特許異議申立
2022-700275
組成物、二色性物質、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置
- 審判番号
- 2022-700275
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-503865
- 登録番号
- 6959324
- 請求日
- 2022年03月31日
- 審決日
- 2023年05月15日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】富士フイルム株式会社
- 【権利者代理人】伊東 秀明
- 【権利者代理人】三橋 史生
- 【異議申立人】末吉 直子
- 【異議申立人代理人】加藤 圭
- 審判長/審判官
- 審判長 阪野 誠司
- 審判官 野田 定文
- 審判官 関 美祝
- 分類
- P1651.537-YAA(C09B) / P1651.536-YAA(C09B) / P1651.113-YAA(C09B) / P1651.121-YAA(C09B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6959324号発明「組成物、二色性物質、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6959324号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10、11〕について訂正することを認める。
特許第6959324号の請求項1、4及び6~10に係る特許を維持する。
特許第6959324号の請求項2、3、5及び11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6959324号の請求項1~11に係る特許についての出願は、2018年3月9日(優先権主張 2017年3月9日(JP)日本)を国際出願日とする出願であって、令和3年10月11日にその特許権の設定登録がされ、同年11月2日に特許掲載公報が発行され、その後、令和4年3月31日に、特許異議申立人 末吉 直子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
そして、当審において、同年7月22日付けで取消理由が通知され、特許権者は、その指定期間内である同年9月26日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、同年10月24日付けで特許法第120条の5第5項の規定に基づく通知書が通知され、申立人は同年11月24日に意見書を提出した。さらに、当審において、同年12月23日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、特許権者は、その指定期間内である令和5年2月27日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、同年3月6日付けで特許法第120条の5第5項の規定に基づく通知書が通知され、申立人は同年4月3日に意見書を提出した。
なお、令和5年2月27日提出の訂正請求書による訂正の請求により、令和4年9月26日提出の訂正請求書による訂正の請求は取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。
第2 訂正の適否についての判断
1 請求の趣旨及び訂正の内容
令和5年2月27日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、特許第6959324号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~9と請求項10及び11について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下の訂正事項1~8のとおりである。
(1) 訂正事項1
(1-1) 訂正事項1-1
本件訂正前の請求項1に係る「アゾ基を有する二色性物質を含有する組成物であって、」との記載を、
「アゾ基を有する二色性物質および液晶性化合物を含有する組成物であって、」(下線は訂正による変更箇所を示す。以下同様)に訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~9も同様に訂正する。)
(1-2) 訂正事項1-2
本件訂正前の請求項1に係る「前記二色性物質は、最高被占有軌道のエネルギー準位が-5.90~-5.60eVであり、かつ、CLogP値が7.0以上であり、下記式(1)で表される、組成物。
【化1】
[図:0001400435000001.jpg]
前記式(1)中、m1、m2およびm3はそれぞれ独立に0~5の整数を表し、n1は1~4の整数を表す。
前記式(1)中、Ar1は(m1+1)価の芳香族炭化水素環または複素環を表し、Ar2は(m2+2)価の芳香族炭化水素環または複素環を表し、Ar3は(m3+1)価の芳香族炭化水素環または複素環を表す。n1≧2の場合において複数のAr2は互いに同一でも異なっていてもよい。
前記式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に置換基を表す。m1≧2である場合において複数のR1は互いに同一でも異なっていてもよく、m2≧2である場合において複数のR2は互いに同一でも異なっていてもよく、m3≧2である場合において複数のR3は互いに同一でも異なっていてもよい。n1≧2の場合には複数の-(R2)m2は互いに同一でも異なっていてもよい。ただし、R1、R2およびR3からなる群より選択される置換基の合計数は、2個以上である。」との記載を、
「前記二色性物質は、下記No.I-1~I-19、II-1~II-8、III-1~III-6、および、IV-1~IV-11のいずれかで表される、組成物。
【化1】
[図:0001400435000002.jpg]
[図:0001400435000003.jpg]
[図:0001400435000004.jpg]
[図:0001400435000005.jpg]
ただし、式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表す。」に訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~9も同様に訂正する。)
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4) 訂正事項4
本件訂正前の請求項4に係る「請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。」との記載を、
「請求項1に記載の組成物。」に訂正する。(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~9も同様に訂正する。)
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6) 訂正事項6
本件訂正前の請求項6に係る「請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物を用いて形成される、光吸収異方性膜。」との記載を、
「請求項1に記載の組成物を用いて形成される、光吸収異方性膜。」に訂正する。(請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する請求項7~9も同様に訂正する。)
(7) 訂正事項7
