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特許異議申立

2022-701027

冷媒サイクル装置

審判番号
2022-701027
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-111466
登録番号
7057510
請求日
2022年10月18日
審決日
2023年12月08日
公報発行日
2024年03月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ダイキン工業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
  • 【異議申立人】角田 朗
審判長/審判官
  • 審判長 平城 俊雅
  • 審判官 鈴木 充
  • 審判官 間中 耕治
分類
P1651.121-YAA(F25B) / P1651.536-YAA(F25B) / P1651.537-YAA(F25B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7057510号発明「冷媒サイクル装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7057510号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし10〕について訂正することを認める。 特許第7057510号の請求項5、6、8ないし10に係る特許を維持する。 特許第7057510号の請求項1ないし4及び7に係る特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7057510号の請求項1ないし8に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和元年6月14日に出願され、令和4年4月12日に特許権の設定登録がされ、同年4月20日に特許掲載公報が発行された。 その後、特許異議申立人角田朗(以下「異議申立人」という。)により請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てがされた。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年10月18日 特許異議の申立て 令和5年 1月19日付け 取消理由通知書 同年 3月23日 特許権者より意見書、訂正請求書の提出 同年 4月17日付け 訂正拒絶理由通知書 同年 6月 5日 特許権者より手続補正書の提出 同年 6月26日付け 取消理由通知書(決定の予告) 同年 8月22日 特許権者より意見書、訂正請求書の提出(以下、この訂正請求を「本件訂正請求」といい、この訂正請求による訂正を「本件訂正」という。) なお、令和5年3月23日に特許権者がした訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 また、異議申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を設けたが、異議申立人からの応答はなかった。 第2 訂正の適否について 本件訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求めるものである。 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の訂正前の請求項5のうち、訂正前の請求項1および請求項2を引用するものについて、独立形式に改める訂正を行う。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の訂正前の請求項6のうち、訂正前の請求項1および請求項2を引用するものについて、独立形式に改める訂正を行う。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の訂正前の請求項8に 「請求項1から7のいずれか1つに記載の冷媒サイクル装置。」 と記載されているのを、 「請求項5又は請求項6に記載の冷媒サイクル装置。」 に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の訂正前の請求項5のうち、訂正前の請求項1を引用する請求項4を引用するものを独立形式に改め新たに請求項9とする。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の訂正前の請求項6のうち、訂正前の請求項1を引用する請求項4を引用するものを独立形式に改め新たに請求項10とする。 (11)一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~8に関して、請求項8は、請求項1ないし7を択一的に引用するものであって、訂正事項1~7によって訂正される請求項1ないし7に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1~8は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 そして、本件訂正請求は、特定の請求項について別の訂正単位とする求めがなされていない。 よって、本件訂正請求は、一群の請求項である訂正前の請求項1ないし8に対応する訂正後の請求項1ないし10を訂正単位とするものである。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正事項1ないし4及び7 訂正事項1ないし4及び7は、請求項1ないし4及び7を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項1ないし4及び7は、請求項1ないし4及び7を削除するものであるから、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 訂正事項1ないし4及び7は、請求項1ないし4及び7を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項5及び6について 訂正事項5は、訂正前の請求項1及び2を引用する請求項5を独立形式に改めるものであり、訂正事項6は、訂正前の請求項1及び2を引用する請求項6を独立形式に改めるものであるから、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 訂正事項5及び6は、訂正前の請求項1及び2を引用する請求項5の内容並びに訂正前の請求項1及び2を引用する請求項6の内容を変更するものではないから、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 訂正事項5及び6は、上記のとおり、訂正前の請求項1及び2を引用する請求項5の内容並びに訂正前の請求項1及び2を引用する請求項6の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項8について 訂正事項8は、訂正前の請求項8が請求項1ないし7の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1ないし4及び7で請求項1ないし4及び7が削除されたことに伴い、引用する請求項を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。 