特許無効審判
2022-800057
配線器具
- 審判番号
- 2022-800057
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2019-147816
- 登録番号
- 6709968
- 請求日
- 2022年06月29日
- 審決日
- 2023年09月28日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】大和電器 株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人IP-FOCUS
- 【請求人代理人】押久保 政彦
- 【被請求人】パナソニックIPマネジメント 株式会社
- 【被請求人代理人】小菅 一弘
- 【被請求人代理人】森林 克郎
- 審判長/審判官
- 審判長 吉田 美彦
- 審判官 脇岡 剛
- 審判官 林 毅
- 分類
- P1123.121-Y (H02G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第6709968号発明「配線器具」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨
1 請求の趣旨
特許第6709968号発明の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。
2 答弁の趣旨
本審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。
第2 手続の経緯
1 本件特許の設定登録までの経緯の概略
特許第6709968号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成29年1月13日を出願日とする特願2017-4711号の一部を令和元年8月9日に特願2019-147816号として新たな出願としたものであって、令和2年5月28日に設定登録がなされた。
2 本件特許無効審判における手続の経緯の概略
本件無効審判における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和 4年 6月29日: 審判請求書の提出
令和 4年11月18日: 審判事件答弁書の提出
令和 4年12月27日付け: 答弁書副本の送付通知(弁駁指令)
令和 5年 2月 3日: 審判事件弁駁書の提出
令和 5年 4月20日付け: 審理事項通知
令和 5年 5月29日: 口頭審理陳述要領書(被請求人)の提出
令和 5年 6月 1日: 口頭審理陳述要領書(請求人)の提出
令和 5年 6月14日: 口頭審理(第1回口頭審理調書)
令和 5年 6月14日: 上申書
(請求人:以下、「請求人上申書1」という。)の提出
令和 5年 6月15日: 上申書
(被請求人:以下、「被請求人上申書1」という。)の提出
令和 5年 6月28日: 上申書
(請求人:以下、「請求人上申書2」という。)の提出
令和 5年 6月28日: 上申書
(被請求人:以下、「被請求人上申書2」という。)の提出
第3 本件特許発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明1」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される以下のとおりのものである。
(便宜上、請求人が請求書第4頁に示した分説に従って示す。以下付された符号に従って「構成要件A」のようにいう。)。
「A. 差込式の第1外側端子を接続可能に構成された第1内側端子と、
B. 第2外側端子を接続可能に構成された第2内側端子と、
C. 前記第1内側端子が実装される第1基板と、
D. 前記第1基板に電気的に接続される第2基板と、
E. 前記第1基板及び前記第2基板を収納するハウジングと、を備え、
F. 前記第2基板は、前記第2基板の法線方向から見て、矩形の主部と、前記主部の長辺の一端部から突出する矩形の突出部とを含み、
G. 前記第2内側端子は、前記突出部の前記第1基板とは反対側であり、かつ前記主部の長辺の方向における前記第2基板の両端間に位置している
H. ことを特徴とする配線器具。」
第4 請求人の主張及び証拠方法
1 無効理由
請求人は以下の無効理由を主張している。
(1)無効理由1
本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明(考案)に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。(審判請求書第4頁、第9頁)
(2)無効理由2
本件特許発明1は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。(審判請求書第4頁、第9頁)
2 証拠方法
請求人は、審判請求書に以下の甲第1号証ないし甲第6号証を添付して提出した。
(以下、甲第1号証ないし甲第6号証を「甲1」ないし「甲6」という。)
甲第1号証:登録実用新案第3153794号公報
甲第2号証:米国特許出願公開2013/028956号明細書
甲第3号証:特開平11-016684号公報
甲第4号証:甲1号証との対比表
甲第5号証:甲2号証との対比表
甲第6号証:甲3号証との対比表
第5 被請求人の主張
請求人の主張する上記無効理由1、2について、何れも理由がない。(答弁書第2頁「7.答弁の理由」参照)
第6 当審の判断
1 甲号証の記載事項
(1)甲第1号証
ア.甲1号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。)
(ア)「【技術分野】
【0001】