本件訂正前の請求項10に係る「下記式(1)で表される二色性物質であって、
前記二色性物質は、最高被占有軌道のエネルギー準位が-5.90~-5.60eVであり、かつ、CLogP値が7.0以上である、二色性物質。
【化2】
[図:0001400435000006.jpg]
前記式(1)中、m1、m2およびm3はそれぞれ独立に0~5の整数を表し、n1は1~4の整数を表す。
前記式(1)中、Ar1は(m1+1)価の芳香族炭化水素環または複素環を表し、Ar2は(m2+2)価の芳香族炭化水素環または複素環を表し、Ar3は(m3+1)価の芳香族炭化水素環または複素環を表す。n1≧2の場合において複数のAr2は互いに同一でも異なっていてもよい。
前記式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に置換基を表す。m1≧2である場合において複数のR1は互いに同一でも異なっていてもよく、m2≧2である場合において複数のR2は互いに同一でも異なっていてもよく、m3≧2である場合において複数のR3は互いに同一でも異なっていてもよい。n1≧2の場合には複数の-(R2)m2は互いに同一でも異なっていてもよい。ただし、R1、R2およびR3からなる群より選択される置換基の合計数は、2個以上である。」との記載を、
「下記No.I-1~I-19、II-1~II-8、III-1~III-6、および、IV-1~IV-11のいずれかで表される、二色性物質。
【化2】
[図:0001400435000007.jpg]
[図:0001400435000008.jpg]
[図:0001400435000009.jpg]
[図:0001400435000010.jpg]
ただし、式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表す。」に訂正する。(請求項10の記載を直接的に引用する請求項11も同様に訂正する。)
(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11を削除する。
2 一群の請求項について
(1) 訂正事項1に係る訂正前の請求項1~9について、請求項2~9は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9に係る本件の訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。
(2) 訂正事項7に係る訂正前の請求項10及び11について、請求項11は、請求項10の記載を直接的に引用しているものであって、訂正事項7によって記載が訂正される請求項10に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項10及び11に対応する訂正後の請求項10及び11に係る本件の訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。
3 訂正の目的の適否
(1) 訂正事項1について
訂正事項1-1は、請求項1に係る組成物について、更に液晶性化合物を含有することを特定するものであって、当該組成物の材料組成を更に限定するものである。
また、訂正事項1-2は、請求項1に係る組成物に含有される「二色性物質」について、最高被占有軌道のエネルギー準位、CLogP値、及び、その化学構造式を一般式である式(1)によって特定されていたものを、最高被占有軌道のエネルギー準位、CLogP値、及び、その化学構造式が式(1)を満たす具体的な化合物に限定するものである。
したがって、訂正事項1-1及び1-2からなる訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(3) 訂正事項3について
訂正事項3は、請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(4) 訂正事項4について
訂正事項4は、訂正事項2及び3により請求項2及び3を削除する訂正と整合させるために、訂正前に請求項1~3の記載を引用する請求項4を、請求項1の記載のみを引用するものとする訂正であり、引用する請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものといえる。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(5) 訂正事項5について
訂正事項5は、請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(6) 訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前に請求項1~5の記載を引用する請求項6を、請求項1の記載のみを引用するものとする訂正であり、引用する請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものといえる。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(7) 訂正事項7について
訂正事項7は、請求項10に係る「二色性物質」について、最高被占有軌道のエネルギー準位、CLogP値、及び、その化学構造式を一般式である式(1)によって特定されていたものを、最高被占有軌道のエネルギー準位、CLogP値、及び、その化学構造式が式(1)を満たす具体的な化合物に限定するものである。
したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(8) 訂正事項8について
訂正事項8は、請求項11を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものである。
したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
4 新規事項の追加についての判断
(1) 訂正事項1及び7について
訂正事項1-1について、組成物の材料組成としては、訂正前の本件特許請求の範囲の請求項5及び本件特許明細書の【0037】において、組成物が二色性物質と液晶性化合物を含有することが記載されているから、訂正事項1-1で追加する請求項1における限定は、本件訂正前の特許請求の範囲及び特許明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえる。
また、訂正事項1-2及び7は、それぞれ、請求項1に係る組成物に含有される「二色性物質」及び請求項10に係る「二色性物質」について、本件特許明細書【0028】~【0032】に基づき、最高被占有軌道のエネルギー準位及びCLogP値が、いずれも訂正前の請求項1及び10に記載の特定範囲内にあり、かつ、訂正前の請求項1及び10に記載の式(1)で表される化合物である、No.I-1~I-19、II-1~II-8、III-1~III-6、および、IV-1~IV-11のいずれかで表される二色性物質に限定するものである。
したがって、最高被占有軌道のエネルギー準位、CLogP値、及び、その化学構造式を一般式である式(1)によって特定されていたものを、No.I-1~I-19、II-1~II-8、III-1~III-6、および、IV-1~IV-11のいずれかで表される化合物に限定することは、本件訂正前の特許請求の範囲及び特許明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえる。
したがって、訂正事項1及び7による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。
