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特許異議申立

2022-701236

粘着シート

審判番号
2022-701236
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-152595
登録番号
7084536
請求日
2022年12月13日
審決日
2024年01月18日
公報発行日
2024年04月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日東電工株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人G-chemical
  • 【異議申立人】藤江 桂子
審判長/審判官
  • 審判長 門前 浩一
  • 審判官 関根 裕
  • 審判官 瀬下 浩一
分類
P1651.536-YAA(C09J) / P1651.537-YAA(C09J) / P1651.4 -YAA(C09J) / P1651.113-YAA(C09J) / P1651.121-YAA(C09J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第126条第6項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第39条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7084536号発明「粘着シート」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7084536号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。 特許第7084536号の請求項1~3、5~10に係る特許を維持する。 特許第7084536号の請求項4についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7084536号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、令和3年9月17日に出願され、令和4年6月6日に特許権の設定登録がされ、同年6月14日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和4年12月13日に特許異議申立人である藤江桂子(以下「申立人」という。)によって、請求項1~10(全請求項)に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、当審は、令和5年4月11日付けで取消理由を通知し(発送は同年同月14日)、この取消理由通知に対し、特許権者は、その指定期間内である同年6月12日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。当審は、同年7月4日付けで申立人に訂正請求があった旨を通知し(発送は同年同月10日)、この通知に対し、申立人は、その指定期間内である同年8月8日に意見書を提出した。 第2 訂正請求について 1 請求の趣旨 令和5年6月12日にされた訂正の請求(以下、この請求による訂正を「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、「特許第7084536号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求める。」というものである。 2 訂正の内容 本件訂正の内容は、特許請求の範囲の訂正に係る以下の訂正事項からなるものである。下線部は訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1、2 特許請求の範囲の請求項1に「前記樹脂組成物が、アクリル系ポリマー及びシリコーン系ポリマーから選ばれる少なくとも1種のベースポリマー、及び架橋剤を含有し、・・・」と記載されているのを、「前記樹脂組成物が、アクリル系ポリマー及びシリコーン系ポリマーから選ばれる少なくとも1種のベースポリマー、及び架橋剤を含有し、前記はく離ライナーは、シリコーン系剥離剤を含む剥離層を有し、前記はく離ライナーの前記粘着剤層の前記粘着面に対する剥離力が0.15N/50mm以上5N/50mm以下であり、・・・」に訂正する。 「前記はく離ライナーは、シリコーン系剥離剤を含む剥離層を有し、」を追加する訂正を訂正事項1、「前記はく離ライナーの前記粘着剤層の前記粘着面に対する剥離力が、0.15N/50mm以上5N/50mm以下であり、」を追加する訂正を訂正事項2とする。(請求項1の記載を直接または間接的に引用する請求項2~10も同様に訂正する。) (2)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に「仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために使用される、粘着シート。」と記載されているのを、「前記粘着剤層が、仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために使用される、粘着シート。」に訂正する。(請求項1の記載を直接または間接的に引用する請求項2~10も同様に訂正する。) (3)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (4)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着シート。」と記載されているのを、「請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着シート。」に、請求項6に「請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着シート。」と記載されているのを、「請求項1~3、及び5のいずれか1項に記載の粘着シート。」に、請求項7に「請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着シート。」と記載されているのを、「請求項1~3、5、及び6のいずれか1項に記載の粘着シート。」に、請求項8に「請求項1~7のいずれか1項に記載の粘着シート。」とあるのを、「請求項1~3、5、6、及び7のいずれか1項に記載の粘着シート。」に、それぞれ訂正する。 3 訂正の適否 (1)一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~10について、請求項2~10はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正前の請求項1~10に対応する本件訂正後の請求項1~10は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正事項1、2について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1は、請求項1の「はく離ライナー」について、「前記はく離ライナーは、シリコーン系剥離剤を含む剥離層を有し、」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2は、請求項1の「はく離ライナー」について、「前記はく離ライナーの前記粘着剤層の前記粘着面に対する剥離力が0.15N/50mm以上5N/50mm以下であり、」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面を含めて「本件明細書等」ともいう。)には、「上記はく離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離層を有する基材などが挙げられる。上記剥離層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙などが挙げられる。」(段落【0141】)、「前記はく離ライナーの本発明の粘着剤層の前記粘着面に対する剥離力は、0.15N/50mm以上であることが好ましい。」(段落【0148】)、及び、「一方、前記はく離ライナーの前記粘着面に対する剥離力は5N/50mm以下が好ましい。」(段落【0150】)と記載されている。 したがって、訂正事項1、2による訂正は、いずれも、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、本件訂正前の「はく離ライナー」に限定を加える訂正であって、請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上その特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。 また、訂正事項2は、本件訂正前の「粘着シート」を特定する事項として、訂正事項2に係る限定を備えるものにする訂正であって、請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上その特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的の適否 訂正事項3は、請求項1の「粘着シート」の「仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために使用される」部位について、「前記粘着剤層」であることを限定する事項であるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無 本件明細書には、「本発明の粘着剤層の前記粘着面(電子部品を受け取るための粘着面)は、はく離ライナーにより保護されている。」(段落【0028】)と記載されているから、請求項1の「はく離ライナーで粘着面が保護された粘着剤層」が、電子部品を受け取るためのものであること(段落【0028】)が記載されている。 したがって、訂正事項3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記アのとおり、訂正事項3は、「粘着シート」の「仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために使用される」部位を、「前記粘着剤層」に限定する事項であり、請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上その特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合し、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、請求項5~8がそれよりも前にあるいずれか1つの請求項の記載を引用する形式で記載されていたところ、訂正事項4によって請求項4が削除されることにともなって記載が整合しなくなることにともない、引用する請求項から4を除くものである。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項5は、本件明細書等に記載した事項の範囲内でするものであることが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合し、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。 (6)独立特許要件について 本件訂正においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~10に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項により読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定は課されない。 (7)訂正の適否についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項により準用する同法第126条第5、6項の規定に適合するものである。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。 第3 本件発明等 1 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められたので、本件特許の請求項1~10に係る発明は、その特許の特許請求の範囲の請求項1~10に記載された以下のとおりのものである(請求項1~10に係る発明を、それぞれ「本件発明1」~「本件発明10」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)。 