審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標取消審判

2022-300419

シンキングツール、シンキング

審判番号
2022-300419
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2014-061362
登録番号
5719950
請求日
2022年05月11日
審決日
2023年04月19日
公報発行日
2023年09月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ツェー・ヨーゼフ・ラミー・ゲーエムベーハー
  • 【請求人代理人】江崎 光史
  • 【請求人代理人】佐久間 洋子
  • 【請求人代理人】田崎 恵美子
  • 【被請求人】黒上 晴夫
  • 【被請求人代理人】松永 充弘
審判長/審判官
  • 審判長 小松 里美
  • 審判官 大山 健
  • 審判官 鈴木 雅也
分類
T132 .1 -Y (W09)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第2号、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5719950号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5719950号商標(以下「本件商標」という。)は、「シンキングツール」の文字を標準文字で書してなり、平成26年7月23日に登録出願、第9類「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」及び第16類「印刷された図表」を指定商品として、同年11月21日に設定登録されたものである。 なお、本件審判請求の登録日は、令和4年5月25日である。 また、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和元年(2019年)5月25日ないし令和4年(2022年)5月24日である(以下「要証期間」という。)。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「全指定商品」(以下「本件審判請求に係る取消商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書及び令和4年7月20日付け審判事件答弁書に対する同年9月16日付け審判事件弁駁書において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、本件審判請求に係る取消商品について、今日に至るまで継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により、上記指定商品について登録は取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)乙第1号証について 被請求人は、乙第1号証として被請求人のウェブサイト及び当該ウェブサイト上のリンクからジャンプした先のプリントアウトを提出し、本件商標を継続して3年以上日本国内において、第9類「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用しているとする。しかし、乙第1号証のいずれも、「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」の使用には当たらない。被請求人のウェブサイト上の「シンキングツール」の表示(赤枠の中)は、単にリンクになっていることを示しているにすぎないことは、「ニュース」や「プロフィール」等と同じ大きさの同一書体で並列に表示されていることからも明らかである。また、当該部分をクリックして表示される画面上の「シンキングツール~考えることを教えたい~」は、被請求人他2名が著者であり、NPO法人学習創造フォーラムが発行した、「シンキングツール~考えることを教えたい~」を題号とする書籍の表紙とその内容からの抜粋であり、「考えることを教えたい」の表題に続く文章の右側下に、著者の言葉として、「わたしたちは、思考スキルは、考えを勧める手続きやそれをイメージさせる図として見せることができると考え、そのような手順や図をシンキングツールと呼んでいます。シンキングツールは、いろいろな方法で「考えること」を助けてくれます。」とあるから、被請求人が、「シンキングツール」を、思考過程を可視化させるための手順や図である思考ツールの用語として定義付けしていることが分かる。「シンキング」とは、「思考」を意味する英語(甲1)として我が国においてもよく知られるところである(甲2)。「シンキングツール」の語が記載されているとしても、書籍の題号であるから、これは商標的使用とはいえない。乙第1号証には、本件商標が上述の「思考ツール」を意味する用語として用いられているものの、「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用している事実は認められない。被請求人ウェブサイトのページ下部の(赤枠の中)「「シンキングツール」を商標登録しています。」は、単に商標登録されているという事実を述べたにすぎない。 (2)乙第2号証について 被請求人は、乙第2号証「新しいモノ・コトを楽しく創る知財想像教育「末来を創る授業ガイド」」をもって、本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用しているとする。しかし、該当ページに記載されている「シンキングツール」の語は、上述の被請求人らにより著された書籍の題名と、被請求人が提唱する学習ツールの説明をしているにすぎず、これをもって被請求人が本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用していることを証するものとはならない。 (3)乙第3号証について 被請求人は、乙第3号証「情報と科学と技術」67巻10号掲載の被請求人による論文をもって、本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用しているとする。しかし、乙第3号証に記載されているのは被請求人の論文の題名にすぎないので、商標の使用とはいえない。当該論文がPDF形式でダウンロードできるとしても、これは「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」には該当しない。また、当該論文で述べている「シンキングツール」は、上述の思考過程を可視化させるための手順や図である思考ツールについてであるから、やはり「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」についての使用とは認められない。 (4)乙第4号証について 被請求人は、乙第4号証「社会科NAVI Vol.28」をもって、本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用していることを証するものであるとしている。乙第4号証の文章に、「シンキングツール(思考ツール)の活用が広がってきた。」