特許異議申立
2022-700203
機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置
- 審判番号
- 2022-700203
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-173373
- 登録番号
- 6931981
- 請求日
- 2022年03月08日
- 審決日
- 2023年03月20日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日精株式会社
- 【権利者代理人】中島 愼一
- 【異議申立人】小松 珠美
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 土屋 真理子
- 審判官 藤脇 昌也
- 分類
- P1651.113-YAA(E04H) / P1651.121-YAA(E04H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6931981号発明「機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6931981号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
特許第6931981号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6931981号の請求項1に係る特許についての出願は、平成28年9月6日に出願され、令和3年8月19日にその特許権の設定登録がされ、同年9月8日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。
令和4年 3月 8日 特許異議申立人小松 珠美(以下「申立人」
という。)による請求項1に係る発明の特許
に対する特許異議の申立て
同年 5月13日付け 取消理由通知
同年 7月19日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 9月26日 申立人による意見書の提出
同年11月14日付け 取消理由通知(決定の予告)
令和5年 1月17日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 3月 2日 申立人による意見書の提出
なお、令和5年1月17日に訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされたので、令和4年7月19日にされた先の訂正の請求は、特許法120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされる。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求の内容(以下「本件訂正」という。)は以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、
「出入口扉を開いた利用者と、前記出入口扉を閉じようとしている利用者が同一であることを判定した後に前記出入口扉を閉処理する出入口扉閉処理部を備えた機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、
前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアと、記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアと、を備えた記憶媒体が前記利用者に与えられ、
前記出入口扉の開動作に先だって前記利用者が所持している前記記憶媒体を使用して行われる登録者認証操作時に、前記記憶媒体の前記識別データを使用して登録されているかを判定する登録者認証照合処理部と、
前記出入口扉の開動作に先だって利用者によって行われる前記登録者認証操作時に、利用者が所持している前記記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み保持する今回利用者同一性判定第一処理部と、
その後の前記出入口扉の閉動作に先だって利用者によって行われる今回利用者同一性判定操作時に、当該利用者が所持している記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み、この読み込んだ個別閉コードと前記今回利用者同一性判定第一処理部によって保持されている前記個別閉コードと照合して一致することを判定したときに前記出入口扉の閉動作を有効にする今回利用者同一性判定第二処理部と、を設け、
前記利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理され、
前記出入口扉の閉動作を行う出入口扉閉ボタンが操作されると、
操作盤の液晶画面に無人確認処理部により無人確認入力画面に切り替えられて乗降室内に設置された監視カメラの映像画面が表示され、前記利用者によって前記映像画面から乗降室内が無人であることが確認されて無人確認キーが操作されて無人確認処理部の処理が完了され、
前記無人確認処理部の処理が完了された後、安全確認処理部により安全確認画面に切り替えられて前記無人確認入力画面に安全確認キーが追加表示され、前記利用者によって前記乗降室内の安全が確認されて安全確認キーが操作され、
前記安全確認処理部の処理が完了すると、前記安全確認キーの操作信号が出入口扉開閉制御装置に取り込まれ、前記出入口扉が閉扉される、構成を有する、
ことを特徴とする機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置。」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
便宜上、訂正事項1の訂正を以下の訂正事項1Aないし1Cに分けて判断する。
ア 訂正事項1A
特許請求の範囲の請求項1に「前記出入口扉の開動作に先だって利用者が所持している記憶媒体を使用して行われる登録者認証操作時に、前記記憶媒体の識別データを使用して登録されているかを判定する登録者認証照合処理部」とあるのを、「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアと、記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアと、を備えた記憶媒体が前記利用者に与えられ、
前記出入口扉の開動作に先だって前記利用者が所持している前記記憶媒体を使用して行われる登録者認証操作時に、前記記憶媒体の前記識別データを使用して登録されているかを判定する登録者認証照合処理部」に訂正する。
イ 訂正事項1B
特許請求の範囲の請求項1に「その後の前記出入口扉の閉動作に先だって利用者によって行われる今回利用者同一性判定操作時に、当該利用者が所持している記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み、この読み込んだ個別閉コードと前記今回利用者同一性判定第一処理部によって保持されている前記個別閉コードと照合して一致することを判定したときに前記出入口扉の閉動作を有効にする今回利用者同一性判定第二処理部とを設けた、」とあるのを、
「その後の前記出入口扉の閉動作に先だって利用者によって行われる今回利用者同一性判定操作時に、当該利用者が所持している記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み、この読み込んだ個別閉コードと前記今回利用者同一性判定第一処理部によって保持されている前記個別閉コードと照合して一致することを判定したときに前記出入口扉の閉動作を有効にする今回利用者同一性判定第二処理部と、を設け、
前記利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理され、」に訂正する。
ウ 訂正事項1C
「ことを特徴とする」の前に、
「 前記出入口扉の閉動作を行う出入口扉閉ボタンが操作されると、
操作盤の液晶画面に無人確認処理部により無人確認入力画面に切り替えられて乗降室内に設置された監視カメラの映像画面が表示され、前記利用者によって前記映像画面から乗降室内が無人であることが確認されて無人確認キーが操作されて無人確認処理部の処理が完了され、
前記無人確認処理部の処理が完了された後、安全確認処理部により安全確認画面に切り替えられて前記無人確認入力画面に安全確認キーが追加表示され、前記利用者によって前記乗降室内の安全が確認されて安全確認キーが操作され、
前記安全確認処理部の処理が完了すると、前記安全確認キーの操作信号が出入口扉開閉制御装置に取り込まれ、前記出入口扉が閉扉される、構成を有する、」を加入する。
(2)訂正事項1Aについて
ア 訂正の目的
訂正事項1Aに係る訂正のうち「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアと、記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアと、を備えた記憶媒体が前記利用者に与えられ、」は、訂正前の請求項1の「記憶媒体」について、「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアと、記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアと、を備えた」ものであって「利用者に与えられ」るものに特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1Aに係る訂正のうち「利用者」を「前記利用者」、「記憶媒体」を「前記記憶媒体」、「識別データ」を「前記識別データ」とする訂正は、何れも、上記訂正にともない、登録者認証照合処理部における登録者認証操作時の記憶媒体について、記憶媒体を所持している利用者が前記して特定された利用者であり、記憶媒体が前記して特定された記憶媒体であり、識別データが前記して特定された識別データであることを明らかにしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更