訂正事項8は、訂正前の請求項1、2及び5を引用する請求項8並びに訂正前の請求項1、2及び6を引用する請求項8の内容を変更するものではないから、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 訂正事項8は、上記のとおり訂正前の請求項1、2及び5を引用する請求項8並びに訂正前の請求項1、2及び6を引用する請求項8の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項9及び10 訂正事項9は、訂正前の請求項1及び4を引用する請求項5を独立形式に改め新たな請求項9とするものであり、訂正事項10は、訂正前の請求項1及び4を引用する請求項6を独立形式に改め新たな請求項10とするものであるから、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 訂正事項9及び10は、訂正前の請求項1及び4を引用する請求項5の内容並びに訂正前の請求項1及び4を引用する請求項6の内容を変更するものではないから、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 訂正事項9及び10は、上記のとおり訂正前の請求項1及び4を引用する請求項5の内容並びに訂正前の請求項1及び4を引用する請求項6の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 3 小括 以上のとおりであるから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし10〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1ないし10に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明10」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 可燃性の冷媒を冷媒回路(10)において循環させる冷媒サイクル装置(1)であって、 前記冷媒回路の第1部分(3aa、3bb、3cc、3dd)の両側に設けられる、ガス側遮断弁(68a、68b、68c、68d)及び液側遮断弁(71a、71b、71c、71d)と、 前記第1部分から所定空間(SP)への冷媒の漏えいを検知する検知部(79a、79b、79c、79d)と、 前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したときに、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁を遮断状態とする、制御部(19)と、 を備え、 前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁の遮断時漏れ量(cm3/min)は、遮断状態における前後の差圧が1MPaであるときの、標準状態で気相単相となっている気体の漏れ量であって、温度が20℃であるときの空気の漏れ量であり、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量よりも大きく、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より大きく、 前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より小さく、 R=1 である、 冷媒サイクル装置。 【請求項6】 可燃性の冷媒を冷媒回路(10)において循環させる冷媒サイクル装置(1)であって、 前記冷媒回路の第1部分(3aa、3bb、3cc、3dd)の両側に設けられる、ガス側遮断弁(68a、68b、68c、68d)及び液側遮断弁(71a、71b、71c、71d)と、 前記第1部分から所定空間(SP)への冷媒の漏えいを検知する検知部(79a、79b、79c、79d)と、 前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したときに、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁を遮断状態とする、制御部(19)と、 を備え、 前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁の遮断時漏れ量(cm3/min)は、遮断状態における前後の差圧が1MPaであるときの、標準状態で気相単相となっている気体の漏れ量であって、温度が20℃であるときの空気の漏れ量であり、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量よりも大きく、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より大きく、 前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より小さく、 R= (ρmd×Vmd×Ad)/(Cr×(2×ΔPr/ρ1rl)0.5×Av×ρ1rl + Av×(2/(λ+1))((λ+1)/2(λ-1))×(λ×P1r×ρ1rg)0.5)であり、 Avは、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁それぞれの、前記遮断状態における弁隙間断面積(m2)であり、 ρ1rlは、液相冷媒の密度(kg/m3)であり、 ρ1rgは、ガス相冷媒の密度(kg/m3)であり、 P1rは、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁それぞれの、上流側の冷媒の圧力(MPa)であり、建物の外の最高温度を55℃と設定した場合の冷媒の飽和圧力であり、 λは、冷媒の比熱比であり、 ρmdは、前記所定空間へと冷媒が漏洩したのち前記所定空間の冷媒の許容平均濃度に達した空気及び冷媒の混合気体が前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間を通るときの、空気及び冷媒の混合気体の密度(kg/m3)であり、 Vmdは、前記所定空間へと冷媒が漏洩したのち前記所定空間の冷媒の許容平均濃度に達した空気及び冷媒の混合気体が前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間を通るときの、空気及び冷媒の混合気体の速度(m/s)であり、 Adは、前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間の面積(m2)であり、 ΔPrは、冷媒が漏えいしている箇所の穴の内側及び外側の圧力差(Pa)であり、建物の外の最高温度を55℃と設定した場合の冷媒の飽和圧力と大気圧との差圧であり、 Crは、冷媒が漏えいしている箇所の穴を液相の冷媒が通過する際の冷媒の流量係数であって、0.6である、 冷媒サイクル装置。 【請求項7】 (削除) 【請求項8】 前記可燃性の冷媒は、 米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2Lクラス」と判断される、微燃性の冷媒、 米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2クラス」と判断される、弱燃性の冷媒、 あるいは 米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「3クラス」と判断される、強燃性の冷媒 である、 請求項5又は請求項6に記載の冷媒サイクル装置。 【請求項9】 可燃性の冷媒を冷媒回路(10)において循環させる冷媒サイクル装置(1)であって、 前記冷媒回路の第1部分(3aa、3bb、3cc、3dd)の両側に設けられる、ガス側遮断弁(68a、68b、68c、68d)及び液側遮断弁(71a、71b、71c、71d)と、 前記第1部分から所定空間(SP)への冷媒の漏えいを検知する検知部(79a、79b、79c、79d)と、 前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したときに、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁を遮断状態とする、制御部(19)と、 を備え、 前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁の遮断時漏れ量(cm3/min)は、遮断状態における前後の差圧が1MPaであるときの、標準状態で気相単相となっている気体の漏れ量であって、温度が20℃であるときの空気の漏れ量であり、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量よりも大きく、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)の1.6倍~2.7倍の範囲にあり、 前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)の0.37倍~0.94倍の範囲にあり、 R=1 である、 冷媒サイクル装置。」 【請求項10】 可燃性の冷媒を冷媒回路(10)において循環させる冷媒サイクル装置(1)であって、 前記冷媒回路の第1部分(3aa、3bb、3cc、3dd)の両側に設けられる、ガス側遮断弁(68a、68b、68c、68d)及び液側遮断弁(71a、71b、71c、71d)と、 前記第1部分から所定空間(SP)への冷媒の漏えいを検知する検知部(79a、79b、79c、79d)と、 前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したときに、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁を遮断状態とする、制御部(19)と、 を備え、 前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁の遮断時漏れ量(cm3/min)は、遮断状態における前後の差圧が1MPaであるときの、標準状態で気相単相となっている気体の漏れ量であって、温度が20℃であるときの空気の漏れ量であり、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量よりも大きく、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)の1.6倍~2.7倍の範囲にあり、 前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)の0.37倍~0.94倍の範囲にあり、 R= (ρmd×Vmd×Ad)/(Cr×(2×ΔPr/ρ1rl)0.5×Av×ρ1rl + Av×(2/(λ+1))((λ+1)/2(λ-1))×(λ×P1r×ρ1rg)0.5) であり、 Avは、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁それぞれの、前記遮断状態における弁隙間断面積(m2)であり、 ρ1rlは、液相冷媒の密度(kg/m3)であり、 ρ1rgは、ガス相冷媒の密度(kg/m3)であり、 P1rは、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁それぞれの、上流側の冷媒の圧力(MPa)であり、建物の外の最高温度を55℃と設定した場合の冷媒の飽和圧力であり、 λは、冷媒の比熱比であり、 ρmdは、前記所定空間へと冷媒が漏洩したのち前記所定空間の冷媒の許容平均濃度に達した空気及び冷媒の混合気体が前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間を通るときの、空気及び冷媒の混合気体の密度(kg/m3)であり、 Vmdは、前記所定空間へと冷媒が漏洩したのち前記所定空間の冷媒の許容平均濃度に達した空気及び冷媒の混合気体が前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間を通るときの、空気及び冷媒の混合気体の速度(m/s)であり、 Adは、前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間の面積(m2)であり、 ΔPrは、冷媒が漏えいしている箇所の穴の内側及び外側の圧力差(Pa)であり、建物の外の最高温度を55℃と設定した場合の冷媒の飽和圧力と大気圧との差圧であり、 Crは、冷媒が漏えいしている箇所の穴を液相の冷媒が通過する際の冷媒の流量係数であって、0.6である、 冷媒サイクル装置。」 第4 取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし8に係る特許に対して、当審が令和5年6月26日付けで特許権者に通知した取消理由通知書の概要は、次のとおりである。 取消理由1(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 取消理由2(実施可能要件) 本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 取消理由3(明確性) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 記 ●取消理由1(サポート要件)について ・請求項1ないし4、7及び8に係る発明並びに請求項3を引用する請求項5及び6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 ●取消理由2(実施可能要件)について ・発明の詳細な説明は、当業者が、請求項7及び8に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 ●取消理由3(明確性)について ・請求項2ないし4、7及び8に係る発明は明確でない。 第5 当審の判断 1 取消理由1(サポート要件)について 訂正前の請求項1ないし4及び7は、本件訂正により削除された。 訂正後の請求項5は、取消理由1を有しない訂正前の請求項1及び2を引用する(すなわち、訂正前の請求項3を引用するものを含まない)請求項5を、独立形式で記載したものとなった。 訂正後の請求項6は、取消理由1を有しない訂正前の請求項1及び2を引用する(すなわち、訂正前の請求項3を引用するものを含まない)請求項6を、独立形式で記載したものとなった。 訂正後の請求項8は、訂正後の請求項5または6を引用するものとなった。 訂正後に追加された請求項9は、取消理由1を有しない訂正前の請求項1及び4を引用する(すなわち、訂正前の請求項3を引用するものを含まない)請求項5を、独立形式で記載したものである。 訂正後に追加された請求項10は、取消理由1を有しない訂正前の請求項1及び4を引用する(すなわち、訂正前の請求項3を引用するものを含まない)請求項6を、独立形式で記載したものである。 したがって、取消理由1(サポート要件)は解消した。 2 取消理由2(実施可能要件)について 訂正前の請求項7は、本件訂正請求により削除された。 訂正後の請求項8は、訂正後の請求項5または6を引用するものとなった。 したがって、取消理由2(実施可能要件)は解消した。 3 取消理由3(明確性)について 訂正前の請求項2ないし4及び7は、本件訂正請求により削除された。 訂正後の請求項8は、訂正後の請求項5または6を引用するものとなった。 したがって、取消理由3(明確性)は解消した。 第6 採用しなかった特許異議申立理由について 1 採用しなかった特許異議申立理由の概要 特許異議申立人は、特許異議申立書により、概略以下のような申立ての理由を述べている。 (1)本件特許の請求項2ないし4において、ガス側遮断弁の遮断時漏れ量及び液側遮断弁の遮断時漏れ量について特定しているが、その値がどの時点における値であるのかについて、何ら特定していない。請求項2ないし4を引用する請求項5ないし8についても同様である。したがって、本件特許の請求項2ないし8は明確でない。(特許異議申立書30ページ17行ないし33ページ6行)(以下「申立理由1」という。) (2-1)本件発明1及び8は、甲第1号証に記載された発明、甲第3号証に記載された事項及び甲第4号証に示されるような周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書33ページ20行ないし40ページ9行)(以下「申立理由2-1」という。) (2-2)本件発明1及び8は、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書40ページ10行ないし46ページ7行)(以下「申立理由2-2」という。) <証拠一覧> 甲第1号証:国際公開第2012/98584号(以下「甲1」という。) 甲第2号証:国際公開第2016/208470号(以下「甲2」という。) 甲第3号証:「微燃性(A2L)冷媒を使用した業務用エアコンの冷媒漏洩時の安全確保のための施設ガイドライン JRA GL-16:2017」,一般社団法人日本冷凍空調工業会,2017年9月1日,1ないし22ページ(以下「甲3」という。) 甲第4号証:国際公開第2012/160598号(以下「甲4」という。) 2 申立理由1についての当審の判断 本件特許の願書に添付した明細書の段落【0006】には、「なお、遮断時漏れ量は、上記のガイドラインにおける閉弁時漏れ量と同義である。」との記載がある。 当該ガイドライン(甲3の13ページ)には、閉弁時漏れ量とは別に「耐用年数」や「開閉保証回数」が設定されていることから、技術常識を踏まえれば、当該ガイドラインにおける「閉弁時漏れ量」とは、「耐用年数」が経過しておらず、かつ使用回数が「開閉保証回数」未満である弁の使用時における値であることが当業者にとって明らかである。 