特許異議申立
2022-701199
商品販売システム
- 審判番号
- 2022-701199
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-123140
- 登録番号
- 7086143
- 請求日
- 2022年12月02日
- 審決日
- 2023年03月28日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社 阪急阪神百貨店
- 【権利者代理人】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
- 【異議申立人】飯田 進
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼田 耕一
- 審判官 野崎 大進
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P1651.55 -Y (G06Q) / P1651.1 -Y (G06Q) / P1651.121-Y (G06Q) / P1651.537-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条、特許法第2条、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7086143号発明「商品販売システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7086143号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7086143号の請求項1ないし4に係る特許についての出願は,令和2年7月17日を出願日とする特許出願であって,令和4年6月9日に特許権の設定登録がされ,令和4年6月17日に特許掲載公報が発行された。その後,令和4年12月2日に特許異議申立人 飯田 進(以下,「申立人」という。)により,特許異議の申立てがなされ,令和5年3月2日付けで特許権者により上申書が提出された。
第2 本件特許発明
特許第7086143号(以下,「本件特許」という。)の請求項1ないし4の特許に係る発明(以下,それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明4」という。)は,それぞれ,特許請求の範囲に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
商品販売システムであって,
電話,グループ通信アプリケーションによる音声通話,グループ通信アプリケーションによるチャット機能の何れかにより顧客の通信端末との通信を行う通信手段と,
前記通信手段を用いて顧客応対を行った店員から商品の発注登録を受け付け,発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URLを発行し,注文用URLを含むメッセージを顧客の通信端末に送信する店舗端末と,
注文用URLにより指定されるディレクトリを含み,ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面へと切り替える内容の画面遷移を,通信端末のブラウザに実行させるページ定義ファイルを格納したストレージと,
ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面に対してなされた操作に基づき決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続きを実行するECサーバーとを含む
ことを特徴とする商品販売システム。
【請求項2】
前記店舗端末は,商品発注の受け付けに先立ち,商品の売り場に関する情報の入力の受け付けを行い,
前記商品の売り場に関する情報は,サイト,商品場所区分,送料区分を含み,
前記発送伝票の起票は,サイト,商品場所区分,送料区分に基づく,送料の自動判定を含むことを特徴とする請求項1に記載の商品販売システム。
【請求項3】
既になされた商品発注を示すレコードによって構成されるweb決済データベースを有し,
前記web決済データベースは,入金コード,商品名を示し,
商品発注を受け付ける際,登録済み商品選択ボタンを表示し,当該ボタンが押下されれば入金コード,商品名の何れか,又は,これらの組合せを検索条件として前記web決済データベースのレコードの検索を実行し,
検索条件に合致したレコードについては,再利用ボタンを付して表示することで,レコードの再利用を受け付ける
ことを特徴とする請求項1に記載の商品販売システム。
【請求項4】
サービスの会員となる顧客の個人情報を蓄積した会員データベースを有し,
個人情報は,贈答品の発注を行う場合の届け先を記載したアドレス帳を含み,
カートページがアクセスされた際,会員データベースに登録されているアドレス帳の表示の要求を顧客から受け付け,顧客により前記アドレス帳の表示が要求された場合,アドレス帳の中から贈答品の送付先を選び,顧客によりアドレス帳の表示が要求されなかった場合,顧客の住所を購入品の送付先とする
ことを特徴とする請求項1に記載の商品販売システム。」
第3 申立理由の概要
申立人は,特許異議申立書(以下,「申立書」という。)において,以下の理由1ないし5により,本件特許発明1ないし4についての特許を,取り消すべきである旨主張している。
1 理由1(新規事項追加:特許法第17条の2第3項)
申立人は,本件特許の令和4年2月22日付け手続補正書による請求項2に係る補正は,同日付の意見書において本願明細書の段落0065が根拠であるとされているところ,当該段落には,ECサーバーにより実行される「発送伝票の起票」が,「サイト,商品場所区分,送料区分に基づく,送料の自動判定を含むこと」は,記載されておらず,また,当該段落の記載から自明の事項ということもできないため,上記補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから,本件特許発明2は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対して特許されたものである旨主張している。(申立書6頁2行~7頁1行)
2 理由2(発明該当性:特許法第29条柱書)
申立人は,本件特許発明1ないし4は,いずれも,通信手段,店舗端末,ストレージ,ECサーバーの間の技術的関連がなんら特定されていないから,全体として,「ソフトウエアとハードウエア資源とが協働する」とはいえず,特許法第2条にいう「発明」には該当しないから,特許法第29条柱書の規定に違反して特許されたものである旨主張している。(申立書7頁2行~頁15行)
3 理由3(進歩性:特許法第29条第2項)
申立人は,主たる証拠として下記の甲1号証を提出し,従たる証拠として下記の甲2号証ないし甲7号証を提出し,請求項1,3および4に係る発明は,主たる証拠に記載された発明及び従たる証拠に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,請求項1-4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。(申立書8頁16行~22頁16行)
記
甲1号証:特開2014-178755号公報
甲2号証:「阪急阪神百貨店山口社長『リアル店舗の強みをOMOで拡張』」(電子版:有料会員限定),株式会社繊研新聞社,2020年6月18日,インターネット<URL:https://senken.co.jp/posts/hankyu-hanshin-dept-200618>
甲3号証:特開2018-120645号公報
甲4号証:特許第5452772号公報
甲5号証:特開2004-139317号公報
甲6号証:特開2003-288507号公報
甲7号証:特開2002-128222号公報
4 理由4(サポート要件:特許法第36条第6項第1号)
申立人は,本件特許発明1ないし4は,いずれも,発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されていないため発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求していることになるから,請求項1-4に係る特許は特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許された旨主張している。(申立書22頁17行~23頁20行)
5 理由5(明確性要件:特許法第36条第6項第2号)
申立人は,特許請求の範囲に記載された複数の用語に「前記」がないか,あるいは,用語が統一されていないため,発明特定事項同士の関係が整合しておらず,また,発明特定事項同士の技術的関連がないため,発明が不明確となっており,請求項1ないし4に係る特許は特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許された旨主張している。(申立書23頁21行~24頁下から8行)
第4 甲号証
1 甲1号証
(1)甲1号証の記載
甲1号証には,図面とともに以下の記載がある(下線は当審付与。以下同様。)。
ア「【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は,情報処理方法,プログラム,および情報処理システムに関し,特に,双方向対話型システム(以下「ICS(Interactive Communication System)」という)を利用したサービスを提供する情報処理方法,プログラム,および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来,消費者が店舗に行かずに,店舗にいるかのような状況で商品を購入できる仕組みとして,ネットワークカメラを用いたオンラインショッピングシステムが知られている。例えば,特許文献1には,インターネットと,ネットワークカメラと,LAN(Local Area Network)と,を用いたオンラインショッピングシステムが開示されている。
【0003】
しかしながら,このようなオンラインショッピングシステムでは,消費者は,オンラインショッピングサイトにアクセスして,ネットワークカメラを介して商品の画像を見ながら購入したい商品を探すことができるが,店舗にいる担当者から商品説明を受けることはできない。すなわち,従来のオンラインショッピングシステムでは,消費者が店舗に行かなくても商品を購入することができるという利点を提供することはできるが,消費者が担当者から商品説明を受けられるという店舗の利点を提供することができない。
【0004】
また,オンラインショッピングシステムには,不特定多数の消費者がランダムにアクセスする可能性があるため,消費者に合わせた商品説明を提供することは困難である。
【0005】
すなわち,従来のオンラインショッピングシステムでは,消費者が店舗に行かずに商品を購入することができるという利点と,消費者に合わせた商品説明を提供することができないという欠点とが共存している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2002-163469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は,これに鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,顧客が店舗に行かなくても担当者から自身に合った商品説明を受けながら商品を購入するような,ICSサービスを提供することである。」
イ 図1
[図:0001396311000001.jpg]
ウ「【0012】
本実施形態の情報処理システムについて説明する。図1は,本実施形態の情報処理システム1の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように,情報処理システム1は,サーバ10と,第1端末装置30Aと,第2端末装置30Bと,ネットワーク50と,を備える。サーバ10と,第1端末装置30Aと,第2端末装置30Bと,はネットワーク50を介して互いに接続される。以下の説明では,適宜,第1端末装置30Aと第2端末装置30Bを総称して「端末装置30」という。ネットワーク50は,有線ネットワークであっても良いし,無線ネットワークであっても良い。
【0014】
サーバ10は,ICSサービスの予約の受付と,ICSサービスの管理と,ICSサービスの提供と,を行う装置である。サーバ10には,会場スケジュールデータベース(以下「DB」という)20と,担当者スケジュールDB22と,担当者実績DB24と,顧客ログDB26とが接続される。
【0015】
会場スケジュールDB20には,会場スケジュール情報が格納される。会場スケジュール情報とは,ICSサービスにおいて使用される会場(全店舗の会場)のスケジュール(使用可能日時)を示す情報である。
【0016】
担当者スケジュールDB22には,担当者スケジュール情報が格納される。担当者スケジュール情報とは,ICSサービスにおいて説明を担当する販売担当者のスケジュール(担当可能日時)を示す情報である。
【0017】
担当者実績DB24には,担当者実績情報が格納される。担当者実績情報とは,販売担当者による顧客対応(例えば,実店舗における商品説明)の履歴を示す情報である。
【0018】
顧客ログDB26には,顧客ログ情報が格納される。顧客ログ情報とは,顧客(すなわち,ICSサービスを利用して商品を購入するユーザ)の行動履歴(例えば,購買履歴およびウエブアクセス履歴)を示す情報である。
【0019】
第1端末装置30Aは,顧客により操作される。第2端末装置30Bは,販売担当者により操作される。例えば,端末装置30は,デスクトップコンピュータ,ノートブックコンピュータ,携帯電話,スマートフォン,またはタブレット端末である。」
エ 図4
[図:0001396311000002.jpg]
オ 「【0039】
図4は,本実施形態の情報処理のフローチャートである。
【0040】
図4に示すように,本実施形態の情報処理は,会員登録をしていない新規ユーザの会員登録を受け付けるための会員登録受付(S1),会員登録済みの会員ユーザからのICSサービスの予約を受け付けるための予約受付(S2),およびICSサービス(S3)の順に行われる。」
カ 「【0050】
<S1-12> サーバ10が,会員情報を登録する。
【0051】
具体的には,プロセッサ12が,表示部14に,図10の入会申込一覧画面を表示する。入会申込一覧画面には,会員登録を行ったユーザの会員情報の少なくとも一部(例えば,姓名,生年月日,性別,ログインID,電話番号,および住所)が表示される。この会員情報は,メモリ11に格納される。すなわち,メモリ11には,第1ユーザ(顧客)に提供すべき商品説明の内容を決める際に参照される商品説明情報が格納される。商品説明情報は,図7の登録店舗選択欄W1-30dで選択された登録店舗と,図8のプロフィール情報入力欄W1-30fに入力されたプロフィール情報と,図9のブランド検索欄W1-30hで検索されたブランドと,を含む。
【0052】
次に,プロセッサ12が,ウェブサーバ上に申込者のマイページを開設する。次に,通信部13が,ネットワーク50を介して第1端末装置30Aに,登録完了通知を送信する。登録完了通知には,会員登録が完了した旨のメッセージと,マイページのロケーション情報(例えば,URL(Uniform Resource Locator))と,が示される。これにより,会員登録受付(S1)が終了する。」
キ 図16
[図:0001396311000003.jpg]
ク「【0073】
図16は,本実施形態のICSサービス(S3)のシーケンス図である。
【0074】
<S3-10> サーバ10が,第1端末装置30Aおよび第2端末装置30Bに予約確認通知を送信する。
【0075】
具体的には,通信部13が,所定のタイミング(例えば,予約日の前日の午前中)で,ネットワーク50を介して第1端末装置30Aおよび第2端末装置30Bに,予約確認通知を送信する。予約確認通知には,予約日および販売シナリオを知らせるためのメッセージが含まれる。
【0076】
なお,予約内容を変更する場合には,図12のマイページ画面で,第1ユーザが,第1操作部35aを操作して,「予約照会・変更」W2-32bを選択し,新しい予約日を入力するか,または,予約のキャンセルを選択すると,プロセッサ12が,新しい予約日に基づいて販売シナリオを更新するか,または,予約をキャンセルする。次に,通信部13が,ネットワーク50を介して第1端末装置30Aおよび第2端末装置30Bに,予約確認通知を送信する。この予約確認通知には,変更後の予約日および更新後の販売シナリオ,または予約がキャンセルされたことを知らせるメッセージが含まれる。
【0077】
<S3-30> 予約開始時間(例えば,販売シナリオの予約時間の開始時間)になると,第1端末装置30Aおよび第2端末装置30Bは,ICS販売を開始する。
【0078】
具体的には,第1プロセッサ32aが,第1表示部34aに,第1端末装置30Aと第2端末装置30Bとの接続の確立許可を要求するためのポップアップ画面を表示する。ポップアップ画面で,第1ユーザ(顧客)が当該要求を承認すると,第1通信部33aおよび第2通信部33bがネットワーク50を介して接続を確立する。次に,第1プロセッサ32aが,第1表示部34aに,図17(A)の顧客画面を表示し,かつ,第2プロセッサ32bが,第2表示部34bに,図17(B)の販売担当者画面を表示する。」
ケ 図17
[図:0001396311000004.jpg]
コ「【0079】
顧客画面には,メインウインドウW3-30aと,サブウインドウW3-30bとが含まれる。メインウインドウW3-30aには,第2画像取得部38bが取得した第2ユーザ(販売担当者)の画像(ネットワーク50を介して第2端末装置30Bから送信された画像)が表示される。サブウインドウW3-30bには,第1画像取得部38aが取得した第1ユーザ(顧客)の画像が表示される。第1音声出力部37aからは,第2音声入力部36bが受け付けた第2ユーザ(販売担当者)の音声(ネットワーク50を介して第2端末装置30Bから送信される音声)が出力される。
【0080】
販売担当者画面には,メインウインドウW3-30cと,サブウインドウW3-30dとが含まれる。メインウインドウW3-30cには,第1画像取得部38aが取得した第1ユーザ(顧客)の画像(ネットワーク50を介して第1端末装置30Aから送信された画像)が表示される。サブウインドウW3-30dには,第2画像取得部38bが取得した第2ユーザ(販売担当者)の画像が表示される。第2音声出力部37bからは,第1音声入力部36aが受け付けた第1ユーザ(顧客)の音声(ネットワーク50を介して第2端末装置30Bから送信される音声)が出力される。
【0081】
第2ユーザ(販売担当者)は,S2-12で作成された販売シナリオに沿って,第2画像取得部38bが取得した商品の画像(図17(A)のメインウインドウW3-30aおよび図17(B)のサブウインドウW3-30dに表示された画像)と,第2音声入力部36bが受け付けた第2ユーザ(販売担当者)の音声と,第2操作部35bの操作と,を組み合わせて,第1ユーザ(顧客)に対して商品説明を行う。
【0082】
第1ユーザ(顧客)は,第1音声入力部36aが受け付けた第1ユーザ(顧客)の音声と,第1操作部35aの操作と,を組み合わせて,第2ユーザ(販売担当者)に購入を希望する商品を伝える。
【0083】
第2ユーザ(販売担当者)は,第2操作部35bを操作して,図12のマイページ画面の「カート」W2-32cを選択し,第1ユーザ(顧客)が購入を希望する商品の商品コードを入力すると,プロセッサ12が,メモリ11に構築されたカート領域に当該商品コードを蓄積する。」