本件特許に係る願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」といい、特許請求の範囲及び図面とあわせて「本件特許明細書等」という。)の段落【0026】に「ICカードなどの記憶媒体22には、予め利用者毎や利用スペース毎に割り当てられた認証番号などの識別データが記憶された認証データエリア23の他に、予め記憶媒体毎に割り当てられた個別閉コードが記憶された個別閉コードエリア24を有している。」と記載されている。また、請求項1において「記憶媒体」は、機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置によって使用される、「利用者が所持している」ものであり、利用者が「所持」するに際し、機械式駐車装置の運営者等から与えられるのは自明である。
したがって、訂正事項1Aに係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(3)訂正事項1Bについて
ア 訂正の目的
訂正事項1Bに係る訂正は、「その後の前記出入口扉の閉動作に先だって利用者によって行われる今回利用者同一性判定操作時に、当該利用者が所持している記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み、この読み込んだ個別閉コードと前記今回利用者同一性判定第一処理部によって保持されている前記個別閉コードと照合して一致することを判定したときに前記出入口扉の閉動作を有効にする今回利用者同一性判定第二処理部と」を設けることに加えて、「前記利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理され、」との発明特定事項を付加することにより、出入口扉開閉制御装置を特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更
本件特許明細書の段落【0022】に「利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫を判定してそれに対応するトレーの搬送処理を行う搬送呼出処理部12」と記載され、同段落【0042】に「搬送呼出処理としては、入庫の場合は空きのトレーを、出庫時には当該駐車車両を搭載した状態のトレーをそれぞれ乗降室内の所定の位置へと搬送する。」と記載されている。そして、入庫の場合に搬送呼出処理部によって搬送処理される空きのトレーが「任意の空きのトレー」であることについて、本件の請求項1に係る発明は上記訂正事項1Aにより「前記利用者毎に割り当てられた識別データ」と特定されるものであり、本件特許明細書段落【0026】の「予め利用者毎や利用スペース毎に割り当てられた認証番号などの識別データ」のうち「利用スペース毎」ではなく、「利用者毎」のもののみを発明特定事項とするものである。そして、利用者が利用する利用スペースを特定しない機械式駐車装置においては、トレーが利用者により特定されないことは技術常識であるから、「空きのトレー」を「任意の空きのトレー」と限定することによって、新たな技術的事項が導入されるものではない。
したがって、訂正事項1Bに係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(4)訂正事項1Cについて
ア 訂正の目的
訂正事項1Cに係る訂正は、請求項1の出入口扉開閉制御装置について、「前記出入口扉の閉動作を行う出入口扉閉ボタンが操作されると、
操作盤の液晶画面に無人確認処理部により無人確認入力画面に切り替えられて乗降室内に設置された監視カメラの映像画面が表示され、前記利用者によって前記映像画面から乗降室内が無人であることが確認されて無人確認キーが操作されて無人確認処理部の処理が完了され、
前記無人確認処理部の処理が完了された後、安全確認処理部により安全確認画面に切り替えられて前記無人確認入力画面に安全確認キーが追加表示され、前記利用者によって前記乗降室内の安全が確認されて安全確認キーが操作され、
前記安全確認処理部の処理が完了すると、前記安全確認キーの操作信号が出入口扉開閉制御装置に取り込まれ、前記出入口扉が閉扉される、構成を有する」ことを特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更
本件特許明細書の段落【0048】ないし【0050】には、「その後に利用者によって出入口扉閉ボタン6が操作されると、・・・無人確認処理部14は、液晶画面表示処理部18を通して液晶画面3を・・・無人確認入力画面27に切り替え」、「そこで利用者は、・・・映像画面29,30とから乗降室内が無人状態であることを確認し、その後、無人確認キー31を操作する。この完了信号は・・・無人確認処理部14での処理を完了させ、次いで・・・安全確認処理部15での処理を開始させる。」「そこで安全確認処理部15は、液晶画面3を・・・安全確認画面32に切り替え表示する。この安全確認画面32を見た利用者は、安全確認キー33を操作することによって起動許可を与える。安全確認キー33の操作信号は出入口扉開閉制御装置側に取り込まれると、安全確認処理部15での処理が終了となる。次いで、出入口扉閉処理部17はステップS13で、出入口扉1を実際に閉扉する処理を行う。」と記載されている。
したがって、訂正事項1Cに係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(5)訂正の適否についての判断のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2で示したとおり、本件訂正請求による訂正は認められるので、本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明1」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
【請求項1】
出入口扉を開いた利用者と、前記出入口扉を閉じようとしている利用者が同一であることを判定した後に前記出入口扉を閉処理する出入口扉閉処理部を備えた機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、
前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアと、記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアと、を備えた記憶媒体が前記利用者に与えられ、
前記出入口扉の開動作に先だって前記利用者が所持している前記記憶媒体を使用して行われる登録者認証操作時に、前記記憶媒体の前記識別データを使用して登録されているかを判定する登録者認証照合処理部と、
前記出入口扉の開動作に先だって利用者によって行われる前記登録者認証操作時に、利用者が所持している前記記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み保持する今回利用者同一性判定第一処理部と、
その後の前記出入口扉の閉動作に先だって利用者によって行われる今回利用者同一性判定操作時に、当該利用者が所持している記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み、この読み込んだ個別閉コードと前記今回利用者同一性判定第一処理部によって保持されている前記個別閉コードと照合して一致することを判定したときに前記出入口扉の閉動作を有効にする今回利用者同一性判定第二処理部と、を設け、
前記利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理され、
前記出入口扉の閉動作を行う出入口扉閉ボタンが操作されると、
操作盤の液晶画面に無人確認処理部により無人確認入力画面に切り替えられて乗降室内に設置された監視カメラの映像画面が表示され、前記利用者によって前記映像画面から乗降室内が無人であることが確認されて無人確認キーが操作されて無人確認処理部の処理が完了され、
前記無人確認処理部の処理が完了された後、安全確認処理部により安全確認画面に切り替えられて前記無人確認入力画面に安全確認キーが追加表示され、前記利用者によって前記乗降室内の安全が確認されて安全確認キーが操作され、
前記安全確認処理部の処理が完了すると、前記安全確認キーの操作信号が出入口扉開閉制御装置に取り込まれ、前記出入口扉が閉扉される、構成を有する、
ことを特徴とする機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置。
第4 取消理由(決定の予告)の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審において令和4年11月14日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。
訂正前の本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開2006-118216号公報)に記載された発明、甲第2号証(特開2015-151679号公報)に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、同法29条2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。
第5 取消理由(決定の予告)で通知した取消理由についての当審の判断
