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特許異議申立

2022-700134

喫煙材を加熱するための装置

審判番号
2022-700134
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-118784
登録番号
6919861
請求日
2022年02月16日
審決日
2022年12月15日
公報発行日
2023年03月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
  • 【権利者代理人】池田 成人
  • 【権利者代理人】酒巻 順一郎
  • 【権利者代理人】野田 雅一
  • 【権利者代理人】戸津 洋介
  • 【異議申立人】リ ヒョン ソン
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人WisePlus
審判長/審判官
  • 審判長 西村 泰英
  • 審判官 松下 聡
  • 審判官 平城 俊雅
分類
P1651.113-YAA(A24F) / P1651.121-YAA(A24F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6919861号発明「喫煙材を加熱するための装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6919861号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-19〕について訂正することを認める。 特許第6919861号の請求項1、4~19に係る特許を維持する。 特許第6919861号の請求項2、3に係る特許についての特許異議申立を却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6919861号の請求項1~19に係る特許についての出願は、2016年8月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年8月31日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2018-506381号の一部を、令和1年6月26日に新たな特許出願としたものであって、令和3年7月28日にその特許権の設定登録がされ、令和3年8月18日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年 2月16日 :特許異議申立人 リ ヒョン ソン(以下「異議申立人」という。)による請求項1~19に係る特許に対する特許異議の申立て 令和4年 4月13日付け:取消理由通知書 令和4年 7月19日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和4年 7月28日付け:訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項) 令和4年 9月 9日 :異議申立人による意見書の提出 令和4年 9月30日付け:訂正拒絶理由通知書 令和4年11月22日 :特許権者による意見書及び手続補正書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正請求書に対する手続補正について 令和4年11月22日の手続補正書による補正(以下、「当該補正」という。)は、 訂正事項1により訂正される、請求項1の記載を引用する請求項が、請求項2~19であったのを、当該補正により請求項4~19と補正するものであり、 訂正事項2が、特許請求の範囲の請求項2に「前記本体には、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がない、請求項1に記載の装置。」と記載されているのを、「前記装置が、前記コイルと前記本体との間に第1の断熱材の塊を備えるか、又は、前記コイルが、断熱材の本体内に埋め込まれ、前記断熱材の本体が、前記加熱領域を画定する前記本体を含む、請求項1に記載の装置。」という記載に訂正するとしたのを、「(削除)」に訂正する、と補正したものである。 さらに、当該補正は、請求項2の記載の削除に整合させるため、請求項2のみを引用する請求項3の記載を併せて「(削除)」とし、請求項4~7、9~18が択一的に引用する請求項から、請求項2、3を引用しない記載にしたものであって、当該補正は、審理対象の拡張変更を伴わない補正であるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。 したがって、令和4年11月22日の手続補正書による補正を認める。 2 訂正の内容 本件訂正請求は、特許第6919861号の特許請求の範囲を、令和4年11月22日付け手続補正書により補正された、令和4年7月19日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求〔1-19〕について訂正すること(以下「本件訂正」という。)を求めるものであって、その内容は以下の訂正事項1ないし3のとおりである(なお、下線を付した箇所は、訂正箇所である。また、訂正請求書における「訂正事項2」について、その内容に即して下記「訂正事項2」、「訂正事項3」に改めた。