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商標取消審判

2025-300416

クラスティブ

審判番号
2025-300416
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2011-033570
登録番号
5452226
請求日
2025年05月15日
審決日
2026年05月13日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 クラスティブ
  • 【請求人代理人】前田 健一
  • 【被請求人】株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ
  • 【被請求人代理人】松井 宏記
  • 【被請求人代理人】宗助 智左子
  • 【被請求人代理人】鈴木 行大
審判長/審判官
  • 審判長 山田 和彦
  • 審判官 駒井 芳子
  • 審判官 真鍋 伸行
分類
T131 .1 -Y (X03)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第1項、商標法第38条第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5452226号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5452226号商標(以下「本件商標」という。)は、「CLUSTIVE」の文字を標準文字で表してなるものであり、平成23年5月17日に登録出願され、第3類「化粧水,美容液,化粧品,せっけん類,香料類,歯磨き,つけづめ,つけまつげ」を指定商品として、同年11月18日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年5月30日である。 なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和4年5月30日から同7年5月29日までを、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、令和7年8月21日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年9月30日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)及び同年12月16日付け審尋(以下「審尋」という。)に対する同8年1月19日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。 なお、以下、証拠の表示については、甲(乙)第1号証を「甲(乙)1」のように省略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 弁駁書による主張 (1)乙1ないし乙3について 被請求人は、乙1ないし乙3を提出しているが、いずれも印刷日が2025年8月5日であるところ、本件審判請求後に印刷されたものであり、要証期間内での商標の使用を証明するものではない。 また、乙3の1では、「BEAUTYDAY 2024 3rd 8.5[Tue]―8.11[Mon]紫外線対策週間クーポンご利用で対象アイテムが12%OFF」との記載があり、印刷された少し前の時期に当該ウェブサイトが触られたことを示すものである。なお、2024年の8月5日は月曜日、8月11日は日曜日であり、当該文字は2025年を表して記載されたものと推測できる。 併せて、「【夏季休暇のお知らせ】誠に勝手ながら、2025年8月13日(水)~2025年8月17日(日)は休業とさせていただきます。」の記載があり、本件審判請求後に作成されたページであると推測することができる。 (2)乙4について 被請求人は、乙4にて、オンラインショップを通じて「クラスティブウォーター」を実際に販売している証拠として、納品書の写しを提出し(計16件)、そのうち要証期間内のものは、令和5年2月、5月、7月、8月、11月及び12月、令和6年2月、4月、8月、11月、12月、令和7年2月、3月の各1件ずつの計13件である。 ここで、納品書の品名の箇所に「クラスティブウォーター 80mL」の記載がそれぞれ存在する。「80mL」は容量を表しているものと推測できるが、「クラスティブウォーター」が何の商品であるかは、納品書の写しからでは不明である。「ウォーター」は「水」を表すものであり、「クラスティブ」が造語であるとすると、「クラスティブ水 80mL」が販売されたということが確認できる。