(2) 訂正事項2、3、5及び8について
訂正事項2、3、5及び8は、それぞれ、本件訂正前の請求項2、3、5及び11を削除するものであって、請求項の削除により、新たな技術的事項が導入されることはないから、新規事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項2、3、5及び8による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。
(3) 訂正事項4及び6について
訂正事項4及び6は、記載を引用する請求項のうち一部の請求項を削除するものであり、このことにより新たな技術的事項が導入されることはないから、新規事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項4及び6による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。
5 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
(1) 訂正事項1及び7について
訂正事項1-1については、上記3(1)及び4(1)で検討したとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
つぎに、訂正事項1-2及び7について検討すると、訂正後の請求項1及び10に記載の二色性物質は、最高被占有軌道のエネルギー準位及びCLogP値が、いずれも訂正前の請求項1及び10に記載の範囲内にある化合物であり、かつ、訂正前の請求項1及び10に記載の式(1)で表される化合物である。そして、最高被占有軌道のエネルギー準位及びCLogP値は化合物ごとに特定の値を示すから、最高被占有軌道のエネルギー準位及びCLogP値による特定がなくとも、訂正後の請求項1及び10に記載の二色性物質は、当初想定していた最高被占有軌道のエネルギー準位及びCLogP値を満たすものといえる。
そうすると、訂正事項1-2及び7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1及び7による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。
(2) 訂正事項2~6及び8について
上記3(2)~(6)及び(8)並びに4(2)及び(3)で検討したとおり、訂正事項2~6及び8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2~6及び8による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。
6 小括
以上のとおり、本件訂正の訂正事項1~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付の訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10、11〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
本件訂正により訂正された請求項1~11に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明11」といい、まとめて、「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「 【請求項1】
アゾ基を有する二色性物質および液晶性化合物を含有する組成物であって、
前記二色性物質は、下記No.I-1~I-19、II-1~II-8、III-1~III-6、および、IV-1~IV-11のいずれかで表される、組成物。
【化1】
[図:0001400435000011.jpg]
[図:0001400435000012.jpg]
[図:0001400435000013.jpg]
[図:0001400435000014.jpg]
ただし、式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表す。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記二色性物質の極大吸収波長が400~500nmの範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
請求項1に記載の組成物を用いて形成される、光吸収異方性膜。
【請求項7】
基材と、前記基材上に設けられる請求項6に記載の光吸収異方性膜とを有する、積層体。
【請求項8】
さらに、前記光吸収異方性膜上に設けられるλ/4板を有する、請求項7に記載の積層体。
【請求項9】
請求項6に記載の光吸収異方性膜、または、請求項7もしくは請求項8に記載の積層体を有する、画像表示装置。
【請求項10】
下記No.I-1~I-19、II-1~II-8、III-1~III-6、および、IV-1~IV-11のいずれかで表される、二色性物質。
【化2】
[図:0001400435000015.jpg]
[図:0001400435000016.jpg]
[図:0001400435000017.jpg]
[図:0001400435000018.jpg]
ただし、式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表す。
【請求項11】
(削除)」
(以下、請求項1及び10に記載の「二色性物質」を「本件No.I~IVの二色性物質」という。また、請求項1及び10に記載の「No.I-1~I-19」のいずれかで表される二色性物質、「No.II-1~II-8」のいずれかで表される二色性物質、「No.III-1~III-6」のいずれかで表される二色性物質及び「No.IV-1~IV-11」のいずれかで表される二色性物質を、それぞれ、「本件No.Iの二色性物質」、「本件No.IIの二色性物質」、「本件No.IIIの二色性物質」及び「本件No.IVの二色性物質」という。)
第4 特許異議申立理由及び取消理由
1 特許異議申立人が申し立てた理由について
(1) 理由1(明確性要件)(特許異議申立書の11~13頁)
訂正前の請求項1~11に係る特許は、特許請求の範囲の記載が次の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
訂正前の請求項1及び10に記載の「最高被占有軌道のエネルギー準位」は、どのような計算で求めたものか不明であり、請求項1又は10の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~9及び11の記載も、同様に不明確である。
(2) 理由2(実施可能要件)(特許異議申立書の13頁)
訂正前の請求項1~11に係る特許は、明細書の記載が次の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
訂正前の請求項1及び10に記載の「最高被占有軌道のエネルギー準位」の計算について、計算手法と基底関数の測定条件の組み合わせの数は膨大であり、特定の組み合わせが当業者間で慣用されているという事実もなく、どのような計算条件が適切であるのかを判断するために、当業者に期待し得る程度を越える過度の試行錯誤を強いるものであって、本件特許明細書は、訂正前の請求項1及び10に係る特許について、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。また、請求項1又は10の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~9及び11に係る特許についても同様に、本件特許明細書は、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
