商標取消審判
2022-300821
エコトピア
- 審判番号
- 2022-300821
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2012-076784
- 登録番号
- 5560333
- 請求日
- 2022年09月07日
- 審決日
- 2023年08月29日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サイアム ピワット リテール ホールディング カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】行田 朋弘
- 【請求人代理人】小暮 理恵子
- 【被請求人】小林 嘉文
- 【被請求人代理人】若▲崎▼ 義和
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 大橋 良成
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T131 .1 -Y (W35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5560333号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5560333号商標(以下「本件商標」という。)は、「エコトピア」の文字を標準文字で表してなり、平成24年9月24日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同25年2月22日に設定登録がされ、令和5年3月20日に存続期間の更新登録がなされて、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年9月20日であり、その請求の登録前3年以内の令和元年(2019年)9月20日から令和4年(2022年)9月19日までの期間を以下「要証期間」という場合がある。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件商標の指定役務(以下「請求に係る指定役務」という。)について本件商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対して、要旨次のとおり弁駁した。
(1)乙第1号証
乙第1号証は、株式会社ラクサス「車両広告ステッカー製作費用」納品書とのことであるが、被請求人の氏名及び本件商標は一切表示されていない。 また、被請求人と榊屋株式会社及び株式会社ラクサスとの関係や、本件商標の指定役務のいずれに関係するか明らかになっていない。
(2)乙第2号証及び乙第3号証
乙第2号証及び同第3号証は、榊屋株式会社の商標「エコトピア」記載の軽トラック自動車の写真であるが、当該使用が、どの指定役務についてのどのような行為による使用なのか、さらに、写真がいつ撮影されたかも不明であり、当該自動車が要証期間内に存在していたか否かも明らかになっていない。
(3)乙第4号証
乙第4号証は、日光竜頭之茶屋への納品書(控)(令和3年8月13日)とのことであり、乙第4号証の納品書には本件商標「エコトピア」が表示されているが、被請求人と榊屋株式会社及び日光竜頭之茶屋との関係は明らかになっていない。また、乙第4号証には、「冷凍よもぎ団子」等の商品が示されているのみであり、乙第4号証における使用が、どの指定役務についてのどのような行為による使用なのかも明らかになっていない。
(4)結語
上記のとおり、被請求人提出の証拠は、本件審判請求登録前3年以内に本件商標が指定役務について商標権者又は使用権者によって使用されていた事実を一切明らかにしていない。よって、答弁の理由は成り立たない。
第3 被請求人の主張
1 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を「審判請求の予告登録日から遡って3年以内に当該商標に係る商標を指定役務のいずれかに使用している。」旨述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
2 審尋に対する被請求人の回答
被請求人は、令和5年5月24日付けの回答書において、審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第2号証-3、乙第2号証-4及び乙第5号証ないし乙第12号証を提出した。
(1)被請求人と「榊屋株式会社」及び「龍頭之茶屋」との関係性について
榊屋株式会社は、商標権者と使用に係るライセンス契約を締結しており(乙5)、当該登録商標の商標使用権者である。また、被請求人は、榊屋株式会社の取締役を2021年(令和3年)9月28日に重任し、現在に至っており(乙6)、当該ライセンス契約は現在も継続している。
また、榊屋株式会社と取引先である「龍頭之茶屋」とは、要証期間である2019年(令和元年)9月20日から2022年(令和4年)9月19日までの期間中に榊屋株式会社が売主、龍頭之茶屋が買主として、加工生産商品(業務用)についての商品売買契約を締結している(乙7)。
(2)本件指定役務との関係性等
ア 乙第1号証ないし乙第3号証における指定役務との関係性等
榊屋株式会社は、株式会社ラクサスに車両広告ステッカーの制作を依頼し、2019年(令和元年)11月15日に納品を受けた(乙1)。
また、自動車検査証に記載の車両番号の交付年月日が平成31年3月27日である(乙3)ことから、車両広告ステッカーの納品日である令和元年(2019年)11月15日にはすでに当該軽トラックを榊屋株式会社が所有しているから、当該車両広告ステッカーは、納品後、速やかに軽トラックに貼付され、商用使用されたとみるべきであり、軽トラックの写真が令和4年(2022年)11月9日である(乙2-3、乙2-4)ことをもって、要証期間である令和4年(2022年)9月19日までの約3年間は当該車両広告ステッカーが貼付されていたとみるのが自然である。