とあることから明らかなように、「シンキングツール」は「思考ツール」と同義として使われている。被請求人によってハイライトが施された「日本文教出版のサイトで、シンキングツールが使えるようになった。いくつかのアプリでも、デジタル・シンキングツールが利用できる。」との文章中、「シンキングツール」の語は、商品「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」との具体的関係において使用されているのではなく、思考過程を可視化させるための手順や図である思考ツールの用語として使用されていることは、その記載から明らかである。 (5)乙第5号証について 乙第5号証は、書籍「シンキングツールを学ぶ」のAmazon販売ページであるが、「シンキングツールを学ぶ」は、明らかに書籍の「題号」であるとして需要者に認識され、かつ、当該題号が特定の内容を認識させるものと認められるものであって、「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」についての使用とはいえない。 よって、当該書籍の題号の中に、「シンキングツール」の語があったとしても、そのことをもって被請求人が本件商標を商品「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」に使用しているとの証左とすることはできない。 (6)乙第6号証について 被請求人は、乙第6号証「共同研究に関する覚書」をもって、本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用していることを証するものであるとしている。しかしながら、当該覚書は、要証期間前の平成28年3月22日付けで被請求人と株式会社LoiLo(以下「LoiLo社」という。)が共同研究を開始することについて締結されたことを証するものであり、これをもって、被請求人が要証期間に本件商標を商品「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」に使用しているとの証左とすることはできない。 (7)乙第7号証について 乙第7号証「プレスリリース」は、要証期間前の2019年3月18日に、LoiLo社が授業支援ツール「ロイロノート・スクール」のiOS版3.0.0をリリースしたこと、そして当該アプリにシンキングツール「機能」が登場したことについて言及している。 してみると、乙第7号証が証している事実は、本件審判請求の登録前に「ロイロノート・スクール」という、インターネットからダウンロード可能なアプリケーソンソフトウエアがリリースされていたということにすぎないのであって、当該アプリにシンキングツールという「機能」が登場したことは商標的使用とはいえないから、被請求人が要証期間に、「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について本件商標の使用をしていることを証するものとはならない。 (8)乙第8号証について 乙第8号証からは、「ロイロノート・スクール」というダウンロード可能なアプリケーションがApp Storeにおいて取り扱われていること、2021年4月15日から2022年6月16日に至るまで、アップデートされ続けていることが分かる。乙第8号証中、「シンキングツール」の語が記載されているのが読み取れるのは、その6ページ及び7ページであるところ、これらの右上端には「2022年6月26日のノート」と表示されているので、要証期間における本件商標の使用を証明する証拠とはいえない。 (9)乙第9号証について 被請求人は、乙第9号証「ロイロノート・スクールWeb版 登場に関する告知記事」をもって、本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用していることを証するものであるとしている。しかしながら、被請求人自身が認めているように、当該記事の公開日が明示されていないこと、かつ、「これまでiOS版アプリで先行提供していたシンキングツールが・・・使えるようになります!」という文章が未来形であって、当該Web版の登場がいつなのかが明らかではないので、要証期間における本件商標の使用を証明する証拠とはいえない。 (10)乙第10号証について 乙第10号証には、「シンキングツールとは?」の見出しの下、「シンキングツールは児童生徒の思考を可視化することで、児童生徒が授業の中で「自分の考え」を作ることをサポートするツールです。」とあり、以下、乙第8号証の「ロイロノート・スクール」アプリの使い方へと続いている。乙第1号証から明らかなように、被請求人は、「シンキングツール」を、思考過程を可視化させるための手順や図である用語として使用していることが認められる。そして、乙第10号証の中に表れている「シンキングツール」の語の使用は、「シンキングツールを学ぶ」「シンキングツール活用のコツ」「シンキングツール校内研修」「シンキングツール授業」「シンキングツール考案者」等、全てこの定義付けられた用語としてのものであることは明らかである。加えて、乙第10号証の1ページないし3ページの左上には、「2022/07/07 15:49」と印字されているので、要証期間外のものである。過去の判例である「商標の使用があるとするためには、当該商標が、必ずしも指定商品に付されて使用されていることは必要ではないが、その商品との具体的関係において使用されていなければならない。」(最判昭和43年2月9日民集第22巻2号159ページ)(甲3)の判断手法に照らすならば、乙第10号証の4ページないし6ページに表されている「シンキングツール」の語は、画面の左端に、機能選択ボタンの一つとして、「カメラ」「テキスト」「Web」「地図」「ファイル」と同列に表示されていて飛びぬけて目立つ態様をしているわけでもないので(甲4)、商品との結びつきが強いとはいえず、需要者がこの「シンキングツール」を単にクリックすることによって作動する機能を表示しているものと認識することは明らかであるから、商標的使用とはいえない。これらのYouTube動画のタイトルには「シンキングツールを使ってみよう」「はじめてのシンキングツール」「シンキングツールを切り替える」等が記載されているが、これらは「シンキングツール(という思考ツール)を使ってみよう」「はじめての(思考ツールである)シンキングツール(の使い方)」「(複数ある思考ツールである)シンキングツール(の手順や図)を切り替える」を意味しているのであり、「シンキングツール活用動画」は「児童生徒のアイデアを出す・アイデアの概要を説明する・アイデアを再編集して新しい自分の考えを作る3つのステップをサポートするために思考ツールであるシンキングツールをどのように活用するか」についての動画であると認められる。 したがって、乙第10号証は、被請求人が本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用していることを証するものとはならない。 (11)乙第11号証について 被請求人は、乙第11号証が2021年3月10日に公開された「ロイロノートの使い方講座~○6シンキングツール~」(審決注;○6は、「6」を丸囲みしたもの。)をもって、本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用しているとする。