商標取消審判
2024-670047
キック
- 審判番号
- 2024-670047
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- —
- 請求日
- 2024年08月08日
- 審決日
- 2026年03月23日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】有限会社エム・ディー・エス
- 【被請求人】Brainlab SE
- 【被請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 真鍋 伸行
- 審判官 駒井 芳子
- 審判官 鯉沼 里果
- 分類
- T132 .1 -Y (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第3号、商標法第2条第3項第7号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の国際登録第1116951号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
第1 本件商標
本件国際登録第1116951号商標(以下「本件商標」という。)は、「Kick」の欧文字を横書きしてなり、2012年3月2日に欧州連合知的財産庁においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2012年(平成24年)4月19日に国際商標登録出願、第9類「Computers, planning software and programs for neurosurgical, orthopaedic and radiotherapeutic applications and for applications in ear, nose and throat (ENT) surgery and for presentation of medical images and/or medical data; data carriers including planning software and programs for neurosurgical, orthopaedic and radiotherapeutic applications and for applications in ear, nose and throat (ENT) surgery and for presentation of medical images and/or medical data.」、第42類「Computer programing for neurosurgical, orthopaedic and radiotherapeutic applications and for applications in ear, nose and throat (ENT) surgery.」ほか、第10類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品及び指定役務として、平成25年9月20日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年8月26日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和3年(2021年)8月26日から同6年(2024年)8月25日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「全指定商品」、第42類「全指定役務」(以下「請求に係る商品及び役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る商品及び役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、令和6年11月26日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対し、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。なお、以下、証拠の記載に当たっては、「乙第1号証」を「乙1」のように省略して記載する場合があり、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。
1 商標権者の本件商標の使用
(1)使用者
被請求人は、東京都港区芝浦に所在するブレインラボ株式会社を日本国内の販売代理店とする販売代理店契約を締結している。その証拠として、販売代理店契約書の抜粋を提出する(乙1)。当該販売代理店契約書において、商標の使用についての取り決めがあり、商標を広告等で使用する場合には、権利者から書面による承認を求めること、となっている(乙2)。このことから、ブレインラボ株式会社は、日本国内における本件商標の正当な通常使用権者であることが証明される。
(2)本件商標の使用
ブレインラボ株式会社は、被請求人が開発・製造した多種多様な医療機器及びそれらに使用するソフトウェア等を、日本国内で販売している。その一例として、製品「Kick Optical Navigation EM Navigation」の日本市場向けのカタログを提出する(乙3)。当該製品カタログの表紙には、本件商標が付されており、1ページ目には「Kickアプリケーション」として、当該製品で使用されているソフトウェアの画像が確認できる。これは、商品等に関する広告等に標章を付して頒布する行為にあたり、商標法第2条第3項第3号に該当する。
また、実際の製品においては、製品起動時において本件商標が表示され(乙4-1)、アプリケーション作動中も画面左下に本件商標が表示される(乙4-2)。これらは、電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為にあたり、商標法第2条第3項第7号に該当する。
以上のことから、本件商標が本件指定商品等について使用されていることが証明される。
(3)本件商標を使用した製品の販売
ブレインラボ株式会社は、本件商標を使用している製品を、日本国内で継続的に販売している。その証拠として、同社が発行した請求書の写しを提出する(乙5)。当該請求書の右上部分には、「弊社受注日」として、2024年6月17日が記載されている。これにより、本件審判の要証期間内に、本件商標が使用されていたことが証明される。
2 結論
以上のことから、本件商標の通常使用権者により、本件商標が本件指定商品等について、要証期間内に、国内で使用されていたことは明らかである。
第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙1は、2017年10月1日発効の、BRAINLAB AG(被請求人)と東京都港区所在のブレインラボ株式会社間における販売代理店契約書である。ブレインラボ株式会社は被請求人の関連会社であり、被請求人は、ブレインラボ株式会社を本領域における特定の被請求人製品販売のための販売代理店として指定している。
(2)乙2は、上記販売代理店契約書における商標の使用についての取り決めであり(被請求人主張)、いずれかの当事者が他方の当事者の商標等を使用する場合は、事前に書面による承認を求める旨が記載されている。
(3)乙3は、製品「Kick Optical Navigation EM Navigation」のカタログであり(被請求人主張)、表紙(1葉目)には、「BRAINLAB」及び「Kick」の欧文字を赤字で横書きした記載がある。また2葉目には、「Application for Kick 光学式手術用ナビゲーションシステムKickアプリケーション」の見出しの下、「自動化された先端の3D技術にもとづき、高精細なボリュームレンダリング表示・透過性のある3Dモデルを自動的に表示。Augmented Reality技術により、プランニングされた3Dオブジェクトを手術用顕微鏡に表示。」及び医療用と思しき画像とともに「脳神経外科」「耳鼻咽喉科・口腔外科・形成外科(顔面部)領域」等の記載がある。さらに、裏表紙(6葉目)には「販売製造元 ブレインラボ株式会社」、「@2021 Brainlab K.K All rights reserved. Printed in Japan. PLF_JP_Kick2.1_Dec21_Rev1 Q:1.500」の記載がある。