被請求人は乙3の2(9頁目)において、「クラスティブウォーターは、化粧水と美容液の機能を併せ持ったタイプの「美容水」。」との記載があり、第3類「化粧水,美容液,化粧品」の範ちゅうに属するものであり、指定商品の使用である」と主張するが、乙3の2は要証期間外に印刷されたものであり、証拠とはならない。 (3)被請求人の商標の使用態様について 乙3は、要証期間外に印刷されたものであり、証明にならないが、納品書に記載された商品名は「クラスティブウォーター 80mL」であり、オンラインショップで記載されている商品名は「クラスティブウォーター 80mL」である。「80mL」は内容量を表すものと推測でき、この部分の特徴は弱いか、又は、ないかであるところ、一連一体である「クラスティブウォーター」が識別力を有する箇所であるといえる。実際の商品には、2段表記されているとはいえ、同書同大等間隔で、まとまりよく配置されている「CLUSTIVE」と「WATER」の文字部分は、淀みなく「クラスティブウォーター」と一連に称呼できることもあり、一体不可分の商標といえる。 (4)乙5について 被請求人は、他人の商標登録に対する拒絶理由通知の内容(乙5)を持ち出し、「「WATER」部分は、「化粧水」を表す語と認められるため、商品の識別標識として機能するものとは認められず、「CLUSTIVE」の文字が商品の識別標識として機能を有する要部であると認められることから、被請求人の登録商標と社会通念上同一である」旨、主張する。 しかしながら、これらの商標登録出願は、商標全体として識別力がなく、商標登録できないというものであり、「ウォーター」(「Water」)だけが、識別力がないと判断されたものではなく、本件とは事案を異にするものである。 また、実際、「〇〇」が識別力を有する場合、「〇〇」と「〇〇ウォーター」とは非類似の商標であり、指定商品「化粧品」を共に有しながら、併存して登録されている事例が散見される(甲2~甲7)。 したがって、指定商品「化粧品」を共に有しながら、併存登録されている商標がある以上、被請求人が述べる「「WATER」部分は、本件使用商品である化粧水を表す語と認められるため、商品の識別標識としての機能を有するものとは認められず、「CLUSTIVE」の文字が商品の識別標識としての機能を有する要部であると認められる」との主張は、失当である。 (5)乙6について 被請求人は、「本件使用商品である化粧品の分野において、「WATER」は、「化粧水、水液状化粧品」を表す語として広く使用されている」旨、主張し、被請求人が挙げた拒絶理由通知において、「「Water」の文字は、「水,水剤,(特に)化粧水(lotion);水溶液(solution)」(ランダムハウス英和大辞典 第2版、小学館)等の意味を有する語です」との記載が見られる。しかしながら、一般的に、「化粧水」を表す英単語は「toner」や「lotion」である。 また、被請求人は「「WATER」及び「ウォーター」の文字が商品の識別標識として機能を有するものとは認められない」旨主張する。 しかしながら、乙6は、それを立証するにはいずれも不適切な証左であり、「water」は化粧水に限らず、「整髪料」、「クレンジング」及び「液体せっけん」にも用いられる用語である。また、液状の商品を表す場合があるとしても、必ずしも直接的かつ具体的な意味合いを有するものではなく、「化粧水」の場合だけに使用されるものではない。 (6)乙7について 被請求人は、過去の不使用取消審判において、登録商標に商品の品質を表示する語を付して使用した場合に、使用商標と登録商標が社会通念上同一と認められた例を提示している。しかし、本事件とは事案を異にするものであり、同じ審理がなされるものではない。 なお、乙3が証拠として認められるのであれば、被請求人の使用商標は「CLUSTIVE WATER」、「クラスティブウォーター」であり、商品は「化粧水」である。もし、「CLUSTIVE」シリーズとして、「化粧水」の他、「乳液」など商品の横展開があれば、「化粧水」を示す「WATER」は識別力がないと判断されやすいかもしれない。しかし、被請求人による使用立証は「化粧水」のみであり、他のタイプはないことから、被請求人が例示された取消審判(乙7)とは事情が異なり、被請求人の商品からは「WATER」が何を示しているのか不明であることから、被請求人の主張は失当である。 3 意見書による主張 本件商標と本件使用商標との社会通念上同一性について 乙3の2の1葉目は、「CLUTIVE」及び「WATER」の欧文字を上下2段に表したもの(以下「本件使用商標」という。)