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特許異議申立

2022-701014

LED灯交換工事の施工方法

審判番号
2022-701014
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-030412
登録番号
7117862
請求日
2022年10月13日
審決日
2024年01月25日
公報発行日
2024年04月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社MASS
  • 【権利者代理人】上羽 秀敏
  • 【権利者代理人】山内 哲文
  • 【権利者】鎌田 拓史
  • 【権利者代理人】上羽 秀敏
  • 【権利者代理人】山内 哲文
  • 【異議申立人】株式会社 ヤマト
  • 【異議申立人代理人】羽鳥 亘
  • 【異議申立人代理人】柿原 希望
審判長/審判官
  • 審判長 藤井 昇
  • 審判官 筑波 茂樹
  • 審判官 中村 則夫
分類
P1651.113-YAA(H05B) / P1651.121-YAA(H05B) / P1651.841-YAA(H05B) / P1651.851-YAA(H05B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7117862号発明「LED灯交換工事の施工方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7117862号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 特許第7117862号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7117862号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成30年2月23日に出願され、令和4年8月4日にその特許権の設定登録がなされ、同年8月15日に特許掲載公報が発行された。その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年10月13日 :特許異議申立人 株式会社ヤマト(以下「申 立人」という。)による請求項1~5に係る 特許に対する特許異議の申立て 令和5年 5年30日付け:特許権者に対する審尋 同年 6月29日 :特許権者による回答書の提出 同年 7月27日付け:取消理由通知 同年 9月28日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出 同年10月31日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」といい、本件訂正の請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記施工方法は、前記商用電源が接続される電源端子と前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部との間に、前記商用電源から供給される交流電力を直流に変換して供給するAC/DC変換器を含むLED用点灯回路を接続する工程」と記載されているのを、「前記施工方法は、前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程と、当該選択した少なくとも2つの端子部と前記商用電源が接続される電源端子との間に、前記商用電源から供給される交流電力を直流に変換して供給するAC/DC変換器を含むLED用点灯回路を接続する工程」に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項3~5も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部に、前記商用電源から供給される交流電力が入力される線を接続する工程」と記載されているのを、「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程と、当該選択した少なくとも2つの端子部に、前記商用電源から供給される交流電力が入力される線を接続する工程」に訂正する。 (請求項2の記載を引用する請求項3~5も同様に訂正する。) 2 一群の請求項 本件訂正前の請求項3~5は、訂正事項1及び2に係る本件訂正前の請求項1、2を直接又は間接的に引用しているところ、本件訂正前の請求項1~5は、一群の請求項であり、訂正事項1及び2の訂正は、当該一群の請求項〔1~5〕に対して請求されたものである。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1及び2の訂正要件について検討する。なお、訂正に関して、申立人は意見書において特段の意見は述べていない。 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の「前記商用電源が接続される電源端子と前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部との間に、・・・LED用点灯回路を接続する工程」について、「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程と、当該選択した少なくとも2つの端子部と前記商用電源が接続される電源端子との間に、・・・LED用点灯回路を接続する工程」とすることで、商用電源が接続される電源端子と接続されるソケットの2つの任意の端子部について、これを選択する工程を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そうすると、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 (ア)明細書等の記載事項 訂正前後の請求項1の末尾に記載されるように、請求項1は、LED灯交換工事の施工方法に関するものである。そして、施工方法に関して、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)には、次の記載がある。 「【0007】 上記施工方法によれば、ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つと電源端子との間の蛍光灯用点灯回路は切断され、ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つにLED用点灯回路が接続される。・・・なお、切断される蛍光灯用点灯回路が接続されていたソケットの少なくとも2つの端子部と、LED用点灯回路が接続される少なくとも2つの端子部は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。・・・すなわち、作業者は、LED灯の4つの端子と、LED用点灯回路の直流出力の端子との組み合わせを考慮しなくてもよくなる。例えば、作業者は、ソケットの4つの端子部のうち、任意の2つにLED用点灯回路をつなげることで、LED灯が点灯可能な構成を実現できる。 【0008】 上記施工方法において、作業者は、商用電源が接続される電源端子とソケットの間の蛍光灯用点灯回路を、LED用点灯回路に置き換え、LED灯をソケットに取り付ける作業で、LED灯交換工事を施工できる。この際、作業者は、蛍光灯用点灯回路の構造の詳細、LED用点灯回路をソケットの4つの端子部のうちどれに接続するか、さらに、LED灯の4つの端子とソケットの4つの端子部との組み合わせを考慮しなくても済む。そのため、既存の点灯回路を含む蛍光灯用の照明器具に対して、蛍光灯をLED灯に交換するための工事が容易になる。」 「【0029】 図4は、LED灯3の4つの端子31~34に接続されるLED用点灯回路4の直流出力のプラス極及びマイナス極のパターンの一例を示す図である。図4に示すいずれのパターンにおいても、LED用点灯回路4から供給される直流電力によってLED灯3を正常に点灯させることができる。」 「【0034】 以上のとおり、本実施形態の工事は、ソケット2と電源端子7の間の既存の点灯回路を切り離す工程、LED用点灯回路4をソケット2と電源端子7の間に接続する工程、及び、図3に示すLED灯3を蛍光灯1A、1Bの代わりソケット2に取り付ける工程を含む。これらの工程を含むことにより、図4に示したように、LED用点灯回路4の直流出力のプラス極とマイナス極の配置と、LED灯3の4つの端子31~34のソケット2の4つの端子部21~24との接続関係の自由度が高くなる。