本考案は、スイッチ型充電器構造に係り、特に筐体と、少なくとも1つの回路板と、電気プラグと、2つの電極線コネクタと、少なくとも1つのユニバーサル・シリアル・バス・ソケットと、電源ランプとの組み合わせにより設計されるスイッチ型充電器構造に関するものである。本来の壁上のスイッチボックスにDC給電機能を追加し、使いやすく、使用寿命が長いなどの効果を有し、各種のスイッチボックスまたは類似の構造に適している。」
・・(中略)・・
【0010】
図1~3に示すとおり、本考案はスイッチ型充電器構造である。前記スイッチ型充電器構造は、少なくとも1つのユニバーサル・シリアル・バス・ソケット開口部111が設けてある筐体10と、筐体10内に対応して結合した少なくとも1つの回路板20(本実施例では、3枚の回路板20を採用する)と、筐体10下方に結合し、かつ少なくとも1つの回路板20と接続し、電源の入力制御または延伸を行う2つの電極線コネクタ30と、筐体10のユニバーサル・シリアル・バス・ソケット開口部111に対応して結合し、かつ少なくとも1つの回路板20と電気的に接続する少なくとも1つのユニバーサル・シリアル・バス(USB:Universal Serial Bus)ソケット40と、筐体10上に配置され、少なくとも1つの回路板20と電気的に接続し、電源のオンオフ状態を示し、LEDランプとすることができ、少なくとも1つのユニバーサル・シリアル・バス・ソケット40の通電が正常になった後に点灯する電源ランプ50と、を含む。」
【0011】
筐体10には、上筐体11と下筐体12とが設けてある。上筐体11と下筐体12とは相互に結合する。2つの電極線コネクタ30は、下筐体12の下方に結合する(AC電源線に並列接続し、2本の電極線コネクタ30の中に入れて固定する)。筐体10上の少なくとも1つのユニバーサル・シリアル・バス・ソケット開口部111は、上筐体11上に設けられ、ユニバーサル・シリアル・バス・プラグを抜き差しできるようにする。上筐体11上の少なくとも1つのユニバーサル・シリアル・バス・ソケット開口部111には、保護用の保護カバー13がさらに設けてある。上筐体11上には、電源ランプ50を露出させるための円孔部112がある。また、上筐体11と下筐体12とは、2本の金具留め具60で相互に結合し、本来のスイッチボックスの中に固定することができ、取り外しと固定に便利である。」
(イ)「【図2】
[図:0001404531000001.jpg]
【図3】
[図:0001404531000002.jpg]
」
イ.甲1発明
(ア)上記ア(ア)段落【0001】の記載によると、甲1には、筐体10と、回路板20と、2つの電極線コネクタ30と、ユニバーサル・シリアル・バス・ソケット40(以下、「USBソケット」という。)と、を含むスイッチ型充電器構造が記載されているといえる。
(イ)上記ア(ア)段落【0011】の記載、及び、同(イ)の【図2】、【図3】によると、上記USBソケットは、ユニバーサル・シリアル・バス・プラグ(以下、「USBプラグ」という。)が筐体10の外側から抜き差しできるようにされたものであるといえる。
(ウ)上記ア(ア)段落【0011】の記載によると、2つの電極線コネクタ30は、「AC電源線に並列接続し、2本の電極線コネクタ30の中に入れて固定する」ものであるから、AC電源線を当該コネクタの中に入れて固定するものであるといえる。
(エ)上記ア(イ)の【図2】、【図3】によると、回路板20は、USB開口部から電極線コネクタ方向に、3枚の回路板から構成されており(以下、回路板20に関し、同【図2】の上から順に「上回路板」、「中回路板」、「下回路板」という。)、中回路板の上に上回路板とUSBソケットとが実装されることが見て取れる。
よって、上記回路板20は、上回路板と、上回路板とUSBソケットとが実装される中回路板と、下回路板とから構成されているといえる。
(オ)上記ア(ア)の段落【0011】の記載、及び、同(イ)の【図3】によると、筐体10は、上回路板と中回路板と下回路板とを収納するものであるといえる。
(カ)上記ア(イ)の【図2】、【図3】によると、下回路板は、その法線方向から見て概略矩形であって、当該矩形の長辺の一端部から突出する突出部を備え、及び、電極線コネクタは、下回路板の上記突起部の中回路板と同じ側であって、下回路板の長辺方向における両端の間に位置していることが見て取れる。
(キ)以上のとおりであるから、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「筐体10と、回路板20と、2つの電極線コネクタ30と、USBソケットと、を含むスイッチ型充電器構造であって、
上記USBソケットは、USBプラグが筐体10の外側から抜き差しできるようにされ、
上記電極線コネクタ30は、AC電源線を当該コネクタの中に入れて固定するものであり、
上記回路板20は、上回路板と、上回路板とUSBソケットとが実装される中回路板と、下回路板とから構成され、
上記筐体10は、上回路板と中回路板と下回路板とを収納するものであり、
上記下回路板は、その法線方向から見て概略矩形であって、当該矩形の長辺の一端部から突出する突出部を備え、
上記電極線コネクタ30は、上記突出部の中回路板とは同じ側であり、上記下回路板の長辺方向における両端の間に位置している、
スイッチ型充電器構造。」
(2)甲第2号証
ア.甲2号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。(日本語訳は請求人による。なお、下線は当審が付した。)
(ア)「
[0003] The present invention relates generally to electrical wiring devices, and particularly to devices that include relatively high current USB charging receptacles.
