特許訂正審判
2022-390132
チャックプレート及びアニール装置
- 審判番号
- 2022-390132
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-240419
- 登録番号
- 6976658
- 請求日
- 2022年07月21日
- 審決日
- 2022年12月26日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】住友重機械工業 株式会社
- 【請求人代理人】来山 幹雄
- 審判長/審判官
- 審判長 瀧内 健夫
- 審判官 棚田 一也
- 審判官 松永 稔
- 分類
- P141 .841-Y (H01L) / P141 .852-Y (H01L) / P141 .855-Y (H01L) / P141 .856-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6976658号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6976658号の明細書、特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2、3〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判(以下「本件審判」という。)の請求に係る特許第6976658号(以下「本件特許」という。)は、2017年(平成29年)12月15日を出願日とする特許出願(特願2017-240419号)に係る特許であって、その請求項1~3に係る発明について令和3年11月12日に特許権の設定登録がなされたものである。
そして、本件特許は、令和4年7月21日に本件審判の請求がなされ、同年8月26日に審判請求書を対象とする手続補正書が提出され、同年9月28日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年10月12日付けで意見書が提出されたものである。
第2 請求の趣旨
本件審判請求の趣旨は、特許第6976658号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件審判に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線部は当審にて付した。
1 訂正事項1
請求項1に「前記アニール対象物が保持される上面の前記非接触領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素を含む吸収膜が設けられている」と記載されているのを、「前記アニール対象物が保持される上面の前記一様な領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素を含む吸収膜が設けられている」と訂正する。
2 訂正事項2
請求項2に「前記チャックプレートの、前記アニール対象物が保持される上面の前記非接触領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素が塗布されている」と記載されているのを、「前記チャックプレートの、前記アニール対象物が保持される上面の前記一様な領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素が塗布されている」と訂正する。
請求項2を直接的に引用する請求項3も同様に訂正する。
3 訂正事項3
願書に添付した明細書の段落【0005】に「前記アニール対象物が保持される上面の前記非接触領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素を含む吸収膜が設けられている」と記載されているのを、「前記アニール対象物が保持される上面の前記一様な領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素を含む吸収膜が設けられている」と訂正する。
4 訂正事項4
願書に添付した明細書の段落【0006】に「前記アニール対象物が保持される上面の前記非接触領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素が塗布されている」と記載されているのを、「前記アニール対象物が保持される上面の前記一様な領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素が塗布されている」と訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
ア 訂正前の明細書には「非接触領域」について、段落【0019】に「チャックプレート14の上面にアニール対象物30を保持させると、一様な平坦な表面にアニール対象物30が接触し、貫通孔18、19が配置された領域においては、アニール対象物30がチャックプレート14に接触しない。このように、チャックプレート14の上面は、アニール対象物30が保持された状態でアニール対象物30に接触する一様な領域と、アニール対象物30と重なるがアニール対象物30に接触しない非接触領域とを含む。」と記載され(下線部は当審にて付した。以下、同じ。)、他に「非接触領域」の態様は記載されていない。よって、審判請求人(以下「請求人」という。)が令和4年10月12日付けで提出した意見書の「5.(2)(2.1)」において主張するとおり、訂正前の明細書には「貫通孔18、19が配置された領域」のみが「非接触領域」に該当することが、記載されている。
イ 一方、訂正前の請求項1には「上面は」「一様な領域と」「非接触領域とを含み」、「上面の前記非接触領域、及び」「下面の少なくとも一方に」「吸収膜が設けられているチャックプレート。」と記載されている。
ウ 上記アを踏まえれば、上記イにおいて「上面の前記非接触領域」に「吸収膜が設けられている」ことは、貫通孔に吸収膜が設けられていることであり、貫通孔が吸収膜で塞がれることになるから、チャックプレートの上面が非接触領域すなわち貫通孔を含むことと矛盾する。よって、訂正前の請求項1の「前記非接触領域」は誤記である。
エ 段落【0032】には「図5Aに示すように、貫通孔18が設けられていない箇所31から放射されて下方に向かう熱放射光は、吸収膜14Bで吸収または減衰される。」と記載され、「吸収膜14B」は「貫通孔18が設けられていない箇所31」に配置されることが開示されている。
オ また、段落【0019】には「貫通孔18、19が配置されていない領域は一様な平坦な表面とされている。チャックプレート14の上面にアニール対象物30を保持させると、一様な平坦な表面にアニール対象物30が接触し、貫通孔18、19が配置された領域においては、アニール対象物30がチャックプレート14に接触しない。このように、チャックプレート14の上面は、アニール対象物30が保持された状態でアニール対象物30に接触する一様な領域と、アニール対象物30と重なるがアニール対象物30に接触しない非接触領域とを含む。」と記載され、「貫通孔18、19が配置されていない領域」は「一様な平坦な表面」であり、「一様な平坦な表面」に「アニール対象物30が接触」し、「アニール対象物30に接触する」部分が「一様な領域」であるから、「貫通孔18、19が配置されていない領域」は「一様な領域」であるといえる。よって、上記エを踏まえれば、訂正前の明細書には「吸収膜14B」は、上面の「貫通孔18、19が配置されていない領域」である「一様な表面」に形成されることが開示されている。