そのため、作業者は、工事の施行において、電源端子7とソケット2との間の蛍光灯用点灯回路の詳細な構成や、LED用点灯回路4の直流出力とソケット2の端子部21~24との関係を考慮しなくてもよい。その結果、工事がより容易になる。」 図4「 [図:0001409075000001.jpg] 」 (イ)検討 特許明細書等の(訂正前の)請求項1には、「施工方法は、前記商用電源が接続される電源端子と前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部との間に、前記商用電源から供給される交流電力を直流に変換して供給するAC/DC変換器を含むLED用点灯回路を接続する」ことが記載されている。 また、特許明細書等の段落【0007】、【0008】、【0029】、【0034】には、工事の施工において、作業者は、ソケットの4つの端子部のうち、任意の2つ以上にLED用点灯回路を接続し、ソケットの4つの端子部のうちどれに接続するかは考慮しなくてもよく、このため工事が容易になることが記載されている。これらの記載からみて、作業者は、ソケットの4つの端子部のうち、少なくとも2つの端子部を任意に選んで、LED用点灯回路に接続するものである。 そうすると、本件特許のLED交換工事の施工方法が、ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程を含み、当該選択した少なくとも2つの端子部と前記商用電源が接続される電源端子との間にLED用点灯回路を接続することは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載された事項の範囲内のものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、発明特定事項を減縮するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部に、前記商用電源から供給される交流電力が入力される線を接続する工程」について、「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程と、当該選択した少なくとも2つの端子部に、前記商用電源から供給される交流電力が入力される線を接続する工程」とすることで、交流電力が入力される線が接続されるソケットの端子部について、これを選択する工程を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正前後の請求項2の末尾に記載されるように、請求項2は、LED灯交換工事の施工方法に関するものである。そして、施工方法に関して、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)には、次の記載がある。 「【0010】 上記施工方法によれば、ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つと電源端子との間の蛍光灯用点灯回路は切断され、ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つに商用電源の交流電力を供給する線が接続される。・・・なお、切断される蛍光灯用点灯回路が接続されていたソケットの少なくとも2つの端子部と、交流電力の線が接続される少なくとも2つの端子部は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。・・・これにより、LED灯の4つの端子のうち一方端の2つに交流電力の線が接続され、且つ、他方端の2つには接続されない場合でもLED灯を点灯できるし、一方端の2つの端子及び他方端の2つの端子の両方に交流電力の線が接続される場合でもLED灯を点灯できる。そのため、作業者は、LED灯の4つの端子と、交流電力の線との組み合わせを厳密に考慮しなくてもよくなる。 【0011】 上記施工方法において、作業者は、商用電源が接続される電源端子とソケットの間の蛍光灯用点灯回路を切断して、商用電源の交流電力が供給される線をソケットの端子部に接続し、LED灯をソケットに取り付ける作業で、LED灯交換工事を施工できる。この際、作業者は、蛍光灯用点灯回路の構造の詳細、商用電源の交流電力の線をソケットの4つの端子部のうちどれに接続するか、さらに、LED灯の4つの端子とソケットの4つの端子部との組み合わせを厳密に考慮しなくても済む。そのため、既存の点灯回路を含む蛍光灯用の照明器具に対して、蛍光灯をLED灯に交換するための工事が容易になる。」 「【0057】 図11は、LED灯3aの4つの端子31~34に接続される交流端子のパターンの一例を示す図である。図11に示すいずれのパターンにおいても、供給される交流電力によってLED灯3aを正常に点灯させることができる。」 「【0062】 以上のとおり、本実施形態の工事は、ソケット2と電源端子7の間の既存の蛍光灯用点灯回路を切り離す工程、外部から供給される交流電力の線をソケット2に接続する工程、及び、図9に示すLED灯3aを蛍光灯1A、1Bの代わりにソケット2に取り付ける工程を含む。これらの工程を含むことにより、図11に示したように、交流出力のL端子とN端子の配置と、LED灯3aの4つの端子31~34のソケット2の4つの端子部21~24との接続関係の自由度が高くなる。そのため、作業者は、工事の施行において、電源端子7とソケット2との間の蛍光灯用点灯回路の詳細な構成や、交流電力の線とソケット2の端子部21~24との関係を考慮しなくてもよい。その結果、工事がより容易になる。」 図11「 [図:0001409075000002.jpg] 」 特許明細書等の(訂正前の)請求項2には、「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部に、前記商用電源から供給される交流電力が入力される線を接続する」ことが記載されている。そして、特許明細書等の段落【0010】、【0011】、【0057】、【0061】には、工事の施工において、作業者は、ソケットの4つの端子部のうち、任意の2つ以上に交流出力を接続し、ソケットの4つの端子部のうちどれに接続するかは考慮しなくてもよく、このため工事が容易になることが記載されており、これらの記載からみて、作業者は、ソケットの4つの端子部のうち、少なくとも2つの端子部を任意に選んで、交流電力の線に接続するものである。 そうすると、本件特許のLED交換工事の施工方法が、前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程を含み、当該選択した少なくとも2つの端子部に、前記商用電源から供給される交流電力が入力される線を接続することは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載された事項の範囲内のものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、発明特定事項を減縮するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について、訂正することを認める。 第3 本件発明 上記「第2」で説示したように本件訂正請求は認められるから、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~5に係る発明(以下、請求項に付した番号に応じて「本件発明1」・・・「本件発明5」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 蛍光灯用器具において、蛍光灯の代わりにLED灯を取り付けるLED灯交換工事の施工方法であって、 前記蛍光灯用器具は、前記蛍光灯の4つの端子が取り付けられる4つの端子部を含むソケットと、前記ソケットの前記4つの端子部の少なくとも2つに電気的に接続された蛍光灯用点灯回路と、外部の商用電源が接続される電源端子とを備え、 前記施工方法は、前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程と、 当該選択した少なくとも2つの端子部と前記商用電源が接続される電源端子との間に、前記商用竃源から供給される交流電力を直流に変換して供給するAC/DC変換器を含むLED用点灯回路を接続する工程と、 前記蛍光灯用点灯回路のうち、前記商用電源が接続される電源端子と前記ソケットの4つの端子部の少なくとも2つとの間に接続される部分を、前記ソケット及び前記電源端子から電気的に切り離す工程と、 前記ソケットの前記4つの端子部に取り付け可能な4つの端子を有する前記LED灯を、前記ソケットの前記4つの端子部と前記LED灯の前記4つの端子との任意の組み合わせで取り付ける工程とを有し、 前記LED灯は、前記LED灯の4つの端子のうち2つの端子に接続された第1ダイオードブリッジと、前記4つの端子のうち他の2つの端子に接続された第2ダイオードブリッジと、前記第1ダイオードブリッジ及び前記第2ダイオードブリッジのプラス極の出力端子とマイナス極の出力端子の間に接続されたLED素子とを備える、LED灯交換工事の施工方法。 