特許異議申立
2023-700349
配線器具
- 審判番号
- 2023-700349
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-134920
- 登録番号
- 7149547
- 請求日
- 2023年04月07日
- 審決日
- 2024年01月11日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人北斗特許事務所
- 【異議申立人】大和電器 株式会社
- 【異議申立人代理人】押久保 政彦
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 稲垣 良一
- 審判官 吉田 美彦
- 分類
- P1651.121-YAA(H05K) / P1651.537-YAA(H05K) / P1651.851-YAA(H05K) / P1651.853-YAA(H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7149547号発明「配線器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7149547号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕について訂正することを認める。
特許第7149547号の請求項1~13に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7149547号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願(以下、「本願」という。)は、平成29年3月31日を出願日とする特願2017-73157号の一部を令和2年10月27日に分割出願した特願2020-179861号について、その一部をさらに令和3年8月20日に分割出願したものであって、令和4年9月29日にその特許権についての設定登録がされ、同年10月7日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和5年4月7日に、特許異議申立人である大和電器株式会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた(以下、当該申立てを「申立て」という。)
その後の経緯は、以下のとおりである。
令和5年 7月 4日付け: 取消理由通知
同年 8月 3日 : 応対記録(特許権者:日付は初回応対日)
同年 9月 6日 : 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年 9月21日付け: 手続補正指令
同年10月20日 : 手続補正書(方式)
(特許権者:補正対象書類名 訂正請求書)
同年11月13日付け: 訂正請求があった旨の通知(申立人宛て)
同年12月19日 : 意見書の提出(申立人)
第2 訂正請求について
1 訂正の趣旨
令和5年9月6日に提出された訂正請求書による訂正請求の趣旨は、「特許第7149547号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~13について訂正することを求める。」というものである。
2 訂正の内容
上記訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1~7のとおりである(各訂正事項中の下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1について、「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材を収納するハウジングと、」を「前記電子部品、前記放熱板、前記放熱部材、及び鎖錠ばねを収納するハウジングと、」に変更し、「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納され、前記鎖錠ばねは、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される、」を追加するという訂正をする(請求項1の記載を引用する請求項4~9、11~13も同様の訂正をする)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2について、「前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記放熱板の材料よりも弾性率が低い材料と、」を「前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材と、」に変更し、「前記電子部品、前記放熱板及び前記弾性率が低い材料を収納するハウジングと、」を「前記電子部品、前記放熱板、前記弾性率が低い材料で形成される前記放熱部材、及び鎖錠ばねを収納するハウジングと、」に変更し、「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納され、前記鎖錠ばねは、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される、」を追加するという訂正をする(請求項2の記載を引用する請求項4~9、11~13も同様の訂正をする)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3について、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子と、」及び「前記放熱シートは、前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される、」を追加するという訂正をする(請求項3の記載を引用する請求項4~13も同様の訂正をする)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10について、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子と、前記第1内側端子が実装される他の基板と、を更に備える、」を「前記第1内側端子が実装される他の基板を更に備える、」に変更するという訂正をする(請求項10の記載を引用する請求項11~13も同様の訂正をする)。
(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0005】に記載された「本発明の一態様に係る配線器具は、基板と、電子部品と、放熱板と、放熱部材と、第1内側端子と、他の基板と、ハウジングと、を備える。前記電子部品は、前記基板に配置される。前記放熱部材は、前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記電子部品の熱を前記放熱板に伝達する。前記第1内側端子は、差込式の第1外側端子が接続可能に構成される。前記他の基板には、前記第1内側端子が実装される。前記ハウジングは、前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材を収納する。」を「本発明の一態様に係る配線器具は、基板と、電子部品と、放熱板と、放熱部材と、第1内側端子と、他の基板と、ハウジングと、を備える。前記電子部品は、前記基板に配置される。前記放熱部材は、前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記電子部品の熱を前記放熱板に伝達する。前記第1内側端子は、差込式の第1外側端子が接続可能に構成される。前記他の基板には、前記第1内側端子が実装される。前記ハウジングは、前記電子部品、前記放熱板、前記放熱部材、及び鎖錠ばねを収納する。前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納される。前記鎖錠ばねは、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される。」に変更する。
(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0006】に記載された「本発明の一態様に係る配線器具は、基板と、電子部品と、放熱板と、弾性率が低い材料と、第1内側端子と、他の基板と、ハウジングと、を備える。前記電子部品は、前記基板に配置される。前記弾性率が低い材料は、前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記放熱板の材料よりも弾性率が低い。前記第1内側端子は、差込式の第1外側端子が接続可能に構成される。前記他の基板には、前記第1内側端子が実装される。前記ハウジングは、前記電子部品、前記放熱板及び前記弾性率が低い材料を収納する。」を「本発明の一態様に係る配線器具は、基板と、電子部品と、放熱板と、弾性率が低い材料で形成される放熱部材と、第1内側端子と、他の基板と、ハウジングと、を備える。前記電子部品は、前記基板に配置される。前記弾性率が低い材料は、前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記放熱板の材料よりも弾性率が低い。前記第1内側端子は、差込式の第1外側端子が接続可能に構成される。前記他の基板には、前記第1内側端子が実装される。前記ハウジングは、前記電子部品、前記放熱板、前記弾性率が低い材料で形成される前記放熱部材、及び鎖錠ばねを収納する。前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納される。前記鎖錠ばねは、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される。」に変更する。
(7)訂正事項7
願書に添付した明細書の段落【0007】に記載された「本発明の一態様に係る配線器具は、基板と、電子部品と、放熱板と、放熱シートと、ハウジングと、を備える。前記電子部品は、前記基板に配置される。前記放熱シートは、前記電子部品と前記放熱板との間に配置される。前記ハウジングは、前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱シートを収納する。」を「本発明の一態様に係る配線器具は、基板と、電子部品と、放熱板と、放熱シートと、第1内側端子と、ハウジングと、を備える。前記電子部品は、前記基板に配置される。前記放熱シートは、前記電子部品と前記放熱板との間に配置される。前記第1内側端子は、差込式の第1外側端子が接続可能に構成される。前記ハウジングは、前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱シートを収納する。前記放熱シートは、前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される。」に変更する。
3 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~13について、請求項4~13は、請求項1~3のいずれかの記載を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項1~3に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正前の請求項1~13に対応する本件訂正後の請求項1~13は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
4 訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「ハウジング」について、「鎖錠ばね」を収納するとの事項を付加するとともに、「電子部品」、「放熱板」、「放熱部材」が「ハウジングの一部で構成されている」「第一の収納部」に収納されるとの事項、「鎖錠ばね」が「ハウジングの他の一部で構成されている」「第二の収納部」に収納されるとの事項を付加するものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、「ハウジング」の構成に、更に発明特定事項を付加して限定しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の【0030】の「ボディ2は、図3A~図3Cに示すように、左右方向に長い直方体状である。ボディ2は、第2基板6を収納する第2収納部21と、第3基板7を収納する第3収納部22と、を有している。言い換えると、ボディ2の内部空間は、ボディ2の底壁から前方に突出する縦壁23によって、第2収納部21と第3収納部22とに分けられている。」との記載、及び、図面(図1、図3B)によると、明細書及び図面には、「前記ハウジングの一部で構成されている第一の収容部」、「前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部」がそれぞれ記載されているといえる。
そして、明細書の【0027】の「第2基板6は、後述するボディ2の第2収納部21にヨーク13及び放熱シート133とともに収納される。…(中略)… この場合において、ヨーク13は、放熱板として機能する。」との記載、【0038】の「第3収納部22は、2個の端子用収納部220と、釦用収納部221と、を有している。」との記載、及び、【0039】の「2個の端子用収納部220の各々には、第3基板7に実装された2個の第2内側端子9(対応する鎖錠ばね11を含む)のいずれかが収納される。」との記載を踏まえると、明細書には、「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納され、前記鎖錠ばねが、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アで検討したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2の「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料」について、「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材」という「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料」より下位概念の事項に限定し、また、本件訂正前の請求項2の「ハウジング」について、「鎖錠ばね」を収納する事項を付加するとともに、「電子部品」、「放熱板」、「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材」が「ハウジングの一部で構成されている」「第一の収納部」に収納されるとの事項、「鎖錠ばね」が「ハウジングの他の一部で構成されている」「第二の収納部」に収納されるとの事項を付加するものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料」を下位概念の事項に限定するとともに、「ハウジング」の構成に、更に発明特定事項を付加して限定しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の【0027】の「第2基板6は、後述するボディ2の第2収納部21にヨーク13及び放熱シート133とともに収納される。…(中略)… この場合において、ヨーク13は、放熱板として機能する。放熱シート133は、弾性率が低い材料(例えば、ヨーク13の材料よりも弾性率が低い材料)により形成される。」との記載によると、明細書には、「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材」が記載されているといえる。
また、明細書の【0030】の「ボディ2は、図3A~図3Cに示すように、左右方向に長い直方体状である。ボディ2は、第2基板6を収納する第2収納部21と、第3基板7を収納する第3収納部22と、を有している。言い換えると、ボディ2の内部空間は、ボディ2の底壁から前方に突出する縦壁23によって、第2収納部21と第3収納部22とに分けられている。」との記載、及び、図面(図1、図3B)によると、明細書及び図面には、「前記ハウジングの一部で構成されている第一の収容部」、「前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部」がそれぞれ記載されているといえる。
そして、明細書の【0027】の上記記載、【0038】の「第3収納部22は、2個の端子用収納部220と、釦用収納部221と、を有している。」との記載、及び、【0039】の「2個の端子用収納部220の各々には、第3基板7に実装された2個の第2内側端子9(対応する鎖錠ばね11を含む)のいずれかが収納される。」との記載によると、明細書には、「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納され、前記鎖錠ばねが、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アで検討したとおり、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的
訂正事項3は、本件訂正前の請求項3の「配線器具」について、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」という事項を付加するとともに、本件訂正前の請求項3の「放熱シート」について、「基板に配置される電子部品における基板の法線方向に沿った側面と放熱板との間に配置される」との事項を付加するものである。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、「配線器具」及び「放熱シート」の構成に、更に発明特定事項を付加して限定しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の【0017】の「本実施形態に係る配線器具10は、図1及び図2に示すように、第1内側端子8と、第2内側端子9と、第1基板5と、第2基板6と、第3基板7と、支持部材4と、ハウジング1と、一対の取付金具(取付具)14,14と、を備えている。」との記載、及び、【0018】の「第1内側端子8は、差込式の第1外側端子18が接続可能に構成されている。」との記載によると、明細書には「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」を備える「配線器具」が記載されているといえる。
ここで、訂正事項3に含まれる「基板の法線方向」の「法線」とは、広辞苑(第4版)によると、「曲線上の一点において、この点における曲線の接線に直交する直線。また、曲面上の一点において、この点における曲面の接平面に直交する直線。」であるところ、平面とは、どの点においても曲率が0である特殊な曲面であって、どの点においてもその接平面が平面と同じであること、及び、その接平面に直交する直線が平面に対する法線であって、平面に垂直な方向を示すことは、いずれも本件特許の出願時における技術常識であるから、平面である基板の法線方向が、基板の上面に対して垂直方向を意味するものであることは当業者にとって自明な事項である。
そうすると、図面(図1)からは、放熱シート133が、第2基板6に配置される電子部品16における第2基板6の法線方向に沿った側面と、ヨーク13との間に配置されていることが読み取れるから、図面には「放熱シートは、基板に配置される電子部品における基板の法線方向に沿った側面と放熱板との間に配置される」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アで検討したとおり、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正事項3に係る訂正に伴い、本件訂正前の請求項10において、本件訂正後の請求項3と重複する発明特定事項「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」を削除して、本件訂正後の請求項3との関係において生じている記載の不整合を正すためのものである。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記アで検討したとおり、訂正事項4は、本件訂正後の請求項3と重複している発明特定事項を削除する訂正であり、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記ア及びイで検討したとおり、訂正事項4は、本件訂正後の請求項3と重複している発明特定事項を削除する訂正であり、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正事項1に係る訂正により請求項1を訂正することに伴い、明細書の【0005】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合するように訂正するものである。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)イで検討したとおり、願書に添付した明細書の【0030】及び、図面(図1、図3B)から、明細書及び図面には、「前記ハウジングの一部で構成されている第一の収容部」、「前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部」がそれぞれ記載されているといえる。
