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特許異議申立

2022-700874

ホットメルト接着剤

審判番号
2022-700874
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-251787
登録番号
7039004
請求日
2022年09月06日
審決日
2023年06月14日
公報発行日
2023年09月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】積水フーラー株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
  • 【異議申立人】北岡 弘章
審判長/審判官
  • 審判長 門前 浩一
  • 審判官 関根 裕
  • 審判官 亀ヶ谷 明久
分類
P1651.537-YAA(C09J) / P1651.121-YAA(C09J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7039004号発明「ホットメルト接着剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7039004号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 特許第7039004号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7039004号の請求項1~5に係る特許(以下「本件特許」ともいう。)についての出願は、平成29年12月27日の出願であって、令和4年3月11日にその特許権の設定登録(請求項の数5)がされ、同年同月22日に特許掲載公報が発行され、その後、当該特許に対して、同年9月6日に特許異議申立人北岡弘章(以下「申立人」ともいう。)により、そのすべての請求項に対して特許異議の申立てがなされたものであって、その後の経緯は、次のとおりである。 令和4年12月 6日付け 取消理由通知書(当審) 令和5年 2月 7日 訂正請求書及び意見書(特許権者) 同年 3月10日 意見書(申立人) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和5年2月7日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、次のとおりである。 特許請求の範囲の請求項1に、「を含むホットメルト接着剤であって、」と記載されているのを「を含むホットメルト接着剤であって、 (A2)エチレン-αオレフィン共重合体は、エチレンと、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、及び1-エイコセンからなる群より選択される少なくとも1種のαオレフィンとの共重合体であり、」と訂正する。 請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~5についても同様に訂正する。 2 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~5について、請求項2~5は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用するものであるから、本件訂正前の請求項1~5は特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。 したがって、本件訂正後の請求項1~5は、一群の請求項を構成する。 3 訂正の目的 本件訂正は、本件訂正前の「(A2)エチレン-αオレフィン共重合体」について、エチレンと共重合するαオレフィンの種類が「1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、及び1-エイコセンからなる群より選択される少なくとも1種のαオレフィン」であることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とした訂正と認められる。 4 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 本件訂正は、前記3に記載したとおり、本件訂正前の「(A2)エチレン-αオレフィン共重合体」の、エチレンと共重合するαオレフィンの種類を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 5 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件訂正は、本件特許の明細書の【0027】の「・・・(A2)成分は、エチレン-αオレフィン共重合体である。エチレン-αオレフィン共重合体としては特に限定されず、エチレンと少なくとも1種のαオレフィンとの共重合体が挙げられる。αオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、及び1-エイコセンなどが挙げられる。αオレフィンの炭素数は3~20が好ましく、6~8がより好ましい。」との記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 6 特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであること 本件訂正においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~5に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定は課されない。 7 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 したがって、本件特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明等 1 本件訂正発明 本件訂正は前記第2のとおり認められたので、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明(以下「本件訂正発明1」~「本件訂正発明5」といい、まとめて「本件訂正発明」もいう。)は次のとおりのものである。 「【請求項1】 (A1)ガラス転移温度が-15℃以下であるポリプロピレン重合体、 (A2)エチレン-αオレフィン共重合体、 (A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体、 (B)ワックス、及び (C)粘着性付与樹脂 を含むホットメルト接着剤であって、 (A2)エチレン-αオレフィン共重合体は、エチレンと、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、及び1-エイコセンからなる群より選択される少なくとも1種のαオレフィンとの共重合体であり、 下記式(I)で算出される、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)が、5~20質量%であり、 ホットメルト接着剤100質量%に対する(A2)の含有量は、35質量%以下であり、 ホットメルト接着剤100質量%に対する(A3)の含有量は、5質量%以上であり、 滑り止め用ホットメルト接着剤である、 ことを特徴とするホットメルト接着剤。 SA3=[(A3)/((A1)+(A2)+(A3))]×100 (I) 【請求項2】 更に、(A4)液状ポリマーを含む、請求項1に記載のホットメルト接着剤。 【請求項3】 (C)粘着性付与樹脂は、軟化点が130℃以下の水素添加石油樹脂である、請求項1又は2に記載のホットメルト接着剤。 【請求項4】 下記式(II)で算出される、(A1)及び(A2)の合計100質量%に対する(A1)の割合SA1(質量%)が、20~70質量%である、請求項1~3のいずれかに記載のホットメルト接着剤。 SA1=[(A1)/((A1)+(A2))]×100 (II) 【請求項5】 下記式(III)で算出される、(A1)、(A2)、(A3)及び(C)の合計100質量%に対する(C)の割合SC(質量%)が、30~60質量%である、請求項1~4のいずれかに記載のホットメルト接着剤。 SC=[(C)/((A1)+(A2)+(A3)+(C))]×100 (III)」 2 本件特許の明細書 本件特許の明細書には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、ホットメルト接着剤に関する。」 「【0012】 本発明は上記事情を鑑み、加熱安定性に優れ、高い滑り止め性を示し、糸曳きの発生が抑制されており、且つ、塗布後の固化速度が速いホットメルト接着剤を提供することを目的とする。」 「【0016】 本発明のホットメルト接着剤は、(A1)ガラス転移温度が-15℃以下であるポリプロピレン重合体、(A2)エチレン-αオレフィン共重合体、(A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体、(B)ワックス、及び(C)粘着性付与樹脂を含むホットメルト接着剤であって、下記式(I)で算出される、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)が、5~20質量%であるホットメルト接着剤である。 SA3=[(A3)/((A1)+(A2)+(A3))]×100 (I) 本発明のホットメルト接着剤は、(A1)及び(A2)を含むので、滑り止め性を示すことができ、(A3)を含むので、糸曳きの発生が抑制されている。また、本発明のホットメルト接着剤は、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)が、特定の範囲であるので、高い滑り止め性を示し、糸曳きの発生が抑制され、且つ、速い固化速度を示すことができる。本発明のホットメルト接着剤は、上記(A1)、(A2)、(A3)、(B)及び(C)の各成分を含み、上記SA3が特定の範囲であることにより、加熱安定性、高い滑り止め性、糸曳きの発生の抑制を示す、且つ、塗布後に速い固化速度を示すことができ、これらの特性を全て発現することができる。」 「【0018】 1.ホットメルト接着剤 (A1)成分 (A1)成分は、ガラス転移温度(以下、「Tg」とも示す。)が-15℃以下であるポリプロピレン重合体である。Tgが-15℃を超えると、ホットメルト接着剤の滑り止め性が十分でない。(A1)成分のTgは、-55℃以上が好ましく、-45℃以上がより好ましい。