわざるを得ない。
次に、甲1発明に甲7技術を適用することについて検討する。
甲7は、配線器具に係る技術である点において甲1発明と共通しているものの、甲7のFig.3によると、その筐体の内部構造は、甲1発明とは大きく異なっていることからすると、甲1発明とは、異なる技術思想によって最適化されたものといえる。
そうすると、甲7からその構成の一部(側壁部)のみを甲7技術として切り離し、甲7とは異なる技術思想によって既に最適化された甲1発明に適用する動機付けは当業者といえども認められない。
また、甲7技術は、「前記側壁部で囲まれた空間内に前記第2基板の一部が収納される」ものとはいえず、仮に甲7に係る構成の一部を甲7技術として甲1発明に適用したとしても、「前記側壁部で囲まれた空間内に前記第2基板の一部が収納される」ものには至らないため、上記相違点1に係る構成は、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
よって、本件特許発明における上記相違点1に係る構成は、甲1発明、及び、甲6技術又は甲7技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
以上のとおりであるから、上記相違点2について判断するまでもなく、本件特許発明は、甲1、甲6又は甲7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
4 請求人の主張について
請求人は、審判事件弁駁書、請求人陳述要領書において、以下の点を主張している。
(1)主張1
「甲1、甲6及び甲7に、支持部材に相当する部材によってその上面や下面に配置される基板を保護し、或いは収納する構成が記載されている。
してみると、この種の配線器具において、支持部材に相当する部材に側壁部を設けることは通常行われており、側壁部を支持部材の上面に設けるか下面に設けるかは、当業者が適宜選択可能な設計事項であると認められる。
従って、本件特許発明は、甲1に、当業者が適宜選択可能な設計事項を加えたに過ぎないため、当業者であれば、甲1、甲6又は甲7に記載された発明から容易に発明できたものであると認められる。」(審判事件弁駁書第7頁~第8頁)
(2)主張2
ア.「ここで、請求人が甲1の実施品を入手して確認したところ、セパレータ15の下面に設けられているのは、位置決め機能を有すると思われる3個の突起である(甲第4号証 写真6)。
[図:0001408633000005.jpg]
この実施品は、本件特許の出願日より前の2013(平成25)年10月21日に作成されたカタログ(甲第5号証)に掲載されており、本件特許の出願日より前に公然実施がなされている製品である。
セパレータ15の下面に設けられた突起は、組み立てられた状態で、高さ方法において第2基板の一部に重なっていると認められるものの、第2基板の一部を収納するとまではいえない。
(中略)
また、甲1の実施品においては、セパレータ15に低電圧PCB122が載置された状態を見ると、セパレータ15が低電圧PCB122よりも一回り大きく形成されているため、低電圧PCB122はセパレータ15によってその周囲が保護されている(甲第4号証 写真2 写真3)。
[図:0001408633000006.jpg]
また、甲1では、セパレータ15の下面には、3箇所の突起を設けていることから、セパレータ15の下面に側壁部を設けることも技術的に可能である。
」(審判事件弁駁書第2頁~第4頁。なお、請求人が甲1の実施品と称する上記甲4に記載された製品を、以下「甲4製品」という。)
イ.「甲4製品は、甲第8号証に示す通り、当該製品の発売元であるlegrand社のホームページにおいて、特許番号と共に当該特許で保護されている製品の品名が記載されており、甲1が特許された番号である米国特許番号(8,758,031)が記載されています。
同ホームページでは、メーカー名(甲1の出願人)であるパス&シーモアの製品の欄に、品名としてレセプタクル(コンセント)、USB(コネクタ)の欄に甲1の米国特許番号が記載されています。
甲4製品の説明書には、レセプタクル、及びUSBの記載があります。
これにより、甲4製品は、甲1が特許になった米国特許により保護されていることがわかります。
さらに、甲1の図1、2、3、7、8及び9と、甲4製品を対比すると、ハウジングやセパレータ、各基板の形状、及び各基板に実装されている電子部品が細かいところまで一致しています。
ここまで図面と製品の形状及び電子部品が一致していますので、甲4製品が甲1発明の実施品であることが明らかであると認められます。」(請求人陳述要領書第2頁~第3頁)
5 請求人の主張に関する検討
(1)主張1について
上記3で説示したとおりであるところ、仮に請求人の主張するように「配線器具において、支持部材に相当する部材に側壁部を設けることは通常行われている」としても、甲1発明の構成は最適化されたものであって、既に最適化された構成を変更してまで、甲1発明に「側壁部」に係る構成を適用する動機付けは当業者といえども認められない。
さらに、甲1発明に、仮に「側壁部」を設けたとしても、当該「側壁部」を設けることに加えて「前記側壁部で囲まれた空間内に前記第2基板の一部が収納される」ように構成することは、当業者が容易になし得ることであるとはいえない。
そうすると、甲1発明において、「側壁部」を設け、「前記側壁部で囲まれた空間内に前記第2基板の一部が収納される」ように構成することは、請求人が主張する「当業者が適宜選択可能な設計事項を加えたに過ぎない」こととはいえない。
したがって、甲1発明において上記相違点1に係る構成を設けることは、当業者が容易に発明することができたとはいえないため、請求人の上記4(1)に係る主張は採用できない。
(2)主張2について
甲4には、甲1との関係について記載されていないから、甲4製品は、甲1の記載に忠実に従って作成された実施品であるとはいえない。
ここで、本件特許出願時の技術常識からすると、製品の販売元のホームページ等における製品に関係する特許番号の掲示は、製品の一部の構成が特許番号の特許と関連していることを意味しているに過ぎない。
そうすると、請求人が主張するように、甲4製品の販売元のホームページ等において甲1に係る特許番号の表示がある(甲8)としても、甲4製品が備える構成について甲1に対応する記載がないものを、甲1に記載されているに等しいものと認めることはできない。
また、販売されている製品は日々改良が加えられるものであることが技術常識であることからすると、甲5において、甲4製品と同様の外観及び型番の製品が記載されていることをもって、甲5に記載された製品と甲4製品とが同じ構成を備えるものであるとはいえない。
したがって、甲1発明と甲4製品とが同じ構成を備えていること、及び、甲4製品が本件特許出願日より前に公然実施されたものと認める証拠はない。
以上のとおりであるから、請求人の上記4(2)に係る主張は採用できない。
6 小括
上記で検討したとおり、本件特許発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないため、同法第123条第1項第2号によって無効とすべきものでない。
第8 むすび
以上、請求人の主張する理由及び提出した証拠によっては本件特許発明に係る特許を無効にすることはできない。
そして、審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-800059