サ 図12
[図:0001396311000005.jpg]
シ「【0084】
販売シナリオが終了するまで上記の対応が繰り返される。販売シナリオが終了すると,第2ユーザ(販売担当者)は,第2音声入力部36bが受け付けた第2ユーザ(販売担当者)の音声と,第2操作部35bの操作と,を組み合わせて,第1ユーザ(顧客)に対して決済手続の説明を行い,アプリケーションプログラムを閉じる。次に,第2通信部33bが,ネットワーク50を介してサーバ10に,蓄積した商品コードを送信する。
【0085】
<S3-12> サーバ10が,購入確認通知を第1端末装置30Aに送信する。
【0086】
具体的には,通信部13が,ネットワーク50を介して第1端末装置30Aに,購入確認通知を送信する。購入確認通知には,購入を希望する商品の一覧(商品名,金額,および商品コード)と,決済情報(例えば,クレジットカード番号および暗唱番号)の入力を促すメッセージ(例えば,マイページのカート画面のロケーション情報)と,が含まれる。
【0087】
<S3-32a> 第1端末装置30Aが,決済情報を受け付ける。
【0088】
具体的には,第1プロセッサ32aが,第1表示部34aに,マイページのカート画面を表示する。カート画面で,第1ユーザ(顧客)が,第1操作部35aを操作して,商品の一覧を確認しながら決済情報を入力すると,第1通信部33aが,ネットワーク50を介してサーバ10に,決済情報を送信する。
【0089】
<S3-14> サーバ10が,決済処理を行う。
【0090】
具体的には,プロセッサ12が,S3-32aで送信された決済情報に基づいて,所定の決済機関(例えば,クレジットカード会社)に対する請求情報を作成する。次に,通信部13が,ネットワーク50を介して,決済機関に請求情報を送信し,かつ,第1端末装置30Aおよび第2端末装置30Bに決済完了通知を送信する。決済完了通知には,商品コードと,決済が完了した旨を知らせるメッセージと,が含まれる。
【0091】
<S3-16> サーバ10が,配送処理を行う。
【0092】
具体的には,プロセッサ12が,商品コードに対応する商品の配送を手配するための配送伝票情報を作成する。次に,通信部13が,ネットワーク50を介して,所定の配送機関に配送伝票情報を送信し,かつ,第1端末装置30Aに配送案内通知を送信する。配送案内通知には,配送伝票情報と,配送予定を示すメッセージと,が含まれる。」
(2)甲1号証記載発明
上記(1)の記載から,特に下線部に着目すると,甲1号証には以下の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「双方向対話型システム(以下「ICS(Interactive Communication System)」という)を利用したサービスを提供する情報処理システムに関し,
顧客が店舗に行かなくても担当者から自身に合った商品説明を受けながら商品を購入するような,ICSサービスを提供する情報処理システム1であって,
情報処理システム1は,サーバ10と,第1端末装置30Aと,第2端末装置30Bと,ネットワーク50と,を備え,サーバ10と,第1端末装置30Aと,第2端末装置30Bと,はネットワーク50を介して互いに接続されており,
サーバ10は,ICSサービスの予約の受付と,ICSサービスの管理と,ICSサービスの提供と,を行う装置であり,サーバ10には,会場スケジュールデータベース(以下「DB」という)20と,担当者スケジュールDB22と,担当者実績DB24と,顧客ログDB26とが接続されており,顧客ログDB26には,顧客ログ情報が格納され,顧客ログ情報とは,顧客(すなわち,ICSサービスを利用して商品を購入するユーザ)の行動履歴(例えば,購買履歴およびウエブアクセス履歴)を示す情報であり,
第1端末装置30Aは,顧客により操作されるものであり,第2端末装置30Bは,販売担当者により操作されるものであり,端末装置30は,デスクトップコンピュータ,ノートブックコンピュータ,携帯電話,スマートフォン,またはタブレット端末であり,
情報処理は,会員登録をしていない新規ユーザの会員登録を受け付けるための会員登録受付(S1),会員登録済みの会員ユーザからのICSサービスの予約を受け付けるための予約受付(S2),およびICSサービス(S3)の順に行われ,
サーバ10が,会員情報を登録すると,プロセッサ12が,ウェブサーバ上に申込者のマイページを開設し,次に,通信部13が,ネットワーク50を介して第1端末装置30Aに,登録完了通知を送信するものであり,登録完了通知には,会員登録が完了した旨のメッセージと,マイページのロケーション情報(例えば,URL(Uniform Resource Locator))と,が示されており,
予約開始時間(例えば,販売シナリオの予約時間の開始時間)になると,第1端末装置30Aおよび第2端末装置30Bは,ICS販売を開始し,
第1端末装置30Aと第2端末装置30Bとの接続の確立許可を要求するためのポップアップ画面を表示し,ポップアップ画面で,第1ユーザ(顧客)が当該要求を承認すると,第1通信部33aおよび第2通信部33bがネットワーク50を介して接続を確立し,
顧客画面には,メインウインドウW3-30aと,サブウインドウW3-30bとが含まれ,メインウインドウW3-30aには,第2画像取得部38bが取得した第2ユーザ(販売担当者)の画像(ネットワーク50を介して第2端末装置30Bから送信された画像)が表示され,サブウインドウW3-30bには,第1画像取得部38aが取得した第1ユーザ(顧客)の画像が表示され,第1音声出力部37aからは,第2音声入力部36bが受け付けた第2ユーザ(販売担当者)の音声(ネットワーク50を介して第2端末装置30Bから送信される音声)が出力され,
販売担当者画面には,メインウインドウW3-30cと,サブウインドウW3-30dとが含まれ,メインウインドウW3-30cには,第1画像取得部38aが取得した第1ユーザ(顧客)の画像(ネットワーク50を介して第1端末装置30Aから送信された画像)が表示され,サブウインドウW3-30dには,第2画像取得部38bが取得した第2ユーザ(販売担当者)の画像が表示され,第2音声出力部37bからは,第1音声入力部36aが受け付けた第1ユーザ(顧客)の音声(ネットワーク50を介して第2端末装置30Bから送信される音声)が出力され,
第2ユーザ(販売担当者)は,第1ユーザ(顧客)に対して商品説明を行い,
第1ユーザ(顧客)は,第2ユーザ(販売担当者)に購入を希望する商品を伝え,
第2ユーザ(販売担当者)は,第2操作部35bを操作して,マイページ画面の「カート」W2-32cを選択し,第1ユーザ(顧客)が購入を希望する商品の商品コードを入力すると,プロセッサ12が,メモリ11に構築されたカート領域に当該商品コードを蓄積し,
販売シナリオが終了するまで上記の対応が繰り返され,販売シナリオが終了すると,第2ユーザ(販売担当者)は,第1ユーザ(顧客)に対して決済手続の説明を行い,アプリケーションプログラムを閉じ,次に,第2通信部33bが,ネットワーク50を介してサーバ10に,蓄積した商品コードを送信し,
次に,第2通信部33bが,ネットワーク50を介してサーバ10に,蓄積した商品コードを送信し,
サーバ10が,購入確認通知を第1端末装置30Aに送信し,購入確認通知には,購入を希望する商品の一覧(商品名,金額,および商品コード)と,決済情報(例えば,クレジットカード番号および暗唱番号)の入力を促すメッセージ(例えば,マイページのカート画面のロケーション情報)と,が含まれ,
第1端末装置30Aが,決済情報を受け付け,具体的には,第1プロセッサ32aが,第1表示部34aに,マイページのカート画面を表示し,カート画面で,第1ユーザ(顧客)が,第1操作部35aを操作して,商品の一覧を確認しながら決済情報を入力すると,第1通信部33aが,ネットワーク50を介してサーバ10に,決済情報を送信し,
サーバ10が,決済処理を行い,具体的には,プロセッサ12が,S3-32aで送信された決済情報に基づいて,所定の決済機関(例えば,クレジットカード会社)に対する請求情報を作成し,次に,通信部13が,ネットワーク50を介して,決済機関に請求情報を送信し,かつ,第1端末装置30Aおよび第2端末装置30Bに決済完了通知を送信し,決済完了通知には,商品コードと,決済が完了した旨を知らせるメッセージと,が含まれるものであり,
サーバ10が,配送処理を行い,具体的には,プロセッサ12が,商品コードに対応する商品の配送を手配するための配送伝票情報を作成し,次に,通信部13が,ネットワーク50を介して,所定の配送機関に配送伝票情報を送信し,かつ,第1端末装置30Aに配送案内通知を送信し,配送案内通知には,配送伝票情報と,配送予定を示すメッセージと,が含まれるものである,
情報処理システム1。」
2 甲2号証
甲2号証には,以下の記載がある。
「 阪急阪神百貨店は今春から,ECサイトとは別のスキームで,店頭販売商品をオンライン上で「見せる」「接客する」「決済する」取り組みを開始した。新たに店頭販売商品のデジタルカタログを作るとともに,LINEなどを活用した接客も順次,導入している。また,店頭商品のウェブ決済の仕組みの構築も進めている。これらの取り組みは「リアル店舗の強みをOMO(オンラインとオフラインの融合)で拡張する営業スタイルの確立」(山口俊比古社長)を目指したもの。
(中略)
ウェブ決済サービス「E・オーダー」(仮称)は,ECサイトにない店頭商品をオンラインで決済する仕組みだ。各取引先がLINEや電話で注文を受けた商品を,事務所スタッフが注文登録して購買客にSMS送信する。簡易なEC会員登録と決済が完了すると,お届け伝票が作成され,取引先が梱包(こんぽう)・発送する流れで,各取引先の店頭販売扱いとなる。」
3 甲3号証
甲3号証には,図面とともに以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,販売支援装置,販売システム,販売支援方法,及び,プログラム,特に,電子店舗を用いた衣服等の商品の販売支援に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服を購入するに当たり,顧客は店舗の試着室で衣服を試着し,その衣服の型や色が自分の容姿に合うか否かを確認することが一般的である。この試着は,一着ごとに衣服の脱着が必要であり,顧客にとって煩わしい。また,試着された衣服は皺になったり,傷んだりする可能性が高く,店舗にとっては,試着はコストが発生する要因である。このような課題を解決する為,コンピュータを用いて仮想的な試着を可能とするシステム,いわゆる仮想試着システムが開発されている。
【0003】
特許文献1は,ハーフミラー及びその背面に設けられた表示デバイスを備える仮想試着装置を開示する。この装置は,ハーフミラーに映ったユーザの鏡像に重ね合わせて,表示デバイスに服飾画像を表示する。
【0004】
特許文献2は,データベースに登録されたアパレル品の画像と,撮影されたユーザの画像を合成して表示する試着支援システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2010-070889号公報
【特許文献2】 特開2013-008249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1または特許文献2に開示されている仮想試着システムを用いて,店舗で仮想的な試着をしている場合,ユーザが購入したい衣服を決めた時,当該衣服が当該店舗で在庫がない場合が有る。これまで,試着される衣服は店舗にある衣服に限られていたため,このような在庫切れの可能性は比較的低かった。仮想的な試着は,仮想試着システムに登録されている衣服が対象となるため,このような在庫切れのリスクは高くなる。
【0007】
一方,店舗や店舗を展開する企業が,店舗で販売している衣服と同じ衣服を,インターネットなどを用いたオンライン店舗(電子店舗)で販売していることが有る。店舗で在庫切れだった場合,ユーザが,オンライン店舗で簡単に購入できれば便利である。このことは,衣服に限らず,例えば,帽子,靴,アクセサリの他の商品についてもあてはまる。
【0008】
本発明は,店舗内で仮想試着した衣服等の商品が,店舗で在庫切れだった場合に,その商品をオンライン店舗で容易に購入できる手段を提供することを目的とする。」
イ 図1
[図:0001396311000006.jpg]
ウ 「【0013】
<第1の実施の形態>
(構成)
図1は,本実施の形態にかかる販売システム40の構成図である。販売システム40は,試着の対象となる商品を販売するシステムである。ここで,試着の対象となる商品は,身に着ける物であって,例えば,衣服,帽子,靴,手袋,眼鏡,アクセサリである。商品には,商品の種類を特定する固有の型番が付与され,さらに,当該型番の範囲内でのバリエーション番号が付与されている。バリエーション番号は,当該型番の商品の,例えば,サイズを特定する。バリエーション番号は,当該型番の商品の,色彩,模様,柄,材料,を特定しても良い。バリエーション番号は,型番に対して,複数種類(例えば,サイズと色彩)存在しても良いし,存在しなくても良い。
【0014】
販売システム40は,インターネット41に接続された,販売支援装置10,電子店舗のサーバ装置20,実店舗のサーバ装置30を包含する。インターネット41には,ユーザが携帯する端末装置50も,携帯電話網42と基地局43を経由して接続されている。
【0015】
販売支援装置10には,入出力装置15と鏡像表示装置16が接続されている。販売支援装置10,入出力装置15,および,鏡像表示装置16は,例えば,商品を販売する実店舗に設置されている。電子店舗のサーバ装置20,および,実店舗のサーバ装置30は,どこに設置されていても良い。
【0016】
この販売システム40において,ユーザは,例えば,端末装置50を携帯して実店舗に赴き,試着室で仮想試着をする。試着室には,入出力装置15と鏡像表示装置16が備えられている。ユーザが,入出力装置15から,商品の型番,バリエーションの指定を入力すると入力されたデータが販売支援装置10に送信され,販売支援装置10は,当該型番であって当該バリエーションの商品の画像とユーザの画像とを重ね合わせて,当該商品を身に着けたユーザの鏡像として鏡像表示装置16に表示する。即ち,ユーザが当該商品を試着したかのような鏡像が,鏡像表示装置16に表示される。ユーザは,当該鏡像を観察して当該商品が自己に似合うか否かを判断する。
【0017】
購入したい商品の型番およびバリエーションが決定した時,ユーザは,当該商品の在庫が実店舗に有れば実店舗で購入しても良いが,無い場合は電子店舗のサーバ装置20にアクセスして電子店舗から購入する。
【0018】
ユーザによる当該商品の購入を容易にするため,販売支援装置10は,鏡像表示装置16に表示している商品が購入できる電子店舗のWebページを特定できる情報,例えば,URL(Uniform Resource Locator)を端末装置50に送信する。このWebページは,鏡像表示装置16が表示している商品が特定されているページであり,ユーザは,改めて商品選択をする手間無く,当該商品を購入できる。また,当該ページのURLは,ユーザが携帯する端末装置50に送信されるため,ユーザは,電子店舗へのログイン及び商品購入指示を,端末装置50を使って行うことが可能である。ユーザは,ログインにかかるパスワード等の情報を店舗の端末に残す心配なく,当該商品を購入できる。」
4 甲4号証
甲4号証には,図面とともに以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は電子商取引システム及びその認証方法に関し,特に,ユーザ認証画面を含む,商品注文のための画面の遷移制御に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット上に構築されたウェブサイトにて商品を注文することにより,指定した住所に同商品が配送される,いわゆる電子商取引システムが普及している。こうした電子商取引システムでは,不正利用を防止するためにユーザに対し,事前に会員登録することを求めることが多い。また,注文の最終確定までに,ユーザ認証画面をユーザ装置で表示させて,ID及びパスワードの入力を求めることが多い。なお,下記特許文献には,個人認証の煩わしさを解決するために,クライアントコンピュータに固有に割り当てられた装置番号を用いて認証を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2004-302910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,商品注文の際,必ずID及びパスワードが求められるようにすると,円滑な商品注文が困難となり,利便性が低下する。さりとて,ID及びパスワードを求めないこととすると,第三者による不正注文が懸念される。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって,その目的は,第三者による不正注文を防止しつつ,円滑な商品注文を可能とする電子商取引システム及びその認証方法を提供することにある。」
イ 図4
[図:0001396311000007.jpg]
ウ 「【0020】
図4は,本発明の実施形態に係る電子商取引システムにおける商品注文に関する画面遷移図である。同図に示されるように,買い物リスト画面100(図3)で購入手続きボタン22を選択すると,図5に示されるログイン画面101,図6に示される決済方法・配送方法入力画面,図7に示される確認画面103のうち,いずれかがクライアント16で表示される。これらの画面も,電子商取引サーバシステム12から送信されるデータ(例えばHTMLデータ)に基づいてクライアント16で表示されるものである。具体的には,購入手続きボタン22を選択することによりクライアント16から電子商取引サーバシ
ステム12に送信される通信制御情報49に,ログインを維持しない旨のログイン維持フラグ52(図10参照)が含まれていれば,ログイン画面101に遷移する(ルートA)。また,通信制御情報49にログインを維持する旨のログイン維持フラグ52が含まれており,且つ真正な資格情報50が含まれていれば,クレジットカード利用可否に応じて,決済方法・配送方法入力画面102又は確認画面103に遷移する。つまり,ユーザのIDに関連づけてデータベース14にクレジットカード情報が記憶されており,且つ購入しようとする商品を販売する店舗がクレジットカードによる決済を認めている旨がデータベース14に記憶されている場合には,確認画面103に遷移し(ルートC),そうでない場合には決済方法・配送方法入力画面102に遷移する(ルートB)。
(中略)
【0022】
ログイン画面101において真正な認証情報(ID及びパスワード)が入力された場合には,通信制御情報49に真正な資格情報50が格納され,決済方法・配送方法入力画面102に遷移する。また,図6に示す決済方法・配送方法入力画面102において決済方法及び配送方法が入力され,ボタン34が選択されると,図7に示す確認画面103に遷移する。確認画面103には,注文者,配送先,買い物内容,支払い方法,配送方法からなる注文情報が表示されている。注文者,配送先,買い物内容は,いずれも事前にデータベース14に記憶されている情報である。また,支払い方法及び配送方法は,決済方法・配送方法入力画面102を経由していれば,そこで入力した情報である。また,決済方法・配送方法入力画面102を経由していない場合,すなわち買い物リスト画面100から直接確認画面103に遷移した場合,支払い方法はクレジットカード決済となり,配送方法はデフォルト(例えば配送希望日時の指定無し)となる。
【0023】