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において、 「喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置であって、 加熱領域を画定する本体であって、前記加熱領域は、喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるように構成された、本体と、 変動磁場を発生させるように構成された磁場発生器と、 前記加熱領域内に突出する細長い加熱素子と、 を備え、 前記加熱素子は、加熱材を備えており、前記加熱材は、前記変動磁場の侵入によって加熱可能であり、前記加熱領域を加熱し、 前記磁場発生器が、コイルと、前記コイルに変動電流を流すように構成されたデバイスとを備え、前記コイルは前記本体及び前記加熱素子を取り囲む、装置。」と記載されているのを、 「喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置であって、 加熱領域を画定する本体であって、前記加熱領域は、喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるように構成された、本体と、 変動磁場を発生させるように構成された磁場発生器と、 前記加熱領域内に突出する細長い加熱素子と、 を備え、 前記加熱素子は、加熱材を備えており、前記加熱材は、前記変動磁場の侵入によって加熱可能であり、前記加熱領域を加熱し、 前記磁場発生器が、コイルと、前記コイルに変動電流を流すように構成されたデバイスとを備え、前記コイルは前記本体及び前記加熱素子を取り囲み、 前記本体には、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がなく、 前記加熱領域における前記本体と前記加熱素子との間にも、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がない、装置。」に訂正する。 (訂正事項1により訂正される、請求項1の記載を引用する請求項が、請求項2~19であったのを、当該補正により請求項4~19と補正された。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2、3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4~7、9~18が択一的に引用する請求項から、請求項2、3を削除する。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、請求項1における「変動磁場の侵入によって加熱可能であ」る「加熱材」の配置箇所について、「本体」によって「画定」された「加熱領域内に突出する細長い加熱素子」「は、加熱材を備えて」いる、とし、当該加熱素子が備える加熱材の他に、別途の加熱材があるか否かは任意としていたのに対し、別途の加熱材の存否に関して、「本体には、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がなく」、「加熱領域における前記本体と前記加熱素子との間にも、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がない」ことを追加で特定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 本件訂正前の請求項2には「前記本体には、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がない」、本件特許明細書の段落【0063】には「この本体110には、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材はない」とそれぞれ記載されている。 また、段落【0064】には、「上記のように、この実施形態では、本体110自体には、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がない。したがって、下記のように磁場発生器120によって変動磁場を発生させるとき、より多くの変動磁場のエネルギーが加熱素子130を加熱するために利用することができる」との作用効果が記載されており、当該作用効果を奏するためには、加熱領域113における本体110と加熱素子130との間には、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材はないものといえる。そして、このことは、図2において、加熱領域113における本体110と加熱素子130との間に加熱材と思しき部材は示されていないことにも合致する。 よって、訂正事項1は、これらの記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項1は、上記アのように訂正前の請求項1における記載をさらに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2、3を削除するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項2は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2、3を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項2は、上記アのように訂正前の特許請求の範囲の請求項2、3を削除するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