そして、明細書の【0027】、【0038】及び【0039】から、明細書には、「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納され、前記鎖錠ばねが、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アで検討したとおり、訂正事項5は、明細書の【0005】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合するようにするための訂正であり、実質的な内容の変更を伴うものではない。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正事項2に係る訂正により請求項2を訂正することに伴い、明細書の【0006】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合するように訂正するものである。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(2)イで検討したとおり、願書に添付した明細書の【0027】から、明細書には、「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材」が記載されているといえる。
また、明細書の【0030】及び、図面(図1、図3B)から、明細書及び図面には、「前記ハウジングの一部で構成されている第一の収容部」、「前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部」がそれぞれ記載されているといえる。
そして、明細書の段落【0027】、【0038】及び【0039】から、明細書には、「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納され、前記鎖錠ばねが、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アで検討したとおり、訂正事項6は、明細書の【0006】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合するようにするための訂正であり、実質的な内容の変更を伴うものではない。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的
訂正事項7は、訂正事項3に係る訂正により請求項3を訂正することに伴い、明細書の【0007】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合するように訂正するものである。
したがって、訂正事項7に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(3)イで検討したとおり、願書に添付した明細書の【0017】及び【0018】から、明細書には「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」を備える「配線器具」が記載されているといえる。
そして、図面(図1)から、図面には「放熱シートは、基板に配置される電子部品における基板の法線方向に沿った側面と放熱板との間に配置される」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正事項7に係る訂正は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アで検討したとおり、訂正事項7は、明細書の【0007】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合するようにするための訂正であり、実質的な内容の変更を伴うものではない。
したがって、訂正事項7に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(8)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の請求項1~13について特許異議の申立てがされているので、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項1~4に係る訂正に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定(独立特許要件)は課されない。
5 訂正請求についての結論
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
したがって、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件特許
本件訂正の請求が認められたことにより、本件特許の請求項1~13に係る発明(以下、「本件発明1」などという。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
【請求項1】(本件発明1)
基板と、
前記基板に配置される電子部品と、
放熱板と、
前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記電子部品の熱を前記放熱板に伝達する放熱部材と、
差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子と、
前記第1内側端子が実装される他の基板と、
前記電子部品、前記放熱板、前記放熱部材、及び鎖錠ばねを収納するハウジングと、を備え、
前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納され、
前記鎖錠ばねは、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される、
配線器具。
【請求項2】(本件発明2)
基板と、
前記基板に配置される電子部品と、
放熱板と、
前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材と、
差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子と、
前記第1内側端子が実装される他の基板と、
前記電子部品、前記放熱板、前記弾性率が低い材料で形成される前記放熱部材、及び鎖錠ばねを収納するハウジングと、を備え、
前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納され、
前記鎖錠ばねは、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される、
配線器具。
【請求項3】(本件発明3)
基板と、
前記基板に配置される電子部品と、
放熱板と、
前記電子部品と前記放熱板との間に配置される放熱シートと、
差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子と、
前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱シートを収納するハウジングと、を備え、
前記放熱シートは、前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される、
配線器具。
【請求項4】(本件発明4)
前記基板はプリント配線板である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の配線器具。
【請求項5】(本件発明5)
前記ハウジングは樹脂製である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の配線器具。
【請求項6】(本件発明6)
前記放熱板は、金属板である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の配線器具。
【請求項7】(本件発明7)
前記放熱板は、
一方向に沿った第1の片と、
前記第1の片の前記一方向の一端から他方向に突出する第2の片と、を有する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の配線器具。
【請求項8】(本件発明8)
前記電子部品は、トランスである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の配線器具。
【請求項9】(本件発明9)
前記電子部品は、外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換するAC-DCコンバータの一部を構成している、
請求項1~8のいずれか一項に記載の配線器具。
【請求項10】(本件発明10)
前記第1内側端子が実装される他の基板と、を更に備える、
請求項3に記載の配線器具。
【請求項11】(本件発明11)
前記他の基板には、他の電子部品が配置され、
前記他の電子部品は、直流電力を平滑化する、
請求項1、2、10のいずれか一項に記載の配線器具。
【請求項12】(本件発明12)
請求項1~11のいずれか一項に記載の配線器具であって、
施工面に取り付けられる、
配線器具。
【請求項13】(本件発明13)
請求項1~12のいずれか一項に記載の配線器具であって、
埋込型である、
配線器具。
第4 特許異議申立理由の概要
申立人が、本件訂正前の請求項1~13に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由の概略、及び、証拠方法として提出した甲第1号証~甲第4号証(以下、例えば、「甲第1号証」を「甲1」などという。)は、次のとおりのものである。
1 特許異議申立理由
本件特許の請求項1~5、8、9、11~13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基いて、甲2に記載された事項を参酌することにより、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。(以下、「申立理由1-1」という。)
本件特許の請求項1~7及び10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明に基いて、甲1又は甲3に記載された事項を参酌することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。(以下、「申立理由1-2」という。)
本件特許の請求項3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明に基いて、甲1及び甲2に記載された事項を参酌することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。(以下、「申立理由1-3」という。)
2 証拠方法
甲1:米国特許出願公開第2013/0280956号明細書
甲2:国際公開第2011/158615号
甲3:中国特許出願公開第106505357号明細書
甲4:特開平11-16685号公報
第5 取消理由通知に記載した取消理由について
本件訂正前の請求項1~13に係る特許に対して、令和5年7月4日付けで当審が特許権者に通知した取消理由(以下、「先の取消理由」という。)は、概略、次のとおりのものである。
1 取消理由1(進歩性)
本件特許の以下の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
引用文献1:米国特許出願公開第2013/0280956号明細書
(甲1)
引用文献2:特開平11-16685号公報(甲4)
引用文献3:国際公開第2011/158615号(甲2)
引用文献4:特開2014-96968号公報
引用文献5:特開2003-347783号公報
引用文献6:特開2011-129797号公報
(1)引用文献1に記載された発明に基づく進歩性欠如
請求項1、3及び10に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、引用文献3~5に記載された事項を参酌することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
請求項2に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、引用文献3、6に記載された事項を参酌することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
請求項4に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、引用文献3~6に記載された事項を参酌することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
請求項5~9、11~13に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、引用文献2~6に記載された事項を参酌することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
以下、当該取消理由を「取消理由1-1」という。
(2)引用文献2に記載された発明に基づく進歩性欠如
請求項3~7、12及び13に係る発明は、引用文献2に記載された発明に基いて、引用文献4、5に記載された事項を参酌することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
以下、当該取消理由を「取消理由1-2」という。
2 取消理由2(サポート要件)
本件特許は、請求項2、4~9、11~13の記載が以下の点で発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
本願発明が解決しようとする課題は、配線器具の放熱性を向上させることであって、明細書には、その課題を解決するための材料として「放熱シート133」が記載されている。
しかしながら、請求項2の「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料」という記載は、「材料」の機能、特性として「弾性率」のみを特定しているところ、「弾性率が低い材料」のすべてが「放熱」に係る機能、特性を備えていることは、本件特許の出願時における技術常識であるとはいえないから、請求項2の記載は、明細書に記載された「放熱シート133」に相当するものを具体的に特定したものであるとはいえず、また、明細書の記載から自明な事項であるともいえない。
してみると、請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明の記載若しくは示唆又は出願時の技術常識に照らし、当業者が課題を解決できると認識できる範囲のものであるとは認められない。
第6 取消理由についての当審の判断
上記第2のとおり本件訂正は認められたところ、上記第3に示した本件発明1~13に係る特許が上記第5で示した理由1、2によって取り消されるべきものであるかについて、以下検討する。
1 取消理由1(進歩性)について
(1)引用文献等の記載及び引用発明
ア 引用文献1について
(ア)引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている。(なお、下線は、強調のため当審が付与した。以降においても同様。)
a「[0013] The present invention addresses the needs described above by providing a wall mountable electrical wiring device that includes multiple USB receptacles that provide a relatively high charging current. The present invention addresses the needs described above by providing a wall mountable electrical wiring device that includes at least one USB receptacle in combination with a power control device such as an AC outlet receptacle or a switching device.」
(当審仮訳)
「[0013] 本発明は、比較的高い充電電流を提供する複数のUSBレセプタクルを含む壁に取り付け可能な電気配線装置を提供することによって、上記の必要性に対処する。本発明は、ACコンセントレセプタクルまたはスイッチングデバイスなどの電力制御デバイスと組み合わせた少なくとも1つのUSBレセプタクルを含む壁に取り付け可能な電気配線装置を提供することによって、上記の必要性に対処する。」
b「[0038] As embodied herein, and depicted in FIG. 1, a perspective view of an embodiment of an electrical wiring device 10 is disclosed. This embodiment of the present invention includes a front cover 12 that has dual USB receptacle ports 12-1 and a 120 VAC, 15 A receptacle 12-2. The front cover 12 mates with a back body member 14. Back body member 14 includes vent openings 14-1 that allows thermal energy generated by the internal circuitry to dissipate.A mounting strap 16 is coupled to the back body member 14 and provides the means for the user to connect the device 10 to a device box installed in a wall opening (not shown). FIG. 2 is a rear view of the device depicted in FIG. 1. In this view, the vent openings 14-1 are shown to be disposed in both the side and rear portions of the back body member 14. The device 10 includes a hot terminal 18 and a neutral terminal 19 that allow the device 10 to be connected to AC power. Once the device is installed, a cover plate (not shown) surrounds front cover 12 to complete the enclosure. By completing the enclosure, the inventors mean that no electrical charged components or electrical distribution wires connected to terminals 18, 19 are accessible to the user after the plate is in place.
[0039] Referring to FIG. 3, an exploded view of the device depicted in FIG. 1 is disclosed. As noted above, the device 10 includes a housing assembly that has back body member 14 coupled to the front cover member 12. The plurality of terminals (18, 19) is configured to connect the device 10 to a source of AC power. The back body member 14 includes compartments 14-2, 14-3. The compartment 14-2 is configured to accommodate a separator member 15 that is further configured to divide compartment 14-2 into a lower compartment and an upper compartment. Thus, during assembly, the AC printed circuit board (PCB) assembly 140 is inserted into the first compartment 14-2, the separator member 15 is disposed over top, and then the low voltage PCB assembly 120 is placed on top of the separator 15.
