特許訂正審判
2022-390163
情報処理装置、認証方法及びプログラム
- 審判番号
- 2022-390163
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-081148
- 登録番号
- 5847345
- 請求日
- 2022年10月06日
- 審決日
- 2022年12月16日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】さくら情報システム 株式会社
- 【請求人代理人】山下 崇
- 【請求人代理人】黒川 恵
- 【請求人代理人】中村 閑
- 【請求人】株式会社 情報技研
- 【請求人代理人】山下 崇
- 【請求人代理人】黒川 恵
- 【請求人代理人】中村 閑
- 審判長/審判官
- 審判長 須田 勝巳
- 審判官 中村 信也
- 審判官 篠原 功一
- 分類
- P141 .853-Y (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第5847345号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第5847345号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7、8について訂正することを認める。
理由
理 由
第1.手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5847345号は、平成27年4月10日に出願され、平成27年12月4日にその特許権の設定登録がされ、平成28年10月27日に訂正審判の請求(訂正2016-390138)がなされ、平成29年1月11日に訂正することを認める審決がなされ、令和4年10月6日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2.請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第5847345号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
第3.訂正の内容
請求人が求める訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、下記訂正事項のとおりである。なお、下線部は当合議体が付したものであり、訂正箇所を示す。
1.訂正事項
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における「前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記情報処理装置に認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つと、製造および修正の権限が特定の者に限定されることが保証されるファームウェア、OSおよびハードウェアとである」との記載(以下、「訂正前記載」という。)を、「前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記情報処理装置に認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つであって、製造および修正の権限が特定の者に限定されることがファームウェア、OSおよびハードウェアにより保証される」との記載(以下、「訂正後記載」という。)に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7における「前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記認証方法に認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つと、製造および修正の権限が特定の者に限定されることが保証されるファームウェア、OSおよびハードウェアとである」との記載を、「前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記認証方法に認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つであって、製造および修正の権限が特定の者に限定されることがファームウェア、OSおよびハードウェアにより保証される」との記載に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8における「前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記認証プログラムに認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つと、製造および修正の権限が特定の者に限定されることが保証されるファームウェア、OSおよびハードウェアとである」との記載を、「前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記認証プログラムに認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つであって、製造および修正の権限が特定の者に限定されることがファームウェア、OSおよびハードウェアにより保証される」との記載に訂正する。
第4.当審の判断
1.一群の請求項について
本件訂正は、訂正前の請求項1、7および8の記載を訂正しようとするものであるところ、訂正前の請求項2~請求項6は、直接・間接に請求項1を引用したものであるから、訂正前の請求項1~請求項6は、特許法施行規則第45条の4に規定する関係を有する一群の請求項を構成するものである。
そして、訂正事項1は、一群の請求項を構成する請求項1~6を訂正単位として請求するものである。
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第3項の規定に適合する。
2.請求項1について
(1)訂正の目的について
ア 訂正前記載は、「前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記情報処理装置に認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つと、製造および修正の権限が特定の者に限定されることが保証されるファームウェア、OSおよびハードウェアとである」というものである。
ここで、「ソフトウェア」が「ハードウェア」を含まないことは技術常識であるところ、訂正前記載の「信頼ソフトウェアは、・・・アプリケーションおよび・・・Applicationのいずれか1つと、・・・保証されるファームウェア、OSおよびハードウェアとである」との記載は、上記技術常識に反して、「ソフトウェア」が「ハードウェア」を包含していると解される記載となっており、訂正前記載は技術的に不明瞭となっている。
そして、訂正事項1は、「前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記情報処理装置に認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つであって」と記載することで、「信頼ソフトウェアは、・・・アプリケーションおよび・・・Applicationのいずれか1つであ」ることを明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。
イ また、訂正前記載の「製造および修正の権限が特定の者に限定されることが保証されるファームウェア、OSおよびハードウェア」との記載は、「ファームウェア、OSおよびハードウェア」が、「製造および修正の権限が特定の者に限定されることが保証される」対象として記載されていて、当該記載は、その技術的意味が不明瞭であるところ、本件特許の明細書の段落0013の「信頼ソフトウェア102は、製造および修正の権限がハードウェアを介して直接的または間接的に特定の者に限定されるソフトウェアであり、・・・。信頼ソフトウェア102がアプリケーションの場合は、ハードウェア、ファームウェアまたはOSに組み込まれたコード署名などの技術的な方法によって、特定のアプリケーションベンダーにソフトウェアの製造および修正の権限が限定されるアプリケーションである。」との記載からすると、
