商標取消審判
2022-300063
シンキングツール、シンキング
- 審判番号
- 2022-300063
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2014-061362
- 登録番号
- 5719950
- 請求日
- 2022年01月25日
- 審決日
- 2023年04月19日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ツェー・ヨーゼフ・ラミー・ゲーエムベーハー
- 【請求人代理人】江崎 光史
- 【請求人代理人】佐久間 洋子
- 【請求人代理人】田崎 恵美子
- 【被請求人】黒上 晴夫
- 【被請求人代理人】松永 充弘
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 大山 健
- 審判官 鈴木 雅也
- 分類
- T131 .1 -Y (W0916)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第1号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5719950号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5719950号商標(以下「本件商標」という。)は、「シンキングツール」の文字を標準文字で書してなり、平成26年7月23日に登録出願、第9類「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム」及び第16類「印刷された図表」を指定商品として、同年11月21日に設定登録されたものである。
なお、本件審判請求の登録日は、令和4年2月7日である。
また、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成31年(2019年)2月7日ないし令和4年(2022年)2月6日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「全指定商品」及び第16類「全指定商品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
本件商標は、第9類「全指定商品」及び第16類「全指定商品」について、今日に至るまで継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により、上記指定商品について登録は取り消されるべきである。
なお、請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第18号証を提出した。
1 被請求人による本件商標の使用
(1)乙第1号証は、被請求人ウェブサイトのプリントアウト、「シンキングツール○R~考えることを教えたい~(短縮版)」(審決注:「○R」は、「R」を丸囲みしたもの。以下同じ。)及び「プリントレディ版シンキングツール」のプリントアウトである。被請求人自身のウェブサイトには、赤字で「revised on Aug.10,2020」と記載されており、要証期間に存在していたことが明らかである。当該ウェブサイトには本件商標「シンキングツール」が表示され、ハイパーリンクになっている。クリックをすると「シンキングツール○R~考えることを教えたい~(短縮版)」及び「プリントレディ版シンキングツール」がダウンロード可能となっている。「シンキングツール○R~考えることを教えたい~(短縮版)」及び「プリントレディ版シンキングツール」のいずれにおいても図表が現れる。これは、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の使用行為に該当する。
(2)乙第2号証は、「未来を作る授業ガイド」の表紙、該当ページ、奥付の写しと、上述のハイパーリンクをクリックして表示される画面のプリントアウトであり、要証期間を経て現在も公開されている。
特許庁発行の「新しいモノ・コトを楽しく創る知財創造教育「未来を創る授業ガイド」」の154ページには、被請求人の名前と共に本件商標が記載されている。当該ページには、上記被請求人のウェブページ中のハイパーリンクが記載され、最終アクセス日は2019年3月6日となっている。したがって、上記被請求人のウェブサイトが要証期間に存在していたことが明らかである。
(3)乙第3号証は、2017年10月1日に公開され、現在においても公開がされている「情報の科学と技術 68巻10号」中における被請求人の論文「初等中等教育におけるシンキングツールの活用の該当ページの写しであり、当該論文には本件商標「シンキングツール」を用いたさまざまな図表の紹介がされている。なお、要証期間以前に公開され、要証期間以降も継続して公開されている。