(3) 理由3(新規性)(特許異議申立書の6頁の理由の要点)
(3-1) 訂正前の請求項1、2及び5~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1、2及び5~10に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3-2) 訂正前の請求項1~6、10及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1~6、10及び11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3-3) 訂正前の請求項1及び10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1及び10に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(4) 理由4(進歩性)(特許異議申立書の6及び7頁の理由の要点)
(4-1) 訂正前の請求項1、2及び5~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1、2及び5~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(4-2) 訂正前の請求項1~6、10及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1~6、10及び11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(4-3) 訂正前の請求項1及び10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第3号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1及び10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
甲第1号証:特開2013-210624号公報
甲第2号証:西独国特許出願公開第3342040号明細書
甲第3号証:特開昭62-45664号公報
2 取消理由通知に記載した取消理由について
(1) 令和4年7月22日付けで通知した取消理由の概要
本件訂正前の本件特許に対して、令和4年7月22日付けで通知した取消理由の理由1~4の概要は次のとおりである。
理由1(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
本件明細書には「HOMO値」の算出に関する「Gaussian97」の「計算手法」及び「基底関数」の要件についての記載がなく、当該要件の選択によって「HOMO値」は大きく変化し、当該要件の選択が当業者にとって技術常識とはいえないから、請求項1に記載の「HOMO値」である「最高被占有軌道のエネルギー準位」の技術的事項は不明瞭である。
また、請求項1の記載を引用する請求項2~9、並びに請求項1の二色性物質に関する発明である請求項10及び請求項10の記載を引用する請求項11についても、同様の点で不明瞭である。
理由2(実施可能要件)本件特許は、明細書の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
請求項1~11の式(1)又は式(2)で表されるという定義を満たす化合物で、かつ、HOMO値の条件を満たす化合物を必ず得ることができるとはいえないから、請求項1~11に係る発明について、発明の詳細な説明は当業者が実施できる程度に、明確かつ十分に記載されているとはいえない。
理由3(新規性)本件請求項1、2及び5~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であり、本件請求項1~6及び9~11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明であり、本件請求項10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由4(進歩性)本件請求項7~9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項7~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
甲第1号証:特開2013-210624号公報
甲第2号証:西独国特許出願公開第3342040号明細書
甲第3号証:特開昭62-45664号公報
(以下「甲第1号証」等を「甲1」等という。)
(2) 令和4年12月23日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要
本件特許の特許請求の範囲を、令和4年9月26日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10、11〕について訂正することを認め、そして、その訂正後の請求項1~3及び5~11に係る特許に対して、特許権者に令和4年12月23日付けで通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
上記(1)の取消理由の理由1及び2によって、令和4年9月26日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲により訂正された請求項1~3及び5~11に係る特許は取り消されるべきものである。
第5 当審合議体の判断
本件発明1、4及び6~10に係る特許は、以下で述べるように、当審において通知された上記第4の2(1)及び(2)の取消理由の理由1~4、及び、申立人による申立理由1~4によっては、取り消すことができないと判断する。その理由は次のとおりである。
1 取消理由の理由1~4の検討
(1) 甲号証の記載事項
ア 甲1の記載
(1a) 「【請求項1】
重合性液晶化合物から形成される重合体と、該重合体中に分散させて光吸収を測定した場合に、波長380~550nmの範囲に吸収極大を有する少なくとも1種の二色性色素(1)と、波長550~700nmの範囲に吸収極大を有する少なくとも2種の二色性色素(2)とを含む偏光膜。
・・・
【請求項10】
透明基材上に、請求項1~9のいずれか記載の偏光膜を設けてなる偏光子。
・・・
【請求項13】
請求項1~9のいずれか記載の偏光膜を備えた液晶表示装置。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか記載の偏光膜と、λ/4層とを有し、以下の(A1)及び(A2)の要件を満たす円偏光板。
(A1)前記偏光膜の吸収軸と、前記λ/4層の遅相軸とのなす角度が、略45°であること;
(A2)波長550nmの光で測定した、前記λ/4層の正面リタデーションの値が100~150nmの範囲であること」
(1b) 「【0032】
ここで、化合物(2)を具体的に示すと、式(2-11)~式(2-39)でそれぞれ表される化合物などが挙げられる。
【0033】
[図:0001400435000019.jpg]
」
(1c) 「【0203】
実施例1〔偏光膜形成用組成物(A)の調製〕
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、偏光膜形成用組成物(A)を得た。なお、ここで用いる二色性色素の「化合物(1-7)」とは、前記式(1-7)で表される化合物を意味し、他の二色性色素として用いる化合物もその式番号に準じる。以下も同様とする。