カ 上記ウ及びオより、訂正前の請求項1の「前記非接触領域」は「前記一様な領域」の誤記であることが、訂正前の明細書の記載から明らかである。したがって、訂正事項1は、訂正前の「前記アニール対象物が保持される上面の前記非接触領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素を含む吸収膜が設けられている」と記載されているのを、「前記アニール対象物が保持される上面の前記一様な領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素を含む吸収膜が設けられている」と訂正することにより、訂正前の請求項1に記載された誤記を訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号の規定に該当し、誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正である。
(2)特許請求の範囲の拡張・変更、新規事項の有無について
上記(1)のとおり、訂正事項1は訂正前の請求項1に記載された誤記を訂正するものである。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)独立特許要件について
訂正事項1は誤記の訂正を目的とするものであるところ、訂正後における特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
(4)まとめ
以上によれば、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1) 訂正の目的について
ア 訂正前の請求項2には「上面は」「一様な領域と」「非接触領域とを含み」、「上面の前記非接触領域、及び」「下面の少なくとも一方に」「色素が塗布されているアニール装置。」と記載されている。
イ 上記「1(1)ア」を踏まえれば、「上面の前記非接触領域」に「色素が塗布されている」ことは、貫通孔に色素が塗布されていることであり、技術常識からみて、貫通孔に何らかの物質を塗布することはできない点で矛盾する。よって、訂正前の請求項2の「前記非接触領域」は誤記である。
ウ 段落【0031】には「実施例によるレーザアニール装置で用いられるチャックプレート14は、本体14Aと、その上面に塗布された吸収膜14Bとを含む。本体14Aとして、例えばセラミックからなるプレートが用いられる。吸収膜14Bは、熱放射光の波長域(例えば、波長1μm~3μm)の光を吸収または減衰させる。吸収膜14Bとして、例えば黒色の色素を含む膜が用いられる。」と記載され、「吸収膜14B」は塗布された色素を含む膜であることが開示されている。そして、上記「1(1)エ及びオ」によれば、吸収膜14Bは「貫通孔18、19が配置されていない領域」である「一様な表面」に形成されるから、訂正前の明細書には「貫通孔18、19が配置されていない領域」である「一様な表面」に色素を含む膜が塗布されることが開示されている。
エ 上記イ及びウより、訂正前の請求項2の「前記非接触領域」は「前記一様な領域」の誤記であることが、訂正前の明細書の記載から明らかである。したがって、訂正事項2は、訂正前の請求項2に「前記チャックプレートの、前記アニール対象物が保持される上面の前記非接触領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素が塗布されている」と記載されているのを、「前記チャックプレートの、前記アニール対象物が保持される上面の前記一様な領域、及び前記保持テーブルの方を向く下面の少なくとも一方に、前記アニール対象物から放射されて前記保持テーブルに向かう熱放射光を吸収する色素が塗布されている」と訂正することにより、訂正前の請求項2に記載された誤記を訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号の規定に該当し、誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正である。
(2)特許請求の範囲の拡張・変更、新規事項の有無について
上記(1)のとおり、訂正事項2は訂正前の請求項2に記載された誤記を訂正するものである。
よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)独立特許要件について
訂正事項2は誤記の訂正を目的とするものであるところ、訂正後における特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
(4)まとめ
以上によれば、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的
訂正事項1と同様な理由により、訂正前の明細書の段落【0005】に 記載された「前記非接触領域」は、「前記一様な領域」の誤記である。よって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
(2)新規事項の有無、並びに、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更の有無
訂正事項3は、誤記の訂正を目的とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(3)独立特許要件について
訂正事項3は、訂正前の明細書の誤記を訂正するためのものであるから、訂正後の特許請求の範囲の請求項に記載される事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
(4)まとめ
以上によれば、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
4 訂正事項4について
(1)訂正の目的
訂正事項2と同様な理由により、訂正前の明細書の段落【0006】に 記載された「前記非接触領域」は、「前記一様な領域」の誤記である。よって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
(2)新規事項の有無、並びに、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更の有無
訂正事項4は、誤記の訂正を目的とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(3)独立特許要件について
訂正事項4は、訂正前の明細書の誤記を訂正するためのものであるから、訂正後の特許請求の範囲の請求項に記載される事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、訂正事項4は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
(4)まとめ
以上によれば、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件審判請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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