1 各甲号証の記載
(1)甲1
ア 甲1の記載
申立人が特許異議申立書(以下、単に「申立書」という。)に添付して提出した、本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開2006-118216号公報(甲第1号証。以下「甲1」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【背景技術】
【0002】
従来、車両を搭載する複数のパレットを有し、所望のパレットを所定の入出庫位置へ移動させて車両の入出庫を行う機械式駐車装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この種の駐車装置における、利用者及び駐車装置の動作は一般的に以下のようなものである。利用者は、駐車装置の操作盤の電源キースイッチに鍵を挿入し、操作して電源を入れ、操作盤に設けられたテンキーで自己が車両の入出庫を行うパレットの番号をキー入力する。次に、入力した情報を確定する旨の設定ボタンを操作し、更にパレットの移動開始を指示する運転ボタンを操作する。そして、駐車装置はパレットの操作を開始し、入力された情報に基づいて当該利用者の入出庫に係るパレットを車両の入出庫が可能な入出庫位置へ移動させる。利用者は入出庫位置に移動したパレットに車両を入庫し、或いはパレットから車両を出庫する。
【特許文献1】特開平11-303438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の駐車装置では車両の入出庫の際に、電源キースイッチへの鍵の挿入・操作、テンキーへの番号入力、及び各種ボタンの操作といったように利用者に煩雑な操作が要求されるという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、利用者の煩雑な操作を要求することなく車両の入出庫作業を行うことが可能な機械式駐車装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の機械式駐車装置は、車両を搭載する複数のパレットと、車両を入出庫させる入出庫口を開閉するゲートとを備え、当該複数のパレットのうち所望のパレットを所定の入出庫位置へ移動させる機械式駐車装置であって、複数のパレットを移動させるパレット駆動手段と、入出庫口を閉じる閉位置と入出庫口を開く開位置との間でゲートを移動させるゲート駆動手段と、所望のパレットに関する情報が予め記憶された外部記憶媒体から当該情報を読み取る情報読取手段と、情報読取手段にて読み取られた所望のパレットに関する情報に基づいて、当該情報に対応するパレットを所望のパレットとして入出庫位置へ移動させるようにパレット駆動手段を制御し、所望のパレットの移動後にゲートを閉位置から開位置に移動させるようにゲート駆動手段を制御し、ゲートの開位置への移動が完了した場合に、複数のパレット及びゲートの移動を禁止するようにパレット駆動手段及びゲート駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この機械式駐車装置は、情報読取手段によって外部記憶媒体に記憶された情報を読み取り、読み取った情報に基づいて、所望のパレットを入出庫位置へ移動する。このように、この機械式駐車装置は、所望のパレットに関する情報のキー入力を利用者に要求することなく、移動すべきパレットを認識することができる。従って、上記機械式駐車装置によれば、所望のパレットを入出庫位置へ移動させ、ゲートを開け、その後パレット及びゲートの移動を禁止するという一連の動作が、利用者のキー入力等を必要とせず自動的に行われる。」
(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る機械式駐車装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る機械式駐車装置(以下「駐車装置」)1を示す正面図であり、図2は、駐車装置1の側面図である。
【0012】
駐車装置1は、車両を搭載するパレットを12体備え、最大12台の車両を駐車することができる装置である。駐車装置1は後述する利用者の操作に従って、当該利用者の利用に係るパレットを地上面Gの位置へ移動させ、ゲート21を開いて、当該パレットから地上面Gへ矢印A1方向に車両を出庫させ、或いは地上面Gから当該パレットへ矢印A2方向に車両を入庫させることが可能である。駐車装置1は、ゲート21が閉ざされた状態で利用者を待機するようになっており、安全上の観点からこのゲート21が閉ざされた状態が駐車装置1の待機状態として定められている。
・・・
【0022】
上記のように、駐車装置1には、3体の昇降パレット11、12、13、4体の中段パレット15、2体の下段パレット17、及び3体の地下パレット19の合計12体のパレットが存在するが、各パレットにはそれぞれ固有のパレット番号(例えば1番~12番)が採番され区別されている。
【0023】
また、この駐車装置1には、駐車装置1の稼働時における安全性を向上させるために、駐車装置1内への人の進入を防止し、また、地下への人などの転落を防止するために、車両入出庫口Q1にゲート21が設けられている。このゲート21は、車両入出庫口Q1を閉じる閉位置22aと、車両入出庫口Q1を開く開位置22bとの間を移動(昇降)可能に設けられている。ゲート21を移動させる昇降機構は、それ自体公知のものであり、チェーン、駆動モータ等を含んでいる。ゲート21の開位置22bの高さには、支柱5に固定されたリミットスイッチ24が設けられている。リミットスイッチ24は、ゲート21に接触することでゲート21が開位置22bへの移動したことを検知する検知手段として機能する。
【0024】
正面の支柱5には、利用者が操作を行う操作盤23が配設されている。操作盤23は、図3に示すように、カード読取部25、警告灯27、表示部29、指示入力部31、非常停止ボタン33、ロック解除ボタン34等を含んでいる。カード読取部(情報読取手段)25は、例えば、外部情報記憶媒体としてのICカード91(後述する)が近づくことにより、ICカード91を検出し、ICカード91との間で電波の授受によってICカード91に記憶された情報を読み込む、いわゆる非接触型のICカード読取装置が用いられる。カード読取部25は、ICカード91が通信可能な所定の距離範囲内に存在する場合にはICカード91を検出した旨の電気信号を統括制御部37(後述する)へ送信する。表示部29は、表示制御部49に制御され、ICカード91から読み込んだ情報の中のパレット番号や駐車装置1の動作状態等を表示する。警告灯27は、所定の場合に点灯又は点滅することによって動作状態を周囲に表示する。非常停止ボタン33は、例えば非常の際に利用者に操作されることによって駐車装置1の動作を停止させる。指示入力部31はテンキーを含む入力装置であり、利用者の指示が必要な所定の場合に、利用者による入力を受け付ける。ロック解除ボタン34は、駐車装置1が操作ロック状態にある際に、利用者に操作されることによって、当該操作ロック状態を解除する。操作ロック状態とは、利用者が車両を入出庫させる間に各パレット11等及びゲート21が誤って動くことがないように、操作盤23による利用者の操作が受け付けられなくなる状態である。操作ロック状態においては、操作盤23からの入力に関わらず各パレット11等の移動及びゲート21の移動が禁止される。
【0025】
駐車装置1の背面には、各パレットを駆動するためのパレット駆動モータ、ゲート21を駆動するゲート駆動モータ、及び操作盤23の動作等を制御するための制御盤35が、地上面G上に臨んだ状態で配設されている。
【0026】
図4は、駐車装置1の制御構成を示すブロック図である。制御盤35は、たとえばROM及びRAMを含む制御用CPU(図示せず)等を有している。制御用CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを読み出して制御を行うことにより、図4に示されるように、統括制御部37、諸元データ記憶部41、通信制御部43、入力制御部47、表示制御部49、モータ制御部50等を含むように構成されることになる。
【0027】
モータ制御部50は、制御系信号線(図示せず)を介して、各昇降パレット11,12,13に対する昇降機構のパレット駆動モータ61、各中段パレット15に対する横行機構のパレット駆動モータ61又は昇降機構のパレット駆動モータ61、各下段パレット17に対する駆動機構のパレット駆動モータ61、各地下パレット19に対する昇降機構のパレット駆動モータ61、あるいは、ゲート21に対する昇降機構のゲート駆動モータ63に接続されており、各駆動モータの駆動状態を制御するための駆動制御信号がそれぞれのパレット駆動モータ61、ゲート駆動モータ63に供給される。モータ制御部50及びパレット駆動モータ61はパレット駆動手段として機能する。また、モータ制御部50及びゲート駆動モータ63はゲート駆動手段として機能する。また、モータ制御部50、パレット駆動モータ61及びゲート駆動モータ63は統括制御部37によって制御され動作しており、統括制御部37はパレット駆動手段及びゲート駆動手段を制御する制御手段として機能する。
【0028】