【請求項2】 蛍光灯用器具において、蛍光灯の代わりにLED灯を取り付けるLED灯交換工事の施工方法であって、 前記蛍光灯用器具は、前記蛍光灯の4つの端子が取り付けられる4つの端子部を含むソケットと、前記ソケットの前記4つの端子部の少なくとも2つに電気的に接続された蛍光灯用点灯回路と、外部の商用電源が接続される電源端子とを備え、 前記蛍光灯用点灯回路のうち、前記商用電源が接続される電源端子と、前記ソケットの4つの端子部の少なくとも2つとの間に接続される部分を、前記ソケット及び前記電源端子から電気的に切り離す工程と、 前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程と、 当該選択した少なくとも2つの端子部に、前記商用電源から供給される交流電力が入力される線を接続する工程と、 前記ソケットの前記4つの端子部に取り付け可能な4つの端子を有する前記LED灯を、前記ソケットの前記4つの端子部と前記LED灯の前記4つの端子との任意の組み合わせで取り付ける工程とを有し、 前記LED灯は、前記LED灯の4つの端子のうち2つの端子に接続された第1ダイオードブリッジと、前記4つの端子のうち他の2つの端子に接続された第2ダイオードブリッジと、前記第1ダイオードブリッジ及び前記第2ダイオードブリッジのプラス極の出力端子とマイナス極の出力端子の間に接続されたLED素子とを備え、 前記LED灯は、前記第1ダイオードブリッジ及び前記第2ダイオードブリッジと、前記LED素子との間に接続される第3ダイオードブリッジをさらに備える、LED灯交換工事の施工方法。 【請求項3】 前記蛍光灯用点灯回路のうち、前記ソケットの4つの端子部のうち2つの間の部分であって、前記商用電源が接続される電源端子と前記ソケットとの間に位置しない部分の配線は、切断せずに残しておく、請求項1又は2に記載のLED灯交換工事の施工方法。 【請求項4】 前記蛍光灯用点灯回路のうち、前記ソケットの4つの端子部のうち2つの間の部分であって、前記商用電源が接続される電源端子と前記ソケットとの間に位置しない部分は、前記ソケットの4つの端子部のうち2つの間に接続されるグローランプ回路又は電子スタータ回路である、請求項3に記載のLED灯交換工事の施工方法。 【請求項5】 前記蛍光灯用器具は、複数の蛍光灯をそれぞれ取り付けるための複数のソケットを有し、 前記蛍光灯用点灯回路は、複数の蛍光灯を点灯するための前記複数のソケットに共通の蛍光灯用点灯回路を含み、 前記蛍光灯用点灯回路のうち、前記商用電源が接続される電源端子と前記ソケットの4つの端子部の少なくとも2つとの間に接続される部分を、前記ソケット及び前記電源端子から電気的に切り離す工程において、前記複数のソケットに共通の蛍光灯用点灯回路を、前記ソケット及び前記電源端子から電気的に切り離す、請求項1~4のいずれか1項に記載のLED灯交換工事の施工方法。」 第4 取消理由の概要 当審が、訂正前の請求項1及び2に対して、取消理由通知で通知した取消理由の要旨は次のとおりである。 (明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 (1)本件特許の請求項1に記載された「前記施工方法は、前記商用電源が接続される電源端子と前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部との間に、前記商用電源から供給される交流電力を直流に変換して供給するAC/DC変換器を含むLED用点灯回路を接続する工程」が、どのような技術事項を含むものであるのか明確でない。 具体的には、請求項1の上記特定では、結果的に、4つの端子部のうちいずれか2つ以上の端子部との間に接続がなされていれば良いものであるとも、4つの端子部の中から、いずれでも良い2つ以上の端子部を選択し、当該選択した2つ以上の端子部との間に接続することを意図しているとも、受け取れ、発明の構成が明確でない。 (2)本件特許の請求項2に記載された「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部に、前記商用電源から供給される交流電力が入力される線を接続する工程」が、どのような技術事項を含むものであるのか明確でない。 具体的な理由は、上記(1)と同様である。 第5 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由について 本件訂正により、4つの端子部の中から、任意の2つ以上の端子部を選択し、当該選択した2つ以上の端子部との間に接続することを意図していることが明確となったから、上記取消理由は解消した。 2 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について 2-1 特許異議申立理由の概要 申立人が申し立てた特許異議申立理由の概要及び証拠は、以下のとおりである。 (1)特許法第29条第2項(同法第113条第2号) 本件発明1は、甲第1号証、甲第2号証又は甲第3号証に記載された発明、及び甲第4号証~甲第9号証の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件発明2は、甲第10号証の1又は甲第11号証に記載された発明、及び甲第6号証~甲第9号証の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件発明3~5は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第10号証の1又は甲第11号証に記載された発明、及び甲第4~甲第9号証の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号) 本件発明1は、甲第1号証の記載事項を含む記載となっており、本件特許の出願前に公開された発明といえる。 (3)特許法第29条第1項第2号(同法第113条第2号) 甲第1号証に記載のLED交換工事が出願前に行われており、本件発明1は、公然実施された発明である。 [証拠] 甲第1号証:納入仕様書(T5型無極性LED TUBE DC24v外付電源タイプ AS-T5-M6シリーズ) 甲第2号証:特開2009-4342号公報 甲第3号証:特開2016-54161号公報 甲第4号証:オーバーキャノピー(アップライト)用T5管LED照明の提案書 甲第5号証:実用新案登録第3150634号公報 甲第6号証:特開2011-165634号公報 甲第7号証:特開2004-192833号公報 甲第8号証:特開2011-129323号公報 甲第9号証:特開2016-115588号公報 甲第10号証の1:スーパーマーケットトレードショー2015での展示内容 甲第10号証の2:スーパーマーケットトレードショー2015での展示内容の撮影画像 甲第10号証の3:スーパーマーケットトレードショー2015への出展記事(株式会社ヤマト社内報「YAMATONEWS」vol.1016号 表紙、4ページ、裏表紙) 甲第11号証:特開2018-6151号公報 以下、甲第1号証~甲第11号証を、それぞれ甲1~甲11といい、甲第10号証の1等は、甲10の1等という。 2-2 各証拠の記載等 本件発明1は、その構成要件として、「前記施工方法は、前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程と、当該選択した少なくとも2つの端子部と前記商用電源が接続される電源端子との間に、前記商用電源から供給される交流電力を直流に変換して供給するAC/DC変換器を含むLED用点灯回路を接続する工程」(以下「本件発明1の端子部を選択・接続する工程」ともいう。)を、 本件発明2は、その構成要件として、「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程と、当該選択した少なくとも2つの端子部に、前記商用電源から供給される交流電力が入力される線を接続する工程」(以下「本件発明2の端子部を選択・接続する工程」ともいう。)を、それぞれ含むものである。 そして、甲1~甲11には、上記本件発明1及び2の端子部を選択・接続する工程に関して、次の記載がある。 (1)甲1 ア 甲1の記載事項等 1枚目 「 [図:0001409075000003.jpg] 」 5枚目 「 [図:0001409075000004.jpg] 」 イ 甲1の認定事項 甲1の5枚目における「接続器具、接続方法」の項目を参照すると、次のことが認定できる。 (ア)「T5LED蛍光管配線図」、「従来の蛍光灯用灯具にて配線工事をすることなく、当製品を使用しないでください。」、「従来蛍光灯配線」との記載等から、甲1には、蛍光灯用灯具において、従来蛍光灯の代わりにT5LED蛍光管を取り付ける交換工事の施工方法が記載されていると認められる。 (イ)T5LED蛍光管は、「T5LED蛍光管配線図(外部電源) 両側給電 極性無」との記載から両側給電で接続するものと認められる。また、T5LED蛍光管は、上記項目中の図から、AD/DC変換外部電源が蛍光灯の4つの端子部のうち、右上と左下の端子部に接続されることが看取できる。そうすると、当該T5LED蛍光管は、AC/DC外部電源は、4つの端子部のうち、蛍光管の両側であって対角位置にある2つの端子部に接続されるものと認められる。 (ウ)蛍光灯に接続される4つの端子部がソケットに設けられること、商用電源とAC/DC変換外部電源との間に商用電源が接続される電源端子(コンセントプラグ等)があること、AC/DC変換外部電源が商用電源から供給される交流電力を直流に変換して供給することは、技術常識であるところ、T5LED蛍光管の接続器具においても、同様の事項が認められる。 ウ 甲1発明 以上を踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という)が記載されていると認められる。 「蛍光灯用灯具において、従来蛍光灯の代わりにT5LED蛍光管を取り付ける交換工事の施工方法であって、両側給電で接続する工程であり、ソケットの4つの端子部のうち蛍光灯の両側であって対角位置にある2つの端子部と、商用電源が接続される電源端子との間に、前記商用電源から供給される交流電力を直流に変換して供給するAC/DC変換外部電源を接続する工程を含む施工方法。」 なお、甲1発明に含まれる上記接続する工程を以下「甲1記載の工程」という。 (2)甲2 ア 甲2の記載事項 「【実施例1】 【0015】 図1は、本発明による光源装置の実施例1の構成を説明する図であり、図1(a)は正面側から見た要部平面図、図1(b)は図1(a)の内部の模式平面図である。図1(a)及び図1(b)において、1は一面に開口部1aが設けられた箱状の器具、2は器具1の開口部1aを閉塞するように装着された反射板、3は器具1の内部に設置されて交流電源ACに接続する入力電源線3a及び出力電源線3b,3cを有する現行の蛍光灯用の安定器である。 【0016】 また、4は器具1の内部に設置されて交流電源ACに接続する入力電源線4a及び出力電源線4b、4cが接続された電源部、5は反射板2の表面に露出して設置されて出力電源線4b,4cの先端部に接続された一対のソケット、6は反射板2の表面に露出して設置されて円筒状のガラス管6aの両端部に管内部に例えば赤、緑、赤の3色発光の発光ダイオード素子を搭載した電極端子部が6b,6cが装着された光源部、7は電極端子部6b、6cとソケット5との間に装着されたアダプターであり、このアダプター7は現行の蛍光灯と識別するめに挿入されている。 【0017】 このような構成された光源装置は、図1(b)に示したように各種の構成部材が器具1内の所定の位置に固定されて設置され、電源線により配線されて電気的に接続されている。そして、現行の蛍光灯用器具としての安定器3はその入力電源線3a及び出力電源線3b,3cが図中、適当な×印の位置で切断されて電気的に遮断され、使用不可能な状態となって設置されている構造となっている。 【0018】 また、電源部4は、光源部6のガラス管6aの電極端子部6b、6cに供給する最適な電圧としては、交流電源100Vでも良く、また、交流電圧を低圧に降圧して供給しても良い。さらには、低圧交流を直流に変換して直流電圧として供給しても良い。したがって、電圧供給手段としては何れを用いても良く、特に限定されるものではない。」 図1「 [図:0001409075000005.jpg] 」 イ 甲2の認定事項 (ア)段落【0016】の「6は・・・発光ダイオード素子を搭載した・・・光源部」、段落【0017】の「このような構成された光源装置は、図1(b)に示したように各種の構成部材が器具1内の所定の位置に固定されて設置され、電源線により配線されて電気的に接続されている。そして、現行の蛍光灯用器具としての安定器3はその入力電源線3a及び出力電源線3b,3cが図中、適当な×印の位置で切断されて電気的に遮断され、使用不可能な状態となって設置されている構造となっている。」との記載から、甲2には、蛍光灯用器具において、現行の蛍光灯の代わりに発光ダイオード素子を搭載した光源部6を取り付ける交換工事の施工方法が記載されていると認められる。 (イ)段落【0016】に記載された「交流電源ACに接続する入力電源線4a」、「出力電源線4b,4cの先端部に接続された一対のソケット」に関し、交流電源ACと入力電線4aとの間に交流電源ACが接続される電源端子(コンセントプラグ等)があること、一対のソケットが4つの端子部を有することは、技術常識である。 (ウ)段落【0016】の「4は・・・出力電源線4b、4cが接続された電源部、5は・・・出力電源線4b,4cの先端部に接続された一対のソケット」との記載、電源線が接続されるのはソケットの端子部であることは技術常識であること及び図1から、電源部4は、ソケットの4つの端子部のうち一方の側のソケットの端子部及び他方の側のソケットの端子部に接続されるものと認められる。 (エ)段落【0018】から、電源部4は、交流電源100Vを低圧に降圧して、さらには低圧交流を直流に変換して直流電圧として供給するものである。 ウ 甲2発明 以上を踏まえると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「蛍光灯用器具において、現行の蛍光灯の代わりに発光ダイオード素子を搭載した光源部6を取り付ける交換工事の施工方法であって、ソケットの4つの端子部のうち一方の側のソケットの端子部及び他方の側のソケットの端子部と、交流電源ACが接続される電源端子との間に、交流電源ACから供給される交流電源100Vを低圧に降圧して、さらには低圧交流を直流に変換して直流電圧として供給する電源部4を接続する工程を含む施工方法。」 なお、甲2発明に含まれる上記接続する工程を以下「甲2記載の工程」という。 (3)甲3 ア 甲3の記載事項 「【背景技術】 【0002】 図14は、例えば、特許文献1もしくは特許文献2等に記載された従来のLED照明システム400を示す図である。図14に示すように、従来のLED照明システム400は、既存の直管蛍光ランプ用照明器具401(単に照明器具と呼ぶ場合もある)の安定器402(蛍光ランプ用点灯装置)を取り外し、代わりにLED用点灯装置403を装着する。また、配線についても、安定器402への商用電源からの入力電線404と、安定器402から両端の二つのソケット405への出力電線406をそのままLED用点灯装置403へ接続する。さらに、従来のLED照明システム400は、LED(発光ダイオード)を備え、直管蛍光ランプの全長と、端部構造(口金、口金ピン等)、寸法などを合わせ、さらに全体を類似の形状にすることによって、両端の二つのソケット205に装着できるようにしたLEDランプ407(以下、単にランプと呼ぶ場合もある)をソケット405間に装着する。 【0003】 商用電源からの入力電線404を介して、LED用点灯装置403に所定の電圧が印加されると、LED用点灯装置403から出力電線406、両端のソケット405を介して、LEDランプ407の両端の口金407a,407bへ電力が供給され、装着されたLEDが発光し、照明に使われる。」 「【0006】 尚、直管蛍光ランプは、両端に設けたフィラメントのさらに両端を独立に安定器402(蛍光ランプ用点灯装置)と接続しなくてはならないため、出力電線406、ソケット405の端子とも、片側2本あるいは2個、両側あわせて4本、あるいは4個必要である。 【0007】 一方、LEDランプ407においては、本来は独立した接続は2個でよい。しかし、図14のLEDランプ407は、直管蛍光ランプと端部構造(口金、口金ピン等)を合わせて構成されているが、例えば、片側2本の口金ピンのうち1本はダミーの口金ピンである。従って、LEDランプ407を、片側2本あるいは2個、両側あわせて4本、あるいは4個の出力電線406、ソケット405の端子にLEDランプ407を接続する場合、入れる方向によっては、LED用点灯装置403にLEDランプ407を接続ができない場合がある。 【0008】 それを防ぐための一例としては、両端に電力を供給することとし、4本の出力電線のうち同じソケット405に接続される2本ずつを同電位になるようにLED用点灯装置403内あるいは、LEDランプ407内で短絡しておくなどしておくと特に問題とならない。 