よって、本件特許の「遮断時漏れ量」もガイドラインと同義である(段落【0006】)ことから、その値がどの時点における値であるかは、明白である。 したがって、訂正後の請求項5、6、8ないし10は、明確である。 3 申立理由2-1についての当審の判断 (1)甲号証に記載の事項等 ア 甲1に記載の事項、甲1発明 甲1(国際公開第2012/98584号)には、以下の記載がある。 「[0005] ところで、近年、地球温暖化の観点から、地球温暖化係数が高いHFC系冷媒(例えば、R410A、R404A、R407C及びR134a等)の使用を制限する動きがあり、地球温暖化係数が小さい冷媒(例えば、HFO1234yf、R32、HC及び二酸化炭素等)を用いた空気調和装置が提案されている。また、可燃性冷媒(例えば、HFO1234yf、HFO1234ze、R32、R32とHFO1234yfと含む混合冷媒、前述した冷媒を少なくとも一成分含む混合冷媒及びHC等)又は二酸化炭素をビル用マルチエアコンに冷媒として用いた場合においても、多量の冷媒を必要とするため、その冷媒が室内空間に漏れた時の対策を講じておく必要がある。」 「[0019] 図2で示されるように、室外機1及び熱媒体変換機3は、前述のように2本の冷媒配管4によって接続されており、この冷媒配管4は、熱媒体変換機3内部の冷媒配管によって、熱媒体変換機3に備えられている熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bそれぞれに接続されている。ここで、前述した冷媒循環回路Aとは、室外機1と熱媒体変換機3とを接続する冷媒配管4を含め、熱媒体変換機3内において、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bそれぞれにおいて、熱媒体と熱交換が実施される熱源側冷媒が流通する冷媒配管によって各機器を接続して構成される冷媒回路をいう。具体的には、冷媒循環回路Aは、後述する圧縮機10と、第1冷媒流路切替装置11と、熱源側熱交換器12と、第1遮断装置37と、開閉装置17と、第2冷媒流路切替装置18と、熱媒体間熱交換器15の冷媒流路と、絞り装置16と、アキュムレーター19とを冷媒配管によって接続して構成されている。また、この冷媒循環回路Aを循環する熱源側冷媒としては、特に限定するものではないが、昨今、地球温暖化係数が高いHFC系冷媒(例えば、R410A、R404A、R407C及びR134a等)の使用を制限する動きがあるものの、本実施の形態に係る空気調和装置100において使用を制限するものではなく、もちろん、地球温暖化係数が小さい冷媒(例えば、HFO1234yf、HFO1234ze、R32、R32とHFO1234yfと含む混合冷媒、前述した冷媒を少なくとも一成分含む混合冷媒、HC及び二酸化炭素等)を用いるものとしてもよい。また、二酸化炭素と同様に、超臨界状態で作動する他の単一冷媒又は混合冷媒(例えば、二酸化炭素とジエチルエーテルとの混合物)を用いるものとしてもよい。冷媒循環回路Aを構成する上記の各機器の接続関係の詳細は後述する。」 「[0032](熱媒体変換機3の構成) 熱媒体変換機3は、2つの熱媒体間熱交換器15と、2つの絞り装置16と、2つの開閉装置17と、2つの第2冷媒流路切替装置18と、2つのポンプ21と、4つの第1熱媒体流路切替装置22と、4つの第2熱媒体流路切替装置23と、4つの熱媒体流量調整装置25と、濃度検出装置39と、遮断弁駆動装置40と、算出装置41とを備えている。 また、本実施の形態においては、熱媒体変換機3は、室外機1との冷媒配管の接続による連通を遮断することを可能とする第1遮断装置37及び第2遮断装置38を備えている。」 「[0050](全冷房運転モード) 図3は、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置100の全冷房運転モード時における熱源側冷媒の流れを示す冷媒回路図である。この図3においては、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bでのみ冷熱負荷が発生している場合を例に全冷房運転モードについて説明する。なお、図3においては、太線で示された配管が熱源側冷媒及び熱媒体の流れる配管を示しており、熱源側冷媒の流れる方向を実線矢印で、熱媒体の流れる方向を破線矢印で示されている。」 「[0052] まず、図3を参照しながら、冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについて説明する。低温低圧のガス状態の熱源側冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温高圧のガス状態の熱源側冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温高圧の熱源側冷媒は、第1冷媒流路切替装置11を経由して、熱源側熱交換器12に流入する。熱源側熱交換器12に流入した熱源側冷媒は、室外空気に対して放熱しながら、高圧の液状態の熱源側冷媒となる。熱源側熱交換器12から流出した高圧の熱源側冷媒は、逆止弁13aを通って室外機1から流出し、冷媒配管4を経由して、熱媒体変換機3に流入する。 [0053] 熱媒体変換機3に流入した高圧の熱源側冷媒は、第1遮断装置37及び開閉装置17aを経由した後、分岐し、絞り装置16a及び絞り装置16bにそれぞれ流入する。この絞り装置16a及び絞り装置16bに流入した高圧の熱源側冷媒は、膨張及び減圧され、低温低圧の気液二相状態の熱源側冷媒となる。この気液二相状態の熱源側冷媒は、蒸発器として作用する熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bのそれぞれに流入し、熱媒体循環回路Bを循環する熱媒体から吸熱することによって熱媒体を冷却しながら、蒸発して低温低圧のガス状態の熱源側冷媒となる。熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bから流出したガス状態の熱源側冷媒は、それぞれ第2冷媒流路切替装置18a及び第2冷媒流路切替装置18bを経由して合流し、第2遮断装置38を経由して、熱媒体変換機3から流出し、冷媒配管4を経由して、再び室外機1に流入する。」 「[0062](全暖房運転モード) 図4は、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置100の全暖房運転モード時における熱源側冷媒の流れを示す冷媒回路図である。この図4においては、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bでのみ温熱負荷が発生している場合を例に全暖房運転モードについて説明する。なお、図4においては、太線で示された配管が熱源側冷媒及び熱媒体の流れる配管を示しており、熱源側冷媒の流れ方向を実線矢印で、熱媒体の流れる方向を破線矢印で示している。」 「[0064] まず、図4を参照しながら、冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについて説明する。低温低圧のガス状態の熱源側冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温高圧のガス状態の熱源側冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温高圧の熱源側冷媒は、第1冷媒流路切替装置11を経由し、第1接続配管4aにおける逆止弁13bを通って室外機1から流出する。室外機1から流出した高温高圧の熱源側冷媒は、冷媒配管4を経由して、熱媒体変換機3に流入する。 [0065] 熱媒体変換機3に流入した高温高圧の熱源側冷媒は、第1遮断装置37を経由した後、分岐し、第2冷媒流路切替装置18a及び第2冷媒流路切替装置18bを経由して、凝縮器として作用する熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bのそれぞれに流入する。熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bに流入した高温高圧の熱源側冷媒は、熱媒体循環回路Bを循環する熱媒体に放熱することによって熱媒体を加熱しながら、凝縮して高圧の液体状態の熱源側冷媒となる。熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bから流出した高圧の熱源側冷媒は、絞り装置16a及び絞り装置16bでそれぞれ膨張及び減圧され、低温低圧の気液二相状態の熱源側冷媒となる。この低温低圧の気液二相状態の熱源側冷媒は、合流し、開閉装置17b及び第2遮断装置38を経由して、熱媒体変換機3から流出し、冷媒配管4を経由して、再び室外機1へ流入する。」 「[0110]濃度検出装置39は、算出装置41から受信した濃度情報に係る熱源側冷媒の濃度が、前述した所定濃度以上の場合、遮断弁駆動装置40に対して制御信号を出力せず、所定濃度未満の場合、遮断弁駆動装置40に対して制御信号を出力する。遮断弁駆動装置40は、濃度検出装置39から制御信号を受信しない場合、濃度検出装置39によって所定濃度以上の熱源側冷媒の漏れが検出されたものとして、第1遮断装置37及び第2遮断装置38への駆動信号の出力を停止して閉状態とする。これによって、室外機1から新たな熱源側冷媒が熱媒体変換機3内に流入するのを防止することができ、熱源側冷媒の漏れの拡大を抑制することができる。一方、遮断弁駆動装置40は、濃度検出装置39から制御信号を受信している場合、濃度検出装置39によって検出された熱源側冷媒の濃度が所定濃度未満であるとして、第1遮断装置37及び第2遮断装置38への駆動信号の出力を継続し開状態とする。」 [図2] [図:0001407806000001.jpg] [図3] [図:0001407806000002.jpg] [図4] [図:0001407806000003.jpg] 以上によれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 〔甲1発明〕 「可燃性冷媒である熱源側冷媒が循環する冷媒循環回路Aを利用する空気調和装置であって、 絞り装置16及び熱媒体間熱交換器15とこれらを繋ぐ配管との両側に設けられる第1遮断装置37及び第2遮断装置38と、 熱媒体変換機3内部で冷媒配管から熱源側冷媒の漏れが発生した場合に、その漏れた熱源側冷媒の濃度を検出する濃度検出装置39と、 濃度検出装置39から制御信号を受信しなければ、濃度検出装置39によって所定濃度以上の熱源側冷媒の漏れが検出されたものとして、第1遮断装置37及び第2遮断装置38への駆動信号の出力を停止して閉状態とする遮断弁駆動装置40と、を備え、 前記可燃性冷媒は、例えば、HFO1234yf、HFO1234ze、R32、R32とHFO1234yfと含む混合冷媒、前述した冷媒を少なくとも一成分含む混合冷媒及びHC等である、 空気調和装置。」 イ 甲3に記載の事項 甲3には、以下の記載がある。 [図:0001407806000004.jpg] (8ページ) [図:0001407806000005.jpg] (13ページ) ウ 甲4に記載の事項 甲4には、以下の記載がある。 「[0029] 第1遮断装置42は液状の冷媒(液冷媒)が流れる主管4、第2遮断装置43は気体状の冷媒(ガス冷媒)が流れる主管4、第3遮断装置37は液冷媒側の枝管5、第4遮断装置38はガス冷媒側の枝管5にそれぞれ設置される。各遮断装置は、遮断弁を有し、遮断弁制御装置40からの指示(信号)に基づいて遮断弁により冷媒流路を閉止して冷媒の流れを遮断する。遮断装置において非通電状態は閉状態である。」 「[0048] 次に各遮断装置について説明する。第1遮断装置42、第2遮断装置43は主管4に設置されているため、遮断装置内の弁口径を大きくする必要がある(CV値を大きくする必要がある)。さらに、第3遮断装置37、第4遮断装置38は各分岐装置16の枝管5側に設置されており、1台の室内機2の容量が大きい場合(たとえば4HP(馬力)以上)、遮断装置内の弁口径を大きくする必要がある(CV値を大きくする必要がある)。」 (2)対比・判断 ア 本件発明1について 本件発明1は、本件訂正により削除された。 したがって、本件発明1に対する無効理由2-1は、理由がなくなった。 イ 本件発明8について (ア)請求項5を引用する場合 本件発明8のうち請求項5を引用する発明(以下「本件発明8A」という。)と、甲1発明とを対比する。 甲1発明の「可燃性冷媒」、「冷媒循環回路A」及び「空気調和装置」は、本件発明8Aにおける「可燃性の冷媒」、「冷媒回路(10)」及び「冷媒サイクル装置(1)」に、それぞれ相当する。 そうすると。甲1発明の「可燃性冷媒である熱源側冷媒が循環する冷媒循環回路Aを利用する空気調和装置」は、本件発明8Aの「可燃性の冷媒を冷媒回路(10)において循環させる冷媒サイクル装置(1)」に相当する。 甲1発明の「絞り装置16及び熱媒体間熱交換器15とこれらを繋ぐ配管」は、本件発明8Aの「前記冷媒回路の第1部分(3aa、3bb、3cc、3dd)」に相当する。 甲1発明の「第1遮断装置37」及び「第2遮断装置38」は、「遮断弁駆動装置40」により「閉状態」とされるから、「遮断弁」であるといえる。 そうすると、甲1発明の「絞り装置16及び熱媒体間熱交換器15とこれらを繋ぐ配管との両側に設けられる第1遮断装置37及び第2遮断装置38」と、本件発明8Aの「前記冷媒回路の第1部分(3aa、3bb、3cc、3dd)の両側に設けられる、ガス側遮断弁(68a、68b、68c、68d)及び液側遮断弁(71a、71b、71c、71d)」とは、「前記冷媒回路の第1部分の両側に設けられる、第1の遮断弁及び第2の遮断弁」という限りにおいて一致している。 甲1発明の「濃度検出装置39」は、本件発明8Aの「検知部(79a、79b、79c、79d)」に相当する。 甲1発明の「熱媒体変換機3内部」の「冷媒配管」は、「熱媒体変換機3内部」に「絞り装置16及び熱媒体間熱交換器15とこれらを繋ぐ配管」があるのだから、当該「絞り装置16及び熱媒体間熱交換器15とこれらを繋ぐ配管」を含む。そして、「漏れた熱源側冷媒の濃度を検出する」ことは「所定空間への冷媒の漏えいを検知する」ことであるから、甲1発明の「熱媒体変換機3内部で冷媒配管から熱源側冷媒の漏れが発生した場合に、その漏れた熱源側冷媒の濃度を検出する濃度検出装置39」は、本件発明8Aの「前記第1部分から所定空間(SP)への冷媒の漏えいを検知する検知部(79a、79b、79c、79d)」に相当する。 甲1発明の「濃度検出装置39は、熱源側冷媒の濃度が、所定濃度以上の場合、遮断弁駆動装置40に対して制御信号を出力せず、濃度検出装置39から制御信号を受信しなければ、濃度検出装置39によって所定濃度以上の熱源側冷媒の漏れが検出されたものと」とすることは、本件発明8Aの「前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したとき」に、相当する。 そうすると、甲1発明の「濃度検出装置39は、熱源側冷媒の濃度が、所定濃度以上の場合、遮断弁駆動装置40に対して制御信号を出力せず、濃度検出装置39から制御信号を受信しなければ、濃度検出装置39によって所定濃度以上の熱源側冷媒の漏れが検出されたものとして、第1遮断装置37及び第2遮断装置38への駆動信号の出力を停止して閉状態とする遮断弁駆動装置40」と、本件発明8Aの「前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したときに、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁を遮断状態とする、制御部(19)」とは、「前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したときに、前記第1の遮断弁及び前記第2の遮断弁を遮断状態とする、制御部」という限りにおいて一致している。 甲1発明の「可燃性の冷媒」である「HFO1234yf、HFO1234ze、R32、R32とHFO1234yfと含む混合冷媒、前述した冷媒を少なくとも一成分含む混合冷媒及びHC」は、本件発明8Aの「米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2Lクラス」と判断される、微燃性の冷媒、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2クラス」と判断される、弱燃性の冷媒、あるいは米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「3クラス」と判断される、強燃性の冷媒」に相当する。 