重合性液晶化合物;化合物(4-6) 75部
化合物(4-8) 25部
二色性色素; 化合物(1-7) 3.0部
化合物(2-17) 2.5部
化合物(2-29) 1.5部
化合物(2-32) 2.0部
重合開始剤;
2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369;チバスペシャルティケミカルズ社製) 6部
レベリング剤;
ポリアクリレート化合物(BYK-361N;BYK-Chemie社製)
1.2部
溶剤;トルエン 250部
【0204】
1.X線回折測定
ガラス基板上に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2質量%水溶液(配向層形成用組成物)をスピンコート法により塗布し、乾燥後、厚さ100nmの膜を形成した。続いて、得られた膜の表面にラビング処理を施すことにより配向層を形成した。ラビング処理は、半自動ラビング装置(商品名:LQ-008型、常陽工学株式会社製)を用いて、布(商品名:YA-20-RW、吉川化工株式会社製)によって、押し込み量0.15mm、回転数500rpm、16.7mm/sの条件で行った。このようにして作製した配向膜上に偏光膜形成用組成物(A)をスピンコート法により塗布し、120℃のホットプレート上で1分間加熱乾燥した後、速やかに室温まで冷却して、前記配向層上に乾燥被膜を形成した。次いで、UV照射装置(SPOT CURE SP-7;ウシオ電機株式会社製)を用い、紫外線を、露光量2000mJ/cm2(365nm基準)で乾燥被膜に照射することにより、該乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物を、前記重合性液晶化合物の液晶状態を保持したまま重合させ、該乾燥被膜から偏光膜を形成した。この際の偏光膜の厚みをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製 OLS3000)により測定したところ、1.7μmであった。
この偏光膜に対して、X線回折装置X’ Pert PRO MPD(スペクトリス株式会社製)を用いて同様にX線回折測定を行った結果、2θ=20.2°付近にピーク半価幅(FWHM)=約0.17°のシャープな回折ピーク(ブラッグピーク)が得られた。また、ラビング垂直方向からの入射でも同等な結果を得た。ピーク位置から求めた秩序周期(d)は約4.4Åであり、高次スメクチック相を反映した構造を形成することを確認した。
【0205】
2.透明フィルム上への光配向膜の作製
透明基材としてトリアセチルセルロースフィルム(KC8UX2M、コニカミノルタ(株)製)を用い、下記式(3)で表される光配向ポリマーをトルエンに5%溶解させた液をバーコート法により塗布して、120℃で乾燥して乾燥被膜を得た。この乾燥被膜上に偏光UVを照射して光配向膜を得た。偏光UV処理は、UV照射装置(SPOT CURE SP-7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長365nmで測定した強度が100mJの条件で行った。
[図:0001400435000020.jpg]
【0206】
3.偏光膜の作製
前記のようにして得た光配向膜付きフィルム上に、偏光膜形成用組成物(A)をバーコート法(#5 17mm/s)により塗布し、120℃の乾燥オーブンにて1分間加熱乾燥した後、室温まで冷却した。次いで、UV照射装置(SPOT CURE SP-7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、露光量2000mJ/cm2(365nm基準)の紫外線を、偏光膜形成用組成物から形成された層に照射することにより、該乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物を、前記重合性液晶化合物の液晶状態を保持したまま重合させ、該乾燥被膜から偏光膜を形成した。この際の偏光膜の膜厚をレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製 OLS3000)により測定したところ、1.6μmであった。かくして得られたものは、偏光膜と透明基材とを含む偏光子である。
【0207】
4.偏光度、透過率、色相の測定
偏光子の有用性を確認するため、以下のようにして視感度補正偏光度、視感度補正透過率、色度a*値、色度b*値、直交a*及び直交b*を測定した。
波長380nm~780nmの範囲で透過軸方向の透過率(T1)及び吸収軸方向の透過率(T2)を、分光光度計(島津製作所株式会社製 UV-3150)に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いてダブルビーム法で測定した。該フォルダーは、リファレンス側は光量を50%カットするメッシュを設置した。下記式(式1)ならびに(式2)を用いて、各波長における単体透過率、偏光度を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率(Ty)および視感度補正偏光度(Py)を算出した。また、同様に測定した単体透過率からC光源の等色関数を用いて、L*a*b*(CIE)表色系における色度a*及びb*を算出した。さらに、同様に測定した直交透過率からC光源の等色関数を用いて、L*a*b*(CIE)表色系における直交a*及び直交b*を算出した。色度a*、色度b*、直交a*及び直交b*は値が0に近いほど、ニュートラルな色相であると判断できる。これらの結果を表4に示す。
単体透過率(%)= (T1+T2)/2 ・・・(式1)
偏光度(%) = (T1-T2)/(T1+T2)×100 ・・・(式2)
」
(1d) 「【0220】
【表4】
[図:0001400435000021.jpg]
【0221】
表4からわかるように、実施例1~7の偏光膜はいずれも従来のヨウ素-PVA偏光子よりも薄型であった。また、実施例1~7の偏光膜はいずれもニュートラルな色相性を示した。」
イ 甲2の記載(甲2は独文なので、記載事項は訳文にて示す。)
(2a) 「特許請求の範囲
1. 下記式のトリスアゾ染料。
[図:0001400435000022.jpg]
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、C6~C18-アルキル、又はアルキル若しくはシクロアルキルで置換されていてもよいベンジルであり、基のうちの1つは水素であり、環A、B、C及びDは塩素、メチル又はメトキシで置換されていてもよく、
[図:0001400435000023.jpg]
は除外される。)
2. ・・・
5. 電気光学液晶ディスプレイにおける染料としての、又は偏光フィルムの製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。」
(2b) 「式Iの化合物は、ゲスト-ホスト型の電気光学液晶ディスプレイにおける多色性染料として、及び着色偏光フィルムを製造するために特に適している。
多色性染料を含有する液晶材料は、ディスプレイに使用される。本発明による使用の原理は公知であり、例えば、H. Kelker、R. Hatz、Handbook of Liquid Crystals、p.611ff (1980)、R. J. Cox、Mol. Cryst. Liq. Cryst. Vol. 55、p. 51ff (1979)、L. Pauls、G. Schwarz、Elektronik 14、p. 66ff (1982)に記載されている。本発明による使用を詳細に記載するさらなる文献は、言及された刊行物に見出すことができる。」(3頁36行~4頁3行)