【0009】 LEDは直流で、かつ電流を制御した形で動作させる必要があるため、このようなLED照明システムにおいては、商用電源からLEDに至るまでの間に、AC-DC変換手段、電圧変換手段、電流制御手段が必要である。これを照明器具側とランプ側の構成で、どこまでを分担するかによっていくつかのタイプがある。 【0010】 「第1のタイプ」は、照明器具側でほぼ全部を受け持ち、制御された直流電流をランプ側に供給するものである。 【0011】 「第2のタイプ」は、照明器具側で、AC-DC変換し、電圧を適当な値としてランプ側に供給し、ランプ側は、電流制御手段をもつというものである。 【0012】 「第3のタイプ」は、照明器具側はほとんど素通りで、ランプ側にほとんどの機能を持たせるというものである。」 図14 「 [図:0001409075000006.jpg] 」 イ 甲3の認定事項 (ア)段落【0002】の「既存の直管蛍光ランプ用照明器具401(単に照明器具と呼ぶ場合もある)の安定器402(蛍光ランプ用点灯装置)を取り外し、代わりにLED用点灯装置403を装着する。」、「LEDランプ407(以下、単にランプと呼ぶ場合もある)をソケット405間に装着する。」との記載から、甲3には、既存の直管蛍光ランプの代わりにLEDランプ407を取り付ける交換工事の施工方法が記載されていると認められる。 (イ)段落【0002】に記載された「商用電源からの入力電線404」に関し、商用電源と入力電線404との間に、商用電源が接続される電源端子(コンセントプラグ等)があることは、技術常識である。 (ウ)段落【0006】の記載から、ソケット405は4個の端子を備えるものと認められる。そして、段落【0008】の「4本の出力電線のうち同じソケット405に接続される2本ずつを同電位になるようにLED用点灯装置403内あるいは、LEDランプ407内で短絡しておく」との記載から、ソケット405の4つの端子は、同じソケットの2個の端子が同電位になるように接続されるものと認められる。 (エ)段落【0009】~【0011】の記載から、ソケットの端子と商用電源との間に、AC-DC変換手段を接続することが記載されていると認められる。AC-DC変換手段が交流電力を直流に変換して供給するものであることは技術常識である。 ウ 甲3発明 以上を踏まえると、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 「既存の直管蛍光ランプの代わりにLEDランプ407を取り付ける交換工事の施工方法であって、ソケット405の4つの端子と、商用電源が接続される電源端子との間に、同じソケットの2個の端子が同電位になるように、商用電源から供給される交流電力を直流に変換して供給するAC-DC変換手段を接続する工程を含む施工方法。」 なお、甲3発明に含まれる上記接続する工程を以下「甲3記載の工程」という。 (4)甲4 ア 甲4の記載事項 1枚目 「 [図:0001409075000007.jpg] 」 3枚目 「 [図:0001409075000008.jpg] 」 8枚目 「 [図:0001409075000009.jpg] 」 イ 甲4の認定事項 (ア)3枚目の「T5管(口金G5)のLEDランプを開発することで、器具は流用として、ランプと電源装置のみ交換する・・・」との記載及び左下の写真から、ランプの取り付けられるソケットは、一般的な、片側2つ、両側で4つの端子部を有するソケットであると認められる。 (イ)8枚目の「LEDランプ配線方法」の項目には、「T5管片側給電の場合(DC24Vの極性は問いません)」が記載され、上記(ア)で説示した一般的なソケットの形状を踏まえつつ、その下に示された図を参照すると、片側給電で接続する場合、ソケットの4つの端子部のうち片側のソケットの2つの端子部にDC24V定電圧電源を接続するものと認められる。 (ウ)同項目には、「T5管両側給電の場合(DC24Vの極性は問いません)」が記載され、上記(ア)で説示した一般的なソケットの形状をその下に示された図を参照すると、両側給電で接続する場合、ソケットの4つの端子部のうち一方の側のソケットの端子部と他方の側のソケットの端子部のそれぞれにDC24V定電圧電源を接続するものと認められる。 (エ)8枚目の図において、AC入力とDC24V定電圧電源との間にAC入力が接続される電源端子(コンセントプラグ等)があることは技術常識である。 ウ 甲4記載の工程 以上を踏まえると、甲4には、片側給電の場合及び両側給電の場合に係る、次の2つの工程(以下、それぞれ「甲4記載の工程1」及び「甲4記載の工程2」という。)が記載されていると認められる。 <甲4記載の工程1> 「片側給電で接続する場合であって、ソケットの4つの端子部のうち片側のソケットの2つの端子部と、AC入力が接続される電源端子との間に、AC入力から供給される交流電力を直流に変換して供給するDC24V定電圧電源を接続する工程」 <甲4記載の工程2> 「両側給電で接続する場合であって、ソケットの4つの端子部のうち一方の側のソケットの端子部及び他方の側のソケットの端子部と、AC入力が接続される電源端子との間に、AC入力から供給される交流電力を直流に変換して供給するDC24V定電圧電源を接続する工程」 (5)甲5 ア 甲5の記載事項 「【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本考案は、上記に鑑みて、2灯用ラピッドスタート式シーケンス形安定器を内蔵する既存の蛍光灯器具に、何らの変更を加えることもなく、即使用できる蛍光灯型2灯用LED照明灯を提供するものである。」 図1「 [図:0001409075000010.jpg] 」 (6)甲6 ア 甲6の記載事項 「【0016】 図6の本発明LED蛍光管13への電力供給図1のごとく、このLED蛍光管両端の一対の電極端子1それぞれに、直流12Vの電圧を供給する事により、本発明のLED蛍光管は点灯する。 図7の本発明LED蛍光管13への電力供給図2のごとく、このLED蛍光管両端の一対の電極端子1いずれかに、直流12Vの電圧を供給する事により、本発明のLED蛍光管は点灯する。 また、誤って15V以上の電源を接続した場合は過電圧防止回路4により回路が遮断され、点灯せず、破損を防止できる。」 「【0020】 本発明のLED蛍光管13は規定電圧を超えると回路を遮断する過電圧防止回路4を内蔵しているので、従来の蛍光灯器具や高電圧の回路に接続しても破損しせず安全である。 本発明のLED蛍光管13の直流電源回路は直流・交流の区別が必要なく、また、両端のいずれか一対の電極端子1または両端の一対の電極端子それぞれに極性を確認することなく、簡単に配線出来る回路となっている。」 図6 「 [図:0001409075000011.jpg] 」 図7 「 [図:0001409075000012.jpg] 」 (7)甲7 ア 甲7の記載事項 「【0082】 また、LED照明装置1の両端においてそれぞれ一組づつ電極ピン26a,26b(又は各電極ピン28a,28b)を備えたこと、及び、各電極ピン26a,26b(又は各電極ピン28a,28b)間において接続方向が対称となるように各一対の整流ダイオード41,42等が接続されていることにより、照明器具30へのLED照明装置1の取付方向を考慮せずともよく、取付方向を誤ることにより生じうる不具合の発生を低減することができる。」 図6 「 [図:0001409075000013.jpg] 」 (8)甲8 ア 甲8の記載事項 「【0013】 本発明に係る蛍光灯型LEDランプは、既存の蛍光灯ソケットに一端部の2本のピン端子および他端部の2本のピン端子をそれぞれ差込み接続して使用される。ここで、一端部の何れか1本のピン端子と他端部の何れか1本のピン端子との間に蛍光灯ソケットから交流電圧が供給されると、第1の整流回路の直流出力側と第2の整流回路の直流出力側との間に電圧制御回路および保護回路が相互に直列に接続されたLEDモジュールの電源回路が閉成されることで、LEDモジュールが点灯する。その際、保護回路が電圧制御回路およびLEDモジュールを保護する。」 図4 「 [図:0001409075000014.jpg] 」 (9)甲9 ア 甲9の記載事項 「【0064】 次に、LEDランプ10を照明器具に装着する方向について、図6に基づいて説明する。LEDランプ10を照明器具に装着する方向としては、4通りある。つまり、図6(A)に示すように、左側のソケットに端子ピン11が装着され、右側のソケットに端子ピン12が装着される場合と、図6(B)に示すようにその反対の場合とで二通り、そして、図6(A)および同図(B)のピン11a,11bと、ピン12a,12bとを、軸線を中心とした回転により入れ変えることで、図6(C)および同図(D)に示すように二通りがある。