しかし、乙第11号証が2021年3月10日に公開されたことを証する事実は、乙第11号証からは認められない。また、乙第11号証は、「思考過程を可視化させるための手順や図の総称として用いている用語であるシンキングツール」をどのように授業において利用するかを説明したものであると認められる。1ページの右側、「シンキングツールカードを作る」の表題の下の画面の説明に、「まず、左側にある「シンキングツール」と書いてあるカードのアイコンをタップします。」とあるが、前述したように、ここでいう「シンキングツール」は、単に機能を表示しているにすぎない。続く「次に、現れたシンキングツールの中から、用途に合ったツールを選択します。」で意味しているのは、「次に、現れた思考過程を可視化させるための手順や図(画面上では18個の手順や図が認められる。)の一覧から、用途に合ったツールを選択する」ということであり、「ノート上にシンキングツールが現れます。」とは「ノート上に選択した手順または図が現れる」を指している。2ページ以降の各手順又は図の説明中の「シンキングツールの○○は、・・・」(○○には、「ベン図」、「Y/X/Wチャート」、「バタフライチャート」などの手順や図の名称が入る。)の記載は、「思考過程を可視化させるための手順や図の内の○○」についての説明である。よって、「シンキングツール」の語は商品「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」との具体的関係において使用されていない。 (12)乙第12号証について 乙第12号証は、要証期間前となる2019年3月21日に行われた研修会についての、要証期間前である同月29日付けの実施報告であるので、被請求人が要証期間に、「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について本件商標の使用をしていることを証するものとはならない。この報告の中で要証期間に大研修会が開催されることが決まった旨の予告があるとしても、実際に開催されたかどうかは乙第12号証からは証されない。 乙第12号証は、乙第5号証の書籍「シンキングツールを学ぶ」と同一のものであるが、これらをもって被請求人が本件商標を商品「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」に使用しているとの証左とすることはできない。 (13)乙第13号証について 乙第13号証は、オンラインセミナーの開催案内であるが、この中で用いられている「シンキングツール」の語は、現れた思考過程を可視化させるための手順や図の総称であることは、文面からも明らかである。赤枠で囲まれた「シンキングツールをつかった簡単なワーク」とは、「現れた思考過程を可視化させるための手順や図(思考ツール)を使った簡単なワーク」を意味しているにすぎない。被請求人は、タブレット画像に「シンキングツール」の文字と図表が表れていると主張するが、当該画像中の上部「シンキングツール」(被請求人によって赤枠で囲まれた部分)は、その下に表れている18個の手順や図の総称として使用されているにすぎない。LoiLo社と被請求人が共同研究したタブレット向けソフトウエアの名称は、乙第7号証他から明らかなように、「ロイロノート・スクール」であって、「シンキングツール」ではない。そうなると、「シンキングツール」の語はその商品との具体的関係において使用されていないのであるから、これをもって、被請求人が本件商標を商品「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」に使用しているとの証左とすることはできない。 (14)乙第14号証について 乙第14号証には、本件商標の記載がない。乙第14号証には、ソフトウエア「ロイロノート・スクール」がマルチプラットフォーム対応をしていること、当該ソフトウエアが約1万校に導入され、毎日120万人が使用していること、「シンキングツールで思考力が育つ」の見出しの下に「シンキングツール(思考ツール)で思考を可視化し、自分の考えをプレゼンすることができます。思考力・判断力・表現力が育まれます。」との記載があるところ、ここでいう「シンキングツール」は「思考ツール」と同義であり、思考過程を可視化させるための手順や図を指している。「オンライン研修」中の「はじめてのシンキングツール主体的・対話的で学びを実現するシンキングツールの使い方が学べます。」も同様である。乙第14号証の赤枠を付けた画像は、乙第8号証及び乙第11号証と同じであり、商品「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」との具体的関係において使用されていないのであるから、商標的使用に当たらない。 (15)乙第15号証について 乙第15号証から分かることは、「シンキングツール」の語が令和3年度版の「中学社会」の公民と地理の教科書の中で用いられていること、当該使用について被請求人が使用許諾をしたことである。当該教科書においてどのように「シンキングツール」の語が使われているかは明らかにされていないが、被請求人の返信の中で「具体的にどう使うか、についてのインストラクションはないので、その意味でも問題はないと思います。特にあぶないのがフィッシュボーンで、特性要因分析図として使うのが筋なのですが・・・」とあるところから、「シンキングツール」の語が思考過程を可視化させるための手順や図について使用されていること、そしてそれら思考ツールの使い方については教科書に具体的に記載されていないことが推察できる。よって、中学校の公民と地理の教科書に「シンキングツール」の語が掲載されていることをもってして、被請求人又は使用許諾を受けた者が本件商標を商品「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」に使用しているとの証左とすることはできない。 (16)乙第16号証について 被請求人は、乙第16号証をもって、本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用しているとする。しかしながら、乙第16号証で用いられている「シンキングツール」の語は、その文章中に「「考え方」が身につく!シンキングツール」及び「「シンキングツール」について ものごとについて深く考える学習では、さまざまな情報を集め、整理し、それを基に考察を進めていくことになります。シンキングツールはそのような学習活動の助けとなる道具です。」と記載されているように、思考ツールである「シンキングツール」を指していることが明らかである。「「シンキングツール」の作成画面のキャプチャ」には本件商標は見受けられず、思考過程を可視化させるための手順や図の1つが表れているのみである。乙第16号証のダウンロードできる「操作マニュアル」からの抜粋については、「取扱説明書又はマニュアルに関するダウンロード可能な電子出版物」(類似群26A01、26D01)は「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」とは異なる商品である。 (17)乙第17号証について 被請求人は、乙第17号証をもって、本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用しているとする。