確認画面103において,注文情報の内容を変更する場合には,変更したい項目に対応するボタン36,38,40,42,44を押下することにより,変更画面104を表示させることができる。変更画面104において変更後の注文情報を入力すると,確認画面103に戻る。この場合,確認画面103には,変更後の注文情報が表示される。但し,変更画面104によりボタン38を選択して配送先を変更する場合には,画面遷移のルートに応じて(ルートB又はルートCの場合),図8に示すパスワード入力画面105が表示される。このパスワード入力画面105のパスワード入力欄に真正なパスワードを入力し,「次へ」の文字が表されたボタンを選択すると,確認画面103に戻る。この場合,確認画面103には,変更後の配送先を含む注文情報が表示される。確認画面103において注文確定のためのボタン46を選択すると,確認画面103に表された注文情報に従って決済処理及び配送手配が行われ,図9に示す注文完了画面106に遷移する。なお,変更画面104,パスワード入力画面105及び注文完了画面106も,電子商取引サーバシステム12から送信されるデータ(例えばHTMLデータ)に基づいてクライアント16で表示される。また,クレジットカード決済の際には,データベース14に記憶されているクレジットカード情報を用いて決済が行われる。」
エ 図7
[図:0001396311000008.jpg]
5 甲5号証
甲5号証には,図面とともに以下の記載がある。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,利用者端末からネットワークを介してアンケートを取得することを支援するアンケート処理システム,アンケート処理方法,その記録媒体およびプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年,コンピュータネットワークの発達により,誰もが手軽に膨大な情報を閲覧することが可能となった。情報を発信する側は多くの顧客・利用者を獲得するためにより良いコンテンツを提供することを切望している。利用者の意見を収集する方法としてはアンケートを行うということが一般的に行われており,従来は紙媒体などで行われていたものが近年はコンピュータによるオンラインでのアンケートが多くなってきている。
【0003】
例えば,インターネットでのウェブサイトにおいて提供される商品やサービスに関する感想や意見などを求めるアンケートや,該ウェブサイトで提供しているコンテンツの評価や意見等を求めるアンケートを収集するということが行われている。ここで,上述したコンテンツとは,コンピュータプログラムなども含まれ,例えば,利用者がブラウザで閲覧可能な情報や,ダウンロードして利用可能なプログラムなどである。また,コンテンツには,ネットワークを介して提供される種々のサービスも含まれる。
【0004】
ところで,情報発信側にとってはこのアンケートという手法は意見収集に便利なものであるが,逆に利用者にとっては回答すること自体が煩わしいということから敬遠されるという傾向がある。そこで,上記のように敬遠されることを防ぐためにアンケートに答えたら懸賞を与えるというアンケート手法が見受けられる。
【0005】
上述したような懸賞を利用したアンケート手法として,懸賞を利用したアンケート調査等において,複数企業についてユーザが連動して広告情報に触れ,アンケートに回答していくように懸賞を実施する技術が開示されている(例えば,特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001-325397号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,以上のような懸賞付きのアンケート手法を用いた場合には,その懸賞を目的にアンケートに回答するという利用者の行為を惹起し,評価を望んだアンケート対象の商品等の吟味を十分にせずに,利用者が次々と回答だけを入力してしまうということもある。これにより,アンケート結果の信頼性を低下させてしまうという問題がある。
以上に示したように,従来のアンケート手法では,有効な(信頼性のある)回答を多く収集するということは非常に困難であった。
【0008】
本発明は,上述した事情を考慮してなされたもので,利用者に対して負担や煩わしさを与えることなく,有効な回答を収集することが可能なアンケート処理システム,アンケート処理方法,その記録媒体およびプログラムを提供することを目的とする。」
イ 図1
[図:0001396311000009.jpg]
ウ 図2
[図:0001396311000010.jpg]
エ 「【0034】
次に,図1に示したコンテンツ提供サーバ20の機能構成について図を用いて説明する。
図2は,図1に示したコンテンツ提供サーバ20の機能構成を示す図である。図2において,21は,制御部であり,コンテンツ提供サーバ20内の各処理部の制御やデータの流れの制御を行う。22は,送受信処理部であり,ネットワーク11を介して種々の情報を送受信する。23は,データベースであり,上述したコンテンツデータベース23aと利用者情報データベース23bを具備する。
【0035】
ここで,コンテンツデータベース23aおよび利用者情報データベース23bの具体的な構成例について説明する。
コンテンツデータベース23aは,コンテンツコードに関連付けて,例えばコンテンツの名称や属性(データ形式やバージョン情報),記録形式,利用可能期限,最終更新日時,コンテンツデータなどの情報が格納されている。また,コンテンツがウェブページである場合は,コンテンツコードの替わりにURLに対応したディレクトリ名やファイル名によりコンテンツを特定してもよい。例えば,利用者端末10のブラウザにて指定されるURLに対応したコンテンツデータベース23a内のディレクトリ名の下にURLに対応したファイル名で所定のコンテンツが格納される。」
6 甲6号証
甲6号証には,図面とともに以下の記載がある。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,会社などにおいて,物品購入のために仕入れ先に対する発注処理を行う物品自動発注システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より,会社などにおいては,物品の購入をその担当部署において,統括して行う場合が多い。このような場合には,物品購入を希望する部署(者)が,物品購入伝票を作成し,これを上司の承認を得た後,購買担当部に回す。購買担当部署においては,この購入依頼に対し,適当な購入先を選定して物品を購入する。また,必要な場合には,購入対象に対し見積を依頼し,その見積をみた上で物品の発注を行っている。
【0003】このような物品購入システムでは,基本的に処理はすべて人により,手書きの伝票をベースに処理が行われていた。一方,会計処理などは,すべてコンピュータによって処理されるため,伝票によって処理された内容について,コンピュータに入力する作業が必要であった。
【0004】そこで,物品購入についてもコンピュータ処理が進み,購入物品依頼について,コンピュータに入力しておき,このデータを会計処理においても利用するシステムも考えられる。
【0005】しかし,このようなシステムは,会社の会計システムに適合するデータを作成することだけを目的としており,物品購入について効率的に行おうとする考え方が存在しなかった。
【0006】本発明は,上記課題に鑑みなされたものであり,会社などにおける物品購入を効率的に行うことができる物品自動発注システムを提供することを目的とする。」
イ 図5
[図:0001396311000011.jpg]
ウ 「【0037】まず,購入依頼申請の画面の中には,「再利用」のボタンが表示される。このボタンが選択された場合には,再利用検索の画面が表示される。この再利用検索の画面では,分類カテゴリー,品名,仕入先,納入年月日等が入力でき,各区分について部分一致などで検索ができる。そして,検索結果が,選択画面として,一覧表示される。そして,検索結果の一覧の中から所望のものを選択することで,選択された発注データの中から購入申請画面の入力項目に該当するものが取り出され,該当欄に自動的に入力される。その入力された画面が,図5に示すように,確認画面として表示され,この画面に「再利用」ボタンと,「閉じる」ボタンが表示される。ここで,「閉じる」ボタンを選択することで,1つ前の選択画面に戻る。これによって,間違った場合に容易に選択をやり直すことができる。
【0038】一方,「再利用ボタン」を選択することで,再利用修正画面が表示され,必要な項目について,修正を行い,過去の発注データを利用した購入依頼申請の入力が行える。」
7 甲7号証
甲7号証には,以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は依頼者と被発注・物流者とをネットワークで結んで,配送物の宛先指定を電子的に行うシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明に関する従来方式としては,例えば特開平11-053438号公報のようなギフト申込・受付システムや,特開平11-193114号公報のようなネットワークベース物流情報処理方法及び物流情報サーバ及び拠点サーバが提案されている。図16は,第1の従来例である特開平11-193114号公報の方式を示す図である。図では,荷物の発送元と配送先と発送予定日時を含む発送依頼情報を発送元クライアント103a等から宅配依頼を入力する。これを通信ネットワーク104を介して物流業者の宅配情報サーバ101で受信する。また,物流業者の各拠点で拠点の作業計画を管理する拠点サーバ104a等とが通信ネットワークで接続して,必要な物流情報を送信するシステムが示されている。このネットワークベース物流情報処理方法においては,上記宅配情報サーバ101は,受信した発送依頼情報により,予め記憶装置112に格納してある各拠点の集配対象エリアを示す拠点エリア情報と各拠点間の配送経路を示す経路情報とから,発送元から配送先への配送経路となる拠点を検索し,この検索した拠点をもとに配送経路情報を作成し,配送経路の最初の拠点の拠点サーバへ配送経路情報と発送依頼情報を送信する。配送経路情報と発送依頼情報を受信した配送経路の最初の拠点サーバ104aは,受信した配送経路情報と発送依頼情報をもとに拠点での荷物の拠点作業計画を作成する。また更に配送経路の次の拠点があれば,次の拠点への荷物の発送予定を追加した配送経路情報を作成し,配送経路情報と発送依頼情報に加えて次の拠点の拠点サーバ104bへ送信する。次の拠点がなく最後の拠点であれば配送経路情報と発送依頼情報を宅配情報サーバ101へ送信する。一方,次の拠点サーバ104bは,配送経路情報と発送依頼情報を受信に基づいて処理を実施している。
【0003】図17は,第2の従来例である特開平11-053438号公報の方式を示す図である。図において,商品に関するデータを格納する商品マスターファイルを有する情報処理装置151と,顧客に配布され,その顧客の個人識別データ及びギフト申込データを格納するICカードと,情報処理装置151に接続され,ICカードに格納されているデータを読み出して情報処理装置に伝達し,或いは情報処理装置151に入力されたデータをICカードに書き込むICカードリーダ・ライタ152とを備えたシステムである。この構成において,ICカードに格納されている前回のギフト申込データを修正し,若しくはそのまま流用して,今回のギフト申込データとしてICカードに格納するとともに,情報処理装置151に伝達し,今回のギフト申込データに基づいて配送伝票を作成していた。しかし,第1の従来例の方式では,ネットワークを用いた物流システムではあるものの,消費者が宛先情報を入力する段階の手間を減らすことは考慮されておらず,宛先情報入力後の物流処理のみを効率化していた。また,第2の従来例の方式では,宛先情報の再入力を簡易に行うことは可能であるが,消費者が宛先情報を記憶したICカードを持ち歩く必要があり,またICカードに保存される情報はすでにギフトを発送したことがある宛先に限られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のギフト申込,物流システムは上記のように構成されており,第1の従来例では,例えばデパートなどから贈答品を複数の知人に対して配送する手続きの際に,配送用の伝票に手書きでそれぞれの住所等の情報を書き込む必要があり,特に宛先が多数になった場合には,消費者が記入した宛先を更に計算機入力のための入力作業が必要であるという課題があった。また,第2の従来例では,入力媒体としてICカードが必要となり,また,宛先情報は既に商品を配送した宛先に限られて,アドレス帳などに記録してある住所録から柔軟に宛先情報を選び出すことが容易でないという課題がある。
【0005】この発明は上記の課題を解決しようとするもので,物品の配送における宛先の指定を,アドレス帳等から任意の複数の宛先情報を選び出し,これを物流システムに直結して入力作業の軽減と,入力と配送間のデータ同一性を保証した宛先情報管理システムを得る。」
第5 当審の判断
1 新規事項追加
申立人は,理由1において,請求項2に係る補正について,新規事項追加を主張しているので,以下検討する。
(1)新規事項追加の判断枠組み
補正が,特許法第17条の2第3項の規定を満たすものであるか否かは,当該補正が,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲または図面(以下,これらを総称して「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるか否かを検討して判断すべきものである。
以下,この観点に立って,検討する。
(2)請求項1および請求項2に係る補正
令和4年2月22日提出の手続補正書により,請求項1および2は,下記アの記載から,下記イの記載へと補正された。(申立人が新規事項追加を主張する個所に,当審で下線を付加した。)
ア 令和4年2月22日提出の手続補正書による補正前
「【請求項1】
ネット通販システムでは販売されていない商品を対象とした商品販売システムであって,
ユーザーが発した,通信による商品の問合せを店員に中継する通信手段と,
中継を受けた店員が問合せに応対した結果,ネット通販システムによる販売対象ではないが,店頭販売が可能な商品群の中に,前記問合せの対象となる商品が存在した場合,ユーザーによる商品発注に必要となる事項の入力を店員から受け付ける受付手段と,
ユーザーの通信端末に,前記商品を特定する内容の通信コネクションを確立させ,当該通信コネクションを通じて,決済処理及び発送処理を含む電子商取引を実行する商取引実行手段と
を備えることを特徴とする商品販売システム。
【請求項2】
前記通信手段による通信の中継は,音声通信回線又はインターネット回線を通じて,ユーザーの通信端末からの通信要求を受け付け,当該通信要求に応じて,店員の通信端末との接続を確立し,ユーザーの通信端末と,店員の通信端末との端末間通信を開始させることでなされる
ことを特徴とする請求項1に記載の商品販売システム。」
イ 令和4年2月22日提出の手続補正書による補正後
「【請求項1】
商品販売システムであって,
電話,グループ通信アプリケーションによる音声通話,グループ通信アプリケーションによるチャット機能の何れかにより顧客の通信端末との通信を行う通信手段と,
前記通信手段を用いて顧客応対を行った店員から商品の発注登録を受け付け,発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URLを発行し,
注文用URLを含むメッセージを顧客の通信端末に送信する店舗端末と,
注文用URLにより指定されるディレクトリを含み,ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面へと切り替える内容の画面遷移を,通信端末のブラウザに実行させるページ定義ファイルを格納したストレージと,
ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面に対してなされた操作に基づき決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続きを実行するECサーバーとを含むことを特徴とする商品販売システム。
【請求項2】
前記店舗端末は,商品発注の受け付けに先立ち,商品の売り場に関する情報の入力の受け付けを行い,
前記商品の売り場に関する情報は,サイト,商品場所区分,送料区分を含み,
前記発送伝票の起票は,サイト,商品場所区分,送料区分に基づく,送料の自動判定を含むことを特徴とする請求項1に記載の商品販売システム。」
(3)当初明細書等の記載
「ECサーバー」が「実行する」「発送伝票の起票」および「サイト,商品場所区分,送料区分に基づく,送料の自動判定」に関して,本件特許の当初明細書等には以下の記載がある。(下線は当審で付加した。)
ア 「【0014】
(1-2)ECサーバー200
EC(Electronic Commerce)サーバー200は,ネット通販サービス,Web決済サービスを提供する。ネット通販サービスにおいては,公衆通信ネットワーク1003に接続されたPC124とセキュアなコネクションを確立して,当該コネクションを通じて一連の電子商取引の処理を行う。一連の電子商取引の処理は,ネットユーザーが選んだ商品のカートイン,ユーザー認証,決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続きといった処理からなる。
【0015】
後者のWeb決済サービスは,店舗の大代表に電話をかけた一般人(自社発行カードの会員とは限らない。以下,顧客と呼ぶ)の応対から派生してなされるものである。これは無線式の内線電話機106をもって販売員が売り場に出向いて,顧客が求める条件を満たす商品が売り場にあるかどうかの確認を行い,顧客が求める商品が売り場にあれば,販売員が店舗内端末101を操作して商品発注のための入力操作を行い,以降,一連の電子商取引の処理(カートイン,ユーザー認証,決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続き)を実行するものである。」
イ 「【0024】
(1-6)ストレージ204
ストレージ204は,ファイルシステム管理情報で管理された記録領域を有し,階層構造をなす複数のディレクトリを含む。
【0025】
階層構造をなす個々のディレクトリには,ネット通販サービス,Web決済サービス間で共通となるプログラム,ネット通販サービス,Web決済サービスで個別となるプログラムが格納されている。両サービスで共通となるのは,ユーザー認証,ユーザー登録,決済,発送伝票作成を行うプログラムである。」
ウ 「【0065】
(6)店舗内端末101を用いた商品発注に先立ち,商品の売り場に関する情報の入力を求めてもよい。入力を求める商品の売り場に関する情報としては,食品,美容品,ファッション,紳士物といった大きな分類(サイトと呼ばれる)と,婦人ファッション,婦人服飾品,美容品,ラグジュアリー,リビング,イングス,紳士物,趣味雑貨といった細かい分類(商品場所区分と呼ばれる)と,店舗所在地から発送先までが遠距離であれば送料を高く,店舗所在地から発送先までが近距離であれば送料を低くするという送料区分といったものがある。そこで店舗内端末101は,プルダウン式のGUIを含む画面を表示し,プルダウン式のGUIに対する操作により,サイト,商品場所区分,送料区分を選択させる。こうした入力に基づき,発注の対象となった商品の集配場所を決め,また,送料を計算する。」
(4)ネット通販サービスにおける送料計算
商品等の配送物の配送において,配送物の大きさや重量などに応じて,利用可能な配送サービス(メール便,宅配便,トラック便など)の種類および配送物の大きさ・重量等の区分が定まり,また,配送元から配送先の距離に応じて距離区分(例えば,東京を配送元とした場合,東京都内,隣接県,関東圏,本州,離島など)が定まり,配送サービスごとに配送業者が提供している料金表に基づいて,大きさ・重量等の区分と距離区分の組み合わせで送料を計算することが一般的である。
