特許異議申立
2022-700125
光学ガラス
- 審判番号
- 2022-700125
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-545639
- 登録番号
- 6934420
- 請求日
- 2022年02月14日
- 審決日
- 2022年08月23日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】成都光明光▲電▼股▲分▼有限公司
- 【権利者代理人】家入 健
- 【異議申立人】森 一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 宮澤 尚之
- 審判官 関根 崇
- 審判官 後藤 政博
- 分類
- P1652.536-Y (C03C) / P1652.537-Y (C03C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6934420号発明「光学ガラス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6934420号の請求項1~15に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6934420号の請求項1~15に係る特許についての出願は、2016年(平成28年)4月6日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2015年4月10日、中国(CN))を国際出願日とする特願2017-545639号として特許出願されたものであって、令和3年8月25日にその特許権の設定登録がされ、同年9月15日に特許掲載公報が発行され、その後、請求項1に係る特許に対して、令和4年2月14日に特許異議申立人 森 一郎(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明について
本件特許の請求項1~15に係る発明(以下、「本件発明1」などといい、纏めて「本件発明」ということがある。)は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
組成を陽イオン%で表すと、
Si4+:1~11.2%;
B3+:25~60%;
を含有し、Si4+及びB3+の合計量は30~70%であり、;
La3+:10~40%;
Y3+:6.5~15%;
Gd3+:0~8%;
Yb3+:0~10%;
を含有し、La3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量は31.1~50%であり、;
(Si4++B3+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)は1超2.5未満であり、;
Nb5+:0~13.2%;
Ti4+:0~13.2%;
Ta5+:0~10%;
W6+:0~5%;
を含有し、Nb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量が0.622~13.2%であり、;
(Nb5++Ti4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)が0.7~1であり、;
(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)が0.161~0.44であり、;
(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)が0.02~0.264であり、;
Zr4+:0~15%;
Zn2+:0~10%;
Bi3+:0~10%を含有する、
光学ガラス。
【請求項2】
Li+、Na+及びK+の合計量は、10%未満であり、;
及び/又はBa2+、Mg2+、Ca2+及びSr2+のその合計量は、10%未満である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項3】
Li+、Na+及びK+の合計量は、5%未満であり、;
及び/又はBa2+、Mg2+、Ca2+及びSr2+の合計量は、5%未満である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項4】
Si4+:2~11.2%;及び/又はB3+:25~45%(45%を含まない);及び/又はLa3+:15~35%;及び/又はY3+:6.5~13%;及び/又はGd3+:0~8%;及び/又はYb3+:0~10% ;及び/又はNb5+:0~13.2%;及び/又はTi4+:1~8%;及び/又はTa5+:0~7%;及び/又は Zr4+:0~10%;及び/又はZn2+:0~5%;及び/又はBi3+:0~6%;及び/又はSi4+とB3+の合計量は30~60%;及び/又はLa3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量は31.1~50%;及び/又は(Si4++B3+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)は1超2.2未満であり、;及び/又はNb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量は0.622~13.2%であり、;及び/又は(Nb5++Ti4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)は0.8~1であり;及び/又は(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)は0.161~0.4であり、;及び/又は(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)は0.03~0.264である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項5】
