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特許異議申立

2020-700730

可燃ごみの処理システム

審判番号
2020-700730
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-068971
登録番号
6671626
請求日
2020年09月25日
審決日
2021年11月26日
公報発行日
2022年04月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社サムズ
  • 【権利者代理人】特許業務法人日誠国際特許事務所
  • 【異議申立人】ユニサプライ 株式会社
  • 【異議申立人代理人】杉本 ゆみ子
審判長/審判官
  • 審判長 加藤 友也
  • 審判官 細井 龍史
  • 審判官 大島 祥吾
分類
P1651.113-ZDA(B09B) / P1651.121-ZDA(B09B) / P1651.536-ZDA(B09B) / P1651.537-ZDA(B09B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第6671626号発明「可燃ごみの処理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6671626号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし4〕について訂正することを認める。 特許第6671626号の請求項1及び3に係る特許を取り消す。 特許第6671626号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 特許第6671626号の請求項4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6671626号の請求項1ないし4に係る特許は、平成30年3月30日に出願され、令和2年3月6日にその特許権の設定登録がされ、同年同月25日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和2年 9月25日 : 異議申立人 ユニサプライ株式会社 (以下、「異議申立人」という。) による特許異議の申立て 同年12月25日付け : 取消理由通知 令和3年 3月 5日 : 特許権者 株式会社サムズ (以下、「特許権者」という。) による訂正請求及び意見書の提出 同年 同月29日付け : 特許法第120条の5第5項の通知 同年 5月31日 : 異議申立人による意見書の提出 同年 6月29日付け : 取消理由通知(決定の予告) なお、取消理由通知(決定の予告)後、特許権者からは指定期間内に応答はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和3年3月5日付けの訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)ないし(8)のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「下水道処理場」と記載されているのを、「下水処理場」に訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項3についても同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に、 「前記衛生用品を構成する複数種の素材に分解し、 前記乾燥工程で複数種の素材に分解した後に脱水・乾燥させてパルプとプラスチックを回収し、 ・・・請求項1又は請求項2に記載の可燃ごみの処理システム。」と記載されているのを、 「前記衛生用品を構成する複数種の素材に分解した後に、 前記乾燥工程で脱水・乾燥させてパルプとプラスチックを回収し、 ・・・請求項1に記載の可燃ごみの処理システム。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に、 「前記可燃ごみが水分を含む生ごみであり、 前記消毒工程で前記生ごみを前記再生水と消毒・殺菌剤からなる処理液と共に撹拌し、 前記乾燥工程で前記生ごみを乾燥させ、 前記再利用工程で前記乾燥工程にて乾燥された生ごみを固形燃料の原料に再利用し、バイオマス燃料の原料にすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可燃ごみの処理システム。」と記載されているのを、 「水分を含む可燃ごみを処理する可燃ごみの処理システムであって、 該可燃ごみの処理システムが下水道の汚水を浄化し再生水として放流する下水処理場内に設けられ、 該可燃ごみの処理システムが、 分別収集された前記可燃ごみを前記下水処理場にて処理された再生水を含む処理液を用いて消毒する消毒工程と、 前記消毒工程で消毒された前記可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工租と、 前記乾燥工程で脱水・乾燥された前記可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程と、からなり、 前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して前記下水処理場に排出し、 前記可燃ごみが水分を含む生ごみであり、 前記消毒工程で前記生ごみを前記再生水と消毒・殺菌剤からなる処理液と共に撹拌し、 前記消毒工程において、前記処理液を用いて消毒された生ごみを最終的に水洗いし、 前記乾燥工程で前記生ごみを乾燥させ、 前記再利用工程で前記乾燥工程にて乾燥された生ごみを固形燃料の原料に再利用し、バイオマス燃料の原料にすることを特徴とする可燃ごみの処理システム。」に訂正する。 (5)訂正事項5 本件特許の明細書の段落【0010】に「下水道処理場」と記載されているのを、「下水処理場」に訂正する。 (6)訂正事項6 本件特許の明細書の段落【0011】を削除する。 (7)訂正事項7 本件特許の明細書の段落【0012】に、「前記衛生用品を構成する複数種の素材に分解し、前記乾燥工程で複数種の素材に分解した後に脱水・乾燥させてパルプとプラスチックを回収し、」と記載されているのを、 「前記衛生用品を構成する複数種の素材に分解した後に、前記乾燥工程で脱水・乾燥させてパルプとプラスチックを回収し、」に訂正する。 (8)訂正事項8 本件特許の明細書の段落【0013】に、「前記可燃ごみが水分を含む生ごみであり、前記消毒工程で前記生ごみを前記再生水と消毒・殺菌剤からなる処理液と共に撹拌し、前記乾燥工程で前記生ごみを乾燥させ、前記再利用工程で前記乾燥工程にて乾燥された生ごみを固形燃料の原料に再利用し、バイオマス燃料の原料にする」と記載されているのを、 「水分を含む可燃ごみを処理する可燃ごみの処理システムであって、該可燃ごみの処理システムが下水道の汚水を浄化し再生水として放流する下水処理場内に設けられ、該可蒸ごみの処理システムが分別収された寸記可燃ごみを前記下水処理場にて処理された再生水を含む処理液を用いて消毒する消毒工程と、前記消毒工程で消毒された前記可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程で脱水・乾燥された前記可燃ごみを構成する素材を再を再利用する再利用工程と、からなり前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して前記下水処理場に排出し、前記可燃ごみが水分を含む生ごみであり、前記消毒工程で前記生ごみを前記再生水と消毒・殺菌剤からなる処理液と共に撹拌し、前記消毒工程において、前記処理液を用いて消毒された生ごみを最終的に水洗いし、前記乾燥工程で前記生ごみを乾燥させ、前記再利用工程で前記乾燥工程にて乾燥された生ごみを固形燃料の原料に再利用し、バイオマス燃料の原料にする」に訂正する。 2 一群の請求項について 訂正事項1ないし4による訂正は、訂正前の請求項1ないし4を訂正するものであるところ、本件訂正前の請求項2ないし4は、訂正請求の対象である請求項1の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、訂正前の請求項1ないし4は一群の請求項であって、訂正事項1ないし4による訂正は、一群の請求項〔1ないし4〕について請求されたものである。 また、訂正事項5ないし8による訂正は、上記訂正事項1ないし4による訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図る訂正であるため、訂正事項5ないし8による訂正は、一群の請求項〔1ないし4〕について請求されたものである。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1及び5による訂正について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「下水道処理場」を、「下水処理場」に変更するものであり、訂正事項5は、訂正前の本件特許の明細書の段落【0010】の「下水道処理場」を、「下水処理場」に変更するものであるところ、本件特許の明細書段落【0018】、【0048】ないし【0050】及び【図3】には、「下水処理場」との記載がある。 そうしてみると、「下水道処理場」は、「下水処理場」の誤記であることは明らかである。 したがって、訂正事項1及び5は、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 また、訂正事項1及び5は、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、請求項1の訂正の前後の記載を比較しても、訂正事項1及び5は、実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2による訂正について 訂正事項2は、請求項2を削除するというものである。そうすると、訂正事項2は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2は、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3による訂正について 訂正事項3は、訂正前の請求項3の、乾燥工程での「複数種の素材に分解した後に」する事項を削除すると共に、その前後の記載を整合させて、「前記衛生用品を構成する複数種の素材に分解した後に、前記乾燥工程で脱水・乾燥させてパルプとプラスチックを回収し、」に変更するもので、訂正前の「複数種の素材に分解」する事項について、いずれの工程かを明確にするものである。 したがって、訂正事項3は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項3は、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4による訂正について 訂正事項4は、訂正前の請求項4の「前記消毒工程で前記生ごみを前記再生水と消毒・殺菌剤からなる処理液と共に撹拌」することに加えて、「前記消毒工程において、前記処理液を用いて消毒された生ごみを最終的に水洗い」する事項を付加するものである。また、当該事項は、本件特許の明細書の段落【0042】に記載されている。 さらに、訂正事項4は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1又は請求項2の記載を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるためのものである。 そうすると、訂正事項4は特許請求の範囲の減縮、及び、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 また、訂正事項4は、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項6ないし8による訂正について 訂正事項6は、上記訂正事項2による訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものである。また、訂正事項7は、上記訂正事項3による訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものであり、訂正事項8は、上記訂正事項4による訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものである。 したがって、訂正事項6ないし8は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項6ないし8は、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更するものではない。