また、(A1)成分のTgは、-15℃以下が好ましく-25℃以下がより好ましい。Tgの上限が上記範囲であると、ホットメルト接着剤の滑り止め性がより一層向上する。」 「【0034】 本発明のホットメルト接着剤100質量%に対する(A2)の含有量は、5~35質量%が好ましく、10~25質量%がより好ましい。(A2)の含有量が上記範囲であることにより、本発明のホットメルト接着剤が固化後に適度な硬さを示すことができ、より一層滑り止め性が向上する。」 「【0039】 本発明のホットメルト接着剤において、下記式(I)で算出される、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)は、5~20質量%である。 SA3=[(A3)/((A1)+(A2)+(A3))]×100 (I) SA3が5質量%よりも少ないと、ホットメルト接着剤の糸曳き性が低下する。SA3が20質量%よりも多いと、(A1)及び(A2)との相溶性が低下して、加熱安定性が劣る。SA3は、7~15質量%が好ましく、8~12質量%がより好ましい。 【0040】 本発明のホットメルト接着剤100質量%に対する(A3)の含有量は、1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましい。(A3)の含有量が上記範囲であることにより、本発明のホットメルト接着剤の糸曳きがより抑制され、糸曳き性がより一層向上する。」 「【0048】 (B)成分 (B)成分は、ワックスである。本発明のホットメルト接着剤がワックスを含有することにより、ホットメルト接着剤の固化速度が速くなり、ダンボール同士を積層することが可能となる迄の時間を短縮することができる。」 「【0074】 なお、実施例及び比較例で用いた原料は以下のとおりである。 【0075】 (A1)ガラス転移温度が-15℃以下であるポリプロピレン重合体 (A1-1)ポリプロピレン共重合体:イーストマンケミカル社製 Aerafin17、溶融粘度1,700mPa・s/190℃、軟化点130℃、ガラス転移温度-38℃ (A1-2)プロピレン-エチレン共重合体:レクスタック社製 RT2215、エチレン含有量3質量%、粘度1,500mPa・s/190℃、軟化点143℃、ガラス転移温度-22℃ (A1’-1)ポリプロピレン:出光興産社製 L-MODU S400、ガラス転移温度-10℃ 【0076】 (A2)エチレン-αオレフィン共重合体 (A2-1)エチレン-オクテン共重合体:ダウケミカル社製GA1900、メルトインデックス1000g/10分、密度0.87g/cm3、粘度5,600mPa・s/190℃、ガラス転移温度-58℃、結晶性16%、融点68℃ 【0077】 (A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体 (A3-1)エチレン-メタクリル酸メチル共重合体:住友化学社製アクリフトCM5023、EMMA含有量28%、メルトインデックス150g/10分 【0078】 (A4)液状ポリマー (A4-1)ポリブデン:日油株式会社製 ポリブデン30N、100℃動粘度700mm2/s 【0079】 (B)ワックス (B-1)フィッシャートロプシュワックス:サゾール社製 サゾールワックスH1、融点108℃ (B-2)ポリエチレンワックス:三井化学社製 ハイワックス110P、融点109℃ (B-3)パラフィンワックス:日本精鑞社製 HNP-9、融点75℃ 【0080】 (C)粘着性付与樹脂 (C-1)脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の完全水添石油樹脂:出光社製アイマーブP-100、軟化点100℃ (C-2)脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の完全水添石油樹脂:出光社製アイマーブP-125、軟化点125℃ (C-3)脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の部分水添石油樹脂:出光社製アイマーブS-100、軟化点100℃ (C-4)芳香族系石油樹脂の完全水添石油樹脂:荒川化学社製 アルコンP-100、軟化点100℃ 【0081】 (D)酸化防止剤 (D-1)ヒンダートフェノール型:EVERSPRING CHEMICAL社製 商品名「EVERNOX-10」 【0082】 実施例1~18、比較例1~7 上記した各成分を、それぞれ表1に示した組成で、加熱装置を備えた攪拌混練機中に投入した後、160℃で1時間加熱しながら混練する事により、ホットメルト接着剤を調製した。得られたホットメルト接着剤について、以下の測定条件により特性を評価した。」 「【0091】 【表1】 [図:0001401649000001.jpg] 」 第4 取消理由及び特許異議申立ての理由について 1 取消理由通知に記載した取消理由の概要 (1)取消理由(明確性) 本件特許に係る出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないものであり、同法第113条第4号に該当するから、本件発明1~5に係る特許は取り消されるべきものである。 2 取消理由で採用しなかった特許異議申立ての理由の概要 (1)申立理由2(サポート要件) 本件特許に係る出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないものであり、同法第113条第4号に該当するから、本件発明1~5に係る特許は取り消されるべきものである。 (2)申立理由3(進歩性) 本件発明1~5は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記3の甲1に記載された下記の発明、及び下記3の甲2~甲7に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。 3 証拠方法 申立人が特許異議申立書に添付した甲第1号証~甲第7号証(以下「甲1」~「甲7」ともいう。)及び参考資料1~参考資料4(以下「参1」~「参4」ともいう。)は、次のとおりであり、甲1~甲7は、いずれも、本件特許の出願日より前に公知となったものである。 甲1:特開2012-177009号公報 甲2:特開2016-155916号公報 甲3:特表2006-515893号公報 甲4:実願平4-92200号(実開平6-51127号)のCD-ROM 甲5:特開2005-144960号公報 甲6:特開2005-248017号公報 甲7:特開平9-188861号公報 参1:住友化学株式会社、「アクリフト」の製品情報 (URL:https://www.sumitomo-chem.co.jp/polyolefin/03product/pdf/08acryft.pdf) 参2:東京材料株式会社、「ロトリル」の製品情報 (URL:http://www.tokyozairyo.co.jp/products/plastics/pdf/lotryl.pdf) 参3:EASTMAN社、「EastoflexTM E1003」の製品情報 (URL:https://www.stobec.com/DATA/PRODUIT/2416~v~data.pdf) 参4:本件特許に係る出願に対する令和3年6月25日付け拒絶理由通知 4 甲号証及び参考資料の記載 (1)甲号証の記載事項 ア 甲1には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、ホットメルト接着剤に関する。更に、本発明は、そのホットメルト接着剤を用いて得られる紙製品に関する。」 「【0009】 本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、本発明の目的は、糸曳きが少なく、耐熱性および熱安定性に優れ、広い温度領域で優れた接着強度を有するホットメルト接着剤を提供することである。更に、そのようなホットメルト接着剤を用いて製造された紙製品を提供することである。」 「【0018】 本発明において「(A)エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体」とは、エチレンと炭素数3~20のオレフィンとの共重合体をいう。 「炭素数3~20のオレフィン」としては、具体的に、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、cis-2-ブテン、trans-2-ブテン、イソブチレン、cis-2-ペンテン、trans-2-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン及び2,3-ジメチル-2-ブテン等を例示できる。炭素数3~10のオレフィンが好ましく、プロピレン、ブテン、オクテンであることがより好ましく、オクテンであることが特に好ましい。 【0019】 (A)エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体として、例えば、(A1)エチレンとオクテンとの共重合体、(A2)エチレン、プロピレン、1-ブテンとの共重合体、(A3)エチレンとプロピレンとの共重合体、(A4)エチレンとブテンとの共重合体等が挙げられる。 本発明では、特に、(A)エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体は、(A1)エチレンとオクテンとの共重合体を含むことが好ましい。(A)エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体は、市販品を使用することができる。 【0020】 (A1)エチレンとオクテンとの共重合体として、例えば、ダウ・ケミカル社製のアフィニティGA1900(商品名)、アフィニティGA1950(商品名)、アフィニティEG8185(商品名)、アフィニティEG8200(商品名)、エンゲージ8137(商品名)、エンゲージ8180(商品名)、エンゲージ8400(商品名)等を例示できる。 (A2)エチレン、プロピレン、1-ブテンとの共重合体として、例えば、エボニックデグサ社製のベストプラスト730(商品名)、ベストプラスト708(商品名)等を例示できる。 【0021】 (A3)エチレンとプロピレンとの共重合体として、例えば、イーストマンケミカル社製のEastoflex E1016PL-1等を例示できる。 (A4)エチレンとブテンとの共重合体として、例えば、三井石油化学社製のダフマーA4085等を例示できる。 このようなエチレンと炭素数3~20のオレフィンとの共重合体は、単独又は組み合わせて使用することができる。」 