ネット通販サービスにおいては,顧客に,配送対象となる商品と配送先の住所を顧客端末で入力させ,ECサーバーでは,当該入力された商品に,商品梱包後の重量・大きさが対応付けられており,当該入力された商品の梱包後の重量・大きさに基づいて配送サービス(メール便,宅配便,トラック便など)の種類および大きさ・重量等の区分を求め,配送元の所在地と当該入力された配送先の住所に基づいて距離区分(例えば,東京を配送元とした場合,東京都内,隣接県,関東圏,本州,離島など)を求め,配送サービス(メール便,宅配便,トラック便など)の種類に応じた料金表に基づいて,大きさ・重量等の区分と距離区分の組み合わせで送料を計算する構成が一般的である。
(5)送料計算の主体
ア 上記(3)ウの「店舗内端末101は,プルダウン式のGUIを含む画面を表示し,プルダウン式のGUIに対する操作により,サイト,商品場所区分,送料区分を選択させる。」という記載から,「サイト,商品場所区分,送料区分」の「選択」は,「店舗内端末101」で行っていると認められるものの,上記(3)ウの「こうした入力に基づき,発注の対象となった商品の集配場所を決め,また,送料を計算する。」という記載のみからは,「送料を計算する」主体が直ちには把握できない。
イ 一方,上記(3)アの「EC(Electronic Commerce)サーバー200は,ネット通販サービス,Web決済サービスを提供する。」,「ネット通販サービスにおいて(中略)一連の電子商取引の処理を行う。一連の電子商取引の処理は,(中略)発送伝票の起票(中略)といった処理からなる。」および「Web決済サービスは(中略)一連の電子商取引の処理((中略)発送伝票の起票,(中略))を実行する」という記載から,ECサーバー200では,「ネット通販サービス」および「Web決済サービス」における「一連の電子商取引の処理」において,「発送伝票の起票」を実行していると認められる。
また,上記(3)イの「ディレクトリには,ネット通販サービス,Web決済サービス間で共通となるプログラム,ネット通販サービス,Web決済サービスで個別となるプログラムが格納されている。両サービスで共通となるのは,ユーザー認証,ユーザー登録,決済,発送伝票作成を行うプログラムである。」という記載から,「発送伝票の起票」は,「ネット通販サービス」および「Web決済サービス」で共通のプログラムを用いていると認められる。
ウ 上記(4)で述べたように,ネット通販サービスにおいては,顧客に,配送対象となる商品と配送先の住所を顧客端末で入力させ,ECサーバーでは,当該入力された商品に,商品梱包後の重量・大きさが対応付けられており,当該入力された商品の梱包後の重量・大きさに基づいて配送サービス(メール便,宅配便,トラック便など)の種類および大きさ・重量等の区分を求め,配送元の所在地と当該入力された配送先の住所に基づいて距離区分(例えば,東京を配送元とした場合,東京都内,隣接県,関東圏,本州,離島など)を求め,配送サービス(メール便,宅配便,トラック便など)の種類に応じた料金表に基づいて,大きさ・重量等の区分と距離区分の組み合わせで送料を計算する構成が一般的であることから,本件特許の当初明細書等に記載された「ネット通販サービス」においても,送料計算の実行主体がECサーバー200である,同様の送料の計算の構成を採用していると当業者が理解できる。
また,上記(3)ウの「入力を求める商品の売り場に関する情報としては,食品,美容品,ファッション,紳士物といった大きな分類(サイトと呼ばれる)と,婦人ファッション,婦人服飾品,美容品,ラグジュアリー,リビング,イングス,紳士物,趣味雑貨といった細かい分類(商品場所区分と呼ばれる)と,店舗所在地から発送先までが遠距離であれば送料を高く,店舗所在地から発送先までが近距離であれば送料を低くするという送料区分といったものがある。そこで店舗内端末101は,プルダウン式のGUIを含む画面を表示し,プルダウン式のGUIに対する操作により,サイト,商品場所区分,送料区分を選択させる。こうした入力に基づき,発注の対象となった商品の集配場所を決め,また,送料を計算する。」という記載は、「店舗内端末101」を用いた「Web決済サービス」に関するものと解される(段落【0016】を参照)ところ,この記載について上記(4)の一般的な送料計算に照らして検討すると,「サイト,商品場所区分」は,商品を特定するための情報であり,「店舗所在地から発送先までが遠距離であれば送料を高く,店舗所在地から発送先までが近距離であれば送料を低くするという送料区分」は,一般的な送料計算における「配送元の所在地と当該入力された配送先の住所に基づく「距離区分(例えば,東京を配送元とした場合,東京都内,隣接県,関東圏,本州,離島など)」に相当するものであるといえる。
そして、上記イのとおり,本件特許の当初明細書等の記載によれば、ECサーバー200において,「ネット通販サービス」と「Web決済サービス」とで共通のプログラムを用いて「発送伝票の起票」を実行するものと認められるから,「ネット通販サービス」と同様に,「Web決済サービス」においても,商品に,商品梱包後の重量・大きさが対応付けられており,当該入力された商品の梱包後の重量・大きさに基づいて配送サービス(メール便,宅配便,トラック便など)の種類および大きさ・重量等の区分を求め,配送元の所在地と当該入力された配送先の住所に基づいて距離区分(例えば,東京を配送元とした場合,東京都内,隣接県,関東圏,本州,離島など)を求め,配送サービス(メール便,宅配便,トラック便など)の種類に応じた料金表に基づいて,大きさ・重量等の区分と距離区分の組み合わせで送料を計算する構成を採用しており、その実行主体はECサーバー200であると解釈することが合理的であるといえる。
(6)小括
以上から,送料を計算する主体がECサーバーである旨の令和4年2月22日提出の手続補正書による補正後の請求項2は,本件特許の当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものとはいえないから,本件特許発明2は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対して特許されたものではないから,申立人の申立ての理由1(新規事項追加)によって,本件特許発明1ないし4についての特許を取り消すことはできない。
(7)申立人の主張について
申立人は,上記(3)ウの「店舗内端末101は,プルダウン式のGUIを含む画面を表示し,プルダウン式のGUIに対する操作により,サイト,商品場所区分,送料区分を選択させる。こうした入力に基づき,発注の対象となった商品の集配場所を決め,また,送料を計算する。」という記載に基づいて,「送信を計算する」主体が「店舗内端末101」であると解釈しているが,上記(5)で述べたように,当該記載のみから,「送料を計算する」主体が直ちには把握できないから,「送信を計算する」主体が「店舗内端末101」であるとの解釈に基づく申立人の主張は採用できない。
2 発明該当性
申立人は,理由2において,発明該当性欠如を主張しているので,以下検討する。
(1)発明該当性の判断枠組み
特許法29条1項柱書は,「産業上利用することができる発明をした者は,次に掲げる発明を除き,その発明については特許を受けることができる」と定め,その前提となる「発明」について同法2条1項が,「この法律で『発明』とは,自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と定めている。
本件特許発明のような,コンピュータを利用した情報処理システムの発明の場合,情報処理システムが,情報処理システムにおいて生じる一定の技術的課題を解決しようとしたものであって,それが全体として一定の技術的意義を有するのであれば,同発明は自然法則を利用した発明であり,かつ技術的思想の創作となる発明である,と解することができる。(参考 知財高裁判決 平成20年(行ケ)第10279号))
以下,この観点に立って本件特許発明1ないし4の特許法29条1項柱書にいう発明該当性について検討する。
(2)本件特許発明1ないし4の発明該当性
上記第2のとおり,本件特許発明1ないし4は,「商品販売システム」という情報処理システムの発明であり,「販売員や事務所スタッフの負担を抑制しつつも,電話応対を通じた商品販売を実現することができる商品販売システムを提供する」という技術的課題(本件特許明細書段落0008)を解決しようとしたものであって,「電話,グループ通信アプリケーションによる音声通話,グループ通信アプリケーションによるチャット機能の何れかにより顧客の通信端末との通信を行う通信手段」,「前記通信手段を用いて顧客応対を行った店員から商品の発注登録を受け付け,発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URLを発行し,注文用URLを含むメッセージを顧客の通信端末に送信する店舗端末」,「注文用URLにより指定されるディレクトリを含み,ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面へと切り替える内容の画面遷移を,通信端末のブラウザに実行させるページ定義ファイルを格納したストレージ」および「ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面に対してなされた操作に基づき決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続きを実行するECサーバー」が全体として,「販売員や事務所スタッフの負担を抑制しつつも,」「電話応対」(グループ通信アプリケーションによる音声通話,グループ通信アプリケーションによるチャット機能)「を通じた商品販売を実現する」という技術的意義を有するのであるから,同発明は自然法則を利用した発明であり,かつ技術的思想の創作となる発明である,といえる。
したがって,申立人の申立ての理由2(発明該当性)によって,本件特許発明1ないし4についての特許を取り消すことはできない。
(3)申立人の主張について
申立人は,本件特許発明1ないし4は,いずれも,通信手段,店舗端末,ストレージ,ECサーバーの間の技術的関連がなんら特定されていないから,全体として,「ソフトウエアとハードウエア資源とが協働する」とはいえず,特許法第2条にいう「発明」には該当しない旨主張しているが,後記5で述べるように,本件特許の明細書の記載を参酌すれば,通信手段,店舗端末,ストレージ,ECサーバーの間の技術的関連は特定可能であるから,上記申立人の主張は採用できない。
3 進歩性
申立人は,理由3において,甲1号証を主たる証拠とする進歩性欠如を主張しているので,以下検討する。
(1)本件特許発明1について
ア 対比
(ア)甲1発明は,「双方向対話型システム(以下「ICS(Interactive Communication System)」という)を利用したサービスを提供する情報処理システムに関し,顧客が店舗に行かなくても担当者から自身に合った商品説明を受けながら商品を購入するような,ICSサービスを提供する情報処理システム1であって,情報処理システム1は,サーバ10と,第1端末装置30Aと,第2端末装置30Bと,ネットワーク50と,を備え,サーバ10と,第1端末装置30Aと,第2端末装置30Bと,はネットワーク50を介して互いに接続されており,」「第1端末装置30Aは,顧客により操作されるものであ」るとされている。
ここで,甲1発明の「顧客が店舗に行かなくても担当者から自身に合った商品説明を受けながら商品を購入するような,ICSサービスを提供する情報処理システム1」,「顧客により操作される」「第1端末装置30A」,「ネットワーク50」は,本件特許発明1の「商品販売システム」,「顧客の通信端末」,「通信手段」にそれぞれ対応するといえる。
したがって,本件特許発明1と,甲1発明とは,「商品販売システムであって,」「顧客の通信端末との通信を行う通信手段と」「を含む」「商品販売システム」である点で共通している。
しかし,本件特許発明1の「通信手段」は,「電話,グループ通信アプリケーションによる音声通話,グループ通信アプリケーションによるチャット機能の何れかにより」通信を行っているのに対し,甲1発明の通信手段は,双方向対話型システム(ICS(Interactive Communication System))を利用した通信を行っている点で相違している。
(イ)甲1発明において,「第2端末装置30Bは,販売担当者により操作されるものであり,」「顧客画面には,・・・第2ユーザ(販売担当者)の画像(ネットワーク50を介して第2端末装置30Bから送信された画像)が表示され,」「第2ユーザ(販売担当者)は,第1ユーザ(顧客)に対して商品説明を行い,」「第2ユーザ(販売担当者)は,第2操作部35bを操作して,マイページ画面の「カート」W2-32cを選択し,第1ユーザ(顧客)が購入を希望する商品の商品コードを入力すると,プロセッサ12が,メモリ11に構築されたカート領域に当該商品コードを蓄積し,販売シナリオが終了するまで上記の対応が繰り返され,販売シナリオが終了すると,第2ユーザ(販売担当者)は,第1ユーザ(顧客)に対して決済手続の説明を行い,アプリケーションプログラムを閉じ,次に,第2通信部33bが,ネットワーク50を介してサーバ10に,蓄積した商品コードを送信し,次に,第2通信部33bが,ネットワーク50を介してサーバ10に,蓄積した商品コードを送信し,サーバ10が,購入確認通知を第1端末装置30Aに送信し,購入確認通知には,購入を希望する商品の一覧(商品名,金額,および商品コード)と,決済情報(例えば,クレジットカード番号および暗唱番号)の入力を促すメッセージ(例えば,マイページのカート画面のロケーション情報)と,が含まれ」るとされている。
ここで,甲1発明の「第2端末装置30B」を操作して「第2ユーザ(販売担当者)の画像(ネットワーク50を介して第2端末装置30Bから送信された画像)が表示され,」「第1ユーザ(顧客)に対して商品説明を行」った「第2ユーザ(販売担当者)」,「第2ユーザ(販売担当者)」により「第2操作部35bを操作して,マイページ画面の「カート」W2-32cを選択し,第1ユーザ(顧客)が購入を希望する商品の商品コードを入力する」ことがなされる「第2端末装置30B」は,それぞれ,本件特許発明1の「通信手段を用いて顧客応対を行った店員」,「商品の発注登録を受け付け」る「店舗端末」に対応するといえる。
したがって,本件特許発明1と,甲1発明とは,「前記通信手段を用いて顧客応対を行った店員から商品の発注登録を受け付け」る「店舗端末」「を含む」「商品販売システム」である点で共通している。
しかし,本件特許発明1の「店舗端末」は,「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URLを発行し,注文用URLを含むメッセージを顧客の通信端末に送信」しているのに対し,甲1発明の,マイページ画面の「カート」W2-32cを選択し,第1ユーザ(顧客)が購入を希望する商品の商品コードを入力することがなされた店舗端末は,プロセッサ12が,メモリ11に構築されたカート領域に当該商品コードを蓄積し,ネットワーク50を介してサーバ10に,蓄積した商品コードを送信しており,サーバ10が,購入確認通知(購入確認通知には,購入を希望する商品の一覧(商品名,金額,および商品コード)と,決済情報(例えば,クレジットカード番号および暗唱番号)の入力を促すメッセージ(例えば,マイページのカート画面のロケーション情報)と,が含まれている)を第1端末装置30Aに送信している点で相違している。
(ウ)甲1発明において,「第1端末装置30Aが,決済情報を受け付け,具体的には,第1プロセッサ32aが,第1表示部34aに,マイページのカート画面を表示し,カート画面で,第1ユーザ(顧客)が,第1操作部35aを操作して,商品の一覧を確認しながら決済情報を入力すると,第1通信部33aが,ネットワーク50を介してサーバ10に,決済情報を送信し,サーバ10が,決済処理を行い,具体的には,プロセッサ12が,S3-32aで送信された決済情報に基づいて,所定の決済機関(例えば,クレジットカード会社)に対する請求情報を作成し,次に,通信部13が,ネットワーク50を介して,決済機関に請求情報を送信し,かつ,第1端末装置30Aおよび第2端末装置30Bに決済完了通知を送信し,決済完了通知には,商品コードと,決済が完了した旨を知らせるメッセージと,が含まれるものであり,サーバ10が,配送処理を行い,具体的には,プロセッサ12が,商品コードに対応する商品の配送を手配するための配送伝票情報を作成し,次に,通信部13が,ネットワーク50を介して,所定の配送機関に配送伝票情報を送信し,かつ,第1端末装置30Aに配送案内通知を送信し,配送案内通知には,配送伝票情報と,配送予定を示すメッセージと,が含まれるものである」とされている。
ここで,甲1発明の「マイページのカート画面」,「決済情報」の「入力」,「商品の配送を手配するための配送伝票情報」の「作成」,「決済情報に基づいて,所定の決済機関(例えば,クレジットカード会社)に対する請求情報を作成し」て「決済機関に請求情報を送信」すること,「サーバ10」は,それぞれ,本件特許発明1の「ショッピングバッグ画面」,「決済方法指定の」「確認画面に対してなされた操作に基づ」く「決済方法の選択」,「発送伝票の起票」,「入金手続き」を「実行」すること,「ECサーバー」に対応する。
また,甲1号証では明記されていないものの,「商品の配送を手配するための配送伝票情報を作成」するためには,配送先の入力・確認が必須であることから,甲1発明のECサーバー(サーバ10)も,本件特許発明1の「ECサーバー」と同様に,「配送先」の「確認画面」を顧客の通信端末(第1端末装置30A)に表示させて,(配送先の入力・確認)操作を受け付けているといえる。
したがって,本件特許発明1と,甲1発明とは,「ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面に対してなされた操作に基づき決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続きを実行するECサーバーとを含む」「商品販売システム」である点で共通している。
イ 一致点・相違点
上記アより,本件特許発明1と甲1発明とは,以下(ア)の点で一致し,また,以下(イ)の点で相違しているといえる。
(ア)一致点
「商品販売システムであって,
顧客の通信端末との通信を行う通信手段と,
前記通信手段を用いて顧客応対を行った店員から商品の発注登録を受け付ける店舗端末と,
ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面に対してなされた操作に基づき決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続きを実行するECサーバーとを含む
商品販売システム。」
(イ)相違点
a <相違点1>
本件特許発明1の「通信手段」は,「電話,グループ通信アプリケーションによる音声通話,グループ通信アプリケーションによるチャット機能の何れかにより」通信を行っているのに対し,甲1発明の通信手段は,双方向対話型システム(ICS(Interactive Communication System))を利用した通信を行っている点。
b <相違点2>