カード読取部25は、通信制御部43を介して統括制御部37に接続されている。カード読取部25は、通信制御部43に制御され、ICカード91とのデータ授受を行う。表示部29及び警告灯27は表示制御部49を介して統括制御部37に接続されている。表示部29は、表示制御部49に制御され、所定の情報を表示する。警告灯27は表示制御部49に制御され、所定の場合に点灯又は点滅の表示を行う。リミットスイッチ24、非常停止ボタン33、ロック解除ボタン34及び指示入力部31は、入力制御部47を介して統括制御部37に接続されている。リミットスイッチ24は、ゲート21が接触することによって制御信号を統括制御部37へ送信する。非常停止ボタン33は、利用者に操作されることによって制御信号を統括制御部37へ送信する。この制御信号を受信した統括制御部37は、モータ制御部50へ制御信号を送信し、パレット駆動モータ61、ゲート駆動モータ63を停止させる。ロック解除ボタン34は、利用者に操作されることによって制御信号を統括制御部37へ送信する。この制御信号を受信した統括制御部37は、操作ロック状態を解除する。指示入力部31は、利用者に操作されることによって当該操作に応じた制御信号を統括制御部37へ送信する。利用者の操作に応じた制御信号を受信した統括制御部37は、モータ制御部50へ制御信号を送信し、利用者の操作に応じてパレット駆動モータ61、ゲート駆動モータ63を駆動する。
【0029】
ICカード91としては、例えば、いわゆる非接触型ICカードが用いられる。ICカード91はデータ記憶部93及び通信部95を有している。ICカード91は通常、駐車装置1の利用者に保持されており、データ記憶部93には所望のパレットに関する情報としてパレット番号が記憶されている。本実施形態では、データ記憶部93にはパレット番号の他、利用者IDも記憶されている。利用者IDとは、駐車装置1を利用する利用者を識別するためのIDデータであり、利用者毎に固有の情報である。パレット番号とは、当該ICカード91を保持する利用者が利用するパレットに関する情報であって、当該利用者が何れのパレットを利用するか(例えば、1番~12番)を示すデータである。このパレット番号は、駐車装置1の各パレットに採番されたパレット番号に対応して記憶されている。通信部95はカード読取部25との間での情報の通信を行う。データ記憶部93に記憶された情報は通信部95を介して駐車装置1側へと伝達される。
【0030】
利用されるパレット1体に対しては複数のICカードを対応させることが可能である。すなわち、これらの複数のICカードの組においては、記憶された利用者IDは互いに異なるが、パレット番号が同一である。例えば、複数の利用者でパレット1体を共用する場合、各利用者が上記のようなICカードの組の1枚ずつを保持するといった運用がなされる。一方、利用者IDは上述のとおり利用者毎に固有の番号であるので、利用者IDが同一であるカードの組が存在しないように運用される。このため、例えば、パレットを移動させるステップ(後述する)で読み取られたICカードと、ゲート21を閉じるステップ(後述する)で読み取られたICカードについて、読み取られた利用者IDが同一である場合には、両者のICカード自体が同一であると判断することができる。
【0031】
また、たとえば、利用者の自宅の鍵をICカード型の鍵とし、ICカード91の通信プロトコル、データ体系等に整合させて自宅の鍵の設定をすることとすれば、ICカード91に自宅の鍵及び駐車装置1の鍵の機能を兼用させる運用が可能である。また、データ記憶部93には他の情報、例えば利用者の個人情報等が記憶されてもよい。」
(ウ)「【0032】
図5は、駐車装置1における車両の入出庫処理のフロー図である。本図を参照しながら、駐車装置1の入出庫処理及び利用者の動作について説明する。
【0033】
まず、車両を入出庫しようとする利用者は、駐車装置1のカード読取部25にICカード91を接触させる。待機状態(S202)にあった駐車装置1では、カード読取部25でICカード91が検出されて(S204)、電源が入り、カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれる(S206)。そして、諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェックされる(S208)。この正当性チェックでは、例えば、利用者IDが正しいデータであるか否か、利用者に駐車装置1の操作の権限があるか否か、パレット番号が駐車装置1に存在するパレットか否かが確認される。このとき、読み込まれた利用者ID又はパレット番号が不当であると判断された場合は、ICカード91が正当なカードではなく、カードの保持者に駐車装置1の操作の権限がないものとみなして、処理はS202の待機状態へ戻る。
【0034】
S208において、ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、パレット駆動モータ61が駆動され、パレットの移動が開始される(S216)。このパレットの移動は、ICカード91から読み込まれたパレット番号に対応するパレット(所望のパレット)を下段駐車領域T1の着床位置P1(入出庫位置)へ移動させるべく、あらかじめ定められた順序で行われる。このとき、着床位置P1に移動させるべきパレットは複数ある下段駐車領域T1のうち、何れの着床位置P1へ移動されてもよい。なお、このパレット移動中には、ICカード91から読み込まれた利用者ID、パレット番号、及び所定のメッセージ等が表示部29に表示されてもよい。上記パレットの着床位置P1への移動が完了した後、ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動される(S218)。そして、リミットスイッチ24によってゲート21が完全に開いたことが検知された後(S222)、駐車装置1は操作ロック状態とされ(S224)、ロック解除ボタン34が操作されるまで待機される(S226)。
【0035】
このように、駐車装置1は、ICカード91に記憶されたパレット番号をカード読取部25で読み取ることができ、統括制御部37はパレット番号のキー入力等を利用者へ要求することなく、着床位置P1へ移動させるべきパレット番号を直接認識することができる。よって、車両を入出庫しようとする利用者は、ICカード91をカード読取部25に接触させる動作のみで、所望のパレットを着床位置P1へ移動し、ゲート21を開き、操作ロックを行うという一連の入出庫の準備を自動的に行わせることができる。
【0036】
その後、駐車装置1が操作ロック状態にある間に、利用者は、着床位置P1のパレットに車両Cを入庫、或いは着床位置P1のパレットから車両Cを出庫する。車両Cを入庫する場合にあっては、利用者は、着床位置P1に移動したパレットへ車両Cごと進入し、その後車両Cを降りて駐車装置1から離れる。また、車両Cを出庫する場合にあっては、利用者は、駐車装置1内へ進入し、着床位置P1に移動したパレット上にある車両Cに搭乗し、車両Cごと駐車装置1から出る。
【0037】
このような入出庫が行われている最中に、パレット11等やゲート21が誤って動いてしまうと危険であるので、上記のように自動的に駐車装置1を操作ロック状態にすることとしている。この操作ロックによって、車両の入出庫時にパレット11等やゲート21の移動が禁止されるように制御されるので、利用者が安全に車両の入出庫を行うことができる。なお、操作ロック状態にある間は、その旨を利用者に確認させるため、表示部29に操作ロック状態である旨が表示されてもよく、警告灯27を点灯させる等の動作がされてもよい。
【0038】
続いて、車両の入出庫を終えた利用者は、操作盤23のロック解除ボタン34の操作(例えば、ボタンの押下)を行う。駐車装置1ではロック解除ボタン34の操作が検出され(S226)、操作ロック状態が解除される(S228)。このように、操作ロック状態を解除する際にロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促すことができる。
【0039】
操作ロック状態の解除の後、利用者は、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させる。駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され(S232)、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される(S234)。そして、ゲート21が閉じ切った後(S236)には、入出庫が終了した旨のメッセージが表示部29に表示され(S238)、電源が切られて待機状態(S202)へ戻る。なお、ゲート21が閉じきった後(S236の後)に、ICカード91を再びカード読取部25に接触させることを要求する処理を加えてもよい。このようにすれば、ゲート21が閉じきる前に利用者が立ち去ることを抑制することができるので、安全性を高めることができる。また、このとき、ICカード91が接触されなかった場合には、利用者が安全確認を怠ったことへのペナルティとして、当該利用者のICカード91を次回から使用不可能とする処理をしてもよい。」
(エ)図5は以下のとおり。
[図:0001398240000001.jpg]
イ 甲1発明
上記アによれば、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「機械式駐車装置(以下「駐車装置」)1であって、
車両を搭載するパレットを12体備え、
車両入出庫口Q1にゲート21が設けられており、
利用者が操作を行う操作盤23が配設されており、操作盤23は、カード読取部25を含んでおり、カード読取部25は、外部情報記憶媒体としてのICカード91が近づくことにより、ICカード91を検出し、ICカード91との間で電波の授受によってICカード91に記憶された情報を読み込む、いわゆる非接触型のICカード読取装置が用いられ、カード読取部25は、ICカード91が通信可能な所定の距離範囲内に存在する場合にはICカード91を検出した旨の電気信号を統括制御部37へ送信し、
ゲート21を駆動するゲート駆動モータ及び操作盤23の動作等を制御するための制御盤35が配設されており、
制御盤35は、制御用CPUを有しており、制御用CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを読み出して制御を行うことにより、統括制御部37、諸元データ記憶部41、通信制御部43、モータ制御部50を含むように構成され、