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件訂正は適法なものであり、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし4〕について訂正すること、及び、本件特許の明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の明細書について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2で示したとおり、本件訂正は認められるため、本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいい、本件特許発明1ないし4を総称して「本件特許発明」という。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。 「【請求項1】 水分を含む可燃ごみを処理する可燃ごみの処理システムであって、 該可燃ごみの処理システムが下水道の汚水を浄化し再生水として放流する下水処理場内に設けられ、 該可燃ごみの処理システムが、 分別収集された前記可燃ごみを前記下水処理場にて処理された再生水を含む処理液を用いて消毒する消毒工程と、 前記消毒工程で消毒された前記可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程と、 前記乾燥工程で脱水・乾燥された前記可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程と、からなり、 前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して前記下水処理場に排出することを特徴とする可燃ごみの処理システム。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 前記可燃ごみが水分を含む衛生用品であり、 前記消毒工程で前記衛生用品を前記再生水と分解剤と消毒・殺菌剤とからなる処理液と共に撹拌して、前記衛生用品を構成する複数種の素材に分解した後に、 前記乾燥工程で脱水・乾燥させてパルプとプラスチックを回収し、 前記再利用工程で前記乾燥工程にて回収されたパルプが段ボールの原料であり、前記プラスチックが固形燃料の原料であることを特徴とする請求項1に記載の可燃ごみの処理システム。 【請求項4】 水分を含む可燃ごみを処理する可燃ごみの処理システムであって、 該可燃ごみの処理システムが下水道の汚水を浄化し再生水として放流する下水処理場内に設けられ、 該可燃ごみの処理システムが、 分別収集された前記可燃ごみを前記下水処理場にて処理された再生水を含む処理液を用いて消毒する消毒工程と、 前記消毒工程で消毒された前記可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程と、 前記乾燥工程で脱水・乾燥された前記可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程と、からなり、 前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して前記下水処理場に排出し、 前記可燃ごみが水分を含む生ごみであり、 前記消毒工程で前記生ごみを前記再生水と消毒・殺菌剤からなる処理液と共に撹拌し、 前記消毒工程において、前記処理液を用いて消毒された生ごみを最終的に水洗いし、 前記乾燥工程で前記生ごみを乾燥させ、 前記再利用工程で前記乾燥工程にて乾燥された生ごみを固形燃料の原料に再利用し、バイオマス燃料の原料にすることを特徴とする可燃ごみの処理システム。」 第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立書に記載した申立理由の概要 令和2年9月25日に異議申立人が提出した特許異議申立書に記載した申立理由の概要は次のとおりである。 (1)申立理由1(実施可能要件) 本件特許の請求項2ないし4に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 概要は、以下のとおり。 ・請求項2における「前記消毒工程では、前記処理液を用いて前記可燃ごみを構成する素材ごとに前記可燃ごみを分解し、可燃ごみを消毒すること」について、上記「可燃ごみ」には、「水分を含む生ごみ」が含まれるところ、本件特許の明細書では、どのようにして、当該生ごみを、生ごみを構成する素材ごとに分解するのか説明されていない。 ・請求項3における「前記消毒工程で前記衛生用品を前記再生水と分解剤と消毒・殺菌剤とからなる処理液と共に撹拌して、前記衛生用品を構成する複数種の素材に分解し」なる事項について、本件特許の明細書では、衛生用品である紙おむつを構成する素材は、「パルプ5」、「プラスチック6」、及び「その他の素材(テープ部分やゴム)」を意味しているものと思料するが、本件特許の明細書では、紙おむつが、「パルプ5」、 「プラスチック6」及び「その他の素材」に分解されているとはいえない。すなわち、「衛生用品を構成する複数種の素材に分解し」ているとはいえない。 (2)申立理由2(サポート要件) 本件特許の請求項2ないし4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 概要は、以下のとおり。 ・請求項2における「前記消毒工程では、前記処理液を用いて前記可燃ごみを構成する素材ごとに前記可燃ごみを分解し、可燃ごみを消毒すること」について、本件特許の明細書では、「プラスチック6」及び「その他の素材」は、紙おむつを構成する素材ごとに分解されたものであるとはいえない。また、上記「可燃ごみ」が「水分を含む生ごみ」である場合に、本件特許の明細書では、どのようにして、当該生ごみを、生ごみを構成する、もととなる材料ごとに分解するのか説明されていない。 (3)申立理由3(明確性要件) 本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 概要は、以下のとおり。 ・請求項1において、「下水道処理場」に係る発明特定事項が不明確である。 ・請求項1において、「前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して」に係る発明特定事項が不明確である。 ・請求項2において、「可燃ごみを構成する素材」に係る発明特定事項が不明確である。 ・請求項3において、「分解剤」に係る発明特定事項が不明確である。 ・請求項3において、「前記衛生用品を構成する複数種の素材に分解し」に係る発明特定事項が不明確である。 ・請求項4において、「固形燃料」及び「バイオマス燃料」に係る発明特定事項が不明確である。 (4)申立理由4(甲第1号証に基づく新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (5)申立理由5-1(甲第1号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (6)申立理由5-2(甲第3号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (7)申立理由5-3(甲第4号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (8)申立理由5-4(甲第2号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (9)証拠方法 特許異議申立書に添付して、以下の証拠が提出された。 甲第1号証:特開2014-151254号公報 甲第2号証:下水処理場における地域バイオマス利活用マニュアル、 資料編、国土交通省、2017年3月 甲第3号証:特開2015-073666号公報 甲第4号証:廃棄物処理先進事例調査、C1ean Life、Vol.61、 公益社団法人大阪府産業廃棄物協会 第26頁~第31頁 甲第5号証:特開2000-084533号公報 甲第6号証:特開2010-059586号公報 甲第7号証:特開2002-086111号公報 甲第8号証:工業用水道事業法の解釈について、通商産業省、 昭和33年10月27日 甲第9号証:一般廃棄物処理における石灰の役割-固形燃料化と生石灰- 、門倉 利夫、In organic Materials, Vol.2, No.254, 65-70 (1995) 甲第10号証:広辞苑、第7版第1刷、第916、1712、2306、 2307ページ また、令和3年5月31日付けの意見書に添付して、以下の証拠が提出された。 甲第11号証:特開2000-8057号公報 甲第12号証:特開2000-17278号公報 甲第13号証:特開平8-176567号公報 甲第14号証:特開2010-185021号公報 異議申立人の提出した上記甲第1号証ないし甲第14号証を、以下、「甲1」ないし「甲14」という。 2 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要 当審が令和3年6月29日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりであり、特許異議申立書に記載した申立理由5-1、申立理由5-4を含むものである。 (1)取消理由3-1(甲1に基づく進歩性) 本件特許の請求項1及び3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (2)取消理由3-2(甲2に基づく進歩性) 本件特許の請求項1及び3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 第5 当審の判断 当審は、以下に述べるように、本件特許の請求項1及び3に係る特許は、取消理由(決定の予告)で通知した取消理由によって取り消すべきものであり、本件特許の請求項4に係る特許は、特許異議申立書に記載した申立理由によっては取り消すことはできないと判断する。 1 取消理由(決定の予告)について 本件特許の請求項1及び3に係る特許について、令和3年6月29日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者は応答しなかった。 そして、上記の取消理由(決定の予告)で通知した上記取消理由3-1、3-2は妥当なものと認められるので、本件特許の請求項1及び3に係る特許は、この取消理由(決定の予告)によって取り消すべきものである。 2 取消理由(決定の予告)において採用しなかった申立理由について 上記1のとおり、本件特許の請求項1及び3に係る特許は取り消されることから、請求項4に係る特許に対する申立理由である以下の理由について検討する。 (1)申立理由1(実施可能要件) (2)申立理由2(サポート要件) (3)申立理由3(明確性要件) ア 請求項1において、「下水道処理場」に係る発明特定事項が不明確である。 イ 請求項1において、「前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して」に係る発明特定事項が不明確である。 ウ 請求項2において、「可燃ごみを構成する素材」に係る発明特定事項が不明確である。 エ 請求項4において、「固形燃料」及び「バイオマス燃料」に係る発明特定事項が不明確である。 (4)申立理由5-1(甲第1号証に基づく進歩性) (5)申立理由5-2(甲第3号証に基づく進歩性) (6)申立理由5-3(甲第4号証に基づく進歩性) (7)申立理由5-4(甲第2号証に基づく進歩性) (1)申立理由1(実施可能要件)について 当該申立の具体的理由は、請求項2に対するものであったが、請求項2は本件訂正により削除され、請求項4は請求項2を引用しないものとなったため、当該申立理由1は解消した。 (2)申立理由2(サポート要件)について 当該申立の具体的理由は、請求項2に対するものであったが、請求項2は本件訂正により削除され、請求項4は請求項2を引用しないものとなったため、当該申立理由2は解消した。 (3)申立理由3(明確性要件)について ア 明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきものである。 イ 検討 (ア)請求項1において、「下水道処理場」に係る発明特定事項が不明確である点について 本件訂正により、「下水道処理場」は、「下水処理場」に訂正され、その意味する事項が明確となった。 (イ)請求項1において、「前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して」に係る発明特定事項が不明確である点について 処理液には、消毒液及び生ごみから溶出された塩素等が溶出しているのであるから、当業者の技術常識を参酌すれば、「前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して」とは、「廃棄が可能な環境基準を満たすように、消毒液及び生ごみから溶出された塩素等を除去する等の水処理を施す」との意に解するのが相当であるため、上記発明特定事項は不明確であるとはいえない。 (ウ)請求項2において、「可燃ごみを構成する素材」に係る発明特定事項が不明確である点について 当該申立の具体的理由は、請求項2に対するものであったが、請求項2は本件訂正により削除され、請求項4は請求項2を引用しないものとなったため、当該理由は解消した。 (エ)請求項4において、「固形燃料」及び「バイオマス燃料」に係る発明特定事項が不明確である点について 「固形燃料」については、本件特許明細書の段落【0041】に「乾燥された生ごみ9は、再利用工程14で、プラスチック15と紙16とが加えられて固形燃料(RPF)の原料にする。」