そうすると、本件発明8Aと甲1発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 〔一致点〕 「可燃性の冷媒を冷媒回路において循環させる冷媒サイクル装置であって、 前記冷媒回路の第1部分の両側に設けられる、第1の遮断弁及び第2の遮断弁と、 前記第1部分から所定空間への冷媒の漏えいを検知する検知部と、 前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したときに、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁を遮断状態とする、制御部と、を備え、 前記可燃性の冷媒は、 米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2Lクラス」と判断される、微燃性の冷媒、 米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2クラス」と判断される、弱燃性の冷媒、 あるいは 米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「3クラス」と判断される、強燃性の冷媒 である、 冷媒サイクル装置。」 〔相違点1〕 「第1の遮断弁」及び「第2の遮断弁」に関して、本件発明8Aにおいては、それぞれ「ガス側遮断弁」及び「液側遮断弁」であるのに対して、甲1発明においては、「第1遮断装置37」及び「第2遮断装置38」である点。 〔相違点2A〕 本件発明8Aにおいては、 「前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁の遮断時漏れ量(cm3/min)は、遮断状態における前後の差圧が1MPaであるときの、標準状態で気相単相となっている気体の漏れ量であって、温度が20℃であるときの空気の漏れ量であり、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量よりも大きく、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より大きく、 前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より小さく、 R=1 である、」のに対して、 甲1発明においては、かかる事項を備えていない点。 事案に鑑み、上記相違点2Aについて検討する。 甲3及び甲4に記載された事項は、上記(1)イ及びウのとおりであって、上記相違点2Aに係る本件発明8Aの発明特定事項については、記載も示唆もされていない。 また、他に、上記相違点2Aに係る本件発明8Aの発明特定事項を、当業者が容易に想到できたとする根拠もない。 したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明8Aは、甲1発明、甲3に記載された事項及び甲4に示されるような周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ)請求項6を引用する場合 次に、本件発明8のうち請求項6を引用する発明(以下「本件発明8B」という。)と、甲1発明とを対比すると、上記一致点及び上記相違点1と同じ一致点及び相違点を有するともに、下記の点で相違する。 〔相違点2B〕 本件発明8Bにおいては、 「前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁の遮断時漏れ量(cm3/min)は、遮断状態における前後の差圧が1MPaであるときの、標準状態で気相単相となっている気体の漏れ量であって、温度が20℃であるときの空気の漏れ量であり、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量よりも大きく、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より大きく、 前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より小さく、 R= (ρmd×Vmd×Ad)/(Cr×(2×ΔPr/ρ1rl)0.5×Av×ρ1rl + Av×(2/(λ+1))((λ+1)/2(λ-1))×(λ×P1r×ρ1rg)0.5)であり、 Avは、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁それぞれの、前記遮断状態における弁隙間断面積(m2)であり、 ρ1rlは、液相冷媒の密度(kg/m3)であり、 ρ1rgは、ガス相冷媒の密度(kg/m3)であり、 P1rは、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁それぞれの、上流側の冷媒の圧力(MPa)であり、建物の外の最高温度を55℃と設定した場合の冷媒の飽和圧力であり、 λは、冷媒の比熱比であり、 ρmdは、前記所定空間へと冷媒が漏洩したのち前記所定空間の冷媒の許容平均濃度に達した空気及び冷媒の混合気体が前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間を通るときの、空気及び冷媒の混合気体の密度(kg/m3)であり、 Vmdは、前記所定空間へと冷媒が漏洩したのち前記所定空間の冷媒の許容平均濃度に達した空気及び冷媒の混合気体が前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間を通るときの、空気及び冷媒の混合気体の速度(m/s)であり、 Adは、前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間の面積(m2)であり、 ΔPrは、冷媒が漏えいしている箇所の穴の内側及び外側の圧力差(Pa)であり、建物の外の最高温度を55℃と設定した場合の冷媒の飽和圧力と大気圧との差圧であり、 Crは、冷媒が漏えいしている箇所の穴を液相の冷媒が通過する際の冷媒の流量係数であって、0.6である、」のに対して、 甲1発明においては、かかる事項を備えていない点。 上記相違点2Bについて検討する。 甲3及び甲4に記載された事項は、上記(1)イ及びウのとおりであって、上記相違点2Bに係る本件発明8Bの発明特定事項については、記載も示唆もされていない。 また、他に、上記相違点2Bに係る本件発明8Bの発明特定事項を、当業者が容易に想到できたとする根拠もない。 したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明8Bは、甲1発明、甲3に記載された事項及び甲4に示されるような周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件発明8は、甲1発明、甲3に記載された事項及び甲4に示されるような周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立理由2-1は、理由がない。 4 申立理由2-2についての当審の判断 (1)甲2に記載の事項、甲2発明 「[0043] <第1実施形態> (1)構成 -全体- 図1は、本発明の第1実施形態にかかる空気調和システム1の概略構成図である。 [0044] 空気調和システム1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の室内の冷房や暖房を行うシステムである。空気調和システム1は、主として、室外ユニット2と室内ユニット4とを液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続することによって構成された蒸気圧縮式の冷媒回路10を含んでいる。室外ユニット2は、室外に設置されており、主として、圧縮機21及び室外熱交換器24を有している。室内ユニット4は、室内に設置されており、室内熱交換器42を有している。冷媒回路10には、冷媒として、R32のような微燃性を有する冷媒、又は、R290のような強燃性を有する冷媒が充填されている。 [0045] また、空気調和システム1には、液冷媒連絡管5を含めた室外ユニット2の液側端から室内熱交換器42の液側端に至るまでの液冷媒管50、及び、ガス冷媒連絡管6を含めた室外ユニット2のガス側端から室内熱交換器42のガス側端に至るまでのガス冷媒管60に対して冷媒の漏洩が検知された際に閉止される液側遮断弁7及びガス側遮断弁8が設けられている。ここで、室外ユニット2の液側端及びガス側端には、手動で開閉操作される液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27が設けられている。