モータ制御部50は、ゲート21に対する昇降機構のゲート駆動モータ63に接続されており、駆動モータの駆動状態を制御するための駆動制御信号がゲート駆動モータ63に供給され、モータ制御部50及びゲート駆動モータ63は統括制御部37によって制御され動作しており、
カード読取部25は、通信制御部43を介して統括制御部37に接続されており、カード読取部25は、通信制御部43に制御され、ICカード91とのデータ授受を行い、
ICカード91としては、いわゆる非接触型ICカードが用いられ、ICカード91はデータ記憶部93及び通信部95を有しており、ICカード91は駐車装置1の利用者に保持されており、データ記憶部93には所望のパレットに関する情報としてパレット番号が記憶されており、データ記憶部93には利用者IDも記憶されており、利用者IDとは、駐車装置1を利用する利用者を識別するためのIDデータであり、利用者毎に固有の情報であり、パレット番号とは、当該ICカード91を保持する利用者が利用するパレットに関する情報であって、当該利用者が何れのパレットを利用するか(例えば、1番~12番)を示すデータであり、このパレット番号は、駐車装置1の各パレットに採番されたパレット番号に対応して記憶されており、通信部95はカード読取部25との間での情報の通信を行い、データ記憶部93に記憶された情報は通信部95を介して駐車装置1側へと伝達され、
利用されるパレット1体に対しては複数のICカードを対応させることが可能であり、これらの複数のICカードの組においては、記憶された利用者IDは互いに異なるが、パレット番号が同一であり、利用者IDは利用者毎に固有の番号であるので、利用者IDが同一であるカードの組が存在しないため、パレットを移動させるステップで読み取られたICカードと、ゲート21を閉じるステップで読み取られたICカードについて、読み取られた利用者IDが同一である場合には、両者のICカード自体が同一であると判断することができ、
駐車装置1の入出庫処理及び利用者の動作においては、
まず、車両を入出庫しようとする利用者は、駐車装置1のカード読取部25にICカード91を接触させ、待機状態にあった駐車装置1では、カード読取部25でICカード91が検出されて(S204)、カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれ(S206)、そして、諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェックされ(S208)、この正当性チェックでは、例えば、利用者IDが正しいデータであるか否か、利用者に駐車装置1の操作の権限があるか否か、パレット番号が駐車装置1に存在するパレットか否かが確認され、
ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、パレット駆動モータ61が駆動され、パレットの移動が開始され、上記パレットの移動が完了した後、ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動され、リミットスイッチ24によってゲート21が完全に開いたことが検知された後、駐車装置1は操作ロック状態とされ、ロック解除ボタン34が操作されるまで待機され、
車両の入出庫を終えた利用者は、操作盤23のロック解除ボタン34の操作(例えば、ボタンの押下)を行い、操作ロック状態が解除され、その後、利用者は、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させ、駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される、
機械式駐車装置。」
(2)甲2
ア 甲2の記載
申立人が申立書に添付して提出した、本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開2015-151679号公報(甲第2号証。以下「甲2」という。)には、以下の記載がある
(ア)「【0044】
なお、制御盤114による駆動装置の制御を無効化するために用いられるコードは、利用者がコード入力部130のキーを操作して入力する場合に限らない。例えば、無線通信機能を有する装置から無線信号を受信する受信部を、コード入力部130の代わりに用いてもよい。この場合、受信部によって受信した無線信号から得られる情報がコードとして受け付けられるようにしてもよい。無線通信機能を有する装置とは、RFID技術等を用いた非接触短距離通信が可能なカード、携帯電話等である。例えば、これらの装置が電子マネー等に用いられるものであれば、受信する無線信号から、例えば、固有に割り当てられた識別番号、電子マネーの残額等がコードとして用いられてもよい。」
(イ)「【0061】
[駐車装置の動作フロー]
図8は駐車装置100の動作および利用者の作業を説明するフローチャートを示す。まず、駐車装置100を作動させるために、駐車装置操作盤108の操作電源スイッチ120に操作キーを入れて電源を投入する操作をする(ステップS101)。そして、入出庫口に呼び出すパレット104を指示する操作(パレット番号を入力等)をする(ステップS103)。ただし、この時点では、コード入力部130に対してコードの入力が行われておらず、メモリ131にコードが記憶されていない。したがって、制御盤114による駆動装置200の制御が無効化されインターロックが作動している状態であるため、パレット104は移動されず、安全ゲート112も動かない。
【0062】
利用者によるコードの入力がコード入力部130に受け付けられる(ステップS105)と、コードがメモリ131に記憶される(ステップS107)。これにより駆動装置200による制御の無効化が解除され、パレットの移動が始まる(ステップS111)。指示したパレット104が入出庫口まで移動すると、安全ゲート112が開く動作をする(ステップS113)。なお、コードの入力(ステップS105)がパレット104を指示する操作(ステップS103)よりも先に行われてもよく、その場合には、パレット104を指示する操作が行われると、直ちにパレットの移動が始まる(ステップS111)。
【0063】
安全ゲート112が開くと、再び駆動装置200による制御が無効化されてインターロックが作動する。そして、インターロック表示部132のランプがオンになり、注意喚起の文字が表示される(ステップS115)。上記までの段階で、駐車装置100に入って車両の入出庫、充電等の作業を開始することが可能となる(ステップS121)。
【0064】
駐車装置100での作業が終了すると、利用者は安全ゲート112を閉める操作を行う(ステップS131)。ただし、この時点では、コード入力部130に対して再度のコードの入力が行われておらず、メモリ131にコードが記憶されたままになっている。したがって、制御盤114による駆動装置200の制御が無効化されインターロックが作動している状態であるため、安全ゲート112が動かず、閉じる動作が行われない。
【0065】
利用者によるコードの入力がコード入力部130に受け付けられる(ステップS133)と、このコードがメモリ131に記憶されているコードと一致するかどうかの判定が行われる(ステップS135)。コードが一致しない場合(ステップS135;No)には、エラー表示が行われる(ステップS137)。エラー表示は、インターロック表示部132に表示されてもよいし、表示部124に表示されてもよいし、それ以外の表示手段に表示されてもよい。
【0066】
入力されたコードがメモリ131に記憶されているコードと一致した場合(ステップS135;Yes)には、メモリ131に記憶されたコードがリセット(消去)される(ステップS141)。これにより駆動装置200による制御の無効化が解除され、安全ゲート112が閉じる動作をする(ステップS143)。
【0067】
なお、コードの入力(ステップS133)が安全ゲート112を閉める操作(ステップS131)よりも先に行われてもよく、その場合には、安全ゲート112を閉める操作が行われると、直ちに安全ゲート112が閉じる動作が始まる(ステップS143)。また、コードのリセット(ステップS141)と安全ゲート112が閉じる動作(ステップS143)とは順番が逆でもよい。」
イ 甲2発明
上記アより、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
(甲2発明)
「駐車装置100を作動させるために、駐車装置操作盤108の操作電源スイッチ120に操作キーを入れて電源を投入する操作をし、
入出庫口に呼び出すパレット104を指示する操作(パレット番号を入力等)をし、
利用者によるコードの入力がコード入力部130に受け付けられて、コードがメモリ131に記憶されると、パレットの移動が始まり、指示したパレット104が入出庫口まで移動すると、安全ゲート112が開く動作をし、
駐車装置100での作業が終了すると、利用者は安全ゲート112を閉める操作を行い、
利用者によるコードの入力がコード入力部130に受け付けられて、このコードがメモリ131に記憶されているコードと一致するかどうかの判定が行われ、
入力されたコードがメモリ131に記憶されているコードと一致した場合には、メモリ131に記憶されたコードがリセット(消去)され、安全ゲート112が閉じる動作をするが、
コードの入力が安全ゲート112を閉める操作よりも先に行われてもよく、その場合には、安全ゲート112を閉める操作が行われると、直ちに安全ゲート112が閉じる動作が始まる、
駐車装置100であって、
コードは、利用者がコード入力部130のキーを操作して入力する場合に限らず、無線通信機能を有する装置から無線信号を受信する受信部を、コード入力部130の代わりに用いてもよく、無線通信機能を有する装置とは、RFID技術等を用いた非接触短距離通信が可能なカード、携帯電話等であり、これらの装置が電子マネー等に用いられるものであれば、受信する無線信号から、例えば、固有に割り当てられた識別番号、電子マネーの残額等がコードとして用いられてもよい、