、上記訂正事項2による請求項2、3の削除に伴い、特許請求の範囲の請求項4ないし7、9ないし18が択一的に引用する請求項から請求項2、3を削除するものであって、引用する請求項の数を削減するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項3は、上記アのとおり、択一的に引用する請求項から請求項2、3を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項3は、上記アのとおり、択一的に引用する請求項から請求項2、3を削除するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項2~19は、訂正前の請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正後の請求項1~19は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正の訂正事項1~3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する したがって、結論のとおり、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-19〕について訂正することを認める。 第3 訂正発明 上記「第2 訂正の適否」のとおり、本件訂正が認められるから、本件訂正後の請求項1~19に係る発明(以下「訂正発明1」~「訂正発明19」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~19に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「 【請求項1】 喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置であって、 加熱領域を画定する本体であって、前記加熱領域は、喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるように構成された、本体と、 変動磁場を発生させるように構成された磁場発生器と、 前記加熱領域内に突出する細長い加熱素子と、 を備え、 前記加熱素子は、加熱材を備えており、前記加熱材は、前記変動磁場の侵入によって加熱可能であり、前記加熱領域を加熱し、 前記磁場発生器が、コイルと、前記コイルに変動電流を流すように構成されたデバイスとを備え、前記コイルは前記本体及び前記加熱素子を取り囲み、 前記本体には、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がなく、 前記加熱領域における前記本体と前記加熱素子との間にも、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がない、装置。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 前記加熱領域が細長く、前記細長い加熱素子が、前記加熱領域の長手方向軸と実質的に一致する長手方向軸に沿って延在している、請求項1に記載の装置。 【請求項5】 前記加熱素子が長さ、及び前記長さに垂直な断面を有し、前記断面が幅及び奥行きを有し、前記加熱素子の前記長さが前記断面の前記幅より長く、前記断面の前記幅が前記断面の前記奥行きより広い、請求項1、4のいずれか一項に記載の装置。 【請求項6】 前記加熱素子が実質的に平面状である、請求項1、4~5のいずれか一項に記載の装置。 【請求項7】 前記加熱領域の第1の端部に設けられ、前記物品の前記少なくとも一部分を受け入れるように構成された開口をさらに備え、 前記加熱素子が、前記第1の端部の反対側の前記加熱領域の第2の端部から前記加熱領域内に突出し、前記加熱素子が、前記加熱領域の前記第2の端部から遠位にある自由端を有し、前記自由端は、前記物品が前記加熱領域内に挿入されると前記自由端が前記物品に入るように前記開口に対して配置されている、請求項1、4~6のいずれか一項に記載の装置。 【請求項8】 前記加熱素子の前記自由端が先細である、請求項7に記載の装置。 【請求項9】 前記コイルが前記加熱領域を取り囲む、請求項1、4~8のいずれか一項に記載の装置。 【請求項10】 前記コイルが、前記加熱素子の長手方向軸と実質的に一致する長手方向軸に沿って延在する、請求項1、4~9のいずれか一項に記載の装置。 【請求項11】 前記コイルのインピーダンスが、前記加熱素子のインピーダンスと等しい又は実質的に等しい、請求項1、4~10のいずれか一項に記載の装置。 【請求項12】 前記加熱材が、導電性材料、磁性材料、及び非磁性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を備える、請求項1、4~11のいずれか一項に記載の装置。 【請求項13】 前記加熱材が、金属又は金属合金を備える、請求項1、4~12のいずれか一項に記載の装置。 【請求項14】 前記加熱材が、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を備える、請求項1、4~12のいずれか一項に記載の装置。 【請求項15】 前記加熱材が、前記加熱材が前記変動磁場によって貫通されているときに前記加熱材に誘導される渦電流の影響を受けやすい、請求項1、4~14のいずれか一項に記載の装置。 