Si4+:5~11.2%;及び/又はB3+:30~45%(45%を含まない);及び/又はLa3+:20~35%;及び/又はY3+:6.5~10%;及び/又はGd3+:1~8%;及び/又はYb3+:0~5% ;及び/又はNb5+:0.5~10%;及び/又はTi4+:3~8%;及び/又はZn2+:0~1.1%(1.1%を含まない);及び/又はSi4+とB3+の合計量は40~55%であり、;及び/又はLa3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量は31.1~50%であり、;及び/又は(Si4++B3+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)は1超2未満であり、;及び/又はNb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量は3~13.2%であり、;及び/又は(Nb5++Ti4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)は0.9~1であり、;及び/又は(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)は0.161~0.35であり、;及び/又は( Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)は0.04~0.264である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項6】
Gd3+:2.5~8%;及び/又はTi4+:3~7%を含有する、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項7】
ガラス屈折率ndが1.85~1.95であり、アッベ数νdが32~40であり、;ガラス透過率が70%に達する際に対応する波長が420nm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項8】
Si4+:2~11.2%;及び/又はB3+:45~60%;及び/又はLa3+:15~35%;及び/又はY3+:6.5~13%;及び/又はGd3+:0~8%;及び/又はYb3+:0~10% ;及び/又はNb5+:0~13.2%;及び/又はTi4+:0~8%;及び/又はTa5+:0~7%;及び/又は Zr4+:0~10%;及び/又はZn2+:0~5%;及び/又はBi3+:0~6%;及び/又はSi4+とB3+の合計量は40~65%であり、;及び/又はLa3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量は31.1~50%であり、;及び/又は(Si4++B3+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)は1.5以上であるが、2.5未満であり、;及び/又はNb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量は0.622~13.2%であり、;及び/又は(Nb5++Ti4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)は0.8~1であり、;及び/又は(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)は0.161~0.4であり、;及び/又は(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)は0.03~0.264である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項9】
Si4+:5~11.2%;及び/又はB3+:45~55%;及び/又はLa3+:20~35%;及び/又はY3+:6.5~10%;及び/又はGd3+:0~8%;及び/又はYb3+:0~5% ;及び/又はNb5+:0.5~10%;及び/又はTi4+:0~5%;及び/又はZn2+:0.5~5%;及び/又はSi4+とB3+の合計量は50~65%であり、;及び/又はLa3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量は31.1~45%であり、;及び/又は(Si4++B3+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)は1.7~2.3であり、;及び/又はNb5+、Ti4+、Ta5+とW6+の合計量は0.622~8%であり、;及び/又は(Nb5++Ti4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)は0.9~1であり、;及び/又は(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)は0.161~0.35であり、;及び/又は(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)は0.04~0.264である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項10】
Zn2+:1.1~3%;及び/又はGd3+:0~2.5%(2.5%を含まない);及び/又はTi4+:0~3%(3%を含まない)を含有する、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項11】
ガラス屈折率ndが1.78~1.85であり、アッベ数νdが40~50であり、ガラスの透過率が80%に達する際に対応する波長は420nm以下である、請求項1~3、8、9、又は10のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項12】
前記組成はTa5+を含有しない、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項13】
ガラス屈折率ndが1.78~1.95であり、アッベ数νdが32~50であり、ガラス密度が5g/cm3以下であり、ガラス結晶化上限温度が1250℃以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の光学ガラスにより形成された、ガラスプリフォーム。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の光学ガラスにより形成された、光学素子。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人が主張する特許異議申立理由は、概略、以下のとおりである。
1 申立理由1(実施可能要件)
