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特許異議申立

2022-700819

機械式駐車装置及びその制御方法

審判番号
2022-700819
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-102958
登録番号
7024011
請求日
2022年08月19日
審決日
2024年05月09日
公報発行日
2024年08月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】三菱重工機械システム株式会社
  • 【権利者代理人】藤田 考晴
  • 【権利者代理人】三苫 貴織
  • 【権利者代理人】川上 美紀
  • 【権利者代理人】長田 大輔
  • 【異議申立人】高橋 早都子
審判長/審判官
  • 審判長 古屋野 浩志
  • 審判官 居島 一仁
  • 審判官 土屋 真理子
分類
P1651.113-YAA(E04H) / P1651.121-YAA(E04H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第44条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7024011号発明「機械式駐車装置及びその制御方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7024011号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕、10について訂正することを認める。 特許第7024011号の請求項2~4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 特許第7024011号の請求項1及び5~10に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 分割出願の経緯の概略 特許第7024011号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、令和2年6月15日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、平成25年8月30日に出願した特願2013-179294号を最先の出願とする、いわゆる第4世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。 最先の出願:特願2013-179294号(平成25年 8月30日) 第1世代 :特願2015-139765号(平成27年 7月13日) 第2世代 :特願2017- 24297号(平成29年 2月13日) 第3世代 :特願2018-187446号(平成30年10月 2日) 本願 :特願2020-102958号(令和 2年 6月15日) 2 特許権の設定登録及びその後の特許異議の申し立ての経緯の概略 本件特許について、令和4年2月14日にその特許権の設定登録がされ、同月22日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は次のとおりである。 令和4年 8月19日 :特許異議申立人 高橋 早都子(以下「申立人」という。)による請求項1~10に係る特許に対する特許異議の申立て 同年11月14日付け:取消理由通知書 令和5年 1月16日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 3月 2日 :申立人による意見書の提出 同年 5月25日付け:取消理由通知書(決定の予告) 同年 7月31日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 9月21日 :申立人による意見書の提出 同年10月31日 :特許権者による上申書の提出 同年11月17日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和6年 1月22日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 3月11日 :申立人による意見書の提出 なお、令和6年1月22日に訂正請求書が提出されたことにより、令和5年1月16日提出の訂正請求書による訂正の請求及び同年7月31日提出の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 特許権者により令和6年1月22日に提出された訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)の内容(以下「本件訂正」という。)は以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を、「車両の運転者が前記車両に乗降可能な乗降室が設けられる機械式駐車装置であって、 前記乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置された複数の安全確認入力手段と、 各前記安全確認入力手段の近辺にそれぞれ配置され、前記車両に対して前記安全確認入力手段の位置とは反対側の領域であって前記安全確認入力手段の位置から前記安全確認者の直接目視できない前記乗降室内の領域である間接目視領域を映すことにより、前記安全確認入力手段の位置から前記間接目視領域の安全確認を可能とするモニタと、 前記乗降室内における前記車両の右側領域を撮像する右側カメラと、 前記乗降室内における前記車両の左側領域を撮像する左側カメラと、 前記乗降室外に配置され、前記車両の搬送の許可が入力される搬送許可入力手段と、 制御手段と、 を備え、 複数の前記安全確認入力手段は、 前記車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、 前記車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段と、 を有し、 複数の前記モニタは、 前記右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタと、 前記左側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記右側カメラで撮像された画像を表示する左側モニタと、 を有し、 前記制御手段は、前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段に、該安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する機械式駐車装置。」と訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~9も同様に訂正する)。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5) 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「前記入力手段は、前記乗降室内に配置されている請求項1から4のいずれかに記載の機械式駐車装置。」とあるのを、 「複数の前記安全確認入力手段の少なくとも一つは、前記乗降室内に配置されている請求項1に記載の機械式駐車装置。」と訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8及び9も同様に訂正する)。 (6) 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「前記入力手段は、前記乗降室外に配置されている請求項1から4のいずれかに記載の機械式駐車装置。」とあるのを、「複数の前記安全確認入力手段の少なくとも一つは、前記乗降室外に配置されている請求項1に記載の機械式駐車装置。」と訂正する(請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8及び9も同様に訂正する)。 (7) 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に「前記入力手段は、前記操作盤又は前記操作盤の近傍に設けられている請求項1から4のいずれかに記載の機械式駐車装置。」とあるのを、「複数の前記安全確認入力手段の少なくとも一つは、前記操作盤又は前記操作盤の近傍に設けられている請求項1に記載の機械式駐車場装置。」に訂正する(請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8及び9も同様に訂正する)。 (8) 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に「許可入力手段」、「入力手段」とあるのを、それぞれ「搬送許可入力手段」、「安全確認入力手段」に訂正し、「請求項1から7のいずれかに記載」とあるのを「請求項1又は5から7のいずれかに記載」に訂正する。 (9) 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に「入力手段」とあるのを「安全確認入力手段」に訂正し、「請求項1から7のいずれかに記載」とあるのを「請求項1又は5から7のいずれかに記載」に訂正する。 (10) 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10を、「車両の運転者が前記車両に乗降可能な乗降室、前記乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置された複数の安全確認入力手段、各前記安全確認入力手段の近辺にそれぞれ配置されるとともに、前記車両に対して前記安全確認入力手段の位置とは反対側の領域であって前記安全確認入カ手段の位置から前記安全確認者の直接目視できない前記乗降室内の領域である間接目視領域を映すことにより、前記安全確認入力手段の位置から前記間接目視領域の安全確認を可能とするモニタ、前記乗降室内における前記車両の右側領域を撮像する右側カメラ、前記乗降室内における前記車両の左側領域を撮像する左側カメラ、及び前記乗降室外に配置され、前記車両の搬送の許可が入力される搬送許可入力手段を備え、複数の前記安全確認入力手段は、前記車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、前記車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段と、を有し、複数の前記モニタは、前記右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタと、前記左側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記右側カメラで撮像された画像を表示する左側モニタと、を備える機械式駐車装置の制御方法であって、 前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段が、該安全確認入カ手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了を受け付ける工程と、 前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段に前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する工程と を含む機械式駐車装置の制御方法。」と訂正する。 2 訂正の目的の適否について (1) 訂正事項1 ア 訂正事項1における訂正前の「安全確認者による安全確認の終了が入力される入力手段」を、「前記乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置された複数の安全確認入力手段」として、「複数の前記安全確認入力手段は、前記車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、前記車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段と、を有し、」とする訂正は、訂正前の請求項1の「入力手段」について「複数の安全確認入力手段」として特定し、限定するものである。 イ 訂正事項1における訂正前の「前記入力手段の近辺に配置され、前記入力手段の位置から前記安全確認者の目視できない領域の安全確認を可能とする安全確認手段」を「各前記安全確認入力手段の近辺にそれぞれ配置され、前記車両に対して前記安全確認入力手段の位置とは反対側の領域であって前記安全確認入力手段の位置から前記安全確認者の直接目視できない前記乗降室内の領域である間接目視領域を映すことにより、前記安全確認入力手段の位置から前記間接目視領域の安全確認を可能とするモニタ」として、「複数の前記モニタは、前記右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタと、前記左側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記右側カメラで撮像された画像を表示する左側モニタと、を有し、」とする訂正、及び、訂正前の「機械式駐車装置」に「前記乗降室内における前記車両の右側領域を撮像する右側カメラと、前記乗降室内における前記車両の左側領域を撮像する左側カメラと」を有するものとして追加する訂正は、請求項1の「安全確認手段」について「複数」の「モニタ」として特定し、限定するものである。 