・・(中略)・・
[0039] Referring to FIG. 3, an exploded view of the device depicted in FIG. 1 is disclosed. As noted above, the device 10 includes a housing assembly that has back body member 14 coupled to the front cover member 12.The plurality of terminals (18, 19) is configured to connect the device 10 to a source of AC power. The back body member 14 includes compartments 14-2, 14-3. The compartment 14-2 is configured to accommodate a separator member 15 that is further configured to divide compartment 14-2 into a lower compartment and an upper compartment. Thus, during assembly, the AC printed circuit board (PCB) assembly 140 is inserted into the first compartment 14-2, the separator member 15 is disposed over top, and then the low voltage PCB assembly 120 is placed on top of the separator 15.
[0040] The second compartment 14-3 is configured to accommodate a 120 VAC, 15 A receptacle outlet assembly (16-1, 18-1, 19-1), and thus includes a series of rib structures 14-30 that are used to insulate the various electrical conductive portions of the receptacle and prevent them from shorting out. In particular, note that the hot terminal structure includes an integrally formed hot receptacle contact 18-1 that is configured to accept the hot plug blade of a plug blade set. The neutral terminal structure 19 includes an integrally formed neutral receptacle contact 19-1 that is configured to accept the neutral plug blade of a plug blade set. Tamper-resistant shutters 20 are disposed between contacts 18-1, 19-1 and receptacle openings 12-2 in the front cover. Shutters 20 are in the closed position and prevent a foreign object inserted into openings 12-2 from being able to touch contacts 18-1, 19-1. The shutters open when a suitable plug is inserted allowing the blades of the plug to electrically connect to contacts 18-1, 19-1. Reference is made to U.S. patent application Ser. Nos. 13/487,960 and 13/487,547, which are incorporated herein by reference as though fully set forth in its entirety, ・・(中略)・・
[0041] Referring to the AC printed circuit board (PCB) assembly 140 disposed under the separator member 15, it includes an AC power supply control circuit coupled to the plurality of terminals (18, 19). As described below in greater detail, the AC power supply control circuit is configured to conduct a power control signal based on various feedback parameters. The AC PCB assembly 140 further includes an isolation interface circuit that is coupled to the AC power supply control circuit. The isolation interface circuit is configured to provide a modulated power signal based on the power control signal and provide a feedback signal corresponding to at least one of the feedback parameters to the AC power supply control circuit. The AC PCB 142 is substantially normal to separator member 15. Since the height of the isolation transformer and possibly other components is greater than the width of the AC PCB 142, this minimizes the overall height dimension of the housing assembly. Again, the components and operation of the AC assembly 140 is described in greater detail below.
[0042] Referring to the low voltage printed circuit board (PCB) assembly 120 disposed over the separator member 15, it includes a universal serial bus (USB) charging interface circuit that is configured to convert the modulated power signal (of the AC assembly 140) into a low voltage direct current (DC) charging signal. The low voltage PCB assembly 120 includes two single port USB sockets 120-1, 120-2 coupled to the USB charging interface circuit. Low voltage PCB 122 is parallel to separator member 15. Thus the sockets 120-1, 120-2 are each accessible via the USB apertures 12-1 formed in the front cover member 12.
・・(中略)・・
[0058] Referring to FIG. 9, a perspective view of the low voltage printed circuit board (PCB) assembly 120 depicted in FIGS. 3 and 6 is disclosed. The low voltage PCB assembly components and interconnections are shown schematically in FIG. 7 described above. Various components of the low voltage PCB assembly 120, such as capacitors C5, C14, C13, and CY1, as well as the USB connectors (120-1, 120-2), are shown as being mounted on the printed circuit board 122.
