2022-300006
マーシー
- 審判番号
- 2022-300006
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2011-014264外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 5445332
- 請求日
- 2022年01月06日
- 審決日
- 2023年03月22日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- T131 .1 -Y (X03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
- 標準文字
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第3条第1項第1号、商標法第2条第3項第1号、商標法第3条第1項第8号、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 本件商標
本件登録第5445332号商標(以下「本件商標」という。)は、「マーシー」の文字を標準文字で表してなり、平成23年3月1日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同年10月21日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年1月27日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成31年1月27日から令和4年1月26日までの期間(以下「要証期間」という場合がある。)である。
第2 請求人の主張
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請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用していないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「通常使用権者による使用」について
「商標権使用許諾契約の確認書」(乙3)は、その作成日(令和4年3月1日)及び本事件の審判請求日からすると、被請求人が、本事件の審判請求があったことを知った後に作成したことは明らかである。その他に、被請求人が、ニッシン化研株式会社(以下「ニッシン化研社」という。)に通常使用権を許諾した事実を確認することができる客観的な資料は何ら提出されていない。
したがって、商標権者である被請求人又はその使用権者による本件商標の使用が証明されたとはいえない。
(2)「乙第4号証ないし乙第6号証」について
乙第4号証ないし乙第6号証の写真は、撮影日が立証されておらず、被請求人作成の証拠説明書に「撮影日:令和4年3月」と記載があり、要証期間外に撮影されたものである。
よって、仮に、ニッシン化研社が本件商標に係る商標権の通常使用権者であるとしても、被請求人の答弁及び同人の提出する証拠では、要証期間内に本件商標を使用したことは立証されていない。
(3)「乙第7号証」について
ア 乙第7号証の出力物には、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標の商品名の記載は確認できず、「オールパーパスシャンプー」(以下「本件商品1」という。)、「オールパーパストリートメント」(以下「本件商品2」という。)及び「オールパーパスローション」(以下、「本件商品3」といい、本件商品1ないし3をまとめていうときは「本件商品」という。)の各商品に、本件商標が使用されていたか否かが定かでない。したがって、乙第7号証は、本件商品を販売したことを客観的に証明する資料とはいえない。
また、ニッシン化研社が有限会社ジール(以下「ジール社」という。)に、要証期間内に本件商品を販売したことを立証するニッシン化研社の見積書・領収書、ジール社の注文書・代金支払い記録等の証拠の提出もなく、当該商品を要証期間内に販売したことは立証されていない。
イ ジール社が、乙第8号証ないし乙第10号証に記載の美容室に本件商品を販売した事実を客観的に証明する資料は提出されていない。
また、各美容室のウェブサイトの出力物(乙8~10)は、各左上の欄に「2022/03/02」と印字されており、証拠説明書に作成日「令和4年3月2日」と記載があるため、要証期間外に作成されたものである。
ウ よって、仮に、ニッシン化研社が本件商標に係る商標権の通常使用権者であるとしても、被請求人の答弁及び同人の提出する証拠では、要証期間内に本件商標を使用したことは立証されていない。
(4)「乙第11号証ないし乙第14号証」について