[0040] The second compartment 14-3 is configured to accommodate a 120 VAC, 15 A receptacle outlet assembly (16-1, 18-1, 19-1), and thus includes a series of rib structures 14-30 that are used to insulate the various electrical conductive portions of the receptacle and prevent them from shorting out. …(中略)… Finally, the ground mounting strap 16 includes a ground receptacle contact 16-1 that is configured to accept the ground prong of a plug blade set. Ground terminal 16-2 allows the device to be connected to a grounding conductor in the electrical distribution system.」
(当審仮訳)
「[0038] 本明細書で具体化され、図1に描かれているように、電気配線装置10の一実施形態の斜視図が開示される。本発明のこの実施形態は、デュアルUSBレセプタクルポート12-1と、120VAC、15Aレセプタクル12-2とを有する前面カバー12を含む。前面カバー12は、背面本体部材14と嵌合する。背面本体部材14は、内部回路によって発生する熱エネルギーを放散させるベント開口部14-1を含む。アース取り付けストラップ16は、背面本体部材14に結合され、ユーザが装置10を壁の開口部(図示せず)に設置された装置ボックスに接続するための手段を提供する。図2は、図1に描かれたデバイスの背面図である。この図において、通気口14-1は、背面本体部材14の側部および後部の両方に配置されることが示されている。装置10は、装置10をAC電源に接続することを可能にするホット端子18及びニュートラル端子19を含む。装置が設置されると、カバープレート(図示せず)が前面カバー12を取り囲み、筐体が完成する。筐体を完成させることによって、本発明者らは、プレートが設置された後、端子18、19に接続された電荷部品または配電線がユーザにアクセスできないことを意味する。
[0039] 図3を参照すると、図1に開示された装置の分解図が示されている。上記のように、装置10は、前面カバー部材12に結合された背面本体部材14を有するハウジングアセンブリを含む。複数の端子(18、19) は、装置10をAC電源に接続するように構成される。背面本体部材14は、区画14-2、14-3を含む。区画14-2は、区画14-2を下部区画と上部区画に分割するようにさらに構成されたセパレータ部材15を収容するように構成される。したがって、組み立て中に、ACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140が第1の区画14-2に挿入され、セパレータ部材15が上に配置され、次いで低電圧PCBアセンブリ120がセパレータ15の上に配置される。
[0040] 第2の区画14-3は、120VAC、15Aのレセプタクルコンセントアセンブリ(16-1、18-1、19-1)を収容するように構成されており、したがって、レセプタクルの様々な導電部分を絶縁し、短絡を防止するために使用される一連のリブ構造14-30を含む。…(中略)… 最後に、アース取り付けストラップ16は、プラグブレードセットの接地プラグを受け入れるように構成されたアースレセプタクルコンタクト16-1を含む。接地端子16-2は、配電システムの接地導体に装置を接続することを可能にする。」
c「[0042] Referring to the low voltage printed circuit board (PCB) assembly 120 disposed over the separator member 15, it includes a universal serial bus (USB) charging interface circuit that is configured to convert the modulated power signal (of the AC assembly 140) into a low voltage direct current (DC) charging signal.The low voltage PCB assembly 120 includes two single port USB sockets 120-1, 120-2 coupled to the USB charging interface circuit. Low voltage PCB 122 is parallel to separator member 15. Thus the sockets 120-1, 120-2 are each accessible via the USB apertures 12-1 formed in the front cover member 12. In an embodiment of the invention, the center lines of the two single port USB sockets are spaced apart by about 0.5 inches whereas known unitized dual port USB sockets are spaced apart by about 0.3 inches. Series “A” USB plugs are about 0.3 inches wide. By using single port sockets and going to a greater separation distance it is easier to insert and remove a plug while the other one is in use. The USB charging interface circuit is configured to provide the low voltage DC charging signal to two devices-under-charge at a maximum predetermined charging current. In one embodiment, the maximum charging current provided by assembly 120 is approximately 2.1 Amperes.」
(当審仮訳)
「[0042] セパレータ部材15の上に配置された低電圧プリント回路基板(PCB)アセンブリ120を参照すると、これは、(ACアセンブリ140の)変調電力信号を低電圧直流(DC)充電信号に変換するように構成されたユニバーサルシリアルバス(USB)充電インターフェイス回路を含む。低電圧PCBアセンブリ120は、USB充電インターフェイス回路に結合された2つのシングルポートUSBソケット120-1、120-2を含む。低電圧PCB122は、セパレータ部材15と平行である。したがって、ソケット120-1、120-2はそれぞれ、前面カバ一部材12に形成されたUSB開口部12-1を介してアクセス可能である。本発明の一実施形態では、2つのシングルポートUSBソケットの中心線は約0.5インチ離れているのに対し、既知のユニット化されたデュアルポートUSBソケットは約0.3インチ離れている。シリーズ「A」のUSBプラグの幅は約0.3インチである。シングルポートソケットを使用し、分離距離を大きくすることで、プラグを使用中にもう一方のプラグを簡単に挿入および取り外しできる。USB充電インターフェイス回路は、所定の最大充電電流で充電中の2つのデバイスに低電圧DC充電信号を提供するように構成される。一実施形態では、アセンブリ120によって提供される最大充電電流は、約2.1アンペアである。」
d「[0051] Again, the transformer 140-2 conducts a PWM signal which is inductively coupled to the transformer secondary 140-22. The PWM signal is directed into the low voltage PCB assembly 120. The secondary 140-22 of the transformer 140-2 is rectified by diode D5, and further conditioned by the parallel combination of capacitors C5, C12, C13, C14, and C15, and resistors R17 and R18. The final +5 VDC output is provided to the positive (+) power terminal of each USB connector, 120-1 and 120-2, respectively. The negative (-) power terminal of the connectors (120-1, 120-2) are connected to ground. The USB connectors 120-1 and 120-2 are, of course, connected in parallel. The data terminals of each USB connector (120-1, 120-2) maybe shorted together. The schematic shows the data terminals (D+, D-) of USB connector 120-1 being connected to resistor R19, whereas the data terminals (D+, D-) of USB connector 120-2 are connected to resistor R20. Note that resistors R19 and R20 are depicted herein and, in an alternate embodiment, may have a resistance of up to 200 ohms (per USB 1.2 standard). Finally, the neutral terminal of the secondary 140-22 is connected to a capacitor CY1, the other end of which is connected to the auxiliary windings 140-24 of the transformer 140-2. Stated differently, the capacitor CY1 provides an AC path from the secondary 140-22 to the primary 140-20 side ground to limit noise present at the negative terminals (-) of the USB connectors. Of course, the jumper J1 can be opened to remove capacitor CY1 as needed.」
(当審仮訳)
「[0051] 再び、変圧器140-2は、変圧器二次側140-22に誘導結合されるPWM信号を実施する。PWM信号は、低電圧PCBアセンブリ120に導かれる。変圧器140-2の二次側140-22は、ダイオードD5によって整流され、コンデンサC5、C12、C13、C14、およびC15、ならびに抵抗R17およびR18の並列組み合わせによってさらに整流される。最終的なDC+5V出力は、各USBコネクタのプラス(+)電源端子である120-1、120-2にそれぞれ供給される。コネクタ(120-1、120-2)のマイナス(-)電源端子は、グランドに接続される。もちろん、USBコネクタ120-1、120-2は、並列に接続されている。各USBコネクタ(120-1、120-2)のデータ端子は、短絡されていてもよい。回路図では、USBコネクタ120-1のデータ端子(D+、D-)が抵抗R19に接続されているのに対し、USBコネクタ120-2のデータ端子(D+、D-)は抵抗R20に接続されている。抵抗R19およびR20は、本明細書で描かれており、代替実施形態では、最大200オーム(USB 1.2規格による)の抵抗を有することができることに留意されたい。最後に、二次側140-22の中性端子は、コンデンサCY1に接続され、その他端は、変圧器140-2の補助巻線140-24に接続される。別の言い方をすれば、コンデンサCY1は、USBコネクタのマイナス端子(-)に存在するノイズを制限するために、2次側140-22から1次側140-20側のグランドにAC経路を提供する。もちろん、必要に応じてジャンパーJ1を開いてコンデンサCY1を取り外すことができる。」
e「[0057] Referring to FIG. 8, a perspective view of the AC printed circuit board (PCB) assembly depicted in FIGS. 3 and 6 is disclosed. The AC PCB assembly 140 components and interconnections are shown schematically in FIG. 7 which was described above. Various components of the AC PCB assembly 140, such as transformer 140-2, capacitors C1 and C2, and inductor coil L1 are shown as being mounted on the printed circuit board 142. The secondary conductors 144A (hot) and 144B (neutral) are shown as being connected to the transformer (T1) 140-2. Hot and neutral conductors (18′, 19′) are connected to terminals 18, 19 shown in FIGS. 5-7 In another embodiment of the invention, conductors 18′ and 19′ are connected to neutral terminal 19 and to either terminal 17-10 or 17-20, respectively. Switch actuator 12-3 still controls a remote load but now in addition turns line voltage to the charger on and off.
[0058] Referring to FIG. 9, a perspective view of the low voltage printed circuit board (PCB) assembly 120 depicted in FIGS. 3 and 6 is disclosed. The low voltage PCB assembly components and interconnections are shown schematically in FIG. 7 described above. Various components of the low voltage PCB assembly 120, such as capacitors C5, C14, C13, and CY1, as well as the USB connectors (120-1, 120-2), are shown as being mounted on the printed circuit board 122.」
(当審仮訳)
「[0057] 図8を参照すると、図3および図6に示したACプリント回路基板(PCB)アセンブリの斜視図が開示される。AC PCBアセンブリ140の構成要素および相互接続は、前述の図7に概略的に示されている。変圧器140-2、コンデンサC1およびC2、ならびにインダクタコイルL1などのAC PCBアセンブリ140の様々な構成要素が、プリント回路基板142上に取り付けられているように示されている。二次導体144A(ホット)および144B(ニュートラル)は、変圧器(T1)140-2に接続されているように示されている。活線および中性線(18'、19') は、図5から図7に示される端子18、19に接続される。本発明の別の実施形態では、導体18'および19'は、中性端子19および端子17-10または17-20のいずれかにそれぞれ接続される。スイッチアクチュエータ12-3は引き続きリモート負荷を制御するが、さらに充電器へのライン電圧をオンまたはオフにする。