従って、合計4通りである。 図6(A)から同図(D)に示すように、ソケットに端子ピン11,12が入れ代わったとしても、端子ピン11側には整流部141が、端子ピン12側には整流部142が設けられ、ダイオードブリッジが回転対称に構成されているため、グロースタート式、ラピッドスタート式、および、非常灯100を含むインバータ式のいずれの照明器具でも、ソケットに方向に関係なく装着することができる。」 図6 「 [図:0001409075000015.jpg] 」 (10)甲10の1 ア 甲10の1の記載事項 「 [図:0001409075000016.jpg] 」 イ 甲10の1の認定事項 甲10の1の「内部電源配線工事(当社)」の項目を参照すると、次のことが認定できる。 (ア)上記項目中の図及び甲10の1の「食品用LEDのご提案」、「標準LED蛍光灯」、「精肉用LED蛍光灯」との記載から、取り付けられるのはLED蛍光灯であると認められる。また、上記項目の前後には、「取付工事時は商品撤去不要」、「外部電源仕様と比較して、配線工事が簡単!」と、上記項目中には「T10管の場合、棚下配線工事が不要(電子安定器カットのみ)」と記載され、上記項目中の図の電子安定器に接続された配線には「×」印があること、甲10の1の2行目には「LEDを導入検討しているが初期費用を抑えたい」との記載があることから、LED蛍光灯は、従来蛍光灯の代わりに取り付けるものと認められる。そうすると、甲10の1には、蛍光灯用灯具において、従来蛍光灯の代わりにLED蛍光灯を取り付ける交換工事の施工方法が記載されていると認められる。 (イ)上記項目中の図から、LED蛍光灯が、4つの端子部を有すること及びソケットに取り付けられることが看取できる。そして、LED蛍光灯の4つの端子部に対応してソケットが4つの端子部を有することは明らかである。 (ウ)上記項目中の図の「AC」が、交流電力を供給するAC電源を意味することは明らかである。 (エ)上記項目中の図から、ソケットの4つの端子部のうち、一方の側の2つの端子部のうち電子安定器が接続されていた方の端子部及び他方の側の2つの端子部のうち電子安定器が接続されていた方の端子部に、AC電源から供給される交流電力が入力される線を接続するものと認められる。 ウ 甲10発明 以上を踏まえると、甲10の1には、次の発明(以下「甲10発明」という。)が記載されていると認められる。 「蛍光灯用灯具において、従来蛍光灯の代わりにLED蛍光灯を取り付ける交換工事の施工方法であって、ソケットの4つの端子部のうち、一方の側の2つの端子部のうち電子安定器が接続されていた方の端子部と、他方の側の2つの端子部のうち電子安定器が接続されていた方の端子部に、AC電源から供給される交流電力が入力される線を接続する工程を含む施工方法。」 なお、甲10発明に含まれる上記接続する工程を以下「甲10記載の工程」という。 (11)甲11 ア 甲11の記載事項 「【0010】 次に図6は、2灯式の直管蛍光ランプ用の照明器具10の一般的な配線構造を示している。 直管蛍光ランプ100を使用する照明器具10には、商用交流電源1と直管蛍光ランプ100との間に安定器16が備わっている。この照明器具10に、直管蛍光ランプ100に代えて、電源内蔵型の直管LEDランプを取り付ける場合には、安定器16は不要であり、安定器16を内部回路から切り離すバイパス工事が必要となる。 【0011】 そのバイパス工事の際には、例えば、図6において「×」印で示した箇所で電線を切断し、これから使用する直管LEDランプが両側給電式のものである場合には、一般的に図7に示すように、両側給電用の配線工事を行っている。又、これから使用する直管LEDランプが片側給電式のものである場合には、図8に示すように、片側給電用の配線工事を行っている。 【0012】 即ち、一般的な両側給電用の配線工事では、図7に示すように、両側給電式の直管LEDランプ31、32の一端側の口金36に対応した照明器具10側の一端側のソケット11の両端子21、22に交流電源のN極を接続し、他端側の口金37に対応した照明器具10側の他端側のソケット12の両端子23、24に交流電源のL極を接続する。 【0013】 又、片側給電用の配線工事では、図8に示すように、片側給電式の直管LEDランプ33の給電側の口金36に対応した照明器具10の給電側のソケット11の両端子21、22のうちの一方の端子21に交流電源のN極を接続し、他方の端子22に交流電源のL極を接続する。なお、片側給電式の直管LEDランプ33の反給電側の口金37に対応した照明器具10の非給電側のソケット12の両端子23、24は、直管LEDランプ33の口金37のピン電極42、43と共に、給電に供しないダミーとされている。ダミーとされている部分を図中符号Dで示す。 【0014】 以上のように、予めバイパス工事を行っておくことにより、図7に示す両側給電用の配線工事済みの照明器具10には、両側給電式の直管LEDランプ31、32を適正に取り付けて使用することができる。又、図8に示す片側給電用の配線工事済みの照明器具10には、片側給電式の直管LEDランプ33を適正に取り付けて使用することができる。」 図6 「 [図:0001409075000017.jpg] 」 図7 「 [図:0001409075000018.jpg] 」 図8 「 [図:0001409075000019.jpg] 」 イ 甲11の認定事項 (ア)段落【0010】の「直管蛍光ランプ100を使用する照明器具10には、商用交流電源1と直管蛍光ランプ100との間に安定器16が備わっている。この照明器具10に、直管蛍光ランプ100に代えて、電源内蔵型の直管LEDランプを取り付ける場合には、安定器16は不要であり、安定器16を内部回路から切り離すバイパス工事が必要となる。」との記載から、甲11には、直管蛍光ランプ100を使用する照明器具10において、直管蛍光ランプ100に代えて、直管LEDランプを取り付ける交換工事の施工方法が記載されていると認められる。 (イ)段落【0012】の記載及び図7から、両側給電用配線の場合、ソケット11、12の4つの端子21~24のうち、4つの端子21~24に、交流電源の線を接続するものと認められる。 (ウ)段落【0013】の記載及び図8から、片側給電用配線の場合、ソケット11、12の4つの端子21~24のうち、一方の側の2つの端子21、22に、交流電源の線を接続するものと認められる。 (エ)商用交流電源1が交流電力を供給することは技術常識であり、上記(ア)及び(イ)における交流電源の線は、商用交流電源1から供給される交流電力が入力される線であると認められる。 ウ 甲11発明 以上を踏まえると、甲11には、図7の両側給電用配線及び図8の片側給電用配線に係る、次の2つの発明(以下、それぞれ「甲11発明1」及び「甲11発明2」という。)が記載されていると認められる。 <甲11発明1> 「直管蛍光ランプ100を使用する照明器具10において、直管蛍光ランプ100に代えて、直管LEDランプを取り付ける交換工事の施工方法であって、両側給電用の配線において、ソケット11、12の4つの端子21~24のうち、4つの端子21~24に、商用交流電源1から供給される交流電力が入力される線を接続する工程を含む施工方法。」 <甲11発明2> 「直管蛍光ランプ100を使用する照明器具10において、直管蛍光ランプ100に代えて、直管LEDランプを取り付ける交換工事の施工方法であって、片側給電用の配線において、ソケット11、12の4つの端子21~24のうち、一方の側の2つの端子21、22に、商用交流電源1から供給される交流電力が入力される線を接続する工程を含む施工方法」 なお、甲11発明1に含まれる上記接続する工程を以下「甲11記載の工程1」、甲11発明2に含まれる上記接続する工程を以下「甲11記載の工程2」という。」 2-3 特許法第29条第2項についての検討 (1)本件発明1について 本件発明1のLED灯交換工事方法は、上記本件発明1の端子部を選択・接続する工程、すなわち「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程と、当該選択した少なくとも2つの端子部と前記商用電源が接続される電源端子との間に、前記商用竃源から供給される交流電力を直流に変換して供給するAC/DC変換器を含むLED用点灯回路を接続する工程」を有するものであるので、この工程について検討する。 ア 甲1を主引例とする場合(甲1発明に含まれる甲1記載の工程との対比・判断) 甲1は、その1枚目の注意事項、ご受領印欄及び発行印欄の記載を参照すると、(株)ヤマトと株式会社アセントイズムとの二者間で授受された納品仕様書である。