ア 本件商品1及び2のチラシ(乙11、15)に作成日(令和3年8月17日、令和3年10月6日)の記載は確認されず、当該日付に上記チラシが作成されたことを客観的に証明する資料は提出されていない。また、当該チラシには、販売元として、「有限会社ジール」と記載されているのみであり、本件商標に係る商標権者及びその使用権者の記載は確認されない。さらに、要証期間内に当該チラシが配布されたことを客観的に証明する資料は提出されていない。
イ 被請求人が提出した乙第12号証ないし乙第13号証及び乙第16号証ないし乙第17号証の記載からは、注文したチラシが、乙第11号証及び乙第15号証のチラシであることが明らかにされておらず、注文したチラシが、上記のチラシであることを客観的に証明する資料は提出されていない。
(5)結語
以上述べたとおり、被請求人の答弁及び同人の提出する乙第1号証ないし乙第18号証は、商標権者又はその使用権者が要証期間内に本件商標をその指定商品について使用していることを立証していない。
第3 被請求人の答弁
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被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
1 本件商標は、通常使用権者であるニッシン化研社が指定商品「せっけん類,化粧品」について継続して使用しているものである。
(1)通常使用権者による使用
被請求人は、昭和54(1979)年2月に創業した医薬部外品、化粧品、各種洗剤の製造卸業を主たる業務とする株式会社であるが(乙2の1)、平成元(1989)年に同社の製造部門を分離独立させ、ニッシン化研社が設立された(乙2の2)。
本件商標に関しては、被請求人がニッシン化研社に通常使用権(範囲:日本全国、全指定商品)を許諾しており、ニッシン化研社が指定商品に継続して使用している(乙3)。
(2)乙第4号証ないし乙第6号証
ニッシン化研社が製造販売元となって製造販売している商品「オール・パーパス・シャンプー(全身用シャンプー)」(本件商品1)、「オール・パーパス・トリートメント(全身用トリートメント)」(本件商品2)及び「オール・パーパス・ローション(全身用化粧水)」(本件商品3)に本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標を付していることを示す写真である(乙4~6)。本件商品1及び2は指定商品「せっけん類」に、本件商品3は指定商品「化粧品」にそれぞれ含まれる。
本件商品をそれぞれ正面から撮影した写真の中心部分に「Mercy」の文字が「Mercy」の英語の発音記号とともに付されている(乙4の1、5の1、6の1)。この発音記号によって、「Mercy」の文字は「マーシー」との称呼のみ生じることが明らかとなり、同商標は特に観念を生じさせないことから、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
本件商品を背面から撮影した写真の最上部に本件商標と同一の商標が付されている(乙4の2、5の2、6の2)。
よって、通常使用権者は、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標を本件商品に付して使用していることが明らかである(商標法第3条第1項第1号)(審決注:「商標法第2条第3項第1号」の誤記と思料する。)。
(3)乙第7号証
ニッシン化研社のジール社を得意先とする得意先台帳の令和2年12月以降の出力物である(乙7)。
ジール社は、本件商品の発売元であるが(乙4の1、5の1、6の1)、同出力物には「オールパーパスシャンプー」「オールパーパストリートメント」「オールパーパスローション」というように、それぞれ本件商品の背面と同一の記載があることから、通常使用権者は、ジール社に対して、継続的に本件商品を販売していることがわかる。
そして、通常使用権者から本件商品を購入したジール社は、美容室に本件商品を販売している。乙第8号証ないし乙第10号証は、美容室が本件商品の取扱いを案内していることを示すウェブサイトの出力物である。
以上より、本件商品は、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標が付された状態で、通常使用権者からジール社を通して美容室に販売されていることが、客観的かつ明確に理解できる。
(4)乙第11号証ないし乙第14号証
本件商品1のチラシの左側上部には本件商標「マーシー」が、下部には本件商標と社会通念上同一の商標「mercy」がそれぞれ付されている(乙11)。
このチラシは、ニッシン化研社が株式会社プリントパックに対して、平成31(2019)年4月9日及び令和3(2021)年8月17日に各1000部のプリントを注文して作成されたものであるが(乙12~13)、納品されたチラシは本件商品1の発売元であるジール社宛にニッシン化研社から出荷されている(乙14)。そして、このチラシの発注書、発注確認メール及び出荷案内書のいずれにも商品名として「マーシー」が付されている。