[0058] 図9を参照すると、図3および図6に示した低電圧プリント回路基板(PCB)アセンブリ120の斜視図が開示される。低電圧PCBアセンブリの構成要素および相互接続は、上記図7に概略的に示されている。USBコネクタ(120-1、120-2)と同様に、コンデンサC5、C14、C13、およびCY1などの低電圧PCBアセンプリ120の様々な構成要素が、プリント回路基板122上に取り付けられているように示されている。」
f「
[図:0001409111000001.jpg]
」
g「
[図:0001409111000002.jpg]
」
(イ)上記(ア)の記載及び図示内容から、引用文献1には次の事項が記載されていると認められる。
a 上記(ア)a及びbから、引用文献1には、「複数のUSBレセプタクルを含む壁に取り付け可能な電気配線装置10」が記載されているといえる。
b 上記(ア)b及びfから、引用文献1には、「電気配線装置10」が、「前面カバー12と嵌合し、第1の区画14-2と第2の区画14-3とを含み、内部回路によって発生する熱エネルギーを放散させるベント開口部14-1を有する背面本体部材14と、背面本体部材14に結合され、壁の開口部に設置された装置ボックスに接続するためのアース取り付けストラップ16」とを備えることが記載されているといえる。
c 上記(ア)b及びeから、引用文献1には、「電気配線装置10」が、「背面本体部材14の第1の区画14-2に収容されるACプリント回路基板アセンブリ140を構成し、変圧器140-2が取り付けられているプリント回路基板142」を備えることが記載されているといえる。
d 上記(ア)b、c及びeから、引用文献1には、「電気配線装置10」が、「背面本体部材14の第1の区画14-2に収容されたAC回路基板アセンブリ140の上に配置されるセパレータ部材15に次いで上に配置される低電圧プリント回路基板アセンブリ120を構成し、2つのシングルポートUSBソケット120-1、120-2、複数のコンデンサが取り付けられたプリント回路基板122」を備えることが記載されているといえる。
e 上記(ア)b及びfから、引用文献1には、「電気配線装置10」が、「背面本体部材の第2の区画14-3に収容される、プラグブレードセットの接地プラグを受け入れるように構成されたアースレセプタクルコンタクト16-1」を備えることが記載されているといえる。
f 上記(ア)cから、引用文献1には「低電圧プリント回路基板120」が、「ACプリント回路基板アセンブリ140の変調電力信号を低電圧直流充電信号に変換するUSB充電インターフェイス回路を含んでいる」ことが記載されているといえる。
(ウ)上記(イ)の事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「複数のUSBレセプタクルを含む壁に取り付け可能な電気配線装置10であって、
前面カバー12と嵌合し、第1の区画14-2と第2の区画14-3とを含み、内部回路によって発生する熱エネルギーを放散させるベント開口部14-1を有する背面本体部材14と、
背面本体部材14に結合され、壁の開口部に設置された装置ボックスに接続するためのアース取り付けストラップ16と、
背面本体部材14の第1の区画14-2に収容されるACプリント回路基板アセンブリ140を構成し、変圧器140-2が取り付けられているプリント回路基板142と、
背面本体部材14の第1の区画14-2に収容されたAC回路基板アセンブリ140の上に配置されるセパレータ部材15に次いで上に配置される低電圧プリント回路基板アセンブリ120を構成し、2つのシングルポートUSBソケット120-1、120-2、複数のコンデンサが取り付けられているプリント回路基板122と、
背面本体部材14の第2の区画14-3に収容される、プラグブレードセットの接地プラグを受け入れるように構成されたアースレセプタクルコンタクト16-1とを備え、
低電圧プリント回路基板アセンブリ120は、ACプリント回路基板アセンブリ140の変調電力信号を低電圧直流充電信号に変換するUSB充電インターフェイス回路を含んでいる、
電気配線装置10。」
イ 引用文献2について
(ア)引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a「【0004】しかしながら、埋込型の調光器は、トライアックの発熱によりケースが高温になるのを防ぐために、埋込ボックスに取着される金属製の取付枠とケースとが一体式になっており、専用の取付枠が必要なので、スイッチやコンセントなどの他の配線器具とは別途に設置スペースを確保する必要があり、施工に手間がかかるという不具合があった。」
b「【0012】
【発明の実施の形態】本実施形態の調光器を図1乃至図15を参照しながら説明する。本実施形態の調光器のケース1は、埋込型の配線器具用の取付枠110に該取付枠110の開口窓111からケース1の前面が露出する形で最大3個まで連設して取り付けることができる単位寸法の埋込型の配線器具の2個分に相当する寸法に形成されている。ケース1は、熱硬化性合成樹脂製(例えば、メラミンフェノール樹脂製)であって前面が開放された直方体状に形成されたボディ10と、弾性を有する合成樹脂製(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂製=PBT樹脂製)であって後面が開放された直方体状に形成されたカバー20とを結合して形成される。」
c「【0014】ボディ10は仕切壁12により内部空間が端子収納室13と回路収納室14とに分割されている。ボディ10内において仕切壁12を介して形成された端子収納室13には、速結端子よりなる一対の端子30が納装される。端子30は、端子板35と鎖錠ばね36とで構成され、鎖錠ばね36は、端子板35と鎖錠ばね36との間に電線挿入口15(図2(e)参照)に挿入された電線に食い込んで抜け止めをする鎖錠片36bと、電線に弾接する接触片36aとを備えている。…(以下省略)」
d「【0016】また、回路収納室14には、プリント板51に実装された後述のチョークコイルLや、放熱板40などが納装される。ここに、プリント板51は実装される回路部品とともにプリント板ブロック50を構成するものであって、プリント板51には上述の端子板35の接続片35aが半田付けされており、プリント板ブロック50(図7参照)には、図8に示すような回路部が構成される。端子30間には、商用電源Vsと白熱灯などの照明負荷Laとの直列回路が上述の電線によって接続される。」
e「【0020】ところで、トライアックQ1は放熱板40に取着され、その後、回路基板51に半田付けされる。放熱板40は、図9に示すような構造であって、例えばアルミニウム板をボディ20の内周面に沿う形に適宜折曲されている。トライアックQ1は、取付ねじ75(図1参照)によって放熱板40の固定片40bに取着される。なお、トライアックQ1は固定片40bに当接する面に予めシリコングリスが塗布される。本実施形態では、放熱板40をボディ20の内周面に沿う形に適宜折曲することにより、放熱板40の面積を大きくすることができ、トライアックQ1の放熱が効率良く行われるので、ケース1の前面側の温度が上昇するのを抑制でき、調光設定を行う時に使用者に不安感を与えるということがない利点がある。また、…(以下省略)」
f「
[図:0001409111000003.jpg]
」
(イ)上記(ア)の記載及び図示内容から、引用文献2には次の事項が記載されていると認められる。
a 上記(ア)aから、引用文献2には、「埋込型の調光器」が記載されているといえる。
b 上記(ア)bから、引用文献2には、「埋込型の取付枠に取り付けることができる寸法に形成され、熱硬化性合成樹脂製のボディ10と、弾性を有する合成樹脂製のカバー20とを結合して形成されるケース1」が記載されているといえる。
c 上記(ア)c及びdから、引用文献2には、「端子30の接続片35aが半田付けされ、回路部品が実装されるプリント板51」が記載されているといえる。
d 上記(ア)e及びfから、引用文献2には、「ボディ10の内周面に沿う形に適宜折曲したアルミニウム板である放熱板40」が記載されているといえる。
e 上記(ア)e及びfから、引用文献2には、「放熱板40の当接する面に予めシリコングリスを塗布した上で取着された後、プリント板51に半田付けされるトライアックQ1」が記載されているといえる。
f 上記(ア)fから、上記eの「シリコングリス」は、「トライアックQ1が半田付けされるプリント板51の法線方向に沿った側面と放熱板40との間」に「塗布される」ことが見て取れる。
g 上記(ア)fから、上記aの「埋込型の調光器」が、上記b乃至eの「ケース1」、「プリント板51」、「放熱板40」及び「トライアックQ1」を備えることが見て取れる。
h 上記(ア)d及びfから、引用文献2には、「ボディ10の回路収納室14にチョークコイルLが実装されたプリント板51や、放熱板40などが納装される」ことが記載されているといえる。
i 上記(ア)d及びfから、引用文献2には、「ボディ10の端子収納室13に端子板35と鎖錠ばね36とで構成される端子30が一対納装される」ことが記載されているといえる。
j 上記(ア)dから、引用文献2には、「端子30間は、電線によって、商用電源Vsと照明負荷Laとが直列に接続される」ことが記載されているといえる。
(ウ)上記(イ)の事項を総合すると、引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「埋込型の調光器であって、
埋込型の取付枠に取り付けることができる寸法に形成され、熱硬化性合成樹脂製のボディ10と、弾性を有する合成樹脂製のカバー20とを結合して形成されるケース1と、
端子30の接続片35aが半田付けされ、回路部品が実装されるプリント板51と、
ボディ20の内周面に沿う形に適宜折曲したアルミニウム板である放熱板40と、
放熱板40の当接する面に予めシリコングリスを塗布した上で取着された後、プリント板51に半田付けされるトライアックQ1とを備え、
シリコングリスは、トライアックQ1が半田付けされるプリント板51の法線方向に沿った側面と放熱板40との間に塗布され、
ボディ10の回路収納室14にチョークコイルLが実装されたプリント板51や、放熱板40などが納装され、
ボディ10の端子収納室13に端子収納室13に端子板35と鎖錠ばね36とで構成される端子30が一対納装され、
端子30間は、電線によって、商用電源Vsと照明負荷Laとが直列に接続される、
調光器。」
ウ 引用文献3~6について
(ア)引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a「[0044] 本実施形態に係る電子機器の放熱構造は、ICチップ(半導体チップ)等の電子部品を搭載した基板を備える電子機器に関する放熱構造であって、例えば図1Aに示すように、基板2に実装されるICチップ3(3A、3B)と、基板2の実装面側をカバーする基板カバーなどのカバー部材4との間に放熱シート1(1A、1B)を介装して放熱する放熱構造である。
[0045] また、この放熱シートとしては、厚み方向に変形容易な柔軟性を備えて、ICチップ3とカバー部材4との間隔の寸法のばらつきに拘らずに、容易に圧雪されてICチップ3に確実に当接する程度のゴム硬さのゴムシートが好ましく、例えば、アスカーC硬度が10~60程度のシリコーンゴムシートやアクリルゴムシートなどの放熱性を有するゴムシートを用いることができる。なお、アスカーC硬度とは、日本ゴム協会標準規格で規定されるゴム硬度であり、JIS K 6253で規定されるショア硬度Eに相当する。
[0046] カバー部材4は、上面41と側面42と取付け面43を備えた基板カバーであって、例えば、熱伝導性を備えて放熱性を発揮するアルミ板などの金属板金を用いて折り曲げ構成とされ、基板2の実装面側をカバーするように、取付け面43を基板2に載置して止めネジ44を用いてネジ固定される。また、基板2に複数のICチップ3(3A、3B)を搭載する場合には、このICチップ搭
載部に合致した位置の上面部にチップ押さえ部5が設けられている。
[0047] 図1Bに示すように、例えば、矩形の基板2にICチップ3が4個搭載された構成であれば、カバー部材4も平面視矩形に形成される。また、搭載されるICチップ3の個数に応じて、平面視矩形のカバー部材4に4個のチップ押さえ部5が設けられている。このチップ押さえ部5も熱伝導性を備えた板金製であることが好ましく、熱伝導性を備えたカバー部材4の上面41部を板金加工し
て設けることができる。また、熱伝導性を備えた別部材からなる押さえ部をカバー部材4に接合して設ける構成であってもよい。
[0048] カバー部材4を板金加工してチップ押さえ部5を設ける場合は、このチップ押さえ部5の形成が容易となって好ましい。また、チップ押さえ部5を別部材から形成する場合は、所望の熱伝導性を発揮する素材からなるチップ押さえ部5を選択することが容易となって好ましい。
[0049] それぞれのチップ押さえ部5の突出高さは、それぞれのICチップ3とカバー部材4との間に放熱シート1を圧接状態に介装可能な程度に突出した高さであることが好ましい。また、放熱シート1がシリコーンゴムやアクリルゴムからなる放熱性に優れた柔軟なシートであれば、このチップ押さえ部5を介して、放熱シート1を弾性的に押圧して圧接することが容易となって好ましい。
[0050] さらに、ICチップ3とカバー部材4との隙間にバラツキが生じても、適当な圧でICチップ3と放熱シート1、および、放熱シート1とカバー部材4とを当接させて、十分な放熱性を発揮して電子機器の信頼性を向上させるためには、チップ押さえ部5が放熱シート1の厚み方向に弾性を有する弾性押さえ部であることが好ましい。
[0051] そのために、本実施形態では、チップ押さえ部5は、カバー部材4に一端が固着されてカバー部材から接離する方向に弾性変形可能とされる弾性片部51と、この弾性片部の他端側に連接され放熱シート1に当接する当接片部52を備えた弾性押さえ部としている。
[0052] 上記のような構成であれば、放熱シート1が柔軟性を備えていることに加えて、この放熱シート1をICチップ3に押圧するチップ押さえ部5が弾性を備えることで、ICチップ3とカバー部材4との隙間にバラツキが生じても、適当な圧でICチップ3と放熱シート1、および、放熱シート1とカバー部材4とを当接させることが可能となる。そのために、本実施形態によれば、熱伝導性を有する放熱シート1からチップ押さえ部5を介して、ICチップ3の熱が放熱板ともなるカバー部材4に速やかに伝導され、ICチップ3の熱を速やかに放熱することができる。」
b「[図1A]
[図:0001409111000004.jpg]
」
c「[図2A]
[図:0001409111000005.jpg]
」
(イ)引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a「【0047】
図7(A)は、実施形態1に係るヒートシンクの斜視図、図7(B)は、ヒートシンクの側面図である。図7(A)は、ヒートシンク300を、前段スイッチ素子から隔離させた状態を示し、図7(B)は、ヒートシンク300を前段スイッチ素子に接触させた状態を示している。
【0048】
ヒートシンク300は、熱伝導率が高いアルミニウム又は銅などの金属製で、平板状の支持板301と支持板301に設けられた直方体状の突起部302とを備えている。支持板301は、長辺及び短辺を有する矩形状の平面を有している。支持板301の平面の一方には、長手方向における一端部側に複数の直方体状の突起部302が密集配置されている。
【0049】
ヒートシンク300は、突起部302が配置された支持板301の平面と反対側の面が回路基板200の前段スイッチ素子S1~S8に接触するように、回路基板200に接合される。このとき、支持板301は、前段スイッチ素子S1~S8との間にシリコングリス、放熱シート等を介して接触している。」
b「【図7(B)】
[図:0001409111000006.jpg]
」
(ウ)引用文献5には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a「【0009】図1において、1は半導体チップからなる半導体素子を内蔵するパワー部、2はパワー部2を制御・駆動する制御基板、3はパワー部1のスイッチングノイズを抑制するノイズ遮蔽板、4はパワー部1の発熱を放熱する冷却用ヒートシンク、5はパワー部1と冷却用ヒートシンク4の間隙に位置しパワー部1の熱を冷却用ヒートシンク4に伝える放熱シートやシリコングリスなどからなる放熱部材、6は制御基板2とパワー部1の制御信号を伝達する中継端子、7はノイズ遮蔽板3を固定するネジ、9は制御基板2を固定するサポートである。」
b「【図1】