本件発明1の組成要件を満たす実施例が実施例45及び65のみであるところ、本件発明1に係る請求項1の「Nb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量」の上限値13.2%及び下限値0.622%、「Si4+及びB3+の合計量」の上限値70%及び下限値30%、「La3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量」の上限値50%、並びに「(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)」の上限値0.44は、請求項1において特定される他の組成要件と整合しないものであるから、当該実施例45及び65を改変することにより、当該上限値及び下限値を実施することはできない。
2 申立理由2(サポート要件)
本件発明1に係る請求項1の「Nb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量」の上限値13.2%及び下限値0.622%、「Si4+及びB3+の合計量」の上限値70%及び下限値30%、「La3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量」の上限値50%、並びに「(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)」の上限値0.44は、請求項1において特定される他の組成要件と整合しないものであるから、当該上限値及び下限値は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
3 申立理由3(明確性要件)
本件発明1に係る請求項1の「Nb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量」の上限値13.2%及び下限値0.622%、「Si4+及びB3+の合計量」の上限値70%及び下限値30%、「La3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量」の上限値50%、並びに「(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)」の上限値0.44は、請求項1において特定される他の組成要件と整合しないものであるから、「Nb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量」の上限及び下限、「Si4+及びB3+の合計量」の上限及び下限、「La3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量」の上限、並びに「(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)」の上限が不明確である。
第4 特許異議申立理由についての判断
1 申立理由3(明確性要件)
事案にかんがみ、まず、申立理由3(明確性要件)について検討する。
(1)明確性要件についての判断
本件発明1は、陽イオン%で示した各成分元素含有量、複数の成分元素の合計含有量、及び、複数の成分元素の含有量比で光学ガラスを特定するものであり、本件発明1の光学ガラスは、当該各成分元素の含有量、複数の成分元素の合計含有量、及び、複数の成分元素の含有量比の各数値範囲を全て満たすものであることを理解できる。また、ガラスを構成する各成分元素含有量の値を公知の方法により定量的に分析可能であることは、本件特許の出願時の技術常識であって、当該技術常識に基づけば、各成分元素含有量を公知の方法により定量的に算出するとともに、算出した各成分元素含有量の値に基づいて複数の成分元素の合計含有量及び複数の成分元素の含有量比を算出できることを理解できる。
そうすると、本件発明1に係る請求項1の当該記載は、当業者であれば本件特許の出願時における技術常識を基礎として理解できるものであるから、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確である、とはいえない。また、請求項1のその余の記載をみても、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確な記載も見当たらない。
よって、本件発明1~15に係る請求項1~15の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定に適合する。
(2)申立人の主張の検討
申立人は、「Nb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量」の上限値及び下限値、「Si4+及びB3+の合計量」の上限値及び下限値、「La3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量」の上限値、並びに「(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)」の上限値が、本件発明1に係る請求項1で特定される他の組成要件と矛盾することを論拠に、本件発明1は明確でない旨を主張する(特許異議申立書の第9~12頁)。
しかしながら、上記(1)で検討したとおり、本件発明1の光学ガラスは、請求項1において特定される各成分元素含有量、複数の成分元素の合計含有量、及び、複数の成分元素の含有量比を全て満たす組成範囲のものであるから、本件発明1が、他の組成要件と矛盾する組成範囲を含まないことは明らかである。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
2 申立理由1(実施可能要件)
(1)実施可能要件についての判断
本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0064】には、「表1~9に示す組成成分(陽イオン%で示す)の酸化物ガラスを得るために、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、水素酸化物、酸化物、ホウ酸等の原料を使って、各原料粉末を計量し、充分混合して、調合原料とし、当該調合原料を白金製のるつぼに入れて、1300-1450℃で加熱、溶融、清澄、撹拌することにより、均一な溶融ガラスとなる。当該溶融ガラスを予熱済みの鋳型に流し込み、急冷させ、ガラス転移温度付近の温度にて2時間保持の後、徐冷させることにより、実施例1~16の各光学ガラスが得られる。」との記載がある。