そうすると、甲1が本件特許の出願前に公然知られたものであったか(第三者が知りうる状態であったか)、あるいは、頒布された刊行物であったかは定かではないものの、この点は措いて、以下検討する。 甲1に含まれる甲1記載の工程は、「両側給電で接続する工程であり、ソケットの4つの端子部のうち蛍光灯の両側であって対角位置にある2つの端子部と、選択した端子部と商用電源が接続される電源端子との間に、・・・AC/DC変換外部電源を接続する」ものである。そして、当該甲1記載の工程は、両側給電で接続するものであって、例えば、任意に片側給電を選択できるものではないから、「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する」ものではない。また、甲1には、任意に5枚目の図に示された両側給電以外の接続方法とすることの記載や示唆はない。 そうすると、甲1発明に含まれる甲1記載の工程は「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程」を有するものではない点で、本件発明1の端子部を選択・接続する工程と相違する。 この相違点について検討すると、以下(ア)、(イ)に示すように、当該相違点に係る事項は、甲4~甲9のいずれの証拠にも記載されていない。 (ア)甲4記載の工程について 甲4は、その1枚目を参照すると、株式会社●●製作所(当審注;●●は黒塗り)と株式会社ヤマトとの間でやりとりされた提案書であって、右上欄の「confidential」との記載、下部の「本資料に含まれる情報は、お客様内部でご検討・ご評価いただく目的のみのために提供させていただくものです。」との記載も踏まえると、甲4が本件特許の出願前に公然知られたものであったか(第三者が知りうる状態であったか)、あるいは、頒布された刊行物であったかについては疑義があるものの、この点は措いて、以下検討する。 甲4記載の工程1は、「片側給電で接続する場合であって、ソケットの4つの端子部のうち片側のソケットの2つの端子部と、AC入力が接続される電源端子との間に、AC入力から供給される交流電力を直流に変換して供給するDC24V定電圧電源を接続する工程」である。そして、甲4記載の工程1では、片側給電で接続するものであって、例えば、任意に両側給電を選択できるものではないから、「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する」ものではない。 甲4記載の工程2は、「両側給電で接続する場合であって、ソケットの4つの端子部のうち一方の側のソケットの端子部及び他方の側のソケットの端子部と、AC入力が接続される電源端子との間に、AC入力から供給される交流電力を直流に変換して供給するDC24V定電圧電源を接続する工程」である。そして、甲4記載の工程2では、各ソケットの2つの端子部のうち、いずれの端子部に接続するのか不明であるが、この点は措くとしても、少なくとも両側のソケットの端子部を選択するものであって、例えば、任意に片側の端子部のみを選択できるものではないから、「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する」ものではない。 なお、甲4には、甲4記載の工程1(片側給電)とするか、甲4記載の工程2(両側給電)とするかを任意に選択することの記載や示唆はない。仮に甲4記載の工程1及び2を任意に選択可能であるとしても、任意の3つの端子部を選択することや4つの端子部を選択しても良いことが示されているものではないから、「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する」ものではない。 (イ)甲5~甲9に記載された事項について 甲5には、既存の蛍光灯器具に変更を加えることもなく使用することができることが記載されている(段落【0004】)にすぎず、電源に接続する端子部として「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択」することを示すものではない。 甲6には、LED蛍光管両端の一対の電極端子1それぞれに、直流12Vの電圧を供給する事により、LED蛍光管が点灯すること、LED蛍光管両端の一対の電極端子1いずれかに、直流12Vの電圧を供給する事により、LED蛍光管が点灯することが記載されている(段落【0016】、【0020】)。しかしながら、電源に接続する端子部として「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択」することを示すものではない。 甲7には、照明器具30へのLED照明装置1の取付方向を考慮しなくて良いことが記載されている(段落【0082】)にすぎず、電源に接続する端子部として「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択」することを示すものではない。 甲8には、蛍光灯型LEDランプの一端部のいずれか1本のピン端子と他端部の何れか1本のピン端子との間に蛍光灯ソケットから交流電圧が供給されるとLEDモジュールが点灯することが記載されている(段落【0013】)にすぎず、電源に接続する端子部として「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択」することを示すものではない。 甲9には、LEDランプ10を照明器具に装着する方向は4通りあるが、方向に関係なく装着することができることが記載されている(段落【0064】)にすぎず、電源に接続する端子部として「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択」することを示すものではない。 したがって、甲1が仮に公知であったとしても、甲1発明に含まれる甲1記載の工程について、本件発明1の端子部を選択・接続する工程とすることは、甲1発明及び甲4~甲9に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない イ 甲2を主引例とする場合(甲2発明に含まれる甲2記載の工程との対比・判断) 甲2発明に含まれる甲2記載の工程は、「ソケットの4つの端子部のうち一方の側のソケットの端子部及び他方の側のソケットの端子部と、交流電源ACが接続される電源端子との間に、交流電源ACから供給される交流電源100Vを低圧に降圧して、さらには低圧交流を直流に変換して直流電圧として供給する電源部4を接続する工程」である。そして、当該甲2記載の工程では、各ソケットの2つの端子部のうち、いずれの端子部に接続するのか不明であるが、この点は措くとしても、少なくとも両側のソケットの端子部を選択するものであって、任意に片側の端子部のみを選択するものではないから、「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する」ものではない。また、甲2には、一方の側のソケットの端子部及び他方の側のソケットの端子部以外の接続方法とすることの記載や示唆はない。 そうすると、甲2発明に含まれる甲2記載の工程は「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程」を有するものではない点で、本件発明1の端子部を選択・接続する工程と相違する。 そして、この相違点について検討すると、当該相違点に係る事項は、上記ア(ア)及び(イ)で説示したように、甲4~甲9のいずれの証拠にも記載されていない。 したがって、甲2発明に含まれる甲2記載の工程について、本件発明1の端子部を選択・接続する工程とすることは、甲2発明及び甲4~甲9に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 ウ 甲3を主引例とする場合(甲3発明に含まれる甲3記載の工程との対比・判断) 甲3発明に含まれる甲3記載の工程は、「ソケット405の4つの端子と、商用電源が接続される電源端子との間に、同じソケットの2個の端子が同電位になるように、商用電源から供給される交流電力を直流に変換して供給するAC-DC変換手段を接続する工程」である。そして、当該甲3記載の工程では、4つの端子部の全てに接続するものであって、例えば、任意に2つの端子部のみを選択できるものではないから、「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する」ものではない。また、甲3には、4つの端子部の全てに接続すること以外の接続方法とすることの記載や示唆はない。 そうすると、甲3発明に含まれる甲3記載の工程は「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程」を有するものではない点で、本件発明1の端子部を選択・接続する工程と相違する。 