と記載されており、RPFとは、「Refuse derived paper and plastics densified Fuel の略称であり、主に産業系廃棄物のうち、マテリアルリサイクルが困難な古紙及び廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料」(一般社団法人RPF工業会のホームページ https://www.jrpf.gr.jp/rpf-1より)であることから、その意味する事項は明確である。 また、「バイオマス燃料」については、本件明細書にその定義付けはされていないが、「バイオマス」とは、「生物体をエネルギー源または工業原料として利用すること。また、その生物体。」(甲10の第2307ページ)を意味することから、「バイオマス燃料」とは、「生物体をエネルギー源または工業原料として利用する燃料」を意味すると解され、その意味する事項は明確である。 そして、「固形燃料」及び「バイオマス燃料」は、その意味する概念が異なるため、例えば、生ごみを含む燃料及びパルプ繊維を含む燃料が、「固形燃料」及び「バイオマス燃料」のどちらの燃料にも該当することはあり得るが、どちらにも該当するからといって、「固形燃料」及び「バイオマス燃料」の事項が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (オ)そうすると、本件訂正後の本件特許の特許請求の範囲4の記載は不明確ではなく、かつ、本件特許明細書の記載も特許請求の範囲の請求項4の記載と矛盾するものではないから、当業者の出願日における技術常識の基礎として、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 ウ 申立理由3についてのむすび したがって、本件特許の請求項4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、申立理由3によっては、本件特許の請求項4に係る特許を取り消すことはできない。 (4)申立理由5-1(甲1に基づく進歩性)について ア 証拠の記載事項等 (ア)甲1の記載事項 甲1には、「使用済み紙おむつの再資源化方法、土壌改良材、及び、使用済み紙おむつの再資源化システム」について、概略、次の記載がある。 なお、下線は当審において付与したものである。以下同様。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 裁断された使用済み紙おむつとポリマー分解剤を含む洗浄水とをポリマー分解槽で攪拌する攪拌工程と、 前記ポリマー分解槽内の攪拌物を、前記ポリマー分解剤によって脱水した吸水性ポリマーとパルプ成分との混合物、紙おむつの包装材、及び、汚水、の3つに分離する分離工程と、 備えることを特徴とする使用済み紙おむつの再資源化方法。 【請求項2】 前記攪拌工程においては、前記ポリマー分解剤を含む水として中水を用いる請求項1に記載の使用済み紙おむつの再資源化方法。 ・・・<略>・・・ 【請求項8】 前記攪拌工程においては、前記ポリマー分解槽に滅菌・殺菌剤が添加されており、 当該滅菌・殺菌剤は、使用済み紙おむつの汚度が高いほど多く添加される を備える請求項1~請求項7の何れか1項に記載の使用済み紙おむつの再資源化方法。 ・・・<略>・・・ 【請求項12】 裁断された使用済み紙おむつとポリマー分解剤を含む洗浄水とをポリマー分解槽で攪拌し、前記ポリマー分解槽内の攪拌物を、前記ポリマー分解剤によって脱水した吸水性ポリマーとパルプ成分と汚水との第1混合物、及び、ビニールと不織布の第2混合物、に分離して排出する攪拌装置と、 前記第1混合物の脱水を行う第1脱水装置と、 前記第2混合物の脱水を行う第2脱水装置と、 前記第1混合物と前記第2混合物の少なくとも一方から出る汚水を浄化する非高度処理型浄化槽と、 備えることを特徴とする使用済み紙おむつの再資源化システム。 【請求項13】 本使用済み紙おむつの再資源化システムに係る施設は、中水又は浸出水の水処理施設に並設されており、前記水処理施設にて処理した中水又は浸出水を前記洗浄水として用いることを特徴とする請求項12に記載の使用済み紙おむつの再資源化システム。」 「【背景技術】 【0002】 2010年における65歳以上の高齢者数は2980万人であり、総人口の約23%を占めている。また、医療技術の高度化や生活環境の変化等に伴い2040年には高齢者が総人口に占める割合が36%に達することが予想されている。 【0003】 そして、2010年時点で高齢者が使用する大人用の紙おむつの生産量は54億枚であるが、高齢者の増加に伴って数年以内には乳幼児用の紙おむつの使用料を上回ることが予想されている。一方で、紙おむつの主原料であるパルプ剤は、その大部分を輸入に依存している中で、使用済み紙おむつは焼却処理されている。 【0004】 このような状況の中で、紙おむつの脱・焼却処理と紙おむつの主成分であるパルプの再資源化を目的とした研究が進められ(例えば特許文献1参照)、その研究成果を基に、2005年に紙おむつの再資源化処理システムが建設され、稼働している。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】特開特開2000-84533号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、現時点における紙おむつの再資源化施設は、前記施設が唯一であり、普及していないのが現状である。その原因として様々な要因が考えられるが、パルプ回収施設運転費、資源化施設で回収されたパルプの需要、処理に伴い発生する汚水の処理、等の課題が考えられる。 【0007】 本発明は、上述した課題に鑑みて成されたものであり、現状の使用済み紙おむつの資源化システムにおける問題点を解決することを目的とする。」 「【0014】 (1)第1の実施形態: 図1は、第1の実施形態に係る使用済み紙おむつの再資源化方法の流れを説明するフローチャートであり、図2は、第1の実施形態に係る使用済み紙おむつの再資源化システムSの一例を示した図である。 【0015】 図1に示す再資源化方法は、回収工程S10、裁断工程S20、攪拌工程S30、及び、分離工程S40を含んで構成される。 【0016】 回収工程S10においては、使用済み紙おむつTを回収して、搬入トラック等の搬送手段で、使用済み紙おむつTの再資源化に係る装置(図2に示す、裁断機10、ポリマー分解槽20、第1脱水装置30、第2脱水装置40、浄化槽50、等)が設置されている施設に搬入する。 【0017】 裁断工程S20においては、裁断機10を用いて、使用済み紙おむつTを、例えば10cm四方程度の小片に裁断する。これにより、使用済み紙おむつTは、高分子吸水ポリマーを包容する外装材や内部表面材等が裁断され、内部に収容されている高分子吸水ポリマーが露出又は溢れ出る。 【0018】 図3は、紙おむつDの内部を示す図である。同図は、紙おむつD使用者に当接する部位付近を短手方向に破断して示した断面図である。なお、同図に示す紙おむつDの構成は一例である。 【0019】 同図において、紙おむつDは、外装材D1、内部表面材D2、吸収紙D3、綿状パルプD4、及び、高分子吸水ポリマーD5、を備えている。 【0020】 外装材D1や内部表面材D2は、例えば、ポリエチレンや不織布等といった非生分解性材料である。高分子吸水ポリマーD5は、公知の各種の物及び今後開発される各種の吸水性ポリマーを用いることができる。本実施形態では、外装材D1と内部表面材D2は非水溶性であり、以下ではまとめて包装材と呼ぶこともある。 【0021】 高分子吸水ポリマーD5は、吸水前は乾燥した、例えば顆粒状であるが、吸水後はふやけてゲル化する。そして、使用済み紙おむつTは、その使用レベルに応じて吸水度合いが異なっており、全ての高分子吸水ポリマーD5がゲル化したもの、高分子吸水ポリマーD5の一部がゲル化したもの、高分子吸水ポリマーD5が全くゲル化していないものがある。 【0022】 すなわち、使用済み紙おむつTは、汚物(大便や小便等)による汚損後に廃棄されるものもあるが、定期交換等、汚損前に廃棄されるものもあるため、前者は高分子吸水ポリマーD5の少なくとも一部がゲル化するが、後者は高分子吸水ポリマーD5がゲル化していない。このため、使用済み紙おむつTを裁断すると、ゲル化前の高分子吸水ポリマーD5が溢れ出したり流出したりする。 【0023】 そこで、本実施形態においては、裁断後の使用済み紙おむつTに、例えば網状のメッシュ材の上を転動させることにより振動を与えて、ゲル化前の高分子吸水ポリマーD5を使用済み紙おむつTからふるい落として脱離させる。このように、攪拌工程S30の前処理として裁断工程S20を行うことにより、攪拌工程S30で攪拌機に投入される高分子吸水ポリマーD5の量を減少できる。 【0024】 その結果、攪拌機の負荷が軽減され、使用水量や後述する高分子吸水ポリマーD5を脱水反応用の分離助剤の量も少なくて済み、オペレーションメンテナンス費を低減できる。また、ポリマー脱水反応に要する時間が減少するため、攪拌機の電気代も節約できる。また、使用する洗浄水の量も削減することが出来る。 【0025】 [攪拌工程] 攪拌工程S30においては、攪拌装置としてのポリマー分解槽20(図2ではパルパー)に、洗浄水やポリマー分解剤としての分離助剤、滅菌・殺菌剤とともに、裁断された使用済み紙おむつTを投入して攪拌する。これにより、使用済み紙おむつTが滅菌・殺菌され、汚物が洗い落とされる。 【0026】 また、ゲル化していた高分子吸水ポリマーD5が脱水されて粒径が2mm以下の砂粒状になる。このように脱水されて砂粒状になった高分子吸水ポリマーD5は水中で沈降しやすく、後述の分離工程S40において、ポリマー分解槽20の下部に設けられた排出口からパルプ等と共に排出されやすくなる。 【0027】 分離助剤としては、水溶して多価金属イオンのCa、Na、Mg等を発生する物質を使用可能であり、特に低コストなCaCl2が好ましい。以下では、分離助剤としてCaCl2を用いる場合を例に取り、説明を行う。 【0028】 攪拌工程S30において用いる洗浄水は、Caイオンを所定量含有するようにセンサー等を用いてCaイオンの濃度を調整する(濃度調整工程)。洗浄水は、Caイオンの含有量を予め調整してから注水してもよいし、ポリマー分解槽20に注水しつつCaイオンの含有量を調整してもよいし、注水後にCaイオンの含有量を調整してもよい。Caイオン濃度は0.1~0.5%であればよく、特に0.3~0.5%とすることが好ましい。 【0029】 攪拌工程S30において用いる洗浄水には、使用済み紙おむつTを洗浄可能な各種の水を使用することができるが、本実施形態では、再生水(中水)や浸出水等の高硬度水を用いるものとする。再生水や浸出水は少なくともCaイオンを含んでおり、特に浸出水はCaイオンを多く含んでいるためである。 【0030】 再生水は、下水や雨水などをろ過・滅菌(再生処理)した水であり、小便等に由来するCaイオンが溶存している。浸出水は、廃棄物処分場や埋立地において浸透した雨水等に処分された汚泥や廃棄物が分解して浸出する汚水であり、焼却ゴミのダイオキシンを除去するために添加されたCaに由来するCaイオンが溶存している。 【0031】 このため、再生水や浸出水を洗浄水として用いると、攪拌工程S30で新たに添加する分離助剤の量が少なくて済む。また、現在はCaを含んだまま再生水や浸出水を自然界に放流しているが、高分子吸水ポリマーD5の脱水にCaを消費する本実施形態では、再生水や浸出水を良質化して排水することができる。 【0032】 攪拌工程S30における攪拌は、高分子吸水ポリマーD5が分離助剤によって十分に脱水するまで行われる。また、高分子吸水ポリマーD5と分離助剤とが十分に反応すれば停止される。すなわち、高分子吸水ポリマーD5が砂粒状に細粒化し、細粒化した高分子吸水ポリマー15が攪拌用の回転ブレードで破砕される前の状態で停止する。これにより、脱水後の高分子吸水ポリマーD5は、粒径が1~2mm程度に調整される。 【0033】 [分離工程] 分離工程S40においては、攪拌終了後のポリマー分解槽20の内容物(以下、攪拌物と記載する。)を、第1混合物と第2混合物とに分離する。第1混合物は、ポリマー分解剤によって脱水した吸水性ポリマーとパルプ成分と汚水との混合物である。第2混合物は、非水溶性の包装材(小片化した外装材D1と内部表面材D2の混合物)である。 【0034】 第1混合物は、ポリマー分解槽20の下部に設けられた排出口から排出される。排出口にはフィルタが設けられており、フィルタには、上述した脱水後の高分子吸水ポリマーD5が通過可能な程度の孔が複数形成されている。このため、排出口からは、第1混合物が排出され、第2混合物は排出されない。 【0035】 排出された第1混合物は、第1脱水装置30へ送られて脱水することにより、第3混合物としての固形分、及び、汚水に分離される。このように分離された第3混合物は、上質パルプ、低質パルプ、及び、脱水された高分子吸水ポリマーD5が含まれる。 【0036】 第3混合物は、大小便に含まれていた窒素やリンも含んでいるため、土壌改良材として緑農地に還元すると好適である。 【0037】 一方、第2混合物は、掻上げと越流の少なくとも一方の方式によりポリマー分解槽20から排出される。これにより、ビニールと不織布の第2混合物が、攪拌物から分離される。