ウ 訂正事項1における訂正前の「許可入力手段」を「搬送許可入力手段」とする訂正は、請求項1の「許可入力手段」について、「搬送許可入力手段」として特定し、限定するものである。 エ 訂正事項1における訂正前の「前記入力手段に前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する制御手段」を「制御手段」であって、「前記制御手段は、前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段に、該安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する」とする訂正は、請求項1の「制御手段」を特定し、限定するものである。 オ したがって、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2) 訂正事項2~4 訂正事項2~4のそれぞれは、請求項2~4を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3) 訂正事項5~7 訂正事項5~7のそれぞれは、訂正前の「入力手段」を訂正事項1で特定し限定された「安全確認入力手段」のうち、「複数の」「安全確認入力手段の少なくとも一つ」であることを特定して限定するとともに、「請求項1から4のいずれか」を引用するものから、「請求項1」を引用するものに減縮したものである。 したがって、訂正事項5~7は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (4) 訂正事項8及び9 訂正事項8は、訂正前の「許可入力手段」、「入力手段」のそれぞれを、「搬送許可入力手段」、「安全確認入力手段」と特定して限定するとともに、「請求項1から7のいずれか」を引用するものから、「請求項1又は5から7のいずれか」を引用するものに減縮したものである。 また、訂正事項9は、訂正前の「入力手段」を、「安全確認入力手段」と特定して限定するとともに、「請求項1から7のいずれか」を引用するものから、「請求項1又は5から7のいずれか」を引用するものに減縮したものである。 したがって、訂正事項8及び9は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (5) 訂正事項10 ア 訂正事項10における訂正前の「安全確認者による安全確認の終了が入力される入力手段」を、「前記乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置された複数の安全確認入力手段」とする訂正、及び、請求項10に「複数の前記安全確認入力手段は、前記車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、前記車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段とを有し、」を追加する訂正は、訂正前の請求項10の「入力手段」について「複数の安全確認入力手段」として特定し、限定するものである。 イ 訂正事項10における訂正前の「前記入力手段の近辺に配置されるとともに、前記入力手段の位置から前記安全確認者の目視できない領域の安全確認を可能とする安全確認手段」を「各前記安全確認入力手段の近辺にそれぞれ配置されるとともに、前記車両に対して前記安全確認入力手段の位置とは反対側の領域であって前記安全確認入カ手段の位置から前記安全確認者の直接目視できない前記乗降室内の領域である間接目視領域を映すことにより、前記安全確認入力手段の位置から前記間接目視領域の安全確認を可能とするモニタ」として、「複数の前記モニタは、前記右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタと、前記左側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに前記右側カメラで撮像された画像を表示する左側モニタと、を備える」とする訂正、及び、訂正前の「機械式駐車装置」に「前記乗降室内における前記車両の右側領域を撮像する右側カメラ、前記乗降室内における前記車両の左側領域を撮像する左側カメラ、及び前記乗降室外に配置され、前記車両の搬送の許可が入力される搬送許可入力手段を備え、」ることを追加する訂正は、請求項10の「安全確認手段」について「複数」の「モニタ」として特定し、限定するものである。 ウ 訂正事項10における訂正前の「許可入力手段」を「搬送許可入力手段」とする訂正は、請求項10の「許可入力手段」について、「搬送許可入力手段」として特定し、限定するものである。 エ 訂正事項10における訂正前の「前記入力手段が、前記安全確認者による前記安全確認の終了を受け付ける工程」を「前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段が、該安全確認入カ手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了を受け付ける工程」とする訂正は、請求項10の「前記入力手段が、前記安全確認者による前記安全確認の終了を受け付ける工程」について、前記アに示した「入力手段」に係る訂正にあわせて特定し、限定するものである。 オ 訂正事項10における訂正前の「前記入力手段に前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する工程」を、前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段に前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する工程」とする訂正は、請求項10の「前記入力手段に前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する工程」について、前記アに示した「入力手段」に係る訂正にあわせて特定し、限定するものである。 カ したがって、訂正事項10は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 3 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について (1) 訂正事項1 ア 訂正事項1における訂正前の「安全確認者による安全確認の終了が入力される入力手段」を、「前記乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置された複数の安全確認入力手段」として、「複数の前記安全確認入力手段は、前記車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、前記車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段と、を有し、」とする訂正は、本件特許についての出願の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0041】、【0054】、【0063】、【0085】、【0087】等の記載に基づいている。 すなわち、段落【0041】には「乗降室20内には、安全確認の実施位置の近辺に配置され、人による安全確認の実施状態が入力される入力手段である確認ボタン34A,34Bが備えられる。」と記載され、段落【0054】には「乗降室20内の安全確認は、運転者が乗降室20内に居るものの(時には同乗者が車両内に居残る場合がある)確実な検知方法がない。このため、乗降室20内の安全確認は、人による確認が最も効果的な方法であると考えられる。」と記載されており、乗降室内の安全を人(安全確認者)が確認すること、安全確認の実施位置の近辺に入力手段が配置されることが記載されている。 また、段落【0063】には「上述したように確認ボタン34A,34Bは、パレット16を挟んで配置されている。」と記載され、確認ボタン34A,34Bが車両の両側に配置されていることが記載されている。 また、段落【0085】には「図7は、本第3実施形態に係る乗降室20の上面図である。なお、図7における図2と同一の構成部分については図2と同一の符号を付して、その説明を省略する。」と記載され、段落【0087】には「乗降室20内の安全確認が簡易にかつより広い範囲で行われる。」と記載されており、第3実施形態においても、人が乗降室内の安全確認を行うことが記載されている。 また、訂正事項1は「安全確認入力手段」が乗降室外に設置される場合も含むが、段落【0089】には、「また、本第3実施形態では、確認ボタン34とモニタ80を乗降室20内に設けた場合を例示したが、確認ボタン34とモニタ80が操作盤22に組み入れられたり、操作盤22の近傍に設置されてもよいし、さらに確認ボタン34とモニタ80が乗降室20の内、外に複数設けられてもよい。」と記載され、「安全確認入力手段」が乗降室外に設置されてもよいことが記載されている。 そして、訂正事項1は、「安全確認入力手段」が1つ以上設けられていることを含むが、段落【0098】には「例えば、上記各実施形態では、確認ボタン34が左右の壁面35に計2つ備えられる形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、確認ボタン34が1つ又は3つ以上備えられる形態としてもよい。」と記載され、1つ以上の「安全確認入力手段」を含むことが記載されている。 イ 訂正事項1における訂正前の「前記入力手段の近辺に配置され、前記入力手段の位置から前記安全確認者の目視できない領域の安全確認を可能とする安全確認手段」を「各前記安全確認入力手段の近辺にそれぞれ配置され、前記車両に対して前記安全確認入力手段の位置とは反対側の領域であって前記安全確認入力手段の位置から前記安全確認者の直接目視できない前記乗降室内の領域である間接目視領域を映すことにより、前記安全確認入力手段の位置から前記間接目視領域の安全確認を可能とするモニタ」として、「複数の前記モニタは、前記右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタと、前記左側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記右側カメラで撮像された画像を表示する左側モニタと、を有し、」とする訂正、及び、訂正前の「機械式駐車装置」に「前記乗降室内における前記車両の右側領域を撮像する右側カメラと、前記乗降室内における前記車両の左側領域を撮像する左側カメラと」を有するものとして追加する訂正は、本件特許明細書の段落【0086】の「本第3実施形態に係る機械式駐車装置10は、確認ボタン34の近辺に配置され、車両12に対して反対側の安全確認を可能とする安全確認手段として、モニタ80A,80B及びカメラ82A,82Bを備える。確認ボタン34Aの近辺に配置されたモニタ80Aは、車両12に対して反対側に配置されたカメラ82Aで撮像された画像を表示する。一方、確認ボタン34Bの近辺に配置されたモニタ80Bは、車両12に対して反対側に配置されたカメラ82Bで撮像された画像を表示する。」との記載、段落【0087】の「従って、本第3実施形態に係る機械式駐車装置10によれば、安全確認者が車両12に対して反対側へ移動しなくても、反対側の安全確認が可能となる。例えば、安全確認者である運転者が車いすで移動する場合のように、乗降室20内の移動に困難を伴う場合がある。このような場合には、安全確認者が、一方のモニタ80Aの画像を目視し、確認ボタン34に入力を行うだけで、乗降室20内の安全確認が簡易にかつより広い範囲で行われる。」との記載に基づいている。なお、本件明細書には、「直接目視」、「直接目視領域」、「間接目視」、「間接目視領域」について明示的に記載されていないが、安全確認手段を用いない直接的な目視と、安全確認手段を用いた目視との区別を明確にするために、「直接目視」、「間接目視」との表現を用い、また、「直接目視」を行う領域を「直接目視領域」、「間接目視」を行う領域を「間接目視領域」と表現したものである。 ウ 訂正事項1における訂正前の「許可入力手段」を「搬送許可入力手段」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0045】の「乗降室20外の操作盤22には、人に操作されることでパレット16の搬送の許可が入力される最終確認ボタン40が備えられている。」との記載に基づいている。 エ 訂正事項1における訂正前の「前記入力手段に前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する制御手段」を「制御手段」であって、「前記制御手段は、前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段に、該安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0054】、【0086】~【0088】の記載に基づいている。 すなわち、段落【0054】には「乗降室20内の安全確認は、人による確認が最も効果的な方法であると考えられる。・・・(略)・・・安全確認者は、確認ボタン34までの移動を行う過程において必然的に周囲を目視するので、それにより安全確認が行われることとなる。」と記載されており、ここに、乗降室内の安全確認は、安全確認者が直接的に目で見て行うことが記載され、乗降室内の安全確認は、人(安全確認者)が直接的に目で見て行うことが記載され、段落【0086】~【0087】には、第3実施形態として、「本第3実施形態に係る機械式駐車装置10は、確認ボタン34の近辺に配置され、車両12に対して反対側の安全確認を可能とする安全確認手段として、モニタ80A,80B及びカメラ82A,82Bを備える。