「【0046】 以下にホットメルト接着剤の原料、および配合、評価方法を記載する。 (A)エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体 (A1)エチレン/オクテン共重合体(1-オクテン含量:35~37重量%、メルトフローレート500g/10min、ダウ・ケミカル社製のAFFINITY GA1950(商品名)) (A2)プロピレン/エチレン/1-ブテンの共重合体(ガラス転移点-28℃、軟化点124℃、190℃溶融粘度2700mPa・s、エボニックデグサ社製のVESTPLAST703(商品名)) 【0047】 (B)エチレン/カルボン酸エステル共重合体 (B1)エチレン/メタクリル酸メチル重合体(メタクリル酸メチル含量32重量%、メルトフローレート450g/10min、住友化学社製のアクリフト CM5022(商品名)) (B2)エチレン/アクリル酸エチル共重合体(アクリル酸エチル含量25重量%、メルトフローレート250g/10min、ダウ・ケミカル社製のNUC-6070(商品名)) (B3)エチレン/酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量28重量%、メルトフローレート18g/10min、東ソー社製のウルトラセン710(商品名)) 【0048】 (C)フィッシャートロプシュワックス (C1)フィッシャートロプシュワックス(融点108℃、針入度が2、サゾール社製のサゾールワックスH1(商品名)) 融点は、発明の詳細に説明した方法で測定した。 (D)粘着付与樹脂 (D1)芳香族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体(軟化点125℃、出光興産社製のアイマーブP125(商品名)) (E)安定化剤 (E1)テトラキス(メチレン-3-(3’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピネート)メタン(融点110~130℃、ADEKA社製のアデカスタブ AO-60(商品名)) (E2)トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(融点180℃、城北化学社製のJP-650(商品名)) 【0049】 これらの成分を表1及び2に示す割合(重量部)で溶融混合した。万能攪拌機を用いて、各成分を約145℃で約1時間かけて溶融混合して、実施例1~5、及び比較例1~5のホットメルト接着剤を製造した。実施例及び比較例のホットメルト接着剤について、耐熱性、接着性、熱安定性及び糸曳き性を、下記の方法を用いて評価した。 【0050】 耐熱性、接着性は、Kライナーダンボールにホットメルト接着剤を塗布してサンプルを得た。熱安定性は、ホットメルト接着剤を180℃雰囲気下で1週間保管し、粘度変化率及び炭化物の発生を確認した。糸曳き性は、180℃条件下でホットメルト接着剤の吐出状態を確認した。以下に各評価の概要について記載する。」 「【0055】 【表1】 [図:0001401649000002.jpg] 【0056】 【表2】 [図:0001401649000003.jpg] 【0057】 表1に示すように、実施例1~5のホットメルト接着剤は、(A)エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体、(B)エチレン/カルボン酸エステル共重合体を特定の割合で含むので、耐熱性、接着性、熱安定性及び糸曳き性のいずれにも優れ、その性能のバランスにも優れる。実施例1~実施例3のホットメルト接着剤は、成分(B)が(B1)の他に、(B2)又は(B3)を含むので、耐熱性、接着性、熱安定性及び糸曳き性の全てについて◎という極めて優れた性能を示している。実施例のホットメルト接着剤は、紙加工分野、特にダンボールやカートン等の厚紙への塗布に有用である。 【0058】 これに対し、比較例1~5のホットメルト接着剤は、表2に示されるように、耐熱性、接着性、熱安定性、糸曳き性のいずれかの性能が乏しい。 比較例1~比較例3、比較例5のホットメルト接着剤は、実施例のホットメルト接着剤と比べ、成分(B)の割合が低い。成分(B)の割合が低い場合、ホットメルト接着剤の耐熱性は著しく低下することが表2から確認された。 比較例4のホットメルト接着剤は、実施例のホットメルト接着剤と比べ、成分(B)の割合が高い。成分(B)の割合が高くなることによって、ホットメルト接着剤の熱安定性は著しく低下することが表2から確認された。」 イ 甲2には、次の記載がある。 「【請求項1】 (A)非晶性ポリα-オレフィン、(B)α-オレフィンをメタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα-オレフィン、及び(C)粘着付与樹脂を含み、 (A)~(C)の総重量100重量部に対して(C)が5~30重量部含まれており、180℃での溶融粘度が3,000mPa・s以下であるホットメルト接着剤。 【請求項2】 (A)非晶性ポリα-オレフィンがプロピレンに由来する化学構造を有する、請求項1に記載のホットメルト接着剤。 【請求項3】 (A)非晶性ポリα-オレフィンがプロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体を含んでいる、請求項1または2に記載のホットメルト接着剤。」 「【0015】 本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、積み重ねられた段ボール箱の荷崩れを防止し、かつ、段ボール基材を損傷させず、さらには、塗布性および糸曳き性にも優れたホットメルト接着剤を提供することを目的とする。更に、そのホットメルト接着剤の塗膜が形成された段ボールを提供することも目的とする。」 「【0031】 (A)非晶性ポリα-オレフィンとして、例えば、非晶性のポリプロピレン、非晶性のポリエチレン、又は非晶性のプロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体、及び非晶性のエチレンと他のα-オレフィンとの共重合体を例示できる。 【0032】 具体的には、ポリプロピレン(ホモポリマー)、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1-ブテン共重合体、プロピレン/エチレン/1-ブテンの3元共重合体、プロピレン/1-ヘキセン/1-オクテンの3元重合体、プロピレン/1-ヘキセン/メチルペンテンの3元共重合体、1-ポリブテン(ホモポリマー)等を例示できる。 【0033】 本発明では、(A)非晶性ポリα-オレフィンは、プロピレンに由来する化学構造を有しているのが好ましい。プロピレンに由来する化学構造とは、純粋なプロピレンや、別の官能基を有するプロピレン誘導体の双方を含むことを意味する。本発明のホットメルト接着剤は、プロピレンに由来する化学構造を含むと、最大静止摩擦力が大きくなって滑り難くなるので、段ボール箱の荷崩れを防止することができ、なおかつ、段ボール基材損傷も防止できる。 【0034】 (A)非晶性ポリα-オレフィンは、(A)~(C)の総重量100重量部に対して20~90重量部含まれており、好ましくは39~83重量部含まれ、さらに好ましくは45~75重量部含まれている。」 「【0040】 (B)結晶性ポリα-オレフィンは、(A)~(C)の総重量100重量部に対して5~50重量部含まれており、好ましくは10~45重量部含まれ、さらに好ましくは25~40重量部含まれている。 【0041】 (B)結晶性ポリα-オレフィンとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/α-オレフィン共重合体、プロピレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/プロピレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/1-ブテン共重合体、プロピレン/1-ブテン共重合体およびエチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体を例示できる。 【0042】 本発明では、(B)結晶性ポリα-オレフィンは、ポリプロピレンを含んでいるのが好ましい。(B)成分がポリプロピレンを含むことによって(B)成分と(A)成分との相溶性が向上し、ホットメルト接着剤は段ボール表面上の滑り防止を維持しつつ、段ボール基材の損傷を確実に防止することができる。」 「0082】 以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。実施例に示した割合は、特に断らない限り不揮発分の重量を基準にしたものである。ホットメルト接着剤を製造するための成分を以下に示す。 【0083】 (A)非晶性ポリα-オレフィン (A1)非晶性プロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体(ベストプラスト703(商品名)、エボニック社製、粘度2700mPa・s:190℃、軟化点124℃、密度0.87g/cm3) (A2)非晶性プロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体(ベストプラスト704(商品名)、エボニック社製、粘度3500mPa・s:190℃、軟化点105℃、密度0.87g/cm3) (A3)非晶性プロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体(ベストプラスト750(商品名)、エボニック社製、粘度50000mPa・s:190℃、軟化点107℃、密度0.87g/cm3) (A4)非晶性エチレン/プロピレン共重合体(レキセンタック2304(商品名)、ハンツマン社製、粘度450mPa・s:190℃、軟化点141℃、密度0.86g/cm3) (A5)非晶性プロピレンホモポリマー(イーストフレックスP1010PL(商品名)、イーストマンケミカル社製、粘度1000mPa・s:190℃、軟化点155℃、密度0.87g/cm3) 【0084】 (B)メタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα-オレフィン (B1)ポリプロピレンホモポリマー(エルモーデュ S400(商品名)、出光興産社製、MFR2000g/10min:230℃、密度0.87g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (B2)ポリプロピレンホモポリマー(エルモーデュ S600(商品名)、出光興産社製、MFR350g/10min:230℃、密度0.87g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (B3)ポリプロピレンホモポリマー(リコセンPP6102(商品名)、クラリアント社製、粘度60mPa・s:170℃、密度0.90g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (B4)プロピレン/エチレン共重合体(ビスタマックス6202(商品名)、エクソンモービル社製、MFR20g/10min:230℃、密度0.86g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (B5)エチレン/オクテン共重合体(アフィニティGA1900(商品名)、ダウケミカル社製、MFR1000g/10min:190℃、密度0.87g/cm3)メタロセン触媒で重合して得られたポリマー (B'6)ポリエチレンホモポリマー(ペトロセン353(商品名)、東ソー社製、MFR145g/10min:190℃、 密度0.92g/cm3)チーグラーナッタ触媒で重合して得られたポリマー (B'7)エチレン/ポリブテン共重合体(DP8911ME(商品名)、バセル社製、MFR200g/10min:190℃、 密度0.90g/cm3)チーグラーナッタ触媒で重合して得られたポリマー 【0085】 (C)粘着付与樹脂 (C1)水素添加ジシクロペンタジエン系樹脂(アイマーブP100(商品名)、出光興産社製、軟化点100℃) (C2)水素添加環状脂肪族石油炭化水素樹脂(アルコンP90(商品名)、荒川化学工業社製、軟化点90℃) (C3)水素添加テルペン樹脂(クリアロンP105(商品名)、ヤスハラケミカル社製、軟化点105℃) 【0086】 (D)軟化剤 (D1)パラフィンオイル(ダイアナフレシアS32(商品名)、出光興産社製) (D2)パラフィンオイル(ダイアナプロセスオイルPW-90(商品名)、出光興産社製) (D3)ナフテンオイル(サンピュアN90(商品名)、日本サン石油社製) 【0087】 (E)ワックス (E1)パラフィンワックス(パラフィンワックス150(商品名)、日本精蝋社製) (E2)ポリエチレンワックス(ネオワックスL(商品名)、ヤスハラケミカル社製) (E3)フィッシャートロプシュワックス(FT-115(商品名)、日本精蝋社製) 【0088】 (F)安定化剤 (F1)酸化防止剤(アデカスタブAO-60(商品名)、アデカ社製) 【0089】 これらの成分を表1、3、5、7に示す割合で、万能攪拌機を用い、約145℃で約1時間かけて溶融混合し、実施例及び比較例のホットメルト接着剤を調製した。これらホットメルト接着剤について、溶融粘度、段ボールに対する“最大静止摩擦係数”、傾斜角測定(アンチスリップ性)及び段ボール基材損傷性を評価し、作業性を確認するために糸引き性、塗布性を評価した。結果を表2、4、6、8に示す。」 「【0105】 [表1] [図:0001401649000004.jpg] 【0106】 [表2] [図:0001401649000005.jpg] 【0107】 [表3] [図:0001401649000006.jpg] 【0108】 [表4] [図:0001401649000007.jpg] 【0109】 [表5] [図:0001401649000008.jpg] 【0110】 [表6] [図:0001401649000009.jpg] 」 ウ 甲3には、次の記載がある 「【請求項1】 ホットメルト接着剤組成物であって、次の成分: (a)約4~50重量%の、プロピレンと次の分子構造: 【化1】 [図:0001401649000010.jpg] (式中、Rは水素またはC2~C10アルキル基である。) を有する少なくとも1種のα-オレフィン共単量体とのランダムRCP共重合体にして、該α-オレフィンが該RCP共重合体の約1.5~約20重量%を構成するそのようなRCP共重合体; (b)約20~65重量%の粘着付与剤; (c)約0~60重量%のアタクチックポリ-α-オレフィン(APAO)重合体; (d)約0~40重量%の可塑剤; (e)約0~40重量%のワックス; (f)約0~3重量%の安定剤; (g)約0~60重量%の充填材;および (h)約0~40重量%の第二重合体のブレンドを含む、上記成分が合計で組成物の100重量%になる上記ホットメルト接着剤組成物。」 「【請求項11】 可塑剤が鉱油および液体ポリブテンより成る群から選ばれる請求項1に記載の組成物。」 「【0001】 発明の分野 本発明は、立体特異性の、主に半結晶性のアイソタクチックポリプロピレンランダム共重合体(random copolymer: RCP)に基づく新規なホットメルト接着剤組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ケース/カートンの封止に、またおむつおよび女性用衛生用品のような使い捨て不織物品の製造に用途がある接着剤組成物に関する。この接着剤組成物は使い捨て不織物品の組立に際して弾性アタッチメントおよび構造用接着剤(elastic attachment and construction adhesive)として特に有用である。」 「【0048】 可塑剤は、所望とされる粘度制御を実現し、かつ柔軟性を与えるために、本発明の組成物中に0~約40重量%、好ましくは約5~約30重量%、最も好ましくは10~25重量%の量で存在することができる。適した可塑剤は、鉱油のような通常の可塑化性油が挙げられるが、オレフィンオリゴマーおよび低分子量重合体、さらにまた植物油および動物油、並びにそのような油の誘導体も包含する群から選ぶことができる。使用することができる石油誘導油は、芳香族炭化水素を小割合でしか含んでいない比較的高い沸点の物質である。これに関し、芳香族炭化水素は、芳香族性炭素原子の部分で測定してその油の好ましくは30%未満、それよりも特に15%未満であるべきである。この油は本質的に非芳香族性であるのがさらに好ましい。オリゴマーは約350~約10,000の平均分子量を有するポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエン等であることができる。適した植物および動物油に、通常の脂肪酸およびその重合生成物のグリセロールエステルがある。他の有用な可塑剤は、常用のジベンゾエート、ホスフェート、フタレートエステル、並びにモノ-またはポリグリコールのエステルの族に見いだすことができる。このような可塑剤の例に、限定されるものではないが、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ペンタエリトリトールテトラベンゾエート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ポリエチレングリコール400-ジ-2-エチルヘキソエート;ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレートおよびジオクチルフタレートがある。本発明において有用性がある可塑剤は任意の数の異なる可塑剤であることができるが、本発明者は鉱油および5,000未満の平均分子量を有する液体ポリブテンが特に有利であることを発見した。認められるだろうように、可塑剤は、典型的には、接着剤の開放時間を延ばし、かつ柔軟性を改善するのみならず、接着剤組成物全体の粘度を、接着剤の接着強さおよび/または使用温度を実質的に低下させずに引き下げるために使用されてきた。」 エ 甲4には、次の記載がある。 「【請求項1】エラストマーフィルムをダンボール箱の外面に全面的に又は部分的に貼付けして成ることを特徴とする荷くずれ防止防滑性ダンボール箱。 【請求項2】エラストマーフィルムが、エチレン-プロピレン-ジェン共重合体ゴム30~70重量%と酢酸ビニル含有量が5~30重量%でメルトインデックスが0.2~25gr/10min.のエチレン-酢酸ビニル共重合体70~30重量%とを含有して成る樹脂組成物のインフレーション膜であることを特徴とする、請求項1に記載の荷くずれ防止防滑性ダンボール箱。 【請求項3】エラストマーフィルムが、(a)エチレン-プロピレン-ジェン共重合体ゴム30~70重量%と酢酸ビニル含有量が5~30重量%でメルトインデックスが0.2~25gr/10min.のエチレン-酢酸ビニル共重合体70~30重量%とからなる樹脂組成物85~95重量%および(b)ロジン変性フェノール樹脂15~5重量%とを含有して成る樹脂組成物のインフレーション膜であることを特徴とする、請求項1に記載の荷くずれ防止防滑性ダンボール箱。」 「【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、防滑性ダンボール箱に関し、特に、荷物をダンボール箱に入れ、梱包後、パレット等に段積みするときに荷くずれを防止する機能を有するダンボール箱に関するものである。」 「【0008】 次に、本考案に使用されるエラストマーフイルムについて説明する。 このような、エラストマーフイルムとしては、天然ゴムあるいは合成ゴム系からなるものがあげられるが、特にエチレン-プロピレン-ジェン共重合体ゴム(EPDM)及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)との組成物からなるものが、防滑性(荷くずれ防止性)、伸縮性、引張応力性、薄膜化等のうえから好ましい。 上記エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)とは、エチレン、プロピレン及びジエン化合物を含む共重合体のことである。前記ジエン化合物としては、エチリデンノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどがある。上記エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)は、エチレンの含有率が60~70モル%、プロピレンの含有率が30~40モル%、及びジエン化合物の含有率が1~10モル%であることが好ましい。より好ましい範囲は、エチレンが62~66モル%、プロピレンが33~37モル%、及びジエン化合物が3~6モル%である。」 オ 甲5には、次の記載がある。 「【請求項1】 基材の一面に熱可塑性エラストマーからなる皮膜を形成したことを特徴とする滑り止め付き材料。 【請求項2】 基材が、プラスチック段ボール、紙段ボール、プラスチック結束バンドの何れかであることを特徴とする請求項1記載の滑り止め付き材料。 