第2混合物は、第2脱水装置40へ送られて脱水することにより、第4混合物としての固形物と液分とに分離される。第4混合物は廃プラスチックであり、油化してRPF(固形燃料)としたり、サーマルリサイクルの原料としたりできる。なお、紙おむつTの外装材D1や内部表面材D2といった包装材を、生分解性材料で作成することも可能である。この場合、第4混合物も土壌改良材として用いることができる。 【0038】 第1脱水装置30や第2脱水装置40で分離された液分は、浄化槽50に送られる。浄化槽は、いわゆる家庭用の浄化槽であり、非高度処理型浄化槽とする。浄化には、微生物の働きで汚水の浄化に非高度処理型浄化槽を用いることで、再資源化に係るコストを低減することが出来る。浄化槽に貯まる汚泥は、第1固形分と同様、土壌改良材として緑農地に還元すると好適である。 【0039】 非高度処理型浄化槽は、高度処理型浄化槽に比べてコンパクトであり、高度処理型浄化槽よりも使用済み紙おむつの処理量が少なくても採算が取れる。このため、例えば、コミュニティ単位や介護施設等の施設単位で浄化槽50を設置可能であり、使用済み紙おむつTの再資源化を非常に簡単に行えるようになる。 【0040】 以上説明した第1の実施形態に係る使用済み紙おむつの再資源化方法(再資源化システム)によれば、従来の再資源化方法(再資源化システム)に比べて、使用する洗浄水の量を大幅に少なく、高分子吸水ポリマーの分離助剤の量も少なくて済む。また、初期コストが低く、工程数が少なく、実施しやすい。従って、焼却処分の代替手段として再資源化を採用しやすくなり、焼却に流れていた使用済み紙おむつが再資源化に回るようになり、焼却施設の傷みを防止するとともに焼却処理によって発生する温室効果ガス(GHGs)も削減でき、地球温暖化防止及び森林の保護にも寄与できる。」 「【0041】 (2)第2の実施形態: 次に、第2の実施形態に係る使用済み紙おむつの再資源化方法について説明する。本実施形態に係る使用済み紙おむつの再資源化方法は、使用済み紙おむつTの汚度に応じた分別を行い、当該分別結果に応じて以降の工程を最適化する点で上述した第1の実施形態と異なる。 【0042】 図4は、第2の実施形態に係る使用済み紙おむつの再資源化方法の一例を説明するフローチャートである。なお、同図において省略してある第1攪拌工程や第2攪拌工程より後の工程は、それぞれ第1の実施形態に係る使用済み紙おむつの再資源化方法の攪拌工程より後の工程と同様である。 【0043】 回収・分別工程S110においては、使用済み紙おむつの回収の前後又は同時に、使用済み紙おむつTの汚度に応じた分別を行う。例えば、図4に示すように、使用済み紙おむつTを、高汚度の使用済み紙おむつT1、中汚度の使用済み紙おむつT2、低汚度の使用済み紙おむつT3、の3種類に分別する。 【0044】 一例を挙げると、使用済み紙おむつT1は大便(及び小便)が付着したもの、使用済み紙おむつT2は高分子吸水ポリマーD5が小便(水分)を吸収したもの、使用済み紙おむつT3は大便が付着しておらず、高分子吸水ポリマーD5が小便(水分)を吸収していないもの、等とする。 【0045】 また、分別を行うに当たって、例えば、分別数に応じた数の収容部を有するリサイクルボックスを使用済み紙おむつの出る施設に設置し、使用済み紙おむつを施設の従業員に予め分別して貰えばスムーズに分別可能になる。 【0046】 そして、汚度のレベル別にその後の工程を行い、その処理内容についても汚度のレベル別に適宜に調整する。 【0047】 例えば、高汚度の使用済み紙おむつT1については、洗浄等(裁断工程S20、攪拌工程S30、分離工程S40等)を行わずにそのまま焼却処分し(焼却工程)、中汚度の使用済み紙おむつT2については、上述した第1の実施形態と同様の裁断工程S20、攪拌工程S30、分離工程S40等を順次に行う。 【0048】 一方、低汚度の使用済み紙おむつT3については、第1の実施形態と同様の裁断工程S20を行う。このとき、使用済み紙おむつT3の高分子吸水ポリマーD5は水分を吸収していないため、ほとんど全ての高分子吸水ポリマーD5をふるい落として脱離すことができる。 【0049】 そして、その次に使用済み紙おむつT3について行う攪拌工程S130においては、ポリマー分解槽20に入れる洗浄水や分離助剤、その他の薬剤等の量を、使用済み紙おむつT2の場合に比べて少なくする。これにより、紙おむつの再資源化に使用する洗浄水、分離助剤、その他の薬剤の量を低減し、環境負荷を低減し、再資源化コストを抑制することができる。 【0050】 また、ポリマー分解槽20を攪拌する回転ブレードの回転速度や稼働時間も使用済み紙おむつの汚度に応じて調整してもよい。例えば、高分子吸水ポリマーD5が多い使用済み紙おむつT2の攪拌工程S30に比べて、高分子吸水ポリマーD5が少ない使用済み紙おむつT3の攪拌工程S130では、回転ブレードの回転速度や稼働時間を短縮する。これにより、消費電力の抑制により再資源化コストを抑制し、装置のメンテナンス費等も抑制できる。 【0051】 以上説明したように、本実施形態によれば、上述した第1の実施形態に比べて、より再資源化コストを抑制可能であり、焼却処分の代替手段として再資源化を採用しやすくなる。」 (オ)「【0052】 (3)第3の実施形態: 次に、第3の実施形態に係る使用済み紙おむつの再資源化システムについて説明する。 本実施形態に係る使用済み紙おむつの再資源化システムは、その施設が、中水又は浸出水の水処理施設に並設されている点で、第1の実施形態や第2の実施形態と異なる。 【0053】 本実施形態に係る使用済み紙おむつの再資源化システムによれば、中水や浸出水の供給を受けやすいことはもちろん、配管が短くて済む。中水や浸出水はCaを含むことから配管が詰まりやすいため、配管が短いとメンテナンスが容易である。 【0054】 また、特に埋立地は、焼却材ゴミや重金属含むので埋め立て完了後も浸出水の水処理施設が20~30年稼働しており、埋立地は沈下するためすぐには建物が造れないことから近隣に住宅地等も無く、立地条件が良好である。」 「【図1】 [図:0001383246000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001383246000002.jpg] 」 (イ)甲1に記載された発明 甲1の請求項13の使用済み紙おむつの再資源化システムと請求項2の使用済み紙おむつの再資源化方法の記載、さらに段落【0025】、【0035】、【0037】の記載から、甲1には、以下の発明が記載されているといえる。 「裁断された使用済み紙おむつとポリマー分解剤を含む洗浄水とをポリマー分解槽で攪拌する攪拌工程と、 前記ポリマー分解槽内の攪拌物を、前記ポリマー分解剤によって脱水した吸水性ポリマーとパルプ成分との混合物、紙おむつの包装材、及び、汚水、の3つに分離する分離工程と、 前記汚水を非高度処理型浄化槽で浄化する浄化工程と、 前記吸水性ポリマーとパルプ成分との混合物は、土壌改良材とし、前記紙おむつの包装材を油化してRPF(固形燃料)としたり、サーマルリサイクルの原料とする再資源化工程と、 を備えた使用済み紙おむつの再資源化システムにおいて、 前記攪拌工程においては、前記ポリマー分解槽に滅菌・殺菌剤が添加されており、 前記再資源化システムに係る施設は、中水の水処理施設に並設されており、前記水処理施設にて処理した中水を前記洗浄水として用いる、 使用済み紙おむつの再資源化システム。」(以下、「甲1発明」という。) (ウ)甲2の記載事項 甲2には、下水処理場における地域バイオマス利活用の先行事例について、概略、次の記載がある。 a「2-3-1.珠洲市 (1) 下水処理場の概要 珠洲市は、生活排水処理事業として公共下水道事業、農業集落排水事業、合併処理浄化槽整備事業にて推進しており、公共下水道事業では、珠洲処理区、宝立処理区の2処理区を有している。 珠洲処理区の珠洲市浄化センターは、平成3年11月に供用を開始し、現有処理能力は3,600m3/日(晴天時)、処理方法は「オキシデーションディッチ法+濃縮+脱水」となっている。 珠洲市浄化センターに設置された複合バイオマスメタン発酵施設(計画日最大処理量51.5twet/日)は、平成17年度の実用化研究及び平成18年度の追加調査に基づき建設され、平成19年8月から本格稼働している。この施設の特徴としては、○1(当審注:○1は1を○でかこんだものを意味する。以下、同様。)下水汚泥、○2浄化槽汚泥、○3農業集落排水汚泥、○4し尿、○5生ごみの5種類のバイオマスを受け入れる施設であり、これらバイオマスは混合、メタン発酵され、発生するメタンガスは発酵槽の加温、生ごみの可溶化、汚泥乾燥用のエネルギーとして場内利用し、発酵後の汚泥はペレット状に形成して肥料として地域に配布している11)。 この取組みは各廃棄物の処理施設を集約することと、化石燃料に替わる未利用バイオマスの有効活用、さらに処理残物を肥料として農地還元するなど、地球温暖化防止や地域循環型社会形成の推進に大きく貢献し、コスト縮減と環境配慮を両立する施設として、平成21 年度国土交通大臣賞(循環のみち下水道賞)が授与されている6)。」(資-73の第4~19行) b「 [図:0001383246000003.jpg] 図資 2-3-1 珠洲市浄化センター 施設全景1) 」(資-74の図資 2-3-1) c「(2) バイオマス利活用施設整備事業 珠洲市では、平成19年8月より「珠洲市バイオマスメタン発酵施設」を本格稼働した。これは「バイオマスエネルギー推進プラン」と銘打ち、地域の「下水汚泥」「し尿」「浄化槽汚泥」「農業集落排水汚泥」「生ごみ」の5 種類を一括混合処理するものである。これら5 種類のバイオマスを、一括処理することで発生するメタンガスを有効活用し、処理の最終過程で発生する消化汚泥は、肥料化し、『為五郎』の愛称で、地域の緑農地に還元している1)。 また本事業は、「既存下水処理施設活用型」として全国初であり、国土交通省と環境省が連携して推進するバイオマス利活用に関する初の事業として、国土交通省の「新世代下水道支援事業制度」に採択されている。処理の過程で発生する返流水は既存の水処理施設に返流して再処理することとしており、返流水負荷対策としての新たな設備は設けていない。」(資-75の第1~10行) d「2-3-3.黒部市 (1) 下水処理場の概要 黒部浄化センターは、平成4年1月にセンターの運転を開始して以来、平成7年4月には高度処理運転開始、同年12月にアクアパークが完成して概成を成している。さらに、平成23年5月からはバイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業を開始するなど、周辺環境と調和と環境保全に配慮した処理場である(表資2-3-7)。 平成12年9月にはきららの滝建設大臣賞「蘇る水100選」を受賞、平成16年9月には第13回国土交通大臣賞「いきいき下水道賞」特別賞、平成23年度には第4回国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」サスティナブル活動部門を受賞している8)。 表資2-3-8に黒部市の下水道事業の計画概要を示す。また、図資2-3-9、図資2-3-10に黒部浄化センター全景及びバイオマスエネルギー利活用施設の景観を示す。 [図:0001383246000004.jpg] 」(資-92の第1~11行及び表資2-3-7) e「 [図:0001383246000005.jpg] 図資 2-3-10 バイオマスエネルギー利活用施設の景観2) 」(図資 2-3-10) f「(2) バイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業 平成23年5月、下水汚泥等と事業系食品残渣(コーヒー粕)によりバイオガスを発生させる下水道バイオマスエネルギー利活用施設が黒部浄化センター内に完成した。同施設は、汚泥(下水汚泥や農業集落排水汚泥)にコーヒー粕を混合してメタン発酵させ、発生したバイオガスを場内の発電や汚泥乾燥設備等の熱源などとして利用するというものである。 同施設の稼働により、これまで下水汚泥(脱水汚泥)の処分はセメント会社等へ有償で処分委託するか埋め立て処分していたが、バイオマスエネルギー源として有効活用することが可能となった。 1) 事業の背景と目的11) 平成14年、公共下水道及び浄化槽の普及が進み、し尿処理量が激減する中で、黒部市を含む2市2町で広域圏運営するし尿処理施設の老朽化に伴い、その存続について更新か廃止かの議論が始まった。 一方、黒部浄化センターにて発生する下水汚泥の処理は、これまでその全量をセメント会社、埋立処分会社などに外部委託していたが、委託先の休止や閉鎖・処分費の値上げなど、恒常的に市況変動へのリスクを抱えており、これに対応できる新たな処理方法の確立がかねてより課題となっていた。 さらには、近年の地球温暖化問題の顕在化や、資源・エネルギー需給の逼迫が懸念される中、都市の持続的発展を維持する観点から、自治体にも循環型社会に適応した廃棄物処理方法の確立が求められていた。 これら、し尿処理施設の老朽化、汚泥処理費用の市況変動リスクへの対応、循環型社会への適応という3つの背景から、黒部市では平成15年、「黒部市下水汚泥処理事業基本構想」を策定、下水汚泥をバイオマス資源として位置付け、マテリアル利用からエネルギー利用への転換を施策方針に掲げた。