確認ボタン34Aの近辺に配置されたモニタ80Aは、車両12に対して反対側に配置されたカメラ82Aで撮像された画像を表示する。一方、確認ボタン34Bの近辺に配置されたモニタ80Bは、車両12に対して反対側に配置されたカメラ82Bで撮像された画像を表示する。」、「従って、本第3実施形態に係る機械式駐車装置10によれば、安全確認者が車両12に対して反対側へ移動しなくても、反対側の安全確認が可能となる。例えば、安全確認者である運転者が車いすで移動する場合のように、乗降室20内の移動に困難を伴う場合がある。このような場合には、安全確認者が、一方のモニタ80Aの画像を目視し、確認ボタン34に入力を行うだけで、乗降室20内の安全確認が簡易にかつより広い範囲で行われる。」と記載され、段落【0088】には、「カメラ82A、82Bは、安全確認者の目視できない部分を確認できる位置に設けることが好ましい。」と記載されている。 これらの記載によれば、第3実施形態には、安全確認者が入力手段の位置から見える領域については、安全確認手段を用いずに直接的に安全を確認し、その一方で、安全確認者が直接的に目視することのできない乗降室内の領域については、安全確認手段(例えば、カメラ、鏡等)を用いて安全確認を行い、これら両方の領域の安全確認が終了すると入力手段に対して安全確認の終了が入力されることが記載されている。 オ したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許についての願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (2) 訂正事項2~4 訂正事項2~4のそれぞれは、請求項2~4を削除するものであるから、訂正事項2~4に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (3) 訂正事項5~7 本件特許明細書の段落【0089】には、「また、本第3実施形態では、確認ボタン34とモニタ80を乗降室20内に設けた場合を例示したが、確認ボタン34とモニタ80が操作盤22に組み入れられたり、操作盤22の近傍に設置されてもよいし、さらに確認ボタン34とモニタ80が乗降室20の内、外に複数設けられてもよい。」と記載され、複数の確認ボタン34のうち、少なくとも一つが乗降室内又は乗降室外に設けられることや、複数の確認ボタン34のうち、少なくとも一つが操作盤又は操作盤の近傍に設けられることが記載されている。 したがって、訂正事項5~7に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (4) 訂正事項8及び9 訂正事項8及び9に係る訂正において、訂正前の「許可入力手段」、「入力手段」のそれぞれを、「搬送許可入力手段」、「安全確認入力手段」とすることは、前記(1)に示したとおりであり、加えて、請求項2~4を引用しないようにしたものであるから、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。 (5) 訂正事項10 前記(1)に示したのと同様に、訂正事項10に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 4 独立特許要件について 本件においては、訂正前の請求項1~10について特許異議の申立てがされているから、訂正後の請求項1~10に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。 5 一群の請求項について 訂正前の請求項1~9について、請求項2~9のそれぞれは請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 6 小括 前記のとおり、訂正事項1~10に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕、10について訂正することを認める。 第3 本件特許について 前記のとおり、本件訂正請求による訂正は全て認められたので、本件特許の請求項1~10に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1~10に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、令和6年1月22日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の、請求項1~10に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 車両の運転者が前記車両に乗降可能な乗降室が設けられる機械式駐車装置であって、 前記乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置された複数の安全確認入力手段と、 各前記安全確認入力手段の近辺にそれぞれ配置され、前記車両に対して前記安全確認入力手段の位置とは反対側の領域であって前記安全確認入力手段の位置から前記安全確認者の直接目視できない前記乗降室内の領域である間接目視領域を映すことにより、前記安全確認入力手段の位置から前記間接目視領域の安全確認を可能とするモニタと、 前記乗降室内における前記車両の右側領域を撮像する右側カメラと、 前記乗降室内における前記車両の左側領域を撮像する左側カメラと、 前記乗降室外に配置され、前記車両の搬送の許可が入力される搬送許可入力手段と、 制御手段と、 を備え、 複数の前記安全確認入力手段は、 前記車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、 前記車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段と、 を有し、 複数の前記モニタは、 前記右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタと、 前記左側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記右側カメラで撮像された画像を表示する左側モニタと、 を有し、 前記制御手段は、前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段に、該安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する機械式駐車装置。 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 【請求項4】(削除) 【請求項5】 複数の前記安全確認入力手段の少なくとも一つは、前記乗降室内に配置されている請求項1に記載の機械式駐車装置。 【請求項6】 複数の前記安全確認入力手段の少なくとも一つは、前記乗降室外に配置されている請求項1に記載の機械式駐車装置。 【請求項7】 前記乗降室の外側に設けられた操作盤を備え、 複数の前記安全確認入力手段の少なくとも一つは、前記操作盤又は前記操作盤の近傍に設けられている請求項1に記載の機械式駐車場装置。 【請求項8】 前記乗降室内に人が居残っていることを知らせるセンサ信号を出力するセンサを備え、 前記制御手段は、前記搬送許可入力手段への操作が有効化された後に、前記センサによって前記センサ信号が出力された場合に、前記安全確認入力手段への前記安全確認の終了の入力を解除するとともに、前記搬送許可入力手段への操作を無効化する請求項1又は5から7のいずれかに記載の機械式駐車装置。 【請求項9】 人の前記乗降室への入退室を検知する入退室検知手段を備え、 前記制御手段は、前記安全確認入力手段に前記安全確認の終了が入力された後に、前記入退室検知手段によって前記乗降室への人の入室が検知された場合、前記安全確認入力手段への前記安全確認の終了の入力を解除する請求項1又は5から7のいずれかに記載の機械式駐車装置。 【請求項10】 車両の運転者が前記車両に乗降可能な乗降室、前記乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置された複数の安全確認入力手段、各前記安全確認入力手段の近辺にそれぞれ配置されるとともに、前記車両に対して前記安全確認入力手段の位置とは反対側の領域であって前記安全確認入カ手段の位置から前記安全確認者の直接目視できない前記乗降室内の領域である間接目視領域を映すことにより、前記安全確認入力手段の位置から前記間接目視領域の安全確認を可能とするモニタ、前記乗降室内における前記車両の右側領域を撮像する右側カメラ、前記乗降室内における前記車両の左側領域を撮像する左側カメラ、及び前記乗降室外に配置され、前記車両の搬送の許可が入力される搬送許可入力手段を備え、複数の前記安全確認入力手段は、前記車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、前記車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段と、を有し、複数の前記モニタは、前記右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタと、前記左側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記右側カメラで撮像された画像を表示する左側モニタと、を備える機械式駐車装置の制御方法であって、 前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段が、該安全確認入カ手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了を受け付ける工程と、 前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段に前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する工程と を含む機械式駐車装置の制御方法。」 第4 令和5年11月17日付け取消理由(決定の予告)の概要 訂正前の請求項1~10に係る特許に対して、当審が令和5年11月17日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。 1 取消理由(決定の予告) 取消理由(進歩性)請求項1~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された乙2、甲1~3及び甲7に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~10に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 2 証拠 (1) 申立人により特許異議申立書とともに提出された証拠 甲第1号証 実公昭49-3738号公報 甲第2号証 特許第4750818号公報 甲第3号証 特開2002-174048号公報 甲第4号証 特公平3-44607号公報 甲第5号証 特開2002-352015号公報 甲第6号証 機械式駐車場技術基準・同解説 付 機械式駐車場におけるバリアフリーに関するガイドライン 2004年版,社団法人 立体駐車場工業会,平成16年3月31日 甲第7号証 特開2003-97076号公報 (以下「甲第1号証」等を「甲1」等という場合がある。) (2) 令和5年7月31日に提出された特許権者による意見書とともに提出された証拠 乙第2号証 「機械式駐車場技術基準・同解説 2013年版,公益社団法人 立体駐車場工業会,平成25年4月15日」 (以下「乙第2号証」を「乙2」という場合がある。) 第5 当審の判断 1 引用文献について (1) 乙2について ア 乙2の記載 乙2には、以下の記載がある(下線は当審合議体が付与した。以下同様。) (ア) 4頁1行~5頁7行 「1.2 適用の範囲 (適用の範囲) 当工業会が認定審査する全ての機械式駐車装置に対して適用するが、本基準で予想していない特殊な構造のものについては適用しない。 自動車用エレベーターの同乗方式においては、建築基準法および関連法令によるものとし、規定がない事項については本基準によること。 1.3 用語の定義 機械式駐車場 機械式駐車場とは、自動車を駐車または運搬する手段として機械式駐車装置を用いる駐車場の全域をいい、一般に車路、前面空地、管理室等も含まれる。 機械式駐車装置 機械式駐車装置とは、自動車を駐車または駐車位置まで運搬するために使用する機械装置全体をいう。 ・・・(中略)・・・ 搬器 搬器とは、機械式駐車装置の中で自動車を載せる部分をいい、一般にはかご、ケージ、トレイ、パレット等と呼称される。 自動車への乗降室 自動車への乗降室とは、搬器、搬送装置、駐車装置内の人の通路および自動車への乗降部分から構成される空間をいう。」 (イ) 24頁22~最終行 「2.3.2 駐車装置の操作位置 駐車装置を操作するための機器は、人および自動車の出入りの状況が目視によって確認できる位置に設けること。 (解 説) 本項は駐車装置を操作する際の駐車装置への人および自動車の出入に対する安全確保のために設けたもので、原則として操作位置から駐車装置への人および自動車の出入りが目視できなければならない。駐車装置への人および自動車の出入りが部分的に目視できない位置に操作機器を設ける場合には、反射鏡、ITVモニター、その他の安全装置を補助的に設けることにより目視と同等としなければならない。」 (ウ) 38頁1~最終行 「3.2.5 自動車への乗降室の構造 自動車への乗降室は、人の通路が確保できるようにするとともに、取扱者が目視で安全を確認できる構造とすること。 