(4)乙5はブレインラボ株式会社が2024年8月29日に発行した請求書であり、「弊社受付日」として「2024年6月17日」の記載、「品名概要」として「KICK2 NAVIGATION STATION」の記載がある。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件商標及び使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「Kick」の欧文字を横書きしてなるものである。
他方、ブレインラボ株式会社が使用する商標は、上記1(3)のとおり、「Kick」の欧文字を赤字で横書きしてなるものである(以下「使用商標」という。)。
そうすると、本件商標と使用商標は、色彩及び書体を異にするものの、構成文字を同一にすることから、社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
乙3のカタログの2葉目に掲載されている商品(以下「使用商品」という。)は、上記1(3)のとおり、「Application for Kick 光学式手術用ナビゲーションシステムKickアプリケーション」等の記載や掲載されている画像からすると、光学式手術に用いられるアプリケーションプログラムに関するものであって、脳神経外科、耳鼻咽喉科、口腔外科及び形成外科などの手術をする際に用いる画像を表示させるものであることからすれば、脳神経外科、耳鼻咽喉科、口腔外科及び形成外科等に関する手術用の画像を表示するためのコンピュータソフトウェアであるとみるのが相当である。
そして、上記商品は、取消に係る商品及び役務中、第9類「Computers, planning software and programs for neurosurgical, orthopaedic and radiotherapeutic applications and for applications in ear, nose and throat (ENT) surgery and for presentation of medical images and/or medical data; data carriers including planning software and programs for neurosurgical, orthopaedic and radiotherapeutic applications and for applications in ear, nose and throat (ENT) surgery and for presentation of medical images and/or medical data.」の範ちゅうに属する商品といえる。
(3)使用者について
被請求人とブレインラボ株式会社は、本領域における販売代理店契約を締結しており(乙1)、いずれかの当事者が他方の当事者の商標等を使用する場合に関する取り決め(乙2)があるところ、被請求人が提出した商品カタログ(乙3)には、本件商標と社会通念上同一である使用商標の記載があり、さらに販売製造元としてブレインラボ株式会社の名称も明記されている。
そうすると、乙1及び乙2からは、ブレインラボ株式会社が被請求人から本件商標の使用許諾を受けているという直接的な証拠は確認できないものの、いずれかの当事者が他方の当事者の商標等を使用する場合に関する取り決めを行っていること、被請求人自身がブレインラボ株式会社の商品カタログを証拠として提出していること、そのカタログに本件商標と社会通念上同一と認められる商標が明示されていること、当該カタログに製造元としてブレインラボ株式会社が記載されていることなどの事情を総合的に勘案すれば、被請求人者は、ブレインラボ株式会社に対して、本件商標の使用について明示又は黙示の許諾を与えていたものと推認されるというのが相当である。
したがって、ブレインラボ株式会社は、本件商標の通常使用権者であると認められる。
(4)使用時期について
ブレインラボ株式会社が、本件商標と社会通念上同一である使用商標を使用している商品カタログ(乙3)の裏表紙下部(6葉目)には、「@2021 Brainlab K.K All rights reserved. Printed in Japan. PLF_JP_Kick2.1_Dec21_Rev1 Q:1.500」との記載があることから、要証期間である2021年12月に印刷され、頒布されたカタログであると推認される。
また、ブレインラボ株式会社が2024年8月29日に発行した請求書には、品名概要に「KICK2 NAVIGATION STATION」の記載があり、当該「KICK」の文字部分は、本件商標と大文字と小文字の差異を有するものの、構成文字を同一にするものであるから本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているといえ、「弊社受注日」の項目には、要証期間である2024年6月17日の記載が確認できる。
そうすると、ブレインラボ株式会社は、要証期間内に、使用商品を販売するとともに、使用商品に関するカタログに使用商標を付して頒布していたものと推認できる。
なお、ブレインラボ株式会社は、東京都港区所在の法人であって、上記カタログ及び請求書は、日本語で記載されていることから、少なくとも我が国における需要者を対象に上記カタログが頒布又は使用商品が販売されていたものと推認される。
(5)小括
上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間内に、日本国内において、第9類「Computers, planning software and programs for neurosurgical, orthopaedic and radiotherapeutic applications and for applications in ear, nose and throat (ENT) surgery and for presentation of medical images and/or medical data; data carriers including planning software and programs for neurosurgical, orthopaedic and radiotherapeutic applications and for applications in ear, nose and throat (ENT) surgery and for presentation of medical images and/or medical data.」の範ちゅうに含まれる商品の販売に際して、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したカタログを頒布したといえる。また、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告若しくは取引書類に標章を付して頒布した行為」に該当するといえる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務中、請求に係る商品及び役務のうちの商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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