を商品の包装(容器)に付した画像が掲載されたものであるところ、これらの文字は、同書・同大・等間隔で表示してなるものであり、また、上段と下段の行間は特段広いものではなく、むしろ他の行間よりも狭く表示されており、まとまりよく一体に表されているといえるものであり、視覚上分離、独立した印象を与えるほど、大きく開いているものとはいえない。そこから生じる「クラスティブウォーター」の称呼も冗長というものでなく、よどみなく称呼し得る。構成全体としても外観上まとまりのよい一つの商標を表したと理解されるものといえる。 そうすると、本件使用商標は、構成全体をもって、一体不可分の商標を表したと把握・認識されるものであって、本件商標とは、外観上明らかに相違するものであるばかりか、称呼においても、「ウォーター」の音の有無の差異を有するものであるから、同一の称呼が生じるものではない。 したがって、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しないというべきである。 また、仮に「WATER」が「化粧水」の意味を有するとしても、「CLUTIVE WATER」からは「CLUTIVEという化粧水」の意味合いが生じるものであり、「WATER」部分が識別機能として機能しないか、極めて弱いものであっても、観念における関連性はあり、分離して観察することは取引上不自然である。事実、被請求人は、常に「CLUTIVE WATER」(クラスティブウォーター)として使用しており、登録商標が「CLUTIVE」であるにも関わらず、「CLUTIVE」のみでは使用していない。商品の販売元が、常に、取引上「CLUTIVE WATER」として使用する状況下で、登録商標「CLUTIVE」の使用であるとすることは首肯できない。 なお、「WATER」について「化粧水」等の品質等を表す語であると理解されるものとのことであるが、乙3の2による使用商標1の商品の包装(容器)からは、商品が何であるか不明である。ゆえに、この商品の包装(容器)の内容物は把握できず、請求に係る指定商品(「化粧水,美容液,化粧品」)の使用とはいえない。 加えて、使用商標1の商品の包装(容器)はすべて英語で表記されており、「CLUTIVE WATER」が日本国内で使用されるものか定かではない。 4 まとめ 本件使用商標は、本件商標の使用ではないところ、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、登録商標の使用をしたことを証明していない。また、被請求人は、登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書及び審尋に対する令和8年1月8日付け回答書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙10(枝番を含む。)を提出した。 1 答弁書による主張 被請求人は、請求に係る指定商品中、「化粧水,美容液,化粧品」について、本件商標と社会通念上同一の商標を要証期間内に使用していることから、本件審判の請求は成り立たない。 (1)被請求人について 被請求人である株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズは、化粧品等の製造・販売等を事業とする法人であり(乙1)、製造した商品を、小売店へ卸すだけではなく、被請求人の運営するオンラインショップ「ドクターメディオン 公式オンラインショップ」(以下「当該オンラインショップ」という。)においても販売しており(乙2)、当該オンラインショップにおいて、商標「CLUSTIVE」を「化粧水,美容液,化粧品」に関する商品販売ページに表示し、また、商品に付して販売している(乙3)。 (2)被請求人の商標の使用態様 ア 実際の使用態様 乙3の1に示すように、当該オンラインショップの商品紹介の欄において、「保湿用化粧水」の紹介として欧文字で「CLUSTIVE WATER」の文字が記載されている。保湿用化粧水は、「第3類 化粧水,美容液,化粧品」の範ちゅうに属するため、請求に係る指定商品中、「化粧水,美容液,化粧品」についての使用に該当する。 乙3の2に示すように、当該オンラインショップの商品販売ページにおいて、販売されている商品の写真が掲載されており、商品の包装には、欧文字の「CLUSTIVE」と「WATER」とが、2段に表示されている。また、同ページの写真の下には商品名として、「クラスティブウォーター 80mL」の文字が記載されている。また、乙3の2の9頁目において、「クラスティブウォーターは、化粧水と美容液の機能を併せ持ったタイプの「美容水」。」