乗降室内で、人等が深さ0.5m以上の落差を墜落するおそれがある場合には、高さ1.1m以上のさく等を設けること。 また原則として運転者以外は立ち入らせないこと。 ただし、下記の条件を満たすことが出来る場合には、自動車への乗降室で同乗者を乗降させることができる。 (1)自動車への乗降室が独立していること。 (2)自動車への乗降室が引き込み装置により駐車装置から分離された構造であり、駐車装置と乗降室との間は扉により区画されていること。 (3)利用者の出入口が専用に設けられており、その出入口は入庫用においては自動車の進行方向付近に、出庫用においては自動車の後退方向付近に設置された構造となっていること。 (4)乗降室に入場できる自動車は1台のみとし、遮断機などで入場を規制されていること。 (5)人の通路が自動車の両側に確保されていること。 (6)安全確認上、障害となるものが無く、容易に目視にて安全が確認できるようにするとともに、補助的に自動車の乗降室に移動体検知センサー等を設置する等、安全装置を設けること。 (7)利用者の出入口、自動車の入出庫口には自動停止装置を設けるか、または、扉等を設けること。 (8)自動車が外部に通ずる利用者通路、待合室等に飛び出さないよう対策をすること。 (解 説) 自動車への乗降室での同乗者の乗降については、平面往復方式で昨今見られる構造を鑑みて条件付で緩和することとした。また、ここでいう移動体検知センサーとは、赤外線を利用したセンサーを指し「パッシブセンサー」等と呼称される。 平面往復方式での緩和事例を次に示す。」 (エ) 65頁10~30行 「4.2.2.2 取扱者 (1)取扱者とは、当該駐車場の管理責任者によって予め選任された者をいう。(2)選任された取扱者以外の者は、装置の操作を行ってはならない。 (3)取扱者は、装置の操作に必要な知識および非常時の処理方法、ならびに取扱上の注意事項等の教育を十分に受けなければならない。 (4)不特定多数の人が利用する駐車場では、専任の取扱者が操作すること。 4.2.2.3 取扱者の守るべき事項 (1)装置の操作にあたっては、疾病、および酒気を帯びた者は装置の取扱いをしないこと。 (2)不適切な器具を使用した操作、人為的な安全装置の疑似動作など、管理規則や取扱説明書から逸脱した取扱いをしないこと。 (3)装置の操作にあたっては、装置付近、自動車への乗降室、車内に人がいないこと、障害物がないこと、自動車が搬器内に正しく格納されていること、その他動作に支障となる状態がないことを目視で予め確認すること。 (4)利用者の守るべき安全上の注意事項については、徹底するよう指示を与えること。 (5)利用者に必ず駐車ブレーキを掛けさせること。 (6)収容可能な自動車であることを確認するとともに、収容車の制限事項を厳守し徹底すること。 (7)自動車への乗降室には、原則として運転者以外は立ち入らせないこと。ただし、「第3章 構造基準編 3.2.5 自動車への乗降室の構造」に該当する場合はこの限りでない。」 イ 乙2発明 上記アより、乙2には、次の2つの発明(以下「乙2発明」及び「乙2方法発明」という。)が記載されている。 (乙2発明) 「自動車を駐車または駐車位置まで運搬するために使用する機械装置全体である機械式駐車装置であって、(前記ア(ア)) 機械式駐車装置の中で自動車を載せ、一般にはかご、ケージ、トレイ、パレット等と呼称される搬器、搬送装置、駐車装置内の人の通路および自動車への乗降部分から構成される空間である、自動車への乗降室を有し、(前記ア(ア)) 自動車への乗降室は、人の通路が確保できるようにするとともに、取扱者が目視で安全を確認できる構造とし、(前記ア(ウ)) 駐車装置を操作するための機器を、人および自動車の出入りの状況が目視によって確認できる位置に設け、(前記ア(イ)) 装置の操作にあたっては、装置付近、自動車への乗降室、車内に人がいないこと、障害物がないこと、自動車が搬器内に正しく格納されていること、その他動作に支障となる状態がないことを目視で予め確認するものであり、(前記ア(エ)) 駐車装置への人および自動車の出入りが部分的に目視できない位置に操作機器を設ける場合には、反射鏡、ITVモニター、その他の安全装置を補助的に設けることにより目視と同等としなければならないものであり、(前記ア(イ)) 人の通路が自動車の両側に確保されており、安全確認上、障害となるものが無く、容易に目視にて安全が確認できるようにするとともに、補助的に自動車の乗降室に移動体検知センサー等を設置する等、安全装置を設ける等の条件を満たすことが出来る場合には、自動車への乗降室で同乗者を乗降させることができる、(前記ア(ウ)) 機械式駐車装置。」 (乙2方法発明) 「乙2発明の制御方法。」 (2) 甲1について ア 甲1の記載 甲1には以下の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。 (ア) 1欄15~26行 「考案の詳細な説明 本考案は駐車場の安全装置に関するもので、その目的とするところは庫内への人の閉じ込め、通りがかりの人によるいたずらを防止することにある。 駐車場の出入口部分に搬出入装置を設け、これに自動車を格納し、無人にて上部または下部の駐車室へ自動的に納められる方式の機械式駐車場では、人が庫内にいたまま搬出入装置を昇降させると非常に危険である。 また出入口の扉を閉じられても人の閉じ込めとなりこれまた危険である。」 (イ) 1欄30行~4欄10行 「本考案は上記事情によりなされたもので、機械式駐車場の出入口に無人にして自動車を搬出入する装置を設けたものにおいて、前記出入口に光電ビームーを通し、そのビームを遮断したことを記憶して扉閉じ装置及び搬出入装置が動作をしない装置を設け、出入口の脇に設置した扉閉じ解除装置の操作により前記装置動作せしめてなる駐車場の安全装置を提案するものである。 本考案を一実施例図面によつて説明するに、第1図においてPH-1A,PH-1B,PH-2,PH-3,PH-4,PH-5は各々光電ビームを表わし、この光電ビームを各々遮断すると第2図におけるPH-1Ac,PH-1Bc,PH-2c,PH-3c,PH-4c,PH-5cの接点を開閉せしめる。 11は格納された自動車12を搬出入する装置13は出入口の扉、15は駐車装置を操作する運転盤で第2図における押ボタンスイツチ14を設置している。第2図の(+)、(-)は電源を示し、60はリレーであり、60a1、60a2はそのメイク接点である。前記リレー60が励磁されると扉13を閉じる装置及び搬出入装置11を動作できないよう構成され、また扉13が閉じつつある時や閉じている時ならば直ちに開くようにも構成されている。60sはリレーであり、60sbはそのブレイク接点である。リレー60sは押ボタンスイツチ14を押すことにより励磁されリレー60の自己保持回路を開路してリレー60を消磁するものである。40Ja、40Jbは自動車12が搬入装置11の上に規定された位置に停止していると励磁されるリレー(図示せず)のメイク接点とブレイク接点である。これは第1図から明らかなように自動車12が搬入装置11の上にあると光電ビームPH-1B及びPH-2を遮断しているのでその接点PH-1Bc及PH-2cが働いているのを短絡及び開路して、リレー60が励磁しないようにしたものである。 Lは押ボタンスイツチ14の内部に内蔵されているランプでリレー60が励磁するとそのメイク接点60a2により点灯するように構成されている。 さて扉13が開いている状態で自動車或いは人が庫内に入ると光電ビームPH-4を必ず遮断するので、第2図において(+)-PH-4c-60-(-)によりリレー60が励磁され、扉13を閉じる装置及び自動車搬出入装置11は動作しなくなるまたこのリレー60の接点60a1が閉路することにより(+)-60sb-60a1-60-(-)の回路によりリレー60は自己保持される。 この状態は自己保持が解かれるまで継続する。庫内より人が入るとその出た当人またはそれを確認した人が出入口脇にある押ボタンスイツチ14を押すと庫内のビームを一本も遮断していない時は(+)-PH-4c-PH-5c-PH-3c-PH-1Ac-PH-1Bc-PH-2c-14-60s-(-)により60sが励磁される。 また自動車を入庫してきた時は規定位置に止めたなら(+)-PH-4c-PH-5c-PH-3c-PH-1Ac-40Ja-14-60s-(-)によりやはり励磁される。 これが励磁されるとそのブレイク接点60sbが開路するので+-60sb-60a1-60--の回路が開路してリレー60は消磁する。 従つて次に扉13を閉じることができる。このリレー60を消磁するには第2図の回路より明らかなように庫内のビームを1本も遮断していないか、または庫内に自動車が入つている時は正規の位置に停止していなければできない。 本考案によれば、扉を閉じる前に庫内の自動車が正規の位置に停止しているか、自動車がない場合は庫内の人が光電ビームを切るような位置にいるか自動的に検出できる。 また通りがかりの人がいたずらしてドア閉じのボタンを押してもリレーが働いているかぎりドアは閉じないので庫内への人閉じ込め、いたずらを防止できる。」 (ウ) 第1図 「 [図:0001413278000001.jpg] 」 (エ) 図面から看取できる事項 上記(イ)の「庫内のビームを1本も遮断していない」の記載をふまえると、第1図から以下の点を看取できる。 「庫内に光電ビームPH-1A,PH-1B,PH-2,PH-3,PH-4,PH-5が設けられること。」 イ 甲1発明及び甲1方法発明 上記アより、甲1には、次の2つの発明(以下「甲1発明」及び「甲1方法発明」という。)が記載されている。 (甲1発明) 「駐車場の出入口部分に搬出入装置を設け、これに自動車を格納し、無人にて上部または下部の駐車室へ自動的に収められる方式の機械式駐車場において、 格納された自動車12を搬出入する装置11、出入口の扉13、駐車装置を操作する運転盤15を備え、運転盤15には押ボタンスイツチ14が設置してあり、 庫内に設けられた光電ビームを遮断すると接点を開閉せしめ、 リレー60が励磁されると扉13を閉じる装置及び搬出入装置11を動作できないように構成され、また扉13が閉じつつある時や閉じている時ならば直ちに開くようにも構成され、 押ボタンスイツチ14を押すことにより、リレー60sは励磁されリレー60の自己保持回路を開路してリレー60を消磁するものであって、 扉13が開いている状態で自動車或いは人が庫内に入ると光電ビームPH-4を必ず遮断するので、リレー60が励磁され、扉13を閉じる装置及び自動車搬出入装置11は作動しなくなり、また、このリレー60は自己保持され、この状態はリレー60の自己保持が解かれるまで継続し、 庫内より人が入るとその出た当人またはそれを確認した人が出入口脇にある押ボタンスイツチ14を押すと庫内のビームを1本も遮断していない時は、リレー60sが励磁され、また、自動車を入庫してきた時は規定位置に止めたなら、やはり励磁され、 これが励磁されるとリレー60は消磁し、 従つて次に扉13を閉じることができる、 機械式駐車場。」 (甲1方法発明) 「駐車場の出入口部分に搬出入装置を設け、これに自動車を格納し、無人にて上部または下部の駐車室へ自動的に収められる方式の機械式駐車場の制御方法であって、 格納された自動車12を搬出入する装置11、出入口の扉13、駐車装置を操作する運転盤15を備え、運転盤15には押ボタンスイツチ14が設置してあり、 庫内に設けられた光電ビームを遮断すると接点を開閉せしめ、 リレー60が励磁されると扉13を閉じる装置及び搬出入装置11を動作できないように構成され、また扉13が閉じつつある時や閉じている時ならば直ちに開くようにも構成され、 押ボタンスイツチ14を押すことにより、リレー60sは励磁されリレー60の自己保持回路を開路してリレー60を消磁するものであって、 扉13が開いている状態で自動車或いは人が庫内に入ると光電ビームPH-4を必ず遮断するので、リレー60が励磁され、扉13を閉じる装置及び自動車搬出入装置11は作動しなくなり、また、このリレー60は自己保持され、この状態はリレー60の自己保持が解かれるまで継続し、 庫内より人が入るとその出た当人またはそれを確認した人が出入口脇にある押ボタンスイツチ14を押すと庫内のビームを1本も遮断していない時は、リレー60sが励磁され、また、自動車を入庫してきた時は規定位置に止めたなら、やはり励磁され、 これが励磁されるとリレー60は消磁し、 従つて次に扉13を閉じることができる、 機械式駐車場の制御方法。」 (3) 甲2について ア 甲2の記載 甲2には以下の記載がある。 (ア) 段落【0024】~【0030】 「【0024】 図1に示すように、エレベータ式駐車設備1は、駐車塔2と、この駐車塔2の内部に配設された車両昇降用のエレベータ3とを備えている。図示のごとく駐車塔2の内部には、エレベータ3の昇降路4の両側の駐車区画に、車両搭載用のパレット5を載置することができる上下複数段の駐車棚6が配設されている。エレベータ3がこのパレット5を駐車塔2の入出庫室7と任意に指定された駐車棚6との間を昇降させて車両Mを搬送する。エレベータ3はワイヤーロープ8によって吊り下げられており、このワイヤーロープ8の他端にはカウンターウエイト9が連結されている。また、駐車塔2の最上部の機械室10には、ワイヤーロープ8を巻き上げ繰り出してエレベータ3を昇降させる昇降駆動装置11が備えられている。エレベータ3の下面には、パレット5を持ち上げて旋回させる旋回機能と、このパレット5を前記駐車棚6との間で受け渡しする移載機能を併せ持った旋回移載機構20が設けられている。 【0025】 図2および図3も併せて参照すれば明らかなように、入出庫口12近傍の駐車塔2外面には、利用者や管理人が入出庫の各操作を行うための駐車装置の運転操作盤13が設置されている。