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商標取消審判

2025-300543

キングスト

審判番号
2025-300543
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2020-030498
登録番号
6381676
請求日
2025年07月01日
審決日
2026年03月10日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】青島金思特電子有限公司
  • 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
  • 【被請求人】株式会社ゼット
審判長/審判官
  • 審判長 小林 正和
  • 審判官 渡邉 あおい
  • 審判官 山田 啓之
分類
T131 .1 -Y (W09)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第2条第1項第1号、商標法第2条第3項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6381676号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6381676号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年3月9日に登録出願、第9類「測定用具,教育用映像周波機械器具,教育用音声周波機械器具,教育用視聴覚機械器具,語学学習教材用録音済み磁気カード,学習教材用録音済み磁気式又は光学式記憶媒体,学習教材用録画済み磁気式又は光学式記憶媒体,学習教材用のコンピュータプログラム,カウンター,検流計,高周波送受信装置,オシログラフ,周波数計,集積回路,電気式測定機械器具」を指定商品として、同3年4月23日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録の日は、令和7年7月14日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和4年(2022年)7月14日から同7年(2025年)7月13日までの期間(以下「要証期間」という。)である。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)本件商標の使用者について 被請求人は、乙第3号証から乙第7号証を提出しているが、いずれの証拠にも商標の使用者に関する記載はなく、被請求人が商標の使用者であることを示すものではない。さらに、乙第7号証に記載されたバーコード(QRコード)を読み取ると、請求人が運営するウェブサイトにアクセスできることが確認され、被請求人が提出した証拠資料に掲載された商品はいずれも請求人が販売する商品であることが分かる(甲3)。さらに、被請求人が運営すると考えられるホームページ及びAmazon等の販売サイトにおいても、「ソフトウェアとユーザーガイドは次の場所からダウンロードできます」との記載に続いて、請求人が運営するウェブサイトにアクセスすることのできるURLが掲載されており(甲4)、被請求人は請求人が販売した商品を転売する単なる小売業者(中間流通業者)であることが確認できる。 請求人は、コンピュータ用ソフトウェア・ハードウェア及び周辺機器、計測機器の製造等を行う事業者である(甲5)。そして、その英文商号に含まれる「Kingst」は請求人のハウスマークとして使用されており、請求人は自社のウェブサイトにおいて2016年以降、継続的に本件商標と社会通念上同一の商標を使用してきた(甲6)。さらに、請求人は本件商標の登録出願日前である2016年に2件、2019年に1件、いずれも第9類の商品を指定商品として中国において商標「Kingst」を登録している(甲7)。一方、被請求人は、請求人と無関係の第三者であり、自社ホームページ、楽天市場、Amazon等を通じて多様な商品を並行輸入・販売していることが確認でき、取扱商品を市場に置いた者ではなく、小売業者(中間流通業者)であると理解できる(甲8)。 乙第8号証から乙第10号証は、「Amazonの商品販売ページの写し」と推認されるが、販売元として被請求人の名称が記載されているものの、これは当該販売ページ上における中間流通業者としての表示にすぎない。実際、Amazon商品販売ページの下部にはメーカー名として「Kingst」と明記されており(甲4の2)、掲載されている商品の出所は請求人であることが明白である。また、乙第13号証から乙第15号証(「楽天市場の商品販売ページの写し」と推認される資料)及び乙第17号証から乙第19号証(「被請求人の自社ホームページの写し」と推認される資料)に係る証拠資料についても、いずれも請求人が販売している商品を中間流通業者として取り扱っているにすぎず、被請求人が自ら商標を使用している事実を示すものではない。 過去の裁判においても、「商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初商品に商標を付した者による商標の使用と解される」と判示している(甲9)。本件においても、商品に商標を付した者は請求人であり、被請求人は単なる中間流通業者にすぎないことから、被請求人が本件商標を使用したとは到底認められない。なお、本件においては、被請求人が請求人の商品の販売権やライセンスを有している事実はなく、当該商品は他の事業者によっても販売されていることから(甲10)、被請求人が請求人製造品の販売を独占的に行っているものともいえない。この点においても、被請求人の提出証拠から、被請求人が商標を使用していると判断できる余地はない。 (2)要証期間内での使用等について 被請求人は、中間流通業者にすぎず、本件商標の使用者ではないことは明らかである。 乙第3号証から乙第6号証に掲載されている写真には、撮影日が掲載されておらず、要証期間内に商標が使用されていたことは明らかになっていない。 