[図:0001409111000007.jpg]
」
(エ)引用文献6には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a「【0025】
このようにして製作したパワーモジュール5を、ハウジングカバー内部の凹部8に搭載し、放熱接着材12中に埋没させる。
【0026】
放熱接着材12は、低弾性率の熱伝導性材料には、熱伝導率が、0.5W/mK以上で、25℃における弾性率が0.1MPa以上1MPa以下であれば問題なく用いる事ができる。具体的には、エポキシ樹脂,シリコーン樹脂,ポリイミド,ウレタン樹脂やこれらに無機フィラーや絶縁被覆した金属フィラーを充填したものを用いる事ができる。但し、この熱伝導性材料は、絶縁性である事が望ましい。
【0027】
放熱板13は、例えば、量産性,軽量化の向上の点から、プレス加工によるめっき鋼板製放熱板や、アルミ合金製放熱板等の金属材料を用いるとよい。放熱板は長手方向の一方をパワー半導体素子上に配置し、放熱板のもう一方をハウジングカバーの内面、および制御基板間に放熱接着剤を介して配置させる。制御基板4は、ネジ等の機械的固定材15を用いてハウジングカバー2に固定する。」
b「【0031】
本実施例によれば、マイクロコンピュータを実装した制御基板と、パワー半導体素子を搭載したパワーモジュールと、放熱接着剤と、放熱板と、ハウジングカバーから構成される制御装置において、制御装置は、ハウジングカバー上に、パワーモジュール,放熱板,制御基板の順に積層される構造であり、パワーモジュールはハウジングカバー内部の凹部に配置され、且つ、パワーモジュールは放熱接着剤中に埋没し、屈曲部を有する放熱板の長手方向の一方がパワー半導体素子上に配置され、放熱板のもう一方がハウジングカバーの内面、および制御基板間に放熱接着剤を介して配置させることで、電子部品,パワーモジュール基板裏面のみからで無く、パワーモジュール全体から放熱ができるため、高放熱化が期待できる。又、従来はパワーモジュール基板の電流回路用配線部には絶縁のために全面にレジストを設けていたが、本発明では絶縁性の放熱接着剤を用いており、パワーモジュール全体を覆う構造としているため、レジストは電気的接合材を供給する外周部のみに簡略化できる。」
c「
[図:0001409111000008.jpg]
」
エ 甲第3号証について
(ア)甲3には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a「
[図:0001409111000009.jpg]
」
(当審仮訳)
「[0029] 図1~図3に示すように、本発明の壁用USBソケットは、バックシェル2と、外枠8と、外枠8に埋め込まれたパネル10とから構成される;また、 PCB基板3と、端子端12と、リード線端子片4と、金属固定板7と、USBインターフェイス9とから構成される;前記USBインターフェイス9とPCB基板3とは電気的に接続されている;」
b「
[図:0001409111000010.jpg]
」
(イ)上記(ア)a及びbから、甲3には、「USBインターフェイス9を含む壁用USBソケット」が記載されていると認められる(以下、「甲3技術事項」という。)。
オ 周知技術について
(ア)引用文献3~5に記載された事項により、以下の事項は、本件特許の出願時における周知技術と認められる(以下、「周知技術1」という。)。
(周知技術1)
電子機器を設けた基板に対して並行に配置した放熱シート及び放熱板により、電子部品から発生する熱を放熱シートを介して放熱板へ放熱すること。
(イ)引用文献3及び6に記載された事項により、以下の事項は、本件特許の出願時における周知技術として認められる(以下、「周知技術2」という。)。
(周知技術2)
電子機器において、低弾性率の熱伝導性材料を介して電子機器から発生する熱を放熱板へ放熱すること。
(ウ)引用文献4及び5に記載された事項により、以下の事項は、本件特許の出願時における周知技術として認められる(以下、「周知技術3」という。)。
(周知技術3)
電子機器から発生する熱を放熱板に伝達する放熱部材として、放熱シートとシリコングリスのいずれかが選択可能であること。
(2)取消理由1-1について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と引用発明1とを対比する。
a 引用発明1の「電気配線装置10」の「USBソケット120-1、120-2」について、「配線」を伴う「USBコネクタ」を「接続して」利用されるものであることは、本件特許の出願時における技術常識であって、「USBコネクタ」は、本件発明1の“差込式の第1外側端子”と言い得るものである。
したがって、引用発明1における「USBソケット120-1、120-2」は、本件発明1における「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」に相当する。
さらに、引用発明1における「電気配線装置10」は、後述する相違点を除いて、本件発明1における「配線器具」に相当する。
b 引用発明1の「変圧器140-2」は、「プリント回路基板142」に「取り付けられている」との構成によれば、「プリント回路基板142」に接するように「変圧器140-2」が配置されているものといえる。
したがって、引用発明1における「プリント回路基板142」、「変圧器140-2」は、本件発明1における「基板」、「電子部品」にそれぞれ相当する。
c 引用発明1の「USBソケット120-1、120-2」は、「プリント回路基板122」に「取り付けられている」との構成から、「USBソケット120-1、120-2」は、「プリント回路基板122」に実装されているものといえる。
したがって、引用発明1における「プリント回路基板122」は、本件発明1における「他の基板」に相当する。
d 引用発明1の「背面本体部材14」は、「プリント回路基板142」を構成要素とする「ACプリント回路基板アセンブリ140」を「第1の区画14-2」に収容するとともに、「アースレセプタクルコンタクト16-1」を「第2の区画14-3」に収容するものである。
したがって、上記bの検討も参酌すると、引用発明1における「ACプリント回路基板アセンブリ140を構成するプリント回路基板142」及び「アースレセプタクルコンタクト16-1」を収容する「背面本体部材14」と、本件発明1における「前記電子部品、前記放熱板、前記放熱部材、及び鎖錠ばねを収納するハウジング」とは、「電子部品及び端子部品を収納するハウジング」という点で共通する。
e 引用発明1の「ベント開口部14-1」は、「背面本体部材14」に収容される内部回路によって発生する熱エネルギーを放散させるものであるといえる。
したがって、上記dの検討も参酌すると、引用発明1における「背面本体部材14」の「内部回路によって発生する熱エネルギーを放散させるベント開口部14-1」と、本件発明1における「放熱板」及び「前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記電子部品の熱を前記放熱板に伝達する放熱部材」とは、「放熱構造」である点で共通する。
f 引用発明1の「第1の区画14-2」は、「背面本体部材14」に含まれるものであるから、「背面本体部材14」の一部から構成されていることは明らかである。
したがって、上記dの検討も参酌すると、引用発明1における「プリント回路基板142」を構成要素とする「ACプリント回路基板アセンブリ140」を収容する「背面本体部材14」の一部から構成されている「第1の区画14-2」と、本件発明1における「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材」が収納される「前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部」とは、「前記電子部品」が収納される「前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部」である点で共通する。
g 引用発明1の「第2の区画14-3」は、「第1の区画14-2」とともに「背面本体部材14」に含まれるものであるから、「背面本体部材14」の「第1の区画14-2」を含まない部分から構成されていることは明らかである。
したがって、引用発明1における「アースレセプタクルコンタクト16-1」を収容する「背面本体部材14」の「第1の区画14-2」を含まない部分から構成されている「第2の区画14-3」と、本件発明2における「前記鎖錠ばね」が収納される「前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部」とは、「端子部品」が収納される「ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部」である点で共通する。
(イ)一致点、相違点
したがって、本件発明1と引用発明1は、以下の点において一致ないし相違する。
(一致点)
基板と、
前記基板に配置される電子部品と、
放熱構造と、
差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子と、
前記第1内側端子が実装される他の基板と、
前記電子部品及び端子部品を収納するハウジングと、を備え、
前記電子部品は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納され、
前記端子部品は、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される、
配線器具。
(相違点1)
本件発明1の「放熱構造」は、「ハウジング」の一部で構成されている「第一の収納部」に収納される「放熱板」と、前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記電子部品の熱を前記放熱板に伝達する「放熱部材」とで構成されているのに対し、引用発明1の「放熱構造」は、「背面本体部材14」自体に形成された「ベント開口部14-1」である点。
(相違点2)
本件発明1の「端子部品」は、「ハウジング」の他の一部で構成されている「第二の収納部」に収納される「鎖錠ばね」であるのに対し、引用発明1の「端子部品」は、「背面本体部材14」の「第2の区画14-3」に収容された「アースレセプタクルコンタクト16-1」である点。
(ウ)相違点についての判断
事案に鑑みて、まず、上記相違点2について検討する。
本件発明1の「鎖錠ばね」という語の理解に際しては、本件特許の明細書や図面の記載を参酌すべきところ、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
「【0020】
各第2内側端子9の左片、下片(又は上片)及び右片で囲まれた空間内には、対応する鎖錠ばね11が収納される。鎖錠ばね11は、図1に示すように、支持片110と、鎖錠片111と、押圧片112と、を有している。支持片110は、前後方向に長い板状である。鎖錠片111は、板状であり、支持片110の後端において一体に形成されている。鎖錠片111は、支持片110の後端から斜め前方に傾斜している。押圧片112は、上下方向から見た形状がU字状であり、支持片110の前端において一体に形成されている。
【0021】
第2内側端子9は、第2外側端子19を接続可能に構成されている。第2外側端子19は、ここでは外部電源(例えば、商用電源)に電気的に接続された給電用の電線の心線である。第2外側端子19は、鎖錠ばね11の押圧片112からの押圧力によって第2内側端子9の左片に押し付けられ、これにより第2内側端子9と第2外側端子19とが電気的に接続される。」
「【0039】
2個の端子用収納部220の各々には、第3基板7に実装された2個の第2内側端子9(対応する鎖錠ばね11を含む)のいずれかが収納される。…(中略)…このとき、第2外側端子19は、第2内側端子9と対応する鎖錠ばね11との間に差し込まれ、鎖錠ばね11の押圧片112からの押圧力によって第2内側端子9の左片に接触する。また、第2外側端子19は、対応する鎖錠ばね11の鎖錠片111によって抜け止めされる。このように、ボディ2は、後面に、電線(第2外側端子19)を接続するための第2挿通孔(電線挿通孔)2200を有する。」
「【0041】
解除釦12は、釦用収納部221に収納された状態において、第1位置と第2位置との間で前後方向に移動可能である。解除釦12が第1位置にあるときには、鎖錠ばね11の鎖錠片111によって第2外側端子19が抜け止めされる。解除釦12が第2位置にあるときには、解除釦12の作用片121によって鎖錠片111が第2外側端子19から離れる方向へ移動し、第2外側端子19の抜け止めが解除される。すなわち、解除釦12を第2位置に移動させることにより、第2外側端子19を引き抜くことができる。解除釦12を第2位置へ移動させる際には、解除孔2210に解除用治具(例えば、マイナスドライバ)を差し込むことにより、解除釦12が第2位置へ移動する。また、解除釦12を第1位置へ移動させる際には、解除孔2210から解除用治具を抜くことにより、鎖錠ばね11の鎖錠片111からの弾性力によって解除釦12が第1位置へ移動する。」
明細書の上記摘記事項から、本件発明1の「鎖錠ばね」は、押圧片の押圧力によって外側端子を内側端子に押し付けることで、内側端子と外側端子を電気的に接続させるとともに、鎖錠片によって外側端子の抜け止めを実現するものであると認められる。
ここで、引用発明1の「アースレセプタクルコンタクト16-1」が、本件発明1の「鎖錠ばね」に相当するものであるか否かを検討する。上記(1)ア(ア)b及びfから、引用文献1に記載された「a ground receptacle contact 16-1」は、「プラグブレードセットの接地プラグを受け入れるように構成されたアースレセプタクルコンタクト16-1」、本件特許の出願時における技術常識を参酌して換言すると、接地極付きコンセントの接地極を受け入れるソケットであり、板状の構造を有するものと認められる。
すなわち、引用発明1の「アースレセプタクルコンタクト 16-1」は、「電気配線装置10」の内部にある端子そのものであり、本件発明1の「鎖錠ばね」のように、内側端子と外側端子の接続を補助するものであるとはいえない。また、引用発明1の「アースレセプタクルコンタクト 16-1」は、それ自体(内側端子)とコンセントの接地極(外側端子)とが接することで電気的に接続する機能を有するものの、接地極の抜け止めを実現する構成を有するものではない。
したがって、引用発明1の「アースレセプタクルコンタクト 16-1」は、その機能から、本件発明1の「鎖錠ばね」に相当するものであるとはいえない。
次に、引用発明1の「アースレセプタクルコンタクト 16-1」を、「鎖錠ばね」に置換する動機付けの有無について検討する。仮に、引用発明1の「電気配線装置10」において、「アースレセプタクルコンタクト 16-1」に替えて「鎖錠ばね」を採用した場合、接地極の抜け止めを実現する機構が付加されることとなり、当業者であれば、接地極付きコンセントの抜き差しが困難な構成となることは明らかである。
したがって、引用発明1の「アースレセプタクルコンタクト 16-1」を、「鎖錠ばね」に置換する動機付けが存在するともいえない。
引用文献1のその他の記載についても検討すると、上記(1)ア(ア)b及びfから、引用文献1には、電気配線装置10がAC電源に接続するためのホット端子18及びニュートラル端子19を有することが記載されている。そして、上記(1)ア(ア)fから、これらの端子は、電気配線装置10の外側にて、ねじの締め付けによりAC電源と接続するものと見て取れる。
しかしながら、引用文献1には、これらの端子とAC電源とを接続するための「ねじ」を「背面本体部材14」の特定の区画に収容することについての記載も示唆もなく、そのような動機付けが存在するとはいえない。
さらに、引用文献1には、「鎖錠ばね」についての記載も示唆もないから、仮に、これらの端子とAC電源とを接続するための「ねじ」を「背面本体部材14」の特定の区画に収納したとしても、その上で「ねじ」を「鎖錠ばね」に替える動機付けが存在するとはいえず、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
また、先の取消理由で引用した引用文献3~5にも、「ハウジング」の特定の区画に収納される「鎖錠ばね」についての記載も示唆もなく、上記相違点2に係る構成を引用発明1に適用し得る動機付けが存在するとはいえない。
なお、上記(1)イ(ア)c及びdから、先の取消理由で引用していない引用文献2には、調光器のボディ10内において仕切り壁12を介して形成された端子収納室13に、鎖錠ばね36を含む端子が納装され、回路収納室14に、プリント板51に実装されたチョークコイルLや放熱板40などが納装されることが記載されている(以下、「引用文献2技術事項1」とする。)。
引用文献2技術事項1における「端子収納室13」、「鎖錠ばね36」は、本件発明1における「第二の収納部」、「鎖錠ばね」にそれぞれ相当する。