すなわち、空のパレットや目的車両を搭載したパレット(実パレットと呼ぶ)を呼び出したり、入出庫完了後に入出庫口12の扉12aを閉操作等するための操作盤である。 【0026】 入出庫室7には入庫可能な車両の車高を制限するための車高制限板14が設置されている。この車高制限板14は、入出庫室7内の入出庫口12近傍の上部から揺動可能に垂下されたものである。そして、入庫しようとする車両の天井部が衝突したとき、奥側に揺動し、それによって制限車高以上の車両が入庫してきたことを検知するものである。 【0027】 入出庫室7には、出入りする人や車両を検知するための複数個の光電センサPH1~PH6が配設されている。センサから投射された検出光が人や車両に反射され、この反射光を同じセンサが受光することによって当該人や車両を検知する。入出庫口12を通過する車両や人を検知する第一センサPH1、パレット5上に乗り入れた車両の後部のはみ出しを検知する第二センサPH2、入庫車両がパレット上に乗り入れているか否かを検知する第三センサPH3、パレット5上に乗り入れた車両の前部のはみ出しを検知する第四センサPH4、並びに、パレット5上に乗り入れた車両の左右側部のはみ出しをそれぞれ検知する第五センサPH5および第六センサPH6が配設されている。 【0028】 入出庫口12内の奥部には、パレット5上に乗り入れる車両のドライバー自身が、乗り入れる様子およびパレット5上の車両の位置を確認するための鏡15が設置されている。また、同様に入出庫口12内の奥部に、入庫する車両および利用者に対して文字表示等によって誘導、案内、注意を行うための入庫案内灯16が設置されている。この入庫案内灯16は、たとえば、入庫してきた車両に対して、パレット5上の適正な停止位置に誘導するために前進、後退、停止等を点灯表示することによって指示するものである。さらに、入出庫室12内には駐車設備1の運転を制御するための制御装置18が設置されている。この制御装置18は、合成音声等によって種々の誘導、案内、注意を行うための放送装置17および前記入庫案内灯16の制御を司る。前記放送装置17には音声発信のためのスピーカ19が設置されている。 【0029】 図4には、前記運転操作盤13およびこれに接続された前記制御装置18が示されており、さらに、これら13、18による駐車設備1の運転および放送等の制御のブロック図が示されている。制御装置18としては音声放送の制御に関する部分(音声放送制御部)のみが図示されている。運転操作盤13には、空パレットの呼び出しボタン、安全確認ボタン、契約者の暗証番号入力ボタン、運転スタートボタン、運転終了および扉終日ボタン(当審注:「終了扉閉ボタン」の誤記と認める。)、操作取消ボタン等の各種操作ボタン21が設置されている。所定の釦には押圧状況を表示するためのランプ21aが併設されている。さらに、現在の空パレットの台数、実パレットの台数および待ち時間等を表示し、また、テンキー22の操作によって該当する入出庫部の番号および呼び出し番号等を表示する表示部23が設置されている。この表示部23には上記項目以外にも、必要に応じて種々のメッセージが表示される。安全確保のための非常停止ボタン24も設置されている。 【0030】 この運転操作盤13に接続された制御装置18は、運転操作盤13による指示操作に応じて、エレベータ3の昇降駆動、入出庫室7におけるパレット5の持ち上げやターンテーブルの旋回駆動、エレベータ3による駐車棚6との間のパレット5移載駆動、入出庫口12の扉の開閉駆動等を含む駆動部の制御を行う。さらに、前述したセンサPH1~PH6によるパレット乗り入れ部や入出庫口における車両および人の検知、エレベータ昇降路4における車両の検知(図示せず)、前述した車高制限板14による許容車高以上の車両の検知等を含む検知部の制御を行う。前述したように、運転操作盤13による操作、並びに、センサPH1~PH6および車高制限板14による検知結果に対応して、利用者等に対する誘導、案内、注意が放送および/または表示によってなされる。さらに、この制御装置18は、かかる誘導、案内、注意を行う前記入庫案内灯16および放送装置17を制御する。」 (イ) 段落【0044】~【0047】 「【0044】 図8を参照しながら、駐車設備1への入庫操作、および、それに対応した案内放送等を伴う駐車装置の動きを説明する。 【0045】 (1)まず、入庫しようとする利用者(ドライバー等)が入出庫口の手前で車両を停止する。(2)利用者は運転操作盤による操作の開始作業として暗証番号を入力する。(3)ついでスタート釦を押す。(4)この操作に伴い、図7に示す手順に沿って前述した案内放送の音量モードが通常モードか抑制モードかに設定される。一方、(5)駐車装置においては最適の空パレットが呼び出され、(6)当該空パレットが入出庫室に着床する。(7)その後、入出庫口の扉が開かれる。 【0046】 (8)利用者は車両を入出庫室内へ進入させ、着床している空パレットに乗り入れる。(9)この動作と並行するように、前記各センサPH1~PH6による検知結果に応じて入庫案内灯が「前進」、「停車」、「後退」等の表示をする。(10)放送装置からも、センサPH1~PH6による検知結果に応じて、図5に例示したような入庫時の注意案内メッセージや誘導案内メッセージが放送される。センサによって車両がパレット上の適正位置に至ったことが確認されると、(11)入庫案内灯が「停車」の表示を所定時間継続して表示し、(12)放送装置は図5に例示したような停車案内メッセージを放送する。(13)停車が完了すると車両搭乗者は降車して入出庫口から退室する。 【0047】 (14)センサが利用者の退室を検知すると、放送装置から図5に例示する操作案内メッセージ「・・・安全確認釦を押した後、扉閉釦を押してください。」が放送される。この放送は扉が開いている間は間欠的に反復放送される。(15)入出庫室から退場した利用者は、前記操作案内メッセージに応じて入出庫室内の安全を確認したうえで、(16)運転操作盤上の安全確認釦を押す。(17)そうすると安全確認釦のランプが消灯し、扉を終日が可能な状態となる。(当審注:「扉を閉めて終了することが可能な状態となる」ことを意味する誤記と認める。)(18)利用者が終了扉閉釦を押すと、(19)入出庫口の扉が閉まり、(20)前記操作案内メッセージが終了する。(21)当該車両を搭載した入庫パレットは所定の駐車棚に搬送されて格納され、入庫動作が完了する。」 イ 甲2発明及び甲2方法発明 上記アより、甲2には、次の2つの発明(以下「甲2発明」及び「甲2方法発明」という。)が記載されている。 (甲2発明) 「パレット5を駐車塔2の入出庫室7と任意に指定された駐車棚6との間を昇降させて車両Mを搬送するエレベータ式駐車設備1において、 入出庫口12近傍の駐車塔2外面には、利用者や管理人が入出庫の各操作を行うためであり、入出庫完了後に入出庫口12の扉12aを閉操作等するための操作盤である、駐車装置の運転操作盤13が設置されていて、 入出庫室7にはパレット5上に乗り入れた車両の左右側部のはみ出しをそれぞれ検知する第五センサPH5および第六センサPH6が配設されていて、 運転操作盤13には、安全確認ボタン、終了扉閉ボタン等の各種操作ボタン21が設置されており、 センサが利用者の退室を検知すると、放送装置から操作案内メッセージ「・・・安全確認釦を押した後、扉閉釦を押してください。」が放送され、この放送は扉が開いている間は間欠的に反復放送され、 入出庫室から退場した利用者は、入出庫室内の安全を確認したうえで、運転操作盤上の安全確認釦を押すと、扉を閉めて終了することが可能な状態となり、利用者が終了扉閉釦を押すと、入出庫口の扉が閉まり、当該車両を搭載した入庫パレットは所定の駐車棚に搬送されて格納される、 エレベータ式駐車設備1。」 (甲2方法発明) 「甲2発明の制御方法。」 (4) 甲3について ア 甲3の記載 甲3には以下の記載がある。 (ア) 段落【0001】 「【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、機械式駐車装置に係わり、更に詳しくは、機械式駐車装置を利用者が直接操作するための対話式操作方法と装置に関する。」 (イ) 段落【0006】 「【0006】本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、大規模な機械式駐車装置であっても、利用者自身が忘れ物や同伴者のバースからの退出を確認して、車及び人の安全を確保し、安全かつ確実に駐車装置を自動運転することができ、これにより誘導や安全確保に必要なオペレータ数を削減もしくはゼロにすることができる機械式駐車装置の対話式操作方法と装置を提供することにある。」 (ウ) 段落【0012】 「【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付して使用し重複した説明を省略する。 【0013】図1は、本発明の方法を適用する平面往復方式駐車装置の部分構成図である。この平面往復方式駐車装置は、図に示すように、入庫バース2aに車1を乗り入れ、入庫リフト3aが下降して所定のフロアに停止し、平面往復台車4に車1を移載し、台車4が水平に走行して所定の格納棚5の前で停止し、格納棚に車1を移載して格納する方式の機械式駐車装置である。出庫の場合には、この逆に棚5から所定の車1を台車4上に移載し、水平に走行し、出庫リフト3bが上昇して出庫バース2bから車を出庫するようになっている。」 (エ) 段落【0018】~【0020】 「【0018】入庫バース16は、入庫リフト3aと入庫リフト扉15を介して連通しており、入庫リフト扉15が開いた状態で、入庫バース16の所定の定位置にある車両1を入庫リフト3a内に水平移動させ、車を図示しない駐車フロアに昇降させるようになっている。 【0019】対話式操作盤30が発券室20の内部に設置されている。発券室20は、駐車する車両1台の利用者(数人)とその荷物を収容できる広さに設定されている。また、発券室20の入口と出口にそれぞれ設けられた自動扉18,24が設けられている。すなわち、入庫バース16と発券室20との間は、入庫案内壁17で仕切られ、入庫バース自動扉18により人が行き来できるようになっている。また、発券室20と一般通路25との間に発券室自動扉24が設けられ、この扉から一般通路25へ出ることができるようになっている。 【0020】上記機械式駐車装置において、入庫バース16で降車した利用者(駐車場のユーザ)が、入庫バース自動扉18から発券室20に入り、対話式操作盤30から駐車券を取り出し、発券室自動扉24から一般通路25に出ることで駐車が完了する。その後、入庫バース16内では、駐車装置が自動運転され、所定の駐車棚に車両が駐車(格納)される。」 (オ) 段落【0026】~【0034】 「【0026】図4は、本発明の機械式駐車装置の対話式操作方法のフロー図である。また、図5と図6は、本発明の対話式画面の具体例である。以下、図4~図6により、本発明の対話式操作方法を詳述する。 【0027】対人センサー32により利用者の近接を検出するとこの制御フローがスタートする。まず、ステップS1で操作案内を画面Aの表示及び音声案内(「いらっしゃいませ。画面の案内に従い、発券操作をして下さい。」)で行う。次いで、ステップS2でバース内の人の有無を自動検知し、人が居る場合には待機案内(ステップS3)を画面Bの表示及び音声案内(「しばらくお待ち下さい。」)で行う。自動検知により、バース内に人がいない状態になった後、ステップS4で忘れ物の有無を画像C1の表示及び音声案内(「車の中や車の周りに忘れ物はありませんか?」)で行い、「ありません」又は「あります」のタッチパネルでの選択を促す。 【0028】ステップS4で「あります」が選択されると、ステップ5で画面C2の表示及び音声案内(「忘れ物を取り出して下さい。」を行い、ステップS4に戻る。ステップS4で「ありません」が選択されると、ステップS6に移り、無人か否かを画面D1の表示及び音声案内(「車の中や車の周りに人がいませんか?」)を行い、「居ません」又は「居ます」のタッチパネルでの選択を促す。 【0029】ステップS6で「居ます」が選択されると、ステップ7で画面D2の表示及び音声案内(「退室を確認後、居ませんボタンを押して下さい。」)を行い、ステップS6に戻る。 ステップS6で「居ません」が選択されると、S8に移り、待機案内を画面Bの表示及び音声案内(「しばらくお待ち下さい。」)で行い、入口の自動扉18をロックし同時に出口の自動扉24を解除する。従って、入口の自動扉18をロックする際には、利用者は、忘れ物とバース内の無人を確認していることになる。 【0030】次いで、ステップS9で発券案内を画面E1の表示及び音声案内(「駐車券発券ボタンを押して下さい。」)で行い、最後にステップ10で終了案を画面Fの表示及び音声案内(「駐車券をお取り下さい。ロビーに退出して下さい。」)を行う。利用者が発券室20から退出し、出口の自動扉24が再ロックされて、一連の入庫操作が完了する。 【0031】更に、この対話式操作方法では、上記各ステップの操作中にもバース内の人の有無を自動検知し、人を検知した場合には、画面Gの表示と音声案内(「車の周りに人がいます。操作を最初からやり直して下さい。」)を行い、ステップS2に戻る。また、操作中に機械装置に異常が発生した場合には、画面E2の表示と音声案内(「係員が来ますので、そのままお待ち下さい。」)を行い、係員の処理を待つように促すようになっている。 【0032】なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。 【0033】【発明の効果】上述したように本発明によれば、機械式駐車場の不特定利用者に対し、専任のオペレータなしに利用者自身に機械駐車の入庫スペース、周囲及び車の中の無人を確認させ、機械駐車を作動させ、駐車券を発行又は駐車場入口にて発券された駐車券に機械駐車格納番地を記録させる。