しかしながら、乙第17号証において「ベン図やピラミッドチャートなど、21種類のシンキングツールを使って・・・」、「シンキングツールとは、自分の頭の中にある思いや考えを視覚的に表すツールです。」とあるところから、取引者や需要者は、「シンキングツール」の語を思考ツールの総称と認識するのであって、識別標識として、他の「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」と識別し、これを選択することはないとするのが相当であるから、これを「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」についての商標の使用とはいえない。また、請求人は、答弁書の中で、「スクールタクト」はインターネットを介してダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラムであり、「シンキングツール」はその中の機能であると述べている。そうとするならば、「シンキングツール」は当該ソフトウエアが有する機能を利用する際の案内表示であるにすぎないから、いずれにしても自他商品識別機能及び出所表示機能を有する商標として表示されているものではないことは明らかである。 よって、「シンキングツール」の語はその商品との具体的関係において使用されていないといえるから、乙第17号証は、被請求人又は使用許諾者が本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用していることを証さない。 (18)乙第18号証について 乙第18号証のうち、株式会社コードタクト(以下「コードタクト社」という。)がアップロードしたYouTube動画には、「シンキングツール公開!クラゲチャート」(1ページ)、「シンキングツール公開!キャンディチャート」(2ページ)、「シンキングツール公開!ベン図」(3ページ)との記載がある。ここで公開されているのは、思考ツール(シンキングツール)の課題テンプレート21種類の内、「クラゲチャート」「キャンディチャート」「ベン図」をどのようにして使うのかについてである。また、YouTube動画「シンキングツールについて【啓明学園実例報告】」では、思考ツールである「シンキングツール」を用いた授業の報告がされているにすぎない。よって、「シンキングツール」の話が「ダウンロード可能なコンピュータゾフトウエアプログラム」の識別標識として需要者に認識されているとはいえない。 (19)乙第19号証について 乙第19号証の2ページでは、「シンキングツールは分類・比較・理由付け・構造化など様々な思考スキルに対応した21種類の型です。」と説明され、「STEP.0 シンキングツールを選択」「STEP.1 シンキングツールの配布」の見出しの下に思考過程を可視化させるための手順や図(思考ツール)の型が10種類挙げられていて、赤枠で囲まれた部分には、「スクールタクトのシンキングツールは、大きさを変えたり追記したりと学習者自身で編集ができるため、より個人の思考の違いを明確にすることができます。」と記されている。そうすると、需要者は「シンキングツール」を様々な思考スキルに対応した21種類の型を意味していると認識すると考えるのが自然であるから、本件商標が、「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について自他商品識別機能及び出所表示機能を果たしている態様で使用されているとはいえない。 (20)結論 以上のとおりであるから、本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが継続して3年以上日本国内において、「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」について使用していないことは明らかである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証を提出した。 1 本件審判事件に関連する先の審判事件について 本件商標に対して、本件審判事件の請求人から商標法第50条の規定に基づく先の審判事件(取消2022-300063)が請求されており、当該先の審判事件では、本件商標の指定商品中、第9類「全指定商品」及び第16類「全指定商品」について取消しが求められているが、本件審判事件では、第9類「全指定商品」について取消しが求められている。 先の審判事件で提出した審判事件答弁書(令和4年3月18日付け)では、乙第1号証ないし乙第18号証を証拠方法として提出の上、本件商標が要証期間に使用されていることについて説明している。 本答弁書では、先の審判事件で提出した証拠方法と一部同じものを提出し(証拠の番号は相違する)、さらに新たな証拠方法も提出して、第9類「全指定商品(ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム)」について、本件商標が要証期間に使用されていることについて説明する。 2 被請求人による本件商標の使用 (1)被請求人自身のウェブサイトについて 被請求人ウェブサイトのプリントアウトを乙第1号証として提出する。赤字で「revised on Aug.10,2020」と記載されており、要証期間に存在していたことが明らかである。当該ウェブサイトには本件商標が表示され、ハイパーリンクになっている。クリックをすると「シンキングツール○R~考えることを教えたい~(短縮版)」(審決注:「○R」は、「R」を丸囲みしたもの。以下同じ。)及び「プリントレディ版シンキングツール」がダウンロード可能となっている。「シンキングツール○R~考えることを教えたい~(短縮版)」及び「プリントレディ版シンキングツール」のいずれにおいても図表が現れる。ページの下部には「シンキングツールを商標登録しています。」と表示している。 上記証拠の公開時期に関して、被請求人は、特許庁発行の「新しいモノ・コトを楽しく創る知財創造教育「未来を創る授業ガイド」」について言及する。154ページには、被請求人の名前とともに本件商標が記載されている。当該ページには、上記被請求人のウェブページ中のハイパーリンクが記載され、最終アクセス日は2019年3月6日となっている。したがって、上記被請求人のウェブサイトは、遅くとも2019年3月6日から、要証期間を経て現在も公開されていることが明らかである。「未来を作る授業ガイド」の表紙、該当ページ及び奥付写しを乙第2号証として提出する。 (2)2017年10月1日に公開され、現在においても公開がされている、「情報の科学と技術 67巻10号」中における被請求人の論文について 「情報の科学と技術 67巻10号」及び被請求人の論文「初等中等教育におけるシンキングツールの活用」の写しを乙第3号証として提出する。当該論文には本件商標を用いた様々な図表の紹介がされており、要証期間前に公開され、要証期間後も継続して公開されている。 (3)「社会科NAVI Vol.28」(2021年5月31日発行)について 乙第4号証として「社会科NAVI VoL.28」の表紙、該当ページ及び奥付を提出する。4ページに被請求人による「シンキングツールの活かし方」という記事が掲載されている。