そして、この相違点について検討すると、当該相違点に係る事項は、上記ア(ア)及び(イ)で説示したように、甲4~甲9のいずれの証拠にも記載されていない。 したがって、甲3発明に含まれる甲3記載の工程について、本件発明1の端子部を選択・接続する工程とすることは、甲3発明及び甲4~甲9に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 エ 小括 以上のとおり、本件発明1の端子部を選択・接続する工程は、甲1発明、甲2発明又は甲3発明、及び甲4~甲9の記載事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。そうすると、本件発明1のその余の構成について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2発明又は甲3発明、及び甲4~甲9の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2について 本件発明2のLED灯交換工事方法は、上記本件発明2の端子部を選択・接続する工程、すなわち、「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程と、当該選択した少なくとも2つの端子部に、前記商用電源から供給される交流電力が入力される線を接続する工程」を有するものであるので、この工程について検討する。 ア 甲10の1を主引例とする場合(甲10発明に含まれる甲10記載の工程との対比・判断) 甲10発明に含まれる甲10記載の工程は、「ソケットの4つの端子部のうち、一方の側の2つの端子部のうち電子安定器が接続されていた方の端子部と、他方の側の2つの端子部のうち電子安定器が接続されていた方の端子部に、AC電源から供給される交流電力が入力される線を接続する」ものである。すなわち、交流電源が接続されていた端子部に接続するものであって、例えば、それ以外の端子部を選択できるものではないから、「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する」ものではない。 そうすると、甲10発明に含まれる甲10記載の工程は「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程」を有するものではない点で、本件発明2の端子部を選択・接続する工程と相違する。 そして、この相違点について検討すると、当該相違点に係る事項は、上記ア(イ)で説示したように、甲6~甲9の証拠にも記載されていない。 したがって、甲10発明に含まれる甲10記載の工程について、本件発明2の端子部を選択・接続する工程とすることは、甲10発明及び甲6~9の記載事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 イ 甲11を主引例とする場合(甲11発明に含まれる甲11記載の工程との対比・判断) 甲11発明1に含まれる甲11記載の工程1は、「両側給電用の配線において、ソケット11、12の4つの端子21~24のうち、4つの端子21~24に、商用交流電源1から供給される交流電力が入力される線を接続する工程」である。そして、当該甲11記載の工程1は、4つの端子部に接続するものであって、例えば、任意に2つの端子部のみを選択できるものではないから、「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する」ものではない。 また、甲11発明2に含まれる甲11記載の工程2は、「片側給電用の配線において、ソケット11、12の4つの端子21~24のうち、一方の側の2つの端子21、22に、商用交流電源1から供給される交流電力が入力される線を接続する工程」である。そして、当該甲11記載の工程2は、一方の側の2つの端子部に接続するものであって、例えば、任意に両側給電を選択できるものではないから、「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する」ものではない。 なお、甲11には、甲11記載の工程1(両側給電)とするか、甲11記載の工程2(片側給電)とするかを任意に選択することの記載や示唆もない。仮に甲11記載の工程1及び2を任意に選択可能であるとしても、両側の2つの端子部を選択することや任意の3つの端子部を選択しても良いことが示されているものではないから、「ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する」ものではない。 そうすると、甲11発明1及び2における甲11記載の工程1及び2は、いずれも「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程」を有するものではない点で、本件発明2の端子部を選択・接続する工程と相違する。 そして、この相違点について検討すると、当該相違点に係る事項は、上記ア(イ)で説示したように、甲6~甲9のいずれの証拠にも記載されていない。 したがって、甲11発明1及び2に含まれる甲11記載の工程1及び2について、本件発明2の端子部を選択・接続する工程とすることは、甲11発明1又は2及び甲6~甲9の記載事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 ウ 小括 以上のとおり、本件発明2の端子部を選択・接続する工程は、甲10発明、甲11発明1又は2、及び甲6~甲9の記載事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。そうすると、本件発明2のその余の構成について検討するまでもなく、本件発明2は、甲10発明、甲11発明1又は甲11発明2、及び甲6~甲9の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3~5について 本件発明3~5は、本件発明1又は2の構成を全て含み、さらに構成を付加して限定したものである。そうすると、本件発明1及び2が、当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明3~5についても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)申立人の意見について 申立人は、令和5年10月31日の意見書において、本件発明の「少なくとも2つの任意の端子部」との記載や「任意の組み合わせで取り付ける」との記載は、実質的にすべての配線接続の組み合わせを網羅する記載であり、任意の端子部から選択した結果であろうと、本件特許発明の出願前に一般的に行われていた公知の配線接続及び工法を含む以上、本件発明は、新規性・進歩性を有しない旨を主張する(第3ページ第3~10行)。 しかしながら、本件発明1~5は、方法の発明である。そうすると、その結果物ではなく、工程(プロセス)について特定された発明といえるから、本件発明は、結果として4つの端子部うちから少なくとも2つ以上の端子部に接続されたものを特定しているのではなく、4つの端子部のうちから2つ以上の任意に端子部を選択するという工程(プロセス)を特定しているものであり、申立人の上記主張は採用できない。 2-4 特許法第29条第1項第3号についての検討 上記「2-3(1)ア」で説示したとおり、甲1が頒布された刊行物であったかは定かではない。 しかしながら、上記「2-3(1)ア」で説示したとおり、甲1記載の工程は「前記ソケットの4つの端子部のうち少なくとも2つの任意の端子部を選択する工程」を有するものではない点で、本件発明1の端子部を選択・接続する工程と相違する。そうすると、本件発明1の端子部を選択・接続する工程は、甲1には開示されていない。 したがって、甲1が頒布された刊行物であるか否かに関わらず、本件発明1が甲1発明であるとはいえない。 2-5 特許法第29条第1項第2号についての検討 申立人は、甲1に記載のLED交換工事を、本件特許の出願日よりも前から行っていると主張するが、それを示す証拠等は示されておらず、その真偽は定かではない。この点は措くとしても、本件発明1の端子部を選択・接続する工程は、上記「2-4」でも述べたように甲1には開示されておらず、また、当該工程が、上記LED交換工事で行われていたとするほかの証拠も示されていない。したがって、申立人の上記主張は採用できない。 よって、甲1に記載のLED交換工事が公然実施されたか否かに関わらず、本件発明1がその出願前に公然実施された発明であるということはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701014

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