」
(日本語訳:「
[0003] 本発明は、一般に電気配線装置に関し、特に、比較的大電流のUSB充電レセプタクルを含む装置に関するものである。
・・(中略)・・
[0039] 図3を参照すると、図1に描かれた装置の分解図が開示されている。上述したように、装置10は、フロントカバー12に結合されたバックボディ部材14を有するハウジングアセンブリを含む、複数の端子(18、19)は、装置10をAC電源の供給源に接続するように構成される。バックボディ部材14は、区画14-2、14-3を含む。区画14-2は、区画14-2を下部区画と上部区画とに分割するようにさらに構成されたセパレータ15を収容するように構成されている。したがって、組み立ての際にACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140が第1の区画14-2に挿入され、セパレータ15が上に配置され、その後、低電圧PCBアセンブリ120がセパレータ15の上に配置される。
[0040] 第2の区画14-3は、120VAC、15Aのレセプタクルコンセントアセンブリ(16-1、18-1、19-l)を収容するように構成され、したがって、レセプタクルの種々の電気伝導部分を絶縁して短絡を防ぐために用いられる一連のリブ構造14-30を含んでいる。特に、ホット端子構造は、プラグブレードセットのホットプラグブレードを受け入れるように構成された、一体的に形成されたホットレセプタクル接点18-1を含むことに留意されたい。中性端子構造19は、プラグブレードセットの中性プラグブレードを受け入れるように構成される一体的に形成された中性レセプタクルコンタクト19-1を含む。耐タンパー性シャッター20は、接点18-1、19-1とフロントカバーのレセプタクル開口12-2との間に配置される。シャッター20は閉位置にあり、開口部12-2に挿入された異物が接点18-1, 19-1に触れることができないようになっている。シャッターは、適切なプラグが挿入されると開き、プラグのブレードが接点18-1、19-1に電気的に接続されることを可能にする。シャッターアセンブリのより詳細な説明については、参照によりその全体が完全に記載されているかのように本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/487,960号および第13/487,547号を参照されたい。・・(中略)・・
[0041] セパレータ15の下に配置されたACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140を参照すると、それは複数の端子(18、19)に結合されたAC電源制御回路を含んでいる。より詳細に後述するように、AC電源制御回路は、様々なフィードバックパラメータに基づいて電源制御信号を伝導するように構成される。ACPCBアセンブリ140は、AC電源制御回路に結合される絶縁インターフェース回路をさらに含む。アイソレーションインターフェース回路は、電力制御信号に基づいて変調された電力信号を提供し、フィードバックパラメータの少なくとも1つに対応するフィードバック信号をAC電力供給制御回路に提供するように構成されている。AC基板142は、セパレータ15に対して実質的に垂直である。絶縁変圧器および場合によっては他の構成要素の高さは、ACPCB142の幅よりも大きいので、これにより、ハウジングアセンブリの全体の高さ寸法を最小にすることができる。ここでも、ACアセンブリ140の構成要素および動作は、以下でより詳細に説明される。
[0042] セパレータ15の上に配置された低電圧プリント回路基板(PCB)アセンブリ120を参照すると、(ACアセンブリ140の)変調電力信号を低電圧直流(DC)充電信号に変換するように構成されたユニバーサルシリアルバス(USB)充電インターフェース回路を含んでいる。低電圧PCBアセンブリ120は、USB充電インターフェース回路に結合された2つのシングルポートUSBソケット120-1、120-2を含む。低電圧PCB122は、セパレータ15に平行である。従って、ソケット120-1、120-2はそれぞれ、フロントカバー12に形成されたUSB開口部12-1を介してアクセス可能である。
・・(中略)・・
[0058] 図9を参照すると、図3および図6に描かれた低電圧プリント回路基板(PCB)アセンブリ120の透視図が開示されている。低電圧PCBアセンブリの構成要素および相互接続は、上述した図7に概略的に示されている。コンデンサC5、C14、C13、およびCY1などの低電圧PCBアセンブリ120の様々なコンポーネント、ならびにUSBコネクタ(120-1、120-2)は、プリント回路基板122上に実装されているものとして示されている。」
(イ)「
[図:0001404531000003.jpg]
[図:0001404531000004.jpg]
[図:0001404531000005.jpg]
」
イ.甲2技術