【請求項16】 前記加熱素子が、加熱されると形状を変えるように構成されている、請求項1、4~15のいずれか一項に記載の装置。 【請求項17】 前記加熱材が前記加熱領域に対して露出している、請求項1、4~16のいずれか一項に記載の装置。 【請求項18】 請求項1、4~17のいずれか一項に記載の装置と、 前記装置とともに使用するための物品であって、前記喫煙材を備える物品と、 を備える、システム。 【請求項19】 前記物品が、喫煙材の塊と、前記喫煙材の塊に接続されたワイパーとを備え、前記加熱素子が、前記ワイパーと接触しながら前記喫煙材の塊内に挿入可能である、請求項18に記載のシステム。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1~18に係る特許に対して令和4年4月13日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 [理由1](新規性) 本件特許の請求項1、2、4、7、9、10、12~18に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 [理由2](進歩性) 本件特許の請求項1~18に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明、又は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 <甲号証> 1.甲第1号証:中国特許出願公開第104095291号明細書 2.甲第2号証:特表2015-506170号公報 (当審注:以下、甲第1号証、甲第2号証をそれぞれ「甲1」、「甲2」という。) 2 各甲号証の記載 (1)甲1 ア 甲1に記載された事項 甲1には、以下の事項が記載されている(当審注:下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。 (ア) [図:0001395201000001.jpg] (第2ページ第1~9行) (当審訳:1.電磁加熱によるたばこ喫煙システムであって、エンドキャップ(1)と、ヒータ(2)と、電磁誘導システムとを含み、前記エンドキャップ(1)は着脱可能にヒータ(2)に接続され、前記エンドキャップ(1)はラウンドキャップ(11)とラウンドキャップ(11)に配置されたフィルタ(13)とを含み、前記ラウンドキャップ(11)には空気入口(12)が設けられ、前記ヒータ(2)は外側ケーシング(21)と、いずれも外側ケーシング(21)内部に設けられた内側ライナ(23)、底板(24)及び円柱形鉄心(25)とを含み、前記底板(24)は内側ライナ(23)の底端に連接し、前記底板(24)と内側ライナ(23)との間に、底端が封止され頂端がフィルタ(13)と連通する加熱キャビティ(26)が形成され、前記円柱形鉄心(25)は加熱キャビティ(26)内部に位置し底板(24)と連接し、前記底板(24)に、空気入口(12)及び加熱キャビティ(26)にそれぞれ連通する通気口(27)が設けられ、前記電磁誘導システムは、内側ライナ(23)、底板(24)及び円柱形鉄心(25)を加熱する誘導コイルと、温度制御回路とを含み、前記温度制御回路は、誘導コイルと直列に接続された電源と、スイッチと、コントローラとを含むことを特徴とする、電磁加熱によるたばこ喫煙システム。) (イ) [図:0001395201000002.jpg] (当審訳:[0020](1)本発明は構造が簡単であるばかりかその上、コストは安く、電磁誘導システムによって内側ライナ、底板及び円柱形鉄心に対した加熱は加熱速度と熱効率の高さを高めることができ、また瞬時加熱を実現することができ、これにより吸引口の感じをより良くすることができる;前記円柱形鉄心の設置はタバコに対した均一加熱を実現することができ、タバコを十分加熱することができ、すなわちタバコの加熱が不十分であることによる無駄を引き起こすことを防止することができる。) (ウ) [図:0001395201000003.jpg] (当審訳:[0025](6)本発明の保温断熱層とラウンドキャップとは、いずれも非磁性の保温断熱素材からなり、熱損失を回避可能であると同時に、渦電流の加熱効果が引き起こすラウンドキャップ及び外側ケーシングの過熱によるやけどなどの事故を回避することができる。) (エ) [図:0001395201000004.jpg] (当審訳:[0027](8)本発明の内側ライナ、底板及び円柱形鉄心は一体的構造とし、内側ライナと底板及び円柱形鉄心相互間の熱伝導効率を高めることができ、これによって加熱キャビティ内のたばこに対する均一加熱を実現する。) (オ) [図:0001395201000005.jpg] (当審訳:[0040]図1~3に示すように、電磁加熱によるたばこ喫煙システムは、たばこ粉末、細断たばこ及び円環形のたばこ製品を非燃焼加熱するのに適しており、エンドキャップ1、ヒータ2、及び電磁誘導システムを含む。本発明は、電磁誘導システムによってヒータ2の加熱を実現する。すなわち、ヒータ2によって当該ヒータ2内部のたばこを加熱することができる。前記エンドキャップ1は、たばこを入れたり交換したりしやすいよう、ヒータ2に取り外し可能に接続されている。具体的には、前記エンドキャップはラウンドキャップ11とフィルタ13とを含み、前記ラウンドキャップ11は、全体が円柱形であり、前記フィルタ13は、ラウンドキャップ11上に設置され、当該フィルタ13全体も円柱形であり、当該フィルタ13の中軸線は、ラウンドキャップ11の中軸線と重なり合う。