その後、し尿処理施設の廃止が正式決定し、浄化槽汚泥・農業集落排水汚泥は各市町で個別に処理することになり、平成18年、黒部浄化センター内に浄化槽汚泥・農業集落排水汚泥を受入れる汚泥濃縮槽を増設、公共下水汚泥との一括処理を図ることとした。 その間、平成18年の旧黒部市と旧宇奈月町との市町合併で一時中断したが、合併後に基本構想ロードマップに基づき「黒部市下水道バイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業」を進めることを決定した。 2) 事業の内容 本事業は、黒部浄化センターからの下水汚泥、ディスポーザ生ごみ、農業集落排水汚泥、浄化槽汚泥を受け入れ、コーヒー粕と共にメタン発酵させることにより、下水汚泥を安定的に処理し、発生したバイオバス(当審注:バイオガスの誤記と認められる。)を場内の発電や設備の熱源等に利用するものである。 下水汚泥等の処理量は26,248m3/年であり、これに食品残渣(コーヒー粕)2,884m3/年を加えて発酵させ、2,728m3/日のバイオガスを得ている5)。このバイオガスは、主に汚泥乾燥処理に使用され、その他市民に無料開放している足湯(ばいお~ゆ)、さらには95kW のMGT(マイクロガスタービン)で発電し、処理場内の電力供給(処理場の総電力量の3割程度)などに利用されている。 図資2-3-11に本事業のシステム構成図を示す。 [図:0001383246000006.jpg] 図資2-3-11 システム構成図2) 事業の実施にあたっては、最新のバイオマス利活用技術の導入、安定した汚泥処理・汚泥処分方法の確立(処分地・流通先の確保)、コスト縮減といった観点からPFI手法(BTO・サービス購入型)を採用し、PFI事業者(黒部Eサービス株式会社)に利活用施設の設計・建設・維持管理・運営・汚泥の最終処分の事業全般を委ねている。 なお、PFI事業による下水道バイオマスエネルギー利活用施設では国内「第1号」稼動案件であり、モデルケースとして注目された。 ・・・<略>・・・ 市内各施設より収集されてきた農業集落排水汚泥と浄化槽(合併・単独共)汚泥を黒部浄化センターの汚泥濃縮設備で受け入れ、受入汚泥と水処理施設から送られた下水汚泥を濃縮槽で調整し、PFI事業者の受入施設へと搬入する。一方、消化促進に必要不可欠な生ゴミについては、負荷変動の少ない施設運転と一定量のガス量を確保するため、定量かつ安定して調達可能な事業系食品残渣(本事業では主にコーヒー粕)を近隣企業から受け入れ、PFI事業者へと搬入する。 また、各家庭から排出される生ゴミについては、収集場所が不要、天候に左右されない、分別作業が省かれる、下水道管の有効利用が図られる、等の利点を考慮し、単体ディスポーザを使って処理場に集約し、下水汚泥として回収している。 PFI事業者は、これら黒部浄化センターにおいて集約された下水汚泥・食品残渣等のバイオマスを消化させてバイオガスを取り出し、汚泥の乾燥・消化タンクの加温用熱エネルギーとして、さらに、ガスの一部はマイクロガスタービンの発電燃料として活用している。 乾燥汚泥は、土壌改良材や肥料(培養土原料)に使用されているほか、小規模発電事業者が発電燃料として使用している。」(資-94の第1行~資-96の下から第2行) イ 対比・判断 本件特許発明4と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「裁断された使用済み紙おむつ」は、甲1の段落【0022】より、汚物(大便や小便等)により汚損されて水分を含むため、本件特許発明4の「水分を含む可燃ごみ」に相当する。 また、甲1発明の「使用済み紙おむつの再資源化システム」は、本件特許発明4の「可燃ごみの処理システム」に相当する。 甲1発明の「中水」は、甲1の段落【0029】の再生水(中水)の記載より、再生水と同義である。そして、甲1の段落【0030】には、「再生水は、下水や雨水などをろ過・滅菌(再生処理)した水であり、小便等に由来するCaイオンが溶存している。」と記載されていることから、甲1発明の「中水の水処理施設」は、本件特許発明4の「下水処理場」に相当すると共に、甲1発明の「中水」は、「下水処理場にて処理された再生水」に相当する。 さらに、甲1の段落【0014】~【0040】では、可燃ごみとして、使用済み紙おむつのみが再資源化されていることから、使用済み紙おむつは、分別収集されたものであると言える。 そうすると、甲1発明の「裁断された使用済み紙おむつとポリマー分解剤を含む洗浄水とをポリマー分解槽で攪拌する攪拌工程」は、「前記攪拌工程においては、前記ポリマー分解槽に滅菌・殺菌剤が添加され」ていることから、裁断された使用済み紙おむつが、滅菌・殺菌剤が添加された洗浄水により消毒されるのであるから、本件特許発明4の「分別収集された前記可燃ごみを前記下水処理場にて処理された再生水を含む処理液を用いて消毒する消毒工程」に相当する。 そして、甲1発明の「分離工程」は、吸水性ポリマーとパルプ成分との混合物、紙おむつの包装材から汚水を分離するのであるから、本件特許発明4の「可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程」における「脱水させる」「工程」に相当する。また、甲1発明の「再資源化工程」は、本件特許発明4の「可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程」に相当し、甲1発明の「浄化工程」は、本件特許発明4の「前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理すること」に相当する。 以上より、両者は、以下の点で一致する。 <一致点> 水分を含む可燃ごみを処理する可燃ごみの処理システムであって、 該可燃ごみの処理システムが、 分別収集された前記可燃ごみを下水処理場にて処理された再生水を含む処理液を用いて消毒する消毒工程と、 前記消毒工程で消毒された前記可燃ごみを脱水させる工程と、 前記可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程と、からなり、 前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理する、 可燃ごみの処理システム。 また、両者は以下の点で相違する。 <相違点1-1> 可燃ゴミについて、本件特許発明4が「水分を含む生ごみ」と特定しているのに対し、甲1発明は「裁断された使用済み紙おむつ」と特定されている点。 <相違点1-2> 可燃ごみの処理システムの設置場所について、本件特許発明4が「下水道の汚水を浄化し再生水として放流する下水処理場内に設けられ」と特定しているのに対し、甲1発明は「中水の水処理施設に並設されており」と特定されている点。 <相違点1-3> 可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理した液の排出場所について、本件特許発明4が「下水処理場」と特定しているのに対し、甲1発明はそのような特定がされていない点。 <相違点1-4> 脱水させる工程について、本件特許発明4が「脱水・乾燥させる乾燥工程」と特定しているのに対し、甲1発明は脱水のみで、乾燥させる特定がされていない点。 <相違点1-5> 消毒工程について、本件特許発明4が「前記処理液を用いて消毒された生ごみを最終的に水洗いし」と特定しているのに対し、甲1発明はそのような特定がされていない点。 <相違点1-6> 再利用工程において、本件特許発明4が「生ごみを固形燃料の原料に再利用し、バイオマス燃料の原料にすること」と特定しているのに対し、甲1発明は「前記第2混合物から脱水した、上質パルプ、低質パルプ、及び、脱水された高分子吸水ポリマーD5が含まれる第3混合物は、土壌改良材とし、前記第2混合物から脱水した第4混合物は廃プラスチックであり、油化してRPF(固形燃料)としたり、サーマルリサイクルの原料」とする点。 そこで、上記<相違点1-1>について検討する。 甲1発明において、再資源化の対象としているのは、「使用済み紙おむつ」であって、甲1には、それ以外の物を対象とすることは記載も示唆もされていない。 一方、甲2には、資-77の図資2-3-3、資―95の図資2-3-11、資―97の表資2-3-9等に、バイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業において、「生ごみ」を処理することが記載されているが、「使用済み紙おむつ」を処理することは記載も示唆もされていない。 そうすると、甲1発明の「使用済み紙おむつ」の再資源化システムを、それとは材質が全く異なる「水分を含む生ごみ」の再資源化システムに代替する動機付けは、甲1及び甲2、さらにその他の証拠にもない。 よって、甲1発明において、上記<相違点1-1>に係る発明特定事項を当業者は容易に想到し得たものではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明4は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 異議申立人の主張 異議申立人は、異議申立書の第95ないし97ページにおいて、「本件特許発明4は、甲第1号証及び甲第2号証に開示された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである」旨主張している。 しかしながら、上記イに示したとおり、本件特許発明4は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、異議申立人の上記主張は採用できない。 エ 申立理由5-1についてのむすび したがって、本件特許発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、申立理由5-1によっては、本件特許の請求項4に係る特許を取り消すことはできない。 (5)申立理由5-2(甲第3号証に基づく進歩性)について ア 証拠の記載事項等 (ア)甲3の記載事項 甲3には、「使用済み紙おむつのリサイクルシステム」について、概略、次の記載がある。 「【特許請求の範囲】 【請求項8】 使用済み紙オムツのリサイクル方法であって、 使用済み紙オムツから再生した再生燃料を燃焼して生成した熱エネルギーを利用して再生前の使用済み紙オムツを殺菌・消毒することを特徴とする使用済み紙オムツのリサイクル方法。 【請求項9】 使用済み紙オムツのリサイクル方法であって、 使用済み紙オムツから再生した再生燃料を燃焼して生成した熱エネルギーを利用して前記使用済み紙オムツから再生した再生燃料を殺菌・消毒することを特徴とする、使用済み紙オムツのリサイクル方法。」 「【0001】 本発明は、使用済み紙オムツのリサイクルシステム、及び使用済み紙オムツのリサイクル方法に関する。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 使用済み紙オムツから再生されるRPFは、発生履歴が明らかであるため不純物混入が少なく、品質が安定しているというメリットがある。また、塩素ガス発生によるボイラー腐食やダイオキシン発生も殆ど無いというメリットもある。更に、原料として廃プラスチック部分を使用しているため、石炭やコークス並みの高い熱量が得られ、パルプと廃プラスチックの配合比率を調整するだけで、熱量の調整が容易であるというメリットもある。 【0007】 しかしながら、使用済み紙オムツには人糞が付着する可能性があることから、十分に洗浄・乾燥して再生されたRPFであっても、RPFの衛生面を懸念する声がある。例えば、人糞に含まれる感染性の病原菌のRPFへの残存を懸念する人や、RPFに含まれる人糞の残渣に生理的な嫌悪感を持つ人が居たりする。また、RPFの燃焼時に発生する排ガスについても、同様の懸念や嫌悪感を抱く人が居る。 【0008】 本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、使用済み紙オムツから再生される再生燃料の衛生性を向上して当該再生燃料に対する使用者の心理的嫌悪感を緩和すると共に、当該再生燃料の普及を促進することが可能な、使用済み紙オムツのリサイクルシステム、及び、使用済み紙オムツのリサイクル方法の提供を目的とする。」 「【0027】 (1)第1の実施形態: 図1は、本実施形態に係る使用済み紙オムツのリサイクル方法の流れを説明するフローチャートであり、図2は、本実施形態に係る使用済み紙オムツのリサイクルシステムS1の一例を示した図である。 【0028】 図1に示す使用済み紙オムツTのリサイクル方法は、回収工程S10、殺菌・消毒工程S20、裁断工程S30、攪拌・洗浄工程S40、乾燥工程S50、及び成形工程S60を含んで構成される。 【0029】 [回収工程] 回収工程S10においては、介護施設や病院、家庭等から使用済み紙オムツTを回収して、搬入トラック等の搬送手段10で、使用済み紙オムツTのリサイクルに係る各種装置(図2に示す、貯留部20、裁断機30、ポリマー分解槽40、脱水装置50、乾燥器60、成形機70、ボイラー80、不図示の浄化槽、等)が設置されている施設に搬入し、貯留部20(図では、貯留ピット)に貯留する。施設に搬入された使用済み紙オムツTは、必要に応じて計量される。 【0030】 [殺菌・消毒工程] 殺菌・消毒工程S20においては、ボイラー80から供給される熱エネルギーを用いて、使用済み紙オムツTを殺菌、消毒を行う。