従って、本発明は、以下の特徴を有する。 (1)不特定利用者による機械駐車の操作が可能となる。 (2)時間貸し等不特定利用者を対象とした駐車場において、専任オペレータが削減できる。 【0034】すなわち、本発明の機械式駐車装置の対話式操作方法と装置は、大規模な機械式駐車装置であっても、利用者自身が忘れ物や同伴者のバースからの退出を確認して、車及び人の安全を確保し、安全かつ確実に駐車装置を自動運転することができ、これにより誘導や安全確保に必要なオペレータ数を削減もしくはゼロにすることができる、等の優れた効果を有する。」 (カ) 図5 「 [図:0001413278000002.jpg] 」 イ 甲3発明及び甲3方法発明 上記アより、甲3には、次の2つの発明(以下「甲3発明」及び「甲3方法発明」という。)が記載されている。 (甲3発明) 「入庫バース16は、入庫リフト3aと入庫リフト扉15を介して連通しており、入庫リフト扉15が開いた状態で、入庫バース16の所定の定位置にある車両1を入庫リフト3a内に水平移動させ、車を駐車フロアに昇降させるようになっている、機械式駐車装置において、 入庫バース16と、対話式操作盤30が内部に設置されている発券室20との間は、入庫案内壁17で仕切られ、入庫バース自動扉18により人が行き来できるようになっており、 対人センサー32により利用者の近接を検出すると、ステップS1で操作案内を画面Aの表示及び音声案内(「いらっしゃいませ。画面の案内に従い、発券操作をして下さい。」)で行い、 ステップS2でバース内の人の有無を自動検知し、人が居る場合には待機案内(ステップS3)を画面Bの表示及び音声案内(「しばらくお待ち下さい。」)で行い、自動検知により、バース内に人がいない状態になった後、ステップS4で忘れ物の有無を画像C1の表示及び音声案内(「車の中や車の周りに忘れ物はありませんか?」)で行い、「ありません」又は「あります」のタッチパネルでの選択を促し、 ステップS4で「あります」が選択されると、ステップ5で画面C2の表示及び音声案内(「忘れ物を取り出して下さい。」を行い、ステップS4に戻り、ステップS4で「ありません」が選択されると、ステップS6に移り、無人か否かを画面D1の表示及び音声案内(「車の中や車の周りに人がいませんか?」)を行い、「居ません」又は「居ます」のタッチパネルでの選択を促し、 ステップS6で「居ます」が選択されると、ステップ7で画面D2の表示及び音声案内(「退室を確認後、居ませんボタンを押して下さい。」)を行い、ステップS6に戻り、 ステップS6で「居ません」が選択されると、S8に移り、待機案内を画面Bの表示及び音声案内(「しばらくお待ち下さい。」)で行い、入口の自動扉18をロックし同時に出口の自動扉24を解除することにより、入口の自動扉18をロックする際には、利用者は、忘れ物とバース内の無人を確認していることになり、 次いで、ステップS9で発券案内を画面E1の表示及び音声案内(「駐車券発券ボタンを押して下さい。」)で行い、最後にステップ10で終了案内を画面Fの表示及び音声案内(「駐車券をお取り下さい。ロビーに退出して下さい。」)を行う。利用者が発券室20から退出し、出口の自動扉24が再ロックされて、一連の入庫操作が完了するものであって、 更に、この対話式操作方法では、上記各ステップの操作中にもバース内の人の有無を自動検知し、人を検知した場合には、画面Gの表示と音声案内(「車の周りに人がいます。操作を最初からやり直して下さい。」)を行い、ステップS2に戻る、 機械式駐車装置。」 (甲3方法発明) 「甲3発明の制御方法。」 (5) 甲7について ア 甲7の記載 甲7には以下の記載がある。 (ア) 段落【0002】~【0006】 「【0002】 【従来の技術】近年、都市部においては、土地の有効利用が求められている。このような時代の流れの中、駐車場においても、省スペースで多くの台数の車両を駐車することのできる駐車装置として機械式駐車装置の開発が進められ、また、駐車場内での安全性の確保も重要な開発課題の一つに挙げられる。 【0003】ここで、図5を参照して、従来の立体駐車装置100Bの駐車場内の安全を確保するために設けられている機器について説明する。立体駐車装置100Bの出入口には、開閉可能な扉103が設けられ、立体駐車装置100Bの外側には、車両の運転者が車両の出入庫作業を行なうための運転操作盤110が設けられている。駐車場内101には、車両300を載置し、無限軌道上を周回するパレット102が配置されている。また、車両300の前方部分には、自動車位置案内灯120が設けられている。 【0004】駐車場内の安全性を確保する機器としては、パレット102に対する車両300の載置位置の安全を確保する観点から、車長規制用センサとしてのフォトセンサPH1,PH3が、パレット102の前後に設けられ、パレット102への車両300の存在を確認するための実車検知用センサとしてのフォトセンサPH2が、パレット102を横断するように配置されている。 【0005】また、駐車場内101の人の存在を検知する観点から、人検知センサとしてのフォトセンサPH5,PH6,PH7,PH8が、パレット102の左右の位置に設けられている。また、駐車場内101の出入口には、駐車場内101への人の出入を検知するための出入規制センサとしてのフォトセンサPH4が設けられている。 【0006】以上のように、駐車場内101に複数のフォトセンサを設けることにより駐車場内101の車両および人の状況を把握して、駐車場内101の安全性を確保している。」 (イ) 段落【0014】~【0019】 「【0014】 【発明の実施の形態】以下、この発明に基いた、実施の形態における駐車装置の構造について、図1から図4を参照して説明する。なお、駐車装置の概略構成および安全機器についての基本的構造は、図5を用いて説明したものと同一であるため、同一部分については、同一の参照番号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図1は、本実施の形態における駐車装置の駐車場内の構造を示す平面図であり、図2は、退出案内表示盤200の正面図であり、図3は、車両の入庫時における入庫制御を示すフロー図であり、図4は、音声合成放送案内の内容を示す図である。 【0015】(構成)本実施の形態における、立体駐車装置100Aの特徴的構成としては、図1に示すように、駐車場内101の側壁部に退出案内表示盤200と、音声装置210とが設けられている点にある。その他のフォトセンサPH1~PH8については、従来と同様の機能を有している。 【0016】退出案内表示盤200は、図2に示すように、退出確認釦の銘盤202とともに、退出確認釦203が設けられている。また、退出案内表示盤200には、「最終退出者が人のいない事を確認して押してください」とのメッセージが標記され、赤色にて点滅表示可能な注意喚起表示204と、「ありがとうございました場内より退出してください」とのメッセージが標記され、緑色にて点滅表示可能な、確認表示205とが備えられている。なお、注意喚起表示204および確認表示205のメッセージ内容、表示色については、一例であり、同様の趣旨を示すものであればよい。 【0017】(入庫フロー)次に、図3および図4を参照して、車両の入庫フローについて説明する。まず、運転者は、運転操作盤110にて入庫呼び操作を行なう(S10)。次に、運転操作盤110付近に設置した音声装置にて音声案内(図4参照)を放送する(S20)。次に、呼びパレットが着床し、車両を入庫させる(S30)。次に、PH1およびPH3にて車両位置を確認した後、自動車位置案内灯「停止」を点灯させる(S40)。 【0018】次に、駐車場内101に設置した音声装置210にて音声案内(図4参照)を放送する(S50)。また、退出案内表示盤200において、「最終退出者が人のいない事を確認して押してください」の注意喚起表示204を点滅させる(S60)。 【0019】次に、運転者が退出確認釦203を押したことを確認した後(S70)、退出案内表示盤200において、「場内より退出してください」の確認表示205を点滅させる(S80)。その後、運転者は駐車場内101から退出し(S90)、運転操作盤110に設けられた「安全確認」釦を押す(S100)。その後、運転者は、運転操作盤110に設けられた「終了扉閉」釦を押す(S110)。その後、出入口扉が閉じられる(S120)。以上により運転者による入庫作業が完了する。」 (ウ) 図2 「 [図:0001413278000003.jpg] 」 イ 甲7記載技術 上記アより、甲7には、次の(以下「甲7記載技術」という。)が記載されている。 (甲7記載技術) 「立体駐車装置100の出入口には、開閉可能な扉103が設けられ、立体駐車装置100の外側には、車両の運転者が車両の出入庫作業を行なうための運転操作盤110が設けられていて、立体駐車装置100の駐車場内101には、車両300を載置し、無限軌道上を周回するパレット102が配置されている立体駐車装置100において、 駐車場内の安全性を確保する機器としては、パレット102に対する車両300の載置位置の安全を確保する観点から、車長規制用センサとしてのフォトセンサPH1,PH3が、パレット102の前後に設けられ、パレット102への車両300の存在を確認するための実車検知用センサとしてのフォトセンサPH2が、パレット102を横断するように配置され、 駐車場内101の人の存在を検知する観点から、人検知センサとしてのフォトセンサPH5,PH6,PH7,PH8が、パレット102の左右の位置に設けられ、駐車場内101の出入口には、駐車場内101への人の出入を検知するための出入規制センサとしてのフォトセンサPH4が設けられ、 立体駐車装置100の駐車場内101の側壁部に退出案内表示盤200と、音声装置210とが設けられ、退出案内表示盤200は、退出確認釦の銘盤202とともに、退出確認釦203が設けられ、 まず、運転者は、運転操作盤110にて入庫呼び操作を行ない(S10)、 次に、運転操作盤110付近に設置した音声装置にて音声案内を放送し(S20)、 次に、呼びパレットが着床し、車両を入庫させ(S30)、 次に、PH1およびPH3にて車両位置を確認した後、自動車位置案内灯「停止」を点灯させ(S40)、 次に、駐車場内101に設置した音声装置210にて音声案内を放送し(S50)、 また、退出案内表示盤200において、「最終退出者が人のいない事を確認して押してください」の注意喚起表示204を点滅させ(S60)、 次に、運転者が退出確認釦203を押したことを確認した後(S70)、 退出案内表示盤200において、「場内より退出してください」の確認表示205を点滅させ(S80)、 その後、運転者は駐車場内101から退出し(S90)、 運転操作盤110に設けられた「安全確認」釦を押し(S100)、 その後、運転者は、運転操作盤110に設けられた「終了扉閉」釦を押し(S110)、 その後、出入口扉が閉じられ(S120)、 以上により運転者による入庫作業が完了すること。」 2 対比・判断 (1) 本件発明1 ア 対比 本件発明1と乙2発明を対比する。 (ア) 乙2発明の「自動車への乗降室」は「搬器、搬送装置、駐車装置内の人の通路および自動車への乗降部分から構成される空間である」から、本件発明1の「車両の運転者が前記車両に乗降可能な乗降室」に相当する。 (イ) 乙2発明の「機械式駐車装置」は、本件発明1の「機械式駐車装置」に相当する。 (ウ) 乙2発明の「駐車装置を操作するための機器」は、「人および自動車の出入りの状況が目視によって確認できる位置に設け」られ、即ち、目視によって安全を確認できる実施位置に設けられるから、本件発明1の「前記乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置された複数の安全確認入力手段」と乙2発明の「駐車装置を操作するための機器」は、「前記乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置された安全確認入力手段」という点で一致する。 (エ) 乙2発明の「反射鏡、ITVモニター、その他の安全装置」は、「駐車装置への人および自動車の出入りが部分的に目視できない位置に操作機器を設ける場合に」、「補助的に設けることにより目視と同等としなければならない」ものであり、「ITVモニター」を含むものである。ここで、「部分的に目視できない位置に操作機器を設ける」とあることから、「操作機器」から「駐車装置への人および自動車の出入り」を直接目視できる領域と直接目視できない領域が存在することを意味することは自明である。 また、「自動車への乗降室は、人の通路が確保できるようにするとともに、取扱者が目視で安全を確認できる構造」とするとともに、「駐車装置を操作するための機器を、人および自動車の出入りの状況が目視によって確認できる位置に設け」るものであり、ここで、「駐車装置を操作するための機器」と「操作機器」が同一の「機器」を表すことは自明であるところ、「乗降室」に「自動車」が存在するときには、「自動車」に対して「操作機器」の反対側が「直接目視できない領域が存在」に含まれることは、「操作機器」側から見ると「自動車」により遮られる領域を直接目視できなくなるという、一般的な常識からみて、自明のことであり、よって、「安全装置」は、「操作機器」側から見ると「自動車」により遮られる領域を含む領域を映すものである。 