との記載があるが、これは「化粧水,美容液,化粧品」の範ちゅうに属するものであり、請求に係る指定商品中、第3類「化粧水,美容液,化粧品」についての使用に該当する。 当該オンラインショップを通じて「クラスティブウォーター」を実際に販売している証拠として、納品書を提出する(乙4)。乙3の2に示すように、被請求人の運営するオンラインショップに記載された商品名は「クラスティブウォーター 80mL」であり、納品書に記載された商品名も同様に「クラスティブウォーター 80mL」である。このことから、乙3の2において、その包装に欧文字の「CLUSTIVE」と「WATER」とが2段に表示された被請求人の製造する「化粧水,美容液,化粧品」の範ちゅうに属する商品が実際に販売された事実を明確に立証できる。提出する納品書は令和5年2月24日から同7年7月4日までに発行されたものであり、そのうち令和5年2月24日から同6年12月23日までに発行された納品書については要証期間内であるから、被請求人が要証期間内に、当該オンラインショップ内で「第3類 化粧水,美容液,化粧品」について「CLUSTIVE WATER」及び「クラスティブウォーター 80mL」を譲渡のための展示として使用したこと、また、「CLUSTIVE」と「WATER」を欧文字で2段に表示した態様で商品の包装に付して販売し、使用したことは客観的に明らかである。 イ 使用商標について 上記アにおいて、乙3の1に示すように、当該オンラインショップの商品紹介の欄に使用された商標は欧文字の「CLUSTIVE WATER」であり、乙3の2に示すように、商品の包装に付された商標は「CLUSTIVE」と「WATER」を欧文字で2段に表示したもの(本件使用商標)であり、オンラインショップにおいて記載された商品名は「クラスティブウォーター 80mL」である。 上記「CLUSTIVE WATER」の欧文字からなる商標のうちの「WATER」部分は、主に「水」を意味する英単語であるが、「水剤、(特に)化粧水」の意味も英和辞書に記載されていることが、過去の商標登録出願に通知された拒絶理由から見て取れる(乙5の1~乙5の3)。また、本件使用商品である化粧品の分野において、「WATER」又は「ウォーター」は、「化粧水、水液状化粧品」を表す語として広く使用されており(乙6)、特許庁もそのように認識していることが商標登録出願に通知された拒絶理由からも理解できる(乙5の1、乙5の3、乙5の4)。 そうすると、上記「CLUSTIVE WATER」の欧文字からなる商標のうち、「WATER」部分は、本件使用商品である化粧水を表す語と認められるため、商品の識別標識としての機能を有するものとは認められず、「CLUSTIVE」の文字が商品の識別標識としての機能を有する要部であると認められる(なお、「CLUSTIVE」は造語であって意味はない)。すなわち、上記「CLUSTIVE WATER」の欧文字からなる商標は、本件商標と社会通念上同一であると認められる。 また、他の不使用取消審判の審決においても、「第3類 化粧水,美容液,化粧品」について、被請求人は登録商標に「natural water」を付した態様で使用していたが、「natural water」部分が使用商品である化粧水の品質を表示する文字と認められ、使用商標の要部は登録商標と社会通念上同一であるため、登録商標の使用であると判断された事例が存在する(乙7)。 (3)結論 以上のとおり、被請求人は、請求に係る指定商品「第3類 化粧水,美容液,化粧品」について本件登録商標と社会通念上同一の商標を審判請求の登録日前3年間に使用している。 2 回答書による主張 (1)要証期間内の使用証拠の提出 商品(美容液等)の包装(容器)に本件使用商標を付したものを譲渡のために展示して、ウェブサイト上で提供している行為が、要証期間内に行われていることがわかる証拠として、wayback machineによるインターネットのアーカイブ情報を提出する(乙8)。この証拠によると、要証期間内である2024年2月23日、2024年6月23日及び2024年9月11日に、乙3の2のページが存在し、本件使用商標を付した商品を譲渡のために展示して、ウェブサイト上で提供していた事実が認められる。 また、被請求人は、要証期間内の使用証拠である乙4の納品書に対応する注文票(乙9の1)、JANコードのデータベース(乙9の2)及びJANコードが付された商品の包装用箱の写真(乙9の3)をあわせて提出する。これらの証拠によると、JANコードのデータベース(乙9の2)に記載の「ドクターメディオンクラスティブウォーター(80ml)」が「CLUSTIVE/WATER」の商標を使用したパッケージでJANコード「4560164475138」で登録されているのが分かり、当該商品が注文票(乙9の1)において、同じJANコードが示された上で販売されていることが分かる。