本件商標の図案の例としてバタフライチャートやYチャートが示されている。また5ページに「日本文教出版のサイトで、シンキングツールが使えるようになった。いくつかのアプリでも、デジタル・シンキングツールが利用できる」との記載がある。このアプリはダウンロード版とWeb版があり、ダウンロード版アプリは、「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」に相当する。 (4)LoiLo社との共同著作「シンキングツールを学ぶ」(2019年1月発行)について 乙第5号証として、Amazonにおける販売ページのプリントアウトを提出する。2019年1月以降、要証期間を経て現在においても販売がされている。 3 LoiLo社による本件商標の使用 LoiLo社との覚書を乙第6号証として提出をする。被請求人は、LoiLo社とシンキングツールの活用を拡張させるタブレット向けソフトウエアの研究を共同で行うことに関して覚書を締結している。また当該覚書において、被請求人はLoiLo社に対し本件商標の使用を許諾している。 被請求人は、LoiLo社による本件商標の使用証拠として以下(1)ないし(6)について言及をする。 (1)LoiLo社に関する2019年3月19日のプレスリリース 2019年3月19日付けのプレスリリースのプリントアウトを乙第7号証として提出をする。LoiLo社が提供する授業支援ツール「ロイロノート・スクール」に「シンキングツール」機能を追加したことを周知する内容である。「ロイロノート・スクール」とは、LoiLo社が提供する、教員と生徒で双方向授業を創り出すための授業支援ツールである。「ロイロノート・スクール」には、「ロイロノート・スクール iOS版」と「ロイロノート・スクール Web版」があり、「ロイロノート・スクール iOS版」はインターネットを介してコンピュータソフトウエアプログラムをダウンロードして、タブレット端末等にインストールすることが可能である。つまり、2019年3月19日のプレスリリースは、ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラムである「ロイロノート・スクール iOS版 3.0.0」に、同じくダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラムである「「シンキングツール」機能を発揮させるプログラム」が追加されたことを示している。そして「ロイロノート・スクール iOS版 バージョン3.0.0 以降」及びこれに含まれる「シンキングツール機能」について、本件商標が使用されていることにより、LoiLo社は、本件商標を「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」に使用していることとなる。 プレスリリースには、「3月18日(月)、LoiLo社はロイロノート・スクールのiOS版 3.0.0をリリースいたしました。」との記載や、「授業支援ツール「ロイロノート・スクール」に待望の シンキングツール機能 がついに登場しました!関西大学の黒上教授との3年にわたる共同開発を経て、ロイロノート・スクール上で使えるシンキングツールが実現しました!シンキングツールは全21種。ベン図やピラミッドチャートなど、これまで紙で行ってきた活動をデジタルで行うことができるようになります。」との記載がある。また、ロイロノート・スクール iOS版のダウンロードに関して、「▽iOS版 3.0.0 の詳細はこちらからご確認ください。」、「▽App Storeより ダウンロードいただけます。」との記載がある。 (2)App Storeで提供される「ロイロノート・スクール iOS版」について App Storeウェブサイトのプリントアウトを乙第8号証として提出する。 当該ページは、現在においても閲覧できるページである。また、アップデート履歴によれば「(シンキングツール機能が付加された)ロイロノート・スクール iOS版」は、バージョン3.0.0(2019年3月18日)以降、「シンキングツール」機能が付加された状態のままバージョンアップが繰り返されており、要証期間を経て、現在に至っている。「ロイロノート・スクール iOS版」の現在のバージョンは4.0.3(2022年6月16日アップデート)である。現在確認できる最も古いアップデート履歴はバージョン3.12.2(2021年4月15日アップデート)である。 「ロイロノート・スクール iOS版 バージョン4.0.3」は、インターネットを介してコンピュータソフトウエアプログラムをダウンロードしてタブレット端末等にインストールすることが可能である。タブレット端末等にインストールした「ロイロノート・スクール iOS版」を起動させると、端末の画面には濃紺色の背景画面が表示され、背景画面の左端に「シンキングツール」機能を含む複数の機能選択ボタンが表示される。「シンキングツール」と表示された機能選択ボタンを選択すると「シンキングツール」機能が起動する。「シンキングツール」機能の起動画面には、様々な図表が表示され、図表の上方に「シンキングツール」と表示される。つまり「ロイロノート・スクール iOS版」はLoiLo社が販売し、App Storeで提供される、インターネットを介してダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム(ネイティブアプリ)である。そして、「シンキングツール」機能が付加された「ロイロノート・スクール iOS版」バージョン3.0.0以降には、本件商標が継続して使用されている。 これらの行為は、商標法第2条第3項第2号に規定する商標の使用行為、又は商標法第2条第3項第8号に規定する商標の使用行為に該当する。したがって、本件審判請求に係る取消商品に関して本件商標が要証期間に使用されていたことが明らかである。 (3)「ロイロノート・スクール Web版 登場」の記事について 乙第9号証として、LoiLo社によって公開された「ロイロノート・スクール Web版 登場」の記事のプリントアウトを提出する。この記事は、上述の「ロイロノート・スクール iOS版」に加えて「ロイロノート・スクール Web版」がリリースされたことを告知するものである。記事には「これまでiOS版アプリで先行提供していたシンキングツールがChromebook、Mac、Windows、Androidでも使えるようになります!」との記載があり、ダウンロード版である「ロイロノート・スクール iOS版」に本件商標が使用されている。なお、この記事の公開日は明示されていないが、「これまでiOS版アプリで先行提供していたシンキングツール」と記載されていることから、「ロイロノート・スクール iOS版 バージョン3.0.0」がリリースされた2019年3月18日以降が公開日であり、現在も継続して公開されている。また、〈留意点〉として「iOS版アプリをご利用の方は、引き続きアプリの方をご利用ください」及び「iOS版は引き続きネイティブアプリで最高のユーザー体験をお届けします」と記載されており、「ロイロノート・スクール iOS版」については、インターネットを介してダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム(ネイティブアプリ)であることが明示されている。 (4)ロイロノート・スクールに関するウェブサイト上のページ「シンキングツールを学ぶ」について 「シンキングツールを学ぶ」のページのプリントアウトを乙第10号証として提出する。当該ページは、現在においても閲覧できるページであり、また、当該ページで確認できる下記のYouTube動画「シンキングツール活用動画」はいずれも要証期間に公開されている。したがって、本件審判請求に係る取消商品に関して本件商標が要証期間に使用されていたことが明らかである。画面キャプチャで見られる画像からも、本件商標が使用されていることが確認できる。 (5)2021年3月10日に公開されている「ロイロノートの使い方講座~○6シンキングツール~」のウェブページについて 乙第11号証として提出するウェブページ上の、「シンキングツールカードを作る」の項目では「シンキングツール」の文字がタブレットの画面上に確認できる。まず、左側にある「シンキングツール」と書いてあるカードのアイコンをタップしますとの記載があり、ロイロノートに本件商標が用いられていることが確認できる。 (6)2019年3月29日に公開された、シンキングツール大研修会の実施報告について シンキングツール大研修会の実施報告を乙第12号証として提出する。上記研修会は、2019年3月21日に実施された。上記の実施報告には、「シンキングツールを使いながら授業デザインを行いました」という報告とともに、図表が表示されたタブレット画面の写真が掲載されている。LoiLo社と被請求人が共同研究したタブレット向けソフトウエアである。シンキングツール大研修会の大阪開催(2019年7月27日)の予告も記載されている。加えてシンキングツールについての紹介も3ページに記載されており、ハイパーリンクが記載されている。当該ハイパーリンクをクリックすることで表示されるページには、「シンキングツールの使い方と各ツールの詳細はPDFをご覧ください」という表示が現れる。その下にある「PDFを開く」をクリックすると、「ロイロノート・スクール シンキングツールを学ぶ」というパンフレットを表示することができる。当該「ロイロノート・スクール シンキングツールを学ぶ」には、本件商標の様々な図表が表示されている。初版は、2019年7月15日に発行され第5版が2021年11月30日に発行されている。 (7)シンキングツールのオンラインセミナーの開催案内について 被請求人は、乙第13号証として、シンキングツールのオンラインセミナーの開催案内を提出する。開催日は2022年1月24日である。セミナーの参加人数及び参加者名が表示されていることから実際に開催されたことが明らかである。またタブレットの画面には「シンキングツール」の文字と図表が表れている。LoiLo社と被請求人が共同研究したタブレット向けソフトウエアである。また、当該セミナーの紹介文中に「シンキングツールを使った簡単なワーク」との記載がある。要証期間に本件審判請求に係る取消商品に関して本件商標が使用されていたことが明らかである。 (8)「教科別活用本 無料配布キャンペーン」の案内サイトについて 「教科別活用本 無料配布キャンペーン」の案内サイトのプリントアウトを乙第14号証として提出する。申込みの締切りは要証期間の2021年8月31日である。当該案内サイト中にある「PDFデータ」をクリックすると、教科別活用本が表示され、本件商標に係る商品の紹介ページが確認できる。ここにはロイロノート・スクール(マルチプラットフォーム対応)と記載され、「ロイロノート・スクール iOS版」を示すApple.Inc.のリンゴのマークが記載されている。また、「約1万校導入、毎日120万人が使う」と記載されており、「ロイロノート・スクール」が非常に多くのユーザーに使用され、本件商標も非常に多くのユーザーが目にしている旨が記載されている。28ページに「ロイロ授業フェス.2021」の案内があり、開催日として2021年8月5日(木)ないし同月7日(土)とあり、要証期間に当該ページが公開されていたことが明らかである。30ページに「初心者向け授業改善研修会 「はじめてのシンキングツール」 主体的・対話的で深い学びを実現するシンキングツールの使い方が学べます」とある。またタブレットに表示されている画像に「シンキングツール」の文字が確認できる。 4 日本文教出版株式会社による本件商標の使用 被請求人は、日本文教出版株式会社(以下「日本文教出版社」という。)から本件商標について使用許諾の申入れを受けこれを承諾している。被請求人と日本文教出版社の間でやりとりしたメールの一部を乙第15号証として提出する。被請求人は、日本文教出版社のウェブサイト中の「考え方が身につくシンキングツール」について言及をする。当該ウェブサイトに「「シンキングツール」はこちらから」の表示があり、ダウンロードすることで現れる図表を用いて情報の整理や学習活動が可能である。当該ウェブサイト中に「シンキングツール」について重要なお知らせ」のリンクがあり、日付が2021年6月21日と記載がされている。この日付と、お知らせの中に「いつも「シンキングツール」をご利用いただきありがとうございます」との文言があることから、要証期間に当該ウェブサイト中で本件商標が使用されていたことが明らかである。(i)関連ページのプリントアウト、(ii)「シンキングツール」の作成画面のキャプチャ、(iii)ウェブサイトからダウンロードできる「操作マニュアル」の一部を乙第16号証として提出する。 5 コードタクト社による本件商標の使用について (1)2020年10月15日付けのコードタクト社のニュースリリースについて コードタクト社のウェブサイトにおけるニュースリリース(2020年10月15日)、シンキングツールの紹介ページのプリントアウトを乙第17号証として提出する。コードタクト社が提供する授業支援システム「schoolTakt(スクールタクト)」において、「シンキングツール」の提供を開始したことを周知するためのものである。当該ニュースリリースの中には、「※1:シンキングツールは関西大学黒上晴夫先生の登録商標です。」の記載があり、被請求人が本件商標の使用について許諾をしている。当該ページには、タブレット上の表示画面の画像が掲載されており、様々な図表とともに「シンキングツール○R」の文字が表示される。要証期間に本件審判請求に係る取消商品に関して本件商標が使用されていたことは明らかである。 加えて、コードタクト社のサービス「スクールタクト」のウェブサイト中に本件商標の紹介ページがあり、ニュースリリース内で公表されている図表の紹介がされている。当該ページの中にも「※シンキングツールは関西大学黒上晴夫先生の登録商標です。」との記載があり、被請求人が使用許諾をしている。また、「スクールタクト」のアプリケーションについて「App Storeからダウンロード」及び「Google Playで手に入れよう」と記載されたアイコンが表示されている。「シンキングツール」機能を含んだ「スクールタクト」は、はインターネットを介してダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラムである。 (2)コードタクト社がアップロードをしたYouTube動画について YouTube動画の画面キャプチャを乙第18号証として提出をする。「schoolTaktシンキングツール公開! schoolTaktのシンキングツールを公開しました」という表示がされ、図表の紹介がされている。 