本件特許発明1の「店舗端末」は,「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URLを発行し,注文用URLを含むメッセージを顧客の通信端末に送信」しているのに対し,甲1発明の店舗端末は,マイページ画面の「カート」W2-32cを選択し,第1ユーザ(顧客)が購入を希望する商品の商品コードを入力すると,プロセッサ12が,メモリ11に構築されたカート領域に当該商品コードを蓄積し,ネットワーク50を介してサーバ10に,蓄積した商品コードを送信しており,サーバ10が,購入確認通知(購入確認通知には,購入を希望する商品の一覧(商品名,金額,および商品コード)と,決済情報(例えば,クレジットカード番号および暗唱番号)の入力を促すメッセージ(例えば,マイページのカート画面のロケーション情報)と,が含まれている)を第1端末装置30Aに送信している点。
c <相違点3>
本件特許発明1は,「注文用URLにより指定されるディレクトリを含み,ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面へと切り替える内容の画面遷移を,通信端末のブラウザに実行させるページ定義ファイルを格納したストレージ」を含んでいるのに対し,甲1発明が,そのようなストレージを含んでいるか否か明らかでない点。
ウ 相違点の判断
事案に鑑みて,<相違点2>について検討する。
(ア) 本件特許発明1の<相違点2>に係る構成の「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URL」について,本件特許の明細書および図面には,以下の記載がある。(下線は当審が付加した。)
a「【0041】
注文用URLとは,Web決済データベースに追加されたマスターレコードの内容を引数として用いて,cartssディレクトリを開く内容のリンク情報のことであり,図7にその一例を示す。本図におけるリンク情報501は,HTTPによる通信コネクションの確立を携帯電話機123に行わせるもので,cartssディレクトリを所在を示すURL502と,Web決済データベース203に追加されたマスターレコード203Rを特定する暗号文503とで構成される。」
b 図7
[図:0001396311000012.jpg]
(イ)上記(ア)の記載より,本件特許発明1の<相違点2>に係る構成の「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URL」とは,例えば,「Web決済データベースに追加されたマスターレコードの内容を引数として用いて,cartssディレクトリを開く内容のリンク情報」であるといえる。
(ウ)甲1号証ないし甲7号証のいずれにも,「店舗端末」が「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URL」「を含むメッセージを顧客の通信端末に送信する」上記<相違点2>に係る構成が記載も示唆もされておらず,当該構成が本件特許出願前に周知であったとも認められないから,上記<相違点2>に係る構成は,甲1発明および甲2号証ないし甲7号証に記載の技術的事項に基づいて,当業者が容易に想到し得たものではない。
(エ)申立人の主張について
a 申立人は,申立書において,<相違点2>に係る構成について以下のように主張している。
「(c)「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URL」について
甲第1号証では,「ロケーション情報」は,URL(Uniform Resorce Locator)として定義されていることから(段落0052),甲1発明における「カート画面のロケーション情報」は,構成要件1Cにおける「カートページを開く旨の注文用URL」に相当する
また,甲1発明における「カート画面」は,「第1ユーザ(顧客)が第1操作部35aを操作して,商品の一覧を確認しながら決済情報を入力する」(構成1e)ための画面であり,「商品の一覧」は,「購入を希望する商品の一覧(商品名,金額,および商品コード)」(構成1c)であるから,「カート画面」は,「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報」と関連付けられている。
そうすると,甲1発明における「カート画面のロケーション情報」は,構成要件1Cにおける「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URL」に該当する。」(申立書17頁5~18行)
b 以下では,申立人の上記主張について検討する。
甲1発明における「カート画面のロケーション情報」は,会員情報登録した際に,開設された申込者のマイページのカート画面のロケーション情報であり,マイページのカート画面のロケーション(URL)を指定するものである。
一方,上記(イ)で述べたように,本件特許発明1の<相違点2>に係る構成の「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URL」とは,例えば,「Web決済データベースに追加されたマスターレコードの内容を引数として用いて,cartssディレクトリを開く内容のリンク情報」であり,「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で」「発行」された「カートページを開く旨の注文用URL」であるのに対して,マイページのカート画面のロケーション(URL)を指定する甲1発明における「カート画面のロケーション情報」は,「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で」発行されたものとはいえないから、両者は相違している。
したがって,申立人の上記主張は,相違点を看過したものであり,採用できない。
また,甲1発明は,双方向対話型システム(ICS(Interactive Communication System))を利用したサービスを前提としており,サービスの利用開始の際に,会員情報登録して,申込者のマイページ(カートを含む)を開設しているから,当該開設済みのマイページのカート画面のロケーション情報を通知する構成に代えて,本件特許発明1の<相違点2>に係る構成のように「発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URLを発行」する動機付けも見当たらない。
エ 本件特許発明1の進歩性のまとめ
以上のとおりであるから,本件特許発明1は,<相違点1>および<相違9点3>について検討するまでもなく,甲1発明および甲2号証ないし甲7号証に記載の技術的事項に基づいて,当業者が容易に想到し得たものではない。
(2)本件特許発明3および4について
本件特許特許発明3および4は,いずれも,請求項1の記載を引用する形式で記載されたものであって,本件特許発明3および4は,本件特許発明1の全発明特定事項を具備し,これにさらに限定を加えたものに該当するところ,上記(1)で述べたとおり,本件特許発明1が,甲1発明および甲2号証ないし甲7号証に記載の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない以上,本件特許発明3および4についても,同様の理由で,甲1発明および甲2号証ないし甲7号証に記載の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)小括
以上から,本件特許発明1,3および4は,いずれも,甲1発明,および,甲2号証ないし甲7号証記載の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,申立人の申立ての理由3(進歩性)によって,本件特許発明1,3および4についての特許を取り消すことはできない。
4 サポート要件
申立人は,理由4において,本件特許発明1ないし4は発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されていないため,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求していることから,本件特許発明1ないし4に係る特許のサポート要件違反を主張しているので,以下検討する。
(1)本件特許発明1について
ア サポート要件の判断枠組み
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否か,また,発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
以下,上記観点に立って,特に,発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かという点について,本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載がサポート要件に適合するか否かについて検討する。
イ 請求項1の記載
本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は,上記第2に記載のとおりである。
ウ 発明が解決しようとする課題
本件特許明細書には,発明が解決しようとする課題に関して,以下の記載がある。(下線は当審が付加した。以下同様。)
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
店舗販売はネット通販にはない豊富な品揃えを顧客にアピールできるものの,昨今の外出自粛の要請等により店舗への客足が途絶えると,売り上げが一挙に低下してしまう。感染症の蔓延等で,上記外出自粛が要請された場合,どのようにして,商品売上げを確保し,事業を継続してゆくかが店舗事業者にとって大きな問題になる。顧客の来店を必要としない販売形態として,店舗を運営する会社が自社で発行するクレジットカードの会員(以下,自社カード会員と呼ぶ)を対象とした電話応対によるものがある。これは,販売員が,自社カード会員との受け答えを行い,売り場に出向いて会員が希望する商品を特定して,商品の発注を完了させるという販売形態である。
【0007】
かかる電話応対において販売員は,電話で会員との会話を交えながら,「形はどうだ」とか,「色はこうだ」とか,購入したい商品の断片的な情報を聞き出し,様々な売り場を練り歩いて,聞き出された条件を満たす商品を特定する。こうして問合せの対象となった商品を特定したあと,店員は承り表,配送伝票,クレジット計算書等多岐に渡る伝票を起票する。このように,電話応対による販売では,売り場から商品を探し出し,その後,伝票起票を行う必要があるので,販売員にとって大きな負担となる。また,売り場事務所のスタッフも,顧客情報の照会,売上計上,お届け伝票登録といった端末操作を行う必要があり,事務所スタッフの手間も大きい。
【0008】
本開示の目的は,販売員や事務所スタッフの負担を抑制しつつも,電話応対を通じた商品販売を実現することができる商品販売システムを提供することである。」
上記記載の特に,下線部に着目すると,本件特許発明の解決しようとする課題は,販売員の「承り表,配送伝票,クレジット計算書等多岐に渡る伝票を起票」といった負担や,事務所スタッフの「顧客情報の照会,売上計上,お届け伝票登録といった端末操作を行う」といった「負担を抑制しつつ」「電話応対を通じた商品販売を実現すること」であるといえる。
エ 明細書等の記載
本件特許発明1の各構成に対応する明細書等の記載は,後記5(1)イで述べるとおりであるから,本件特許発明1は,発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。
オ 課題の解決について
本件特許発明1の「電話,グループ通信アプリケーションによる音声通話,グループ通信アプリケーションによるチャット機能の何れかにより顧客の通信端末との通信を行う通信手段」という構成により「顧客の通信端末との通信を行う」場合に,「電話」等を通じた顧客への「応対を通じた商品販売を実現」しているといえる。
また,本件特許発明1の「ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面に対してなされた操作に基づき決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続きを実行するECサーバー」という構成によれば,「配送伝票,クレジット計算書等多岐に渡る伝票を起票」といった販売員の負担や「お届け伝票登録といった端末操作を行う」といった事務所スタッフの負担を,ECサーバーの機能で代替させることにより,「販売員や事務所スタッフの負担を抑制し」ているといえる。
したがって,本件特許発明1は,当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。
カ 小括
以上から,本件特許発明1は,発明の詳細な説明に記載された発明であり,当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるといえるから,サポート要件を満たしているといえる。
キ 申立人の主張について
申立人は,本件特許発明1に係る「商品販売システム」は,通信手段,店舗端末,ストレージ,ECサーバーを備えており,これらの手段は,本件特許発明1の「電話応対を通じた商品販売を実現する」という目的を達成するために,店員や顧客が利用する道具であるといえるが,これらの道具だけでは本件目的を達成できないことは明らかである旨主張している。
しかし,上記オで述べたように,本件特許発明1は,当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるといえるから,申立人の上記主張は採用できない。
(2)本件特許発明2について
ア 本件特許発明2に対応する発明の詳細な説明の記載は,後記5(2)イで摘記したとおりであるから,特許請求の範囲の請求項2に記載された本件特許発明2は,発明の詳細な説明に記載された発明であるといえる。
イ 本件特許の請求項2は,請求項1を引用するものであるから,本件特許発明2は,本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えている。
上記(1)オで述べたように,本件特許発明1は,発明の課題を解決できる範囲のものであるといえるから,本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えた本件特許発明2も,本件特許発明1と同様に,発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。
ウ したがって,本件特許発明2は,発明の詳細な説明に記載された発明であり,発明の詳細な説明の記載により当業者が本件特許発明の課題を解決できる範囲のものであるといえるから,本件特許発明2についての特許は,サポート要件を満たしているといえる。
(3)本件特許発明3について
ア 本件特許発明3に対応する発明の詳細な説明の記載は,後記5(3)イで摘記したとおりであるから,特許請求の範囲の請求項3に記載された本件特許発明3は,発明の詳細な説明に記載された発明であるといえる。
イ 本件特許の請求項3は,請求項1を引用するものであるから,本件特許発明2は,本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えている。
上記(1)オで述べたように,本件特許発明1は,発明の課題を解決できる範囲のものであるといえるから,本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えた本件特許発明3も,本件特許発明1と同様に,発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。
ウ したがって,本件特許発明3は,発明の詳細な説明に記載された発明であり,発明の詳細な説明の記載により当業者が本件特許発明の課題を解決できる範囲のものであるといえるから,本件特許発明3についての特許は,サポート要件を満たしているといえる。
(4)本件特許発明4について
ア 本件特許発明4に対応する発明の詳細な説明の記載は,後記5(4)イで摘記したとおりであるから,特許請求の範囲の請求項4に記載された本件特許発明4は,発明の詳細な説明に記載された発明であるといえる。
イ 本件特許の請求項4は,請求項1を引用するものであるから,本件特許発明4は,本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えている。
上記(1)オで述べたように,本件特許発明1は,発明の課題を解決できる範囲のものであるといえるから,本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えた本件特許発明4も,本件特許発明1と同様に,発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。
ウ したがって,本件特許発明4は,発明の詳細な説明に記載された発明であり,発明の詳細な説明の記載により当業者が本件特許発明の課題を解決できる範囲のものであるといえるから,本件特許発明4についての特許は,サポート要件を満たしているといえる。
(5)小括
以上のように,特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された本件特許発明1ないし4は,いずれも,発明の詳細な説明に記載された発明であって,当業者が本件特許発明の課題を解決できる範囲のものであり,本件特許発明1ないし4はついての特許は,いずれも,サポート要件を満たしているといえるから,申立人主張の理由2(サポート要件)によって,本件特許発明1ないし4についての特許を取り消すことはできない。
5 明確性要件
申立人は,理由5において,本件特許発明1ないし4に係る特許の明確性要件違反を主張しているので,以下検討する。
(1)本件特許発明1について
ア 明確性要件の判断枠組み
特許を受けようとする発明が明確であるか否かは,特許請求の範囲の記載だけではなく,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
以下,上記観点に立って,本件特許発明1が明確であるか否かについて検討する。
イ 明細書等の記載
本件特許の明細書等には,各構成要件について以下のように記載されている。
(ア)「通信手段」
a 電話による音声通話
「【0013】
(中略)構内PBX105は,電話通信回線又はインターネット通信回線を含む公衆通信ネットワーク1003を通じた呼接続の着信があると,店員が操作する内線電話機106との内線接続を行い,ユーザーが操作する携帯電話機123と,店員が操作する内線電話機106とに端末間通信を実行させる。」
b グループ通信アプリケーションによる音声通話,グループ通信アプリケーションによるチャット機能
「【0059】
(2)顧客が発した問い合わせの中継は,LINE(登録商標)等のグループ通信サービスを提供するサーバー装置によってなされてもよい。
【0060】
この場合,顧客が操作する携帯電話機123,販売員が操作する店舗内端末のそれぞれには,LINE専用のグループ通信アプリケーションがインストールされている。販売員が所属する店舗はLINEによるグループを形成しており,顧客が携帯電話機123を用いて,当該グループに参加すれば,グループ通信サービスを提供するサーバー装置は,携帯電話機123との通信接続を行う。そしてグループに属するメンバーの通信端末に,顧客から接続要求があった旨を通知する。グループに属するメンバーは店員であり,かかる店員が通信を開始することで,店員と,顧客との直接通信が可能になる。LINEにおける音声通話やチャット機能で,販売員が顧客と会話を行い,顧客が購入を希望する商品を特定して,当該商品の発注を行い,LINEのチャット機能により,上述した注文用URLを含むメッセージを上記の顧客に送信する。こうすることで顧客は,LINEのチャット機能で送信されるメッセージを用いてcartssディレクトリを開き,ショッピングバッグ画面を表示させることができる。」