また、室内ユニット4は、液冷媒連絡管5と室内熱交換器42の液側端とを接続する室内液冷媒管43と、ガス冷媒連絡管6と室内熱交換器42のガス側端とを接続する室内ガス冷媒管44と、を有している。このため、液冷媒管50は、液冷媒連絡管5及び室内液冷媒管43からなる冷媒管を意味しており、ガス冷媒管60は、ガス冷媒連絡管6及び室内ガス冷媒管44からなる冷媒管を意味している。液側遮断弁7及びガス側遮断弁8は、冷媒の漏洩が検知された際に閉止される弁であり、ここでは、液側遮断弁7は、液冷媒管50のうち液冷媒連絡管5の室内ユニット4寄りの部分に設けられており、ガス側遮断弁8は、ガス冷媒管60のうちガス冷媒連絡管6の室内ユニット4寄りの部分に設けられている。また、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8は、液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27のような手動弁とは異なり、外部からの冷媒の漏洩の有無を示す信号や開閉指令の信号等を受けて開閉操作される自動弁からなる。尚、ここでは、冷媒の漏洩の有無を検知するために、冷媒漏洩検知装置9が室内に設けられている。 [0046]そして、空気調和システム1には、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8を含む構成機器を制御するシステム制御部11が設けられている。システム制御部11は、室外ユニット2の構成機器を制御する室外制御部20と、室内ユニット4の構成機器を制御する室内制御部40と、液側遮断弁7を制御する液側遮断制御部70と、ガス側遮断弁8を制御するガス側遮断制御部80と、が通信線を介して接続されることによって構成されている。室外制御部20は、室外ユニット2に設けられている。室内制御部40は、室内ユニット4に設けられている。液側遮断制御部70は、液側遮断弁7に設けられ、ガス側遮断制御部80は、ガス側遮断弁8に設けられている。また、システム制御部11には、冷媒漏洩検知装置9を制御する冷媒漏洩検知制御部90も接続されている。この冷媒漏洩検知制御部90は、冷媒漏洩検知装置9に設けられている。尚、ここでは、制御部20、40、70、80、90間が通信線を介して接続された有線通信が採用されているが、これに限定されるものではなく、無線通信等の他の通信形式であってもよい。」 「[0063] 液側遮断制御部70は、液側遮断弁7の開閉制御を行っており、システム制御部11の一部を構成している。液側遮断制御部70は、主として、液側遮断CPU171と、液側遮断通信部172と、液側遮断記憶部173と、を有している。液側遮断CPU171は、液側遮断通信部172及び液側遮断記憶部173に接続されている。液側遮断通信部172は、室内制御部40の間で制御データ等の通信を行う。液側遮断記憶部173は、制御データ等を記憶する。そして、液側遮断CPU171は、液側遮断通信部172を介して制御データ等の通信を行い、液側遮断記憶部173に制御データ等の読み書きを行い、液側遮断弁7の開閉制御を行う。 [0064] ガス側遮断制御部80は、ガス側遮断弁8の開閉制御を行っており、システム制御部11の一部を構成している。ガス側遮断制御部80は、主として、ガス側遮断CPU181と、ガス側遮断通信部182と、ガス側遮断記憶部183と、を有している。ガス側遮断CPU181は、ガス側遮断通信部182及びガス側遮断記憶部183に接続されている。ガス側遮断通信部182は、室内制御部40の間で制御データ等の通信を行う。ガス側遮断記憶部183は、制御データ等を記憶する。そして、ガス側遮断CPU181は、ガス側遮断通信部182を介して制御データ等の通信を行い、ガス側遮断記憶部183に制御データ等の読み書きを行い、ガス側遮断弁8の開閉制御を行う。」 「[0072] -冷媒漏洩処理- 上記の通常運転において、冷媒の漏洩が検知された場合には、室内への冷媒の漏洩量を低減するために、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の閉止等を行う必要がある。そこで、冷媒漏洩検知装置9(冷媒漏洩検知制御部90)から出力される冷媒の漏洩が発生していることを示す信号がシステム制御部11(室内制御部40)に入力されると、室内CPU141の冷媒漏洩処理部147によって、以下の冷媒漏洩処理が実行される。 [0073] 具体的には、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8を閉止して、室外ユニット2から室内ユニット4への冷媒の流れをなくす。また、圧縮機21も停止する。これにより、室内への冷媒の漏洩量を低減することができ、ここでは、可燃性を有する冷媒が可燃濃度を超えないようにして、室内における着火事故の発生を抑えることができる。」 [図1] [図:0001407806000006.jpg] 以上によれば、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 〔甲2発明〕 「R32のような微燃性を有する冷媒、又は、R290のような強燃性有する冷媒が冷媒回路10に充填された空気調和システム1であって、 室内液冷媒管43、室内熱交換器42、及び室内ガス冷媒管44を含む室内ユニット4の両側に設けられる液側遮断弁7及びガス側遮断弁8と、 冷媒の漏洩の有無を検知するために室内に設けられた冷媒漏洩検知装置9と、 冷媒漏洩検知装置9から出力される冷媒の漏洩が発生していることを示す信号が入力されると、冷媒漏洩処理を実行し、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8を閉止するシステム制御部11と、を備える、 空気調和システム1。」 (2)対比・判断 ア 本件発明1について 本件発明1は、本件訂正により削除された。 したがって、本件発明1に対する無効理由2-2は、理由がなくなった。 イ 本件発明8について (ア)請求項5を引用する場合 本件発明8Aと、甲2発明とを対比する。 甲2発明の「R32のような微燃性を有する冷媒、又は、R290のような強燃性有する冷媒」、「冷媒回路10」及び「空気調和システム1」は、本件発明8Aにおける「可燃性の冷媒」、「冷媒回路(10)」及び「冷媒サイクル装置(1)」に、それぞれ相当する。 そして、甲2発明において「冷媒回路10に充填された」「冷媒」は、冷媒回路10を循環することが明らかであるから、甲2発明の「R32のような微燃性を有する冷媒、又は、R290のような強燃性有する冷媒が冷媒回路10に充填された空気調和システム1」は、本件発明8Aの「可燃性の冷媒を冷媒回路(10)において循環させる冷媒サイクル装置(1)」に相当する。 甲2発明の「室内液冷媒管43、室内熱交換器42、及び室内ガス冷媒管44を含む室内ユニット4」、「液側遮断弁7」及び「ガス側遮断弁8」は、本件発明8Aの「前記冷媒回路の第1部分(3aa、3bb、3cc、3dd)」、「ガス側遮断弁(68a、68b、68c、68d)」及び「液側遮断弁(71a、71b、71c、71d)」にそれぞれ相当する。 そうすると、甲2発明の「室内液冷媒管43、室内熱交換器42、及び室内ガス冷媒管44を含む室内ユニット4の両側に設けられる液側遮断弁7及びガス側遮断弁8」は、本件発明8Aの「前記冷媒回路の第1部分(3aa、3bb、3cc、3dd)の両側に設けられる、ガス側遮断弁(68a、68b、68c、68d)及び液側遮断弁(71a、71b、71c、71d)」に相当する。 甲2発明において「冷媒の漏洩」が「室内液冷媒管43、室内熱交換器42、及び室内ガス冷媒管44を含む室内ユニット4」で起こり得ることは、技術常識から明らかである。また、甲2発明において「室内に設けられた冷媒漏洩検知装置9」は、室内という「所定空間」への「冷媒の漏えいを検知する」ものである。 そうすると、甲2発明の「冷媒の漏洩の有無を検知するために室内に設けられた冷媒漏洩検知装置9」は、本件発明8Aの「前記第1部分から所定空間への冷媒の漏えいを検知する検知部」に相当する。 甲2発明の「冷媒漏洩検知装置9から出力される冷媒の漏洩が発生していることを示す信号が入力される」ときは、本件発明8Aの「前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したとき」に相当し、甲2発明の「冷媒漏洩処理を実行し、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8を閉止する」ことは、本件発明8Aの「前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁を遮断状態とする」ことに相当する。 