(2c) 「偏光フィルムの製造のための二色性染料の使用は、例えば、R. Mizoguchi等、in Displays、Vol. 4、p. 201ff (1983)によるものであり、さらなる文献も記載されている。
一般的な製造方法
実施例1
[図:0001400435000024.jpg]
水660部と濃塩酸80部中の4,4’-ジアミノアゾベンゼン21.2部の混合物を濾過し、次に氷600部を濾液に加え、続いて23%亜硝酸ナトリウム水溶液60部を5℃でゆっくりと加えた。添加終了後、混合物を5℃でさらに4時間撹拌し、次いで氷冷しながら、水500部及び水酸化ナトリウム溶液8部中のm-クレゾール21.6部の溶液に滴下した。10%水酸化ナトリウム水溶液の同時添加により、pHをpH7に維持した。ついで、混合物を一晩撹拌し、形成された沈殿物を吸引濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。41部の4,4’-ジ-(2-メチル-4-ヒドロキシフェニルアゾ)-アゾベンゼンを得た。
4,4-ジ(2-メチル-4-ヒドロキシフェニルアゾ)アゾベンゼン6.8部、炭酸カリウム2.1部、臭化ベンジル2.6部及びジメチルホルムアミド50部の混合物を80℃で3時間攪拌した。室温で水100部を添加し、沈殿物を吸引濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。出発化合物、4-(2-メチル-4-ヒドロキシフェニルアゾ)-4’-(2-メチル-4-ベンジルオキシ-フェニルアゾ)アゾベンゼン(1)及び4,4’-ジ-(2-メチル-4-ベンジルオキシ-フェニルアゾ)アゾベンゼンからなる染料混合物6.9部を得た。
移動相としてトルエン/酢酸エチル混合物(10:1)を用いてシリカゲル(MNシリカゲル60、0.063-0.2mm)上で染料混合物をクロマトグラフィー処理し、引き続きトルエンから再結晶することにより、所望の染料Iを純粋な形で得た。融点:191℃、λmax(CH2Cl2中):415nm。
実施例2
[図:0001400435000025.jpg]
13.5部の4,4’-ジ(2-メチル-4-ヒドロキシフェニルアゾ)アゾベンゼン、8.3部の炭酸カリウム、10.8部のイソノニルクロライド及び150部のジメチルホルムアミドの混合物を100℃で5時間加熱し、撹拌した。室温で水300部を添加し、沈殿物を吸引濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。粗生成物17部を得、二重アルキル化生成物を実施例1に記載のように精製した。融点:146℃、λmax (CH2Cl2中):417nm。
以下の表は、同様に調製した他の染料を記載する。」(4頁26行~5頁40行)
(2d) 「
[図:0001400435000026.jpg]
」(7頁の表)
ウ 甲3の記載
(3a) 「実施例1
4-アミノ-4’-ニトロアゾベンゾール124部及び水1000部からの混合物に、5℃でまず23%亜硝酸ナトリウム溶液150部、次いで濃塩酸50部を加える。混合物を5℃で5時間攪拌し、次いで活性炭5部を添加してろ別する。ろ液を氷冷下に、m-クレゾール54部、苛性ソーダ溶液20部及び水500部の溶液に加え、その際溶液のpH価を希苛性ソーダ溶液を添加して7に保つ。混合物をさらに1時間室温で攪拌し、次いで生成した染料を吸引ろ過し、水洗して乾燥する。次式
[図:0001400435000027.jpg]
のビスアゾ染料(融点:272℃)が170部(理論値の94%)得られる。
このビスアゾ染料54.2部、n-オクチルブロミド29部、炭酸カリウム20.7部及びジメチルホルムアミド250部からの混合物を100℃で3時間攪拌し、生成した沈殿を冷時吸引ろ過し、少量のジメチルホルムアミドで洗浄したのち水洗して乾燥する。
[図:0001400435000028.jpg]
のアルキル化された染料(融点:120℃)が41部(理論値の58%)得られる。」(5頁左上欄~右上欄第8行、当審注:「ろ別」、「ろ液」及び「ろ過」における「ろ」は、さんずいに「戸」。)
(2) 取消理由の理由1(明確性要件)について
本件訂正により、本件発明は、二色性物質の特定が、「最高被占有軌道のエネルギー準位」によるものではなく、分子構造の特定のみによるものとなった結果、該当する二色性物質は「本件No.I~IVの二色性物質」のみで明確となり、本件請求項1、4及び6~10に係る特許は、その特許請求の範囲の記載に不備はない。
したがって、本件請求項1、4及び6~10についての取消理由の理由1は、理由がない。
(3) 取消理由の理由2(実施可能要件)について
本件訂正により、本件発明は、二色性物質の特定が、「最高被占有軌道のエネルギー準位」によるものではなく、分子構造の特定のみによるものとなった結果、該当する二色性物質は「本件No.I~IVの二色性物質」のみで明確となり、当該二色性物質について、発明の詳細な説明は、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。
したがって、本件請求項1、4及び6~10についての取消理由の理由2は、理由がない。
(4) 取消理由の理由3(新規性)について
ア 甲1を主引例とする場合
(ア) 甲1発明の認定
摘記(1a)によると、「重合性液晶化合物から形成される重合体と、該重合体中に分散させて光吸収を測定した場合に、波長380~550nmの範囲に吸収極大を有する少なくとも1種の二色性色素(1)と、波長550~700nmの範囲に吸収極大を有する少なくとも2種の二色性色素(2)とを含む偏光膜」が記載されている。
そして、摘記(1b)によると、二色性色素(2)の化合物として、
[図:0001400435000029.jpg]
[図:0001400435000030.jpg]
(以下、それぞれ、化合物(2-12)、(2-13)及び(2-17)という。)を用いることが挙げられている。
さらに、摘記(1c)及び(1d)によると、実施例において、化合物(2-17)を含有する偏光膜形成用組成物を用いて、具体的に偏光膜を製造・評価することが記載されている。
そうすると、甲1には以下の発明が記載されているといえる。
「重合性液晶化合物から形成される重合体と、該重合体中に分散させて光吸収を測定した場合に、波長380~550nmの範囲に吸収極大を有する少なくとも1種の二色性色素(1)と、波長550~700nmの範囲に吸収極大を有する少なくとも2種の二色性色素(2)とを含む偏光膜形成用組成物において、二色性色素(2)の1つが化合物(2-12)、(2-13)又は(2-17)である偏光膜形成用組成物。」(以下、「甲1発明」という。)
(イ) 発明の対比・判断
(a) 本件発明1について
甲1発明の二色性色素(2)である化合物(2-12)、(2-13)及び(2-17)は、アゾ基を有する二色性物質であり、甲1発明の「重合性液晶化合物から形成される重合体」は、本件発明1の「液晶化合物」に相当し、「偏光膜形成用組成物」が「組成物」であることは明らかである。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「アゾ基を有する二色性物質および液晶性化合物を含有する組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1:本件発明1の二色性物質は、本件No.I~IVの二色性物質であるのに対して、甲1発明の二色性物質は、化合物(2-12)、(2-13)又は(2-17)である点