(イ)「店舗端末」
a 「【0027】
(中略)店舗内端末101は,ECサーバー200と連携した動作を行うことで,電話応対による発注処理を実行する。」
b 図4
[図:0001396311000013.jpg]
c「【0031】
[3]発注登録プログラムの内容
以下,図4を参照しながら,発注登録プログラムによる処理内容について説明する。図4は,発注登録プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【0032】
店舗内端末101に対してログインを行うと,発注登録のトップ画面になり,発注登録を行うかをユーザーに問い合わせる。発注登録を行う旨の選択を行うと,注文内容の登録画面を表示して(ステップS101),ステップS102~S103のループに移行する。」
d 「【0040】
注文用URLの発行が選択されると(ステップS107でYes),入金コード,ブランド名,商品名,数量,価格を含むマスターレコードをWeb決済データベース203に追加し(ステップS108),追加したマスーターレコードに,ssid=xを割当て(ステップS109),電子商取引システムのカートページを,ssid=xのマスターレコードに記載された引数でオープンする内容の注文用URLxを作成する(ステップS110)。
【0041】
注文用URLとは,Web決済データベースに追加されたマスターレコードの内容を引数として用いて,cartssディレクトリを開く内容のリンク情報のことであり,図7にその一例を示す。本図におけるリンク情報501は,HTTPによる通信コネクションの確立を携帯電話機123に行わせるもので,cartssディレクトリを所在を示すURL502と,Web決済データベース203に追加されたマスターレコード203Rを特定する暗号文503とで構成される。
【0042】
暗号文503は,Web決済データベース203に追加された,発注内容を示すマスターレコード203Rの通し番号(図中のxxxx)を暗号化したものである。かかる暗号文503を,cartssディレクトリの所在を示すURL502と組みにすることで,注文用URL501を得る。」
e 図7
[図:0001396311000014.jpg]
f 「【0045】
図6(b)は,URL発行画面の一例であり,上述した注文用URLを表示するのと共に,当該URLコピーの指示を受け付けるURLコピーボタン471,SMSで送信するとの指示を受け付けるSMS送信指示ボタン472,戻りボタン473を含み,URLをペーストバッファにコピーするかどうか,CuenoteSMSを起動するかどうか,メニューに戻るかどうかを問合わせる。
【0046】
ショートメール送信アプリケーションを起動する場合の処理は,図8(a)~(e)の通りであり,ログインID,パスワードによるユーザー認証を行った後,発注場所の指定を受け付け(図8(a)),個別配信を行うかどうかの指定を受け付けた後(図8(b),図8(c)参照),宛先となる電話番号の入力や本文の入力を受け付ける(図8(d))。本文入力については,ペースト機能の利用が可能であり,ペーストバッファに格納されている注文用URLを貼り付けることができる。こうして宛先,メール本文を記載した後,図8(e)の画面を表示し,配信予約日時の指定(図8(e)では今すぐ配信)やキャリア選択(図中では,D社のキャリア,K社のキャリア,S社のキャリアが候補として提示されている)を受け付けて,宛先に対し,注文用URLを含むショートメールを送信する。
(中略)
【0050】
ログイン画面によりユーザーID,パスワードが入力されると,発注登録プログラムは,会員データベース201を検索して,入力されたユーザーID,パスワードを認証情報とする個人情報が,会員データベース201に存在するかどうかを判定する。存在すれば,携帯電話機123のブラウザは,図9(c)に示す,配送先・決済方法指定・確認画面を表示する。配送先・決済方法指定・確認画面では,ユーザーID,パスワードのサーチにより発見された個人情報に含まれる,会員氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214を画面に配すると共に,「贈答品アドレス帳を表示する」ボタン706を画面に配し,発注を行った顧客を,対象となった商品の送り主とするか,お届け先とするかの指定を受け付ける。」
(ウ)「ストレージ」
a 「【0024】
(1-6)ストレージ204
ストレージ204は,ファイルシステム管理情報で管理された記録領域を有し,階層構造をなす複数のディレクトリを含む。
【0025】
階層構造をなす個々のディレクトリには,ネット通販サービス,Web決済サービス間で共通となるプログラム,ネット通販サービス,Web決済サービスで個別となるプログラムが格納されている。両サービスで共通となるのは,ユーザー認証,ユーザー登録,決済,発送伝票作成を行うプログラムである。またストレージ204には,EC用ディレクトリのサブディレクトリとして,ネット通販用のサブディレクトリ(cartディレクトリ),Web決済用のサブディレクトリ(cartssディレクトリ)がそれぞれ形成される。
cartssディレクトリには,カートインからユーザー認証,配送先や決済方法の指定,確認をユーザーに行わせるためのデータ,プログラムを格納したファイル(ページ定義ファイルという)が格納される。ページ定義ファイルは,トップ画面であるショッピングバッグ画面(後述する図9(a)参照)からログイン画面(後述する図9(b)参照)を経て,配送先・決済方法指定・確認画面(後述する図9(c)参照)へと切り替える内容の画面遷移を,携帯電話機123のブラウザに実行させるものである。」
b 図9
[図:0001396311000015.jpg]
c 「【0047】
[4]cartssディレクトリに格納されたページ定義ファイルによる手続き
次に,顧客が操作する,携帯電話機123による処理について説明する。注文用URLに基づき,cartssディレクトリに格納されたページ定義ファイルを開くことで,図9(a)~(f)に示すような画面遷移を,携帯電話機123のブラウザに実行させる。初めに,注文URLを用いてcartssディレクトリを開くことでトップ画面が表示される。トップ画面はショッピングバッグ画面と呼ばれる。ショッピングバッグ画面は,図9(a)に示すようにWeb決済データベースのマスターレコードに記載されたブランド名232,商品名233,価格234,数量235を,発注された商品の現在状態を解説する定型文605,注文数量合計606,注文確認合計607と共に表示して,修正ボタン608の押下による数量の減少操作や,ご購入手続きボタン609の押下による購入手続きの開始指示,「ログインはこちら」ボタン610の押下によるユーザー認証の開始指示を受け付ける内容になっている。」
(エ)「ECサーバー」
「【0014】
(1-2)ECサーバー200
EC(Electronic Commerce)サーバー200は,ネット通販サービス,Web決済サービスを提供する。ネット通販サービスにおいては,公衆通信ネットワーク1003に接続されたPC124とセキュアなコネクションを確立して,当該コネクションを通じて一連の電子商取引の処理を行う。一連の電子商取引の処理は,ネットユーザーが選んだ商品のカートイン,ユーザー認証,決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続きといった処理からなる。
【0015】
後者のWeb決済サービスは,店舗の大代表に電話をかけた一般人(自社発行カードの会員とは限らない。以下,顧客と呼ぶ)の応対から派生してなされるものである。これは無線式の内線電話機106をもって販売員が売り場に出向いて,顧客が求める条件を満たす商品が売り場にあるかどうかの確認を行い,顧客が求める商品が売り場にあれば,販売員が店舗内端末101を操作して商品発注のための入力操作を行い,以降,一連の電子商取引の処理(カートイン,ユーザー認証,決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続き)を実行するものである。
【0016】
本来,発注は携帯電話機123を用いて電話による問い合わせを行った顧客が行うべきだが,電話応対で販売しようとする商品はネット販売の対象ではなく,顧客が直接,発注手続きをとることはできない。そこで,Web決済サービスでは,電話応対を行った販売員が,顧客に代わって,顧客が購入の意図を示した商品の情報入力を代わりに行い,電子商取引において決済可能な状態(カートイン状態)とする。購入の意思を示した顧客に代わり,店員が商品を決済可能な状態とすることを「発注登録」といい,商品販売システム1000では,ECサーバー200及び店舗内端末101が,店員から発注登録のための入力操作を受け付ける。
【0017】
決済にあたってECサーバー200は,外部機関のカード信用評価システム301に購入を申し出た顧客の信用評価を委託するのと共に,ポイント管理システム302にポイント更新を実行させる。
【0018】
伝票登録は,TWIN´ETHiPLA等の配送伝票発行システム303を利用して行う。登録がなされると,プリンター104を用いて登録された伝票を紙面に出力して,運送業者に引き渡し,集配を依頼する。運送業者による集配,配送,配達の進捗は配送実績管理システム304により管理される。商品を運送業者に引き渡した段階になると,ホストコンピュータ107を用いて入金処理を実行して,売上計上基幹システム305を用いて売上計上を行う。」
ウ 用語同士の関係について
(ア) 「顧客の通信端末」と「通信端末」
a 本件特許発明1の「電話,グループ通信アプリケーションによる音声通話,グループ通信アプリケーションによるチャット機能の何れかにより顧客の通信端末との通信を行う通信手段」における「顧客の通信端末」は,上記イ(ア)の記載を参照すると,「ユーザーが操作する携帯電話機123」(【0013】)に対応しているといえる。
b 本件特許発明1の「前記通信手段を用いて顧客応対を行った店員から商品の発注登録を受け付け,発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URLを発行し,注文用URLを含むメッセージを顧客の通信端末に送信する店舗端末」における「顧客の通信端末」は,上記イ(イ)の「注文用URLとは,Web決済データベースに追加されたマスターレコードの内容を引数として用いて,cartssディレクトリを開く内容のリンク情報のことであり,図7にその一例を示す。本図におけるリンク情報501は,HTTPによる通信コネクションの確立を携帯電話機123に行わせるもの」との記載(【0041】)を参照すると,「携帯電話機123」(【0041】)に対応しているといえる。
c 本件特許発明1の「注文用URLにより指定されるディレクトリを含み,ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面へと切り替える内容の画面遷移を,通信端末のブラウザに実行させるページ定義ファイルを格納したストレージ」における「通信端末」は,上記イ(イ)の「注文用URLとは,Web決済データベースに追加されたマスターレコードの内容を引数として用いて,cartssディレクトリを開く内容のリンク情報のことであり,図7にその一例を示す。本図におけるリンク情報501は,HTTPによる通信コネクションの確立を携帯電話機123に行わせるもの」との記載(【0041】),および,「ストレージ204には,EC用ディレクトリのサブディレクトリとして,ネット通販用のサブディレクトリ(cartディレクトリ),Web決済用のサブディレクトリ(cartssディレクトリ)がそれぞれ形成される。
cartssディレクトリには,カートインからユーザー認証,配送先や決済方法の指定,確認をユーザーに行わせるためのデータ,プログラムを格納したファイル(ページ定義ファイルという)が格納される。ページ定義ファイルは,トップ画面であるショッピングバッグ画面(後述する図9(a)参照)からログイン画面(後述する図9(b)参照)を経て,配送先・決済方法指定・確認画面(後述する図9(c)参照)へと切り替える内容の画面遷移を,携帯電話機123のブラウザに実行させるものである。」(【0025】)との記載から,「携帯電話機123」(【0025】)に対応しているといえる。
d 以上から,「顧客の通信端末」および「通信端末」は,いずれも,明細書の記載を考慮すれば,「携帯電話機123」に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(イ) 「商品」と「店頭商品」
a 本件特許発明1の「「前記通信手段を用いて顧客応対を行った店員から商品の発注登録を受け付け,発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URLを発行し,注文用URLを含むメッセージを顧客の通信端末に送信する店舗端末」における「商品」と「店頭商品」について,請求項1の記載自体から,「発注登録がなされた店頭商品」が「発注登録を受け付け」た「商品」を指していることは明瞭であるといえる。
b また,本件特許の明細書の「店舗を運営する事業者は,店頭での商品販売に留まらず,店頭に陳列されている商品をネット通販に供し,新規顧客の獲得に日々勤しんでいる。店頭販売の対象となる商品のうち,どれをネット通販の対象とするかは,店舗と,仕入先メーカーとの契約で決まっていて,店頭販売が可能な全ての商品が,ネット通販の対象になる訳ではない。」という記載(【0002】),および,「本来,発注は携帯電話機123を用いて電話による問い合わせを行った顧客が行うべきだが,電話応対で販売しようとする商品はネット販売の対象ではなく,顧客が直接,発注手続きをとることはできない。そこで,Web決済サービスでは,電話応対を行った販売員が,顧客に代わって,顧客が購入の意図を示した商品の情報入力を代わりに行い,電子商取引において決済可能な状態(カートイン状態)とする。購入の意思を示した顧客に代わり,店員が商品を決済可能な状態とすることを「発注登録」といい,商品販売システム1000では,ECサーバー200及び店舗内端末101が,店員から発注登録のための入力操作を受け付ける。」(【0016】)から,本件特許発明1における「商品」は,「ネット通販の対象」とならない「店頭に陳列されている商品」を対象としていると理解できるから,明細書の記載を参照しても,「発注登録がなされた店頭商品」が「発注登録を受け付け」た「商品」を指していることは明瞭であるといえる。
c 以上から,「商品」と「店頭商品」は,いずれも,請求項1の記載自体からも,明細書の記載を考慮しても,「発注登録がなされた店頭商品」が「発注登録を受け付け」た「商品」を指していることは明瞭であるといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(ウ) 「注文用URL」
a 本件特許発明1の「前記通信手段を用いて顧客応対を行った店員から商品の発注登録を受け付け,発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URLを発行し,注文用URLを含むメッセージを顧客の通信端末に送信する店舗端末」における2か所の「注文用URL」は,上記イ(イ)の「注文用URLの発行が選択されると(ステップS107でYes),入金コード,ブランド名,商品名,数量,価格を含むマスターレコードをWeb決済データベース203に追加し(ステップS108),追加したマスーターレコードに,ssid=xを割当て(ステップS109),電子商取引システムのカートページを,ssid=xのマスターレコードに記載された引数でオープンする内容の注文用URLxを作成する(ステップS110)。」(【0040】)および「図6(b)は,URL発行画面の一例であり,上述した注文用URLを表示するのと共に,当該URLコピーの指示を受け付けるURLコピーボタン471,SMSで送信するとの指示を受け付けるSMS送信指示ボタン472」(【0045】)との明細書の記載を参照すれば,いずれも,図7に例示されるような「注文用URL501」に対応しているといえる。
b 本件特許発明1の「注文用URLにより指定されるディレクトリを含み,ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面へと切り替える内容の画面遷移を,通信端末のブラウザに実行させるページ定義ファイルを格納したストレージ」における「注文用URL」は,上記イ(イ)の「注文用URLとは,Web決済データベースに追加されたマスターレコードの内容を引数として用いて,cartssディレクトリを開く内容のリンク情報のことであり,図7にその一例を示す。」(【0041】)との明細書の記載(【0045】)を参照すれば,図7に例示されるような「注文用URL501」に対応しているといえる。
c 以上から,「注文用URL」は,いずれも,明細書の記載を考慮すれば,「注文用URL501」に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(エ) 「ショッピングバッグ画面」
a 本件特許発明1の「注文用URLにより指定されるディレクトリを含み,ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面へと切り替える内容の画面遷移を,通信端末のブラウザに実行させるページ定義ファイルを格納したストレージ」における「ショッピングバッグ画面」は,上記イ(ウ)の「ページ定義ファイルは,トップ画面であるショッピングバッグ画面(後述する図9(a)参照)からログイン画面(後述する図9(b)参照)を経て,配送先・決済方法指定・確認画面(後述する図9(c)参照)へと切り替える内容の画面遷移を,携帯電話機123のブラウザに実行させるものである。」(【0025】)という明細書の記載から,図9(a)に例示されるショッピングバッグ画面に対応しているといえる。
b 本件特許発明1の「ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面に対してなされた操作に基づき決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続きを実行するECサーバー」における「ショッピングバッグ画面」は,上記イ(ウ)の「ショッピングバッグ画面は,図9(a)に示すようにWeb決済データベースのマスターレコードに記載されたブランド名232,商品名233,価格234,数量235を,発注された商品の現在状態を解説する定型文605,注文数量合計606,注文確認合計607と共に表示して,修正ボタン608の押下による数量の減少操作や,ご購入手続きボタン609の押下による購入手続きの開始指示,「ログインはこちら」ボタン610の押下によるユーザー認証の開始指示を受け付ける内容になっている。」(【0047】)という明細書の記載から,図9(a)に例示されるショッピングバッグ画面に対応しているといえる。
c 以上から,「ショッピングバッグ画面」は,明細書の記載を考慮すれば,いずれも,図9(a)に例示されるショッピングバッグ画面に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(オ) 「配送先及び決済方法指定の確認画面」
a 本件特許発明1の「注文用URLにより指定されるディレクトリを含み,ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面へと切り替える内容の画面遷移を,通信端末のブラウザに実行させるページ定義ファイルを格納したストレージ」における「配送先及び決済方法指定の確認画面」は,上記イ(ウ)の「ページ定義ファイルは,トップ画面であるショッピングバッグ画面(後述する図9(a)参照)からログイン画面(後述する図9(b)参照)を経て,配送先・決済方法指定・確認画面(後述する図9(c)参照)へと切り替える内容の画面遷移を,携帯電話機123のブラウザに実行させるものである。」(【0025】)という明細書の記載から,図9(c)に例示される配送先・決済方法指定・確認画面に対応しているといえる。