駐車装置100。」
2 本件訂正発明1
(1)対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「機械式駐車装置(駐車装置)1」、「車両入出庫口Q1」に「設けられ」た「ゲート21」及び「利用者」は、それぞれ、本件訂正発明1の「機械式駐車装置」、「出入口扉」及び「利用者」に相当する。そして、甲1発明の「ゲート21を駆動するゲート駆動モータ」「を制御するための制御盤35」は、本件訂正発明1の「出入口扉開閉制御装置」に相当する。
イ 甲1発明の「ICカード91」は、本件訂正発明1の「記憶媒体」に相当する。
ウ 甲1発明の「パレット番号」は、「当該ICカード91を保持する利用者が利用するパレットに関する情報であって、当該利用者が何れのパレットを利用するか(例えば、1番~12番)を示すデータ」であって、「ICカード91」の「データ記憶部93に記憶された」「パレット番号」について、「諸元データ記憶部41に記憶されたデータ」との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェック」されるものである。また、「利用されるパレット1体に対して」、「複数のICカードを対応させ」た「複数のICカードの組」においては、「記憶され」る「パレット番号」が「同一」とされるものである。そうすると、甲1発明の「パレット番号」は、本件訂正発明1の「前記利用者毎に割り当てられた識別データ」に相当する。
甲1発明の「パレット番号」が「ICカード91」の「データ記憶部93に記憶され」た際に、「データ記憶部93」に「パレット番号」が「記憶されたエリア」が存在するのは自明であるから、甲1発明は、本件訂正発明1の「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリア」に相当する構成を備える。
エ 甲1発明の「利用者ID」は、「利用者毎に固有の番号」であって、「ICカード91」の「データ記憶部93に記憶された」「利用者ID」について、「ゲート21を閉じるステップ」にて「読み取られた利用者IDが同一である場合には、両者のICカード自体が同一であると判断」され「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」ものであるから、当該「利用者ID」は「ゲート21を閉じる」ための「ICカード91」固有の番号といえる。そして、上記ウの対比を踏まえると、甲1発明の「利用者ID」が「パレット番号」を含まないことは自明である。また、「利用されるパレット1体に対して」、「複数のICカードを対応させ」た「複数のICカードの組」においては、「記憶され」る「利用者ID」は「互いに異なる」とされるものである。そうすると、甲1発明の「利用者ID」は、本件訂正発明1の「記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コード」に相当する。
甲1発明の「利用者ID」が「ICカード91」の「データ記憶部93に記憶され」た際に、「データ記憶部93」に「利用者ID」が「記憶されたエリア」が存在するのは自明であるから、甲1発明は、本件訂正発明1の「記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリア」に相当する構成を備える。
オ 甲1発明の「ICカード91」は、「駐車装置1の利用者に保持されており」、「操作盤23」における認証操作に利用されるものであるから、「保持され」るにあたり「利用者に与えられ」るものといえるから、甲1発明は、本件訂正発明1の「認証媒体が前記利用者に与えられ、」に相当する構成を備える。
カ 上記ウ及びエの対比を踏まえると、甲1発明において、「利用者」が「ICカード91を接触させ」ることは、本件訂正発明1において、「利用者が所持している記憶媒体を使用して行われる登録者認証操作」に相当し、また、甲1発明において、「ICカード91を接触させ」「利用者ID及びパレット番号」を「読み込」んで「諸元データ記憶部41に記憶されたデータ」と「比較」することで「正当性がチェックされ」ることは、本件訂正発明1において、「登録者認証操作時に、前記記憶媒体の前記識別データを使用して登録されているかを判定する」ことに相当する。
そして甲1発明は、「ICカード91が正当なカードであると判断された場合に」、「パレットの移動が開始され」、「上記パレットの移動が完了した後、ゲート21を開く」ものであるから、甲1発明の上記の点は、本件訂正発明1の「登録者認証操作」が「前記出入口扉の開動作に先だって」「行われる」ことに相当する。
また、甲1発明においては、「ICカード91を検出した旨の電気信号」は「統括制御部37へ送信」されるものであり、「カード読取部25は、通信制御部43を介して統括制御部37に接続されており、カード読取部25は、通信制御部43に制御され、ICカード91とのデータ授受を行」うものであり、「諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ」るものであるから、上述の対比も踏まえると、甲1発明の「統括制御部37」、「通信制御部43」、及び「諸元データ記憶部41」からなるものは、本件訂正発明1の「登録者認証照合処理部」に相当する。
キ 甲1発明においては、「ICカード91」の「正当性チェック」の際に「読み込まれた利用者ID」が、「ゲート21を閉じるステップ」にて「読み取られた利用者ID」と「同一である」かの判断がされるものであるから、「正当性チェック」の際に「読み込まれた利用者ID」の情報が、上記「同一である」かの判断まで「保持」されていることは自明である。そうすると、甲1発明の上記の点は、本件訂正発明1の「前記登録者認証操作時に、利用者が所持している前記記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み保持する」ことに相当する。
また、甲1発明においては、「ICカード91を検出した旨の電気信号」は「統括制御部37へ送信」されるものであり、「カード読取部25は、通信制御部43を介して統括制御部37に接続されており、カード読取部25は、通信制御部43に制御され、ICカード91とのデータ授受を行」うものであるから、上述の対比も踏まえると、甲1発明の「統括制御部37」及び「通信制御部43」からなるものは、本件訂正発明1の「今回利用者同一性判定第一処理部」に相当する。
ク 甲1発明においては、「利用者は、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させ、駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」ものであり、「検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され」るとは、「ICカード91」の「正当性チェック」の際に「読み込まれた利用者ID」が、今回「検出されたICカード」から「読み取られた利用者ID」と「同一である場合には、両者のICカード自体が同一であると判断する」ものである。
そうすると、甲1発明において、「利用者」が「再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させ」ることは、本件訂正発明1の「利用者によって行われる今回利用者同一性判定操作」に相当し、甲1発明において、「接触」により「検出されたICカード」から「利用者ID」を「読み取」ることは、本件訂正発明1の「今回利用者同一性判定操作時に、当該利用者が所持している記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込」むことに相当し、甲1発明において、「ICカード91」の「正当性チェック」の際に「読み込まれた利用者ID」が、今回「検出されたICカード」から「読み取られた利用者ID」と「同一である場合には、両者のICカード自体が同一であると判断」して、「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63」を「駆動」することは、本件訂正発明1の「この読み込んだ個別閉コードと前記今回利用者同一性判定第一処理部によって保持されている前記個別閉コードと照合して一致することを判定したときに前記出入口扉の閉動作を有効にする」ことに相当する。
そして、甲1発明は、「利用者は、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させ」、「駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され」、「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」ものであるから、甲1発明の上記の点は、本件訂正発明1の「今回利用者同一性判定操作」が「その後の前記出入口扉の閉動作に先だって」「行われる」ことに相当する。
また、甲1発明においては、「ICカード91を検出した旨の電気信号」は「統括制御部37へ送信」されるものであり、「カード読取部25は、通信制御部43を介して統括制御部37に接続されており、カード読取部25は、通信制御部43に制御され、ICカード91とのデータ授受を行」うものであり、「モータ制御部50は、ゲート21に対する昇降機構のゲート駆動モータ63に接続されており、駆動モータの駆動状態を制御するための駆動制御信号がゲート駆動モータ63に供給され、モータ制御部50及びゲート駆動モータ63は統括制御部37によって制御され動作」するものであるから、上述の対比も踏まえると、甲1発明の「統括制御部37」、「通信制御部43」、及び「モータ制御部50」が、本件訂正発明1の「今回利用者同一性判定第二処理部」に相当する機能を果たすものといえる。