上記相違点1について検討すると、化合物(2-12)、(2-13)及び(2-17)は、「本件No.Iの二色性物質」、「本件No.IIIの二色性物質」及び「本件No.IVの二色性物質」に対して、ジアゾ芳香族骨格が相違するものであり、「本件No.IIの二色性物質」に対して、少なくとも置換基R1が異なるものであるから、相違点1は実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は甲1に記載された発明ではない。
(b) 本件発明6~10について
本件発明6~9は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用し、本件発明1を更に限定するものであって、「本件No.I~IVの二色性物質」を含有することが必須の発明であり、本件発明10は「本件No.I~IVの二色性物質」そのものである。
したがって、本件発明1が甲1に記載された発明であるとはいえないことに鑑みると、本件発明6~10も甲1に記載された発明ではない。
イ 甲2を主引例とする場合
(ア) 甲2発明の認定
摘記(2a)によると、特定構造のトリスアゾ染料を、電気光学液晶ディスプレイにおける染料として使用することが記載され、摘記(2b)によると、「ゲスト-ホスト型の電気光学液晶ディスプレイにおける多色性染料として、・・・特に適して」いることが記載されている。
さらに、摘記(2d)によると、実施例14では、
[図:0001400435000031.jpg]
(以下、当該染料を「化14化合物」という。)を前記トリスアゾ染料として合成している例が記載されている。
そうすると、甲2には以下の発明が記載されているといえる。
「ゲスト-ホスト型の電気光学液晶ディスプレイにおける多色性染料のための二色性染料を使用する組成物において、当該染料が化14化合物である組成物。」(以下、「甲2発明」という。)
(イ) 発明の対比・判断
(a) 本件発明1について
甲2発明の多色性染料又は二色性染料である化14化合物は、アゾ基を有する二色性物質であり、甲2発明はゲスト-ホスト型の電気光学液晶ディスプレイにおける多色性染料として使用するものであるから、多色性染料は液晶化合物と混合され使用されるものであって、甲2発明の組成物は液晶化合物を含有するものといえる。
そうすると、本件発明1と甲2発明とは、
「アゾ基を有する二色性物質および液晶性化合物を含有する組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点2:本件発明1の二色性物質は、本件No.I~IVの二色性物質であるのに対して、甲2発明の二色性物質は、化14化合物である点
上記相違点2について検討すると、化14化合物は、「本件No.IIの二色性物質」、「本件No.IIIの二色性物質」及び「本件No.IVの二色性物質」に対して、ジアゾ芳香族骨格が相違するものであり、「本件No.Iの二色性物質」に対して、少なくとも置換基R1がフェニルエチルオキシ基である点で異なるものであるから、相違点2は実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は甲2に記載された発明ではない。
(b) 本件発明4、6、9及び10について
本件発明4、6及び9は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用し、本件発明1を更に限定するものであって、「本件No.I~IVの二色性物質」を含有することが必須の発明であり、本件発明10は「本件No.I~IVの二色性物質」そのものである。
したがって、本件発明1が甲2に記載された発明であるとはいえないことに鑑みると、本件発明4、6、9及び10も甲2に記載された発明ではない。
ウ 甲3を主引例とする場合
(ア) 甲3発明の認定
摘記(3a)によると、実施例において、ビスアゾ染料をn-オクチルブロミドを用いた置換基交換反応により、
[図:0001400435000032.jpg]
(ただし、上記C8H17は、直鎖のアルキル基)というアルキル化した染料(以下、当該染料を「中間体化合物」という。)を合成することが記載されている。
そうすると、甲3には以下の発明が記載されているといえる。
「
[図:0001400435000033.jpg]
で表される中間体化合物」(以下、「甲3発明」という。)
(イ) 発明の対比・判断
本件発明10について
甲3発明の中間体化合物は、アゾ基を有する化合物であり、その分子構造から二色性を示す蓋然性が高い。
そうすると、本件発明10と甲3発明とは、
「アゾ基を有する二色性物質。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点3:本件発明10の二色性物質は、本件No.I~IVの二色性物質であるのに対して、甲3発明の二色性物質は、中間体化合物である点
上記相違点3について検討すると、中間体化合物は、「本件No.Iの二色性物質」、「本件No.IIIの二色性物質」及び「本件No.IVの二色性物質」に対して、ジアゾ芳香族骨格が相違するものであり、「本件No.IIの二色性物質」に対して、少なくとも置換基R1が異なるものであるから、相違点3は実質的な相違点である。
したがって、本件発明10は甲3に記載された発明ではない。
エ まとめ
したがって、本件発明1及び6~10は、甲1に記載された発明ではなく、本件発明1、4、6、9及び10は、甲2に記載された発明ではなく、本件発明10は、甲3に記載された発明ではなく、請求項1、4及び6~10についての取消理由の理由3は、本件訂正により解消し、理由がない。
(5) 取消理由の理由4(進歩性)について
ア 本件発明7について
本件発明7は、基材上に本件発明6の光吸収性異方性膜を積層した積層体である。
本件発明7と甲2発明とを対比すると、両者は、上記(4)イ(イ)(a)に示した点で一致し、上記(4)イ(イ)(a)で示した相違点2(ただし、「本件発明1」を「本件発明7」と読み替える。)に加え、下記相違点4で相違する。
相違点4:本件発明7は、組成物を用いて形成した光吸収異方性膜を基材上に設けた積層体であるのに対し、甲2発明は、ゲスト-ホスト型の電気光学液晶ディスプレイにおける多色性染料のための二色性染料を使用する組成物である点
まず、相違点2について検討すると、上記(4)イ(イ)(a)で述べたとおり、相違点2は実質的な相違点であって、摘記(2a)や周知技術を考慮しても、甲2発明の化14化合物において、ジアゾ芳香族骨格を変更したり、置換基を変更することの動機付けはなく、相違点2に係る本件発明7の発明特定事項は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。
したがって、本件発明7は、相違点4について検討するまでもなく、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明8及び9について
本件発明8及び9は、請求項7の記載を直接的又は間接的に引用し、本件発明7を更に限定するものであって、上記相違点2について少なくとも実質的に相違するものである。
したがって、本件発明7が甲2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないことに鑑みると、本件発明8及び9も甲2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ まとめ