【請求項3】 熱可塑性エラストマーが、オレフィン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1又は2記載の滑り止め付き材料。」 「【0005】 上記の課題を達成するために、請求項1記載の発明による滑り止め付き材料は、基材の一面に熱可塑性エラストマーからなる皮膜を形成したことを特徴とする。基材の材質は限定されず、樹脂、木、紙など、様々な材質に対応できる。熱可塑性エラストマーとしては、例えばオレフィン系やスチレン系の熱可塑性エラストマーを使用できる。本発明の滑り止め付き材料は、主に梱包資材や、建築用の保護材などとして用いることが考えられるが、これらに限らず滑り止めが必要な場面で広く用いることができる。熱可塑性エラストマーの皮膜は、基材の片側の面のみに形成してもよいし、基材の両側の面に形成してもよい。」 カ 甲6には、次の記載がある。 「【請求項1】 23℃における硬さが5~70であり、軟化点が100~160℃であり、且つ180℃における溶融粘度が1~100Pa・sであることを特徴とする滑り止め加工用ホットメルト組成物。 【請求項2】 ジエン(共)重合体及びエチレン-α-オレフィン共重合体から選ばれる1種以上のゴム(A)、粘着付与樹脂(B)、軟化点向上剤(C)および可塑剤(D)からなることを特徴とする請求項1記載のホットメルト組成物。」 「【0001】 本発明はホットメルト組成物に関する。さらに詳しくは、マット類、カーペット、衣料、滑り止めテープ等の滑り止め加工用として用いられるホットメルト組成物及びそれを用いた滑り止め加工品に関する。」 「【0003】 ・・・また、加工性に優れるホットメルト系として、EVA系、APAO系、スチレンブロック共重合ゴム系等が用いられているが、EVA系は柔軟性に劣り、滑り止め効果が低いという問題がある。APAO系は、EVAと比較して柔軟性に優れ、滑り止め効果が高まるものの、ポリエステル等の極性の大きい被着体との密着性が弱く、使用時に脱落するといった問題がある。また、従来のスチレンブロックゴム系は滑り止め性、耐久性、優れるが耐熱性が十分ではない。すなわち、本発明は、滑り止め性、加工性、耐熱性および可塑剤保持性のバランスに優れ、オレフィンからナイロン樹脂までの幅広い基材に対して優れた密着性を有したホットメルト組成物を提供することを目的とする。」 「【0012】 ゴム(A)は、ジエン(共)重合体及びエチレン-α-オレフィン共重合体から選ばれる1種以上のゴムである。ゴム(A)の数平均分子量は好ましくは10,000~3,000,000、より好ましくは20,000~2,000,000、特に好ましくは30,000~1,000,000である。 ジエン(共)重合体には、炭素数4~18のジエンからなる単量体(例えばブタジエン、イソプレン等)又はこれと他の単量体(ジエンと他の単量体の重量比0.1~100:0~99.9)を構成単位とする(共)重合体及びその水素化体が含まれる。他の単量体としては、炭素数8~20の芳香族ビニル単量体(例えばスチレン等)、炭素数2~8のオレフィン(例えばエチレン、プロピレン等)、炭素数3~20の不飽和ニトリル(例えばアクリロニトリル等)等が挙げられる。」 「【0014】 エチレン-α-オレフィン共重合体の具体例としては、エチレンと炭素数3~18のα-オレフィン(例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン等)(エチレンとα-オレフィンの重量比0.1~95:5~99.9)との共重合ゴム、エチレンとα-オレフィンと炭素数4~18の非共役ジエン(例えば、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等)との三元共重合ゴム(エチレンとαオレフィンと非共役ジエンの重量比30~90:5~80:0.1~30)等が挙げられる。 これらのうち好ましいのはジエン(共)重合体及びその水素化体であり、より好ましいものはSBS、SIS、SEPS、SEBSであり、特に好ましいものは耐熱性、可塑剤保持性に優れるSEEPSである。」 キ 甲7には、次の記載がある。 「【請求項1】 190℃での粘度が300~10000cpsである非晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体20~60重量%、粘着付与樹脂20~60重量%、及び、ワックス5~20重量%からなり、前記粘着付与樹脂が、テルペンフェノール樹脂を10~60重量%含有するものであることを特徴とするホットメルト接着剤組成物。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ダンボール、カートン紙等の包装資材の接着に好適に用いることができるホットメルト接着剤組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】非晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体は、ホットメルト接着剤として、ダンボール箱の滑り止めや、カーペットの裏打ち用、その他各種資材の接着等に使用されている。」 「【0015】実施例1 非晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体としてUT-2585(190℃における粘度8500cps、宇部レキセン社製)、粘着付与樹脂として水添石油樹脂(アルコンP-125、荒川化学工業社製)、ロジン系樹脂(スーパーエステルA-125、荒川工業社製)、テルペンフェノール樹脂(マイティエースG150、軟化点150℃、ヤスハラケミカル社製)、及び、ワックスとして合成炭化水素系ワックス(サゾールワックスH1、サゾール・マーケティング・カンパニー社製)を、表1に示す配合比で混合し、ホットメルト接着剤組成物を調製した。得られたホットメルト接着剤組成物の熱安定性、及び、接着性について、下記方法により評価した。結果を表1に示した。」 ク 参1には、次の記載がある。 「 [図:0001401649000011.jpg] 」 ケ 参2には、次の記載がある。 「 [図:0001401649000012.jpg] 」 コ 参3には、次の記載がある。 「 [図:0001401649000013.jpg] [図:0001401649000014.jpg] 」 サ 参4には、次の記載がある。 「●理由1(進歩性)について ・請求項1-6 ・引用文献等1-2、4 ・備考 引用文献1には、(A)非晶性ポリα-オレフィン、(B)α-オレフィンをメタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα-オレフィン、及び(C)粘着付与樹脂を含み、(A)~(C)の総重量100重量部に対して(C)が5~30重量部含まれており、180℃での溶融粘度が3,000mPa・s以下であるホットメルト接着剤について記載されており(請求項1)、実施例においては、例えば、ベストプラスト703(商品名)なる非晶性プロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体(特開2012-177009の[0046]の記載からみて、当該共重合体のガラス転移温度は-28℃であると認められる。本願の「(A1)」に相当)を52.6重量部、アフィニティGA1900(商品名)なるエチレン/オクテン共重合体(本願の「(A2)」に相当)を30.3重量部、軟化点が100℃である水素添加ジシクロペンタジエン系樹脂(本願の「(C)」に相当)を17.1重量部、パラフィンオイルを18.4重量部、パラフィンワックスを13.2重量部等含むホットメルト接着剤が具体的に記載され(実施例7)、当該ホットメルト接着剤は、積み重ねられた段ボール箱の荷崩れを防止し、段ボール基材を損傷させず、塗布性および糸曳き性にも優れていることも記載されている([0015])。 これに対し、本願請求項1-6に係る発明は、さらに、エチレン-カルボン酸エステル共重合体を所定の量で含むことが特定された発明であって、上記引用文献1には、この点の記載はない。 しかしながら、引用文献1記載の発明と同様、ポリオレフィンを主剤とするホットメルト接着剤について記載された引用文献2には、少なくとも1種のエチレン/C3~C20α-オレフィン共重合体を包含する第1の成分、前記第1の成分100重量部につき約6~約12重量部の量の、少なくとも1種のエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体を包含する第2の成分、前記第1の成分100重量部につき約50~約200重量部の量の、少なくとも1種の粘着付与樹脂を包含し、前記第1および前記第2の成分と相溶性の第3の成分を含むホットメルト接着組成物が記載されており(請求項1、表1)、上記第2の成分は糸曳き性を有意に低下させること([0017])が記載されている。 そうすると、上記引用文献1記載のホットメルト接着剤において、さらに糸曳き性を改善するため、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主剤100重量部に対して6~12重量部程度配合してみることは当業者が容易になし得たことである。また、ホットメルト接着剤において、粘度を調整し柔軟性を与えるため、液体ポリブテン等を配合することも知られているから(引用文献4の[0048]、実施例等)、上記引用文献1記載のホットメルト接着剤において、液体ポリブテンを配合することも、当業者が適宜なし得たことである。 そして、それにより奏される効果が、引用文献1-2、4の記載から当業者が予測できない程の格別顕著なものとも認められない。 さらに、使用する各成分の配合量を最適化することも当業者が適宜なし得たことである。 したがって、本願請求項1-6に係る発明は、引用文献1-2、4の記載から当業者が容易に発明をすることができたものである。 ・請求項1-5 ・引用文献等3、4 ・備考 引用文献3には(A)エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体及び(B)エチレン/カルボン酸エステル共重合体を含むホットメルト接着剤であって、(A)と(B)の合計100重量部当たり、(B)エチレン/カルボン酸エステル共重合体は13~35重量部であるホットメルト接着剤について記載されており(請求項1)、実施例においては、例えば、エチレン/オクテン共重合体(本願の「(A2)」に相当)を84重量部、エチレン/メタクリル酸メチル重合体及びエチレン/アクリル酸エチル共重合体(本願の「(A3)」に相当)を合計16重量部を含み、さらに、フィッシャートロプシュワックス、芳香族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体(軟化点125℃)等を含むホットメルト接着剤が記載されている(実施例1)。 