さらに、被請求人は、コードタクト社がアップロードした「シンキングツールについて【啓明学園実例報告】」というYouTube動画について言及をする。動画公開日は2021年4月14日である。「シンキングツール」を用いた授業の報告がされている。公開日はいずれの動画も要証期間である。 (3)NTTコミュニケーションズ株式会社が2021年4月30日に発行した、「毎日のICT活用お助けレシピ」について 「毎日のICT活用お助けレシピ」の表紙、関連ページ及び奥付を乙第19号証として提出する。5ページに「シンキングツール○R」の表示があり、上記スクールタクトの「シンキングツール」の紹介がされている。さらに、「「シンキングツール」は黒上晴夫先生の登録商標です。」との表示がされている。 6 むすび 以上より、本件商標は要証期間に日本国内において商標権者及び通常使用権者によって使用されていることが明らかである。 第4 当審の判断 1 被請求人の主張及び同人が提出した乙各号証によれば、次のとおりである。 (1)乙第1号証は、2020年8月10日に更新された商標権者のウェブサイトの出力物である。 当該ウェブサイトには、「シンキングツール」の文字を商標登録していること、「シンキングツール」を商品名もしくは商品名の一部等として使用する方は、教育における本来の登録内容に添った利用であれば、契約あるいは覚書を交わした上で使用できる旨記載がある(2葉目)。 また、「シンキングツール」と称するベン図やピラミッドチャートなどの図表集(「プリントレディ版シンキングツール集」)がダウンロードできるようになっている(同上)。 (2)コードタクト社に関する証拠(乙17) 乙第17号証は、2020年10月15日付けのコードタクト社のウェブサイトにおけるニュースリリース(1~3葉目)及びシンキングツールの紹介ページ(4葉目)の出力物である。 ア ニュースリリース(乙17の1葉目~3葉目) 1葉目の左には、「【ニュースリリース】子どもの考え方を可視化し、思考力の育成をサポート!「schoolTakt(スクールタクト)」でシンキングツールを提供開始」のタイトル下に、「2020年10月15日」、「株式会社コードタクト」、「株式会社コードタクト・・・は、当社が提供するクラウド型授業支援システム「schoolTakt(スクールタクト)」にて、シンキングツールの提供を開始しましたのでお知らせいたします。・・・」、「シンキングツール(※1)とは、自分の頭の中にある思いや考えを視覚的に表すツールです。・・・schoolTaktの課題テンプレート(※2)から、先生が使いたいシンキングツールを選び、ボタンを一度押すだけで、課題を作成し、児童生徒に配布することができます。」との記載がある。 また、1葉目の右には「※よく使う課題テンプレートがある場合は、トップページのメニューにある「課類テンプレート」より、当該課題テンプレート下の★マークをクリックすると「お気に入り」登録すると「シンキングツール」などとテンプレート名を入力する手間が省けます。・・・」、「シンキングツールに関するスクールタクト独自の機能/児童生徒は、手書きでもテキストでも、シンキングツールのフレームに直接入力することができます。自分の持つ端末の種類やキーボード入力のスキルなどに合わせて入力方法を選ぶことができるため、学習活動をよりスムーズに進めることができます。・・・」の記載がある。 さらに、2葉目の右には「schoolTakt×シンキングツールで実現する協働学習」のタイトル下に、「schoolTaktでは先生がボタンを一度押すだけで、他の児童生徒の課題を見られるモードや、児童生徒同士でお互いの課題を編集可能なモードに変更することが可能です。そのため、児童生徒は、ひとつのシンキングツールに協働で考えを書き込むことができたり、他の児童生徒がシンキングツールにまとめた考えを手元の端末で閲覧し、コメントやいいね評価などのリアクションを送りあったりすることができます。」の記載がある。 加えて、3葉目の左には「※1:シンキングツールは関西大学黒上晴夫先生の登録商標です。」、「※2:課題テンプレートとは、課題を作成するために利用できる雛形のフォーマットです。テンプレートのままだけでなく、必要に応じて編集を加えて児童生徒に配布することも可能です。現在登録されている課題テンプレートは6,000以上あります。」、「(ご参考)・schoolTaktについて タブレット端末、スマートフォン、パソコンなどデバイスフリーで利用できる授業支援システムです。schoolTaktにプリセットされているさまざまな敦材や、お手持ちのPDF教材・写真をアップロードし、授業で活用することができます。・・・」、「【会社概要】会社名:株式会社コードタクト 所在地:東京都渋谷区円山町・・・事業内容:授業支援システム「schoolTakt」の提供」との記載があり、3葉目の右に、「スクールタクトを試してみませんか?/スクールタクトは2ヶ月間無料でお試し可能です。/サービスについてのご不明点はお気軽にお問い合わせください。」との記載の下に、「schoolTakt」の表示とともに、「アプリケーション」について、「App Store/からダウンロード」、「Google Play/で手に入れよう」の表示が確認できる。 イ シンキングツールの紹介ページ(乙17の4葉目) 乙第17号証の4葉目は、上部に「課題テンプレート/スクールタクトテンプレートをご紹介します。」、下部に「schoolTakt」と表示された画面の出力物であり、「シンキングツール」のタイトル下に、「頭の中にある思いや考えを視覚的に表現したいときに便利な課題テンプレートです。/※シンキングツールは関西大学黒上晴夫先生の登録商標です。」の記載とともに、「くま手チャート」、「キャンディ・チャート」、「クラゲ・チャート」、「ベン図」等の図表が示されている。 (3)上記(1)及び(2)から、以下の事実が認められる。 商標権者は、2020年8月頃、自身のウェブサイトに「シンキングツール」と称するベン図やピラミッドチャート等の図表集をダウンロード可能な状態で掲載し、また、「シンキングツール」が登録商標であって、これを使用したい者への注意なども掲載した。 また、コードタクト社は、ウェブサイトにおいて、2020年10月15日付けで、「シンキングツール」が商標権者の登録商標であることを明示した上で、自身が提供しているクラウド型授業支援システム「schoolTakt(スクールタクト)」にて、「シンキングツール」の提供を開始した旨のニュースリリースを行った。 そして、当該ニュースリリースによれば、「シンキングツール」は、クラウド型授業支援システム「schoolTakt」の画面上で「シンキングツール」の文字の下、「くま手チャート」、「キャンディ・チャート」、「クラゲ・チャート」、「ベン図」等の図表が表示されるものであり、タブレット端末、スマートフォン、パソコンなどにおいて、それらの図表に利用者がテキストを入力するなどして編集できるものであって、コードタクト社が提供するクラウド型授業支援システム「schoolTakt」を購入(2ヶ月間は無料)して、App Store又はGoogle Playからダウンロードして入手することができるものである。 