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特許拒絶査定不服審判

2022-019086

シート包装体

審判番号
2022-019086
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-557564外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年11月28日
審決日
2025年08月08日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B65D) / P18 .537-WZ (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-557564号「シート包装体」拒絶査定不服審判事件〔令和2年6月4日国際公開、WO2020/110835〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年11月19日(優先権主張 平成30年11月29日)を国際出願日とする日本語特許出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和4年 5月12日付け:拒絶理由通知書 令和4年 7月22日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 9月 1日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (令和4年 9月13日 :原査定の謄本の送達) 令和4年11月28日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和6年11月 7日付け:拒絶理由通知書 令和7年 1月 7日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和7年1月7日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 積層された複数枚のシートと、 前記シートが収容されたポリエチレン製の包装袋と、 前記包装袋の上面に形成され、前記シートが引き出される取出口とを有し、 前記取出口は、 第1方向に延びる直線または細長い長方形のスリットと、 前記スリットの両端部とそれぞれ連続する扇形の開口部とを有し、 前記スリットと前記開口部とが連続するミシン目で形成され、 前記ミシン目を破ることで前記取出口が構成され、 前記第1方向と交差する第2方向において、前記開口部の幅が前記スリットの幅より大きい、シート包装体。」 第3 当審拒絶理由の概要 令和6年11月7日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりのものである。 拒絶理由1(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 拒絶理由2-1(引用文献1を主引用例とする進歩性)この出願の請求項1~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献2、3)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 拒絶理由2-2(引用文献6を主引用例とする進歩性)この出願の請求項1~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献6に記載された発明、引用文献1に記載された事項及び周知技術(引用文献2、3)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2018-172145号公報 2.実願昭58-65580号(実開昭59-172182号)のマイクロフィルム 3.実願昭57-69684号(実開昭58-171815号)のマイクロフィルム 6.中国実用新案公告第207860945号明細書 第4 当審の判断 当審は、以下に示すとおり、令和7年1月7日提出の手続補正書による補正及び意見書(以下「意見書」という。)の内容を考慮しても、上記第3に記載した当審拒絶理由のうち、拒絶理由2-1(引用文献1を主引用例とする進歩性)、及び拒絶理由2-2(引用文献6を主引用例とする進歩性)は解消していないと判断する。 1 引用文献 (1)引用文献1について ア 引用文献1の記載 引用文献1(特開2018-172145号公報)には、以下の記載がある。なお下線は当審が付した。また「・・・」は省略を表す。以下同様である。 「【請求項1】 樹脂製の包装フィルムにより、ポップアップ式のティシュペーパーの束が包装されている、フィルム包装ティシューであって、 取出口形成用ミシン目が環状かつ束長手方向に沿って形成されたものであり、 その取出口形成用ミシン目の裂開によって形成される取出口の縁が、ティシュペーパーの束長手方向の各側縁部を束短手方向に向かって移動させる案内縁部を有している、ことを特徴とするフィルム包装ティシュー。」 