以上から、本件発明1の「各前記安全確認入力手段の近辺にそれぞれ配置され、前記車両に対して前記安全確認入力手段の位置とは反対側の領域であって前記安全確認入力手段の位置から前記安全確認者の直接目視できない前記乗降室内の領域である間接目視領域を映すことにより、前記安全確認入力手段の位置から前記間接目視領域の安全確認を可能とするモニタ」と乙2発明の「反射鏡、ITVモニター、その他の安全装置」は、「前記車両に対して前記安全確認入力手段の位置とは反対側の領域であって前記安全確認入力手段の位置から前記安全確認者の直接目視できない前記乗降室内の領域である間接目視領域を映すことにより、前記安全確認入力手段の位置から前記間接目視領域の安全確認を可能とするモニタ」という点で一致する。 (オ) 乙2発明の「操作機器」は、「装置の操作にあたっては、装置付近、自動車への乗降室、車内に人がいないこと、障害物がないこと、自動車が搬器内に正しく格納されていること、その他動作に支障となる状態がないことを目視で予め確認するものであり」、当該「確認」後に、「一般にはかご、ケージ、トレイ、パレット等と呼称される搬器、搬送装置」等を動作させるための入力を行い、その「入力」により「一般にはかご、ケージ、トレイ、パレット等と呼称される搬器、搬送装置」を動作制御するための手段を有することは自明である。 また、乙2発明の「操作機器」は、「装置の操作にあたっては、装置付近、自動車への乗降室、車内に人がいないこと、障害物がないこと、自動車が搬器内に正しく格納されていること、その他動作に支障となる状態がないことを目視で予め確認するものであ」り、「駐車装置への人および自動車の出入りが部分的に目視できない位置に操作機器を設ける場合には、反射鏡、ITVモニター、その他の安全装置を補助的に設けることにより目視と同等としなければならないものである」以上、「安全装置」による確認と直接目視による確認を合わせて「目視で予め確認」するものである。 これらを総合すると、本件発明1の「機械式駐車装置」が「前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段に、該安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する」「制御手段」を有することと、乙2発明の「機械式駐車装置」が「操作機器」を有することは、「機械式駐車装置」が「安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了が入力された後に、前記車両の搬送を実行する」「制御手段」を有する点で一致する。 (カ) そうすると、本件発明1と乙2発明とは、 (一致点) 「車両の運転者が前記車両に乗降可能な乗降室が設けられる機械式駐車装置であって、 前記乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置された安全確認入力手段と、 前記車両に対して前記安全確認入力手段の位置とは反対側の領域であって前記安全確認入力手段の位置から前記安全確認者の直接目視できない前記乗降室内の領域である間接目視領域を映すことにより、前記安全確認入力手段の位置から前記間接目視領域の安全確認を可能とするモニタと、 制御手段と、 を備え、 前記制御手段は、安全確認入力手段に、該安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する機械式駐車装置。」 で一致し、以下の相違点1~相違点3で相違する。 (相違点1) 本件発明1は、「モニタ」が「各前記安全確認入力手段の近辺にそれぞれ配置され」るのに対し、乙2発明の「ITVモニター」を含む「安全装置」は、そのような事項が特定されていない点。 (相違点2) 本件発明1は、「安全確認入力手段」が「前記車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、前記車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段と、を有」する「複数」のものであり、「モニタ」が、「前記右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタと、前記左側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記右側カメラで撮像された画像を表示する左側モニタと、を有」し、「機械式駐車装置」が「前記乗降室内における前記車両の右側領域を撮像する右側カメラと、前記乗降室内における前記車両の左側領域を撮像する左側カメラ」を備えるのに対し、乙2発明の「駐車装置を操作するための機器」及び「ITVモニター」を含む「安全装置」のそれぞれは、そのような事項が特定されておらず、「機械式駐車装置」が「ITVモニター」のためのカメラを備えることが特定されてない点。 (相違点3) 本件発明1は、「前記乗降室外に配置され、前記車両の搬送の許可が入力される搬送許可入力手段」を有し、「制御手段」が、「前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段に、該安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する」のに対し、乙2発明は、「装置の操作にあたっては、装置付近、自動車への乗降室、車内に人がいないこと、障害物がないこと、自動車が搬器内に正しく格納されていること、その他動作に支障となる状態がないことを目視で予め確認するものであり」、当該「確認」後に、「一般にはかご、ケージ、トレイ、パレット等と呼称される搬器、搬送装置」等を動作させるための入力を行い、その「入力」により「一般にはかご、ケージ、トレイ、パレット等と呼称される搬器、搬送装置」を動作制御するための手段を有するものである点。 イ 判断 (ア) 相違点1について 乙2発明は、前記ア(オ)に示したとおり、「安全装置」による確認と直接目視による確認を合わせて「目視で予め確認」するものであり、また、前記ア(エ)に示したとおり、「安全装置」は、「操作機器」側から見ると「自動車」により遮られる領域を含む領域を映すものである。 よって、乙2発明の「反射鏡、ITVモニター、その他の安全装置」において、「ITVモニター」を選択し、直接目視による確認と同時に「ITVモニター」による確認を行いやすくする配置として、「操作機器」に近い位置に設置するように設計し、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (イ) 相違点2について a 本件発明1の「右側安全確認入力手段」及び「左側安全確認入力手段」と「乗降室」の位置関係について 本件特許明細書の段落【0009】に「本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、より確実に乗降室から人が退出した後に動作を行い、乗降室内の安全性が確保される、機械式駐車装置及びその制御方法を提供することを目的とする。」と記載され、本件発明1は「より確実に乗降室から人が退出した後に動作を行い、乗降室内の安全性が確保される」ことを課題としたものである。 本件発明1の「右側安全確認入力手段」は、「乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置され」、「車両の右側に設けられた」ものであって、「前記右側安全確認入力手段の近辺」に「前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタ」が「設けられる」ものである。 そして、「制御手段は、前記右側安全確認入力手段又は前記左側安全確認入力手段に、該安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認の終了が入力されている状態で、前記搬送許可入力手段への操作が行われた後に、前記車両の搬送を実行する」ものである。 そうすると、「右側安全確認入力手段」の「位置から直接目視できる直接目視領域」は、前記課題である「より確実に乗降室から人が退出した後に動作を行い、乗降室内の安全性が確保される」ように「乗降室内の安全」をより確実に「確認」できる範囲の領域である。 また、特許権者は、令和6年1月22日に提出された訂正請求書において、「右側安全確認入力手段」、「左側安全確認入力手段」、「右側モニタ」及び「左側モニタ」に関する訂正事項1の訂正の根拠として、本件特許明細書の段落【0041】、【0054】、【0063】、【0085】、【0087】等の記載に基づくことを示しており、これらの記載に関連する【図2】及び【図7】は次のとおりである。 「【図2】 [図:0001413278000004.jpg] 」 「【図7】 [図:0001413278000005.jpg] 」 これらを総合すると、「右側安全確認入力手段」は、「乗降室内の安全を安全確認者が確認する安全確認の実施位置の近辺に配置され」たものであって、「車両の右側」において「右側安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認」ができる領域に設けられているものと解することができる。 そして、「左側安全確認入力手段」についても同様に、「車両の左側」において「左側安全確認入力手段の位置から直接目視できる直接目視領域及び前記間接目視領域の前記安全確認者による前記安全確認」ができる領域に設けられているものと解することができる。 b 甲号証に記載された技術の乙2発明への適用について 甲1の「庫内より人が入るとその出た当人またはそれを確認した人が出入口脇にある押ボタンスイツチ14を押すと庫内のビームを1本も遮断していない時は、リレー60sが励磁され、また、自動車を入庫してきた時は規定位置に止めたなら、やはり励磁され、これが励磁されるとリレー60は消磁し、従つて次に扉13を閉じることができる」「押ボタンスイツチ14」は、「運転盤15」に設置され、甲2の「運転操作盤13」に設置された「安全確認ボタン」は、「入出庫口12近傍の駐車塔2外面」に設けられたものであり、甲3の「居ませんボタン」は、「対話式操作盤30が内部に設置されている発券室20との間は、入庫案内壁17で仕切られ、入庫バース自動扉18により人が行き来できるようになって」いる位置にある「対話式操作盤30」の「タッチパネル」に表示されるものであり、安全を確認して入力する手段であるが、「安全確認入力手段」を「車両の右側」及び「車両の左側」を含む複数設けることが記載されておらず、示唆もない。 そして、甲7は、「立体駐車装置100の駐車場内101の側壁部に退出案内表示盤200と、音声装置210とが設けられ、退出案内表示盤200は、退出確認釦の銘盤202とともに、退出確認釦203が設けられ」たもの、すなわち、安全確認入力手段に相当する「退出確認釦」が乗降室内であって車両の一方側に設けられた機械式駐車場装置に関する技術が記載されているが、「退出確認釦」を「車両の右側」及び「車両の左側」を含む複数に設けることが記載されておらず、示唆もない。 そして、「安全確認入力手段」を「車両の右側」及び「車両の左側」を含む複数設けることが技術常識ともいえない。 また、乙2発明は、「駐車装置を操作するための機器」と車両との位置関係及び個数について特定されておらず、乙2に「車両の右側」及び「車両の左側」を含む複数設けるような示唆もないから、前記に示した点も踏まえると、乙2発明の「駐車装置を操作するための機器」を「車両の右側」及び「車両の左側」を含む複数設けることの動機があるとはいえない。 また、乙2発明において、「ITVモニター」は、「駐車装置への人および自動車の出入りが部分的に目視できない位置に操作機器を設ける場合には、反射鏡、ITVモニター、その他の安全装置を補助的に設けることにより目視と同等としなければならない」ものであるから、表示される画像を撮像するカメラを必要な位置に備えることは、自明又は当業者であれば適宜設計し得るものであるといえるが、それに対応する「モニタ」と併せて複数設けることについては、前記で示したのと同様に、各甲号証に記載も示唆もなく、乙2発明にそのようにする動機があるとはいえない。 c 相違点2に係る本件特許発明1の構成が奏する効果について (a) 特許権者は、令和6年1月22日に提出された意見書の4頁において、本件特許発明1の作用・効果について、次の主張をしている。 「訂正発明1は、安全確認位置から安全確認者が目視できる直接目視領域だけでなく、車両に対して反対側の領域であって安全確認入力手段の位置から安全確認者が直接目視できない乗降室内の領域である間接目視領域(端的に言うと、車両による死角領域)の安全確認についても安全確認者に行わせるものである。そして、直接目視領域及び間接目視領域の両方の目視による安全確認が行われたことを装置自体に認識させる手段として「安全確認入力手段」を採用している。 安全確認入力手段は、複数設けられており、車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段とを有している。これら安全確認入力手段の各々の近辺には、モニタがそれぞれ配置され、間接目視領域の画像が表示される。具体的には、右側安全確認入力手段の近辺には、右側モニタが設けられ、乗降室内において車両の左側領域を撮像する左側カメラによって撮像された画像が表示される。同様に、左側安全確認入力手段の近辺には、左側モニタが設けられ、乗降室内において車両の右側領域を撮像する右側カメラによって撮像された画像が表示される。これにより、安全確認者は移動することなく、間接目視領域の安全確認を行うことが可能となる。 そして、右側安全確認入力手段又は左側安全確認入力手段に安全確認の終了が入力され、更に、搬送許可入力手段への操作が行われない限り、車両の搬送が実行されないように構成することで、安全性が担保された状態で車両の搬送が開始されるように構成されている。 また、右側安全確認入力手段と左側安全確認入力手段とを備えるので、右ハンドルの場合には右側安全確認入力手段を使用し、左ハンドルの場合には左側安全確認入力手段を使用することが可能となる。