また、本件商品2のチラシの左側上部及び右側下部に本件商標「マーシー」が、右側下部には本件商標と社会通念上同一の標章「mercy」がそれぞれ付されている(乙15)。さらに、右側下部には「マーシーオールパーパスシャンプー・ローションと併用するとより効果的です」との記載もある。
このチラシは、被請求人が、株式会社プリントパックに対し、令和3(2021)年10月6日に1000部のプリントを注文して作成されたものであるが(乙16~17)、納品されたチラシは本件商品2の発売元であるジール社宛にニッシン化研社から出荷されている(乙18)。そして、このチラシの発注書、発注確認メール及び出荷案内書のいずれにも商品名として「マーシー」が付されている。
よって、通常使用権者は、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標を本件商品1及び2に関する広告に付して使用していることが明らかである(商標法第3条第1項第8号)(審決注:「商標法第2条第3項第8号」の誤記と思料する。)。
2 まとめ
乙第1号証ないし乙第18号証に照らして判断すれば、本件審判の予告登録日以前に、通常使用権者のニッシン化研社が、本件商標と同一の商標を指定商品「せっけん類」及び「化粧品」に使用していた事実は証明される。
第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人の取締役であるA氏及びB氏は、ニッシン化研社の取締役であり、A氏が被請求人の代表取締役、B氏がニッシン化研社の代表取締役を務めている。(乙2)
(2)被請求人の目的として洗剤の製造・販売、化粧品の製造・販売、及び当該各商品(洗剤、化粧品等)を取り扱う販売代理店の管理等があり、ニッシン化研社の目的として洗剤及び化粧品の製造・販売等がある。(乙2)
(3)商品の写真には、容器の正面に「Mercy」の記載のほか、「all purpose shampoo」、「all purpose treatment」又は「all purpose lotion」の記載がある。また、同写真には、容器の背面の上部に、最上段に「マーシー」の記載、2段目及び3段目に「オール・パーパス・シャンプー」及び「(全身用シャンプー)」、「オール・パーパス・トリートメント」及び「(全身用トリートメント)」、又は「オール・パーパス・ローション」及び「(全身用化粧水)」の記載がある。さらに、同背面の下部に、「販売名」として「オールパーパスシャンプー」、「オールパーパストリートメント」又は「オールパーパスローション」の記載があり、それぞれの商品の容量及び価格について、「オール・パーパス・シャンプー」には200mlで2,400円+税、「オール・パーパス・トリートメント」には200mlで3,700円+税、「オール・パーパス・ローション」には300mlで3,400円+税)の記載がある。加えて、同背面の下部には、上記いずれの商品についても、「発売元」として「有限会社ジール[コクーン事業部]」、「製造販売元」として「ニッシン化研株式会社」及び住所の記載がある。なお、上記の「販売名」、「発売元」及び「製造販売元」の各文字は、やや不鮮明であるものの、その意味の記載があるものとみて差し支えない。(乙4~6)
(4)ニッシン化研社のジール社を得意先名とする得意先台帳の抜粋(対象期間を令和2年12月1日ないし同4年1月31日とするもの。)には、例えば、令和3年1月12日付けで商品名「オールパーパスシャンプー」(以下「使用商品1」という。)、「オールパーパストリートメント」(以下「使用商品2」という。)及び「オールパーパスローション」(以下、「使用商品3」といい、使用商品1ないし3をまとめていうときは、単に「使用商品」という。)について、順に、200mlが40、200mlが20、300mlが20の数量、それぞれが計上されているほか、使用商品(容量の異なるものを含む。)について、上記期間内に継続して計上されている。(乙7)
(5)大阪市在の美容室Kのウェブサイトには、「マーシーシャンプー」等の紹介に加え、「マーシーオールパーパスシャンプー」を客に使用している旨の記載がある。そして、「バックナンバー」の覧に「2020年(1)」、「2019年(31)」、「2018年(44)」の記載があり、記事の末尾には2020年(令和2年)9月のカレンダーが示され、同月の休業日に関する案内がなされていることから、上記ウェブサイトの記事は、遅くとも2020年(令和2年)9月頃には存在しており、同時期に当該美容室Kにおいて各商品が取り扱われていたものと推認される。(乙9)