「【請求項1】 はく離ライナーで粘着面が保護された粘着剤層を有する粘着シートであって、 下記条件T1、T2における前記粘着面に対する水の接触角θ1、θ2の変位Rが5°以下であり、 前記粘着剤層を構成する粘着剤組成物が、アクリル系ポリマー及びシリコーン系ポリマーから選ばれる少なくとも1種のベースポリマー、及び架橋剤を含有し、 前記はく離ライナーは、シリコーン系剥離剤を含む剥離層を有し、 前記はく離ライナーの前記粘着剤層の前記粘着面に対する剥離力が0.15N/50mm以上5N/50mm以下であり、 前記粘着剤層が、仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために使用される、粘着シート。 T1:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離した直後 T2:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離し、前記粘着面を大気環境下で2時間曝露後 θ1:T1での前記粘着面の水接触角(°) θ2:T2での前記粘着面の水接触角(°) 変位R(°)=θ2-θ1 【請求項2】 仮固定材上に電子部品が配置された面と対向して隙間を設けて配置され、電子部品を受け取るために使用される、請求項1に記載の粘着シート。 【請求項3】 前記粘着剤層の前記粘着面に対する下記条件の鉄球落下試験による粘着剤層の沈み込み深さの前記粘着剤層の厚さに対する割合(沈み込み深さ/厚さ×100)が、15%以上である、請求項1又は2に記載の粘着シート。 鉄球落下試験:1gの鉄球を高さ1mから粘着面に自由落下させる。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 前記粘着剤層の厚みが1μm以上500μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着シート。 【請求項6】 前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤組成物から形成される粘着剤層である、請求項1~3、及び5のいずれか1項に記載の粘着シート。 【請求項7】 前記粘着剤層が、前記粘着面とは反対側の面に別の粘着剤層が積層されている、請求項1~3、5、及び6のいずれか1項に記載の粘着シート。 【請求項8】 前記粘着剤層が、前記粘着面とは反対側の面に基材層が積層されている、請求項1~3、5、6、及び7のいずれか1項に記載の粘着シート。 【請求項9】 前記基材層の前記粘着剤層が積層されていない面に、別の粘着剤層が積層されている、請求項8に記載の粘着シート。 【請求項10】 前記基材層が、ポリエステルフィルムから形成される、請求項8又は9に記載の粘着シート。」 2 本件明細書の記載事項 本件明細書には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、粘着シートに関する。より詳細には、本発明は、半導体チップやLEDチップなどの小型の電子部品の転写に好適に使用できる粘着シートに関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 上記粘着剤層の表面(粘着面)は、通常ははく離ライナーで保護され、使用直前にはく離ライナーを剥離して、装置に組み付けられて使用されている。しかしながら、はく離ライナーを剥離して大気環境下に曝露された状態では、粘着面の濡れ性が経時的に変化して、電子部品を搬送する際に位置ずれや脱落が生じるという問題があった。 【0009】 本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大気環境下に曝露された状態でも粘着面の濡れ性が変化しにくく、電子部品を搬送する際に位置ずれや脱落が生じにくい粘着剤層を有する粘着シートを提供することである。 ・・・ 【発明の効果】 【0023】 本発明の粘着シートが有する粘着剤層(本発明の粘着剤層)は、はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態でも、粘着面の濡れ性が経時的に変化しにくく、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できる。従って、本発明の粘着シートは、レーザートランスファーに好適に使用できる。 ・・・ 【0037】 (本発明の粘着剤層) 本発明の粘着シートにおいて、本発明の粘着剤層は、下記条件T1、T2における前記粘着面に対する水の接触角θ1、θ2の変位Rが5°以下である。 T1:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離した直後 T2:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離し、前記粘着面を大気環境下 で2時間曝露後 θ1:T 1での前記粘着面の水接触角(°) θ2:T 2での前記粘着面の水接触角(°) 変位R(°)=θ2-θ1 ・・・ 【0040】 本発明の粘着剤層において、前記水接触角θ1は、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できるという点で、120°以下が好ましく、118°以下がより好ましい。また、前記水接触角θ1は、電子部品の転写性の観点から、110°以上が好ましく、111°以上がより好ましい。 【0041】 前記水接触角、及びその変位Rは、具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定されるものである。前記水接触角、及び変位Rは、本発明の粘着剤層を構成する樹脂組成物の種類や組成(モノマー組成)や架橋剤の種類や量、粘着剤層の厚み、はく離ライナーの種類(より正確には、はく離剤の種類や量)などにより調整することができる。 ・・・ 【0128】 シリコーンゴムとシリコーンレジンとを含有するシリコーン系粘着剤組成物は、低粘着性、低タック性にコントロールしやすい点、粘着面の濡れ性の経時的変化を抑制して、搬送中の電子部品の脱落や位置ずれを抑制できる観点より、架橋剤を含んでいることが好ましい。はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態で粘着面の濡れ性が経時的に変化する原因は、はく離ライナーの表面に形成された剥離層に含まれる剥離剤が粘着剤層に移行し、粘着剤層に移行した剥離剤が、粘着面の表面にブリードアウトするためと考えられる。従って、シリコーン系粘着剤層におけるシリコーンゴムとシリコーンレジンを架橋し、粘着剤層に移行した剥離剤の粘着剤層内での移動を抑制して、粘着面の表面への剥離剤のブリードアウトを抑制することにより、粘着面の濡れ性の経時的変化を抑制することができると考えられる。なお、これは推測であり、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。このような架橋剤としては、特に制限されないが、シロキサン系架橋剤(シリコーン系架橋剤)、過酸化物系架橋剤を好適に用いることができる。中でも、シロキサン系架橋剤が好ましい。架橋剤は1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。 ・・・ 【0140】 (はく離ライナー) 本発明の粘着剤層及び/又は別の粘着剤層の粘着面は、使用時までははく離ライナーにより保護されている。本発明の粘着剤層が両面粘着シートを構成する場合の各粘着面は、2枚のはく離ライナーによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているはく離ライナー1枚により、ロール状に巻回される形態(巻回体)で保護されていてもよい。はく離ライナーは粘着剤層の衝撃吸収性、粘着性の保護材として用いられ、使用する際に剥がされる。また、本発明の粘着剤層が基材レス粘着シートを構成する場合、はく離ライナーは粘着剤層の支持体としての役割も担う。 【0141】 上記はく離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離層を有する基材などが挙げられる。上記剥離層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙などが挙げられる。 ・・・ 【0148】 前記はく離ライナーの本発明の粘着剤層の前記粘着面に対する剥離力は、0.15N/50mm以上であることが好ましい。はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態で粘着面の濡れ性が経時的に変化する原因は、はく離ライナーの表面に形成された剥離層に含まれる剥離剤が粘着剤層に移行し、粘着剤層に移行した剥離剤が、粘着面の表面にブリードアウトするためと考えられる。はく離ライナーの剥離力は、一般に、剥離剤の粘着剤層への移行量により制御されている。具体的には、粘着剤層への剥離剤の移行量が多いと粘着面付近の粘着力が低下して剥離力が弱くなり、粘着剤層への剥離剤の移行量が少ないと、剥離力が強くなると考えられる。従って、本発明の粘着剤層の前記粘着面に対する前記はく離ライナーの剥離力が大きくなると、剥離剤の粘着剤層への移行量が少なくなり、粘着面の表面への剥離剤のブリードアウトを抑制することにより、粘着面の濡れ性の経時的変化を抑制することができると考えられる。なお、これは推測であり、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。 【0149】 前記はく離ライナーの前記粘着面に対する剥離力が0.15N/50mm以上であるという構成は、前記変位Rを5°以下に調整し、はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態でも、粘着面の濡れ性が経時的に変化しにくく、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できるという点で、好適である。電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できるという点で、はく離ライナーの剥離力は0.2N/50mm以上がより好ましく、0.25N/50mm以上がさらに好ましい。 【0150】 一方、前記はく離ライナーの前記粘着面に対する剥離力は5N/50mm以下が好ましい。はく離ライナーの剥離力が高すぎると、本発明の粘着シートの前記粘着剤層の反対側の面をキャリア基板などに固定した後で前記はく離ライナーを剥離しようとすると、前記キャリア基板との界面の方が剥離して、キャリア基板などに固定することが困難になる場合がある。また、はく離ライナーの剥離力が高すぎると、粘着剤層が破損する恐れもある。前記はく離ライナーの前記粘着面に対する剥離力が5N/50mm以下であるという構成は、本発明の粘着シートをキャリア基板などに固定しやすくなり、また、粘着剤層の破損を防止する点で、好ましい。本発明の粘着シートをキャリア基板などに固定しやすくなり、また、粘着剤層の破損を防止する点で、前記はく離ライナーの前記粘着面に対する剥離力は、4.5N/50mm以下がより好ましく、4N/50mm以下がさらに好ましい。 【0151】 前記はく離ライナーの前記粘着面に対する剥離力は、具体的は、後掲の実施例に記載の方法で測定されるものであり、前記剥離剤の種類や塗布量、硬化条件、本発明の粘着剤層を構成する粘着剤組成物の種類や組成(モノマー組成)や架橋剤の種類や量などにより調整することができる。 ・・・ 【0185】 図6(a)~(d)の工程中、及び図6(e)の状態の保管中、粘着剤層10の粘着面10aは、大気環境下に曝露される。粘着面10aが大気環境下に曝露されると、はく離ライナーR1の粘着面10aと接する面に形成された剥離層から粘着剤層10に移行した剥離剤が、粘着面10aにブリードアウトしてくると考えられる。粘着面10aに剥離剤がブリードアウトしてくると、粘着面10aの濡れ性、粘着性が経時的に低下して、電子部品51を保持する能力が低下し、粘着剤層10に保持された状態の電子部品51を搬送したり、次工程に供する際に、電子部品51の脱落や位置ずれ等の不具合が生じ得る。 【0186】 本実施形態において、粘着剤層10に移行する前記剥離剤の量は、抑制されているため、大気環境下での粘着面10aの濡れ性、粘着性の経時的低下が抑制されて、粘着剤層10に保持された状態の電子部品51を搬送したり、次工程に供する際に、電子部品51の脱落や位置ずれ等の不具合を抑制することができる。 ・・・ 【実施例】 【0195】 以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。 【0196】 [製造例1]アクリルポリマーAの製造 トルエン中に、2-エチルヘキシルアクリレート100重量部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート12.6重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.25重量部とを加えた後、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、これにメタクリロイルオキシエチルイソシアネート13.5重量部を加えて付加反応させることで、炭素ッ炭素(当審注:原文のまま)二重結合を有するアクリル系共重合体(アクリルポリマーA)のトルエン溶液を得た。 【0197】 [実施例1] (粘着剤の調製) アクリルポリマーAを100重量部含むアクリル系ポリマー溶液Aに、架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」)0.2重量部、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤(BASFジャパン製、商品名「イルガキュア127」、分子量:340.4、波長365nmの吸光係数:1.07×102ml/g・cm)3重量部を加え粘着剤を得た。 (粘着シート) はく離ライナー1(株式会社フジコー製、商品名「PET-75-SCB5」、厚み:75μm)の離型処理面に上記の粘着剤を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが50μmとなるように塗布して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の粘着面をはく離ライナー2(株式会社フジコー製、商品名「PET-50-SCA1」、厚み:50μm)で保護して、(はく離ライナー1/粘着剤層/はく離ライナー2)からなる粘着シートを得た。 【0198】 [実施例2] はく離ライナー2に替えて、はく離ライナー3(株式会社フジコー製、商品名「PET-38-SCA1」、厚み:38μm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、(はく離ライナー1/粘着剤層/はく離ライナー3)からなる粘着シートを得た。 【0199】 [実施例3] はく離ライナー1に替えて、はく離ライナー4(株式会社フジコー製、商品名「PET-75-SC3」、厚み:75μm)、はく離ライナー2に替えてはく離ライナー1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、(はく離ライナー4/粘着剤層/はく離ライナー1)からなる粘着シートを得た。 【0200】 [実施例4] (粘着剤の調製) シリコーンポリマーB(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SD4600FC」)100重量部含むシリコーン系ポリマー溶液Bに、架橋剤(ダウ・東レ株式会社製、商品名「BY 24-741」)1.0重量部、白金触媒(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SRX212Catalyst」)0.9重量部を加え粘着剤を得た。 (粘着シート) はく離ライナー5(三菱ケミカル株式会社製、商品名「MRS#50」、厚み:50μm)の離型処理面に上記の粘着剤を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが50μmとなるように塗布して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の粘着面をはく離ライナー6(株式会社フジコー製、商品名「SK1U」、厚さ:38μm)で保護して、(はく離ライナー5/粘着剤層/はく離ライナー6)からなる粘着シートを得た。 【0201】 [実施例5] (粘着剤の調製) シリコーンポリマーB(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SD4600FC」)100重量部、シリコーンポリマーC(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SE1700」)30重量部含むシリコーン系ポリマー溶液Cに、架橋剤(ダウ・東レ株式会社製、商品名「BY 24-741」)1.0重量部、架橋剤(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SE1700Catalyst」)3重量部、白金触媒(ダウ・東レ株式会社製、商品名「SRX212Catalyst」)0.9重量部を加え粘着剤を得た。 (粘着シート) はく離ライナー5(三菱ケミカル株式会社製、商品名「MRS#50」、厚み:50μm)の離型処理面に上記の粘着剤を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが50μmとなるように塗布して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の粘着面をはく離ライナー6(株式会社フジコー製、商品名「SK1U」、厚さ:38μm)で保護して、(はく離ライナー5/粘着剤層/はく離ライナー6)からなる粘着シートを得た。 【0202】 [比較例1] (粘着剤の調製) アクリルポリマーAを100重量部含むアクリル系ポリマー溶液Aに、架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」)0.2重量部、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤(BASFジャパン製、商品名「イルガキュア127」、分子量:340.4、波長365nmの吸光係数:1.07×102ml/g・cm)3重量部を加え粘着剤を得た。 (粘着シート) はく離ライナー7(株式会社フジコー製、商品名「PET-75-SCA1」、厚み:75μm)の離型処理面に上記の粘着剤を溶剤揮発(乾燥)後の厚みが30μmとなるように塗布して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の粘着面をはく離ライナー8(東レ株式会社製、商品名「セラピールMDA」、厚さ:38μm)で保護して、(はく離ライナー7/粘着剤層/はく離ライナー8)からなる粘着シートを得た。 【0203】 [比較例2] 溶剤揮発(乾燥)後の粘着剤層の厚みを50μmとしたこと以外は、比較例1と同様にして、(はく離ライナー7/粘着剤層/はく離ライナー8)からなる粘着シートを得た。 【0204】 <評価> 実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。 【0205】 (1)接触角 実施例及び比較例で得られた粘着シートのはく離ライナー(実施例1は、はく離ライナー2、実施例2は、はく離ライナー3、実施例3は、はく離ライナー1、実施例4、5は、はく離ライナー6、比較例1、2は、はく離ライナー8)を剥離し、曝露された粘着剤層面を、スライドガラス(松波ガラス工業株式会社製、26mm×76mm)に、2kgハンドローラーを用いて貼着した。 上記のようにして得られた評価用試料の評価面のはく離ライナー(実施例1、2は、はく離ライナー1、実施例3は、はく離ライナー4、実施例4、5は、はく離ライナー5、比較例1、2は、はく離ライナー7)を剥離した直後に、曝露された該粘着剤層面の接触角を、接触角計(協和界面科学株式会社製、商品名「CX-A型」)を用いて、該粘着剤層表面に水を2μL滴下して5秒後の値を計測した。測定は、N=5で実施し、これら測定値の平均値を初期接触角θ1とした。 また、曝露2時間後の接触角は、上記のようにして得られた評価用試料の評価面のはく離ライナー(実施例1、2は、はく離ライナー1、実施例3は、はく離ライナー4、実施例4、5は、はく離ライナー5、比較例1、2は、はく離ライナー7)を剥離し、曝露された該粘着剤層表面を大気環境下で2時間曝露した後に、上記同様の条件により曝露2時間後の接触角θ2を測定した。 接触角の変位R(°)を次式により求めた。 変位R(°)=θ2-θ1 ・・・ 【0210】 【表1】 [図:0001409085000001.jpg] 」 第4 異議申立の概要及び証拠の一覧 1 異議申立の概要 申立人が申し立てた特許異議申立の理由の概要は、以下のとおりである。 申立理由1(実施可能要件):この出願は、発明の詳細な説明が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 申立理由2(明確性要件):この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 申立理由3(サポート要件):この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 申立理由4(同日出願):この出願の請求項1~10に係る発明は、同日出願された特許第7084535号(以下「同日出願」ともいう。)に係る発明と同一と認められ、かつ、前記同日出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。 申立理由5(新規性)本件特許発明1、3~6、8は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であり、特許法第29条第1項第3号の発明に該当するから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 申立理由6(進歩性)本件特許発明1~10は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 2 証拠の一覧 申立人が提示した証拠は、以下のとおりである。なお、甲第1号証を甲1などという。 甲1:国際公開第2019/216262号 甲2:国際公開第2014/061774号 甲3:特開2020-53558号公報 甲4:特開2018-182054号公報 甲5:特開2016-130294号公報 甲6:特開2016-26241号公報 甲7:特許第7084535号公報 3 証拠の記載事項 (1)甲1には、次の記載がある。 (甲1-1) 「[0001] 本発明は、半導体チップの製造方法に関する。」 (甲1-2) 「[請求項1] 膨張性粒子を含む膨張性基材層(Y1)及び非膨張性基材層(Y2)を少なくとも備える基材(Y)と、 基材(Y)の両面に、それぞれ第1粘着剤層(X1)及び第2粘着剤層(X2)とを有し、 前記膨張性粒子の膨張によって、第1粘着剤層(X1)の粘着表面に凹凸が生じ得る、粘着シートを用いた、半導体ウエハから半導体チップを製造する方法であって、 下記工程(1)~(3)を有する、半導体チップの製造方法。 ・工程(1):第1粘着剤層(X1)の粘着表面を硬質支持体に貼付し、第2粘着剤層(X2)の粘着表面を、半導体ウエハの表面に貼付する工程。 ・工程(2):前記半導体ウエハを分断して、複数の半導体チップを得る工程。 ・工程(3):前記膨張性粒子を膨張させて、第2粘着剤層(X2)上の複数の半導体チップを貼付したまま、前記硬質支持体と第1粘着剤層(X1)との界面Pで分離する工程。 ・・・ [請求項6] さらに下記工程(4)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体チップの製造方法。 ・工程(4):工程(3)で前記硬質支持体から分離後、複数の半導体チップの回路面とは反対側の裏面を、基材フィルムと、粘着剤層及び/又は接着剤層とを有する転写テープに貼付した後、前記粘着シートを半導体チップから除去する工程。」 (甲1-3) 「[0158]<工程(4)> 工程(4)は、工程(3)で前記硬質支持体から分離後、複数の半導体チップの回路面とは反対側の裏面を、基材フィルムと、粘着剤層及び/又は接着剤層とを有する転写テープに貼付した後、前記粘着シートを半導体チップから除去する工程である。 図3(a)は、複数の半導体チップ70の裏面72を、転写テープ80に貼付した後、粘着シート1aを半導体チップ70から除去した状態を示している。 [0159] 本工程において、粘着シート1aが有する第2粘着剤層(X2)が、エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成された層である場合には、エネルギー線を照射して、第2粘着剤層(X2)の粘着力を低下させ、粘着シート1aを除去してもよい。 