これに対し、本願請求項1-5に係る発明は、さらに、ガラス転移温度が-15℃以下であるポリプロピレン重合体含むことが特定された発明であって、上記引用文献3には、この点の記載はない。 しかしながら、引用文献3には、さらに、ガラス転移温度が-28℃のプロピレン重合体を配合し得ることが記載されているから([0019]-[0021]、[0046]、比較例5)、上記引用文献3記載のホットメルト接着剤において、当該プロピレン重合体を配合してみることは当業者が容易になし得たことである。また、ホットメルト接着剤において、粘度を調整し柔軟性を与えるため、液体ポリブテン等を配合することも知られているから(引用文献4の[0048]、実施例等)、上記引用文献3記載のホットメルト接着剤において、液体ポリブテンを配合することも、当業者が適宜なし得たことである。 そして、本願明細書には、上記ポリプロピレン重合体を配合することによりホットメルト接着剤の静止摩擦力が向上することが示されているものの(表1の比較例1,2)、当該静止摩擦力向上作用は、ホットメルト接着剤を滑り止め用に使用した際に奏せられる効果であって、本願発明のホットメルト接着剤を滑り止め用途に使用する際には、引用文献3の記載から予測できない効果を奏するものと認められるものの、本願請求項1-5に係る発明は、滑り止め以外の種々の用途に使用されるものであるから、そのような本願請求項1-5に係る発明がそのすべての範囲において、引用文献3の記載から予測できない格別な効果を奏するものとは認められない。 したがって、本願請求項1-5に係る発明は、引用文献3、4の記載から当業者が容易に発明をすることができたものである。 <引用文献等一覧> 1.特開2016-155916号公報(当審注:前記甲2) 2.特開2006-188580号公報 3.特開2012-177009号公報(当審注:前記甲1) 4.特表2006-515893号公報(当審注:前記甲3)」 第5 前記第4の1及び2についての当審の判断 1 取消理由(明確性)について (1)取消理由の概要 令和4年12月6日付けの取消理由は、「本件特許の請求項1において、「ガラス転移温度が-15℃以下であるポリプロピレン重合体」を(A1)(A2)のいずれか又は両方として検討するのかが定まらないため、結果として(A2)の含有量を特定することができない。」「(A2)の含有量を特定することのできない本件特許の請求項1の記載は不明確といわざるを得ない。」というものである。 (2)本件訂正を踏まえた判断 これに対し、本件訂正発明1では、「(A2)エチレン-αオレフィン共重合体は、エチレンと、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、及び1-エイコセンからなる群より選択される少なくとも1種のαオレフィンとの共重合体であり」との特定がなされ、「(A2)エチレン-αオレフィン共重合体」に、エチレンとプロピレンとの共重合体が含まれないことが明確となった。 その結果、「ガラス転移温度が-15℃以下であるポリプロピレン重合体」は、(A2)ではなく、(A1)として検討すべきものであることが明らかとなり、(A2)の含有量を特定することがでるようになったから、本件訂正発明1に係る請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものといえる。 また、請求項1を引用する請求項2~5の記載も同様に、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。 (3)申立人の主張に対して 申立人は、令和5年3月10日の意見書の3頁9~13行において、「訂正発明1の(A2)は、」「エチレンと、訂正発明1に列挙された1-ブテン等の各αオレフィンの中から選択された1種のαオレフィンのみから構成される共重合体であることを特定するものではなく、他のモノマー成分(例:プロピレン)を共重合成分として含むことを前提とするオープン型クレームである。」と主張し、そして、それを前提とすると依然として明確性違反の取消理由は解消していない旨主張する。 しかしながら、前記「(A2)エチレン-αオレフィン共重合体は、エチレンと、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、及び1-エイコセンからなる群より選択される少なくとも1種のαオレフィンとの共重合体であり」という特定は、必須のエチレンと1-ブテンから1-エイコセンまでの列挙されたいずれかのモノマーとの2元又は3元以上の共重合体を特定していると解されるから、プロピレンを含まないクローズ型の特定をなすものである。したがって、申立人の主張は前提に誤りがあって採用できない。 2 申立理由2(サポート要件) (1)判断手法 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する、いわゆるサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。そこで、以下、この観点に沿って検討を進める。 (2)発明の課題 本件訂正発明の解決しようとする課題は、本件特許の明細書に記載されたすべての事項からみて、「加熱安定性に優れ、高い滑り止め性を示し、糸曳きの発生が抑制されており、且つ、塗布後の固化速度が速いホットメルト接着剤を提供すること」(前記第3の2の【0012】参照。)であると認められる。 (3)明細書の記載及び判断 ア 前記課題に対し、本件特許の明細書(前記第3の2参照。)の【0016】には「本発明のホットメルト接着剤は、(A1)及び(A2)を含むので、滑り止め性を示すことができ、(A3)を含むので、糸曳きの発生が抑制されている。また、本発明のホットメルト接着剤は、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)が、特定の範囲であるので、高い滑り止め性を示し、糸曳きの発生が抑制され、且つ、速い固化速度を示すことができる。本発明のホットメルト接着剤は、上記(A1)、(A2)、(A3)、(B)及び(C)の各成分を含み、上記SA3が特定の範囲であることにより、加熱安定性、高い滑り止め性、糸曳きの発生の抑制を示す、且つ、塗布後に速い固化速度を示すことができ、これらの特性を全て発現することができる。」と記載されている。 イ より具体的には、まず、加熱安定性及び糸曳き性について、本件特許の明細書の【0039】に「本発明のホットメルト接着剤において、下記式(I)で算出される、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)は、5~20質量%である。 SA3=[(A3)/((A1)+(A2)+(A3))]×100 (I) SA3が5質量%よりも少ないと、ホットメルト接着剤の糸曳き性が低下する。SA3が20質量%よりも多いと、(A1)及び(A2)との相溶性が低下して、加熱安定性が劣る。SA3は、7~15質量%が好ましく、8~12質量%がより好ましい。」と記載され、同【0040】には「本発明のホットメルト接着剤100質量%に対する(A3)の含有量は、1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましい。(A3)の含有量が上記範囲であることにより、本発明のホットメルト接着剤の糸曳きがより抑制され、糸曳き性がより一層向上する。」と記載されている。 ウ また、高い滑り止め性については、同【0018】に「(A1)成分は、ガラス転移温度(以下、「Tg」とも示す。)が-15℃以下であるポリプロピレン重合体である。Tgが-15℃を超えると、ホットメルト接着剤の滑り止め性が十分でない。」と記載され、同【0034】には「本発明のホットメルト接着剤100質量%に対する(A2)の含有量は、5~35質量%が好ましく、10~25質量%がより好ましい。(A2)の含有量が上記範囲であることにより、本発明のホットメルト接着剤が固化後に適度な硬さを示すことができ、より一層滑り止め性が向上する。」と記載されている。 エ また、固化速度について、同【0048】には「・・・(B)成分は、ワックスである。本発明のホットメルト接着剤がワックスを含有することにより、ホットメルト接着剤の固化速度が速くなり、ダンボール同士を積層することが可能となる迄の時間を短縮することができる。」と記載されている。 オ すなわち、本件明細書の発明の詳細な説明には、前記ア~エのとおり、本件訂正発明1で特定される事項を充足するホットメルト接着剤は、加熱安定性に優れ、高い滑り止め性を示し、糸曳きの発生が抑制されており、且つ、塗布後の固化速度が速いものであることが記載されている。そして、同【0091】の【表1】には、本件訂正発明1で特定される事項を充足する実施例1~18のホットメルト接着剤の評価が、固化速度、静止摩擦力、加熱安定性、糸曳き性及び溶融粘度のいずれも良好であることが示されている。 カ そうすると、前記ア~エの特定がなされた本件訂正発明1は、当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 また、本件訂正発明2~5は、本件訂正発明1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、いずれも本件訂正発明1を全て包含し、それぞれ個別の技術事項を追加したものであるから、本件訂正発明2~5も、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 (4)申立人の主張 ア (A3)のメルトインデックス及びエステル含量について 申立人は、「(A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体」のエステル含量について参考資料1及び参考資料2(前記第4の4(2)ア及び同イ参照。)を提出するとともに、特許異議申立書の10頁11行~12頁24行において、本件訂正発明の実施例では「(A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体」の具体例として、メルトインデックス150g/10分、エステル含量28重量%のアクリフトCM5023のみが用いられているが、(A3)としてメルトインデックス150g/10分以外のものを用いた場合に、本件訂正発明の糸引きの発生が抑制されたホットメルト接着剤を提供するとの課題を解決できるか否か不明であり、また、(A3)としてエステル含量28重量%以外のものを用いた場合に、本件訂正発明の加熱安定性に優れたホットメルト接着剤を提供するとの課題を解決できるか否か不明である。