(4)乙第4号証は、2021年5月31日に発行された、社会科NAVI Vol.28の表紙、該当ページ及び奥付であり、4ページ目に被請求人による「シンキングツールの活かし方」という記事が掲載されている。本件商標「シンキングツール」の図案の例としてバタフライチャートやYチャートが示されている。
(5)なお、被請求人のシンキングツールに関する書籍として、後述する株式会社LoiLo(以下「LoiLo社」という。)との共同著作で、「シンキングツールを学ぶ」が2019年1月に発行されている(乙5)。2019年1月以降、要証期間を経て現在においても販売がされている。
2 LoiLo社による本件商標の使用
被請求人は、LoiLo社とシンキングツールの活用を拡張させるタブレット向けソフトウェアの研究を共同で行うことに関して覚書を締結している(乙6)。また当該覚書において、被請求人はLoiLo社に対し、本件商標「シンキングツール」の使用を許諾している。
被請求人は、LoiLo社による本件商標の使用証拠として以下(1)ないし(6)について言及をする。
(1)乙第7号証は、LoiLo社に関する2019年3月19日付けのプレスリリースであり、LoiLo社が提供する「ロイロノート・スクール」にシンキングツール機能を追加したことを周知する内容である。「ロイロノート・スクール」とは、教員と生徒で双方向授業を創り出すための授業支援ツールである。当該プレスリリースにはタブレット上の画像の写真が掲載され、本件商標「シンキングツール」が使用されている。
(2)乙第8号証は、ロイロノート・スクールに関するウェブサイト上の、本件商標「シンキングツール」に関するページ「シンキングツールを学ぶ」のページのプリントアウト及びシンキングツール活用動画の画面キャプチャであり、画面キャプチャで見られる画像からも、本件商標「シンキングツール」が使用されていることが確認でき、当該ページは、現在においても閲覧できる。また、当該ページで確認できるYouTube動画「シンキングツール活用動画」はいずれも要証期間に公開されているから、指定商品に関して本件商標が要証期間に使用されていたことは明らかである。
(3)乙第9号証は、2021年3月10日に公開されている「ロイロノートの使い方講座~○6シンキングツール~」(審決注:「○6」は「6」を丸囲みしたもの。)のウェブページのプリントアウトである。当該ウェブページ上の「シンキングツールカードを作る」の項目では「シンキングツール」の文字がタブレットの画面上に確認できる。また、さまざまな図表が表れている。
(4)乙第10号証は、2019年3月29日に公開された、シンキングツール大研修会の実施報告、ハイパーリンクをクリックすることで表示されるページ及びパンフレット「ロイロノート・スクール シンキングツールを学ぶ」である。上記研修会は、2019年3月21日に実施された。上記実施報告には、「シンキングツールを使いながら授業デザインを行いました」という報告と共に、図表が表示されたタブレット画面の写真が掲載されている。LoiLo社と被請求人が共同研究したタブレット向けソフトウェアである。
加えて、シンキングツールについての紹介も3ページ目でなされており、ハイパーリンクが記載されている。当該ハイパーリンクをクリックすることで表示されるページには、「シンキングツールの使い方と各ツールの詳細はPDFをご覧ください」という表示が現れる。その下にある「PDFを開く」をクリックすると、「ロイロノート・スクール シンキングツールを学ぶ」というパンフレットを表示することができる。
当該「ロイロノート・スクール シンキングツールを学ぶ」には、本件商標「シンキングツール」のさまざまな図表が表示されている。初版は、2019年7月15日に発行され、第5版は2021年11月30日に発行されている。
(5)乙第11号証は、シンキングツールのオンラインセミナーの開催案内であり、開催日は2022年1月24日である。セミナーの参加人数及び参加者名が表示されていることから実際に開催されたことが明らかである。またタブレットの画面には、「シンキングツール」の文字と図表が表れている。LoiLo社と被請求人が共同研究したタブレット向けソフトウェアである。また、当該セミナーの紹介文中に「シンキングツールを使った簡単なワーク」との記載がある。要証期間に指定商品に関して本件商標「シンキングツール」が使用されていたことが明らかである。
(6)乙第12号証は、「教科別活用本 無料配布キャンペーン」の案内サイト、教科別活用本中の「ロイロ授業フェス.2021」の案内、及び研修の該当ページのプリントアウトである。