ここで、引用発明1と引用文献2技術事項1とを組み合わせる動機付けの有無について検討すると、引用発明1の「電気配線装置10」は、電力を変換した上で建物内の電気機器に供給するための埋込型の配線器具であり、引用文献2技術事項1の「調光器」は、照明負荷の調光レベルを設定するための埋込型の配線器具である。
したがって、引用発明1と引用文献2技術事項は、埋込型の配線器具であるという点では一応、共通するものの、解決しようとする課題が大きく異なることから、共通する技術分野に属するものであるとはいえず、引用発明1において、引用文献2技術事項1を組み合わせる動機付けが存在するとはいえない。また、その他に引用発明1に引用文献2技術事項1を組み合わせる動機付けが存在するともいえないから、引用発明1において、引用文献2技術事項1を採用することは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
その他、先の取消理由で引用していない引用文献6及び甲3をみても、「ハウジング」の特定の区画に収納される「鎖錠ばね」についての記載も示唆もなく、上記相違点2に係る構成を引用発明1に適用し得る動機付けが存在するとはいえないが、特開2008-172769号公報(【0039】、【0040】及び図1等)、特開2005-242951号公報(【0029】~【0031】及び図2等)、及び、特開平3-112076号公報(第2頁右下欄第6行~第3頁左下欄第20行、第1図等)には、配線器具のハウジングが、電子部品、放熱板を含む放熱構造及び鎖錠ばねを収納していることが記載されている(以下、「周知技術4」という。)。
ここで、引用発明1と周知技術4とを組み合わせる動機付けの有無について検討する。引用発明1の「電気配線装置10」は、引用文献1の記載から、「壁の開口部に設置された装置ボックスに取り付けられる電気配線装置10」に係るものであって、埋込型の配線器具に係るものと認められる。
配線器具は、日本においてはJIS規格、米国においてはNEMA規格によって大きさ、形状等が規定されており、特に、埋込型の配線器具の規格においては、その1辺の大きさが数センチから十数センチ程度に制限されていることが本件特許の出願時における技術常識である。加えて、引用発明1の「電気配線装置10」は、商用電源の電力を建物内の電気機器に提供することを目的とする配線器具である。
しかるに、引用発明1の「電気配線装置10」は、埋込型の配線器具に係るものである以上、上記規格及び目的に従って設計されていると解されるところ、その筐体、部品及び配線の形状、大きさ及び配置が、上記規格(特に大きさ)及び目的に適合するように最適化されたものであると考えるのが合理的である。
周知技術4は、配線器具のハウジングに係るものであり、埋込型の配線器具のハウジングと外部電源の電線との接続を鎖錠ばねにて行うものではあるものの、外部電源の電線からの電力を建物内の電気機器に提供することを目的としたものではないから、商用電源の電力を建物内の電気機器に提供することを目的とする配線器具である引用発明1とは、共通の技術分野に属するものとはいえない。
そのような事情に鑑みれば、配線器具のハウジングが、電子部品、放熱板を含む放熱構造及び鎖錠ばねを収納している点が、埋込型の配線器具における従来からの周知技術であったとしても、その点のみを周知技術4として切り離して、周知技術4とは異なる技術思想、換言すると、商用電源の電力を建物内の電気機に提供するという目的の下で最適化されている引用発明1に適用する動機付けが存在するとはいえない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、少なくとも上記相違点2の点で、引用発明1及び引用文献2~6、甲3の記載に基いて、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
イ 本件発明2について
(ア)対比
本件発明2と引用発明1とを対比する。
a 引用発明1の「電気配線装置10」の「USBソケット120-1、120-2」について、「配線」を伴う「USBコネクタ」を「接続して」利用されるものであることは、本件特許の出願時における技術常識であって、「USBコネクタ」は、本件発明2の“差込式の第1外側端子”と言い得るものである。
したがって、引用発明1における「USBソケット120-1、120-2」は、本件発明2における「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」に相当する。
さらに、引用発明1における「電気配線装置10」は、後述する相違点を除いて、本件発明2における「配線器具」に相当する。
b 引用発明1の「変圧器140-2」は、「プリント回路基板142」に「取り付けられている」との構成によれば、「プリント回路基板142」に接するように「変圧器140-2」が配置されているものといえる。
したがって、引用発明1における「プリント回路基板142」、「変圧器140-2」は、本件発明2における「基板」、「電子部品」にそれぞれ相当する。
c 引用発明1の「USBソケット120-1、120-2」は、「プリント回路基板122」に「取り付けられている」との構成から、「USBソケット120-1、120-2」は、「プリント回路基板122」に実装されているものといえる。
したがって、引用発明1における「プリント回路基板122」は、本件発明2における「他の基板」に相当する。
d 引用発明1の「背面本体部材14」は、「プリント回路基板142」を構成要素とする「ACプリント回路基板アセンブリ140」を「第1の区画14-2」に収容するとともに、「アースレセプタクルコンタクト16-1」を「第2の区画14-3」に収容するものである。
したがって、上記bの検討も参酌すると、引用発明1における「ACプリント回路基板アセンブリ140を構成するプリント回路基板142」及び「アースレセプタクルコンタクト16-1」を収容する「背面本体部材14」と、本件発明2における「前記電子部品、前記放熱板、前記弾性率が低い材料で形成される前記放熱部材、及び鎖錠ばねを収納するハウジング」とは、「電子部品及び端子部品を収納するハウジング」という点で共通する。
e 引用発明1の「ベント開口部14-1」は、「背面本体部材14」に収容される内部回路によって発生する熱エネルギーを放散させるものであるといえる。
したがって、上記dの検討も参酌すると、引用発明1における「背面本体部材14」の「内部回路によって発生する熱エネルギーを放散させるベント開口部14-1」と、本件発明2における「放熱板」及び「前記放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材」とは、「放熱構造」である点で共通する。
f 引用発明1の「第1の区画14-2」は、「背面本体部材14」に含まれるものであるから、「背面本体部材14」の一部から構成されていることは明らかである。
したがって、上記dの検討も参酌すると、引用発明1における「プリント回路基板142」を構成要素とする「ACプリント回路基板アセンブリ140」を収容する「背面本体部材14」の一部から構成されている「第1の区画14-2」と、本件発明2における「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材」が収納される「前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部」とは、「前記電子部品」が収納される「前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部」である点で共通する。
g 引用発明1の「第2の区画14-3」は、「第1の区画14-2」とともに「背面本体部材14」に含まれるものであるから、「背面本体部材14」の「第1の区画14-2」を含まない部分から構成されていることは明らかである。
したがって、引用発明1における「アースレセプタクルコンタクト16-1」を収容する「背面本体部材14」の「第1の区画14-2」を含まない部分から構成されている「第2の区画14-3」と、本件発明2における「前記鎖錠ばね」が収納される「前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部」とは、「端子部品」が収納される「ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部」である点で共通する。
(イ)一致点、相違点
したがって、本件発明2と引用発明1は、以下の点において一致ないし相違する。
(一致点)
基板と、
前記基板に配置される電子部品と、
放熱構造と、
差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子と、
前記第1内側端子が実装される他の基板と、
前記電子部品及び端子部品を収納するハウジングと、を備え、
前記電子部品は、前記ハウジングの一部で構成されている第一の収納部に収納され、
前記端子部品は、前記ハウジングの他の一部で構成されている第二の収納部に収納される、
配線器具。
(相違点1)
本件発明2の「放熱構造」は、「ハウジング」の一部で構成されている「第一の収納部」に収納される「放熱板」と、前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される「放熱部材」とで構成されているのに対し、引用発明1の「放熱構造」は、「背面本体部材14」自体に形成された「ベント開口部14-1」である点。
(相違点2)
本件発明2の「端子部品」は、「ハウジング」の他の一部で構成されている「第二の収納部」に収納される「鎖錠ばね」であるのに対し、引用発明1の「端子部品」は、「背面本体部材14」の「第2の区画14-3」に収容された「アースレセプタクルコンタクト16-1」である点。
(ウ)相違点についての判断
上記相違点2を構成する「鎖錠ばね」は、上記ア(イ)において示す相違点2を構成する「鎖錠ばね」と実質的に同じであり、その構成に係る判断については、上記ア(ウ)において検討したとおりである。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明2は、少なくとも上記相違点2の点で、引用発明1及び引用文献2~6、甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
ウ 本件発明3について
(ア)対比
本件発明3と引用発明1とを対比する。
a 引用発明1の「電気配線装置10」の「USBソケット120-1、120-2」について、「配線」を伴う「USBコネクタ」を「接続して」利用されるものであることは、本件特許の出願時における技術常識であって、「USBコネクタ」は、本件発明3の“差込式の第1外側端子”と言い得るものである。
したがって、引用発明1における「USBソケット120-1、120-2」は、本件発明3における「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」に相当する。
さらに、引用発明1における「電気配線装置10」は、後述する相違点を除いて、本件発明3における「配線器具」に相当する。
b 引用発明1の「変圧器140-2」は、「プリント回路基板142」に「取り付けられている」との構成によれば、「プリント回路基板142」に接するように「変圧器140-2」が配置されているものといえる。
したがって、引用発明1における「プリント回路基板142」、「変圧器140-2」は、本件発明3における「基板」、「電子部品」にそれぞれ相当する。
c 引用発明1の「背面本体部材14」は、「プリント回路基板142」を構成要素とする「ACプリント回路基板アセンブリ140」を「第1の区画14-2」に収容するものである。
したがって、上記bの検討も参酌すると、引用発明1における「ACプリント回路基板アセンブリ140を構成するプリント回路基板142」を収容する「背面本体部材14」と、本件発明3における「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱シートを収納するハウジング」とは、「電子部品を収納するハウジング」という点で共通する。
d 引用発明1の「ベント開口部14-1」は、「背面本体部材14」に収容される内部回路によって発生する熱エネルギーを放散させるものであるといえる。
したがって、上記cの検討も参酌すると、引用発明1における「背面本体部材14」の「内部回路によって発生する熱エネルギーを放散させるベント開口部14-1」と、本件発明3における「放熱板」及び「前記電子部品と前記放熱板との間に配置される放熱シート」とは、「放熱構造」である点で共通する。
(イ)一致点、相違点
したがって、本件発明3と引用発明1は、以下の点において一致ないし相違する。
(一致点)
基板と、
前記基板に配置される電子部品と、
放熱構造と、
差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子と、
前記電子部品を収納するハウジングと、を備える、
配線器具。
(相違点)
本件発明3の「放熱構造」は、「ハウジング」に収納される「放熱板」と、前記電子部品と前記放熱板との間であって、前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される「放熱シート」とで構成されているのに対し、引用発明1の「放熱構造」は、「背面本体部材14」自体に形成された「ベント開口部14-1」である点。
(ウ)相違点についての判断
上記1(1)オの周知技術1で示すように、電子機器を設けた基板に対して並行に配置した放熱シート及び放熱板により、電子部品から発生する熱を放熱シートを介して放熱板へ放熱することは、当業者において通常行われていることである。
したがって、引用発明1において、ベント開口部14-1による放熱構造に加えて、放熱効果を向上させるという自明な課題を解決するために周知技術1を適用し、放熱シートを介してプリント回路基板142に取り付けられている変圧器140-2から発生する熱を放熱板へ放熱できるように、ACプリント回路基板アセンブリ140に放熱板及び放熱シートを設けた上で、当該ACプリント回路基板アセンブリ140を背面本体部材14に収容する構成については想到し得るものの、このとき、放熱シートは、変圧器140-2と放熱板との間に、プリント回路基板142に対して並行に配置されるため、上記相違点に係る構成のうち、「放熱シート」が「前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される」構成には至らない。
なお、上記(1)イ(ア)d~fから、先の取消理由で引用していない引用文献2には、シリコングリスが、トライアックQ1が半田付けされるプリント板51の法線方向に沿ったトライアックQ1の側面と放熱板40との間に塗布された上で、プリント板51が回路収納室14に納装された調光器が記載されている(以下、「引用文献2技術事項2」とする。)。
後述する(3)ア(ア)fに示すとおり、引用文献2技術事項2における「トライアックQ1が半田付けされるプリント板51の法線方向に沿った側面と放熱板40との間に塗布される」「シリコングリス」と、本件発明3における「前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される」「放熱シート」とは、「前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される」「放熱部材」である点で共通する。
ここで、引用発明1と引用文献2技術事項2とを組み合わせる動機付けの有無について検討すると、引用発明1の「電気配線装置10」は、電力を変換した上で建物内の電気機器に供給するための埋込型の配線器具であり、引用文献2技術事項2の「調光器」は、照明負荷の調光レベルを設定するための埋込型の配線器具である。
したがって、引用発明1と引用文献2技術事項は、埋込型の配線器具であるという点では一応、共通するものの、解決しようとする課題が大きく異なることから、共通の技術分野に属するものであるとはいえず、引用発明1において、引用文献2技術事項2を組み合わせる動機付けが存在するとはいえない。また、その他に引用発明1に引用文献2技術事項2を組み合わせる動機付けが存在するともいえないから、引用発明1において、引用文献2技術事項2を採用することは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
その他、先の取消理由で引用していない引用文献6及び甲3をみても、上記相違点に係る構成のうち、「放熱シート」が「前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される」ことは記載も示唆もされていない。
そうすると、仮に、引用発明1に、引用文献6及び甲3に記載された事項を適用し得たとしても、本件発明3の上記相違点に係る構成には至らない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明3は、引用発明1及び引用文献2~6、甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