b 本件特許発明1の「ショッピングバッグ画面から配送先及び決済方法指定の確認画面に対してなされた操作に基づき決済方法の選択,発送伝票の起票,入金手続きを実行するECサーバー」における「配送先及び決済方法指定の確認画面」は,上記イ(ウ)の「携帯電話機123のブラウザは,図9(c)に示す,配送先・決済方法指定・確認画面を表示する。配送先・決済方法指定・確認画面では,ユーザーID,パスワードのサーチにより発見された個人情報に含まれる,会員氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214を画面に配すると共に,「贈答品アドレス帳を表示する」ボタン706を画面に配し,発注を行った顧客を,対象となった商品の送り主とするか,お届け先とするかの指定を受け付ける。」(【0050】)という明細書の記載から,図9(c)に例示される配送先・決済方法指定・確認画面に対応しているといえる。
c 以上から,「配送先及び決済方法指定の確認画面」は,明細書の記載を考慮すれば,いずれも,図9(c)に例示される配送先・決済方法指定・確認画面に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
エ 発明特定事項同士の技術的関連
上記ウで述べたように,各発明特定事項に含まれた用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,明確であるといえるから,発明特定事項同士の技術的関連は明確であるといえる。
オ 小括
以上から,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮すれば,特許請求の範囲の請求項1の記載は,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,本件特許発明1は,明確性要件を満たしているといえる。
カ 申立人の主張について
申立人は,発明特定事項に含まれた用語同士の関係が不明であり,発明特定事項同士の技術的関連も不明確である旨と主張しているところ,上記ウおよびオで述べたように,本件特許発明1に対応する願書に添付した明細書の記載及び図面の記載を考慮すれば,発明特定事項に含まれた用語同士の関係も,発明特定事項同士の技術的関連も,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,上記申立人の主張は採用できない。
(2)本件特許発明2について
ア 請求項1に含まれた発明特定事項
本件特許の請求項2は,請求項1を引用するものであり,本件特許発明2は,本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えているから,本件特許発明1の発明特定事項に含まれた用語同士の関係,および,発明特定事項同士の技術的関連は,上記(1)で述べたように,願書に添付した明細書の記載及び図面の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
イ 明細書の記載
請求項2に対応して,本件特許の明細書には以下の記載がある。
(ア)図4
[図:0001396311000016.jpg]
(イ)「【0031】
[3]発注登録プログラムの内容
以下,図4を参照しながら,発注登録プログラムによる処理内容について説明する。図4は,発注登録プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【0032】
店舗内端末101に対してログインを行うと,発注登録のトップ画面になり,発注登録を行うかをユーザーに問い合わせる。発注登録を行う旨の選択を行うと,注文内容の登録画面を表示して(ステップS101),ステップS102~S103のループに移行する。注文内容登録画面は,図5(a)に示す通り,デフォルトの商品枠401を配置し,「商品枠を追加する」ボタン402の押下に応じて,商品枠401と同じフォーマットの商品枠を最大10個まで配置し得る可変フォーマットをなす。」
(ウ)図5(a)
[図:0001396311000017.jpg]
(エ)「【0033】
商品枠401は,入金コード入力欄403,ブランド名入力欄404,商品名入力欄405,数量入力欄406,価格入力欄407を配した構成であり,ソフトキーボードによる文字入力機能で,これらの入力欄の空白を満たす仕様になっている。何れかの入力欄がタッチされると,ソフトキーボード(図示せず)を表示してタッチパネルディスプレイ110のタッチによる英数字入力,平仮名/片仮名入力を受け付ける。またFEPを起動することで,平仮名から漢字への変換を行い,漢字入力を実行する。入金コードの入力欄403は,3段構成(入力欄431,432,433から構成される)になっていて,グループ品番,JAN(Japanese Article Number)コード/PLU(Price Look Up)コード,グループPLUコードのどれかの入力を求める。グループ品番とは,各売り場に陳列された商品群のそれぞれを識別する識別番号である。JANコードは,日本で最も普及している商品識別コードであり,PLUコードは,店舗側のデータベースに記載された価格情報と紐づけられたバーコードである。グループPLUコードは,社内利用に限定されたコードであり,PLUコードを一部簡易化したものである。タッチパネルディスプレイに対する操作が検出されると(ステップS102でYes),操作に従い,英数字入力,文字入力を実行して(ステップS104),ステップS102~S103のループに戻る。
【0034】
グループ品番,JANコード/PLUコードの入力欄431,432には,スキャナー部の起動を受け付けるための値札スキャンボタン441,442が配置されている。かかるボタンが押下されると,スキャナー部118の光学センサー118Cによる撮影映像に画面表示を切り替える。値札をとらえてバーコード認識を実行すると,グループ品番,JANコード/PLUコードが入力される。」
(オ)「【0065】
(6)店舗内端末101を用いた商品発注に先立ち,商品の売り場に関する情報の入力を求めてもよい。入力を求める商品の売り場に関する情報としては,食品,美容品,ファッション,紳士物といった大きな分類(サイトと呼ばれる)と,婦人ファッション,婦人服飾品,美容品,ラグジュアリー,リビング,イングス,紳士物,趣味雑貨といった細かい分類(商品場所区分と呼ばれる)と,店舗所在地から発送先までが遠距離であれば送料を高く,店舗所在地から発送先までが近距離であれば送料を低くするという送料区分といったものがある。そこで店舗内端末101は,プルダウン式のGUIを含む画面を表示し,プルダウン式のGUIに対する操作により,サイト,商品場所区分,送料区分を選択させる。こうした入力に基づき,発注の対象となった商品の集配場所を決め,また,送料を計算する。」
ウ 用語同士の関係について
(ア)「商品発注の受け付け」「商品の発注登録を受け付け」
a 本件特許発明2の「前記店舗端末は,商品発注の受け付けに先立ち,商品の売り場に関する情報の入力の受け付けを行い」における「商品発注の受け付け」は,上記イ(イ)の「店舗内端末101に対してログインを行うと,発注登録のトップ画面になり,発注登録を行うかをユーザーに問い合わせる。発注登録を行う旨の選択を行うと,注文内容の登録画面を表示して(ステップS101),ステップS102~S103のループに移行する。」(【0031】)という明細書の記載から,図4に例示される発注登録プログラムの処理手順を示すフローチャートにおけるステップS101~S103の処理に対応しているといえる。
b 本件特許発明1の「前記通信手段を用いて顧客応対を行った店員から商品の発注登録を受け付け,発注登録がなされた店頭商品を特定する情報で,カートページを開く旨の注文用URLを発行し,注文用URLを含むメッセージを顧客の通信端末に送信する店舗端末」における「商品の発注登録を受け付け」は,上記(1)イ(イ)の「店舗内端末101に対してログインを行うと,発注登録のトップ画面になり,発注登録を行うかをユーザーに問い合わせる。発注登録を行う旨の選択を行うと,注文内容の登録画面を表示して(ステップS101),ステップS102~S103のループに移行する。」(【0031】)という明細書の記載から,図4に例示される発注登録プログラムの処理手順を示すフローチャートにおけるステップS101~S103の処理に対応しているといえる。
c 以上から,「商品発注の受け付け」および「商品の発注登録を受け付け」は,明細書の記載を考慮すれば,いずれも,図4に例示される発注登録プログラムの処理手順を示すフローチャートにおけるステップS101~S103の処理に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(イ)「サイト,商品場所区分,送料区分」
a 本件特許発明2の「前記商品の売り場に関する情報は,サイト,商品場所区分,送料区分を含み」における「サイト,商品場所区分,送料区分」は,上記イ(オ)の「入力を求める商品の売り場に関する情報としては,食品,美容品,ファッション,紳士物といった大きな分類(サイトと呼ばれる)と,婦人ファッション,婦人服飾品,美容品,ラグジュアリー,リビング,イングス,紳士物,趣味雑貨といった細かい分類(商品場所区分と呼ばれる)と,店舗所在地から発送先までが遠距離であれば送料を高く,店舗所在地から発送先までが近距離であれば送料を低くするという送料区分といったものがある。」(【0065】)という明細書の記載から,「サイト」,「商品場所区分,「送料区分」は,それぞれ,「入力を求める商品の売り場に関する情報としては,食品,美容品,ファッション,紳士物といった大きな分類」,「婦人ファッション,婦人服飾品,美容品,ラグジュアリー,リビング,イングス,紳士物,趣味雑貨といった細かい分類」,「店舗所在地から発送先までが遠距離であれば送料を高く,店舗所在地から発送先までが近距離であれば送料を低くするという送料区分」に対応しているといえる。
b 本件特許発明2の「前記発送伝票の起票は,サイト,商品場所区分,送料区分に基づく,送料の自動判定を含む」における「サイト,商品場所区分,送料区分」は,上記イ(オ)の「入力を求める商品の売り場に関する情報としては,食品,美容品,ファッション,紳士物といった大きな分類(サイトと呼ばれる)と,婦人ファッション,婦人服飾品,美容品,ラグジュアリー,リビング,イングス,紳士物,趣味雑貨といった細かい分類(商品場所区分と呼ばれる)と,店舗所在地から発送先までが遠距離であれば送料を高く,店舗所在地から発送先までが近距離であれば送料を低くするという送料区分といったものがある。」(【0065】)という明細書の記載から,「サイト」,「商品場所区分,「送料区分」は,それぞれ,「入力を求める商品の売り場に関する情報としては,食品,美容品,ファッション,紳士物といった大きな分類」,「婦人ファッション,婦人服飾品,美容品,ラグジュアリー,リビング,イングス,紳士物,趣味雑貨といった細かい分類」,「店舗所在地から発送先までが遠距離であれば送料を高く,店舗所在地から発送先までが近距離であれば送料を低くするという送料区分」に対応しているといえる。
c 以上から,「サイト」,「商品場所区分,「送料区分」は,明細書の記載を考慮すれば,いずれも,「入力を求める商品の売り場に関する情報としては,食品,美容品,ファッション,紳士物といった大きな分類」,「婦人ファッション,婦人服飾品,美容品,ラグジュアリー,リビング,イングス,紳士物,趣味雑貨といった細かい分類」,「店舗所在地から発送先までが遠距離であれば送料を高く,店舗所在地から発送先までが近距離であれば送料を低くするという送料区分」に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
エ 発明特定事項同士の技術的関連
上記ウで述べたように,本件特許発明2の各発明特定事項に含まれた用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,明確であるといえるから,発明特定事項同士の技術的関連は明確であるといえる。
オ 小括
以上から,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮すれば,特許請求の範囲の請求項2の記載は,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,本件特許発明2は,明確性要件を満たしているといえる。
カ 申立人の主張について
申立人は,発明特定事項に含まれた用語同士の関係が不明であり,発明特定事項同士の技術的関連も不明確である旨と主張しているところ,上記ウおよびオで述べたように,本件特許発明2に対応する願書に添付した明細書の記載及び図面の記載を考慮すれば,発明特定事項に含まれた用語同士の関係も,発明特定事項同士の技術的関連も,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,上記申立人の主張は採用できない。
(3)本件特許発明3について
ア 請求項1に含まれた発明特定事項
本件特許発明3は,請求項1を引用するものであり,本件特許発明2は,本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えているから,本件特許発明1の発明特定事項に含まれた用語同士の関係,および,発明特定事項同士の技術的関連は,上記(1)で述べたように,願書に添付した明細書の記載及び図面の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
イ 明細書の記載
請求項3に対応して,本件特許の明細書には以下の記載がある。
(ア)図5(b)
[図:0001396311000018.jpg]
(イ)「【0035】
注文内容登録プログラムには,Web決済データベース203を利用した入力支援機能が設けられていて,注文内容登録画面には,当該機能の発動を受け付けるためのボタンである,登録済み商品選択(商品検索)ボタン408が配置される。登録済み商品選択ボタン408の押下が検出されると,図5(b)に示すように,商品枠401を入金コードの入力欄431,432,433,商品欄の入力欄405のみとして数値入力,文字入力を受け付ける状態とする。そして検索バー409を商品枠401の下方に開始して検索の開始指示を受け付ける。検索バー409が押下されれば,Web決済データベース203を用いて,過去になされた発注の履歴を示す発注履歴一覧リスト450を作成して,商品枠401の下方に配置する。
【0036】
発注履歴一覧リスト450は,Web決済データベース203の複数マスターレコードのそれぞれに登録されている商品名,ブランド名をスクロールウィンドウに配置したもので,スクロールバー455上下移動と連動した上下スクロールが可能であり,各マスターレコードからのペースト操作を受け付けるためのボタンである再利用ボタン451,452,453がそれぞれに配されている。再利用ボタン451,452,453の何れかが押下されると,コピーペースト機能を起動して,押下された再利用ボタンに対応するマスターレコードの商品名,ブランド名,価格をペーストバッファにコピーし,商品枠の各入力欄に貼り付ける。」
ウ 用語同士の関係について
(ア)「入金コード,商品名」
a 本件特許発明3の「前記web決済データベースは,入金コード,商品名を示し」における「入金コード,商品名」は,上記イ(イ)の「注文内容登録プログラムには,Web決済データベース203を利用した入力支援機能が設けられていて,注文内容登録画面には,当該機能の発動を受け付けるためのボタンである,登録済み商品選択(商品検索)ボタン408が配置される。登録済み商品選択ボタン408の押下が検出されると,図5(b)に示すように,商品枠401を入金コードの入力欄431,432,433,商品欄の入力欄405のみとして数値入力,文字入力を受け付ける状態とする。」(【0055】)という明細書の記載,および,図5(b)から,「入金コード」は,「入金コードの入力欄431,432,433」に入力される値であって「グループ品番」,「JAN/PLU」,「グループPLU」という項目からなり,「商品名」は,「商品欄の入力欄405」に入力される値であって,「Web決済データベース203の複数マスターレコードのそれぞれに登録されている商品名,ブランド名をスクロールウィンドウに配置した」「発注履歴一覧リスト450」内に表示されるものに対応しているといえる。
b 本件特許発明3の「商品発注を受け付ける際,登録済み商品選択ボタンを表示し,当該ボタンが押下されれば入金コード,商品名の何れか,又は,これらの組合せを検索条件として前記web決済データベースのレコードの検索を実行し」における「入金コード,商品名」は,上記イ(イ)の「注文内容登録プログラムには,Web決済データベース203を利用した入力支援機能が設けられていて,注文内容登録画面には,当該機能の発動を受け付けるためのボタンである,登録済み商品選択(商品検索)ボタン408が配置される。登録済み商品選択ボタン408の押下が検出されると,図5(b)に示すように,商品枠401を入金コードの入力欄431,432,433,商品欄の入力欄405のみとして数値入力,文字入力を受け付ける状態とする。」(【0055】)という明細書の記載,および,図5(b)から,「入金コード」は,「入金コードの入力欄431,432,433」に入力される値であって「グループ品番」,「JAN/PLU」,「グループPLU」という項目からなり,「商品名」は,「商品欄の入力欄405」に入力される値に対応しているといえる。
c 以上から,「入金コード」および「商品名」は,明細書の記載を考慮すれば,それぞれ,「入金コードの入力欄431,432,433」に入力される値であって「グループ品番」,「JAN/PLU」,「グループPLU」という項目からなる値,および,「商品欄の入力欄405」に入力される値に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(イ)「レコード」
a 本件特許発明3の「既になされた商品発注を示すレコードによって構成されるweb決済データベースを有し」における「レコード」は,上記イ(イ)の「発注履歴一覧リスト450は,Web決済データベース203の複数マスターレコードのそれぞれに登録されている商品名,ブランド名をスクロールウィンドウに配置したもの」(【0036】)という明細書の記載から,「Web決済データベース203の複数マスターレコード」に対応しているといえる。
b 本件特許発明3の「商品発注を受け付ける際,登録済み商品選択ボタンを表示し,当該ボタンが押下されれば入金コード,商品名の何れか,又は,これらの組合せを検索条件として前記web決済データベースのレコードの検索を実行し」における「レコード」は,上記イ(イ)の「検索バー409を商品枠401の下方に開始して検索の開始指示を受け付ける。検索バー409が押下されれば,Web決済データベース203を用いて,過去になされた発注の履歴を示す発注履歴一覧リスト450を作成して,商品枠401の下方に配置する。」(【0035】),「発注履歴一覧リスト450は,Web決済データベース203の複数マスターレコードのそれぞれに登録されている商品名,ブランド名をスクロールウィンドウに配置したもので,スクロールバー455上下移動と連動した上下スクロールが可能であり,各マスターレコードからのペースト操作を受け付けるためのボタンである再利用ボタン451,452,453がそれぞれに配されている。」(【0036】)という明細書の記載から,発注履歴一覧リスト450内の各マスターレコードに対応しているといえる。