(ア)上記ア(ア)段落0003、0039の記載及び(イ)FIG.3によると、甲2に記載された装置10は、USB充電レセプタクルを含む電気配線装置であるといえる。
(イ)上記ア(ア)段落0042、0058の記載及び(イ)FIG.3によると、上記装置10は、USBソケット120-1、120-2が実装された低電圧プリント回路基板アセンブリ120を備えているといえる。
(ウ)上記ア(ア)段落0039の記載及び(イ)FIG.7によると、上記装置10は、低電圧プリント基板アセンブリ120と電気的に接続されたACプリント回路基板アセンブリ140を備えているといえる。
(エ)上記ア(ア)段落0039及び(イ)FIG.3によると、甲2には、ACプリント基板回路アセンブリ140を、低電圧プリント基板回路アセンブリ120に対して、USBソケット120-1、120-2の差込方向の下方に配置することが記載されているといえる。
(オ)以上のとおりであるから、甲2には次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。
「USBソケット120-1、120-2が実装された低電圧プリント回路基板アセンブリ120と、低電圧プリント回路基板アセンブリ120と電気的に接続されたACプリント回路基板アセンブリ140と、を備えたUSB充電レセプタクルを含む電気配線装置において、ACプリント回路基板アセンブリ140を、低電圧プリント回路基板アセンブリ120に対して、USBソケット120-1、120-2の差込方向の下方に配置すること。」
(3)甲第3号証
ア.甲第3号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。)
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、壁面のような施工面に一部を埋め込んだ形で施工され照明負荷を所望の調光レベルで点灯させるように操作される調光器に関するものである。
・・(中略)・・
【0020】ボディ10内において仕切壁12を介して形成された端子収納室13には、速結端子よりなる一対の端子30が納装される。端子30は、端子板35と鎖錠ばね36とで構成され、鎖錠ばね36は、端子板35と鎖錠ばね36との間に電線挿入口15(図5及び図6参照)に挿入された電線に食い込んで抜け止めをする鎖錠片36bと、電線に弾接する接触片36aとを備えている。すなわち、ボディ10の後壁には鎖錠ばね36と端子片35との間に電線を導入することができるように電線挿入口15が形成されている。この電線挿入口15を通して鎖錠ばね36と端子板35との間に、鎖錠片36a側から電線を挿入すると、接触片36a及び鎖錠片36aのばね力によって電線が端子板35との間に挟持され、かつ鎖錠片36bが電線に食い込むことによって電線を引き抜くことができなくなる。このように、電線挿入口15に電線を挿入するだけで結線することができるから、ねじ付きの端子などを用いる場合に比較して結線作業が容易になる。
・・(中略)・・
【0022】また、回路収納室14には、第1のプリント板51に実装された後述のチョークコイルLや、第2のプリント板52や、放熱板40などが納装される。ここに、各プリント板51,52はプリント板ブロック50を構成するものであって、第1のプリント板51と第2のプリント板52とは複数のリード線57により電気的に接続されており、また、第1のプリント板51には上述の端子板35の接続片35aが半田付けされており、プリント板ブロック50には、図9に示すような回路部が構成される。端子30間には、白熱灯などの照明負荷(図示せず)と商用電源(図示せず)との直列回路が上述の電線によって接続される。
」
(イ)「
【図1】
[図:0001404531000006.jpg]
【図6】
[図:0001404531000007.jpg]
」
イ.甲3技術
(ア)上記ア(ア)段落【0001】、【0020】、【0022】によると、甲3には、ボディ10と、第1のプリント板51と、第1のプリント板51と電気的に接続された第2プリント板52と、外部から電線を挿入するだけで結線することができる端子30とを備えた調光器が記載されているといえる。
(イ)上記ア(イ)【図1】、【図6】によると、第1のプリント板51と第2のプリント板52とはボディ10に収納されること、及び、第2のプリント板52が、第1のプリント板51に対して当該第1のプリント板51の法線方向の下方に配置されていることが見て取れる。
(ウ)上記ア(イ)【図1】、【図6】によると、端子30(第2内側端子に相当)は、第2のプリント板52の長辺の両端間に位置していることが見て取れる。
(エ)以上のとおりであるから、甲3には次の技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。
「第1のプリント板と、第1のプリント板と電気的に接続される第2のプリント板と、を備えた調光器において、前記第2のプリント板を、第1のプリント板に対して当該第1のプリント板の法線方向の下方に配置すること。」