エ 本件発明4~13について
本件発明4~13は、本件発明1~3を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件発明1~3いずれかの発明特定事項を全て有するものであるから、これらの発明も、上記ア~ウと同様の理由により、引用発明1及び引用文献2~6、甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)取消理由1-2について
ア 本件発明3について
(ア)対比
本件発明3と引用発明2とを対比する。
a 引用発明2の「調光器」は、「商用電源Vs」及び「照明負荷La」を電線によって配線するものといえる。
したがって、引用発明2における「調光器」は、後述する相違点を除いて、本件発明3における「配線器具」に相当する。
b 引用発明2の「トライアックQ1」は、「回路基板51に半田付けされる」との構成によれば、「回路基板51」に接するように「トライアックQ1」が配置されているものといえる。
したがって、引用発明2における「回路基板51」、「トライアックQ1」は、本件発明3における「基板」、「電子部品」にそれぞれ相当する。
c 引用発明2の「放熱板40」は、本件発明3の「放熱板」に相当する。
d 引用発明2の「シリコングリス」は、「トライアックQ1」と「放熱板40」との間に塗布という態様で存在するものであるといえる。また、「シリコングリス」が熱を伝える機能を備えていることは、本件特許の出願時における技術常識である。
したがって、引用発明2における「トライアックQ1」と「放熱板40」と間に存在する「シリコングリス」と、本件発明3における「前記電子部品と前記放熱板との間に配置される放熱シート」とは、「前記電子部品と前記放熱板との間に配置される放熱部材」である点で共通する。
e 引用発明2の「調光器」は、「ボディ10の回路収納室14に回路基板51に実装された後述のチョークコイルLや、放熱板40などが納装され」るとの構成によれば、「回路基板51」や「放熱板40」は「ボディ10の回路収納室14」に納装されるものであるといえる。上記bで検討したとおり、「回路基板51」は、半田付けされた「トライアックQ1」を含み、また、上記dで検討したとおり、「トライアックQ1」と「放熱板40」との間には塗布された「シリコングリス」が存在しているため、これらを考慮すると、「ボディ10の回路収納室14」には、「トライアックQ1」、「放熱板40」及び「シリコングリス」が納装されているといえる。
よって、引用発明2における「トライアックQ1」、「放熱板40」及び「シリコングリス」とが納装された「ボディ10の回路収納室14」と、本件発明3における「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱シートを収納するハウジング」とは、「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材を収納するハウジング」である点で共通する。
f 引用発明2の「シリコングリス」は、「トライアックQ1が半田付けされるプリント板51の法線方向に沿った側面と放熱板40との間に塗布され」るものである。
したがって、上記dの検討も踏まえると、引用発明2における「トライアックQ1が半田付けされるプリント板51の法線方向に沿った側面と放熱板40との間に塗布される」「シリコングリス」と、本件発明3における「前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される」「放熱シート」とは、「前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される」「放熱部材」である点で共通する。
(イ)一致点、相違点
したがって、本件発明3と引用発明2とは、以下の点において一致ないし相違する。
(一致点)
基板と、
前記基板に配置される電子部品と、
放熱板と、
前記電子部品と前記放熱板との間に配置される放熱部材と、
前記電子部品と前記放熱板及び前記放熱部材を収納するハウジングと、を備え、
前記放熱部材は、前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される、
配線器具。
(相違点1)
本件発明3の「前記電子部品と前記放熱板との間に配置される放熱部材」は、「放熱シート」であるのに対し、引用発明2の「トライアックQ1」と「放熱板40」との間に存在するものは、「シリコングリス」である点。
(相違点2)
本件発明3の「配線器具」は、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」を備えるものであるが、引用発明2の「調光器」は、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」に相当する構成を備えていない点。
(ウ)相違点についての判断
事案に鑑みて、まず、上記相違点2について検討する。
本件発明3の「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」について、本件特許の明細書には以下の記載がある。
「【0018】
第1内側端子8は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ソケットである。第1内側端子8は、図1に示すように、その長手方向(左右方向)が第1基板5の長手方向に沿うようにして第1基板5に実装されている。言い換えると、第1内側端子8の長手方向と第1基板5の長手方向とが同じ方向である。第1内側端子8は、差込式の第1外側端子18が接続可能に構成されている。第1外側端子18は、ここではUSBケーブルの先端に設けられたUSBプラグである(図1参照)。USBソケット及びUSBプラグは、例えばUSB3.0等のUSB規格に準拠している。」
明細書の上記摘記事項から、本件発明3の「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」は、USBケーブルの先端に設けられたUSBプラグが接続されるUSBソケットであると認められる。
先の取消理由で引用した、引用文献2、4及び5には、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」についての記載も示唆もなく、上記相違点3に係る構成を引用発明2に適用し得る動機が存在するとはいえない。
なお、上記(1)ア(ア)cから、先の取消理由で引用していない引用文献1には、「2つのシングルポートUSBソケット120-1、120-2、複数のコンデンサが取り付けられたプリント回路基板122を備えた電気配線装置10」が記載されている(以下、「引用文献1技術事項」という。)。
また、上記(1)エ(イ)から、先の取消理由で引用していない甲3にも、甲3技術事項として、「USBインターフェイス9を含む壁用USBソケット」が記載されている。
仮に、引用発明2に、引用文献1技術事項や甲3技術事項を適用しようとすると、引用発明2の調光器の操作摘子60やボリュームVRを含むプリント板51に、引用文献1技術事項や甲3技術事項に記載されたUSBソケットを設けることとなるが、引用発明2の「調光器」が、ケースの前面に露出した操作摘子を操作することでボリュームの抵抗値を変化させて、照明負荷を調光制御するものである(【0002】、【0017】~【0019】)ことを踏まえると、「操作摘子60」や「ボリュームVR」に係る構成は調光器の動作に不可欠な構成であり、また、これらを置換可能とする記載や示唆もないことから、引用発明2の「調光器」において、「操作摘子」や「ボリュームVR」を置換してまで、USBソケットを設けようとする動機付けが存在するとはいえない。
その他、先の取消理由で引用していない引用文献3、6をみても、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」についての記載も示唆もなく、上記相違点2に係る構成を引用発明2に適用し得る動機付けが存在するとはいえない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明3は、少なくとも上記相違点2の点で、引用発明2及び引用文献1、3~6、甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 本件発明4~7、12、13について
本件発明4~7、12、13は、本件発明3を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件発明3の発明特定事項を全て有するものであるから、これらの発明も、上記アと同様の理由により、引用発明2及び引用文献1、3~6、甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(4)取消理由1についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~13は、引用文献1に記載された発明及び、引用文献2~6、甲3の記載に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
また、本件発明3~7、12及び13は、引用文献2に記載された発明及び、引用文献1、3~6、甲3の記載に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
したがって、本件発明1~13は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができ ないものであるとはいえないから、当該取消理由は解消した。
2 取消理由2(サポート要件)について
本件特許の請求項2において「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料」という記載は、明細書に記載された「放熱シート133」に相当するものを具体的に特定したものであるといえなかったところ、本件訂正により、「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料」は、「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材」に限定されたから、当該取消理由は解消した。
第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
上記第4に示した特許異議申立理由のうち、申立理由1-1及び申立理由1-3は、上記第5に示す取消理由1-1(甲1は引用文献1に相当)及び取消理由1-2(甲4は引用文献2に相当)として、それぞれ、取消理由として通知し、上記第6にて検討したところ、取消理由として採用しなかった申立理由1-2について、以下検討する。
1 申立理由1-2について
(1)甲第2号証に記載された発明
上記第6の1(1)ウ(ア)に示す記載及び図示内容から、引用文献3として示す甲2には、次の事項が記載されていると認められる。
ア 上記第6の1(1)ウ(ア)aから、甲2には、「ICチップ3を搭載した基板2を備える電子機器」が記載されているといえる。
イ 上記第6の1(1)ウ(ア)aから、甲2には、「基板2の実装面側をカバーする、熱伝導性を備えた金属板金を用いたカバー部材4」が記載されているといえる。
ウ 上記第6の1(1)ウ(ア)aから、甲2には、「ICチップ3とカバー部材4の間に介装される柔軟性を備えた放熱シート1」が記載されているといえる。
エ 上記第6の1(1)ウ(ア)a及びbから、甲2には、「カバー部材4の上面を板金加工して設けたチップ押さえ部5であって、放熱シート1をICチップ3に押圧するチップ押さえ部5」が記載されているといえる。
オ 上記第6の1(1)ウ(ア)aから、甲2には、「放熱シート1からチップ押さえ部5を介してICチップ3の熱がカバー部材4に速やかに伝導され、ICチップ3の熱を放熱する」ことが記載されているといえる。
カ したがって、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「ICチップ3を搭載した基板2と、
基板2の実装面側をカバーする、熱伝導性を備えた金属板金を用いたカバー部材4と、
ICチップ3とカバー部材4の間に介装される柔軟性を備えた放熱シート1と、
カバー部材4の上面を板金加工して設けたチップ押さえ部5であって、放熱シート1をICチップ3に押圧するチップ押さえ部5とを備え、
放熱シート1からチップ押さえ部5を介してICチップ3の熱がカバー部材4に速やかに伝導され、ICチップ3の熱を放熱する
電子機器。」
(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
(ア)甲2発明における「ICチップ3」、「基板2」は、本件発明1における「電子部品」、「基板」にそれぞれ相当する。
(イ)甲2発明の「放熱シート1」は、「ICチップ3」と「チップ押さえ部5」の間に介装され、「ICチップ3」の熱を「チップ押さえ部5」を経由して「カバー部材4」に伝達するものであるといえる。
したがって、甲2発明における「チップ押さえ部5」、「放熱シート1」は、本件発明1における「放熱板」、「放熱部材」にそれぞれ相当する。
(ウ)甲2発明の「カバー部材4」は、「基板2」の実装面側にある「ICチップ3」、「放熱シート1」及び「チップ押さえ部5」を“収容する”ものと言い得るものである。
したがって、甲2発明における「基板2」の実装面側にある「ICチップ3」、「放熱シート1」及び「チップ押さえ部5」を収容する「カバー部材4」と、本件発明1の「前記電子部品、前記放熱板、前記放熱部材、及び鎖錠ばねを収納するハウジング」とは、本件発明1における「電子部品、放熱板及び放熱部材を収納するハウジング」である点で共通する。
(エ)甲2発明の「電子機器」と、本件発明1の「配線器具」とは、本件発明1における「電子機器」という点で共通する。
イ 一致点・相違点
したがって、本件発明1と甲2発明は、以下の点において一致ないし相違する。
(一致点)
基板と、
前記基板に配置される電子部品と、
放熱板と、
前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記電子部品の熱を前記放熱板に伝達する放熱部材と、
前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材を収納するハウジングと、を備える、
電子機器。
(相違点1)
本件発明1の「配線器具」は、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」と、「前記第1内側端子が実装される他の基板」とを備えるものであるが、甲2発明の「電子機器」は、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」及び「他の基板」に相当する構成を備えていない点。
(相違点2)
本件発明1の「ハウジング」は、その一部で構成されている「第一の収納部」に「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱部材」を収納するように構成されているのに対し、甲2発明の「カバー部材4」は、その一部で構成されている「第一の収納部」について具体的に特定されていない点。
(相違点3)
本件発明1の「ハウジング」は、第一の収納部とは異なる他の一部で構成されている「第二の収納部」に「前記鎖錠ばね」を収納するように構成されているのに対し、甲2発明の「カバー部材4」は、その一部で構成されている「第二の収納部」及び「鎖錠ばね」のいずれについても具体的に特定されていない点。
(相違点4)
本件発明1は「配線器具」であるのに対し、甲2発明は「電子機器」である点。
ウ 相違点についての判断
事案に鑑みて、まず、上記相違点1について検討する。
上記第6の(3)ア(ウ)でも検討したとおり、上記相違点1に係る構成の一部である、本件発明1の「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」は、USBケーブルの先端に設けられたUSBプラグが接続されるUSBソケットであると認められる。
一方で、甲2発明の「電子機器」は、単に基板の放熱構造が特定されたものであり、その用途も明らかではなく、上記相違点1に係る構成の一部である「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」についての記載も示唆もない。
したがって、甲2発明には、上記相違点1に係る構成を適用し得る動機付けが存在するとはいえない。
上記第6の1(3)ア(イ)に示すとおり、甲第1号証である引用文献1には、「2つのシングルポートUSBソケット120-1、120-2、複数のコンデンサが取り付けられたプリント回路基板122を備えた電気配線装置10」が記載されている(以下、便宜的に「甲1技術事項」という。)。
ここで、甲2発明と甲1技術事項とを組み合わせる動機付けの有無について検討すると、甲2発明の「電子機器」は、単に基板の放熱構造を特定したものであり、甲1技術事項の「電気配線装置10」は、電力を変換した上で建物内の電気機器に供給するための埋込型の配線器具である。