これにより、車両に対して反対側への移動が不要となり、利便性も向上させることができる。」 (b) 本件特許明細書の段落【0053】~【0055】及び【0087】に次の記載がある。 「【0053】 乗降室20内の安全確認は、人の有無やパレット16の搬送の障害になる物の有無等の確認である。すなわち、車両12から降りた運転者が安全確認者として、乗降室20内における安全確認の実施位置へ移動する。そして、安全確認者が安全確認を実施した後に、確認ボタン34を押圧する。これにより、安全確認終了という安全確認の実施状態が確認ボタン34に入力されることとなる。 【0054】 乗降室20内の安全確認は、運転者が乗降室20内に居るものの(時には同乗者が車両内に居残る場合がある)確実な検知方法がない。このため、乗降室20内の安全確認は、人による確認が最も効果的な方法であると考えられる。本第1実施形態によれば、確認ボタン34が安全確認の実施位置の近辺に配置されるため、安全確認者は確認ボタン34の配置位置へ移動しなければならない。安全確認者は、確認ボタン34までの移動を行う過程において必然的に周囲を目視するので、それにより安全確認が行われることとなる。なお、安全確認者は、車両12の運転者に限らず、機械式駐車装置10の管理者等でもよい。 【0055】 そして、確認ボタン34への入力が行われ、かつ乗降室20から人が退室した後に、制御装置50によって、パレット16の搬送が実行される。このため、確認ボタン34への入力が行われ、乗降室20から人が退室することで安全が確保されない限り、パレット16の搬送は行われず、車両12も格納庫18へ搬送されることは無い。」 「【0087】 従って、本第3実施形態に係る機械式駐車装置10によれば、安全確認者が車両12に対して反対側へ移動しなくても、反対側の安全確認が可能となる。 例えば、安全確認者である運転者が車いすで移動する場合のように、乗降室20内の移動に困難を伴う場合がある。このような場合には、安全確認者が、一方のモニタ80Aの画像を目視し、確認ボタン34に入力を行うだけで、乗降室20内の安全確認が簡易にかつより広い範囲で行われる。」 これらの記載、及び、日本国内において、運転席が右側の車両と左側の車両が存在するという一般常識を参酌すると、特許権者が主張する「安全確認入力手段」が「前記車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、前記車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段と、を有」する「複数」のものであり、「モニタ」が、「前記右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタと、前記左側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記右側カメラで撮像された画像を表示する左側モニタと、を有」することにより、「右側安全確認入力手段と左側安全確認入力手段とを備えるので、右ハンドルの場合には右側安全確認入力手段を使用し、左ハンドルの場合には左側安全確認入力手段を使用することが可能となる。これにより、車両に対して反対側への移動が不要となり、利便性も向上させることができる。」という効果は、本件特許明細書に記載された範囲のものと解することができるから、相違点2に係る本件特許発明1の構成により格別の効果を奏する。 d 相違点2のまとめ したがって、当業者であっても、乙2発明において相違点2に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。 (ウ) 相違点3について 駐車装置において、乗降室外に配置され、車両の搬送の許可が入力される許可入力手段を備え、安全確認の終了が入力されている状態で、前記許可入力手段への操作が行われた後に、車両の搬送を実行することは、甲2記載技術及び甲7記載技術のように、本件特許の出願前に周知の技術(以下、「周知技術1」という。)である。 そして、安全確認をより高度なものとすることは、必要に応じて当業者が選択し得る事項であるから、乙2発明の「操作装置」に、周知技術1を適用することにより、上記相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 ウ 申立人の主張について (ア) 申立人は、令和6年3月11日に提出された意見書の3.(1)において、次の主張を行っている。 「(ア)左側カメラ、右側安全確認入力手段、および右側モニタについて 甲第1および2号証には、乗降室内における車両の左側領域の安全を確認するためのセンサ類、訂正後の請求項1における右側安全確認入力手段、および、右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともにセンサ類による車両左側の安全確認の結果を確認できる手段(それぞれ、ランプLおよびスピーカ19)が記載されている。 また、甲第4、5、6号証、および乙第2号証には、操作盤等の位置から直接目視できない乗降室内の領域を映すカメラ、モニタ類が記載されている。 甲第1および2号証には右側安全確認入力手段の位置から直接目視できない車両の左側領域の安全を確認するための構成(センサ類)が記載されているのであるから、甲第1または2号証と甲第4、5、6または乙第2号証とを組み合わせることは想到容易である。 よって、訂正発明1における左側カメラ、右側安全確認入力手段、および右側モニタは、甲第1、2、4、5、6および乙第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到できたものである。 (イ)右側カメラ、左側安全確認入力手段、および左側モニタについて 訂正後の請求項1における右側カメラ、左側安全確認入力手段、および左側モニタは、左側カメラ、右側安全確認入力手段、および右側モニタの車両に対する配置を左右に入れ替えただけのものである。従って、訂正発明1における右側カメラ、左側安全確認入力手段、および左側モニタは、甲第1、2、4、5、6および乙第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到できたものである。 (ウ)左右の安全確認入力手段等について 機械式駐車装置の分野において安全確認をより高度なものとすることは自明の課題であるから、左側カメラ、右側安全確認入力手段、および右側モニタに加えて、右側カメラ、左側安全確認入力手段、および左側モニタを設けることは、当業者が容易になしえた設計事項である。 よって、訂正発明1は、甲第1、2、4、5、6および乙第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。」 (イ) しかしながら、前記イ(イ)に示したとおり、甲1、甲2、甲3及び甲7に「安全確認入力手段」が「車両の右側」及び「車両の左側」に設けることが記載も示唆もなく、また、甲4及び甲5にもこの点について記載も示唆もなく、技術常識ともいえず、乙2に「車両の右側」及び「車両の左側」に設けることの動機があるとはいえず、また、「カメラ」及び「モニタ」を複数設けることについても同様である。 よって、申立人による主張は、前記の判断を左右するものでなく、採用できない。 エ 小括 したがって、本件発明1は、乙2発明、甲1、甲3及び甲7に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (2) 本件発明5~9 本件発明5~9は、本件発明1の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであるところ、前記(1)において判断したとおりであるから、本件発明5~9は、乙2発明、甲1、甲3及び甲7に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (3) 本件発明10 本件発明10は、本件発明1を方法の発明として特定したものであるから、上記(1)と同様の理由により、本件発明1は、乙2方法発明、甲1、甲3及び甲7に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 第7 令和5年11月17日付け取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立書における特許異議申立理由 申立人は、特許異議申立書において、次の特許異議申立理由を請求した。 (1) 請求項1、6、7及び10に係る発明は、甲1、甲2または甲3に記載された発明、請求項8に係る発明は、甲1または甲3に記載された発明、並びに、請求項9に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、請求項1及び6~10に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。 (2) 請求項1~10に係る発明は、甲1、甲2または甲3に記載された発明を主たる発明として、甲1~甲7に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~10に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 2 対比・検討 前記第3に示したとおり、本件特許の請求項2~4に係る発明は削除されたので、本件特許の請求項1及び5~10に係る発明について検討する。 (1) 本件発明1について ア 対比 本件発明1と、甲1発明、甲2発明、甲3発明の何れと対比しても、少なくとも次の点で相違する。 (相違点A) 本件発明1は、「安全確認入力手段」が「前記車両の右側に設けられた右側安全確認入力手段と、前記車両の左側に設けられた左側安全確認入力手段と、を有」する「複数」のものであり、「モニタ」が、「前記右側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記左側カメラで撮像された画像を表示する右側モニタと、前記左側安全確認入力手段の近辺に設けられるとともに、前記右側カメラで撮像された画像を表示する左側モニタと、を有」し、「機械式駐車装置」が「前記乗降室内における前記車両の右側領域を撮像する右側カメラと、前記乗降室内における前記車両の左側領域を撮像する左側カメラ」を備えるのに対し、甲1発明の甲1発明の「庫内より人が入るとその出た当人またはそれを確認した人が」「押す」「押ボタンスイツチ14」、甲2発明の「安全確認ボタン」、甲3発明の「ステップS6で「居ません」が選択される」ことである「タッチパネルでの選択」する手段は、個数が特定されておらず、「モニタ」や「カメラ」について特定されていない点。 イ 検討・判断 (ア) 相違点Aは、実質的なものであるので、本件発明1は、甲1発明、甲2発明及び甲3発明の何れでもない。 (イ) 相違点Aは、前記第5の2(1)イ(イ)に示したとおり、甲7に、「安全確認入力手段」に相当する「退出確認釦」を「車両の右側」及び「車両の左側」に設けることが記載されておらず、示唆もなく、甲4~6や乙2についても同様である。 そして、甲1~3の何れも「安全確認入力手段」に相当する手段について、個数や「車両の右側」及び「車両の左側」に設けるような記載も示唆もないから、甲1発明~甲3発明に「車両の右側」及び「車両の左側」に設けることの動機があるとはいえない。 よって、甲1発明、甲2発明、甲3発明の何れかに、甲4~7及び乙2に記載された技術事項を適用しても、相違点Aに係る本件発明1の構成とすることはできない。 ウ 小括 よって、その他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2発明、甲3発明の何れでもなく、甲1発明、甲2発明、甲3発明の何れかに、甲4~7及び乙2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (2) 本件発明5~9について 本件発明5~9は、本件発明1の構成を全て有し、さらに限定を付加したものであるところ、前記(1)において判断したとおりであるから、本件発明6及び7は、甲1発明、甲2発明、甲3発明の何れでもなく、本件発明8は、甲1発明または甲3発明でなく、本件発明9は、甲1発明でなく、本件発明5~9は、甲1発明、甲2発明、甲3発明の何れかに、甲4~7及び乙2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (3) 本件発明10について 本件発明10は、本件発明1を方法の発明として特定したものであるから、上記(1)と同様の理由により、本件発明10は、甲1方法発明、甲2方法発明、甲3方法発明の何れでもなく、甲1方法発明、甲2方法発明、甲3方法発明の何れかに、甲4~7及び乙2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 第8 まとめ 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1及び5~10に係る特許を取り消すことはできない。 そして、他に本件請求項1及び5~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、本件特許の請求項2~4に係る特許は、本件訂正により削除された。これにより、本件特許の請求項2~4に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定によって却下する。

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2022-700819

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