ケ 本件訂正発明1における「出入口扉を開いた利用者と、前記出入口扉を閉じようとしている利用者が同一であることを判定し」とは、本件特許明細書の段落【0046】の記載「出入口扉1における実際の閉処理の前に、記憶媒体22に記憶される個別閉コードを再度読み取って先に記憶した個別閉コードと一致しているかどうかを判定している。このため、例えば共通の認証データが登録された記憶媒体22が複数枚あったとしても、今回の登録者認証で使用した記憶媒体22でなければ、今回利用者同一性判定第二処理部16で出入口扉を閉じる許可を得ることができず、出入口扉1の閉処理を行うことができない。従って、出入口扉1を開けた利用者と出入口扉1を閉めようとしている利用者が一致することを確実に保証し」も踏まえれば、本件訂正発明1の「その後の前記出入口扉の閉動作に先だって利用者によって行われる今回利用者同一性判定操作時に、当該利用者が所持している記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み、この読み込んだ個別閉コードと前記今回利用者同一性判定第一処理部によって保持されている前記個別閉コードと照合して一致することを判定」することが「利用者が同一であることを判定」するための具体的な手法と認められる。
そうすると、上記エより、甲1発明は「その後の前記出入口扉の閉動作に先だって利用者によって行われる今回利用者同一性判定操作時に、当該利用者が所持している記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み、この読み込んだ個別閉コードと前記今回利用者同一性判定第一処理部によって保持されている前記個別閉コードと照合して一致することを判定」するものであるから、甲1発明も本件訂正発明1の「出入口扉を開いた利用者と、前記出入口扉を閉じようとしている利用者が同一であることを判定し」に相当する構成を備える。
そして、甲1発明は、「利用者は、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させ」、「駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され」、「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」ものであるから、甲1発明の上記の点は、本件訂正発明1の「前記出入口扉を閉処理する」ことが「利用者が同一であることを判定した後」であることに相当する。
また、甲1発明においては、「モータ制御部50は、ゲート21に対する昇降機構のゲート駆動モータ63に接続されており、駆動モータの駆動状態を制御するための駆動制御信号がゲート駆動モータ63に供給され、モータ制御部50及びゲート駆動モータ63は統括制御部37によって制御され動作」するものであるから、上述の対比も踏まえると、甲1発明の「統括制御部37」及び「モータ制御部50」からなるものが、本件訂正発明1の「出入口扉閉処理部」に相当する。
コ 甲1発明において、「制御盤35は、制御用CPUを有しており、制御用CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを読み出して制御を行うことにより、統括制御部37、諸元データ記憶部41、通信制御部43、モータ制御部50を含むように構成され」るものである。そうすると、上記ア~ケも踏まえれば、甲1発明において、「機械式駐車装置1」の「制御盤35」が、「統括制御部37、諸元データ記憶部41、通信制御部43、モータ制御部50を含むように構成され」ることは、本件訂正発明1において、「機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置」が、「出入口扉閉処理部を備え」、「登録者認証照合処理部」と、「今回利用者同一性判定第一処理部」と、「今回利用者同一性判定第二処理部」とを「設けた」ことに相当する。
サ 以上を総合すると、本件訂正発明1と甲1発明とは、
「出入口扉を開いた利用者と、前記出入口扉を閉じようとしている利用者が同一であることを判定した後に前記出入口扉を閉処理する出入口扉閉処理部を備えた機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、
前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアと、記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアと、を備えた記憶媒体が前記利用者に与えられ、
前記出入口扉の開動作に先だって前記利用者が所持している前記記憶媒体を使用して行われる登録者認証操作時に、前記記憶媒体の前記識別データを使用して登録されているかを判定する登録者認証照合処理部と、
前記出入口扉の開動作に先だって利用者によって行われる前記登録者認証操作時に、利用者が所持している前記記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み保持する今回利用者同一性判定第一処理部と、
その後の前記出入口扉の閉動作に先だって利用者によって行われる今回利用者同一性判定操作時に、当該利用者が所持している記憶媒体毎に割り当てられて予め記憶されている個別閉コードを読み込み、この読み込んだ個別閉コードと前記今回利用者同一性判定第一処理部によって保持されている前記個別閉コードと照合して一致することを判定したときに前記出入口扉の閉動作を有効にする今回利用者同一性判定第二処理部と、を設けた機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違点する。
(相違点1)
本件訂正発明1は、「前記利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理され」るのに対し、甲1発明は、「入出庫」において「ICカード91」の「データ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれ」、「利用者ID及びパレット番号との比較」が行われて、「ICカード91の正当性がチェックされ(S208)」、「ICカード91が正当なカードであると判断された場合」には、「パレットの移動」が行われる点。
(相違点2)
本件訂正発明1は、「前記出入口扉の閉動作を行う出入口扉閉ボタンが操作されると、
操作盤の液晶画面に無人確認処理部により無人確認入力画面に切り替えられて乗降室内に設置された監視カメラの映像画面が表示され、前記利用者によって前記映像画面から乗降室内が無人であることが確認されて無人確認キーが操作されて無人確認処理部の処理が完了され、
前記無人確認処理部の処理が完了された後、安全確認処理部により安全確認画面に切り替えられて前記無人確認入力画面に安全確認キーが追加表示され、前記利用者によって前記乗降室内の安全が確認されて安全確認キーが操作され、
前記安全確認処理部の処理が完了すると、前記安全確認キーの操作信号が出入口扉開閉制御装置に取り込まれ、前記出入口扉が閉扉される、構成を有する」のに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
上記相違点1について検討する。
(ア)甲1発明は、「所望のパレットを所定の入出庫位置へ移動させて車両の入出庫を行う機械式駐車装置」において、「車両の入出庫の際に、電源キースイッチへの鍵の挿入・操作、テンキーへの番号入力、及び各種ボタンの操作といったように利用者に煩雑な操作が要求されるという問題点」を解決し、「利用者の煩雑な操作を要求することなく車両の入出庫作業を行うことが可能な機械式駐車装置を提供する」ことを課題としたものである(上記1(1)ア(ア))。
そして、甲1発明が、「外部情報記憶媒体としてのICカード91」に「所望のパレットに関する情報としてパレット番号が記憶され」たものとするのは、「所望のパレットに関する情報のキー入力を利用者に要求することなく、移動すべきパレットを認識することができる。従って、上記機械式駐車装置によれば、所望のパレットを入出庫位置へ移動させ、ゲートを開け、その後パレット及びゲートの移動を禁止するという一連の動作が、利用者のキー入力等を必要とせず自動的に行われる」(上記1(1)ア(ア))ものとするためであると理解できる。
(イ)そうすると、仮に、例えば申立人が令和5年3月2日に提出した意見書に添付して提出した甲4(特開平7-34695号公報)、同甲5(特開2016-156206号公報)、同甲6(特開平10-3597号公報)に示されるように、利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理されることが、当該機械式駐車場の技術分野における周知技術(以下「周知技術1」という。)であるとしても、甲1発明において、当該周知技術1を採用する動機付けはない。また、甲1発明において周知技術1を採用すると、甲1発明の「所望のパレットに関する情報のキー入力を利用者に要求することなく、移動すべきパレットを認識して、所望のパレットを入出庫位置へ移動させ、ゲートを開け、その後パレット及びゲートの移動を禁止するという一連の動作が、利用者のキー入力等を必要とせず自動的に行われる」という甲1発明の利点を損なうものであるから、むしろ、阻害要因を有するものである。
(ウ)また、上記(1)ウの対比において指摘したように、甲1発明の「パレット番号」は、本件訂正発明1の「前記利用者毎に割り当てられた識別データ」に相当するものであるところ、甲1発明において周知技術1を採用して任意のパレット(トレー)が搬送されるものとすると、甲1発明の「パレット番号」が「ICカード91」の「データ記憶部93に記憶され」たものでもなくなり、本件訂正発明1の「記憶媒体」が「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリア」を備えた点は、本件訂正発明1との新たな相違点となる。