ボイラー80は、燃料の少なくとも一部に、本使用済み紙オムツTのリサイクルシステムで作成した廃棄物固形燃料(RPF)の成形不良品P2又は成形良品P1を用いる。これにより、RPFの殺菌・消毒も含めて本システム内で完結する完全循環型の使用済み紙オムツTのリサイクルシステムを実現することができる。 【0031】 なお、本実施形態では、殺菌・消毒工程S20を回収工程S10と裁断工程S30の間に行っているが、殺菌・消毒工程S20は、使用済み紙オムツTが回収されてから、成形されたRPFが製品として出荷されるまで、の何れのタイミングで行われてもよい。 【0032】 例えば、施設に搬入されてから裁断されるまでの間(第1のタイミング)、裁断されてから洗浄されるまでの間(第2のタイミング)、洗浄してから成形品が出荷されるまでの間(第3のタイミング)、の少なくとも1つのタイミングで、使用済み紙オムツTを殺菌・消毒することができる。なお、以下では、第1のタイミングと第3のタイミングとで殺菌・消毒を行う場合を例に取り説明を行う。 【0033】 ここで、熱エネルギーを用いた殺菌・消毒には各種の方法があり、例えば、蒸気を用いた殺菌、熱水を用いた殺菌、温風を用いた殺菌、等が例示される。一般的に、蒸気は熱水の約5.3倍の熱エネルギーを有し、熱水は温風の約5倍の熱エネルギーを有すると言われている。 【0034】 本実施形態では、第1のタイミングで殺菌・消毒に用いる熱エネルギーの方を、第3のタイミングで行う殺菌消毒に用いる熱エネルギーより大きくする。具体的には、第1のタイミングで行う殺菌・消毒には100℃以上の蒸気を用い、第3のタイミングで行う殺菌・消毒には80℃以上の乾燥温風を用いている。これにより、使用済み紙オムツTのリサイクル方法の初期段階でより確実な殺菌・消毒を行い、製品であるRPFの出荷前に予備的な殺菌・消毒を行っている。 【0035】 また、第1のタイミングでは100℃以上の蒸気を用いることにより、裁断前の使用済み紙オムツTの内奥部まで熱エネルギーを浸透させて殺菌・消毒することができる。また、第3のタイミングでは80℃以上の乾燥温風を用いることにより、成形後のRPFを殺菌・消毒する場合に、その形態を損なわずに殺菌・消毒することができる。また、RPFを湿気らせることが無いため、製品であるRPFに付着した微量の雑菌が再繁殖する可能性も抑制できる。 【0036】 なお、殺菌・消毒に用いる蒸気や温風は、ボイラー80で発生する燃焼ガスを直接用いずに、例えば、熱交換器を介して生成した蒸気や温風を用いることが好ましい。すなわち、生理的嫌悪感を誘起する可能性のあるRPFを燃焼して生成した燃焼ガスを用いることなく、このRPFを燃焼して生成した熱エネルギーを利用して、使用済み紙オムツTの殺菌・消毒を行うのである。これにより、消費者の生理的嫌悪感や衛生に対する懸念を極力低減することができる。また、RPFの燃焼によって発生した塩素等の製品としてのRPFに対する付着が回避されるため、ボイラーの腐食やダイオキシンの発生を抑制できる。また、アンモニア等の臭気も抑制できる。 【0037】 [裁断工程] 裁断工程S30においては、裁断機30を用いて、使用済み紙オムツTを、例えば10cm四方程度の小片に裁断する。これにより、使用済み紙オムツTは、高分子吸水ポリマーを包容する外装材や内部表面材等が裁断され、内部に収容されている高分子吸水ポリマーが露出又は溢れ出る。 【0038】 図3は、紙おむつDの内部を示す図である。同図は、紙おむつDの使用者に当接する部位付近を短手方向に破断して示した断面図である。なお、同図に示す紙おむつDの構成は一例である。 【0039】 同図において、紙おむつDは、外装材D1、内部表面材D2、吸収紙D3、綿状パルプD4、及び、高分子吸水ポリマーD5、を備えている。 【0040】 外装材D1や内部表面材D2は、例えば、ポリエチレンや不織布等といった非生分解性のプラスチック材料である。高分子吸水ポリマーD5は、公知の各種の物及び今後開発される各種の吸水性ポリマーを用いることができる。本実施形態では、外装材D1と内部表面材D2は非水溶性であり、以下ではまとめて包装材と呼ぶこともある。 【0041】 高分子吸水ポリマーD5は、吸水前は乾燥した、例えば顆粒状であるが、吸水後はふやけてゲル化する。そして、使用済み紙オムツTは、その使用レベルに応じて吸水度合いが異なっており、全ての高分子吸水ポリマーD5がゲル化したもの、高分子吸水ポリマーD5の一部がゲル化したもの、高分子吸水ポリマーD5が全くゲル化していないものがある。 【0042】 すなわち、使用済み紙オムツTは、汚物(大便や小便等)による汚損後に廃棄されるものもあるが、定期交換等、汚損前に廃棄されるものもあるため、前者は高分子吸水ポリマーD5の少なくとも一部がゲル化するが、後者は高分子吸水ポリマーD5がゲル化していない。このため、使用済み紙オムツTを裁断すると、ゲル化前の高分子吸水ポリマーD5が溢れ出したり流出したりする。 【0043】 そこで、本実施形態においては、裁断後の使用済み紙オムツTに、例えば網状のメッシュ材の上を転動させることにより振動を与えて、ゲル化前の高分子吸水ポリマーD5を使用済み紙オムツTからふるい落として脱離させる。このように、攪拌・洗浄工程S40の前処理として裁断工程S30を行うことにより、攪拌・洗浄工程S40で攪拌機に投入される高分子吸水ポリマーD5の量を減少できる。 【0044】 その結果、ポリマー分解槽40の攪拌機の負荷が軽減され、使用水量や後述する高分子吸水ポリマーD5を脱水反応用の分離助剤の量も少なくて済み、オペレーションメンテナンス費を低減できる。また、ポリマー脱水反応に要する時間が減少するため、攪拌機の電気代も節約できる。また、使用する洗浄水の量も削減することが出来る。 【0045】 [洗浄工程] 攪拌・洗浄工程S40においては、攪拌装置としてのポリマー分解槽40に、洗浄水やポリマー分解剤としての分離助剤とともに、裁断された使用済み紙オムツTを投入して攪拌する。これにより、使用済み紙オムツTから汚物が洗い落とされる。 【0046】 また、ゲル化していた高分子吸水ポリマーD5が脱水されて粒径が2mm以下の砂粒状になる。このように脱水されて砂粒状になった高分子吸水ポリマーD5は水中で沈降しやすく、混合物を分離する際に、ポリマー分解槽40の下部に設けられた排出口からパルプ等と共に排出されやすくなる。 【0047】 分離助剤としては、水溶して多価金属イオンのCa,Na,Mg等を発生する物質を使用可能であり、特に低コストなCaCl2が好ましい。以下では、分離助剤としてCaCl2を用いる場合を例に取り、説明を行う。 【0048】 攪拌・洗浄工程S40において用いる洗浄水は、Caイオンを所定量含有するようにセンサー等を用いてCaイオンの濃度を調整する。洗浄水は、Caイオンの含有量を予め調整してから注水してもよいし、ポリマー分解槽40に注水しつつCaイオンの含有量を調整してもよいし、注水後にCaイオンの含有量を調整してもよい。Caイオン濃度は0.1~0.5%であればよく、特に0.3~0.5%とすることが好ましい。 【0049】 攪拌・洗浄工程S40において用いる洗浄水には、使用済み紙オムツTを洗浄可能な各種の水を使用することができるが、本実施形態では、再生水(中水)や浸出水等の高硬度水を用いるものとする。再生水や浸出水は少なくともCaイオンを含んでおり、特に浸出水はCaイオンを多く含んでいるためである。 【0050】 再生水は、下水や雨水などをろ過・滅菌(再生処理)した水であり、小便等に由来するCaイオンが溶存している。浸出水は、廃棄物処分場や埋立地において浸透した雨水等に処分された汚泥や廃棄物が分解して浸出する汚水であり、焼却ゴミのダイオキシンを除去するために添加されたCaに由来するCaイオンが溶存している。 【0051】 このため、再生水や浸出水を洗浄水として用いると、攪拌・洗浄工程S40で新たに添加する分離助剤の量が少なくて済む。また、現在はCaを含んだまま再生水や浸出水を自然界に放流しているが、高分子吸水ポリマーD5の脱水にCaを消費する本実施形態では、再生水や浸出水を良質化して排水することができる。 【0052】 攪拌・洗浄工程S40における攪拌は、高分子吸水ポリマーD5が分離助剤によって十分に脱水するまで行われる。また、高分子吸水ポリマーD5と分離助剤とが十分に反応すれば停止される。すなわち、高分子吸水ポリマーD5が砂粒状に細粒化し、細粒化した高分子吸水ポリマーD5が攪拌用の回転ブレードで破砕される前の状態で停止する。これにより、脱水後の高分子吸水ポリマーD5は、粒径が1~2mm程度に調整される。 【0053】 攪拌が終了すると、ポリマー分解槽40の内容物(以下、攪拌物と記載する。)を、第1混合物と第2混合物とに分離する。第1混合物は、ポリマー分解剤によって脱水した吸水性ポリマーとパルプ成分と汚水との混合物である。第2混合物は、非水溶性の包装材(小片化した外装材D1と内部表面材D2の混合物)である。 【0054】 第1混合物は、ポリマー分解槽40の下部に設けられた排出口から排出される。排出口にはフィルタが設けられており、フィルタには、上述した脱水後の高分子吸水ポリマーD5が通過可能な程度の孔が複数形成されている。このため、排出口からは、第1混合物が排出され、第2混合物は排出されない。 【0055】 排出された第1混合物は、脱水装置50へ送られて脱水することにより、第3混合物としての固形分、及び、汚水に分離される。このように分離された第3混合物は、上質パルプ、低質パルプ、及び、脱水された高分子吸水ポリマーD5が含まれる。第3混合物は、大小便に含まれていた窒素やリンも含んでいるため、土壌改良材として緑農地に還元することもできる。 【0056】 第2混合物は、掻上げと越流の少なくとも一方の方式によりポリマー分解槽40から排出される。これにより、ビニールや不織布を含む廃プラスチックを含む第2混合物が、攪拌物から分離される。第2混合物は、脱水装置50へ送られて脱水することにより、第4混合物としての固形物と液分とに分離される。なお、紙おむつTの外装材D1や内部表面材D2といった包装材を、生分解性材料で作成することも可能である。この場合、第4混合物も土壌改良材として用いることができる。 【0057】 脱水装置50で分離された液分は、不図示の浄化槽に送られる。浄化槽は、いわゆる家庭用の浄化槽であり、非高度処理型浄化槽とする。浄化には、微生物の働きで汚水の浄化に非高度処理型浄化槽を用いることで、再資源化に係るコストを低減することが出来る。浄化槽に貯まる汚泥は、第1固形分と同様、土壌改良材として緑農地に還元すると好適である。 【0058】 [乾燥工程] 乾燥工程S50では、第3混合物及び第4混合物を乾燥器60に投入して乾燥させる。本実施形態では、上述したRPFをボイラー80で燃焼させて発生させた80℃以上の温風を用いて、第3混合物及び第4混合物を乾燥させる。すなわち、乾燥工程S50は、上述した殺菌・消毒工程S20でもあり、上述した第3のタイミングで行われる殺菌・消毒工程S20に相当する。これにより、第3混合物及び第4混合物は、乾燥と同時に殺菌・消毒される。 【0059】 [成形工程] 成形工程S60では、乾燥された第3混合物(パルプ等)と第4混合物(廃プラスチック)の少なくとも一方を、プレス装置や金型装置等の成形機70を用いて、ペレット状に成形する。ペレットは、例えば、小さな円筒形状とする。ここで作成されるRPFの成形不良品P2又は成形良品P1は、本実施形態において再生燃料を構成する。 【0060】 なお、本実施形態では、成形工程S60を行ってRPFをペレット化する場合を例に取り説明を行うが、RPFは成形せずに用いても構わない。また、成形工程S60においては、ペレット形状への成型が不完全な成型不良品が出る可能性があるが、上述した殺菌・消毒工程S20においては、このような不良品を積極的に活用する。むろん、殺菌・消毒に必要な熱エネルギーの不足分は、成形良品P1を用いてもよいし、木質の燃料等の外部から調達した燃料を用いてもよい。 【0061】 このようにして成型されたペレット状のRPFは、リサイクルの初期段階で行われる殺菌・消毒工程S20においてほぼ完全に殺菌・消毒されており、仮に微量の病原菌が残存していた場合でも、乾燥工程S50を経ることにより完全に殺菌・消毒される。従って、衛生面における使用者の懸念を完全に払拭し、使用済み紙オムツTから再生されるRPFに対する使用者の心理的嫌悪感を緩和することができるため、当該RPFの普及を促進することが可能となる。 【0062】 また、使用済み紙オムツTが搬入された初期段階で行う殺菌・消毒には熱エネルギーの使用を多めにし、最終製品であるRPFを成形する直前の乾燥段階で行う殺菌・消毒には熱エネルギーの使用を少なめにするという配分で熱エネルギーを使用することにより、熱エネルギーを有効活用して殺菌・消毒を行うことができる。」 ウ「【図1】 [図:0001383246000007.jpg] 」 (イ)甲3に記載された発明 甲3の第1の実施形態、特に段落【0027】ないし【0062】の下線部の記載から、甲3には、以下の発明が記載されているといえる。 