前記ラウンドキャップ11の中央には貫通孔があり、つまり、当該ラウンドキャップ11の横断面は円環状であり、当該貫通穴を介して、ヒータ2内の煙をフィルタ13に入れることができる。) (カ) [図:0001395201000006.jpg] (当審訳:[0042]内側ライナ23、底板24、及び円柱形鉄心25は、いずれも外側ケーシング21の空洞内に設置されている。具体的には、前記内側ライナ23は中空の円柱構造、つまり当該内側ライナ23は横断面が円環形である。前記底板24は外側ケーシング1の底部に位置し、底板24全体は円形であり、当該底板24の直径は内側ライナ23の外径と等しく、かつ当該底板24は内側ライナ23の底端に設置されて内側ライナ23の底端の開口を封止することができ、前記底板24と内側ライナ23との間に、底端が封止され頂端が開口した加熟キャビティ26が形成され、当該加熱キャビティ26はフィルタ13と連通する。ラウンドキャップ11が接続スナップ14を介して外側ケーシング21に連結されると、前記内側ライナ23の頂端がラウンドキャップ11の下面と接触し、それによってたばこの芳香がラウンドキャップ11と内側ライナ23との隙間から漏れ出るのを防止できる。すなわち、たばこの芳香を、フィルタを介して完全かつ十分に喫煙者の口に入れることができる。 [0043]たばこを加熱キャビティ26内に入れ、たばこを加熱すれば、フィルタ13を吸ってたばこの芳香を得ることができる。たばこの芳香が得られるよう、前記底板24にはいくつかの通気口27が設けられ、前記通気口27は、底板24を貫通する貫通孔であって、図2に示すように、当該通気口27は、空気入口12及び加熱キャビティ26とそれぞれ連通する。フィルタ13を吸うと、空気入口12、通気口27を介して外気を加熱キャビティ26に引き込むことができ、たばこが加熱された後、たばこの芳香が加熱キャビティ26内の空気に混合され、フィルタ13を吸えばたばこの芳香を得ることができる。 [0044]前記円柱形鉄心25は円柱構造であり、当該円柱形鉄心25の底端は底板24に接続され、当該円柱形鉄心25は、図2に示すように、全体が加熱キャビティ26の内部に位置している。前記円柱形鉄心25は、加熱キャビティ26の中央に設置されている。すなわち、当該円柱形鉄心25の中軸線は、底板24の中軸線及び内側ライナ23の中軸線の両方と重なり合う。当該円柱形鉄心25を設置することで、加熱キャビティ26中央部分にあるたばこの加熱が便利になり、当該円柱形鉄心25の高さは内側ライナ23よりも低く、たばこのセッティング・交換や、灰の掃除がしやすい。本発明の内側ライナ23、底板24及び円柱形鉄心25はすべて鉄、コバルト、ニッケルなど良好な導電性及び透磁性を有する強磁性金属素材からなり、かつ、前記内側ライナ23、底板24及び円柱形鉄心25は一体構造である。 [0045]加熱キャビティ26を加熱する際に断熱保温がしやすいよう、図2に示すように、前記外側ケーシング21の内部には、内側ライナ23の外面を覆う保温断熱層22がさらに設けられる。前記保温断熱層22は、非磁性保温断熱素材からなり、具体的には、本実施例の保温断熱層22は、非磁性断熱素材であるナノベースの断熱ソフトフェルトを用いて作成している。同時に、前記ラウンドキャップ11も保温断熱層22と同じ非磁性断熱素材のナノベース断熱ソフトフェルトを用いて作成しており、これにより、加熱時のエネルギー損失を防止でき、エネルギーの節約になる。本発明の保温断熱層22と外側ケーシング21との間には、空気流路28がさらに形成され、図2に示すように、当該空気流路28は、空気入口12及び通気ロ27とそれぞれ連通し、外気は、空気入口12から空気流路28に入った後、通気口27を経て加熱キャビティ26に入り、最後に喫煙者がフィルタ13を吸うとフィルタを通って喫煙者の口に入る。 [0046]前記電磁誘導システムは、誘導コイルと温度制御回路とを含み、前記誘導コイルは、保温断熱層22上にらせん状に巻かれ、前記温度制御回路は、図2に示すように、誘導コイルに接続される。前記温度制御回路は、誘導コイルと直列に接続された電源と、スイッチと、コントローラとを含み、前記外側ケーシング21には操作パネル29がさらに設けられ、前記操作パネル29はスイッチ及びコントローラにそれぞれ電気的に接続され、操作パネル29によってスイッチやコントローラの操作が実現される。本発明は、温度制御回路の制御のもと、正確な加熱温度制御を容易に実現できるため、誘導コイルを介してたばこの瞬間加熱を実現することができ、喫煙時の口当たりに対するニーズをよりよく満たすことができる。) (キ) [図:0001395201000007.jpg] (当審訳:[0048]本発明は、電磁誘導システムによって内側ライナ23、底板24、及び円柱形鉄心25を加熱する。すなわち、交番磁界で発生する磁力線が強磁性金属素材を通過するときに、無数の環状渦電流を発生させることができ、渦電流の熱効果により金属素材自体が急速に熱を発し、これによって、加熱速度を向上させ、熱効率を高めることができる。) (ク) 図1 [図:0001395201000008.jpg] 図2 [図:0001395201000009.jpg] 図3 [図:0001395201000010.jpg] イ 甲1の記載から分かること (ア)上記アにおける(カ)の[0043]、(キ)の[0048]、(ク)の図1、図3の記載によると、保温断熱層22は、その内部に、交番磁界で発生する磁力線により加熱される内側ライナ23、底板24及び円柱形鉄心25と、たばこを受け入れる加熱キャビティ26を収容するものであるから、たばこを加熱する領域を定めるものであって、さらに、たばこを受け入れるように構成されたものであるといえる。 (イ)上記アにおける(カ)の[0046]の記載によると、誘導コイルは、保温断熱層22上にらせん状に巻かれるものである。このことと図1の記載から、誘導コイルは、保温断熱層22及び円柱形鉄心25を取り囲んでいることが分かる。 (ウ)上記アにおける(ア)、(エ)の[0027]、(ク)の図1の記載によると、たばこを加熱する領域における保温断熱層22と円柱形鉄心25との間には、円柱形鉄心25と一体的構造となっているとともに誘導コイルにより加熱される内側ライナ23があることが分かる。 ウ 甲1発明 上記ア及びイから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「たばこを加熱して、たばこの芳香を得るためのたばこ喫煙システムであって、 たばこを加熱する領域を定める保温断熱層22であって、たばこを加熱する領域は、たばこを受け入れるように構成されている、保温断熱層22と、 交番磁界を発生させる装置と、 たばこを加熱する領域に突出する円柱形鉄心25と、 を備え、 円柱形鉄心25は、交番磁界による環状渦電流の発生によって加熱可能であり、たばこを加熱する領域を加熱し、 交番磁界を発生させる装置が、誘導コイルと、コントローラとを備え、誘導コイルは、保温断熱層22及び円柱形鉄心25を取り囲み、 保温断熱層22は、非磁性保温断熱素材からなり、 たばこを加熱する領域における保温断熱層22と円柱形鉄心25との間には、円柱形鉄心25と一体的構造となっているとともに誘導コイルにより加熱される内側ライナ23がある、たばこ喫煙システム。」 (2)甲2 ア 甲2に記載された事項 (ア)「【請求項1】 エアロゾル発生装置であって、 エアロゾル形成基材を収容するように構成された基材収容キャビティと、 前記基材収容キャビティ内に配置される内部加熱器と、 前記基材収容キャビティの周囲の周りに配置される外部加熱器と、 前記外部加熱器の温度が前記内部加熱器の温度よりも低いように、前記内部加熱器又は前記外部加熱器の一方に又は前記内部加熱器及び前記外部加熱器の両方に電力を供給するように構成されたコントローラと、 を備えるエアロゾル発生装置。」 (イ)「【0008】 本明細書で用いる場合、「エアロゾル発生物品」又は「喫煙物品」は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出することができるエアロゾル形成基材を備える物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザの口腔を通してユーザの肺に直接吸入されるエアロゾルを形成する喫煙物品とすることができる。エアロゾル発生物品は、廃棄することができる。用語「喫煙物品」は、以下で一般に用いる。喫煙物品は、タバコスティックであり又はこれを含むことができる。」 (ウ)「【0027】 喫煙物品の全長は、約30mmから約100mmとすることができる。喫煙物品の外径は、約5mmから約12mmとすることができる。喫煙物品はフィルタプラグを備えることができる。フィルタプラグは、喫煙物品の下流端に設けることができる。フィルタプラグは、セルロースアセテートフィルタプラグとすることができる。1つの実施形態において、フィルタプラグの長さは約7mmであるが、約5mmから約10mmの長さをもつことができる。」 (エ)「 【0050】 加熱器は、3つの別体の加熱要素である、内部加熱要素22及び2つの外部加熱要素24、26を備える。内部加熱器22は、基部21に支持されたブレードの形態であり、図3aにより明確に示されている。内部加熱要素22は、基材の内部に収容されるように構成されている。図3bにより明確に示された外部加熱要素24及び26は、喫煙物品の外面に近接又は接触する状態で配置される。外部加熱要素24、26は、弓形の横断面を有し、キャビティの周囲の周りに延びる。 【0051】 外部加熱器は、ハウジング10内の支持構造部50に取り付けられる。支持構造部は、図3cにより明確に示され、内部に形成された複数の孔を有する円筒形シェル52を備える。外部加熱要素24及び26は、該加熱要素24、26から支持構造部50及びハウジング10への伝熱損失を抑制するために、シェル上のらせん内部リブ構造部56上に支持される。キャップ構造部58は加熱器を所定位置に固定するために設けられる。」 (オ) [図:0001395201000011.jpg] [図:0001395201000012.jpg] 3 当審の判断 (1)訂正発明1について 訂正発明1と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明における「たばこ」は、訂正発明1における「喫煙材」に相当し、甲1発明における「たばこの芳香を得るための」、「たばこ喫煙システム」は、訂正発明1における「喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための」、「装置」に相当する。 イ 甲1発明における「たばこを加熱する領域」は、訂正発明1における「加熱領域」に相当し、甲1発明における「たばこを加熱する領域を定める」、「保温断熱層22」は、訂正発明1における「加熱領域を画定する」、「本体」に相当し、甲1発明における「たばこを加熱する領域は、たばこを受け入れるように構成されている」ことは、訂正発明1における「前記加熱領域は、喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるように構成され」ていることに相当する。 