また、JANコードが付された商品の包装用箱の写真(乙9の3)においてJANコード「4560164475138」で「CLUSTIVE/WATER」の商標がパッケージに使用されていることが分かる。乙9の1の各注文票は乙4の各納品書に対応するものである。よって、乙4及び乙9の1に示されたとおり、本件使用商標を付した商品が要証期間内に販売されていたことは明らかである。 さらに、被請求人は、本件使用商標を付した商品について要証期間内に投稿されたレビュー(乙10の1~3)、本件使用商標を付した商品の購入者の当該商品に関するInstagramの投稿(乙10の4)及び被請求人がオンラインショップ内において展開するブランド「Dr.MEDION」のYouTubeチャンネルにおいて本件使用商標を付した商品を紹介する動画のキャプチャ画像(乙10の5)を提出する。これにより、要証期間内に本件使用商標を付した商品が譲渡のために展示され、又は譲渡されたことが認められる。 (2)弁駁書への反論 ア 請求人は、乙1ないし乙3が要証期間外であると主張するが、上記(1)のとおり被請求人は新たな使用証拠を提出し、これにより乙3の2のページが要証期間内に存在し、本件使用商標が付された商品が要証期間内に譲渡のために展示され、譲渡されたことが明らかとなった。 イ 請求人は、本件使用商標は一連一体の商標であり、本件使用商標の使用は登録商標の使用とは認められない旨主張するが、本件使用商標の構成中「CLUSTIVE」と「WATER」の各文字部分は視覚上分離、独立した印象を与え得るものであって、かつ、全体として具体的な意味合いを認識させるなど観念における関連性も見いだせないため、それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。また、本件使用商標の構成中、「WATER」部分は「化粧水、水液状化粧品」を意味する語であり、化粧品との関係においては、商品の普通名称(化粧水)あるいは品質等を表す語であると理解されるものであり、商品の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものといえる。よって、需要者は、商品の出所識別標識としての機能を十分に果たし得る「CLUSTIVE」の文字部分に着目し、取引に当たるものである。したがって、本件使用商標は登録商標と社会通念上同一の商標といえる。よって、請求人の当該主張は失当である。 ウ 請求人は、被請求人が乙5の1ないし乙5の4において提出した拒絶例は、商標の構成中「Water(ウォーター)」以外の部分においても識別力がなく、商標全体として識別力がなかったため拒絶されており、本件とは事案を異にするものであり、同列に語ることはできない旨を主張するが、「Water(ウォーター)」以外の部分の識別力がどうであれ、「Water(ウォーター)」部分に識別力がないと判断されたことには変わりがない。実際、乙5の1ないし乙5の4の立証趣旨は、「「WATER」及び「ウォーター」が商品の識別標識としての機能を有するものとは認められないことを明らかにする」ものである。よって、請求人の当該主張は失当である。 エ 請求人は、商標の構成中、「○○」が識別力を有する場合、「○○」と「○○ウォーター」とは非類似の商標であり、併存して登録されている事例が散見される旨、併存登録例を用いて主張する。しかし、請求人が持ち出した登録例はいずれも、化粧品との関係にあっては、「○○」部分に識別力を有するとしても弱いものであり(例えば、請求人の挙げた「パール」はそれ自体「真珠」の意味であったとしても、化粧品の分野においては肌の艶を連想させるものである。)、本件と同列に語ることはできない。本件使用商標については、そもそも各文字部分が視覚上分離、独立した印象を与えるものであるが、加えて「CLUSTIVE」部分は造語であって識別力が強いのに対し、「WATER」部分は「化粧水、水液状化粧品」の意味を有する語であり、指定商品「化粧水,美容液,化粧品」との関係にあっては識別力がない。そのため、需要者は商品の出所識別標識としての機能を有するものとして、造語である「CLUSTIVE」部分に着目するといえる。よって、請求人の当該主張は失当である。 オ 請求人は、化粧水を表す語は「toner」や「lotion」である旨主張するが、「WATER(ウォーター)」の語が「化粧水、水液状化粧品」の意味を持つ語として辞書に掲載されている。よって、請求人の当該主張は失当である。 