「回収工程S10、殺菌・消毒工程S20、裁断工程S30、攪拌・洗浄工程S40、乾燥工程S50、及び成形工程S60を含んで構成される使用済み紙オムツTのリサイクル方法であって、 殺菌・消毒工程S20においては、ボイラー80から供給される熱エネルギーを用いて、使用済み紙オムツTを殺菌、消毒を行い、 攪拌・洗浄工程S40においては、攪拌装置としてのポリマー分解槽40に、再生水(中水)である洗浄水やポリマー分解剤としての分離助剤とともに、裁断された使用済み紙オムツTを投入して攪拌し、攪拌が終了すると、ポリマー分解槽40の内容物(以下、攪拌物と記載する。)を、第1混合物(第1混合物は、ポリマー分解剤によって脱水した吸水性ポリマーとパルプ成分と汚水との混合物である。)と第2混合物(第2混合物は、非水溶性の包装材(小片化した外装材D1と内部表面材D2の混合物)である。)とに分離し、 第1混合物は、脱水装置50へ送られて脱水することにより、第3混合物としての固形分(上質パルプ、低質パルプ、及び、脱水された高分子吸水ポリマーD5が含まれる。)、及び、汚水に分離され、 第2混合物は、掻上げと越流の少なくとも一方の方式によりポリマー分解槽40から排出され、これにより、ビニールや不織布を含む廃プラスチックを含む第2混合物が、攪拌物から分離され、脱水装置50へ送られて脱水することにより、第4混合物としての固形物と液分とに分離され、 乾燥工程S50では、第3混合物及び第4混合物を乾燥器60に投入して乾燥させ、 成形工程S60では、乾燥された第3混合物(パルプ等)と第4混合物(廃プラスチック)の少なくとも一方を、プレス装置や金型装置等の成形機70を用いて、ペレット状のRPFを成形し、 高分子吸水ポリマーD5の脱水にCaを消費する本実施形態では、再生水を良質化して排水することができる、 使用済み紙オムツTのリサイクルシステム。」(以下、「甲3発明」という。) (ウ)甲2の記載事項 上記(4)ア(ウ)に記載のとおりである。 イ 対比・判断 本件特許発明4と甲3発明とを対比する。 甲3発明の「使用済み紙おむつ」は、汚物(大便や小便等)により汚損されて水分を含むことは明らかであるから、本件特許発明4の「水分を含む可燃ごみ」に相当し、甲3発明の「使用済み紙おむつTのリサイクルシステム」は、本件特許発明4の「可燃ごみの処理システム」に相当する。甲3発明の使用済み紙おむつTのリサイクルシステムは、回収工程S10を有していることから、当該「使用済み紙おむつT」は、「分別収集された」ものであると言える。 また、甲3発明の「殺菌・消毒工程S20」は、本件特許発明4の「消毒工程」に相当する。 そして、甲3発明における「攪拌・洗浄工程S40」は、第1混合物及び第2混合物は、脱水装置50へ送られて脱水されているから、本件特許発明4の「可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程」における「脱水させる乾燥工程」に相当し、甲3発明における「乾燥工程S50」は、本件特許発明4の「可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程」における「乾燥させる乾燥工程」に相当する。 さらに、甲3発明の「成形工程S60では、乾燥された第3混合物(パルプ等)と第4混合物(廃プラスチック)の少なくとも一方を、プレス装置や金型装置等の成形機70を用いて、ペレット状のRPFを成形」することは、本件特許発明4の「前記乾燥工程で脱水・乾燥された前記可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程」に相当する。 以上より、両者は、以下の点で一致する。 <一致点> 水分を含む可燃ごみを処理する可燃ごみの処理システムであって、 該可燃ごみの処理システムが、 分別収集された前記可燃ごみを消毒する消毒工程と、 前記可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程と、 前記乾燥工程で脱水・乾燥された前記可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程と、からなる、 可燃ごみの処理システム。 また、両者は以下の点で相違する。 <相違点3-1> 水分を含む可燃ゴミについて、本件特許発明4が「生ごみ」と特定しているのに対し、甲3発明は「使用済み紙おむつT」と特定されている点。 <相違点3-2> 可燃ごみの処理システムの設置場所について、本件特許発明4が「下水道の汚水を浄化し再生水として放流する下水処理場内に設けられ」と特定しているのに対し、甲3発明はそのような特定がされていない点。 <相違点3-3> 消毒工程について、本件特許発明4が「前記下水処理場にて処理された再生水を含む処理液を用いて消毒」し、「前記生ごみを前記再生水と消毒・殺菌剤からなる処理液と共に撹拌し」、「前記処理液を用いて消毒された生ごみを最終的に水洗いし」と特定されているのに対し、甲3発明は「ボイラー80から供給される熱エネルギーを用いて、使用済み紙オムツTを殺菌、消毒を行」っている点。 <相違点3-4> 本件特許発明4が「前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して前記下水処理場に排出し」と特定しているのに対し、甲3発明はそのような特定がされていない点。 <相違点3-5> 再利用工程において、本件特許発明4が「乾燥された生ごみを固形燃料の原料に再利用し、バイオマス燃料の原料にすること」と特定しているのに対し、甲3発明は、使用済み紙おむつT由来の「乾燥された第3混合物(パルプ等)と第4混合物(廃プラスチック)の少なくとも一方を、プレス装置や金型装置等の成形機70を用いて、ペレット状のRPFを成形し」と特定されている点。 そこで、上記<相違点3-1>について検討する。 甲3発明において、リサイクルの対象としているのは、「使用済み紙おむつ」であって、甲3には、それ以外の物を対象とすることは記載も示唆もされていない。 一方、上記(4)イに示したように、甲2には、バイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業において、「生ごみ」を処理することが記載されているが、「使用済み紙おむつ」を処理することは記載も示唆もされていない。 そうすると、甲3発明の「使用済み紙おむつ」のリサイクルシステムを、それとは材質が全く異なる「水分を含む生ごみ」のリサイクルシステムに代替する動機付けは、甲3及び甲2、さらにその他の証拠にもない。 よって、甲3発明において、上記<相違点3-1>に係る発明特定事項を当業者は容易に想到し得たものではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明4は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 異議申立人の主張 異議申立人は、異議申立書の第109ないし112ページにおいて、「本件特許発明4は・・・甲第3号証及び甲第2号証に開示された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである」旨主張している。 しかしながら、上記イに示したとおり、本件特許発明4は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、異議申立人の上記主張は採用できない。 エ 申立理由5-2についてのむすび したがって、本件特許発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、申立理由5-2によっては、本件特許の請求項4に係る特許を取り消すことはできない。 (6)申立理由5-3(甲第4号証に基づく進歩性)について ア 証拠の記載事項等 (ア)甲4の記載事項 甲4には、「リサイクルシステム」について、概略、次の記載がある。 「■リサイクルシステム 同社のリサイクルシステムは病院・福祉施設から排出される使用済み紙おむつを搬入業者がラブフォレスト大牟田に持込み、同社の水溶化分離技術を用いて、再生パルプ、廃プラスチック類、廃SAP・汚泥に分離回収するものである。 回収した再生パルプは使用するメーカーによりパラのパルプ材もしくはパルプシートとして販売し、建築資材に使われている。廃プラスチック類はRPF原料に、廃SAP・汚泥は土壌改良材にそれぞれ再資源化される。水溶化処理に際し、使用される処理水は微生物処理後、処理水の80%を循環使用している。この水溶化処理システムの処理能力は一日20トン/12時間(紙おむつ10万枚相当)となっている。このリサイクルシステムにより単純焼却処理に比べ約40%のCO2削減効果が実証されている。また再生パルプの利用で森林保護にも役立っている。 【紙おむつリサイクルシステム】 [図:0001383246000008.jpg] 具体的な水溶化処理フローは、まず持ち込まれる紙おむつはピットに投入され、クレーンで分離槽へ運ばれる。分離槽ではまず廃プラスチック類とそれ以外に分けられる。廃プラスチック類は脱水処理後、RPF原料となる。 さらに分離スクリーンにより再生パルプと廃パルプに分けられる。再生パルプは脱水機を経て成型乾燥機にかけられシート状に加工される。廃パルプも脱水処理後低質パルプとして土壌改良材へ再生される。水溶化処理に伴って排出される汚泥も脱水処理後土壌改良材へ再生される。RPF、土壌改良材への加工は他社へ処理委託を行って対応している。」(第28ページ第1行~第29ページ第10行) (イ)甲4に記載された発明 甲4の上記記載事項の下線部及び図面の記載から、甲4には、以下の発明が記載されているといえる。 「回収システム、水溶化処理システム、再資源化システムから構成される紙おむつリサイクルシステムであって、 回収システムは、病院・福祉施設から排出される使用済み紙おむつを搬入業者が産業廃棄物処分業者に持込むものであり、 水溶化処理システムは、紙おむつは貯留ピットに投入され、クレーンで分離槽へ運ばれ、分離槽ではまず廃プラスチック類とそれ以外に分けられ、廃プラスチック類は脱水処理後、RPF原料となり、 それ以外のものは濃度調整槽に移送後、さらに分離スクリーンにより再生パルプと廃パルプに分けられ、再生パルプはドラムスクリーン、脱水機、さらに洗浄槽、ドラムスクリーン、脱水機を経て成型乾燥機にかけられシート状に加工され、 廃パルプは、洗浄槽、ドラムスクリーン、脱水機を経て低質パルプとして土壌改良材へ再生され、 水溶化処理に伴って排出される汚泥も脱水処理後土壌改良材へ再生される、 使用済み紙おむつリサイクルシステム。」(以下、「甲4発明」という。) (ウ)甲2の記載事項 上記(4)ア(ウ)に記載のとおりである。 イ 対比・判断 本件特許発明4と甲4発明とを対比する。 甲4発明の「使用済み紙おむつ」は、汚物(大便や小便等)により汚損されて水分を含むことは明らかであるから、本件特許発明4の「水分を含む可燃ごみ」に相当し、甲4発明の「使用済み紙おむつリサイクルシステム」は、本件特許発明4の「可燃ごみの処理システム」に相当する。甲4発明の「使用済み紙おむつリサイクルシステム」は、回収システムを有していることから、当該「使用済み紙おむつ」は、「分別収集された」ものであると言える。 そして、甲4発明において分離された各部材は、脱水機により脱水され、再生パルプにおいては脱水機を経て成型乾燥機にかけられているから、甲4発明は、本件特許発明4の「可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程」を有する。 さらに、甲4発明の「再資源化システム」は、本件特許発明4の「前記乾燥工程で脱水・乾燥された前記可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程」に相当する。 以上より、両者は、以下の点で一致する。 <一致点> 水分を含む可燃ごみを処理する可燃ごみの処理システムであって、 該可燃ごみの処理システムが、 前記可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程と、 前記乾燥工程で脱水・乾燥された前記可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程と、からなる、 可燃ごみの処理システム。 また、両者は以下の点で相違する。 <相違点4-1> 水分を含む可燃ゴミについて、本件特許発明4が「生ごみ」と特定しているのに対し、甲4発明は「使用済み紙おむつ」と特定されている点。 <相違点4-2> 可燃ごみの処理システムの設置場所について、本件特許発明4が「下水道の汚水を浄化し再生水として放流する下水処理場内に設けられ」と特定しているのに対し、甲4発明はそのような特定がされていない点。 <相違点4-3> 消毒工程について、本件特許発明4が「前記下水処理場にて処理された再生水を含む処理液を用いて消毒」し、「前記生ごみを前記再生水と消毒・殺菌剤からなる処理液と共に撹拌し」、「前記処理液を用いて消毒された生ごみを最終的に水洗いし」と特定されているのに対し、甲4発明ははそのような特定がされていない点。 <相違点4-4> 本件特許発明4が「前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して前記下水処理場に排出し」と特定しているのに対し、甲4発明はそのような特定がされていない点。 <相違点4-5> 再利用工程において、本件特許発明4が「乾燥された生ごみを固形燃料の原料に再利用し、バイオマス燃料の原料にすること」と特定しているのに対し、甲4発明は、使用済み紙おむつ由来の分離された廃プラスチック類はRPF原料となり、分離された一部パルプはシート状に加工されて再生パルプとなり、それ以外の廃パルプは土壌改良材へ再生される点。 