2 本件特許発明1と甲1発明との対比
ア.甲1発明のUSBソケットは、筐体10の外側から差し込まれるUSBプラグを接続可能に構成された端子であるといえるから、本件特許発明1の「差込式の第1外側端子を接続可能に構成された第1内側端子」に相当する。
イ.甲1発明の電極線コネクタ30は、筐体10の内側に配置され、外部からAC電源線を接続可能に構成された端子であるといえるから、本件特許発明1の「第2外側端子を接続可能に構成された第2内側端子」に相当する。
ウ.甲1発明の中回路板は、USBソケットが実装される基板であるところ、上記アのとおりであるから、本件特許発明1の「前記第1内側端子が実装される第1基板」に相当する。
エ.上記1(1)ア(ア)段落【0010】によると、電極線コネクタ30は、少なくとも1つの回路板30に接続されるものであるところ、同(イ)の【図3】によると、電極線コネクタ30は、その近傍に配置される下回路板に接続されるものであると解される。
ここで、本願出願時の技術常識、及び、同(ア)段落【0001】によると、上記スイッチ型充電器構造は、電極線から入力されたACをDCに変換してUSBソケットから出力するものといえるから、電極線コネクタ30に接続された下回路板と、USBソケットが実装された中回路板とは電気的に接続されていることは明らかである。
そうすると、上記中回路板と上記下回路板とは、電気的に接続されているといえるから、甲1発明の下回路板は、本件特許発明1の「前記第1基板に電気的に接続される第2基板」に相当する。
オ.甲1発明の筐体10は、中回路板と下回路板とを収納するものであるから、本件特許発明1の「前記第1基板及び前記第2基板を収納するハウジング」に相当する。
カ.甲1発明の下回路板は、その法線方向から見て概略矩形であって、当該矩形の長辺の一端部から突出する突出部を備えるから、本件特許発明1の「第2基板」と甲1発明の下回路板とは、「前記第2基板の法線方向から見て、矩形の主部と、前記主部の長辺の一端部から突出する矩形の突出部とを含む」点で共通する。
キ.本件特許発明1の「第2内側端子」と甲1発明の電極線コネクタ30とは、「前記主部の長辺の方向における前記第2基板の両端間に位置している」点で共通する。
ク.甲1発明のスイッチ型充電器構造は、本願出願時の技術常識からすると配線器具であると解されるところ、上記アないしオによると、「第1内側端子」と「第2内側端子」と「第1基板」と「第2基板」と「ハウジング」とを備えた配線器具といえる。
よって、甲1発明のスイッチ型充電器構造は、本件特許発明1の「配線器具」に相当する。
ケ.したがって、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。
[一致点]
「差込式の第1外側端子を接続可能に構成された第1内側端子と、
第2外側端子を接続可能に構成された第2内側端子と、
前記第1内側端子が実装される第1基板と、
前記第1基板に電気的に接続される第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板を収納するハウジングと、を備え、
前記第2基板は、前記第2基板の法線方向から見て、矩形の主部と、前記主部の長辺の一端部から突出する矩形の突出部とを含み、
前記第2内側端子は、前記主部の長辺の方向における前記第2基板の両端間に位置している
ことを特徴とする配線器具。」
[相違点]
本件特許発明1における「前記第2内側端子は、前記突出部の前記第1基板とは反対側」に位置するものであるのに対して、甲1発明における「第2内側端子」は、「前記突出部」の「前記第1基板とは同じ側」に位置するものである点。
3 判断
(1)本件特許発明1における構成要件Gの意義について
本件明細書の段落【0080】、及び、【図1】、【図8】によると、本件特許発明1は、「前後方向における第2基板6の両端よりも外側に第3基板7を配置する場合と比較して、前後方向においてハウジング1を小型化する」(段落【0080】)ために、「前記主部の長辺の一端部から突出する矩形の突出部」を設けることで、「前記主部の長辺の方向における前記第2基板の両端間」に第2内側端子を含む第3基板が位置する空間を形成するものであると認められる。
さらに、本件明細書の段落【0081】、及び、【図1】、【図8】によると、「前記第2内側端子は、前記突出部の前記第1基板とは反対側」とすることにより、「前後方向と交差する方向において」第1基板と第2基板とが重ならない構成であるから、本件特許発明1において「前記第2内側端子は、前記突出部の前記第1基板とは反対側」に位置することの技術的意義は、「第1基板」の後方に上記「突出部」を含む「第2基板」を配置することにより「前後方向と交差する方向においてハウジング1を小型化する」(段落【0081】)ものであると解される。
ここで、本件明細書における上記「前後方向」とは、段落【0079】、【0080】及び【図8】によると、「第1内側端子8に対する第1外側端子18の差込方向」(以下、「差込方向」という。)であるといえる。