そうすると、甲2発明の「冷媒漏洩検知装置9から出力される冷媒の漏洩が発生していることを示す信号が入力されると、冷媒漏洩処理を実行し、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8を閉止するシステム制御部11」は、本件発明8Aの「前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したときに、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁を遮断状態とする、制御部(19)」に相当する。 甲2発明の「R32のような微燃性を有する冷媒、又は、R290のような強燃性」は、本件発明8Aの「米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2Lクラス」と判断される、微燃性の冷媒、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2クラス」と判断される、弱燃性の冷媒、あるいは米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「3クラス」と判断される、強燃性の冷媒」に相当する。 そうすると、本件発明8Aと甲2発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 〔一致点〕 「可燃性の冷媒を冷媒回路において循環させる冷媒サイクル装置であって、 前記冷媒回路の第1部分の両側に設けられる、ガス側遮断弁及び液側遮断弁と、 前記第1部分から所定空間への冷媒の漏えいを検知する検知部と、 前記検知部が、前記第1部分から前記所定空間への冷媒の漏えいを検知したときに、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁を遮断状態とする、制御部と、 を備え、 前記可燃性の冷媒は、 米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2Lクラス」と判断される、微燃性の冷媒、 米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「2クラス」と判断される、弱燃性の冷媒、 あるいは 米国ANSI/ASHRAE34-2013規格に従い「3クラス」と判断される、強燃性の冷媒である、 冷媒サイクル装置。」 〔相違点3A〕 本件発明8Aにおいては、 「前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁の遮断時漏れ量(cm3/min)は、遮断状態における前後の差圧が1MPaであるときの、標準状態で気相単相となっている気体の漏れ量であって、温度が20℃であるときの空気の漏れ量であり、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量よりも大きく、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より大きく、 前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より小さく、 R=1 である、」のに対して、 甲2発明においては、かかる事項を備えていない点。 上記相違点3Aについて検討する。 甲1及び甲3に記載された事項は、上記3(1)ア及びイのとおりであって、上記相違点3Aに係る本件発明8Aの発明特定事項については、記載も示唆もされていない。 また、他に、上記相違点3Aに係る本件発明8Aの発明特定事項を、当業者が容易に想到できたとする根拠もない。 したがって、本件発明8Aは、甲2発明並びに甲1及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ)請求項6を引用する場合 次に、本件発明8Bと、甲2発明とを対比すると、上記一致点と同じ一致点を有し、下記の点で相違する。 〔相違点3B〕 本件発明8Bにおいては、 「前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁の遮断時漏れ量(cm3/min)は、遮断状態における前後の差圧が1MPaであるときの、標準状態で気相単相となっている気体の漏れ量であって、温度が20℃であるときの空気の漏れ量であり、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量よりも大きく、 前記ガス側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より大きく、 前記液側遮断弁の前記遮断時漏れ量は、 300×R(cm3/min)より小さく、 R= (ρmd×Vmd×Ad)/(Cr×(2×ΔPr/ρ1rl)0.5×Av×ρ1rl + Av×(2/(λ+1))((λ+1)/2(λ-1))×(λ×P1r×ρ1rg)0.5)であり、 Avは、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁それぞれの、前記遮断状態における弁隙間断面積(m2)であり、 ρ1rlは、液相冷媒の密度(kg/m3)であり、 ρ1rgは、ガス相冷媒の密度(kg/m3)であり、 P1rは、前記ガス側遮断弁及び前記液側遮断弁それぞれの、上流側の冷媒の圧力(MPa)であり、建物の外の最高温度を55℃と設定した場合の冷媒の飽和圧力であり、 λは、冷媒の比熱比であり、 ρmdは、前記所定空間へと冷媒が漏洩したのち前記所定空間の冷媒の許容平均濃度に達した空気及び冷媒の混合気体が前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間を通るときの、空気及び冷媒の混合気体の密度(kg/m3)であり、 Vmdは、前記所定空間へと冷媒が漏洩したのち前記所定空間の冷媒の許容平均濃度に達した空気及び冷媒の混合気体が前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間を通るときの、空気及び冷媒の混合気体の速度(m/s)であり、 Adは、前記所定空間の内外を仕切るドアの隙間の面積(m2)であり、 ΔPrは、冷媒が漏えいしている箇所の穴の内側及び外側の圧力差(Pa)であり、建物の外の最高温度を55℃と設定した場合の冷媒の飽和圧力と大気圧との差圧であり、 Crは、冷媒が漏えいしている箇所の穴を液相の冷媒が通過する際の冷媒の流量係数であって、0.6である、」のに対して、 甲2発明においては、かかる事項を備えていない点。 上記相違点3Bについて検討する。 甲1及び甲3に記載された事項は、上記3(1)ア及びイのとおりであって、上記相違点3Bに係る本件発明8Bの発明特定事項ついては、記載も示唆もされていない。 また、また、他に、上記相違点3Bに係る本件発明8Bの発明特定事項を、当業者が容易に想到できたとする根拠もない。 したがって、本件発明8Bは、甲2発明並びに甲1及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件発明8は、甲2発明並びに甲1及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立理由2-2は、理由がない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項5、6、8ないし10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項5、6、8ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件請求項1ないし4及び7に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除され、これにより、請求項1ないし4及び7に係る特許についての特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701027

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