カ 請求人は、「被請求人は「WATER」及び「ウォーター」の文字が商品の識別標識として機能を有するものとは認められないとするが、それは商標の構成に「WATER」及び「ウォーター」がある場合のことを言いたいものと推察する。」とした上で、乙6に記載された「WATER」又は「ウォーター」の文字は商標的使用ではない旨主張するが、乙6は、「WATER(ウォーター)」が「化粧水、水液状化粧品」を表す語として広く使用されていることを立証趣旨としたものであって商標であるか否かは関係がない。よって、請求人の当該主張は失当である。 キ 請求人は、辞書において「Water」の語は複合語で使用される場合に化粧水の意味合いが生じることがあるため、乙6の1「HERBALWATER」は一連一体の商標である旨主張する。しかし、複合語に限らず、「Water」の語が「化粧水、水液状化粧品」を表す語として辞書に掲載され、実際に使用されている事実がある。よって、請求人の当該主張は失当である。 ク 請求人は、「Water」の語は化粧水に限らず、他の液状の商品を表すことがあり、必ずしも直接的かつ具体的な意味合いを有するものではない旨主張するが、「水」を商品の成分に含むなど「水」に関する商品について「Water」の文字が普通に使用されている実情があることから、「Water」の語は、化粧品、特に化粧水及び美容液との関係においては識別力が弱いことに変わりはない。よって、請求人の当該主張は失当である。 ケ 請求人は、被請求人が乙7として提出した過去の取消審判例について、この事例においては「Aqua Angel」シリーズの「natural water」と「natural emulsion」とのタイプがあることを示し、このように横展開があるから商標は「Aqua Angel」であるといえるのに対し、被請求人の「CLUSTIVE」は乳液などの横展開がなく、そのため「WATER」は識別力がないとはいえず過去の事例とは事情が異なる旨主張する。しかし、横展開の有無にかかわらず、「Water」が「化粧水、水液状化粧品」を表す語として広く使用され、辞書にも掲載されていることは前述のとおりであり、需要者は、商品の出所識別標識としての機能を十分に果たし得る「CLUSTIVE」の文字部分に着目し、取引に当たるものである。よって、請求人の当該主張は失当である。 (3)結論 以上述べたとおり、被請求人は、被請求人の運営するオンラインショップにおいて、本件登録商標「CLUSTIVE」と社会通念上同一の商標である「CLUSTIVE WATER」(本件使用商標)を、請求に係る指定商品中、第3類「化粧水,美容液,化粧品」について使用しており、要証期間内に当該オンラインショップで本件使用商標が付された商品を実際に販売したことは、乙3ないし乙4及び乙8ないし乙10により十分に立証されている。 よって、被請求人が、要証期間中に、本件登録商標と社会通念上同一の商標を、請求に係る指定商品中、「第3類 化粧水,美容液,化粧品」について使用していたことは、被請求人が提出の証拠によって十分に立証されている。 第4 当審の判断 1 事実認定 被請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば、以下の事実が確認できる。 (1)被請求人(商標権者)は、1997年8月に設立された法人であって、大阪府大阪市を本社所在地としている(甲1、乙1)。 (2)被請求人(商標権者)は、「医薬部外品・化粧品・美容機器・医療用機器器具の研究、開発、製造、販売及びこれらのコンサルティング業務」を事業内容とする企業であって、化粧品などを販売するオンラインショップ(店舗名「ドクターメディオン」)を内容とするウェブサイト(https://www.dr-medion.net)を運営している(乙1~乙3、乙8)。 (3)乙8は、上記(2)のとおり、被請求人(商標権者)が運営するウェブサイト(https://www.dr-medion.net)において、商品の説明や販売等を内容とするページのインターネットアーカイブ情報を印刷したものであるところ、その1葉目の最上段に「The Wayback Machine-https://web.archive.org/web/20240223210135/https://www.dr-medion.net/c/skincare/clustive/clustivewater」の文字が記載されている。 そして、その3葉目に、別掲のとおり、「Dr.」、「MEDION」、「CLUSTIVE」及び「WATER」等の文字が表面に付された商品の包装(容器)の写真とその下部には「クラスティブウォーター 80mL」の文字が記載されている。 