信頼ソフトウェア102は、
(ア)その製造および修正の権限が、
(イ)特定の者に、
(ウ)ハードウェアによって、
(エ)限定される、
ものであり、
特に、信頼ソフトウェア102がアプリケーションの場合は、
(ア)ソフトウェアの製造および修正の権限が、
(イ)特定のアプリケーションベンダーに、
(ウ)ハードウェア、ファームウェアまたはOSに組み込まれたコード署名などの技術的な方法によって、
(エ)限定される、
ものであるから、
「ハードウェア、ファームウェアまたはOS」は、「製造および修正の権限が特定の者に限定されることが保証される」対象ではなく、「(ソフトウェアの)製造および修正の権限」が、「特定の者(アプリケーションベンダー)」に、「限定されること」を「保証する」ものであるといえる。
そうすると、そのような趣旨で請求項1を補正することで、不明瞭であった記載を明瞭にする訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。
してみると、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これを「本件明細書等」という)に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書には、
「【0013】
信頼ソフトウェア102は、製造および修正の権限がハードウェアを介して直接的または間接的に特定の者に限定されるソフトウェアであり、信頼ソフトウェア102がファームウェアおよびOSの場合は、メーカー、キャリアなど、ハードウェアを製造販売している一部の事業者に製造および修正の権限がハードウェア等によって技術的に限定されるファームウェアおよびOSである。信頼ソフトウェア102がアプリケーションの場合は、ハードウェア、ファームウェアまたはOSに組み込まれたコード署名などの技術的な方法によって、特定のアプリケーションベンダーにソフトウェアの製造および修正の権限が限定されるアプリケーションである。
【0014】
信頼ソフトウェア102の一例としては、SIM Application Toolkit、BIOS、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで情報処理装置に認証されたアプリケーション、およびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationが挙げられる。信頼ソフトウェア102は、少なくとも、通信機能、表示機能および入力機能を有する。信頼ソフトウェア102の通信機能、表示機能および入力機能はそれぞれ、OS103またはOS上で動作するアプリケーション104に妨げられずに、通信相手と通信したり、ユーザに対して画面を表示したり、ユーザからの入力を受け付けたりすることができる。」
と記載されている。
訂正後記載と上記段落0013~0014の記載との対応関係について検討する。
ア 上記段落0014には、「信頼ソフトウェア102の一例としては、SIM Application Toolkit、BIOS、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで情報処理装置に認証されたアプリケーション、およびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationが挙げられる。」と記載されているから、訂正後記載の「前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記情報処理装置に認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つであ」ることは、本件明細書等に記載された事項である。
イ 訂正後記載の「特定の者」は明細書段落0013の「特定のアプリケーションベンダー」に対応するから、訂正後記載における「製造および修正の権限が特定の者に限定される」は明細書段落0013の「特定のアプリケーションベンダーにソフトウェアの製造および修正の権限が限定される」に対応する。
また、明細書段落0013の記載によれば「信頼ソフトウェア102がアプリケーションの場合」には、「ハードウェア、ファームウェアまたはOSに組み込まれたコード署名などの技術的な方法」によって、「特定のアプリケーションベンダーにソフトウェアの製造および修正の権限が限定される」のであるから、「ハードウェア、ファームウェアまたはOSに組み込まれたコード署名などの技術的な方法」は、「信頼ソフトウェア」の「製造および修正の権限」が、「特定のアプリケーションベンダー」に「限定される」ことを保証する技術といえる。したがって、訂正後記載における「ファームウェア、OSおよびハードウェア」は、明細書段落0013の「コード署名などの技術的な方法が組み込まれた」「ハードウェア、ファームウェアまたはOS」に対応する。
そして、明細書段落0013の記載によれば、信頼ソフトウェアは保証される対象であるといえるから、訂正後記載の「信頼ソフトウェア」は、「製造および修正の権限が特定の者に限定されることがファームウェア、OSおよびハードウェアにより保証される」ことは、明細書段落0013の「信頼ソフトウェア102がアプリケーションの場合は、ハードウェア、ファームウェアまたはOSに組み込まれたコード署名などの技術的な方法によって、特定のアプリケーションベンダーにソフトウェアの製造および修正の権限が限定される」ことに対応する。
ウ 上記ア、イのことから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、上記(1)で検討したように、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、例えば訂正前記載の「ハードウェア」との記載を誤記であるとして除外して解した場合でも、訂正前記載では、さらに以下のAおよびBのような、明細書に十分な説明のない構成として解釈し得るものであったところを、訂正事項1にかかる訂正によって、これらのAおよびBのような解釈の余地をなくしたものであるということができる。
A:前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記情報処理装置に認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つと、製造および修正の権限が特定の者に限定されることが保証されるファームウェアとである
B:前記信頼ソフトウェアは、GSMA Handset APIs & Requirementsに定義されたAccess Controlで前記情報処理装置に認証されたアプリケーションおよびGlobalPlatform Trusted Execution Environmentに定義されたTrusted Applicationのいずれか1つと、製造および修正の権限が特定の者に限定されることが保証されるOSである
そうすると、訂正事項1にかかる訂正は、特許請求の範囲を実質的に限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、変更するものでもない。
したがって、訂正事項1は特許法第126条第6項に適合するものである。
3.請求項7、8について
請求項7についての訂正事項2及び請求項8についての訂正事項3は、実質的に請求項1についての訂正事項1と同様の訂正であるから、上記2.で検討したことと同様のことがいえる。
4.小括
したがって、請求項1、7および8にかかる訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項、第5項、及び、第6項の規定に適合する。
第5.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判請求における請求項1~請求項6からなる一群の請求項にかかる訂正、請求項7にかかる訂正、および請求項8にかかる訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項、第5項、及び、第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-390163