「教科別活用本 無料配布キャンペーン」の申込みの締切りは要証期間の2021年8月31日である。当該案内サイト中にある「PDFデータ」をクリックすると、教科別活用本が表示され、本件商標に係る商品の紹介ページが確認できる。28ページ目に「ロイロ授業フェス.2021」の案内があり、開催日として2021年8月5日(木)から8月7日(土)と記載されている。よって、要証期間に当該紹介ページが公開されていたことは明らかである。30ページ目には、「初心者向け授業改善研修会」「はじめてのシンキングツール」「主体的・対話的で深い学びを実現するシンキングツールの使い方が学べます。」とある。またタブレットに表示されている画像に、「シンキングツール」の文字が確認できる。
3 日本文教出版株式会社による本件商標の使用
被請求人は、日本文教出版株式会社(以下「日本文教出版社」という。)から本件商標について使用許諾を求められ、これを承諾している。被請求人と日本文教出版社の間でやりとりしたメールの一部を乙第13号証として提出する。
乙第14号証は、日本文教出版社のウェブサイト中の「考え方が身につくシンキングツール」のページ、「シンキングツール」の作成画面のキャプチャ、及びウェブサイトからダウンロードできる「操作マニュアル」である。当該ウェブサイトに「「シンキングツール」はこちらから」の表示があり、ダウンロードすることで現れる図表を用いて情報の整理や学習活動が可能である。当該ウェブサイト中に「「シンキングツール」について重要なお知らせ」のリンクがあり、日付が2021年6月21日と記載がされている。この日付と、お知らせの中に「いつも「シンキングツール」をご利用いただきありがとうございます。」との文言があることから、要証期間に当該ウェブサイト中で本件商標「シンキングツール」が指定商品に関して使用されていたことは明らかである。
4 株式会社コードタクトによる本件商標の使用について
(1)乙第15号証は、2020年10月15日付けの株式会社コードタクト(以下「コードタクト社」という。)のニュースリリース、シンキングツールの紹介ページのプリントアウトである。当該ニュースリリースは、コードタクト社が提供する授業支援システム「schoolTakt(スクールタクト)」において、「シンキングツール」の提供を開始したことを周知するためのものである。
当該ニュースリリースの中には、「※1:シンキングツールは関西大学黒上晴夫先生の登録商標です。」の記載があり、被請求人が本件商標の使用について許諾をしている。当該ページには、タブレット上の表示画面の画像が掲載されており、様々な図表とともに「シンキングツール○R」の文字が表示されているから、要証期間に指定商品に関して本件商標が使用されていたことは明らかである。
加えて、コードタクト社のサービス「スクールタクト」のウェブサイト中にある本件商標「シンキングツール」の紹介ページに、ニュースリリース内で公表されている図表の紹介がされている。当該紹介ページの中にも「※シンキングツールは関西大学黒上晴夫先生の登録商標です。」との記載があり、被請求人が使用許諾をしている。
(2)乙第16号証は、コードタクト社がアップロードをしたYouTube動画の画面キャプチャである。「schoolTaktシンキングツール公開!」「schoolTaktのシンキングツールを公開しました。」という表示がされ、図表の紹介がされている。
さらに、コードタクト社がアップロードした「シンキングツールについて【啓明学園実例報告】」というYouTube動画があり、動画公開日は2021年4月14日である。「シンキングツール」を用いた授業の報告がされている。
公開日はいずれの動画も要証期間である。
(3)乙第17号証は、NTTコミュニケーションズ株式会社が2021年4月30日に発行した、「毎日のICT活用お助けレシピ」である。5ページ目に「シンキングツール○R」の表示があり、上記において言及したスクールタクトの「シンキングツール」の紹介がされている。さらに、「「シンキングツール」は黒上晴夫先生の登録商標です。」との表示がされている。
5 株式会社全教図による本件商標の使用
乙第18号証は、株式会社全教図(以下「全教図社」という。)による「シンキングツール○R・ボード」に関するウェブサイト及びパンフレット、「スマートスクール」のデジタルカタログ及び「内田教材総合カタログ Vol.87 2020-2021令和2年~3年版」である。「シンキングツール○R・ボード」は樹脂フィルムを貼り合わせた印刷された図表である。
上記の「シンキングツール○R・ボード」に関するウェブサイト及びパンフレットには、監修者として被請求人の名前が記載されている。「シンキングツール○R・ボード」は、被請求人が本件商標「シンキングツール」の使用許諾をし、販売された商品である。
また、当該商品が通販サイト「スマートスクール」のデジタルカタログに掲載されている。裏表紙には2021年9月改訂との記載がある。417ページに、「シンキングツール○R・ボード」の表示があり、商品の写真が掲載されている。