そうすると、本件特許発明1は、差込方向、及び差込方向と交差する方向においてハウジングを小型化することを課題とし、当該課題を解決するために、「前記主部の長辺の一端部から突出する矩形の突出部」を設けることで、「前記主部の長辺の方向における前記第2基板の両端間」に「第2内側端子」を含む第3基板が位置する空間を形成するとともに、差込方向において「第1基板」の後方に上記「突出部」を含む「第2基板」を配置したものであると認められる。
(2)無効理由1について
配線器具において、必要とする機能に応じて電子部品、基板、端子等が選択され、それらの配置も、配線器具が設置される場所等に応じて最適なものとされていることが、本願出願時の技術常識であるから、甲1発明においても、基板、基板上に搭載される電子部品、端子等の配置は既に最適化されたものと考えることが合理的である。
そうすると、配線器具において小型化が潜在的な課題であるとしても、上記配置が最適化された甲1発明において、「第1基板」の後方に上記「突出部」を含む「第2基板」を配置するようにしてまで小型化を図る動機付けがあるともいえない。
また、上記配置が最適化された甲1発明において、小型化を行うために「第1基板」の後方に上記「突出部」を含む「第2基板」を配置しようとした場合、「第2基板」をそのままの大きさで収納するためには、ハウジングを後方に大型化しなければならず、また、上記大型化を避けるために「第2基板」を小さくすると、電子部品を搭載可能な面積が縮小するために、必要な電子部品を搭載できないことになる。
よって、甲1発明において、「第1基板」の後方に上記「突出部」を含む「第2基板」を配置することには阻害要因が認められる。
そうすると、甲1発明において、「第1基板」の後方に上記「突出部」を含む「第2基板」を配置し、「前記第2内側端子は、前記突出部の前記第1基板とは反対側」に位置することは、当業者が適宜なし得る設計的事項とはいえず、甲1発明、及び、本願出願時の技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。
したがって、上記相違点に係る構成は、甲1発明、及び、本願出願時の技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(3)無効理由2について
上記(1)で説示したとおり、本件特許発明1では、ハウジングを小型化するために、「前記主部の長辺の一端部から突出する矩形の突出部」を設けて、「前記主部の長辺の方向における前記第2基板の両端間」に「第2内側端子」を含む第3基板が位置する空間を形成するとともに、差込方向において「第1基板」の後方に上記「突出部」を含む「第2基板」を配置したものであるといえる。
一方で、甲2技術及び甲3技術には、何れも本件特許発明1に係る上記「突出部」に対応する構成を有しておらず、甲1発明に、甲2技術及び甲3技術を適用する動機付けは認められない。
加えて、仮に甲1発明に、甲2技術及び甲3技術を適用することができるとしても、甲1発明に甲2技術又は甲3技術を組み合わせたものは、上記「突出部」を設けることで「前記主部の長辺の方向における前記第2基板の両端間」に第2内側端子を含む第3基板が位置する空間を形成するものではないため、当業者であっても本件特許発明1を容易に発明することができたとはいえない。
以上のとおりであるから、甲1発明に、甲2技術及び甲3技術を適用して、上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
4 被請求人の上申書2における主張について
請求人は、審判請求書に記載された無効理由2について、本件特許発明1の「突出部」と甲2及び甲3証との対比に関し、甲2技術には「突出部は設けられていない」としていたものを、甲2技術には「AC基板142の法線方向から見て突出部が形成され」ており、甲1の構成に甲2の構成を採用するための動機付けが存在すると変更し、また、甲3技術では、「第2のプリント板52から第1のプリント板51が突出して「突出部」を形成している」としていたものを、「第2のプリント板52には、主部の長辺の一端部から突出する矩形の突出部」を含んでいると変更し(請求人の口頭審理陳述要領書第2頁)、上記変更に対し、被請求人は、審判請求書の要旨を変更するものであり、許されるものではないと主張している。(被請求人上申書2第2頁)
しかし、請求人による上記突出部の解釈についての変更は、甲2、及び、甲3において、当初とは異なった構成の発明を引用するものに変更するものであるものの、主要事実の差し替えとまではいえず、それにより、審理範囲が実質的に変更され、大幅な審理のやり直しや権利者の実質的反論を必要とするようになるものとはいえない。
よって、請求人による上記突出部の解釈についての変更は、請求の要旨を変更するものとはいえないから、上記被請求人の主張は認められない。
5 請求人の主張について
請求人は各無効理由について、以下のような主張をしている。