次に、乙第8号証から乙第10号証(「Amazonの商品販売ページの写し」と推認される資料)には、印刷日及び商品掲載日並びにURLの記載がなく、要証期間内の使用を裏付けることはもとより、当該ページの実在も確認できない。乙第11号証は、「Amazonの注文管理に係るページの写し」と推認されるが、仮に当該ページが実在するものだったとしても、記載された注文日は審判請求登録後のものであり、要証期間内の使用を示す資料とはいえない。乙第12号証も同様に、期間内の使用を認めるに足る証拠ではない。 また、乙第13号証から乙第15号証(「楽天市場の販売ページの写し」等と推認される資料)及び乙第17号証から乙第20号証(被請求人のホームページの写しと推認される資料)についても、いずれも印刷日及び商品掲載日並びにURLの記載がなく、要証期間内の使用及びページの実在性を確認することができない。 さらに、乙第16号証は「【楽天市場】注文内容ご確認(自動配信メール)」という件名が確認されるものの、被請求人との関係が不明であり、商品や商標に関する記載もないため、被請求人が指定商品に本件商標を使用していることを示す資料とはいえない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第23号証を提出した。 1 使用の事実 被請求人は要証期間において、本件商標を指定商品「電気式測定機械器具」について、継続的かつ積極的に使用している。 商品本体及びパッケージには、本件商標を明確に表示し販売している(乙3、乙4)。 販売に際して添付したソフトウェアCD及びソフトウェア画面においても本件商標を表示している(乙5、乙6)。 説明書には本件商標「Kingst」を片仮名表記「キングスト」と併記し、取引者及び一般需要者に対して広く知らしめている(乙7)。 さらに、自社ホームページ、アマゾン及び楽天市場といったオンラインプラットフォームを通じて、本件商標が付された商品の広告及び販売を行い、取引者及び需要者に対して明確に訴求している(乙8~乙19)。 2 図形と文字の配置の社会通念上の同一性 本件商標と使用に係る商標を比較してみると、本件商標は、左側に図形を配置し、その右側に英文字「Kingst」を配置して横並びで登録されているものである。 一方、使用に係る商標は、本件商標において左側に配置されている図形と同様の図形が上部に配置され、その下側に英文字「Kingst」を配置して縦並びとなっているものである(乙3~乙5)。 そうすると、本件商標の構成中の「Kingst」の英文字は、使用に係る商標の英文字「Kingst」と同じであり、また、本件商標の構成中の図形と使用に係る商標の構成中の図形とは、同一の図形といえるものである。 そして、本件商標の英文字「Kingst」及び使用に係る商標の英文字「Kingst」は、造語ではあるが、「Kingst」の一部を構成する「King」によって、「王様」、「キング」を観念として生じさせるといえることから、同一の称呼及び観念を生ずるものである。 そのため、本件商標と使用に係る商標とは、図形と英文字「Kingst」とが一方が横並びであり、他方が縦並びである点で相違するが、外観上同視される図形と、同一の称呼及び観念を生ずる英文字「Kingst」とが配置されている点で共通する。 したがって、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といい得るものである。 また、ソフトウェア画面における使用に係る商標は、左側に図形を配置し、その右側に英文字「Kingst」を配置して横並びに配置されているものであって(乙5)、本件商標と同一の商標である。 3 和訳の社会通念上の同一性 本件商標「Kingst」は、説明書において、一般的な日本語表記「キングスト」として併記して使用している(乙7)。登録商標が外国語であっても、その商標と同じ称呼及び観念を生じる日本語表記での使用は、社会通念上同一と認められる。 本件の場合、「Kingst」と「キングスト」は称呼及び観念が完全に一致し、市場において取引者・需要者が同一の商標として認識していることは疑いの余地がない。 4 販売実績の具体化 要証期間内において、本件商標を付した商品の販売実績は、アマゾンにて62件(乙9)、楽天市場にて5件(乙15)の合計67件に上る。その詳細な販売明細を乙第23号証として添付しており、具体的な販売状況が明白である。 5 販売主体の明確化 被請求人は各販売ページにおいて特定商取引法に基づく明確な表記を行い、取引主体が株式会社ゼット(被請求人)であることを示している(乙21、乙22)。 したがって、本件商標の使用主体が被請求人であることは明らかである。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出に係る証拠及び職権による調査によれば、次の事実が認められる。 (1)「amazon」のウェブサイト(乙8。以下「本件ウェブサイト1」という。)及び「ZMART」と称するオンラインショッピングサイト(乙17。以下「本件ウェブサイト2」といい、本件ウェブサイト1及び2を併せて「本件ウェブサイト」という。)には、「Kingst LA1010 USB ロジック アナライザ」と称する商品(以下「使用商品」という。)が掲載されている。 (2)本件ウェブサイトにおける使用商品の販売元は、本件商標の商標権者(以下、単に「商標権者」という。)である(乙20、乙22)。 (3)本件ウェブサイトには、「LA1010は、コストパフォーマンスの高いロジックアナライザ製品です。」との記載がある(乙8、乙17)。 (4)なお、「ロジックアナライザ」とは、デジタル回路の動作を調べる測定器である(職権調査)。 (5)本件ウェブサイトには、使用商品の写真が掲載されている(乙8、乙17)。 (6)使用商品には、別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている(乙3、乙8、乙17)。 (7)「amazon」のウェブサイトにおいて、2025年(令和7年)7月8日及び同月11日に使用商品が注文されている(乙11)。 (8)本件ウェブサイト2には、「営業カレンダー」の欄に「2025年7月の定休日」として同月のカレンダーが掲載されている(乙17)。 2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商品について 使用商品は、本件ウェブサイトにおける記載からして「ロジックアナライザ」であると認められ、「ロジックアナライザ」とは「デジタル回路の動作を調べる測定器」である。 そうすると、使用商品は、本件商標の指定商品中「電気式測定機械器具」の範ちゅうに含まれる商品とみるのが相当である。 (2)使用商標について ア 本件商標は、別掲1のとおり、オレンジ色の楕円形内に幾何模様を白抜きで表した図形を配し、その右に「Kingst」の文字を黒字で表した構成からなるものである。 他方、使用商標は、別掲2のとおり、外周を黒色の線で囲んだオレンジ色の楕円形内に幾何模様を黒色で表した図形を配し、その右に「LA1010」の文字、これらの下に「Kingst Logic Analyzer」の文字をそれぞれ白字で表した構成からなるものである。 そして、使用商標の構成中「LA1010」の文字部分は、欧文字の2字と数字からなるものであるから、商品の品番、型番、種別、形式又は規格等を表した記号又は符号と認識されるものである。また、使用商標の構成中「Logic Analyzer」の文字部分は、使用商品との関係から、商品の普通名称を表したものと認識されるものである。 そうすると、使用商標は、その構成中、図形部分と「Kingst」の文字部分とが出所識別標識としての機能を果たす部分であるといえる。 そして、本件商標と、使用商標の図形部分及び「Kingst」の文字部分とは、図形と文字とが横並びか縦並びかの違いがあるものの、図形部分において、一部の色彩を異にするが外観において同視できるものであり、文字部分において、色彩を異にするが構成文字及び書体は同一であることからすると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と判断するのが相当である。 イ また、本件ウェブサイトには、使用商標が表示された使用商品の写真が掲載されているから、本件ウェブサイトには、使用商標が付されているといえる。 (3)使用時期について ア 「amazon」のウェブサイトにおいて、2025年(令和7年)7月8日及び同月11日に使用商品が注文されていることが認められる。 そうすると、使用商品が掲載されている「amazon」のウェブサイトである本件ウェブサイト1は、当該日において、インターネット上に公開されていたものと推認することができる。 そして、令和7年7月8日及び同月11日は、要証期間内である。 イ 本件ウェブサイト2には、「営業カレンダー」の欄に「2025年7月の定休日」として同月のカレンダーが掲載されているから、同サイトは、2025年(令和7年)7月1日には、インターネット上に公開されていたものと推認することができる。 そして、令和7年7月1日は、要証期間内である。 (4)使用者について 本件ウェブサイトにおける使用商品の販売元は商標権者であるから、使用者は、商標権者である。 (5)小括 以上によれば、商標権者は、要証期間内である令和7年7月1日、同月8日及び同月11日に、本件商標の指定商品中「電気式測定機械器具」の範ちゅうに含まれる使用商品に関する広告を内容とする情報(本件ウェブサイト)に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して電磁的方法(インターネット)により提供したということができる。 そして、この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品・・・に関する広告・・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。 3 請求人の主張について 請求人は、使用商品に使用商標を付したのは請求人であり、被請求人は単なる中間流通業者にすぎないから、被請求人が本件商標を使用したとは認められない旨主張する。 しかしながら、商標とは、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」(商標法第2条第1項第1号)であるから、譲渡する者である中間流通業者が、業として商品を譲渡する場合に、その商品について使用をする標章についても、商標ということができる。 そうすると、たとえ中間流通業者であっても、当該者が商標法第2条第3項各号のいずれかの行為をしたときには、当該者による商標の使用というべきである。 してみると、たとえ使用商品に使用商標を付したのが請求人であったとしても、前記2のとおり、商標権者は、商標法第2条第3項第8号の使用行為により、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標の使用をしたというべきである。 なお、請求人は、「商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初商品に商標を付した者による商標の使用と解される」と判示した裁判例(甲9)を挙げているが、当該判示は、「商標を付した者による商標の使用と解される」旨を判示したにとどまり、中間流通業者による商標の使用を否定するものではないから、当該裁判例によって、上述の判断は影響されない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件審判の指定商品中「電気式測定機械器具」の範ちゅうに含まれる使用商品について、本件商標と社会通念上同一の使用商標の使用をしていたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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