ウ 甲1発明における「交番磁界」は、訂正発明1における「変動磁場」に相当し、甲1発明における「交番磁界を発生させる装置」は、訂正発明1における「変動磁場を発生させるように構成された」、「磁場発生器」に相当する。 エ 甲1発明における「たばこを加熱する領域に突出する」、「円柱形鉄心25」は、甲1の図1の記載によると、細長い形状であるから、訂正発明1における「加熱領域内に突出する細長い」、「加熱素子」に相当する。 オ 甲1発明における「円柱形鉄心25」は、「交番磁界による環状渦電流の発生によって加熱可能」なものであるから、「円柱形鉄心25」自体が加熱材であって、加熱材を備えているといえる。 よって、甲1発明における「円柱形鉄心25は、交番磁界による環状渦電流の発生によって加熱可能であ」ることは、訂正発明1における「前記加熱素子は、加熱材を備えており、前記加熱材は、前記変動磁場の侵入によって加熱可能であ」ることに相当する。 カ 甲1発明における「誘導コイル」は、訂正発明1における「コイル」に相当し、甲1発明における「コントローラ」は、甲1の[0046]の記載からみて、誘導コイルに直列に接続されており、交番磁界を発生させるためのものであるから、訂正発明1における「コイルに変動電流を流すように構成された」「デバイス」に相当する。 キ 甲1発明における「保温断熱層22は、非磁性保温断熱素材からな」ることは、訂正発明1における「前記本体には、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がな」いことに相当する。 そうすると、訂正発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置であって、 加熱領域を画定する本体であって、加熱領域は、喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるように構成された、本体と、 変動磁場を発生させるように構成された磁場発生器と、 加熱領域内に突出する細長い加熱素子と、 を備え、 加熱素子は、加熱材を備えており、加熱材は、変動磁場の侵入によって加熱可能であり、加熱領域を加熱し、 磁場発生器が、コイルと、コイルに変動電流を流すように構成されたデバイスとを備え、コイルは本体及び加熱素子を取り囲み、 本体には、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がない、装置。」 <相違点> 訂正発明1では、「前記加熱領域における前記本体と前記加熱素子との間にも、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がない」のに対し、甲1発明では、「たばこを加熱する領域における保温断熱層22と円柱形鉄心25との間には、円柱形鉄心25と一体的構造となっているとともに誘導コイルにより加熱される内側ライナ23がある」点。 以下、相違点について検討する。 甲1の[0027]には、「本発明の内側ライナ、底板及び円柱形鉄心は一体的構造とし、内側ライナと底板及び円柱形鉄心相互間の熱伝導効率を高めることができ、これによって加熱キャビティ内のたばこに対する均一加熱を実現する」と記載されている。このことを、一方の側からのみ加熱するよりも両側から加熱したほうが、素早くかつ均一に加熱可能であるという技術常識に照らすと、甲1発明は、内側ライナ23と底板24と円柱形鉄心25とが相互間に熱伝導する一体的構造であるから、加熱キャビティを、内側ライナ23により外側から加熱するとともに、円柱形鉄心25により内側から加熱することができるのであって、このことにより、甲1発明は、加熱キャビティの均一加熱を実現しているものといえる。つまり、甲1発明は、内側ライナ23の加熱と円柱形鉄心25の加熱とが協働して加熱キャビティの均一加熱を実現しているものといえる。 そうすると、甲1発明において、たばこを加熱する領域における保温断熱層22と円柱形鉄心25との間に、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がないものとして、内側ライナ23による加熱をなくしてしまうとした上記相違点に係る構成へと甲1発明を改変しようとすることには、動機付けを見出すことができない。 また、甲2には、当該相違点に係る訂正発明1の発明特定事項は記載も示唆もされていない。 したがって、訂正発明1は、甲1発明ではない。また、訂正発明1は、甲1発明、又は、甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)訂正発明4~18について 本件訂正後の請求項4~18は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく請求項1の記載を直接的あるいは間接的に引用するものであるから、訂正発明4ないし18は、訂正発明1の発明特定事項を全て含むものである。 そうすると、訂正発明4~18は、甲1発明との対比において上記相違点を含むものである。 したがって、訂正発明4~18は、訂正発明1と同様の理由により、甲1発明ではなく、甲1発明、又は、甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 異議申立人の主張について 異議申立人は、令和4年9月9日提出の意見書において、概ね次のとおりの主張をしている。 (1)主張1:「甲第1号証の[0020]には『・・・』と記載されている。