(1)無効理由1について
本件特許発明の作用効果は、「第1内側端子に対する第1外側端子の差込方向と交差する方向においてハウジングを小型化することができる」ことであり、当該作用効果は、第2内側端子が第2基板の突出部の下方(第1外側端子の差込方向の下側)に位置することにより奏される。
仮に、本件特許発明1において、突出部が第1基板の上方に位置する位置まで第2基板の位置を移動させた場合であっても、「第1外側端子の差込方向と交差する方向においてハウジングを小型化することができる」という作用効果を奏することができる。
してみると、上記相違点があった場合であっても、本件特許発明1における作用効果には何ら影響がない。
即ち、上記相違点は、当業者であれば適宜選択することができる設計事項にすぎない。(審判請求書第8頁)
(2)無効理由2について
甲3の図1を見ると、第2のプリント板52の法線方向から見て、符号52aが付されたくぼみが設けられていること、即ち、第2のプリント板52には、矩形の主部と、主部の長辺の一端部から突出する矩形の突出部を含んでいる。(下記アを参照。)
甲2についても、図3におけるAC基板142(第2基板に相当)について、図17に同一の符号が付されたAC基板142が記載されており、基板の側壁にくぼみが形成されているため、AC基板142の法線方向から見て突出部が形成されているものと認められる。(下記イを参照。)
よって、甲2、甲3には上記の通り「突出部」が存在するため、甲1の構成に甲2又は甲3の構成を採用するための動機付けが存在する。
また、本件特許発明の構成要件Gでは、第2内側端子と、第2基板の突出部との位置関係が記載されていますが、甲3に記載された構成も含まれる記載となっている。
してみると、基板に設けられた突出部の下方に第2内側端子が位置している構成が記載された甲1について、第1基板の下方に第2基板を設けた甲2及び甲3の構成を採用して本件特許発明の構成とすることは、当業者にとっては容易であると認められる。(請求人の口頭審理陳述要領書第2頁~第4頁)
ア.「
[図:0001404531000008.jpg]
」(請求人上申書1に添付されたプレゼンテーション資料第3頁右図)
イ.「
[図:0001404531000009.jpg]
」(請求人上申書1に添付されたプレゼンテーション資料第6頁右図)
(3)請求人の主張に関する検討
ア.無効理由1について
上記3(2)で説示したとおり、甲1発明において、「前記第2内側端子は、前記突出部の前記第1基板とは反対側」に位置することは、当業者が適宜なし得る設計的事項とはいえず、甲1発明、及び、本願出願時の技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
したがって、請求人の上記無効理由1に係る主張は認められない。
イ.無効理由2について
甲2に記載されたACプリント基板のくぼみ、及び、甲3に記載された第2のプリント板52のくぼみに関し、本件明細書には明示的に記載されておらず、その技術的意義は特定できない。また、上記(2)ア、イから見て取れるように、いずれも当該くぼみの両側に突出する部位が存在するものであるから、請求人が当該くぼみによって形成されると主張する「突出部」は、「前記主部の長辺の方向における前記第2基板の両端間」に「第2内側端子」を含む第3基板を配置する空間を形成するものではないため、ハウジングの小型化に寄与するものとはいえない。
そうすると、請求人が甲2及び甲3に記載されたくぼみによって形成されると主張する「突出部」は、何れも本件特許発明1に係る「突出部」に対応するものではなく、甲1発明における「突出部」と共通の事項であるとする理由はないことからすると、甲1発明に、甲2技術及び甲3技術とを適用する動機付けは認められない。
加えて、仮に甲1発明に、甲2技術及び甲3技術を適用することができるとしても、甲1発明に甲2技術又は甲3技術を組み合わせたものは、「前記主部の長辺の一端部から突出する矩形の突出部」を設けることで「前記主部の長辺の方向における前記第2基板の両端間」に第2内側端子を含む第3基板が位置する空間を形成するものではないため、当業者であっても本件特許発明1を容易に発明することができたとはいえない。
よって、甲1発明に、甲2及び甲3の構成を採用して、本件特許発明1の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、請求人の上記無効理由2に係る主張は認められない。
6 小括
上記で検討したとおり、本件特許発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないため、同法第123条第1項第2号によって無効とすべきものではない。
第7 むすび
以上、請求人の主張する理由及び提出した証拠によっては、本件特許発明1に係る特許を無効にすることはできない。
そして、審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-800057