そして、利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理される機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアと、記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアと、を備えた記憶媒体が前記利用者に与えられ」ることが公知技術ないし周知技術であるとはいえない。
よって、仮に甲1発明に周知技術1を適用して「利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理される」ものとし得たとしても、その発明は「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアと、記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアと、を備えた記憶媒体が前記利用者に与えられ」るという発明特定事項を備えないものとなるから、甲1発明及び周知技術から本件訂正発明1の構成とすることが当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
そして、甲2発明にも、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とするに足る技術についての記載も示唆もない。
(3)申立人の主張
ア 申立人の主張の概要
申立人は、当該相違点1について、令和5年3月2日付け意見書(以下、単に「意見書」という。)において、概略以下の主張をする。
「利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理されることは、例えば甲4~甲6に記載されているように、当該機械式駐車場の技術分野における周知技術である。
利用者が使用するパレット(トレー)を予め決めておくか、それとも、入庫と判定された際に利用者が使用するパレットを決めるかは、機械式駐車装置の運用に応じて当業者が適宜選択可能な事項であり、設計上の事項に過ぎない。
その効果も、周知の効果であり、顕著な効果を奏するものではなく、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得た事項である。」(意見書14頁下から9行~15頁6行)
イ 申立人の主張の検討
(ア)上記(2)ア(ア)及び(イ)において検討したとおり、仮に、「利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理される」ことが、当該機械式駐車場の技術分野における周知技術であるとしても、甲1発明において、入庫と判定された際に利用者が使用するパレットを決めるものとすることは、当業者が適宜選択可能な事項ないし設計上の事項とはいえない。
また、上記(2)ア(ウ)において指摘したように、甲1発明において任意の空きのトレーを使用するものとすると、記憶媒体が前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアを備えることは新たな相違点となるが、申立人は、当該相違点について、何ら主張をしていない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
(4)小括
以上のとおりであるから、相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 取消理由通知(決定の予告)で通知しなかった特許異議申立理由についての当審の判断
1 取消理由通知(決定の予告)で通知しなかった特許異議申立理由の概要
特許異議申立理由のうち、取消理由通知(決定の予告)で通知しなかった理由は以下のとおり。
(1)本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明である。
(2)本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲2発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件請求項1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
2 当審の判断
本件訂正により、請求項1は訂正されたので、以下、本件訂正発明1について検討する。
(1)上記1(1)について
本件訂正発明1と甲1発明とは、上記第5の2(1)サの相違点1及び相違点2で相違する。
上記相違点1及び相違点2は、実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明ではない。
(2)上記1(2)について
ア 本件訂正発明1と甲2発明とを対比すると、両者は、少なくとも、以下の相違点で相違する。
(相違点3)
本件訂正発明1は「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアと、記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアと、を備えた記憶媒体が前記利用者に与えられ」るのに対し、甲2発明はそのように特定されていない点。
(相違点4)
本件訂正発明1は「前記利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理され」るのに対し、甲2発明は、「駐車装置操作盤108の操作電源スイッチ120に操作キーを入れて電源を投入する操作をし、入出庫口に呼び出すパレット104を指示する操作(パレット番号を入力等)をし、利用者によるコードの入力がコード入力部130に受け付けられて、コードがメモリ131に記憶されると、パレットの移動が始ま」る点。
(相違点5)
本件訂正発明1は、「前記出入口扉の閉動作を行う出入口扉閉ボタンが操作されると、
操作盤の液晶画面に無人確認処理部により無人確認入力画面に切り替えられて乗降室内に設置された監視カメラの映像画面が表示され、前記利用者によって前記映像画面から乗降室内が無人であることが確認されて無人確認キーが操作されて無人確認処理部の処理が完了され、
前記無人確認処理部の処理が完了された後、安全確認処理部により安全確認画面に切り替えられて前記無人確認入力画面に安全確認キーが追加表示され、前記利用者によって前記乗降室内の安全が確認されて安全確認キーが操作され、
前記安全確認処理部の処理が完了すると、前記安全確認キーの操作信号が出入口扉開閉制御装置に取り込まれ、前記出入口扉が閉扉される、構成を有する」のに対し、甲2発明はそのように特定されていない点。
イ 相違点についての検討
(ア)相違点3、4について併せて検討する。
a 甲2発明の「コード入力部130の代わりに用い」る「無線通信機能を有する装置から無線信号を受信する受信部」に無線信号を発信する「無線通信機能を有する装置」である「固有に割り当てられた識別番号」が記憶された「RFID技術等を用いた非接触短距離通信が可能なカード」は、コード情報が所定のエリアに記憶されることは自明であるから、本件訂正発明1の「記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアを備えた記憶媒体」に相当するといえる。
しかし、当該「カード」(記憶媒体)が「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリア」を有するものとはされておらず、「前記利用者に与えられ」るものかも不明である。
b そして、甲2発明の「番号入力部から入力されるパレット番号」は、本件訂正発明1の「識別データ」に相当する(申立書22頁4~5行)ものであるところ、仮に甲1発明において周知技術1を採用して任意のパレット(トレー)が搬送されるものとすると、甲2発明の「パレット番号」は「番号入力部から入力される」ものではなくなるから、「カード」(記憶媒体)を「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアを有するもの」とすることは当業者が容易になし得たことではない。
c 申立人が提出したいずれの証拠にも、利用者の過去の登録情報に基づいて入出庫のいずれかを判定し、入庫の場合に搬送呼出処理部によって任意の空きのトレーが搬送処理され、出庫の場合に前記搬送呼出処理部によって前記利用者の駐車車両が搭載されたトレーが搬送処理される機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、「前記利用者毎に割り当てられた識別データが記憶された認証データエリアと、記憶媒体毎に割り当てられ、トレーの番号を含まない個別閉コードが予め記憶された個別閉コードエリアと、を備えた記憶媒体が前記利用者に与えられ」ることは記載されておらず、当該事項が公知技術ないし周知技術であるとはいえない。
よって、甲2発明、甲1発明及び周知技術1から本件訂正発明1の構成とすることは当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
第7 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明1に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した理由並びに申立人が提出した証拠によっては取り消すことはできない。
さらに、本件訂正発明1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-700203