また、その4葉目に、「【定期購入】クラスティブウォーター80mL」、「定期価格4,455円(税込)」及び「素肌が生きる、潤い力 肌自身が持つ潤い力に着目した、敏感・乾燥肌にもおすすめの美容液です」が記載されており、その9葉目に、「クラスティブウォーターは、化粧水と美容液の機能を併せ持ったタイプの「美容水」」が記載されている。 2 判断 上記1によれば、以下のとおり判断できる。 (1)本件使用商標について 乙8は、被請求人(商標権者)が運営するウェブサイトに掲載された記事のインターネットアーカイブ情報であって、別掲のとおり、「CLUSTIVE」及び「WATER」の文字を上下2段に表した本件使用商標が付された商品の包装(容器)が表示されているところ、「CLUSTIVE」と「WATER」の各文字部分は、上下2段に間隔を空けて配置されていることから、それぞれが視覚上分離、独立した印象を与え得るものである。 そして、本件使用商標の構成中「CLUSTIVE」の文字部分は、一般の辞書等に載録されているものではなく、また、特定の意味合いを認識させる語として知られている事情も見いだせないことから、具体的な意味合いを認識させるものであるとはいえず、また、本件使用商標が使用されている化粧品との関係では、その商品の普通名称や品質等を表したとはいえないものであるから、商品の出所識別標識としての機能を十分に果たし得るものといえる。 一方、本件使用商標の構成中「WATER」の文字部分は、「水」などのほか「化粧水」の意味を有する語であり(ジーニアス英和辞典(第6版)大修館書店参照)、化粧品の分野においては、「化粧水」のほか「水」を商品の成分に含む商品についても、「WATER(ウォーター)」の文字が普通に使用されている実情があることから、化粧品との関係においては、商品の普通名称(化粧水)あるいは商品の品質等を表す語であると理解されるものであり、商品の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものといえる。 また、本件使用商標は、上記のとおり、「CLUSTIVE」と「WATER」の各文字部分が視覚上分離、独立した印象を与え得るものであって、かつ、全体として具体的な意味合いを認識させるなど観念における関連性も見いだせないことからすると、それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、ほかに常に一体のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情も見いだせない。 してみれば、本件使用商標は、商品の出所識別標識としての機能を十分に果たし得る「CLUSTIVE」の文字部分に着目し、取引に当たる場合があるものといえる。 そうすると、本件使用商標は、「CLUSTIVE」の文字部分のみをもって、自他商品の識別標識としての機能を果たすことができるというべきであって、当該文字部分は、本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と社会通念上同一であるというのが相当である(商標法第38条第5項参照)。 (2)本件使用商標の使用時期及び使用地域並びに使用者 乙8のインターネットアーカイブ情報における本件使用商標の使用時期は、その1葉目の最上段に記載されているWayback Mashineに関するアドレスの表示(「20240223210135」の数字部分)から、要証期間内である2024(令和6)年2月23日時点と推認することができる。 また、乙8の内容は、化粧品等の販売に関するウェブサイトであるところ、当該ウェブサイトを運営している被請求人(商標権者)は、日本国内を本社所在地(大阪府大阪市)とする企業であって、同ウェブサイトは日本語で表示されているものであることから、同ウェブサイトの閲覧対象として、主に日本国内における需要者をその対象として掲載されていたものと認められる。 (3)本件使用商標の使用商品及び使用行為 被請求人(商標権者)は、上記1(2)のとおり、化粧品等の研究、開発、製造、販売をしている企業であって、上記1(3)のとおり、被請求人(商標権者)が運営するウェブサイトにおいて、自ら製造、販売する美容液について、その美容液の包装(容器)に本件使用商標を付した画像を、その商品の販売を目的として、当該ウェブサイト上に掲載したものであるから、上記ウェブサイト上における本件使用商標の使用は、商品(美容液)の包装(容器)に本件使用商標を付したものを譲渡するために展示したものであると認められ、これは、商標法第2条第3項第2号に規定する行為に該当する。 (4)小括 以上によれば、本件商標の商標権者である被請求人が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中、第3類「美容液」の商品の包装(容器)に、本件商標と社会通念上同一の商標である本件使用商標を付したものを譲渡するために展示する行為(商標法第2条第3項第2号)をしていたものと認められる。 3 請求人の主張について (1)請求人は、本件使用商標は、構成全体をもって、一体不可分の商標を表したと認識されるものであって、本件商標と社会通念上同一を認められる商標には該当しないものであるとして、その理由を以下のとおり主張する。 ア 併存して登録されている事例について 請求人は、実際、「〇〇」が識別力を有する場合、「〇〇」と「〇〇ウォーター」とは非類似の商標であり、指定商品「化粧品」を共に有しながら、併存して登録されている事例が散見されることから(甲2~甲7)、本件使用商標の構成中「WATER」の文字部分を商品の識別標識としての機能を有するものとは認めず、「CLUSTIVE」の文字が商品の識別標識としての機能を有する要部であるとする判断は誤りである旨主張する。 しかしながら、請求人が併存して登録されているとする事例(甲2~甲7)は、横一列に表された商標に関するものであって、本件使用商標のように「CLUSTIVE」と「WATER」との文字を2段に書したものではなく、また、構成する文字も異なるものであることから、本件とは、商標の態様において事案を異にするものといえ、本件使用商標は「CLUSTIVE」の文字部分のみをもって、自他商品の識別標識としての機能を果たすというべきことは、上記で述べたとおりであるから、この請求人の主張は採用することができない。 イ 本件使用商標における観念の関連性について 請求人は、仮に「WATER」の語が「化粧水」の意味を有するとしても、「CLUTIVE WATER」からは「CLUTIVEという化粧水」の意味合いが生じるものであり、「WATER」の文字部分が識別機能として機能しないか、極めて弱いものであっても、観念における関連性はあり、分離して観察することは取引上不自然である旨主張する。 しかしながら、上記「CLUSTIVEという化粧水」がどのような化粧水を意味するか不明であり、また、「CLUSTIVE」と「WATER」の語が結合した場合に、特定の意味合いを表すものとして需要者の間で広く知られているといった実情も見いだすことはできないことから、常に一体不可分のものとして理解されるような観念が生じるものとはいい難く、観念において関連性があるとは認められないものである。したがって、分離して観察することが取引上不自然であるとはいえず、この請求人の主張は採用することができない。 ウ 本件使用商標における被請求人の実際の使用について 請求人は、被請求人は、常に「CLUTIVE WATER」(クラスティブウォーター)として使用しており、本件商標が「CLUTIVE」であるにもかかわらず、「CLUTIVE」のみでは使用していないことから、本件使用商標の使用が本件商標の使用であるとすることは首肯できない旨主張する。 しかしながら、乙9の商品番号の欄において「clustive」の文字が単独で使用されている例もあるところ、「CLUSTIVE」と「WATER」の文字がともに使用されていることが多いとしても、本件使用商標のように2段書きで表された態様において、「CLUSTIVE」の文字部分のみをもって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ることは上記で述べたとおりであり、請求人のこの主張は採用することができない。 (2)請求人は、本件使用商標が付されている商品の包装(容器)からは、その商品が何であるか不明であって、この商品の包装(容器)の内容物が把握できないことから、請求に係る指定商品(化粧水、美容液、化粧品)の使用とはいえない旨主張する。 しかしながら、上記1(3)のとおり、乙8で示されたウェブサイトにおいて掲載されている商品の内容を説明する記載部分から、そこに掲載されている商品の包装(容器)の内容物が美容液であることは、当該ウェブサイトを閲覧する需要者において容易に理解できるものであるといえることから、この請求人の主張は採用することはできない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件商標の商標権者が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-300416

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