この記載から、甲1発明は、構造が簡単でコストが安く、電磁誘導システムによって加熱は加熱速度と熱効率の高さを高めることができ、瞬時加熱を実現し、これにより吸引口の感じをより良くできることを課題とするものであることは明らかである。そして、柱形鉄心の設置はタバコに対した均一加熱を実現することができ、タバコ製品を十分に加熱することができ、即ちタバコ製品の加熱不足による浪費を防止することができる(甲第1号証の[0020])等の甲1の記載から、甲1発明においては、誘電コイルにより加熱される内側ライナ23、底板24及び円柱形鉄心25のうち、円柱形鉄心25を加熱することが重要である。よって、構造が簡単でコストが安く、電磁誘導システムによって加熱は加熱速度と熱効率の高さを高めることができ、瞬時加熱を実現し、これにより吸引口の感じをより良くできることを課題とする甲1発明において、コストを考慮し、誘電コイルにより加熱される内側ライナ23、底板24及び円柱形鉄心25のうち、円柱形鉄心25以外の部材である内側ライナ23を誘電コイルにより加熱されない素材に変更することは当業者であれば容易である。」(第5ページ下から4行目~第6ページ第17行)(なお、「・・・」は省略を意味する。) (2)主張2:「構造をより簡単にするために、誘電コイルにより加熱される内側ライナ23、底板24及び円柱形鉄心25のうち、円柱形鉄心25は残しつつ、横断面が円環形で、複雑な構造である内側ライナ23を設けないように変更することは当業者であれば容易である。」(第6ページ最下行~第7ページ第3行) (3)主張1及び2について 甲1の[0020]において、「内側ライナ、底板及び円柱形鉄心に対した加熱は加熱速度と熱効率の高さを高めることができ、また瞬時加熱を実現することができ、これにより吸引口の感じをより良くすることができる」という記載があるとともに、甲1の記載全体、特に、上記3(1)で説示したとおり、[0027]の記載から、甲1発明は、内側ライナ23の加熱と円柱形鉄心25の加熱とが協働して加熱キャビティの均一加熱を実現しているものであるといえること、及び、一方の側からのみ加熱するよりも両側から加熱したほうが、素早くかつ均一に加熱可能であるという技術常識を参酌すると、甲1の[0020]における「円柱形鉄心の設置はタバコに対した均一加熱を実現することができ」という記載は、内側ライナ23を設置するのみならず、内側ライナ23に加えて円柱形鉄心25も設置したほうが均一に加熱できることを意図していると解するのが妥当である。また、甲1の記載全体及び上記技術常識からは、円柱形鉄心25を設置するのみならず、円柱形鉄心25に加えて内側ライナ23も設置したほうが均一に加熱できるともいえる。 そうすると、甲1の技術的な開示内容としては、内側ライナ23、底板24及び円柱形鉄心25の3つの部材を用いることで、瞬時加熱又は均一加熱が果たされるというべきであり、これら3つの部材のどれかを除くことを示唆する内容が酌み取れるとは認められない。 そして、甲1の[0020]に「本発明は構造が簡単であるばかりかその上、コストは安く」と記載されているとおり、甲1発明は、既に、構造が簡単であってコストが安いとされているのであるから、内側ライナ23の加熱と円柱形鉄心25の加熱とが協働して奏する効果である、瞬時加熱及び均一加熱という甲1発明の効果を放棄してまで、さらなるコストカット又は構造の簡単化を図ろうとする変更である、上記主張1又は2に係る変更を施そうとする動機付けを見出すことができない。 よって、上記異議申立人の主張1及び2は、採用できない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について [理由3](進歩性) 本件特許の請求項19に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 [理由3についての判断] 甲2の記載(段落【0027】、図1、図2)によると、フィルタプラグは喫煙物品の下流側に設けられるものであり、喫煙物品の上流側に挿入される内部加熱器22とは接触せず、ワイパーとして機能しないことが明らかであるから、訂正発明19は、甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件訂正後の請求項19は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく請求項1の記載を間接的に引用するものであるから、訂正発明19は、訂正発明1の発明特定事項を全て含むものである。 そうすると、訂正発明19は、甲1発明との対比において上記相違点を含むものである。 したがって、訂正発明19は、訂正発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立理由、並びに各証拠によっては、請求項1、4~19に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、4~19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2、3に係る特許は、本件訂正により削除された。これにより、請求項2、3に係る特許に対する本件特許異議の申立ては、申立の対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700134

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