したがって、本件発明7~9は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項7~9についての取消理由の理由4は、本件訂正により解消し、理由がない。
2 取消理由に採用しなかった申立て理由について(一部採用したものも含め記載)
(1) (3)理由3(新規性)(3-3)、(4)理由4(進歩性)(4-1)、(4-2)、(4-3)
ア (3)理由3(新規性)(3-3)について
本件発明1について
本件発明1は、実質的に、本件発明10の「本件No.I~IVの二色性物質」および液晶性化合物を含有する組成物である。
本件発明1と甲3発明とを対比すると、両者は、「二色性物質に関するもの」である点で一致し、上記1(4)ウ(イ)で示した相違点3(ただし、「本件発明10」を「本件発明1」と読み替える。)に加え、下記相違点5で相違する。
相違点5:本件発明1は、アゾ基を有する二色性物質および液晶性化合物を含有する組成物であるのに対し、甲3発明は、化合物である点
相違点3については、上記1(4)ウ(イ)で述べたとおり、実質的な相違点であるから、相違点5について検討するまでもなく、本件発明1は甲3に記載された発明ではない。
イ (4)理由4(進歩性)(4-1)について
(ア) 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は、上記1(4)ア(イ)(a)に示した点で一致し、相違点1で実質的に相違する。
相違点1について検討すると、上記1(4)ア(イ)(a)で述べたとおり、相違点1は実質的な相違点であって、摘記(1b)を考慮しても、甲1発明の化合物(2-12)、(2-13)又は(2-17)において、ジアゾ芳香族骨格を変更したり、置換基を変更することの動機付けはなく、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到するものではない。
したがって、本件発明1は甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到するものではない。
(イ) 本件発明6~10について
本件発明6~9は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用し、本件発明1を更に限定するものであって、「本件No.I~IVの二色性物質」を含有することが必須の発明であり、本件発明10は「本件No.I~IVの二色性物質」そのものである。
したがって、本件発明1が甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到するものではないことに鑑みると、本件発明6~10も甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到するものではない。
ウ (4)理由4(進歩性)(4-2)について
(ア) 本件発明1について
本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は、上記1(4)イ(イ)(a)に示した点で一致し、相違点2で実質的に相違する。
相違点2について検討すると、上記1(5)アで述べた理由と同様に、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到するものではない。
したがって、本件発明1は甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に想到するものではない。
(イ) 本件発明4、6及び10について
本件発明4及び6は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用し、本件発明1を更に限定するものであって、「本件No.I~IVの二色性物質」を含有することが必須の発明であり、本件発明10は「本件No.I~IVの二色性物質」そのものである。
したがって、本件発明1が甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に想到するものではないことに鑑みると、本件発明4、6及び10も甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に想到するものではない。
エ (4)理由4(進歩性)(4-3)について
(ア) 本件発明1について
本件発明1と甲3発明とを対比すると、両者は、上記アに示した点で一致し、相違点3(ただし、「本件発明10」を「本件発明1」と読み替える。)及び相違点5で実質的に相違する。
相違点3について検討すると、上記アで述べたとおり、相違点3は実質的な相違点であって、甲3発明の中間体化合物において、ジアゾ芳香族骨格を変更したり、置換基を変更することの動機付けはなく、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項は、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到するものではない。
したがって、本件発明1は、相違点5について検討するまでもなく、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に想到するものではない。
(イ) 本件発明10について
本件発明10は「本件No.I~IVの二色性物質」そのものである。
したがって、本件発明1が甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に想到するものではないことに鑑みると、本件発明10も甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に想到するものではない。
オ 小括
よって、申立人が主張する(3)理由3(新規性)(3-3)並びに(4)理由4(進歩性)(4-1)、(4-2)及び(4-3)によっては、本件発明1、4及び6~10に係る特許を取り消すことはできない。
(2) 申立人が令和5年4月3日に提出した意見書の甲5(特開平11-228967号公報)に基づく主張について
ア 主張の採用の可否について
申立人の甲5に基づく主張は、特許異議申立書に記載されておらず、特許異議申立書に記載された申立ての理由に対して、意見の内容が実質的に新たな内容を含むものであると認められる。また、本件訂正は、訂正前から実質的に請求項に記載されていたものといえるから、特許権者による訂正の請求に付随して生じた事項でもない。
したがって、申立人の甲5に基づく主張は、新たな取消理由として採用されない。
イ 補足
申立人の甲5に基づく主張は、新たな取消理由として採用されないものの、その内容について以下に一応検討する。
甲5には、本件発明の「本件No.I~IVの二色性物質」について、合成例を伴う実施例として具体的に記載されていないだけでなく、例示化合物としての記載もない。そして、甲5に記載された発明の化合物として認定できるのは、実施例で示された化合物、又は技術常識等も踏まえて化合物の提供が明らかに可能な例示化合物にとどまるものといえる。
したがって、本件発明は甲5に記載された発明ではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、4及び6~10に係る特許を取り消すことはできない。さらに、ほかに本件請求項1、4及び6~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件請求項2、3、5及び11に係る特許は、本件訂正により削除され、請求項2、3、5及び11に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700275