なお、軽トラック荷台に記載された商標「エコトピア」の表記は、道路上や配達先の店頭において一般需要者や取引業者がそれらの表記を視認することになるから広告的な標章の使用行為である。
また、軽トラック荷台に表記されている「チョコバナナを発明した人は?」、「キャンドル・ボーイとは?」及び「お祭り広場屋台・キッチンカー・サービスエリア・パーキングエリア・観光地・スポーツ競技場など、グルメ食材を創作製造、全国に発送」とともに記載のある商標「エコトピア」の表記は、その表示形態からチョコバナナやキャンドルボーイといった菓子の出所を表すものではなく、それらの菓子を全国いたる所に届けるといった「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行う事業者(出所)を表すものとして認識されるので、当該「エコトピア」の表記は、小売等役務の商標の使用である。
イ 乙第4号証における本件指定役務との関係性等
榊屋株式会社の納品書(控)は取引先である龍頭之茶屋や株式会社染野屋へ渡す納品書と同一であり、品名等の納品内容欄には和菓子の名称が並び、欄外には「環境保全を大切にする考えに基づき安心な食品創りを目指す。」といった榊屋株式会社の経営理念を示す記載や、本件商標「エコトピア」の記載や「榊屋株式会社」の記載がある(乙4、乙11の2、乙11の3)。当該表記は、特定の商品と密接な関連性を認識させるものではなく、取引業者からみて取引書類(納品書)に記載された商品を取り扱う小売等役務の出所を表示するものとして認識されるので、当該「エコトピア」の表記は、小売等役務の商標の使用である。
また、上記の本件商標の使用に係る行為は、本件指定役務である「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に関する取引書類に標章「エコトピア」を付して頒布する行為であるから、商標法第2条第3項第8号に該当する。
ウ 榊屋株式会社の業務
榊屋株式会社の業務内容は、(1)和菓子の製造・卸・小売業、(2)食料品の販売、(3)前各号に付帯する一切の事業である(乙6)。
エ 榊屋株式会社による本件指定役務への使用について
榊屋株式会社は株式会社染野屋と要証期間において取引関係にあり、令和2年10月30日に株式会社染野屋が榊屋株式会社ヘファックス送信した注文書(乙10)及び納品書(控)(乙11の1)を提出し、また、令和2年11月11日に商品を納品したときに発行した納品書(控)(乙11の2)を提出する。さらに染野屋株式会社から榊屋株式会社へこれらの代金が入金されたことを証明する(乙12)。
上記の納品書(控)には豆乳入り大福の和菓子の品名が納品内容欄に記載され、その欄外には「環境保全を大切にする考えに基づき安心な食品創りを目指す。」等の記載があり、当該表記は、前記(2)と同様、小売等役務の出所を表示するものとして認識されるものであり、「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の使用にあたる。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、次のとおりである。
ア 乙第1号証は、「納品書」の写しであり、そこには、右側に「発行年月日:2019年11月15日」、「株式会社ラクサス」及び住所等の記載があり、また、左側には、「榊屋株式会社 御中」、「件名:車両広告ステッカー制作費用」、「下記の通り納品いたしました。」及び「合計金額 ¥140,140-」との記載があり、「品名・摘要」の欄には、「【車両ステッカー制作費】、ステッカー(Google検索)、ステッカー(チョコバナナ)及びステッカー(キャンドルボーイ)」等の記載があり、それぞれのステッカーに対応した単価、数量、金額について記載がある。
イ 乙第2号証、乙第2号証-3及び乙第2号証-4は、軽トラックを写した写真であり、車両のナンバープレートは、「とちぎ880あ747」である。また、車両のフロントドア部分に「榊屋株式会社」、「電話番号」及び緑色にて「エコトピア」の記載があり、当該荷台部分に緑色にて「エコトピア」の記載のほか、「チョコバナナを発明した人は?」、「キャンドル・ボーイとは?」及び「お祭り広場屋台・キッチンカー・サービスエリア・パーキングエリア・観光地・スポーツ競技場など、グルメ食材を創作製造、全国に発送」等の記載がある。また、乙第2号証-3及び乙第2号証-4の写真の右横には、「情報」との記載があり、「2022年11月9日」の日付がある。
ウ 乙第3号証は、「自動車検査証」の写しであり、当該検査証の車両番号の欄に「とちぎ 880 あ 747」の記載、交付年月日の欄に「平成31年3月27日」の記載、使用者の氏名又は名称の欄に「榊屋 株式会社」の記載及び所有者の氏名又は名称の欄に「使用者に同じ」等の記載がある。
エ 乙第5号証は、平成25年3月11日付けの「商標【エコトピア】ライセンスの契約書」の写しであり、そこには、「商標権者[A]は法人榊屋株式会社代表取締役Bの息子で親子です。」の記載があり、文末に商標権者の住所、Aの署名及び押印並びに借受者の住所、代表取締役Bの署名及び押印等がある。
オ 乙第6号証は、「履歴事項全部証明書」の写しであり、「目的」の欄に「(1)和菓子の製造・卸・小売業、(2)食料品の販売、(3)前各号に付帯する一切の事業」との記載があり、「役員に関する事項」の欄に「取締役A」の記載及びその右横に「令和3年9月28日重任」の記載並びに「代表取締役B」の記載及びその右横に「令和3年9月28日重任」の記載がある。