(6)ア 「マーシーオールパーパスシャンプー」(「mercy all purpose shampoo」)のチラシには、200mlの商品が2,640円(本体価格2,400円)であることや、発売元がジール社であることなどの記載があるほか、姉妹品として「マーシーオールパーパスローション」があることが言及されており、「Mercy」の文字が大きく、その下に小さく「all purpose shampoo」の文字が表示されたボトルの写真も掲載されている。(乙11)
また、「マーシーオールパーパストリートメント」(「mercy all purpose treatment」)のチラシには、200mlの商品が4,070円(本体価格3,700円)であることや、発売元がジール社であることなどの記載があるほか、「マーシーオールパーパスシャンプー・ローション」との併用を推奨する旨が言及されており、「Mercy」の文字が大きく、その下に小さく「all purpose treatment」の文字が表示されたボトルの写真も掲載されている。(乙15)
上記各商品の容量及び価格は、各商品の容器に表示された容量及び価格(前記(3))と一致する。
イ 注文日を2019年(平成31年)4月9日及び2021年(令和3年)8月17日とする「マーシーシャンプー」、「マーシーオールパーパスシャンプー」についてのA4サイズのチラシが、発送先をニッシン化研社として1,000部発注された。そして、上記発注で指定された納期である7営業日以内に当たる、2019年(平成31年)4月15日及び2021年(令和3年)8月24日に、ニッシン化研社からジール社に宛てて、「マーシーオールパーパスシャンプー」についてのカタログが1,000部出荷された。(乙12~14)
また、注文日を2021年(令和3年)10月6日とする「マーシーオールパーパストリートメント」についてのA4サイズのチラシが、発送先を被請求人として1,000部発注された。そして、上記発注で指定された納期である7営業日以内に当たる、2021年(令和3年)10月11日に、ニッシン化研社からジール社に宛てて、「マーシーオールパーパストリートメント」についてのカタログが1,000部出荷された。(乙16~18)
なお、上記3回のチラシの発注において、発送先をニッシン化研社とするものと被請求人とするものとがあるが、当該チラシの発送先住所とされたのはいずれも同一の所番地であり、当該チラシをジール社に宛てて出荷したのはいずれもニッシン化研社である。(乙13、14、17、18)
ウ ニッシン化研社のジール社を得意先名とする得意先台帳の抜粋には、令和3年8月24日付けでA4片面の「オールパーパスシャンプー」に係るカタログについて1,000、同年10月11日付けでA4片面の「オールパーパストリートメント」に係るカタログについて1,000の数量が、それぞれ計上されている。そして、上記のカタログに係る計上の年月日、サイズ、商品名及び数量は、チラシ(カタログ)の注文及び出荷における当該各内容(前記イ)と一致する。(乙7)
エ 以上から、「マーシーオールパーパスシャンプー」及び「マーシーオールパーパストリートメント」についてのA4サイズのチラシが、2019年(平成31年)4月、2021年(令和3年)8月及び同年10月に作成され、同時期にジール社に送付されたものとみて差し支えない。
(7)前記(2)ないし(6)を総合的に勘案すれば、使用商品が少なくとも令和2年12月1日ないし令和4年1月31日の期間においてニッシン化研社からジール社に継続して売り上げられ、当該使用商品には、「Mercy」(以下「使用商標1」という。)、「マーシー」(以下「使用商標2」という。)の各文字が表示されていたことが推認される。
(8)前記(4)ないし(6)のとおりの、商品チラシの作成部数及び体裁、当該商品チラシがニッシン化研社からジール社に宛てて2019年(平成31年)4月、2021年(令和3年)8月及び同年10月に送付された事実、使用商品が少なくとも令和2年12月1日ないし令和4年1月31日の期間においてニッシン化研社からジール社に継続して売り上げられていた事実、並びに、「マーシーオールパーパスシャンプー」等の商品が、遅くとも2020年(令和2年)9月頃には美容室Kにおいて取り扱われていた事実からすれば、当該商品チラシは、それぞれ平成31年4月、令和3年8月及び同年10月以降順次、ジール社を通じて展示又は頒布されたとみるのが自然であり、当該商品チラシには、「Mercy」(使用商標1)、「mercy」(以下、「使用商標3」といい、使用商標1ないし3をまとめていうときは、単に「使用商標」という。)、「マーシー」(使用商標2)の各文字が表示されていたことが認められる。
2 判断
前記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標
ア 本件商標は、「マーシー」の文字を標準文字で表してなる商標である。