なお、第2粘着剤層(X2)の粘着力を低下させるために照射するエネルギー線は、粘着シート側から照射することが好ましい。 粘着シート1aを除去後、複数の半導体チップ70の回路面71が表出し、裏面72は転写テープ80に貼付される。 [0160] 転写テープ80は、MD方向に引き伸ばすことで伸びるように設計されたものであり、複数の半導体チップ70同士の間隔を広げることができるように設計された粘着テープである。 本発明の一態様で用いる転写テープは、基材フィルムと、粘着剤層及び/又は接着剤層とを有するものであるが、具体的な構成としては、例えば、以下の(1)~(3)の態様が挙げられる。 (1)基材フィルム、及び粘着剤層をこの順で積層してなる、転写テープ。 (2)基材フィルム、及び接着剤層をこの順で積層してなる、転写テープ。 (3)基材フィルム、粘着剤層、及び接着剤層をこの順で積層してなる、転写テープ。 [0161] 図3においては、上記(1)の態様の転写テープを用いた場合を示しており、基材フィルム81及び粘着剤層82をこの順で積層してなる転写テープ80の粘着剤層82に、複数の半導体チップ70の裏面72を貼付した状態を示している。 [0162](基材フィルム) 転写テープを構成する基材フィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリスチレン樹脂等から選ばれる1種以上の樹脂を含む樹脂フィルムが挙げられる。 また、転写テープを構成する基材フィルムは、熱可塑性エラストマー、ゴム系材料等を含有することが好ましく、熱可塑性エラストマーを含有することがより好ましい。 熱可塑性エラストマーとしては、ウレタン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、アミド系エラストマー等が挙げられる。 [0163] 基材フィルムは、単層構成であってもよく、2層以上を積層してなる複層構成であってもよい。 また、基材フィルムは、さらに顔料、染料、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー等の各種添加剤を含有してもよい。 転写テープを構成する基材フィルムの厚さとしては、好ましくは20~300μm、より好ましくは30~250μm、更に好ましくは40~200μmである。 [0164] (粘着剤層) 転写テープを構成する粘着剤層としては、上述の第1粘着剤層(X1)及び第2粘着剤層(X2)の形成材料である粘着剤組成物(x)から形成された層であってもよいが、第2粘着剤層(X2)の形成材料として好適である、上述のエネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層であることが好ましい。 [0165] 転写テープを構成する粘着剤層が、エネルギー線硬化型粘着剤層であると、工程(6)のピックアップ工程の作業性が良好となる。 ただし、工程(4)において粘着シートを除去する際にエネルギー線を照射する場合、転写テープのエネルギー線硬化型粘着剤層の粘着力が低下しないように、粘着シートを除去する際のエネルギー線は、粘着シート側から照射することが好ましい。 [0166] 転写テープを構成する粘着剤層の厚さとしては、好ましくは1~100μm、より好ましくは3~50μm、更に好ましくは5~40μmである。 [0167](接着剤層) 転写テープを構成する接着剤層としては、バインダー樹脂及び熱硬化性成分を含む接着剤組成物から形成された層であることが好ましい。 バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー、フェノキシ樹脂等が挙げられるが、アクリル系樹脂が好ましい。 熱硬化性成分としては、エポキシ樹脂と熱硬化剤とを含むことが好ましい。 [0168] 転写テープを構成する接着剤層の厚さとしては、好ましくは1~100μm、より好ましくは5~75μm、更に好ましくは5~50μmである。」 (甲1-4) 「[0180]製造例1(アクリルウレタン系樹脂の合成) (1)ウレタンプレポリマーの合成) 窒素雰囲気下の反応容器内に、質量平均分子量1,000のポリカーボネートジオール100質量部(固形分比)に対して、イソホロンジイソシアネートを、ポリカーボネートジオールの水酸基とイソホロンジイソシアネートのイソシアネート基との当量比が1/1となるように配合し、さらにトルエン160質量部を加え、窒素雰囲気下にて、撹拌しながら、イソシアネート基濃度が理論量に到達するまで、80℃で6時間以上反応させた。 次いで、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)1.44質量部(固形分比)をトルエン30質量部に希釈した溶液を添加して、両末端のイソシアネート基が消滅するまで、更に80℃で6時間反応させ、質量平均分子量2.9万のウレタンプレポリマーを得た。 [0181](2)アクリルウレタン系樹脂の合成 窒素雰囲気下の反応容器内に、製造例1で得たウレタンプレポリマー100質量部(固形分比)、メチルメタクリレート(MMA)117質量部(固形分比)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)5.1質量部(固形分比)、1-チオグリセロール1.1質量部(固形分比)、及びトルエン50質量部を加え、撹拌しながら、105℃まで昇温した。 そして、反応容器内に、さらにラジカル開始剤(株式会社日本ファインケム製、製品名「ABN-E」)2.2質量部(固形分比)をトルエン210質量部で希釈した溶液を、105℃に維持したまま4時間かけて滴下した。 滴下終了後、105℃で6時間反応させ、質量平均分子量10.5万のアクリルウレタン系樹脂の溶液を得た。 [0182]製造例2(粘着シートの作製) 以下の粘着シートの作製の際に、各層の形成で使用した粘着性樹脂、添加剤、熱膨張性粒子、基材及び剥離材の詳細は以下のとおりである。 <粘着性樹脂> ・アクリル系共重合体(i):2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=80.0/20.0(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有する、Mw60万のアクリル系共重合体。 ・アクリル系共重合体(ii):n-ブチルアクリレート(BA)/メチルメタクリレート(MMA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)/アクリル酸=86.0/8.0/5.0/1.0(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有する、Mw60万のアクリル系共重合体。 <添加剤> ・イソシアネート架橋剤(i):東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」、固形分濃度:75質量%。 <熱膨張性粒子> ・熱膨張性粒子(i):株式会社クレハ製、製品名「S2640」、膨張開始温度(t)=208℃、平均粒子径(D50)=24μm、90%粒子径(D90)=49μm。 <剥離材> ・重剥離フィルム:リンテック株式会社製、製品名「SP-PET382150」、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、シリコーン系剥離剤から形成した剥離剤層を設けたもの、厚さ:38μm。 ・軽剥離フィルム:リンテック株式会社製、製品名「SP-PET381031」、PETフィルムの片面に、シリコーン系剥離剤から形成した剥離剤層を設けたもの、厚さ:38μm。 [0183](1)第1粘着剤層(X1)の形成 粘着性樹脂である、上記アクリル系共重合体(i)の固形分100質量部に、上記イソシアネート系架橋剤(i)5.0質量部(固形分比)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)25質量%の粘着剤組成物を調製した。 そして、上記重剥離フィルムの剥離剤層の表面に、当該粘着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で60秒間乾燥して、厚さ5μmの非膨張性粘着剤層である第1粘着剤層(X1)を形成した。 なお、23℃における、第1粘着剤層(X1)の貯蔵せん断弾性率G’(23)は、2.5×105Paであった。 [0184](2)第2粘着剤層(X2)の形成 粘着性樹脂である、上記アクリル系共重合体(ii)の固形分100質量部に、上記イソシアネート系架橋剤(i)0.8質量部(固形分比)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)25質量%の粘着剤組成物を調製した。 そして、上記軽剥離フィルムの剥離剤層の表面に、当該粘着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で60秒間乾燥して、厚さ10μmの第2粘着剤層(X2)を形成した。 なお、23℃における、第2粘着剤層(X2)の貯蔵せん断弾性率G’(23)は、9.0×103Paであった。 また、上記方法に基づき測定した、第2粘着剤層(X2)の粘着力は、1.0N/25mmであった。 なお、第2粘着剤層(X2)及び前記第1粘着剤層(X1)は、プローブタック値が50mN/5mmφ以上であることが明らかであったため、プローブタック値の測定を省略した。 [0185](3)基材(Y)の作製 製造例1で得たアクリルウレタン系樹脂の固形分100質量部に、上記イソシアネート系架橋剤(i)6.3質量部(固形分比)、触媒として、ジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)1.4質量部(固形分比)、及び上記熱膨張性粒子(i)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の樹脂組成物を調製した。 なお、得られた樹脂組成物中の有効成分の全量(100質量%)に対する、熱膨張性粒子(i)の含有量は20質量%であった。 そして、非膨張性基材である、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、製品名「コスモシャインA4100」、プローブタック値:0mN/5mmφ)の表面上に、当該樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で120秒間乾燥して、厚さ50μmの膨張性基材層(Y1)を形成した。 ここで、上記PETフィルムは、非膨張性基材層(Y2)に相当する。 [0186] なお、膨張性基材層(Y1)の物性値を測定するサンプルとして、上記軽剥離フィルムの剥離剤層の表面に、当該樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で120秒間乾燥して、厚さ50μmの膨張性基材層(Y1)を同様に形成した。 そして、上述の測定方法に基づき、膨張性基材層(Y1)の各温度における貯蔵弾性率及びプローブタック値を測定した。当該測定結果は、以下のとおりであった。 ・23℃における貯蔵弾性率E’(23)=2.0×108Pa ・208℃における貯蔵弾性率E’(208)=5.0×105Pa ・プローブタック値=0mN/5mmφ また、上記PETフィルム、すなわち、非膨張性基材層(Y2)の各温度における貯蔵弾性率及びプローブタック値を測定した。当該測定結果は、以下のとおりであった。 ・23℃における貯蔵弾性率E’(23)=1.0×103MPa ・208℃における貯蔵弾性率E’(208)=0.8×102MPa ・プローブタック値=0mN/5mmφ [0187](4)各層の積層 上記(1-3)で作製した基材(Y1)の非膨張性基材層(Y2)と、上記(2)で形成した第2粘着剤層(X2)とを貼り合わせると共に、熱膨張性基材層(Y1)と、上記(1)で形成した第1粘着剤層(X1)とを貼り合せた。 そして、重剥離フィルム/第1粘着剤層(X1)/膨張性基材層(Y1)/非膨張性基材層(Y2)/第2粘着剤層(X2)/軽剥離フィルムをこの順で積層してなる、粘着シートを作製した。 [0188] なお、作製した粘着シートについて、上述の方法に基づき、剥離力(F0)及び(F1)を以下の方法に準拠して測定した。 その結果、剥離力(F0)=0.23N/25mm、剥離力(F1)=0mN/25mmとなり、剥離力(F1)と剥離力(F0)との比〔(F1)/(F0)〕は0であった。 [0189]<剥離力(F0)の測定> 作製した粘着シートを23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、24時間静置した後、当該粘着シートが有する重剥離フィルムを除去し、表出した第1粘着剤層(X1)を、シリコンウエハに貼付した。 次いで、粘着シートが貼付されたシリコンウエハの端部を、万能引張試験機(オリエンテック社製,製品名「テンシロン UTM-4-100」)の下部チャックへ固定し、上部チャックで粘着シートを固定した。 そして、上記と同じ環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分で、シリコンウエハと粘着シートの第1粘着剤層(X1)との界面Pで剥離した際に測定された剥離力を「剥離力(F0)」とした。 [0190]<剥離力(F1)の測定> 作製した粘着シートが有する重剥離フィルムを除去し、表出した第1粘着剤層(X1)をシリコンウエハに貼付し、240℃で3分間加熱し、膨張性基材層(Y1)中の熱膨張性粒子を膨張させた。 その後は、上述の剥離力(F0)の測定と同様にし、上記条件にて、シリコンウエハと粘着シートの第1粘着剤層(X1)との界面Pで剥離した際に測定された剥離力を「剥離力(F1)」とした。 なお、剥離力(F1)の測定において、万能引張試験機の上部チャックで、粘着シートを固定しようとした際、シリコンウエハから粘着シート(I)が完全に分離してしまい、固定ができない場合には、測定を終了し、その際の剥離力(F1)は「0mN/25mm」とした。 [0191]製造例3(転写テープの作製) ブチルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=85/15(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られた、質量平均分子量(Mw)60万のエネルギー線硬化型アクリル系共重合体を、粘着性樹脂として用いた。 当該エネルギー線硬化型アクリル系共重合体の固形分100質量部に対して、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロフェニルケトン(BASF社製、製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤であるトリレンジイソシアネート系架橋剤(東ソー社製、製品名「コロネートL」)0.45質量部とを溶媒中で混合し、粘着性組成物を得た。 次に、上述の軽剥離フィルム(i)の剥離処理面に、上記粘着性組成物を塗布し塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させて、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。 そして、この粘着剤層の表出した表面に、基材フィルムとして、ポリエステル系ポリウレタンエラストマーシート(シーダム社製、製品名「ハイグレスDUS202」、厚さ50μm)の片面を貼り合わせた。 以上のようにして、基材フィルム、粘着剤層、及び軽剥離フィルムをこの順で積層してなる転写テープを得た。」 (2)甲2には、次の記載がある。 (甲2-1) 「[0001] 本発明は、半導体ウエハを回路毎に個片化し、半導体チップを作成する際に、半導体ウエハを固定するために使用されるダイシングシート、あるいは個片化されたチップが転写され、その後にピックアップするためのピックアップシートとして好ましく用いられる電子部品加工用粘着シートに関し、特に有機溶剤への耐性に優れた電子部品加工用粘着シートに関する。また、本発明は該電子部品加工用粘着シートを使用した半導体装置の製造方法に関する。特に本発明の電子部品加工用粘着シートは、表面に突起状電極を有する半導体ウエハあるいはチップ、たとえばいわゆる貫通電極(TSV/Through Silicon Via)を有する半導体ウエハあるいはチップを固定し、有機溶剤に接触する工程を含む半導体装置の製造方法に好ましく用いられる。 ・・・ [0101] また、本発明の粘着シートは、硬質支持体上にウエハを保持し、裏面研削や加工工程後に、ウエハを個片化してチップとした後に、これを転写してピックアップを行うためのピックアップシートとしても、用いることができる。硬質支持体からチップを直接ピックアップすることは困難であるため、軟質なピックアップシート上にチップを転写することで、チップのピックアップが容易になる。」 (甲2-2) 「[0026]以下、本発明に係る電子部品加工用粘着シートについて、具体的に説明する。本発明に係る電子部品加工用粘着シート(以下単に「粘着シート」ともいう。)は、粘着剤層と基材フィルムと基材保護フィルムとからなり、この順に積層されている。」 (甲2-3) 「[0027](粘着剤層) 本発明における粘着剤層は、基材フィルムの一方の面に積層され、従来より公知の種々の粘着剤により形成され得る。このような粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。また、エネルギー線硬化型や加熱発泡型、水膨潤型の粘着剤も用いることができる。エネルギー線硬化(紫外線硬化、電子線硬化)型粘着剤としては、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。 [0028] 上記の粘着剤により形成される粘着剤層の中には、有機溶剤に接触することにより溶解、膨潤するものもある。しかし、本発明の電子部品加工用粘着シートにおいては、有機溶剤に対して耐性のある基材保護フィルムを基材フィルムに積層することで、有機溶剤による基材フィルムの膨潤や溶解を抑制し、基材フィルムに皺が発生することを防止できる。そのため、基材フィルムにおける皺の発生に起因した粘着剤層の変形が防止され、被着体と粘着剤層の界面に空隙が発生することはなく、有機溶剤が被着体と粘着剤層との界面にほとんど浸み込まない。その結果、被着体と粘着剤層との界面における粘着剤層の膨潤または溶解が抑制され、被着体に対して充分な粘着力を維持できるため、被着体が粘着シートから脱落することを防止できる。したがって、本発明における粘着剤層を形成する粘着剤は、従来より公知の種々の粘着剤を用いることができる。 [0029] 粘着剤層の厚さは、5~100μmであることが好ましく、さらに8~50μmであることが好ましく、特に10~30μmであることが好ましい。粘着剤層の厚さが100μmを超えると、粘着剤層を形成するために非常に長い時間(具体的には、粘着剤を溶媒中で混合した粘着剤組成物を塗布乾燥させる時間)を要し、経済的にも無駄である。」 (甲2-4) 「[0030](基材フィルム) 基材フィルムは、剛軟度が105mm以上、好ましくは110mm以上である。基材フィルムにおける剛軟度が105mm未満であると、被着体(特にTSVウエハやTSVチップ)のピックアップ性が低下する。基材フィルムにおける剛軟度を上記範囲とすることで、被着体のピックアップ性に優れる。剛軟度の上限としては、好ましくは150mm、より好ましくは130mmである。なお、基材フィルムの剛軟度は、基材フィルムの長手方向(製膜時に製造された長尺のフィルムを送る方向)を試験片のたて方向に合わせて測定されたものである。 [0031] 基材フィルムは、上記物性を満たせば特に限定はされず、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリイミドフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、およびその水添加物または変性物等からなるフィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。上記の基材フィルムは1種単独でもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。」 (甲2-5) 「[0090] (電子部品加工用粘着シートの製造方法) 本発明の電子部品加工用粘着シートの製造方法は特に限定されない。 たとえば、基材フィルムと基材保護フィルムとを接着剤層を介して積層する方法としては、以下の方法が挙げられる。 第1の方法は、上記接着剤を、必要に応じ適当な溶剤で希釈して接着剤組成物とし、剥離シート上に所定の乾燥膜厚になるように塗布、乾燥して接着剤層を形成する。そして、基材フィルムあるいは基材保護フィルムの表面に接着剤層を転写する。その後、接着剤層の形成されていない基材保護フィルムあるいは基材フィルムを上記の接着剤層に積層する方法である。 第2の方法は、基材フィルムあるいは基材保護フィルムの表面に接着剤組成物を直接塗布、乾燥して接着剤層を形成する。その後、接着剤層の形成されていない基材保護フィルムあるいは基材フィルムを上記の接着剤層に積層する方法である。 [0090] 基材フィルムの表面に粘着剤層を設ける方法としては、以下の方法が挙げられる。 第1の方法は、上記粘着剤を、必要に応じ適当な溶剤で希釈して粘着剤組成物とし、剥離シート上に所定の乾燥膜厚になるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成する。そして、基材フィルムの表面に粘着剤層を転写する方法である。 第2の方法は、基材フィルムの表面に粘着剤組成物を直接塗布、乾燥して粘着剤層を形成する方法である。 [0092] 接着剤層を基材フィルムの表面に直接設けたり、他のシートの表面に設けられた接着剤層に、基材フィルムを積層したりする場合、基材フィルムは粘着剤層が設けられた状態であっても、粘着剤層が設けられる前の状態であってもよい。 [0093] また、粘着剤層には、その使用前に粘着剤層を保護するために剥離シートが積層されていてもよい。剥離シートは、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルムまたはそれらの発泡フィルムや、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙に、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤で剥離処理したものを使用することができる。 [0094] 粘着剤層へのエネルギー線照射前における、基材保護フィルムを除去した電子部品加工用粘着シートのシリコンミラーウエハを被着体とした粘着力は、好ましくは500mN/25mm以上であり、より好ましくは1000~30000mN/25mmであり、特に好ましくは2000~30000mN/25mmである。エネルギー線照射前における粘着力が、このような範囲にあることで、粘着剤層と被着体表面との界面の密着性が高いものとなり、電子部品加工用粘着シートの有機溶剤への耐性をより高めることが可能となる。エネルギー線照射前における粘着力は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの種類および配合比や、架橋剤の使用量により調整することができる。 [0095] また、粘着剤層へのエネルギー線照射後における、基材保護フィルムを除去した電子部品加工用粘着シートの粘着力は、好ましくは10~500mN/25mmであり、より好ましくは10~300mN/25mmである。粘着剤層の粘着力を上記範囲とすることで、ダイシング性とピックアップ性に優れる。エネルギー線照射後における粘着力は、エネルギー線硬化型粘着剤のエネルギー線硬化性重合体に導入されるエネルギー線重合性基の量により制御できる。」 (甲2-6) 「[0114] (実施例1) 〔粘着剤組成物(1)の作製〕 2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=80/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2-ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI-TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)1質量部を溶媒中で混合し、粘着剤組成物(1)を得た。なお、重量平均分子量は、市販の分子量測定機(本体製品名「HLC-8220GPC」、東ソー(株)製;カラム製品名「TSKGel SuperHZM-M」、東ソー(株)製;展開溶媒 テトラヒドロフラン)を用いて得た値である(以下、同様。)。また、質量部数は溶媒希釈された荷姿のものであっても、すべて固形分換算の値である(以下、同様。)。 [0115] 〔接着剤組成物(1)の作製〕 ラウリルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=80/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2-ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI-TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)0.1質量部を溶媒中で混合し、接着剤組成物(1)を得た。 [0116] 〔粘着シートの作製〕 剥離フィルム(リンテック社製 SP-PET3811)に、上記粘着剤組成物(1)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布・乾燥(乾燥条件:100℃、1分間)して、剥離フィルム上に形成された粘着剤層を得た。次いで、粘着剤層と基材フィルム(エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、120μm厚、剛軟度:125mm)とを貼り合わせて、粘着剤層と基材フィルムとの積層体Aを得た。 また、剥離フィルム(リンテック社製 SP-PET3811)に、上記接着剤組成物(1)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布・乾燥(乾燥条件:100℃、1分間)して、剥離フィルム上に形成された接着剤層を得た。次いで、接着剤層と基材保護フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、50μm厚、剛軟度:101mm)とを貼り合わせて、接着剤層と基材保護フィルムとの積層体Bを得た。 積層体Bの接着剤層上の剥離フィルムを除去し、上記積層体Aの基材フィルム側に、積層体Bの接着剤層を貼り合わせて、粘着シートを得た。その後、粘着剤層上の剥離フィルムを除去して各評価を行った。結果を表1に示す。」 (甲2-7) 「[0118] (実施例3) 粘着剤組成物として、下記の粘着剤組成物(2)を用いた。また、基材フィルムをエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム(80μm厚、剛軟度:110mm)に、基材保護フィルムをポリプロピレンフィルム(140μm)に代えた。上記以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。結果を表1に示す。 [0119] 〔粘着剤組成物(2)の作製〕 2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=80/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2-ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI-TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)0.3質量部を溶媒中で混合し、粘着剤組成物(2)を得た。 [0120] (実施例4) 〔粘着剤組成物(3)の作製〕 2-エチルヘキシルアクリレート/酢酸ビニル/2-ヒドロキシエチルアクリレート=40/40/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2-ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI-TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)1質量部を溶媒中で混合し、粘着剤組成物(3)を得た。 [0121] 〔接着剤組成物(2)の作製〕 ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=65/15/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2-ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI-TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)2質量部を溶媒中で混合し、接着剤組成物(2)を得た。 [0122] 〔粘着シートの作製〕 剥離フィルム(リンテック社製 SP-PET3811)に、上記粘着剤組成物(3)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布・乾燥(乾燥条件:100℃、1分間)して、剥離フィルム上に形成された粘着剤層を得た。次いで、粘着剤層と基材フィルム(エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、80μm厚、剛軟度:110mm)とを貼り合わせて、粘着剤層と基材フィルムとの積層体Aを得た。 また、剥離フィルム(リンテック社製 SP-PET3811)に、上記接着剤組成物(2)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布・乾燥(乾燥条件:100℃、1分間)して、剥離フィルム上に形成された接着剤層を得た。次いで、接着剤層と基材保護フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、50μm厚)とを貼り合わせて、接着剤層と基材保護フィルムとの積層体Bを得た。 積層体Bの接着剤層上の剥離フィルムを除去し、上記積層体Aの基材フィルム側に、積層体Bの接着剤層を貼り合わせて、粘着シートを得た。その後、粘着剤層上の剥離フィルムを除去して各評価を行った。結果を表1に示す。 [0123] (実施例5) 粘着剤組成物として、下記の粘着剤組成物(4)を用いた以外は、実施例4と同様にして粘着シートを得た。結果を表1に示す。 [0124] 〔粘着剤組成物(4)の作製〕 ブチルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=80/20(質量比)を反応して得られたアクリル重合体と、該アクリル重合体100g当たり21.4g(アクリル重合体の2-ヒドロキシエチルアクリレート単位100モル当たり80モル)のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られたエネルギー線硬化性重合体(重量平均分子量:60万)100質量部、光重合開始剤(α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184))3質量部、及び、架橋剤(TDI-TMP トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの付加物)0.4質量部を溶媒中で混合し、粘着剤組成物(4)を得た。」 (3)甲3には、次の記載がある。 (甲3-1) 「【0034】 以下、基板W上のチップ部品Cを第2転写基板2に転写するまでの工程に、図1に示す構成の第1転写基板1を用いた実施形態を、図3、図4および図5を用いて説明する。 【0035】 図3(a)はウェハ基板Wに形成されダイシングされたチップ部品Cを示す図であり、個々のチップ部品Cにはバンプ電極Bが形成されている。なお、本発明が対象とするチップ部品は1辺が100μm以下にダイシングされた微小サイズのものを主とするが、これに限定されるものではない。 【0036】 図3(b)は、ウェハ基板W上のチップ部品Cを第1転写基板1に転写する工程を説明するもので、ウェハ基板Wのチップ部品Cに第1転写基板1を密着させた状態でチップ部品Cをウェハ基板Wから剥離して第1転写基板1の粘着層11に転写する状態を示したものである。図3(b)の状態において、ウェハ基板Wを透過したレーザー光等によりチップ部品Cを加熱することにより、チップ部品Cを構成する成分が分解し、チップ部品Cとウェハ基板Wの界面で生じたガスによりチップ部品Cが剥離する。 【0037】 この後、ウェハ基板Wと第1転写基板1を離せば、図3(c)のようにチップ部品Cは第1転写基板1側に転写され粘着層11に保持される。 【0038】 次に、チップ部品Cが転写された第1転写基板1(図4(a))において、粘着層11の粘着力を部分的に低下させる露光工程について説明する。 【0039】 本実施形態の露光工程においては、粘着層11を硬化させる波長の光により、図4(b)に示すようにパターン露光を行なう。すなわち、チップ部品の配置に合わせたパターンを有するフォトマスクPMを、第1転写基板1のチップ部品Cを保持する面の反対面に配置して、粘着層11を硬化する波長を含む光UVを、フォトマスクPMを介して照射して露光するものである。 【0040】 この露光により、図4(c)に示すように、光UVを照射された部分の粘着層11は硬化して低粘着部11Cとなる。一方、フォトマスクPMにより遮光されていた部分は硬化せず、粘着性を維持しているので粘着部11Aとなる(図4(c))。ここで、光UVの照射量により低粘着部11Cと粘着部11Aの粘着力差を変化させることは可能であり、チップ部品Cの保持は実質的に粘着部11Aのみが担うような差を設けることが好ましい。なお、図4(c)のようにチップ部品Cを保持した第1転写基板1の粘着層11を部分的に低粘着部11Cとした状態をチップ部品転写基板100と呼ぶ。 【0041】 図4(c)では、チップ部品Cの中心部分の一定領域を残して、低粘着層11Cとする例を示しており、このように低粘着部11Cのパターンを形成するようなフォトマスクPMが図4(b)に示す露光に用いられる。 【0042】 次に、チップ部品転写基板100からチップ部品Cを第2転写基板2にレーザーリフトオフ法により転写するレーザーリフトオフ工程について図5を用いて説明する。 【0043】 まず、図5(a)に示すように、チップ部品Cと粘着層21が対向するようにして、スペーサー102を介して第1転写基板1と第2転写基板2を平行に配置する。ここで、スペーサー102は、一部のチップ部品Cを第2転写基板2に転写した後も、第1転写基板1が保持するチップ部品Cと第2転写基板2に転写されたチップ部品Cが干渉することなく、第1転写基板1と第2転写基板2の相対位置を平行移動できるだけの高さを有している。 【0044】 この状態から、図5(b)のように、レーザー光Lを照射することにより、ベース基板10を透過した光は粘着層11とチップ部品Cの界面に到達する。ここで、レーザー光Lの波長がチップ部品Cに吸収されるものであれば、チップ部品Cから生じたガス圧により、チップ部品Cには、粘着層11から剥離する方向に力が加わる。なお、粘着層11の材質が、未硬化状態で特定の波長を吸収してガスを放出するものであれば、レーザー光Lの波長を粘着部11Aが吸収する波長としてもよい。また、レーザー光Lの照射範囲は、チップ部品Cの面サイズ内に納まるようにして、隣接するチップ部品Cへの影響を回避することが望ましい。 【0045】 図5(b)に示すようなレーザー光Lの照射により、チップ部品Cには粘着層11から離れる方向の力が加わるが、チップ部品Cを実質的に保持する粘着部11Aの面積を適切にしておくことにより、過度な運動エネルギーが加わることなくチップ部品Cを粘着層11から確実に剥離することが出来る。具体的には、粘着層11の粘着部11Aが、レーザー光Lの照射範囲内にあるのであれば、チップ部品Cを実質的に保持している部分とレーザーリフトオフ法により剥離させる箇所が一致するので、適度なエネルギーのレーザー光Lでレーザーリフトオフが確実に行なえる。すなわち、過大なエネルギーのレーザー光Lによってチップ部品を破損するようなことが防げる。このため、図4(b)の露光工程で用いるフォトマスクPMによって遮光する遮光領域を、レーザーリフトオフ工程のレーザー照射範囲内としておくことが望ましい。 【0046】 さらに、レーザー光Lのスポット径が小さめであってもチップ部品C周辺部は粘着保持されていないので、チップ部品C全体を剥離することが容易となる。このため、転写対象に隣接するチップ部品Cがレーザー光Lの影響を受けることも防げる。 【0047】 結果として、図5(c)に示したように、第1転写基板1から第2転写基板2に、チップ部品Cを破損することなく確実に転写することが出来る。 【0048】 なお、図5(c)に示した第2転写基板2の粘着層21は、チップ部品Cを保持する粘着性に加えて、第1転写基板1から転写されるチップ部品Cの衝撃を緩和する柔軟性も有していることが望ましい。」 (甲3-2) 「【0065】 1 第1転写基板 2 第2転写基板 3 転写先基板ステージ 4 転写基板保持手段 5 マスク配置手段 6 光源 7 レーザー光源 8 スライド機構 10 ベース基板 11 粘着層 11A 粘着部 11B 低粘着部(非粘着部) 20 ベース基板 21 粘着層 22 衝撃吸収層 70 レーザー光源スライダー 101 転写装置 102 スペーサー B バンプ C、CW チップ部品 L レーザー光 PM フォトマスク S 配線基板 UV 粘着層を硬化させる波長を含む光 W ウェハ基板 ・・・ [図:0001409085000002.jpg] [図:0001409085000003.jpg] 」 (4)甲4には、次の記載がある。 (甲4-1) 「【0025】 このような粘着力低減型粘着剤としては、例えば、放射線硬化型粘着剤(放射線硬化性を有する粘着剤)や加熱発泡型粘着剤などが挙げられる。本実施形態の粘着剤層12においては、一種類の粘着力低減型粘着剤が用いられてもよいし、二種類以上の粘着力低減型粘着剤が用いられてもよい。また、粘着剤層12の全体が粘着力低減型粘着剤から形成されてもよいし、粘着剤層12の一部が粘着力低減型粘着剤から形成されてもよい。例えば、粘着剤層12が単層構造を有する場合、粘着剤層12の全体が粘着力低減型粘着剤から形成されてもよいし、粘着剤層12における所定の部位(例えば、半導体ウエハなど加工対象物の貼着対象領域である中央領域)が粘着力低減型粘着剤から形成され、他の部位(例えば、リングフレームの貼着対象領域であって、中央領域の外側にある領域)が粘着力非低減型粘着剤から形成されてもよい。また、粘着剤層12が積層構造を有する場合、積層構造をなす全ての層が粘着力低減型粘着剤から形成されてもよいし、積層構造中の一部の層が粘着力低減型粘着剤から形成されてもよい。」 (5)甲5には、次の記載がある。 (甲5-1) 「【0026】 【図1】粘着剤層を1つ備える両面粘着型の粘着シートの模式図 【図2】基材の両面にそれぞれ粘着剤層が形成された両面粘着型の粘着シートの模式図 【図3】基材の片面に粘着剤層が形成された片面粘着型の粘着テープの模式図」 (甲5-2) 「【0031】 基材レス粘着シートとしては、例えば、図1に示されるように、粘着剤層2の両面に剥離ライナー4が貼り付けられている粘着シート1が挙げられる。これに対し、基材付き粘着シートとしては、例えば、図2に示されるように、基材3の両面にそれぞれ粘着剤層2が形成され、各粘着剤層2の片面に剥離ライナー4が貼り付けられている粘着シート1Aが挙げられる。」 (甲5-3) 「【0174】 1,1A,1B…粘着シート、2…粘着剤層、3…基材、4…剥離ライナー、41…シリコーン系剥離剤からなる剥離層、42…支持基材」 (甲5-4) 「 [図:0001409085000004.jpg] 」 (6)甲6には、次の記載がある。 (甲6-1) 「【0016】 ここに開示される粘着シートは、例えば、図1~図6に模式的に示される断面構造を有するものであり得る。このうち図1,図2は、両面粘着タイプの基材付き粘着シートの構成例である。図1に示す粘着シート1は、基材10の両面(いずれも非剥離性)に粘着剤層21,22が設けられ、それらの粘着剤層が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている(すなわち、該粘着剤層側に図示しない剥離層が付与された;以下同じ)剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護された構成を有している。図2に示す粘着シート2は、基材10の両面(いずれも非剥離性)に粘着剤層21,22が設けられ、それらのうち一方の粘着剤層21が、両面が剥離面となっている剥離ライナー31の第1面により保護された構成を有している。粘着シート2は、該粘着シートを巻回して粘着剤層22を剥離ライナーの第2面に当接させることにより、粘着剤層22もまた剥離ライナー31によって保護された構成とすることができる。」 (甲6-2) 「【符号の説明】 【0112】 1,2,3,4,5,6:粘着シート 10:基材 21,22:粘着剤層 31,32:剥離ライナー」 (甲6-3) 「 [図:0001409085000005.jpg] 」 (7)甲7には、次の記載がある。 (甲7-1) 「【請求項1】 はく離ライナーで粘着面が保護された粘着剤層を形成するための樹脂組成物であって、 下記条件T1、T2における前記粘着面に対する水の接触角θ1、θ2の変位Rが5°以下であり、 前記樹脂組成物が、アクリル系ポリマー及びシリコーン系ポリマーから選ばれる少なくとも1種のベースポリマー、及び架橋剤を含有し、 前記粘着剤層が、仮固定材上に配置された電子部品を受け取るために使用される、樹脂組成物。 T1:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離した直後 T2:23℃環境下で前記はく離ライナーを剥離し、前記粘着面を大気環境下で2時間曝露後 θ1:T1での前記粘着面の水接触角(°) θ2:T2での前記粘着面の水接触角(°) 変位R(°)=θ2-θ1 【請求項2】 前記粘着剤層が、仮固定材上に電子部品が配置された面と対向して隙間を設けて配置され、電子部品を受け取るために使用される、請求項1に記載の樹脂組成物。 【請求項3】 前記粘着剤層の前記粘着面に対する下記条件の鉄球落下試験による粘着剤層の沈み込み深さの前記粘着剤層の厚さに対する割合(沈み込み深さ/厚さ×100)が、15%以上である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。 鉄球落下試験:1gの鉄球を高さ1mから粘着面に自由落下させる。 【請求項4】 前記粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での初期粘着力F0と、放射線照射後の前記粘着剤層の前記粘着面のステンレスに対する常温での粘着力F1において、下記式で示される放射線照射時粘着力の変化率が95%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 放射線照射時粘着力の変化率(%)=(F0-F1)/F0×100 【請求項5】 前記粘着剤層の厚みが、1μm以上500μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 【請求項6】 アクリル系粘着剤組成物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 【請求項7】 前記粘着剤層が、前記粘着面とは反対側の面に別の粘着剤層が積層されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 【請求項8】 前記粘着剤層が、前記粘着面とは反対側の面に基材層が積層されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 【請求項9】 前記基材層の前記粘着剤層が積層されていない面に、別の粘着剤層が積層されている、請求項8に記載の樹脂組成物。 【請求項10】 前記基材層が、ポリエステルフィルムから形成される、請求項8又は9に記載の樹脂組成物。 【請求項11】 請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂組成物により形成される粘着剤層。 【請求項12】 請求項11に記載の粘着剤層を有する粘着シート。」 第5 取消理由について 1 取消理由の概要 当審が、令和5年4月11日付けで通知した取消理由は、以下のとおりである。 取消理由1(実施可能要件):この出願は、発明の詳細な説明が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 取消理由2(明確性要件):この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 取消理由3(サポート要件):この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 取消理由4(同日出願):この出願の請求項1~10に係る発明は、同日出願された特許第7084535号(以下「同日出願」という。)に係る発明と同一と認められ、かつ、前記同日出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。 2 取消理由1(実施可能要件)について (1) 取消理由1は、要するに、実施例・比較例で用いられたはく離ライナー1~8は、前記説明の中のいずれの種類の剥離剤を含むものに該当するのかが不明であり、実施例1~5及び比較例1~2において、架橋剤の添加量は記載されているものの、官能基の数が特定されておらず、架橋度は不明であり、また、実施例1~3と、比較例1~2を比べると、粘着剤層の組成はほぼ同じなのに、「変位R」や「プローブタック変化率」が大きく異なることが示されている。 そうすると、どの程度の架橋度でどのような剥離剤を用いれば、本件発明で特定される「変位Rが5°以下」を満たし、どの程度の架橋度でどのような剥離剤を用いれば、本件発明1で特定される「変位Rが5°以下」を満たさないのかが不明であるし、本件発明1で特定される「樹脂組成物」の組成や「剥離剤」の種類と、「変位Rが5°以下」という特性との間の相関関係も明らかでなく、また、本件特許の出願当時の技術常識に基づけば前記相関関係が理解できるものでもないから、「樹脂組成物」や「剥離剤」の成分やその配合量等を逐一変更して「変位Rが5°以下」を満たすか否かを確認しなければならず、過度の試行錯誤を要するものと認められる。 したがって、発明の詳細な説明は、本件発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない、というものである。 (2) しかしながら、本件明細書(上記第3の2を参照。)の段落【0149】には「前記はく離ライナーの前記粘着面に対する剥離力が0.15N/50mm以上であるという構成は、前記変位Rを5°以下に調整し、はく離ライナーを剥離後に大気環境下に曝露された状態でも、粘着面の濡れ性が経時的に変化しにくく、電子部品を搬送する際の位置ずれや脱落を防止できるという点で、好適である。」と記載されている。 また、実施例1~5において、「前記はく離ライナーの前記粘着面に対する剥離力」がいずれも0.15N/50mm以上になっており、比較例1~2においては、いずれも、0.15N/50mm未満になっている。 さらに、本件発明1は、「前記はく離ライナーの前記粘着剤層の前記粘着面に対する剥離力が0.15N/50mm以上」であるものに限定されている。 以上のとおり、本件明細書には、変位Rを5°以下に調整する手段について、はく離ライナーの粘着面に対する剥離力を0.15N/50mm以上に調整することである旨の説明が記載されており、かつ、この説明が実施例、比較例の記載によって裏付けられている。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであると認められるから、本件発明に係る特許を、取消理由1によって取り消すべきものとすることはできない。 (3) 申立人は、令和5年8月8日提出の意見書10頁の「(3)取消理由1(実施可能要件)」の項において、取消理由1の前提となっている審尋の回答が適切でない(アの段落)、実施例におけるはく離ライナーが「シリコーン系剥離剤」を含むこと自体、不明である(ウの段落)、 架橋の進行スピードに関連する特許権者の主張は根拠に基づかない内容である(ウの段落)、実施例における剥離剤の種類や量自体も、依然不明のままである(ウの段落)等と主張しているが、上記のとおり、はく離ライナーの粘着面に対する剥離力を調整することにより、変位Rを5°以下にし得ることを理解できるのであるから、これらの主張の当否は、いずれも、上記(2)の判断に影響を与えるものではない。 3 取消理由2(明確性要件)について (1) 取消理由2は、要するに、本件発明1で特定される「変位R」の値は、同一の樹脂組成物であっても、その測定タイミングによってその値が変化すると考えられるので、「変位R」で特定される本件発明1は、発明として明確とはいえず、第三者に不測の不利益を生じる恐れがある、というものである。 (2) しかしながら、一般に、粘着剤に含まれるポリマーの架橋点としての官能基の総量は、添加される架橋剤の官能基の総量よりも大過剰で使用されるため、粘着剤層を乾燥して、成膜した時点で、架橋反応は十分に進行しており、剥離剤の粘着剤層への移行も十分に進んで平衡状態に達した状態で、はく離ライナーにより、外気が外光などから保護され、長時間安定した状態で維持されるものである。そして、剥離ライナーの剥離後は、上記平衡が崩れて剥離剤がブリードアウトしてくるので、変位Rの値は、剥離前の保管時間の長短による変化は少ないものと認められる。 