そこで、上記<相違点4-1>について検討する。 甲4発明において、リサイクルの対象としているのは、「使用済み紙おむつ」であって、甲4には、それ以外の物を対象とすることは記載も示唆もされていない。 一方、上記(4)イに示したように、甲2には、バイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業において、「生ごみ」を処理することが記載されているが、「使用済み紙おむつ」を処理することは記載も示唆もされていない。 そうすると、甲4発明の「使用済み紙おむつ」リサイクルシステムを、それとは材質が全く異なる「水分を含む生ごみ」のリサイクルシステムに代替する動機付けは、甲4及び甲2、さらにその他の証拠にもない。 よって、甲4発明において、上記<相違点4-1>に係る発明特定事項を当業者は容易に想到し得たものではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明4は、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 異議申立人の主張 異議申立人は、異議申立書の第121ないし123ページにおいて、「本件特許発明4は・・・甲第4号証及び甲第2号証に開示された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである」旨主張している。 しかしながら、上記イに示したとおり、本件特許発明4は、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、異議申立人の上記主張は採用できない。 エ 申立理由5-3についてのむすび したがって、本件特許発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、申立理由5-3によっては、本件特許の請求項4に係る特許を取り消すことはできない。 (7)申立理由5-4(甲第2号証に基づく進歩性)について ア 証拠の記載事項等 (ア)甲2の記載事項 上記(4)ア(ウ)に記載のとおりである。 (イ)甲2に記載された発明 甲2の上記記載事項(4)ア(ウ)の下線部の記載や図資2-3-10、図資2-3-11からみて、甲2には、以下の発明が記載されているといえる。 「下水処理場である浄化センターからの下水汚泥、ディスポーザ生ごみ、農業集落排水汚泥、浄化槽汚泥を受け入れ、コーヒー粕を混合後、メタン発酵し、発生したバイオガスを場内の発電や設備の熱源等に利用すると共に、メタン発酵後の消化汚泥を、脱水機で脱水、乾燥機で乾燥させて乾燥汚泥とし、土壌改良材や肥料(培養土原料)に使用されているほか,小規模発電事業者が発電燃料として使用される、バイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業のシステムであって、 当該システムが、下水処理場である浄化センター内に設けられているバイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業のシステム。」(以下、「甲2発明」という。) (ウ)甲1、甲3、甲4の記載事項 甲1の記載事項については、上記(4)ア(ア)、甲3の記載事項については、上記(5)ア(ア)、甲4の記載事項については、上記(6)ア(ア)に記載のとおりである。 (エ)甲9の記載事項 甲9には、「一般廃棄物処理における石灰の役割」について、概略、次の記載がある。 a「1 はじめに カルシウムが公害防止分野で活用されるようになって久しい。1960年代に入ると排煙脱硫,排酸中和として重要な役割をはたすようになり,1970 年代には都市ごみ焼却炉の排ガス中に含まれる塩素公害防止対策にももちいられるようになった。 本稿は,社会問題化しつつある廃棄物処理問題,とくに一般ごみの再資源化に関しての生石灰の作用について検討したものである。 一般に,一般ごみ(都市ごみ)を燃料化したものを廃棄物固形化燃料 (Refuse Derived Fuel : 以後RDF と略す)というが,この技術の開発は 1970年代に欧米で始まり,米国はすでにRDF を活用する発電事業や地域のエネルギー供給システムが重要な役割をはたすまでになっている。しかし,この開発過程では多くの失敗や事故を経験し改善が行われたが,現代でも少なからず課題を残しており,もっとも大きいものが生物的・化学的不安定性である。 これまで排ガス処理のみに注目されてきたカルシウムの特性を,RDFの製造ブロセスの反応域にまで導入し,これによって困難とされてきたRDFの生物的・化学的安定性を確保し,さらに,製造設備の合理化を可能にした生石灰を主成分とする添加剤の開発に関し検討したものの報告である。」(65ページ左欄第1~24行) b「3 一般ごみの再資源化 3・1 一般ごみの性状 日本の一般ごみは,水分の多い厨芥類の含有が欧米にくらべ多いうえに夏季は湿度・気温ともに高く腐敗しやすい。日本3)~5)および米国6)の組成例を表2にしめす。 日本の一般ごみは.水分が欧米にくらべ多いというほかに揮発性塩素(燃焼時にHClガスとなる塩素)の含有率が高いという特長がある。これは,ブラスチック類とくに塩素を含む樹脂(PVC, PVCDなど)および繊維類,厨芥にも塩素が含まれていることに起因する。 日本の場合,揮発性塩素量は0.6~0.8% (全塩素量約1.0%) といわれている。」(65ページ右欄第9行~66ページ左欄第7行) c「4 RDF化と生石灰の役割 4・1 RDF製造プロセスと添加剤 一般に欧米などで稼働しているもののブロセスは,腐敗の原因になる厨芥ごみを除いてRDF を製造している。つぎにその工程の概略をしめす。 ごみ受入→分別→破砕→選別→乾燥→消石灰添加→成形 | →厨芥ごみ除去 この工程で加える消石灰の目的は,成形性の向上と燃焼段階での排ガス中の脱塩素と脱硫効果である。 これに対して,厨芥を含むすべての一般ごみを対象として生物的・化学的安定性を確保する目的で生石灰を添加する方法(CPIS エコカ法)では,つぎの工程で行われる。 ごみ受入→破袋→生石灰添加→混合→破砕→選別→反応(加熱)→成形→乾燥 このときの生石灰の作用は,第一段階として腐敗により発生した水分などと消化反応を起こして発熱し,この過程で一時的な殺菌作用と腐敗物質の分解を始める。引きつづき混合,破砕,熱処理工程などをへて生物的・化学的安定性を確実なものとする。このときのおもなはたらきは,つぎにしめすものと考えられる。 1): 腐敗による分解生成物の放出 2): 腐敗物質の加水分解 3): 脱水効果と脱水による安定化 4): pH コントロールによる腐敗防止 5): 乾燥工程での炭酸化反応による皮膜の形成と強度の発現」(66ページ右欄下から第3行~67ページ左欄第25行) イ 対比・判断 本件特許発明4と甲2発明とを対比する。 甲2発明の「ディスポーザ生ごみ」は、本件特許発明4の「水分を含む可燃ごみ」に相当する。甲2発明の「バイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業のシステム」は、本件特許発明4の「可燃ごみの処理システム」に相当する。 そして、甲2発明は、ディスポーザ生ごみをメタン発酵した後の消化汚泥を、脱水機で脱水、乾燥機で乾燥させていることから、本件特許発明4の「可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程」を有する。 また、甲2発明は、「乾燥汚泥」を、土壌改良材や肥料(培養土原料)に使用されているほか,小規模発電事業者が発電燃料として使用されるものであるから、本件特許発明4の「乾燥工程で脱水・乾燥された前記可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程」を有し、甲2発明の「発電燃料」は、本件特許発明4の「固形燃料」に相当する。 以上より、両者は、以下の点で一致する。 <一致点> 水分を含む可燃ごみを処理する可燃ごみの処理システムであって、 該可燃ごみの処理システムが、 前記可燃ごみを脱水・乾燥させる乾燥工程と、 前記乾燥工程で脱水・乾燥された前記可燃ごみを構成する素材を再利用する再利用工程と、からなる、 可燃ごみの処理システム。 また、両者は以下の点で相違する。 <相違点2-1> 本件特許発明4が「分別収集された前記可燃ごみを前記下水処理場にて処理された再生水を含む処理液を用いて消毒する消毒工程」を備えており、「前記消毒工程で前記生ごみを前記再生水と消毒・殺菌剤からなる処理液と共に撹拌し、前記消毒工程において、前記処理液を用いて消毒された生ごみを最終的に水洗いし」と特定されているのに対し、甲2発明はそのような特定がされていない点。 <相違点2-2> 本件特許発明4が「前記可燃ごみを消毒した後の処理液を廃棄可能に水処理して前記下水処理場に排出する」と特定されているのに対し、甲2発明はそのような特定がされていない点。 <相違点2-3> 乾燥工程及び再利用工程の対象が、本件特許発明4は「生ごみ」であるのに対し、甲2発明はディスポーザ生ごみをメタン発酵した後の「消化汚泥」である点。 そこで、上記<相違点2-1>について検討する。 甲1には、上記(4)ア(イ)に示したように、甲1発明に係る使用済み紙おむつの再資源化システムにおける攪拌工程において、ポリマー分解槽に滅菌・殺菌剤が添加されていることが記載されている。また、甲3には、上記(5)ア(イ)に示したように、甲3発明に係る使用済み紙オムツTのリサイクルシステムにおける殺菌・消毒工程S20において、ボイラー80から供給される熱エネルギーを用いて、使用済み紙オムツTを殺菌、消毒を行うことが記載されている。さらに、甲4には、上記(6)ア(イ)に示したように、甲4発明に係る使用済み紙おむつリサイクルシステムについて記載されている。 しかしながら、甲1発明における再資源化及び殺菌・消毒を行う対象は、「使用済み紙おむつ」であって、「生ごみ」を再資源化及び殺菌・消毒することは記載も示唆もされておらず、甲3、甲4にもそのような記載も示唆もされていない。 そうすると、甲2発明において、「分別収集された前記可燃ごみを前記下水処理場にて処理された再生水を含む処理液を用いて消毒する消毒工程」を備えること、さらには、「前記消毒工程で前記生ごみを前記再生水と消毒・殺菌剤からなる処理液と共に撹拌し、前記消毒工程において、前記処理液を用いて消毒された生ごみを最終的に水洗い」するように導く動機付けは、甲2及び甲1、甲3、甲4のいずれにもない。 また、甲2発明は、下水処理場である黒部浄化センターからの下水汚泥、ディスポーザ生ごみ、農業集落排水汚泥、浄化槽汚泥を受け入れ、コーヒー粕を混合後、メタン発酵し、発生したバイオガスを場内の発電や設備の熱源等に利用するものである。そうすると、仮に、甲9等に例示されるように、生ごみ等の一般ごみをリサイクルするにあたり、一般ごみの腐敗を防止するために生石灰等の消毒・殺菌剤を用いることが周知技術であったとしても、甲2発明において、発酵前のディスポーザ生ごみを、発酵の妨げになるような消毒・殺菌剤からなる処理液を用いて消毒を行う動機付けはなく、むしろ阻害要因があるといえる。 よって、甲2発明において、上記<相違点2-1>に係る発明特定事項を当業者は容易に想到し得たものではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明4は、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 異議申立人の主張 異議申立人は、異議申立書の第135ないし139ページにおいて、「本件特許発明4は甲第2号証及び甲第1号証(あるいは、甲3号証、甲4号証)に開示された技術事項、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである」旨主張している。 しかしながら、上記イに示したとおり、本件特許発明4は、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、異議申立人の上記主張は採用できない。 エ 申立理由5-4についてのむすび したがって、本件特許発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、申立理由5-4によっては、本件特許の請求項4に係る特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 上記第5のとおり、本件特許の請求項1及び3に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 本件特許の請求項2に係る特許は、訂正により削除されたため、異議申立人による請求項2に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 また、本件特許の請求項4に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件特許の請求項4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2020-700730

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