したがって、「(A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体」のメルトインデックス及びエステル含量が所定範囲に限定されていない本件訂正発明1~5の範囲まで、本件特許の明細書の開示内容を拡張ないし一般化できるとは認められないと主張する。 しかしながら、前記参考資料1及び2は「(A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体」に、エステル含量が様々なものが存在することを示すものであって、特定のエステル含量で課題を解決できないことを示すものではない。そして、加熱安定性及び糸曳き性については、前記(3)イで検討したとおり、本件特許の明細書の【0039】には「SA3が5質量%よりも少ないと、ホットメルト接着剤の糸曳き性が低下する。SA3が20質量%よりも多いと、(A1)及び(A2)との相溶性が低下して、加熱安定性が劣る。」と記載されており、申立人が「(A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体」のメルトインデックスが150g/10分以外の場合及びエステル含量が28重量%以外の場合に前記(2)の発明の課題を解決できない具体的な根拠を示していない以上、本件訂正発明1~5を、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものでないものということはできない。 イ (A2)の共重合成分及び重合触媒について 申立人は、前記令和5年3月10日の意見書の4頁6行~6頁8行において、本件訂正発明の実施例では「(A2)エチレン-αオレフィン共重合体」の具体例として、メタロセン触媒の存在下でエチレンとオクテンを共重合させて得られたアフィニティGA1900のみが用いられているが、(A2)としてエチレン-オクテン共重合体以外のものを用いた場合や、チーグラーナッタ触媒の存在下でエチレンとαオレフィンを共重合させた場合に、本件の実施例のホットメルト接着剤と同程度の性能を発揮できるか否か不明である。したがって、これらの点が限定されていない本件訂正発明1~5の範囲まで、本件特許の明細書の開示内容を拡張ないし一般化できるとは認められないと主張する。 しかしながら、前記(3)オで検討したとおり、前記(3)ア~エの特定がなされた本件訂正発明は、当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 確かに、甲2(前記第4の4(1)イ参照。)の【請求項1】には「・・・(B)α-オレフィンをメタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα-オレフィン・・・」と記載され、同【0084】の成分名と【0109】の[表5]を合わせ読めば、チーグラーナッタ触媒で重合して得られたポリマーである「(B’6)ペトロセン353(商品名)」及び「(B’7)DP8911ME(商品名)」を含むホットメルト接着剤が「比較例1」及び「比較例2」として示されている。しかしながら、甲2に記載されたホットメルト接着剤は、本件訂正発明の「(A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体」に相当する成分を欠くものであるから、甲2において、チーグラーナッタ触媒で重合して得られたポリマーを含むホットメルト接着剤が比較例であるとの事実があるからといって、直ちに本件訂正発明の「(A2)エチレン-αオレフィン共重合体」がチーグラーナッタ触媒の存在下でエチレンとαオレフィンを共重合させたものであった場合に、本件訂正発明の課題を解決できないことを示す根拠とはならない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 3 申立理由3(進歩性) (1)甲1に記載された発明 甲1(前記第4の4(1)ア参照。)の【0055】の【表1】には、実施例1~5のホットメルト接着剤が示され、同【0057】には、耐熱性、接着性、熱安定性及び糸曳き性のいずれにも優れたものであることが記載されている。そして、そのうちの実施例1について同【0046】~【0049】の記載を参酌すれば、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 (甲1発明) 「(A)エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体として、(A1)エチレン/オクテン共重合体(1-オクテン含量:35~37重量%、メルトフローレート500g/10min、ダウ・ケミカル社製のAFFINITY GA1950(商品名))を84重量部、 (B)エチレン/カルボン酸エステル共重合体として、(B1)エチレン/メタクリル酸メチル重合体(メタクリル酸メチル含量32重量%、メルトフローレート450g/10min、住友化学社製のアクリフト CM5022(商品名))を13重量部と、(B2)エチレン/アクリル酸エチル共重合体(アクリル酸エチル含量25重量%、メルトフローレート250g/10min、ダウ・ケミカル社製のNUC-6070(商品名))を3重量部、 (C)フィッシャートロプシュワックスとして、(C1)フィッシャートロプシュワックス(融点108℃、針入度が2、サゾール社製のサゾールワックスH1(商品名))を53重量部、 (D)粘着付与樹脂として、(D1)芳香族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体(軟化点125℃、出光興産社製のアイマーブP125(商品名))を111部、 (E)安定化剤として、(E1)テトラキス(メチレン-3-(3’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピネート)メタン(融点110~130℃、ADEKA社製のアデカスタブ AO-60(商品名))0.8重量部と、(E2)トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(融点180℃、城北化学社製のJP-650(商品名))0.8重量部とからなり、 (A)+(B)の合計は100重量部であり、(A)~(E)総重量は264.7重量部であり、 耐熱性、接着性、熱安定性及び糸曳き性のいずれにも優れたホットメルト接着剤」 (2)本件訂正発明1 ア 甲1発明との対比 本件訂正発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「(A)エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体」及び「(A1)エチレン/オクテン共重合体(1-オクテン含量:35~37重量%・・・)」は本件訂正発明1の「(A2)エチレン-αオレフィン共重合体」及び「(A2)エチレン-αオレフィン共重合体は、エチレンと・・・1-オクテン・・・からなる群より選択される少なくとも1種のαオレフィンとの共重合体」に相当する。 同様に、甲1発明の「(B)エチレン/カルボン酸エステル共重合体」、「(C)フィッシャートロプシュワックス」及び「(D)粘着付与樹脂」は本件訂正発明1の「(A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体」、「(B)ワックス」及び「(C)粘着性付与樹脂」に相当する。 甲1発明の「エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体」の含有量は、ホットメルト接着剤の総重量264.7重量部に対して、84重量部であるから、ホットメルト接着剤100重量部に対して84×100/264.7≒31.7重量部となり、本件訂正発明1の「ホットメルト接着剤100質量%に対する(A2)の含有量は、35質量%以下であり」を充足する。 甲1発明の「(A)エチレン/カルボン酸エステル共重合体」の含有量は、ホットメルト接着剤の総重量264.7重量部に対して、13+3=16重量部であるから、ホットメルト接着剤100重量部に対して16×100/264.7≒6.0重量部となり、本件訂正発明1の「ホットメルト接着剤100質量%に対する(A3)の含有量は、5質量%以上であり」を充足する。 してみると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「(A2)エチレン-αオレフィン共重合体、 (A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体、 (B)ワックス、及び (C)粘着性付与樹脂 を含むホットメルト接着剤であって、 (A2)エチレン-αオレフィン共重合体は、エチレンと、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、及び1-エイコセンからなる群より選択される少なくとも1種のαオレフィンとの共重合体であり、 ホットメルト接着剤100質量%に対する(A2)の含有量は、35質量%以下であり、 ホットメルト接着剤100質量%に対する(A3)の含有量は、5質量%以上であるホットメルト接着剤。」 <相違点1> 本件訂正発明1は「(A1)ガラス転移温度が-15℃以下であるポリプロピレン重合体」を含み、「下記式(I)で算出される、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)が、5~20質量%」「SA3=[(A3)/((A1)+(A2)+(A3))]×100 (I)」であるのに対し、甲1発明は、「ガラス転移温度が-15℃以下であるポリプロピレン重合体」に相当する成分を含まない点。 <相違点2> 本件訂正発明1は「滑り止め用ホットメルト接着剤」であるのに対し、甲1発明は、「耐熱性、接着性、熱安定性及び糸曳き性のいずれにも優れたホットメルト接着剤」であるが、滑り止め用の接着剤ではない点。 イ 判断1(甲1発明と甲1に記載された事項との組み合わせ) (ア)前記相違点1について、甲1(前記第4の4(1)ア参照。)の【0018】~【0021】には、「(A)エチレン/炭素数3~20のオレフィン共重合体」について、「・・・プロピレン、ブテン、オクテンであることがより好ましく、オクテンであることが特に好ましい」こと、「例えば、(A1)エチレンとオクテンとの共重合体、(A2)エチレン、プロピレン、1-ブテンとの共重合体、(A3)エチレンとプロピレンとの共重合体、(A4)エチレンとブテンとの共重合体等が挙げられる」こと、及び「このようなエチレンと炭素数3~20のオレフィンとの共重合体は、単独又は組み合わせて使用することができる」ことが記載されているが、(A1)~(A4)は並列的に挙げられたものであって、(A1)~(A4)の好ましい配合比率や、(A2)及び(A3)のガラス転移温度については何ら記載されていない。 (イ)また、同【0056】の【表2】には、比較例1~5のホットメルト接着剤が示され、そのうちの比較例5には、前記(2)で認定した実施例1の「(B)エチレン/カルボン酸エステル共重合体」の16重量部に代えて、「(A2)プロピレン/エチレン/1-ブテンの共重合体(ガラス転移点-28℃、軟化点124℃、190℃溶融粘度2700mPa・s、エボニックデグサ社製のVESTPLAST703(商品名))」という、本件訂正発明1の「(A1)ガラス転移温度が-15℃以下であるポリプロピレン重合体」に相当する成分を16重量部添加したホットメルト接着剤が示されているが、この比較例5は、耐熱性及び糸曳き性が悪く、接着性及び熱安定性にも優れないものである。 (ウ)そうすると、甲1の前記記載に触れた当業者が、あえて「(A2)プロピレン/エチレン/1-ブテンの共重合体(ガラス転移点-28℃、軟化点124℃、190℃溶融粘度2700mPa・s、エボニックデグサ社製のVESTPLAST703(商品名))」を採用する動機付けはなく、また、仮に「(A2)プロピレン/エチレン/1-ブテンの共重合体(ガラス転移点-28℃、軟化点124℃、190℃溶融粘度2700mPa・s、エボニックデグサ社製のVESTPLAST703(商品名))」を採用したとしても、その添加量をどの程度にするかの指標がないところ、本件訂正発明1で特定される「下記式(I)で算出される、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)が、5~20質量%」「SA3=[(A3)/((A1)+(A2)+(A3))]×100 (I)」を満たすような添加量とすることが容易とはいえない。 (エ)さらに、前記相違点2の「滑り止め用」というホットメルト接着剤の用途について、耐熱性、接着性、熱安定性及び糸曳き性にしか着目していない甲1の記載に基づいて、当業者が容易に予測し得るものとすることはできない。 (オ)そうすると、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 判断2(甲1発明と甲2に記載された事項との組み合わせ) (ア)前記相違点1について、甲2(前記第4の4(1)イ参照。)の【請求項1】には、「(A)非晶性ポリα-オレフィン、(B)α-オレフィンをメタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα-オレフィン、及び(C)粘着付与樹脂を含」む「ホットメルト接着剤」が記載され、前記「(A)非晶性ポリα-オレフィン」について、同【0031】には「(A)非晶性ポリα-オレフィンとして、例えば、非晶性のポリプロピレン、非晶性のポリエチレン、又は非晶性のプロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体、及び非晶性のエチレンと他のα-オレフィンとの共重合体を例示できる」と記載され、同【0033】には「(A)非晶性ポリα-オレフィンは、プロピレンに由来する化学構造を有しているのが好まし」く、「本発明のホットメルト接着剤は、プロピレンに由来する化学構造を含むと、最大静止摩擦力が大きくなって滑り難くなるので、段ボール箱の荷崩れを防止することができ、なおかつ、段ボール基材損傷も防止できる」ことが記載されている。 (イ)また、前記「(B)α-オレフィンをメタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα-オレフィン」について、同【0041】には「(B)結晶性ポリα-オレフィンとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/α-オレフィン共重合体、プロピレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/プロピレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/1-ブテン共重合体、プロピレン/1-ブテン共重合体およびエチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体を例示できる。」と記載され、同【0042】には「本発明では、(B)結晶性ポリα-オレフィンは、ポリプロピレンを含んでいるのが好ましい。(B)成分がポリプロピレンを含むことによって(B)成分と(A)成分との相溶性が向上し、ホットメルト接着剤は段ボール表面上の滑り防止を維持しつつ、段ボール基材の損傷を確実に防止することができる。」と記載されている。 (ウ)前記(ア)及び(イ)を総合すると、甲2に記載されたホットメルト接着剤は、「(A)非晶性ポリα-オレフィン」及び「(B)α-オレフィンをメタロセン触媒で重合して得られた結晶性ポリα-オレフィン」のいずれについても、ポリプロピレンを含むことが好ましいとされているものの、それらの好ましい含有率やガラス転移温度については何ら記載されていない。 (エ)そして、甲2に記載されたホットメルト接着剤は、本件訂正発明1の「(A3)エチレン-カルボン酸エステル共重合体」に相当する成分を含んでいないことも考慮すれば、たとえ同【0107】の[表3]の「実施例7」に「(A1)非晶性プロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体」を52.6重量部、「(B5)エチレン/オクテン共重合体」を30.3重量部含むホットメルト接着剤が記載されているとしても、甲2に記載された事項に基づいて、前記相違点1に係る「下記式(I)で算出される、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)が、5~20質量%」「SA3=[(A3)/((A1)+(A2)+(A3))]×100 (I)」を満たすような添加量を想到することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 (オ)そうすると、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 判断3(甲1発明と甲3~甲7に記載された事項との組み合わせ) (ア)甲3(前記第4の4(1)ウ参照。)の【請求項3】及び【0048】には、ホットメルト接着剤に液体ポリブテンを添加することにより、接着剤の開放時間を延ばし、かつ柔軟性を改善することが記載され、参3(前記第4の4(2)ウ参照。)には、甲1の実施例27及び28で用いられた「Eastoflex E1003」のガラス転移温度が「-30℃」であることが記載され、甲4(前記第4の4(1)エ参照。)の【請求項1】及び【0001】には、荷くずれ防止防滑性ダンボール箱が記載され、甲5(前記第4の4(1)オ参照。)の【請求項1】~【請求項2】には、段ボールの一面に熱可塑性エラストマーからなる皮膜を形成した滑り止め付材料が記載され、甲6(前記第4の4(1)カ参照。)の【請求項1】には、滑り止め加工用ホットメルト組成物が記載され、甲7(前記第4の4(1)キ参照。)の【0015】には、非晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体は、ホットメルト接着剤として、ダンボール箱の滑り止めや、カーペットの裏打ち用、その他各種資材の接着等に使用されていることが記載されている。 (イ)しかしながら、これらの記載を参酌しても、前記相違点1に係る「下記式(I)で算出される、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)が、5~20質量%」「SA3=[(A3)/((A1)+(A2)+(A3))]×100 (I)」を満たすホットメルト接着剤を想到することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 (ウ)そうすると、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲3~甲7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件訂正発明2~5 本件訂正発明2~5は、本件訂正発明1の特定事項を全て含むものであるから、前記(2)と同じ理由により、本件訂正発明2~5は甲1発明及び甲1~甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)申立人の主張 ア 申立人は、特許異議申立書の20頁6行~21頁2行において、<甲1発明>として、(A1’)、(A2’)及び(A3’)をすべて備えるとともに、それらの含量が特定されたホットメルト接着剤を認定しているが、前記(1)で検討したとおり、甲1には、(A1’)及び(A3’)を備えた実施例1~5及び比較例1~4と、(A1’)及び(A2’)を備えた比較例5は記載されているものの、(A1’)、(A2’)及び(A3’)をすべて備えたものは記載されておらず、また、それらの含量についても三者の比率を特定できるような記載はないから、申立人の主張するような発明を認定することはできない。 イ 申立人は、特許異議申立書の49頁20行~50頁7行において、甲1発明にプロピレン重合体を配合することが容易であることの証拠として、参4の本件特許に係る出願に対する拒絶理由通知(前記第4の4(2)エ参照。)を引用しているが、参4は、前記(2)の相違点1に係る「下記式(I)で算出される、(A1)、(A2)及び(A3)の合計100質量%に対する(A3)の割合SA3(質量%)が、5~20質量%」「SA3=[(A3)/((A1)+(A2)+(A3))]×100 (I)」との構成が容易であることを説示したものではないから、全体として、本件訂正発明1が甲1発明及び甲1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたことを示すものではない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立ての理由によっては、本件訂正後の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700874

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