2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商品について 商標権者のウェブサイト(乙1)及びコードタクト社のニュースリリース(乙17)に掲載された「シンキングツール」は、タブレット端末、スマートフォン、パソコンなどにおいて、「くま手チャート」、「キャンディ・チャート」、「クラゲ・チャート」、「ベン図」等の図表に利用者がテキストを入力するなどして編集できるものであり、さらに、コードタクト社が提供するクラウド型授業支援システム「schoolTakt」を購入して、App Store又はGoogle Playからダウンロードして入手するものであることからすれば、当該「シンキングツール」は、ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラムであることは明らかであり、第9類「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」の範ちゅうに含まれる商品といえる(以下「使用商品」という。)。 (2)使用商標について 本件商標は「シンキングツール」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、商標権者のウェブサイト(乙1)及びコードタクト社のニュースリリース(乙17)に表示された使用商品の名称である「シンキングツール」の文字は、本件商標とその構成文字を同じくするものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる(以下「使用商標」という。)。 (3)使用者について コードタクト社のニュースリリース(乙17)において、使用商標を表示した使用商品の説明中に、「シンキングツールは関西大学黒上先生の登録商標です。」と記載され、また、被請求人(商標権者)もコードタクト社の使用について許諾をした旨答弁していることからすれば、コードタクト社が商標権者から本件商標の使用許諾を得ていたものと解することに不自然なところはなく、同社は、本件商標の通常使用権者であるということができる。 (4)使用時期及び使用行為について 通常使用権者であるコードタクト社は、2020年10月15日に、ウェブサイト上の「schoolTakt(スクールタクト)」ニュースリリース(乙17)にて、使用商標の下、使用商品の提供を開始した旨のニュースをリリースしたものであり、一般に商品の提供についてのニュースリリースは掲載した商品を広告する目的で作成されるものであるから、当該ニュースリリース(乙17)も使用商品の広告を目的として提供されたものということができる。 そして、当該ニュースリリースがウェブサイト上で提供された2020年10月15日は、要証期間である。 そうすると、通常使用権者は、要証期間において、上記ニュースリリースを通じて、使用商品に関する広告を内容とする情報に使用商標を付して電磁的方法により提供したと認めることができる(商標法第2条第3項第1号及び同項第8号に該当。)。 (5)小括 上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に日本国内において、その請求に係る商品に含まれる使用商品について、本件商標と同一の商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用したといえる。 3 まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標の通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-300419

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ出願・登録の審決1件(出願 商願2014-061362)
  • 2022-300063取消審判 / 2023-04-19 / 請求不成立シンキングツール、シンキング
    同じ出願番号
同じ当事者の審決1件(ツェー・ヨーゼフ・ラミー・ゲーエムベーハー、黒上 晴夫)
  • 2022-300063取消審判 / 2023-04-19 / 請求不成立シンキングツール、シンキング
    同じ当事者: ツェー・ヨーゼフ・ラミー・ゲーエムベーハー、黒上 晴夫
同じ根拠条文の審決1,451件(50条)
  • 2024-300851取消審判 / 2026-05-20 / 請求成立(取消)エムピイピイクリエーター、エムピイピイ、クリエーター
    共通の条文: 50条
  • 2024-300332取消審判 / 2026-03-30 / 請求不成立ジイブースト、ブースト
    共通の条文: 50条
  • 2024-670047取消審判 / 2026-03-23 / 請求不成立キック
    共通の条文: 50条
  • 2025-300543取消審判 / 2026-03-10 / 請求不成立キングスト
    共通の条文: 50条
  • 2024-300296取消審判 / 2026-02-24 / 請求不成立コンカレント
    共通の条文: 50条
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)571件(1・W09)
  • 2025-301036取消審判 / 2026-07-01 / 請求成立(取消)エクスキュリオ
    共通の審決分類: 1・W09
  • 2026-300098取消審判 / 2026-06-30 / 請求成立(取消)ドッツ
    共通の審決分類: 1・W09
  • 2026-300110取消審判 / 2026-06-22 / 請求成立(取消)ジイブースト、ブースト
    共通の審決分類: 1・W09
  • 2026-300063取消審判 / 2026-06-09 / 請求成立(取消)アイノース、イノース、ノース
    共通の審決分類: 1・W09
  • 2025-301059取消審判 / 2026-05-29 / 請求成立(取消)イスカ
    共通の審決分類: 1・W09
同じ・似た商標の審決54件(シンキング、シンキングツール)
  • 2022-300063取消審判 / 2023-04-19 / 請求不成立シンキングツール、シンキング
    同じ商標: シンキング
  • 2022-300069取消審判 / 2023-04-19 / 請求成立(取消)シーキング
    似た商標: シーキング(シンキング との近さ 0.80)
  • 2024-014578拒絶査定不服審判 / 2025-05-08 / 請求不成立アイピイエスバンキング、アイピイエス、バンキング
    似た商標: バンキング(シンキング との近さ 0.80)
  • 2025-300163取消審判 / 2025-09-18 / 請求成立(取消)ザシールオブキング、シールオブキング、キング
    似た商標: キング(シンキング との近さ 0.60)
  • 2025-300164取消審判 / 2025-09-18 / 請求成立(取消)ザシールオブキング、シールオブキング、キング
    似た商標: キング(シンキング との近さ 0.60)

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存