したがって、「変位R」で特定される本件発明が、第三者に不測の不利益を生じる恐れがある、とはいえないから、本件発明に係る特許を、取消理由2によって取り消すべきものとすることはできない。 (3) 申立人は、令和5年8月8日提出の意見書10頁の「(4)取消理由2(明確性要件)」の項において、取消理由2の前提となっている審尋の回答について、いずれも証拠に基づく裏付けのないものであるから適切でないと主張している。しかし、申立人の主張は、反証などの証拠に基づくものではなく、単に特許権者の主張には適切でないものが含まれていると指摘するにとどまるものであって、上記(2)の判断を左右する内容を含むものとはいえない。 4 取消理由3(サポート要件)について (1) 取消理由3は、要するに、本件発明が解決しようとする課題は、電子部品の搬送における位置ずれや脱落の防止である(上記第4の2の段落【0009】を参照。)が、本件明細書の発明の詳細な説明の記載(特に、段落【0040】)の記載によれば、電子部品の搬送に好ましい接触角は110~120°程度であるから、実質的に電子部品をピックアップできない接触角が180°に近い範囲や、電子部品との粘着が強すぎる接触角が0°に近い範囲を含む本件発明は、前記課題を解決できない部分を含むものであり、サポート要件を満たしていない、というものである。 (2) しかし、本件発明が解決しようとする課題は、より具体的にいえば、はく離ライナーを剥離した直後と粘着面を大気環境下で2時間曝露後とを比べて、電子部品の搬送における位置ずれや脱落の頻度が増加していなければ、その課題を解決することができたと判断するというものであり、具体的な位置ずれや脱落の頻度がどの程度であるのかは問わないものであると認められる。 また、はく離ライナーを剥離した直後と粘着面を大気環境下で2時間曝露後とを比べて、変位Rが5°以下である実施例はいずれも搬送性が○であるのに対し、はく離ライナーを剥離した直後と粘着面を大気環境下で2時間曝露後とを比べて、変位Rが5°超である比較例はいずれも搬送性が×であることも考慮すれば、本件発明は本件明細書に記載された発明であり、その明細書の記載により、当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 そうすると、本件発明に係る特許を、取消理由3によって取り消すべきものとすることはできない。 (3) 申立人は、令和5年8月8日提出の意見書の「(5)取消理由3(サポート要件)」の項において、特許権者の主張が課題を解決できない部分を含むことを自認しているものであるとか、当を得ないものであると主張している(12頁イ、ウの段落)。 しかしながら、申立人の主張は、単に特許権者の主張を自身に有利に解釈することができることを指摘するにとどまるものであると認められ、本件明細書の記載や技術常識に基づいてサポート要件違反を主張する内容を含むものとはいえない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 5 取消理由4(同日出願)について 取消理由4は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、同日出願の請求項1を引用する請求項11を更に引用する請求項12に係る発明(以下「同日発明1-12」という。)と同一であり、また、本件特許の特許請求の範囲の請求項2~10に係る発明は、それぞれ、同日出願の請求項2~10を引用する請求項11を更に引用する請求項12に係る発明(以下、それぞれ、「同日発明2-12」~「同日発明10-12」という。)と同一である、というものである。 これに対し、本件訂正が認められたので、本件発明1~10は、少なくとも、「前記はく離ライナーの前記粘着剤層の前記粘着面に対する剥離力が0.15N/50mm以上5N/50mm以下であり」と特定されている点で、同日発明1-12~同日発明10-12と相違している。 したがって、本件発明に係る特許を、取消理由4によって取り消すべきものとすることはできない。 第6 取消理由通知で採用しなかった申立理由について 申立理由のうち、取消理由通知で採用しなかった理由は、申立理由1~3、5、6である。 1 申立理由1(実施可能要件)について (1)申立理由1のうち、取消理由1で採用しなかった理由の概要は、以下のとおりである。 ア 所定の物性を満たす樹脂組成物を製造できるアクリル系ポリマーが製造可能な程度にその重合条件が記載されていない(異議申立書の86~87頁の「a アクリル系ポリマーが製造可能に記載されていない」の項)。 イ アクリル系ポリマーの実施例がアクリルポリマーAのみなので、アクリル系ポリマー全般について所定の物性を満たす樹脂組成物を製造できる程度にそのモノマーの構成が記載されていない(異議申立書の87頁の「b アクリル系ポリマー全般について、所定の物性を満たす樹脂組成物を製造できるように記載されていない」の項)。 ウ 所定の物性を満たす樹脂組成物を製造できる程度に架橋反応の時期的条件についての記載がない(異議申立書の89~90頁の「d 粘着剤ないし粘着シートを調製する際の架橋の条件が記載されていない」の項、及び、異議申立書の93~94頁の「h 粘着剤ないし粘着シートを調製する際の架橋の条件が記載されていない」の項)。 エ シリコーン系ポリマーの実施例が2例のみなので、シリコーン系ポリマー全般について所定の物性を満たす樹脂組成物を製造しようとすると過度の試行錯誤を要する(異議申立書の91頁の「f シリコーン系ポリマー全般について、所定の物性を満たす樹脂組成物を製造できるように記載されていない。」の項)。 (2)しかしながら、上記第5の2(2)において説示したとおり、本件明細書には、変位Rを5°以下に調整する手段について、はく離ライナーの粘着面に対する剥離力を0.15N/50mm以上に調整することである旨の説明が記載されており、かつ、この説明が実施例、比較例の記載によって裏付けられている。また、剥離ライナーの剥離力は、様々な剥離力の粘着シートが市販されていることからも明らかなとおり、当業者であれば格別の説明が記載されていなくても適宜所望の値に調整することができると認められる。 そうすると、これらの主張の当否にかかわらず、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであると認められるから、これらの主張は、いずれも採用できない。 2 申立理由2(明確性要件)について (1)申立理由2のうち、取消理由2で採用しなかった理由の概要は、以下のとおりである。 本件発明の「変位R」は、本件発明の「粘着シート」を特定する事項以外の外的要因、すなわち、粘着剤ないし粘着シートを調製する際の架橋の条件や、はく離ライナーにおける剥離剤の種類や量や、水接触角の経時的変化Rを測定するタイミングによって大きく変化し得るから、本件発明の「粘着シート」は、物の発明としての外延が不明確である(異議申立書の95~96頁の「j 「粘着シート」の外延が不明確である」の項)。 (2)しかしながら、粘着剤ないし粘着シートを調製する際の架橋の条件や、はく離ライナーにおける剥離剤の種類や量は、粘着シートの製造条件に関する事項であり、これらの条件を変更した結果、得られた粘着シートの変位Rが5°を超えた場合には、本件発明の粘着シートに該当しないものとなることが明らかであるから、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、明確である。 そうすると、申立人の主張は、いずれも採用できない。 3 申立理由3(サポート要件)について (1)申立理由3のうち、取消理由3で採用しなかった理由の概要は、以下のとおりである。 ア 本件発明の「変位R」は、本件発明の「粘着シート」を特定する事項以外の外的要因によって大きく変化し得るから、本件発明の「粘着シート」の変位Rが5°以下になるかどうかは、外的要因次第であり、本件発明の「粘着シート」は、物の発明として、課題を解決するために必要かつ十分な内容が反映されているとはいえない(異議申立書の98~99頁の「m 「粘着シート」という物の発明として、課題を解決するために必要かつ十分な事項が記載されていない」の項)。 イ 変位Rの値が絶対値の大きな負の値である場合には課題を解決することができないと考えられる(異議申立書の99~100頁の「n 変位Rの下限値が特定されていない」の項)。 (2)しかしながら、上記アについては、上記2(2)で説示したとおり、申立人の主張する外的要因によって変位Rの値が5°を超えたものは本件発明に該当しないものであり、上記第5の4(2)で説示したとおり、「樹脂組成物」の変位Rが本件発明で特定される範囲であれば、本件発明の課題を解決できることを認識できるものであるから、その主張は採用できない。また、上記イについては、単なる可能性を述べているだけであって、変位Rの値が絶対値の大きな負の値である場合には課題を解決することができないことを具体的に立証していないので、変位Rの値が絶対値の大きな負の値である場合には課題を解決することができないとまではいえない。 したがって、上記イの主張も採用できない。 4 申立理由5、6(新規性・進歩性)について (1)申立理由5、6は、主たる証拠として甲1又は甲2を引用するものである。 まず、甲1を主たる証拠とした場合について検討する。甲1の[0191]の製造例3に着目すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 (甲1発明) 「基材フィルム、粘着剤層及び軽剥離フィルムがこの順に積層された転写テープであって、 前記粘着剤層は、ブチルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=85/15(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて得られた、質量平均分子量(Mw)60万のエネルギー線硬化型アクリル系共重合体を、粘着性樹脂として用い、当該エネルギー線硬化型アクリル系共重合体の固形分100質量部に対して、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロフェニルケトン(BASF社製、製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤であるトリレンジイソシアネート系架橋剤(東ソー社製、製品名「コロネートL」)0.45質量部とを溶媒中で混合したものであり、 粘着シートの粘着剤層に貼付された半導体ウエハを複数の半導体チップに分断したものを転写するために用いられるものであり、転写後は、前記粘着シートは半導体チップから除去されるものである、転写テープ。」 (2)そこで、本件発明と甲1発明を対比すると、本件発明は、「下記条件T1、T2における前記粘着面に対する水の接触角θ1、θ2の変位Rが5°以下であり、」(T1、T2の説明の記載を省略する。)と特定されているのに対し、甲1発明はそのような特定を備えていない点(以下「相違点」ともいう。)で相違している。 (3)そして、上記第5の2(2)で説示したとおり、本件発明は、はく離ライナーの粘着面に対する剥離力を0.15N/50mm以上に調整することによって変位Rを5°以下に調整しているところ、甲1発明の剥離力は不明確であるから、甲1発明が一応の相違点に係る構成(変位Rが5°以下)を満たすとはいえない。 (4)よって、本件発明は、甲1発明ではないし、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 (5)また、甲2を主たる証拠た場合についても、甲1を主たる証拠とした場合と同様の相違があるから、本件発明は、甲2発明ではないし、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 (6)そうすると、さらに検討するまでもなく、申立理由5、6によって本件発明に係る特許を取り消すべきものとすることはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によっては、本件請求項1~3、5~10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~3、5~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件請求項4に係る特許異議の申立ては、対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701236

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