さらに、当該商品は、「内田教材総合カタログ Vol.87 2020-2021令和2年~3年版」に掲載されている。発行日は2020年3月である。11ページに、「シンキングツール○R・ボード」の表示があり、商品の写真が掲載されている。
6 むすび
以上より、本件商標は継続して3年以上日本国内において商標権者及び通常使用権者によって使用されていることが明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)商標権者のウェブサイト(乙1)
乙第1号証は、2020年8月10日に更新された商標権者のウェブサイトの出力物である。
当該ウェブサイトには、「シンキングツール」の文字を商標登録していること、「シンキングツール」を商品名もしくは商品名の一部等として使用する方は、教育における本来の登録内容に添った利用であれば、契約あるいは覚書を交わした上で使用できる旨記載がある。
また、「シンキングツール」と称するベン図やピラミッドチャートなどの図表集(「プリントレディ版シンキングツール集」)がダウンロードできるようになっている。
(2)全教図社に関する証拠及びカタログ等(乙18)
ア 全教図社のウェブサイトの出力物及びパンフレット(乙18(1~5葉目))
乙第18号証の1葉目は、全教図社のウェブサイトの出力物であり、「シンキングツール・ボード」(「シンキングツール」の文字の右側に○Rが付されている。以下同じ。)の表題の下、「アクティブ・ラーニングに欠かせない思考スキルを高める教材です。」の記載、及び「商品コード 1900860」、「商品名 シンキングツール・ボード」、「価格(税込) 7,700円」、「監修 黒上晴夫(関西大学総合情報学部教授)」、「仕様 ●全8枚組(表裏に各8ツール)●寸法 約364mm×515mm 厚さ0.3mm●材質 紙製両面PPラミネート加工●ホワイトボード用マーカー対応・・・」、「内容構成 表面/裏面」として「1.ベン図/くま手チャート・・・8.バタフライチャート/ベン図」の記載があり、また、「関連おすすめ商品 パンフレット」として「シンキングツール・ボード」のリンク及び「教材のご注文・お問合せはこちら」のリンクがある。
また、乙第18号証の2葉目から5葉目は、全教図社が作成した「シンキングツール・ボード」のパンフレットであり、その2葉目の「シンキングツール・ボード」の表題の下、「監修 黒上晴夫(関西大学総合情報学部教授)」、「内容構成(オモテ/ウラ)」として、「1.ベン図/くま手チャート・・・8.バタフライチャート/ベン図」、「●8枚組・両面印刷・1色●紙製・PP加工●ホワイトボード用マーカー対応●寸法:B3判(364mm×515mm)厚さ0.3mm・・・」、「1900860 8枚組 定価7,000円+税」の記載があり、また、図表及び文字が描かれた白色の紙を、黒板に貼り付けて使用している画像(2葉目、4葉目)や人が両手で持っている画像(3葉目)が掲載されている。
イ smartschoolと題するカタログ(乙18(6~8葉目))
乙第18号証の6葉目ないし8葉目は、プラス株式会社発行の2022年版「smartschool」と題するカタログである。
当該カタログの表紙(6葉目)には、「smartschool/スマートスクール」、「2022.1.1~12.31」、「学校向け通販」、「https://www.smartschool.jp」の記載、また、「こちらからもご注文できます!」として二次元コードの表示がある。
また、8葉目は、上記カタログの417頁にある「シンキングツール・ボード」の項(7葉目)を拡大したものであって、「全教図/シンキングツール○R・ボード」、「商品コード 755-176」、「単価 1組」、「価格(税抜) ¥7,000」、の記載があり、その下に、「●8枚組(表裏に各8ツール)・・・●材質:紙製両面PPラミネート加工●ホワイトボード用マーカー対応・・・●監修:黒上晴夫(関西大学総合情報学部教授)※肩書きは制作当時。※シンキングツールは黒上晴夫氏の登録商標です●収録ツール(表面/裏面):1.ベン図/くま手チャート・・・」の記載がある。
ウ ウチダ教材総合カタログ(乙18の9~11葉目)
乙第18号証の9ないし11葉目は、株式会社内田洋行発行の令和2-3年版「ウチダ教材総合カタログ」である。
当該カタログの表紙(9葉目)には、「ウチダ教材総合カタログ VOLUME 87」、「2020-2021 令和2-3年版」の記載、「WEBからもカタログをご覧いただけます」として二次元コードの表示がある。
また、11葉目に、「シンキングツール・ボード」のタイトル下に、「型番 8-210-1010」、「本体価格 ¥7,000」、「税込み価格 ¥7,700」の記載があり、その下に、「監修 関西大学総合情報学部教授 黒上晴夫」、「・・・●材質:紙製両面PPラミネート加工・・・●8枚組(表裏に各8ツール)・・・」、「(セット内容(表面/裏面))」として、「1.ベン図/くま手チャート・・・」の記載がある。