したがって、甲2発明と甲1技術事項とは、共通の技術分野に属するものであるとはいえず、加えて、共通する機能を有するものでもないから、甲2発明において、甲1技術事項を組み合わせる動機付けが存在するとはいえない。また、その他に、甲2発明に甲1技術事項を組み合わせる動機付けが存在するともいえないから、甲2発明において、甲1技術事項を採用することは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
また、甲2発明と上記第6の1(1)エに示す甲3技術事項の「壁用USBソケット」とを組み合わせる動機付けの有無についても、甲2発明と甲3技術事項とは、共通の技術分野に属するものであるとはいえず、加えて、共通する機能を有するものでもないから、甲2発明において、甲3技術事項を採用することは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、少なくとも上記相違点1の点で、甲2発明及び、甲1又は甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲2発明とを対比する。
(ア)甲2発明の「ICチップ3とカバー部材4の間に介装される柔軟性を備えた放熱シート1」との構成によれば、「放熱シート1」が柔軟性を備えるものであるといえる。そして、「放熱シート1」の弾性率が金属よりも低いことは、本件特許の出願時における技術常識である。
したがって、甲2発明における「放熱シート1」は、本件発明2の「放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材」に相当する。
(イ)その余の点については、上記(2)アで対比したとおりである。
イ 一致点・相違点
したがって、本件発明2と甲2発明は、以下の点において一致ないし相違する。
(一致点)
基板と、
前記基板に配置される電子部品と、
放熱板と、
前記電子部品と前記放熱板との間に配置され、前記放熱板の材料よりも弾性率が低い材料で形成される放熱部材と、
前記電子部品、前記放熱板及び前記弾性率が低い材料で形成される前記放熱部材を収納するハウジングと、を備える、
電子機器。
(相違点1)
本件発明2の「配線器具」は、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」と、「前記第1内側端子が実装される他の基板」とを備えるものであるが、甲2発明の「電子機器」は、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」、「他の基板」に相当する構成を備えていない点。
(相違点2)
本件発明2の「ハウジング」は、その一部で構成されている「第一の収納部」に「前記電子部品、前記放熱板、前記弾性率が低い材料で形成される前記放熱部材」を収納するように構成されているのに対し、甲2発明の「カバー部材4」は、その一部で構成されている「第一の首脳部」について具体的に特定されていない点。
(相違点3)
本件発明2の「ハウジング」は、第一の収納部とは異なる他の一部で構成されている「第二の収納部」に「前記鎖錠ばね」を収納するように構成されているのに対し、甲2発明の「カバー部材4」は、その一部で構成されている「第二の収納部」及び「鎖錠ばね」のいずれについても具体的に特定されていない点。
(相違点4)
本件発明2は「配線器具」であるのに対し、甲2発明は「電子機器」である点。
ウ 相違点についての判断
上記相違点1は、上記(2)イにおいて示す相違点1と実質的に同じでものであり、その判断についても、上記(2)ウにおいて検討したとおりである。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明2は、他の相違点について検討するまでもなく、少なくとも上記相違点1の点で、甲2発明及び、甲1又は甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(4)本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲2発明とを対比する。
(ア)甲2発明における「ICチップ3」、「基板2」は、本件発明3における「電子部品」、「基板」にそれぞれ相当する。
(イ)甲2発明の「放熱シート1」は、「ICチップ3」と「チップ押さえ部5」の間に介装され、「ICチップ3」の熱を「チップ押さえ部5」を経由して「カバー部材4」に伝達するものであるといえる。
したがって、甲2発明における「チップ押さえ部5」、「放熱シート1」は、本件発明3における「放熱板」、「放熱シート」にそれぞれ相当する。
(ウ)甲2発明の「カバー部材4」は、「基板2」の実装面側にある「ICチップ3」、「放熱シート1」及び「チップ押さえ部5」を“収容する”ものと言い得るものである。
したがって、甲2発明における「基板2」の実装面側にある「ICチップ3」、「放熱シート1」及び「チップ押さえ部5」を収容する「カバー部材4」は、本件発明3の「前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱シートを収納するハウジング」に相当する。
(エ)甲2発明の「電子機器」と、本件発明3の「配線器具」とは、後述する相違点を除いて、本件発明3における「電子機器」という点で共通する。
イ 一致点・相違点
したがって、本件発明3と甲2発明は、以下の点において一致ないし相違する。
(一致点)
基板と、
前記基板に配置される電子部品と、
放熱板と、
前記電子部品と前記放熱板との間に配置される放熱シートと、
前記電子部品、前記放熱板及び前記放熱シートを収納するハウジングと、を備える、
電子機器。
(相違点1)
本件発明3の「配線器具」は、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」を備えるものであるが、甲2発明の「電子機器」は、「差込式の第1外側端子が接続可能に構成される第1内側端子」に相当する構成を備えていない点。
(相違点2)
本件発明3の「放熱シート」は、「前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される」構成であるのに対し、甲2発明の「放熱シート1」は、「基板2」に搭載した「ICチップ3」と「カバー部材4」の上面を板金加工して設けた「チップ押さえ部5」との間に存在する点。
(相違点3)
本件発明3は「配線器具」であるのに対し、甲2発明は「電子機器」である点。
ウ 相違点についての判断
上記相違点1は、上記(2)イにおいて示す相違点1と実質的に同じでものであり、その判断についても、上記(2)ウにおいて検討したとおりである。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明3は、他の相違点について検討するまでもなく、少なくとも上記相違点1の点で、甲2発明及び甲1、甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(5)本件発明4~7、10について
本件発明4~7、10は、本件発明1~3を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件発明1~3のいずれかの発明特定事項を全て有するものであるから、これらの発明も、上記(3)~(5)と同様の理由により、甲2発明及び、甲1又は甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(6)申立理由1-2についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~7、10は、甲2に記載された発明及び、甲1又は甲3の記載に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
したがって、本件発明1~7、10は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、当該特許異議申立理由によって、本件特許の請求項1~7、10に係る特許を取り消すことはできない。
第8 申立人の主張について
申立人は、令和5年12月19日に提出した意見書において、以下の主張をしている。
1 意見書第2ページ第8行~第15行
「…「鎖錠ばね」という語は、一般用語でも技術用語でもない。そして、鎖錠とは、「進路構成後、列車通過までの間、転てつ機や信号機の操作や制御をできないようにすること」と意味するから、そのようなばねとは如何なる機能を有するばねであるのかが不明である。また、列車、転てつ機及び信号機と訂正発明1との技術的事項も不明であるから、鎖錠ばねという語からばねの機能・特性等を特定することができない。よって、鎖錠ばねとは、いかなるばねを指しているかが不明であるから、発明の範囲が不明確である。…」
2 意見書第2ページ第19行~第4ページ第7行
「… 追加事項1の文言をそのまま自然に解釈すると、「第一の収納部」と、「第二の収納部」との間の物理的な仕切りの有無は、本件特許発明1の技術的範囲とは関係のないことになる。「第一の収納部」と「第二の収納部」とは、ハウジングの一部で構成された異なる空間部分であることを特定しているに過ぎない。ハウジングに収納される別個の物体がお互いに干渉し合わないように異なる空間部分に配置されることは当然のことである。したがって、ハウジングが、電子部品、放熱板、放熱部材及び鎖錠ばねを収納していることが、自ずと、追加事項1の構成を満たすこととなることは明らかである。
…(中略)…
… 引用文献1に記載された発明の「a ground receptacle contact 16-1」(第3頁右上欄第1-5行、Fig.3等参照)は「ground prong of a plug blade set」を受け入れる板状のレセプタクルであり、その機能からしてばねであることが明らかであり、本件特許発明1の「鎖錠ばね」に相当する。そして、引用文献1に記載された発明の「a ground receptacle contact 16-1」は、ハウジング(the front cover member 12及びthe back body member 14)に収納されていることが明らかである。
…(中略)…
(6)よって、追加事項1におけるハウジングが電子部品及び鎖錠ばねを収納する点については、引用文献1に記載されており、追加事項1におけるハウジングが電子部品、放熱板及び放熱部材を収納する点については、周知技術であるから、本件特許発明1は、依然として、引用文献1に記載の発明及び周知技術に基づいて容易に想到し得たものであり、進歩性を有さず、取り消されるべきものである。
(7)仮に、追加事項1と引用文献1との間に相違があったとしても、配線器具のハウジングが、電子部品、放熱板を含む放熱構造及び鎖錠ばねを収納している点は、従来からの周知技術である(特開2008-172769号公報の段落0039-0040及び図1等、特開2005-242951号公報の段落0029―0031及び図2等、特開平3-112076号公報の第2頁右下欄第6行-第3頁左下欄第20行、第1図等)。
引用文献1の配線器具と上記周知技術が属する配線器具とは技術分野が共通し、放熱効果の向上という潜在的な共通課題を有し、引用文献1に上記周知技術を適用する動機付けがあるから、引用文献1のハウジングに、周知のように電子部品、放熱構造及び鎖錠ばねを収納することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。…」
3 意見書第5ページ第6行~第11行
「(11)請求項3には、「前記放熱シートは、前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される」という事項が追加された。ここで、「法線」とは、曲線や曲面の直角に交わる直線を意味する。したがって、基板の法線方向とは基板を構成するどの曲線又は曲面を基準とした法線方向なのかを特定できず、側面の位置を特定できず、放熱シートがどこに配置されるかが不明であり、発明の範囲が不明確である…。」
4 意見書第5ページ第18行~第6ページ第4行
「(13)請求項3に記載された、「前記放熱シートは、前記基板に配置される前記電子部品における前記基板の法線方向に沿った側面と前記放熱板との間に配置される」点について、放熱部材が、発熱する電子部品と放熱板との間に配置される点は、引用文献2(特開平11-16685号公報(甲4))に記載されており、発熱する電子部品から放熱するための放熱板までの熱の伝達経路を考慮すれば技術常識である。また、合議体が取消理由通知で述べたように、電子機器から発生する熱を放熱板に伝達する放熱部材として、放熱シートとシリコングリスのいずれかを選択して採用することは。周知技術である。また、電子部品のどの側面に放熱部材を配置するかは、技術の具体的適用に伴う単なる設計的事項にすぎない。よって、本件特許発明3は、依然として、引用文献1及び引用文献2に記載の発明及び周知技術に基づいて容易に想到し得たものであり、進歩性を有さず、取り消されるべきものである。」
5 申立人の主張についての検討
(1)上記1の主張について
訂正後の本件発明1に記載された「鎖錠ばね」という語の理解に際しては、本件特許の明細書や図面の記載を参酌すべきところ、上記第6の1(2)ア(ウ)で検討したとおり、本件発明1の「鎖錠ばね」は、明細書の記載から、押圧片の押圧力によって外側端子を内側端子に押し付けることで、内側端子と外側端子を電気的に接続させるとともに、鎖錠片によって外側端子の抜け止めを実現するものであると認められる。
また、申立人の主張は、「鎖錠ばね」を「鎖錠」と「ばね」に分解し、かつ、明細書及び図面の記載から離れ、別の技術分野における「鎖錠」の意味に基づく独自の見解を示すものである。
したがって、本件発明1に記載された「鎖錠ばね」は、明確であり、上記1の主張は採用することができない。
(2)上記2の主張について
上記第6の1(2)ア(ウ)で検討したとおり、引用発明1の「アースレセプタクルコンタクト 16-1」は、その機能から、本件発明1の「鎖錠ばね」に相当するものであるとはいえず、また、引用発明1の「アースレセプタクルコンタクト 16-1」を、「鎖錠ばね」に置換する動機付けが存在するともいえない。
また、特開2008-172769号公報(【0039】、【0040】及び図1等)、特開2005-242951号公報(【0029】~【0031】及び図2等)、及び、特開平3-112076号公報(第2頁右下欄第6行~第3頁左下欄第20行、第1図等)には、配線器具のハウジングが、電子部品、放熱板を含む放熱構造及び鎖錠ばねを収納していることが周知技術として記載されているものの、この点についても上記第6の1(2)ア(ウ)で検討したとおり、配線器具のハウジングが、電子部品、放熱板を含む放熱構造及び鎖錠ばねを収納している点が、埋込型の配線器具における従来からの周知技術であったとしても、その点のみを周知技術として切り離して、周知技術とは異なる技術思想、換言すると、商用電源の電力を建物内の電気機に提供するという目的の下で最適化されている引用発明1に適用する動機付けが存在するとはいえない。
したがって、上記2の主張は採用することができない。
(3)上記3の主張について
上記第2の4(3)イで検討したとおり、訂正後の本件発明3に記載された「基板の法線方向」の「法線」が、基板の上面に対して垂直方向を意味するものであることは当業者にとって自明な事項である。
したがって、本件発明3に記載された「法線」は、明確であり、上記3の主張は採用することができない。
(4)上記4の主張について
上記第6の1(2)ウ(ウ)で検討したとおり、引用発明1の「電気配線装置10」は、電力を変換した上で建物内の電気機器に供給するための埋込型の配線器具であり、引用文献2技術事項2の「調光器」は、照明負荷の調光レベルを設定するための埋込型の配線器具であるから、引用発明1と引用文献2技術事項は、埋込型の配線器具であるという点では一応、共通するものの、解決しようとする課題が大きく異なることから、共通の技術分野に属するものであるとはいえない。
したがって、引用発明1において、引用文献2技術事項2を組み合わせる動機付けが存在するとはいえず、その他に引用発明1に引用文献2技術事項2を組み合わせる動機付けが存在するともいえないから、引用発明1において、引用文献2技術事項2を採用することは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
したがって、上記4の主張は採用することができない。
第9 むすび
以上のとおり、本件特許に対する訂正は適法であるから、これを認める。
そして、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~13に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に本件特許の請求項1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-700349