カ 乙第7号証は、平成29年3月11日付けの「商品売買契約書」の写しであり、そこには、「売主 エコトピア 榊屋株式会社(以下「甲」と言う)と買主 有限会社龍頭之茶屋(以下「乙」と言う)との間に、次の通り商品の売買契約を締結する。」等の記載があり、文末には、甲及び乙双方の会社の住所、名称、代表取締役の氏名(又は署名)及び社印がある。
キ 乙第4号証は、「納品書(控)」であり、そこには、「令和3年8月13日」、「日光 龍頭之茶屋 様」、「下記のとおり納品いたしました」、「環境保全を大切にする考えに基づき安心安全な食品創りを目指す。」、「榊屋株式会社」の記載及びその名称の左横に「エコトピア」(以下「使用商標」という。)等の記載があり、その下の明細には、「冷凍よもぎ団子 12×2 数量24Kg、単価750 金額(税抜・税込)18000」等の記載及び「税込合計金額」の欄に「¥126,900-」の記載がある。
ク 乙第9号証は、乙第4号証の納品書に係る「領収書(控)」であり、そこには、「日光(有)龍頭之茶屋様」の記載及び金額欄に「¥126,900-」の記載があり、その下段には、「品代」、「令和3年8月13日 上記正に領収いたしました」、「環境を大切にする考えに基づき安心安全な食品創りを目指す。」及び「榊屋株式会社」等の記載があり、その名称の左横に「エコトピア」等の記載がある。
(2)上記(1)からすれば、以下の事実が認められる。
ア 本件商標権者(被請求人)は、榊屋株式会社(以下、単に「榊屋」という。)の取締役であり、当該会社の代表取締役を務めるBの息子である。また、商標権者と榊屋との間で、本件商標である「エコトピア」の使用についてのライセンス契約を締結している。
イ 榊屋は、車両広告用ステッカーが貼付された軽トラックを所有しており、当該車両には、フロンドドア部分に、榊屋の名称、電話番号、使用商標が記載され、また、荷台部分には、榊屋の名称等に加えて、広告・宣伝等が記載されている。
ウ 上記イの車両広告用ステッカーは、榊屋が要証期間内である2019年(令和元年)11月15日に株式会社ラクサスより納品されたものである。なお、写真の画像情報の日付が「2022年11月9日」であることから、少なくとも、車両広告用ステッカーが納品された2019年(令和元年)11月15日から2022年(令和4年)11月9日までの間、車両広告用ステッカーは、軽トラックに貼付されていたと推認し得るものである。
エ 榊屋の主な業務は、和菓子の製造・卸・小売業である。また、取引先である有限会社龍頭之茶屋と商用(業務用)の加工生産商品についての売買契約を締結している。
オ 要証期間である令和3年8月13日に榊屋は、冷凍よもぎ団子等のお菓子を有限会社竜頭之茶屋に納品したことがうかがえる。
カ 当該納品書(控)及び領収書(控)には、「環境保全を大切にする考えに基づき安心安全な食品創りを目指す。」の記載とともに、「エコトピア」の記載がある。
2 判断
(1)使用者について
榊屋は、本件商標権者(被請求人)との間で、本件商標の使用に係るライセンス契約を締結し、当該契約は、現在も有効であると推認できるものであり、当該ライセンス契約を締結している榊屋が、本件商標の通常使用権者と認められる(以下「榊屋」を「通常使用権者」という。)。
(2)使用商標について
本件商標は、「エコトピア」の文字を標準文字で表してなるところ、使用商標は、「エコトピア」の文字からなるものであるから、本件商標と使用商標とは、実質的に同一のものと認められる。
(3)使用役務について
通常使用権者の主な業務は、和菓子の製造・卸・小売業であるところ、通常使用権者の軽トラックに記載された広告・宣伝及び納品書等に記載されている経営理念などに近傍して使用商標が表示されている事実や、自身で創作した食材等を取り揃えていることがうかがえること等を踏まえると、通常使用権者の行う使用商標の使用形態は、自己の製造した商品を取り揃え、顧客にその商品購入等にあたっての便宜を図ることを目的としたものといえるものであって、小売等役務を構成するサービス活動の一つとして使用されているとみるべきである。
してみれば、通常使用権者の取扱いに係る役務は、「和菓子の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「使用役務」という。)といえるものであり、使用役務は、本件審判の請求に係る役務である「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に含まれる役務である。
(4)使用及び使用時期について
通常使用権者が、有限会社龍頭之茶屋宛てに「冷凍よもぎ団子」等の和菓子に係る「納品書(控)」を送付したことは、同日付の有限会社龍頭之茶屋からの「領収書(控)」により、通常使用権者に受領されていたと推認し得るものであり、当該納品書及び領収書の発行日である令和3年8月13日は要証期間内である。
また、納品書及び領収書の宛先は日本国内であることは、記載内容等から明らかである。
(5)小括
以上よりすれば、通常使用権者は、日本国内において、要証期間内である令和3年(2021年)8月13日に、本件審判の請求に係る指定役務中の「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に含まれる「和菓子の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取引書類(納品書及び領収書)に本件商標と実質的に同一の商標を付して頒布したといえ、当該行為は、商標法第2条第3項第8号の「取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当するものである。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-300821