c 本件特許発明3の「検索条件に合致したレコードについては,再利用ボタンを付して表示することで,レコードの再利用を受け付ける」における「レコード」は,上記イ(イ)の「各マスターレコードからのペースト操作を受け付けるためのボタンである再利用ボタン451,452,453がそれぞれに配されている。」(【0036】)という明細書の記載から,いずれも,各マスターレコードに対応しているといえる。
d 以上から,「レコード」は,明細書の記載を考慮すれば,いずれも,発注履歴一覧リスト450内の各マスターレコードに対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
エ 発明特定事項同士の技術的関連
上記ウで述べたように,本件特許発明3の各発明特定事項に含まれた用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,明確であるといえるから,発明特定事項同士の技術的関連は明確であるといえる。
オ 小括
以上から,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮すれば,特許請求の範囲の請求項3の記載は,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,本件特許発明3は,明確性要件を満たしているといえる。
カ 申立人の主張について
申立人は,発明特定事項に含まれた用語同士の関係が不明であり,発明特定事項同士の技術的関連も不明確である旨と主張しているところ,上記ウおよびオで述べたように,本件特許発明3に対応する願書に添付した明細書の記載及び図面の記載を考慮すれば,発明特定事項に含まれた用語同士の関係も,発明特定事項同士の技術的関連も,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,上記申立人の主張は採用できない。
(4)本件特許発明4について
ア 請求項1に含まれた発明特定事項
本件特許の請求項4は,請求項1を引用するものであり,本件特許発明4は,本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えているから,本件特許発明1の発明特定事項に含まれた用語同士の関係,および,発明特定事項同士の技術的関連は,上記(1)で述べたように,願書に添付した明細書の記載及び図面の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
イ 明細書の記載
請求項4に対応して,本件特許の明細書には以下の記載がある。
(ア)図2(a)
[図:0001396311000019.jpg]
(イ)「【0019】
(1-3)会員データベース201
会員データベース201は,ネット通販,Web決済サービスの対象となる顧客の個人情報を蓄積したデータベースであり,図2(a)に示すように,n個の個人情報マスターレコード(個人情報マスターレコード1,2,3,4,5・・・n)からなる。図2(a)では,n番目のマスターレコードのデータ構造を引き出して示す。図2(a)に示すように会員データベースにおけるマスターレコードは,氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214,贈答品アドレス帳215,決済方法を示す情報216を,ユーザー個人の認証情報217に対応付けた形式になっている。認証情報217はユーザーID,パスワードを含み,個人情報マスターレコードは,上記認証情報を用いて,個人の正当性が認められて初めて利用可能となる。
【0020】
贈答品アドレス帳215とは,送り主として贈答品の発注を行う場合の1以上の届け先を記載したデータであり,m個の届け先情報(図中の届け先情報1,2・・・・m)により構成される。個々の届け先情報は,届け先氏名221,届け先住所222,届け先電話番号223,届け先メールアドレス224を含む。電話発注がなされた商品が,贈答品であれば,上記個人情報マスターレコードに示される顧客が,商品の送り元になり,贈答品アドレス帳215に示される届け先が,商品の発送先となる。電話発注がなされた商品が,顧客が購入した購入品であれば,上記個人情報マスターレコードに示される顧客が,商品の発送先となる。」
ウ 用語同士の関係について
(ア)「会員データベース」
a 本件特許発明4の「サービスの会員となる顧客の個人情報を蓄積した会員データベースを有し」における「会員データベース」は,上記イ(イ)の「会員データベース201は,ネット通販,Web決済サービスの対象となる顧客の個人情報を蓄積したデータベースであり,図2(a)に示すように,n個の個人情報マスターレコード(個人情報マスターレコード1,2,3,4,5・・・n)からなる。」(【0019】)という明細書の記載から,図2(a)に例示されたような,ネット通販,Web決済サービスの対象となる顧客の個人情報を蓄積したデータベースである会員データベース201に対応しているといえる。
b 本件特許発明4の「カートページがアクセスされた際,会員データベースに登録されているアドレス帳の表示の要求を顧客から受け付け」における「会員データベース」は,上記イ(イ)の「図2(a)に示すように会員データベースにおけるマスターレコードは,氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214,贈答品アドレス帳215,決済方法を示す情報216を,ユーザー個人の認証情報217に対応付けた形式になっている。」(【0019】),「贈答品アドレス帳215とは,送り主として贈答品の発注を行う場合の1以上の届け先を記載したデータであり,m個の届け先情報(図中の届け先情報1,2・・・・m)により構成される。個々の届け先情報は,届け先氏名221,届け先住所222,届け先電話番号223,届け先メールアドレス224を含む。電話発注がなされた商品が,贈答品であれば,上記個人情報マスターレコードに示される顧客が,商品の送り元になり,贈答品アドレス帳215に示される届け先が,商品の発送先となる。電話発注がなされた商品が,顧客が購入した購入品であれば,上記個人情報マスターレコードに示される顧客が,商品の発送先となる。」(【0020】)という明細書の記載から,図2(a)に例示されたような,贈答品アドレス帳215を含んだ会員データベース201に対応しているといえる。
c 以上から,「会員データベース」は,明細書の記載を考慮すれば,いずれも,図2(a)に例示されたような,ネット通販,Web決済サービスの対象となる顧客の個人情報を蓄積したデータベースである会員データベース201に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(イ)「個人情報」
a 本件特許発明4の「サービスの会員となる顧客の個人情報を蓄積した会員データベースを有し」における「個人情報」は,上記イ(イ)の「会員データベース201は,ネット通販,Web決済サービスの対象となる顧客の個人情報を蓄積したデータベースであり,図2(a)に示すように,n個の個人情報マスターレコード(個人情報マスターレコード1,2,3,4,5・・・n)からなる。図2(a)では,n番目のマスターレコードのデータ構造を引き出して示す。図2(a)に示すように会員データベースにおけるマスターレコードは,氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214,贈答品アドレス帳215,決済方法を示す情報216を,ユーザー個人の認証情報217に対応付けた形式になっている。」(【0019】)という明細書の記載から,図2(a)に例示された会員データベース201に蓄積された個人情報マスターレコード(個人情報マスターレコード1,2,3,4,5・・・n)内の氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214,贈答品アドレス帳215,決済方法を示す情報216に対応しているといえる。
b 本件特許発明4の「個人情報は,贈答品の発注を行う場合の届け先を記載したアドレス帳を含み」における「個人情報」は,上記イ(イ)の「会員データベース201は,ネット通販,Web決済サービスの対象となる顧客の個人情報を蓄積したデータベースであり,図2(a)に示すように,n個の個人情報マスターレコード(個人情報マスターレコード1,2,3,4,5・・・n)からなる。図2(a)では,n番目のマスターレコードのデータ構造を引き出して示す。図2(a)に示すように会員データベースにおけるマスターレコードは,氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214,贈答品アドレス帳215,決済方法を示す情報216を,ユーザー個人の認証情報217に対応付けた形式になっている。」(【0019】)という明細書の記載から,図2(a)に例示された会員データベース201に蓄積された個人情報マスターレコード(個人情報マスターレコード1,2,3,4,5・・・n)内の氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214,贈答品アドレス帳215,決済方法を示す情報216に対応しているといえる。
c 以上から,「個人情報」は,明細書の記載を考慮すれば,いずれも,図2(a)に例示された会員データベース201に蓄積された個人情報マスターレコード(個人情報マスターレコード1,2,3,4,5・・・n)内の氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214,贈答品アドレス帳215,決済方法を示す情報216に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(ウ)「顧客」
a 本件特許発明4の「サービスの会員となる顧客の個人情報を蓄積した会員データベースを有し」における「顧客」は,上記イ(イ)の「会員データベース201は,ネット通販,Web決済サービスの対象となる顧客の個人情報を蓄積したデータベースであり」(【0019】)という明細書の記載から,Web決済サービスの対象となり,会員データベース201に個人情報が蓄積されている顧客に対応しているといえる。
b 本件特許発明4の「カートページがアクセスされた際,会員データベースに登録されているアドレス帳の表示の要求を顧客から受け付け,顧客により前記アドレス帳の表示が要求された場合,アドレス帳の中から贈答品の送付先を選び,顧客によりアドレス帳の表示が要求されなかった場合,顧客の住所を購入品の送付先とする」における3カ所の「顧客」は,上記イ(イ)の「会員データベース201は,ネット通販,Web決済サービスの対象となる顧客の個人情報を蓄積したデータベースであり,図2(a)に示すように,n個の個人情報マスターレコード(個人情報マスターレコード1,2,3,4,5・・・n)からなる。図2(a)では,n番目のマスターレコードのデータ構造を引き出して示す。図2(a)に示すように会員データベースにおけるマスターレコードは,氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214,贈答品アドレス帳215,決済方法を示す情報216を,ユーザー個人の認証情報217に対応付けた形式になっている。」(【0019】),「贈答品アドレス帳215とは,送り主として贈答品の発注を行う場合の1以上の届け先を記載したデータであり,m個の届け先情報(図中の届け先情報1,2・・・・m)により構成される。個々の届け先情報は,届け先氏名221,届け先住所222,届け先電話番号223,届け先メールアドレス224を含む。電話発注がなされた商品が,贈答品であれば,上記個人情報マスターレコードに示される顧客が,商品の送り元になり」(【0020】)という明細書の記載から,3カ所の「顧客」は,いずれも,会員データベース201に個人情報が蓄積されている顧客に対応しているといえる。
c 以上から,「顧客」は,明細書の記載を考慮すれば,いずれも,会員データベース201に個人情報が蓄積されている顧客に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(エ)「届け先」「送付先」
a 本件特許発明4の「個人情報は,贈答品の発注を行う場合の届け先を記載したアドレス帳を含み」における「届け先」は,上記イ(イ)の「贈答品アドレス帳215とは,送り主として贈答品の発注を行う場合の1以上の届け先を記載したデータであり,m個の届け先情報(図中の届け先情報1,2・・・・m)により構成される。個々の届け先情報は,届け先氏名221,届け先住所222,届け先電話番号223,届け先メールアドレス224を含む。電話発注がなされた商品が,贈答品であれば,上記個人情報マスターレコードに示される顧客が,商品の送り元になり,贈答品アドレス帳215に示される届け先が,商品の発送先となる。」(【0020】)という明細書の記載から,贈答品アドレス帳215内の,送り主として贈答品の発注を行う場合の1以上の届け先を記載したデータ(届け先氏名221,届け先住所222,届け先電話番号223,届け先メールアドレス224)に対応し,商品の発送先とも呼んでいるといえる。
b 本件特許発明4の「カートページがアクセスされた際,会員データベースに登録されているアドレス帳の表示の要求を顧客から受け付け,顧客により前記アドレス帳の表示が要求された場合,アドレス帳の中から贈答品の送付先を選び,顧客によりアドレス帳の表示が要求されなかった場合,顧客の住所を購入品の送付先とする」における2カ所の「送付先」は,上記イ(イ)の「贈答品アドレス帳215とは,送り主として贈答品の発注を行う場合の1以上の届け先を記載したデータであり,m個の届け先情報(図中の届け先情報1,2・・・・m)により構成される。個々の届け先情報は,届け先氏名221,届け先住所222,届け先電話番号223,届け先メールアドレス224を含む。電話発注がなされた商品が,贈答品であれば,上記個人情報マスターレコードに示される顧客が,商品の送り元になり,贈答品アドレス帳215に示される届け先が,商品の発送先となる。電話発注がなされた商品が,顧客が購入した購入品であれば,上記個人情報マスターレコードに示される顧客が,商品の発送先となる。」(【0020】)という明細書の記載から,いずれも,商品の発送先に対応しているといえ,電話発注がなされた商品が,贈答品であれば,届け先とも呼んでいるといえる。
c 以上から,「届け先」および「送付先」は,明細書の記載を考慮すれば,いずれも,商品の発送先に対応し,電話発注がなされた商品が,贈答品であれば,届け先とも呼んでいるといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(オ)「アドレス帳」
a 本件特許発明4の「個人情報は,贈答品の発注を行う場合の届け先を記載したアドレス帳を含み」における「アドレス帳」は,上記イ(イ)の「会員データベース201は,ネット通販,Web決済サービスの対象となる顧客の個人情報を蓄積したデータベースであり,図2(a)に示すように,n個の個人情報マスターレコード(個人情報マスターレコード1,2,3,4,5・・・n)からなる。図2(a)では,n番目のマスターレコードのデータ構造を引き出して示す。図2(a)に示すように会員データベースにおけるマスターレコードは,氏名211,住所212,電話番号213,メールアドレス214,贈答品アドレス帳215,決済方法を示す情報216を,ユーザー個人の認証情報217に対応付けた形式になっている。」(【0019】),「贈答品アドレス帳215とは,送り主として贈答品の発注を行う場合の1以上の届け先を記載したデータであり,m個の届け先情報(図中の届け先情報1,2・・・・m)により構成される。個々の届け先情報は,届け先氏名221,届け先住所222,届け先電話番号223,届け先メールアドレス224を含む。」(【0020】)という明細書の記載から,贈答品アドレス帳215に対応しているといえる。
b 本件特許発明4の「カートページがアクセスされた際,会員データベースに登録されているアドレス帳の表示の要求を顧客から受け付け,顧客により前記アドレス帳の表示が要求された場合,アドレス帳の中から贈答品の送付先を選び,顧客によりアドレス帳の表示が要求されなかった場合,顧客の住所を購入品の送付先とする」における4カ所の「アドレス帳」は,上記イ(イ)の「贈答品アドレス帳215とは,送り主として贈答品の発注を行う場合の1以上の届け先を記載したデータであり,m個の届け先情報(図中の届け先情報1,2・・・・m)により構成される。個々の届け先情報は,届け先氏名221,届け先住所222,届け先電話番号223,届け先メールアドレス224を含む。電話発注がなされた商品が,贈答品であれば,上記個人情報マスターレコードに示される顧客が,商品の送り元になり,贈答品アドレス帳215に示される届け先が,商品の発送先となる。電話発注がなされた商品が,顧客が購入した購入品であれば,上記個人情報マスターレコードに示される顧客が,商品の発送先となる。」(【0020】)という明細書の記載から,4カ所の「アドレス帳」は,いずれも,贈答品アドレス帳215に対応しているといえる。
c 以上から,「アドレス帳」は,明細書の記載を考慮すれば,いずれも,贈答品アドレス帳215に対応しているといえ,用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
エ 発明特定事項同士の技術的関連
上記ウで述べたように,本件特許発明4の各発明特定事項に含まれた用語同士の関係は,明細書の記載を考慮すれば,明確であるといえるから,発明特定事項同士の技術的関連は明確であるといえる。
オ 小括
以上から,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮すれば,特許請求の範囲の請求項4の記載は,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,本件特許発明4は,明確性要件を満たしているといえる。
カ 申立人の主張について
申立人は,発明特定事項に含まれた用語同士の関係が不明であり,発明特定事項同士の技術的関連も不明確である旨と主張しているところ,上記ウおよびオで述べたように,本件特許発明4に対応する願書に添付した明細書の記載及び図面の記載を考慮すれば,発明特定事項に含まれた用語同士の関係も,発明特定事項同士の技術的関連も,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,上記申立人の主張は採用できない。
(5)小括
以上により,特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された本件特許発明1ないし4は,いずれも,本件特許発明に対応する願書に添付した明細書の記載及び図面の記載を考慮し,当業者の出願当時における技術常識を基礎とすれば,その特許請求の範囲の記載が,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,申立人主張の理由5(明確性要件)によって,本件特許発明1ないし4についての特許を取り消すことはできない。
第6 むすび
以上のとおり,特許異議の申立ての理由1ないし理由5によっては,特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された本件特許発明1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
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2022-701199