そして、上記表1~9には、光学ガラスを構成する各成分元素の値が具体的に記載されており、各表に例示された各成分元素の含有量を参考にして原料粉末の量を調整すれば、所定の組成要件を有する光学ガラスを製造できることを理解できるから、本件発明1に係る請求項1において特定される組成要件を全て満たす光学ガラスは、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく製造できるものであるといえる。
よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の規定に適合する。
(2)申立人の主張の検討
申立人は、本件発明1の組成要件を満たす実施例は実施例45及び65のみであることと、「Nb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量」の上限値及び下限値、「Si4+及びB3+の合計量」の上限値及び下限値、「La3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量」の上限値、並びに「(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)」の上限値が、本件発明1に係る請求項1で特定される他の組成要件と矛盾することを論拠に、本件発明1を実施することはできない旨を主張する(特許異議申立書の第9~12頁)。
しかしながら、本件発明1の光学ガラスは、他の組成要件と矛盾する組成範囲を含まないものであることは、上記1(2)で検討したとおりである。そうすると、「Nb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量」の上限値及び下限値、「Si4+及びB3+の合計量」の上限値及び下限値、「La3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量」の上限値、並びに「(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)」の上限値が、本件発明1に係る請求項1で特定される他の組成要件と矛盾するものであるとしても、本件発明1は、当該矛盾する組成範囲を含まないものであるから、前記上限値及び下限値が他の組成要件と矛盾することを論拠にした主張を採用することはできない。
また、本件発明1の組成要件を満たす実施例が実施例45及び65のみであるとしても、本件明細書の表1~9に例示された各成分元素の数値を参考にして原料粉末の量を調整することにより、本件発明1に係る請求項1において特定される組成要件を全て満たす光学ガラスを製造できることは、上記(1)で検討したとおりであるから、本件発明1の組成要件を満たす実施例が実施例45及び65のみであることを論拠にした主張も採用できない。
3 申立理由2(サポート要件)
(1)サポート要件についての判断
本件発明の課題は、段落【0002】~【0004】の記載からして、ガラス屈折率ndが1.78~1.95であり、アッベ数νdが32~50の高屈折率低分散であって、GeO2を含まず、失透し難い光学ガラスを提供することである。
また、実施例1~72のガラスは、屈折率ndが1.78~1.95であり、アッベ数νdが32~50であり、GeO2を含まず、且つ、結晶化上限温度が1250℃以下であることが記載されているから、当該実施例のガラスであれば、上記課題を解決できると認識できる。
そして、発明の詳細な説明には、各成分元素含有量、複数成分元素の合計含有量、及び、複数成分元素の含有量比の取り得る数値範囲やその限定理由が記載されている(段落【0023】~【0050】)から、請求項1において特定される各成分元素含有量、複数成分元素の合計含有量、及び、複数成分元素の含有量比を全て満たす組成範囲において、各成分元素含有量の上限値又は下限値、複数成分元素の合計含有量の上限値又は下限値、あるいは、複数成分元素の含有量比の上限値又は下限値においても、上記実施例のガラスと同様に、上記課題を解決できる範囲のものと認識できる。
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載あるいは出願時の技術常識に基づいて、当業者が上記課題を解決できる範囲のものと認識できる。
また、本件発明2~15も事情は同じであるから、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載あるいは出願時の技術常識に基づいて、当業者が上記課題を解決できる範囲のものと認識できる。
よって、本件発明1~15に係る請求項1~15の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合する。
(2)申立人の主張の検討
申立人は、本件発明1の組成要件を満たす実施例が実施例45及び65のみであることと、「Nb5+、Ti4+、Ta5+及びW6+の合計量」の上限値及び下限値、「Si4+及びB3+の合計量」の上限値及び下限値、「La3+、Y3+、Gd3+及びYb3+の合計量」の上限値、並びに「(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)/(Si4++B3+)」の上限値が、本件発明1に係る請求項1で特定される他の組成要件と矛盾することを論拠に、本件発明1は発明の詳細な説明に記載されたものではない旨を主張するが(特許異議申立書の第9~12頁)、本件発明1の光学ガラスは、他の組成要件と矛盾する組成範囲を含まないものであって、本件発明1に係る請求項1で特定される他の組成要件と矛盾することを論拠にした主張を採用できないことは、上記2(2)で検討したとおりである。
また、上記(1)の検討によれば、請求項1において特定される各成分元素含有量、複数成分元素の合計含有量、及び、複数成分元素の含有量比を全て満たす組成範囲において、各成分元素含有量の上限値又は下限値、複数成分元素の合計含有量の上限値又は下限値、あるいは、複数成分元素の含有量比の上限値又は下限値においても、実施例1~72のガラスと同様に、上記課題を解決できる範囲のものと認識できるから、本件発明1の組成要件を満たす実施例が実施例45及び65のみであることを論拠にした主張も採用できない。
4 小括
よって、申立理由1~3に理由はない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1~15に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件発明1~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700125