これに対し、使用商標1は、冒頭の文字がややデザイン化されてはいるものの「Mercy」の文字を表してなると容易に理解させる商標である。また、使用商標3は、「mercy」の文字を格別特徴のない書体で横書きして表してなる商標である。
そして、上記いずれの商標も、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであり、同一の称呼「マーシー」を生じるものであって、特定の意味合いを有する語として親しまれたものではないから観念においても異なるものではない。
そうすると、使用商標1及び3は、本件商標との比較において、称呼において同一及び観念において異なるものではない文字からなるものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というのが相当である。
イ 本件商標が「マーシー」の文字を標準文字で表してなる商標であるのに対し、使用商標2は、「マーシー」の文字を格別特徴のない書体で横書きして表してなる商標である。
そうすると、本件商標と使用商標2とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というのが相当である。
(2)使用商品
使用商品は、「オールパーパスシャンプー」(使用商品1)、「オールパーパストリートメント」(使用商品2)及び「オールパーパスローション」(使用商品3)と称される商品であるところ、それぞれ「シャンプー」、「ヘアートリートメント」及び「ヘアーローション」、ないしは、「ボディーシャンプー」、「ボディートリートメント」及び「ボディーローション」と認められ、請求に係る商品中の「せっけん類」又は「化粧品」に含まれるものである。
(3)使用時期及び使用行為
ニッシン化研社は、令和3年1月12日を含む令和2年12月1日ないし令和4年1月31日の間に継続して、ジール社に対して使用商品に使用商標1及び2を付したものを譲渡したとみて差し支えない。
また、ニッシン化研社は、平成31年4月、令和3年8月及び同年10月以降順次、ジール社を通じて使用商品に関する各商品チラシ(広告)に使用商標を付したものを展示又は頒布した。
上記時期は、いずれも要証期間内である。
(4)使用者
被請求人(商標権者)とニッシン化研社とは、互いの取締役2名を共通にし、内1名を互いの代表取締役とするものであって、両者は緊密な関係にあると認められる。
また、上記両者の関係その他の事実(商品チラシの発送先を被請求人としているものがあること(前記1(6)イ))からすると、被請求人においては、ニッシン化研社が使用商標を付した使用商品に係る広告をしていることなどを、要証期間前から認識していたものと認められる。そして、その点について被請求人がニッシン化研社に対して異議を述べたなどといった事情は何らうかがわれない。
そうすると、被請求人は、ニッシン化研社に対して本件商標を使用する黙示の許諾を与えていたものと認めて差し支えない。
その上で、被請求人とニッシン化研社との「商標権使用許諾契約の確認書」(乙3)についてみると、その記載は上記判断に沿うものであって、ニッシン化研社が要証期間において本件商標の通常使用権者であったことを優に認めることができる。
したがって、ニッシン化研社は、本件商標の通常使用権者であるといえる。
(5)小括
本件商標の通常使用権者であるニッシン化研社は、要証期間内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を、請求に係る商品中の「せっけん類」又は「化粧品」に含まれる使用商品について付して譲渡し、また、使用商品に関する広告に付して展示又は頒布したと認められる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」、及び同項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して展示又は頒布する行為」に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、被請求人の提出に係る各証拠について弁駁し、当該各証拠等では要証期間内に本件商標を使用したことは立証されていない旨主張する。
確かに、各乙号証をそれぞれ単独で見た場合、必ずしも本件商標を使用したことを立証するに十分とまではいい難いものも含まれる。しかしながら、前記2のとおり、各証拠から認められる事実を総合的に勘案すれば、要証期間内に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を使用したことは、十分に認められるというべきであって、本件商標を使用したことが立証されていないとはいうことができない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-300006