(3)上記(1)及び(2)から、以下の事実が認められる。
商標権者は、2020年8月頃、自身のウェブサイトに「シンキングツール」と称するベン図やピラミッドチャート等の図表集をダウンロード可能な状態で掲載し、また、「シンキングツール」が登録商標であって、これを使用したい者への注意なども掲載した。
全教図社は、商標権者が監修する「シンキングツール・ボード」と称する教材を製作し、当該教材について、「シンキングツール・ボード」(以下「使用商標」という。)の表示の下、商品の内容、使用方法等を記載したパンフレットを作成した。
また、全教図社製作の「シンキングツール・ボード」は、株式会社内田洋行発行の令和2-3年版ウチダ教材総合カタログ、プラス株式会社発行の2022年版「smartschool」と称する学校向けの通販カタログに掲載され、当該カタログのウェブサイトを通じて広告、販売されていたといえる。
上記「シンキングツール・ボード」は、ラミネート加工された紙製の8枚組の商品であって、その両面に複数のベン図やピラミッドチャート等が印刷された図表(以下「使用商品」という。)であり、マーカーで図表内に記入することができ、黒板に貼り付けるなどの使い方もできるものである。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、「シンキングツール」の文字を標準文字で表してなるものである。
また、使用商標は「シンキングツール・ボード」の文字からなるものであるところ、その構成中、「シンキングツール」の文字の右側には登録商標であることを示す「○R」の記号が付されていること、また、後半の「ボード」の文字は、これがその使用商品に付された場合、板状の商品であることを示す商品の品質を表す語であることを合わせ考慮すると、「シンキングツール」の文字部分が商標として機能するといえる。
そして、使用商標の「シンキングツール」の表示は、本件商標と構成文字を同じくするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
使用商品は、ラミネート加工された紙製の商品であり、その両面にベン図やピラミッドチャート等が印刷された図表であるから、第16類「印刷された図表」の範ちゅうに含まれる商品といえる。
(3)使用者について
使用商標を表示した使用商品の説明において、その監修者が商標権者であることが記載され、また、被請求人(商標権者)も全教図社の使用について許諾をした旨主張していることから、全教図社は、商標権者から黙示の使用許諾を得ていたものと解されることに不自然なところはなく、同社が本件商標の通常使用権者であると推認できるものである。
(4)使用時期及び使用行為について
通常使用権者は、使用商品を製作し、当該商品に使用商標を付したといえる。
また、株式会社内田洋行が発行する令和2-3年版ウチダ教材総合カタログ及びプラス株式会社が発行する2022年版学校向けの通販カタログには、使用商標の表示の下、通常使用権者による使用商品が掲載されている。
そして、上記各カタログは、使用商品の価格、説明及び注文のための商品コードなどが掲載されているものであり、一般に商品カタログは掲載した商品を販売する目的で需要者に頒布するために作成されるものであるから、上記各カタログも同様に発行後程なく頒布されたと推認できる。
さらに、ウチダ教材総合カタログは令和2年ないし3年(2020年ないし2021年)版、プラス株式会社の通販カタログは2022年版であることから、少なくとも2020年1月当初から2022年1月まで、使用商標を付した使用商品は存在し、上記各カタログに掲載されていたものといえ、この期間は要証期間である。
そうすると、通常使用権者は、要証期間において、使用商品に使用商標を付し、さらに、上記カタログを通じて、使用商品に関する広告に、使用商標を付して頒布したと認めることができる(商標法第2条第3項第1号及び同項第8号に該当。)。
(5)小括
上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に日本国内において、その請求に係る商品に含まれる使用商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したといえる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標の通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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