「【請求項4】 案内縁部は、取出口の束長手方向両端部に形成された、取出口の束短手方向幅以上の直径の略円形形状をなす部分であり、ティシュペーパーの束長手方向の各側縁部を円周に沿って巻き込むように移動させる、請求項1記載のフィルム包装ティシュー。」 「【0015】 以下、本発明の実施形態を図1~図7を参照しながら説明する。本発明に係るフィルム包装ティシュー1は、複数組のティシュペーパー2を折り畳み重ねてなるティシュペーパー束3が柔軟性のある樹脂製の包装フィルム4によって包装されているものである。 【0016】 本発明に係るフィルム包装ティシュー1において内包されているティシュペーパー束3は、ティシュペーパー2が二つ折りされ、その折り返した内側2Aに上下に位置する他のティシュペーパー2の折り返した片2Bが位置するようにして、複数のティシュペーパー2が折り畳み積層されたものであり、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、上方に引きずられて持ち上げられるポップアップ式のティシュペーパー束3である。このティシュペーパー束3は、マルチスタンド式、ロータリー式の既知のインターフォルダにより製造することができる。なお、ティシュペーパー2の束3を構成する個々のティシュペーパー2は、クレープを有する2枚~3枚の薄葉紙が積層されて組とされたプライ構造を有するものである。また、このティシュペーパー2は、乾燥されたドライタイプのものであり、薬液が含浸されている所謂ウェットタイプのものではない。 【0017】 他方、この本発明に係るティシュペーパー束3は、各ティシュペーパー2の折り返し縁2Cが並ぶ一対の長手側面3Bと、折り返し縁2Cが並ばない一対の短手側面3Aとを有し、さらに短手側面3Aと長手側面3Bとに連接する一対の平面(上下面)3Cを有する略直方体形状をなしている。 【0018】 本発明に係るフィルム包装ティシュー1の包装形態は、既知の包装種から選択される。例えば、三方閉じ包装、四方閉じ包装、ガセット包装、ピロー包装、キャラメル包装が例示できる。ガセット包装、ピロー包装が適し、特に、図示のガセット付きピロー包装である。特に、本発明の効果が顕著となるのは、ティシュペーパー束3におけるティシュペーパー2の折り返し縁2Cが並ばない短手側面3Aに対面する位置に、包装フィルムの重ね合わせ部分が熱融着されてなる熱融着部30が位置するガセット付きピロー包装である。 【0019】 本発明に係るフィルム包装ティシュー1は、包装フィルム4の束3の最上位のティシュペーパー2に対面する位置に取出口形成用ミシン目5が形成されている。この取出口形成用ミシン目5を裂開することで、フィルム包装ティシュー1の天面に取出口6が形成される。本発明に係るフィルム包装ティシュー1では、ティシュペーパー束3がポップアップ式であるため、取出口6の形成により束3の最上位のティシュペーパー2を引き出すと、その直近下方に位置する次のティシュペーパーの一部が取出口6より露出される。 【0020】 ここで、本発明に係る取出口形成用ミシン目5はダイカットにより形成された環状をなし、特に、束3の短手方向3xの中央部でティシュペーパー2の折り返し縁2Cの延在方向である束3の長手方向3yに沿って細長でありかつ束3の長手方向長さL1より短い長さL2に形成されている。したがって、取出口形成用ミシン目5を裂開して、取出口形成用ミシン目5で囲まれる範囲を取り除くことで、取出口形成用ミシン目5で囲まれる範囲と同形状の取出口6が形成される。 【0021】 この取出口6は、特徴的に、その縁が、ティシュペーパー2を引き出す際にそのティシュペーパー2の束長手方向3yの各側縁部2E、2Eを束短手方向3xに移動させる案内縁部6Aを有する。また、好ましく、その移動されたティシュペーパー2の束長手方向3yの縁2eを支持する支持部6Bを有する。案内縁部6Aは曲縁で構成され、ティシュペーパー2をスムーズに案内して移動させる。また、支持部6Bは角の頂点や先細部の先端であり、係る部分に縁2eが嵌るようにして支持する。 【0022】 より具体的には、案内縁部は、例えば、図1及び図3に示す第一の形態のように、取出口6の長手方向縁6y,6yのうち長手方向中央Cから両端部に向かう一方部分が、束短手方向3xで対面する長手方向縁に向かって膨出する一対の膨出縁6A,6Aとすることができる。また、支持部6Bは、取出口6の長手方向両端部に位置する角部6B、6Bとすることができる。この図1の形態では、図3に示すように、束3の最上位のティシュペーパー2を引き出すと、その直近下方に位置する次のティシュペーパー2の一部が取出口から引き出される過程で、その引き出されるティシュペーパー2の長手方向側の各側縁部2E,2Eが、案内縁部6A,6Aである膨出縁6A,6Aによって束3の短手方向3xに押されるように案内されるとともに、ティシュペーパー2の束長手方向側の各縁2e,2eが支持部6Bである角部6Bに位置されて支持されるようになる。その結果、取出口から露出されるティシュペーパー2の一部は、図示例のごとく平面視で略S字状となりやすく、また両端縁2e,2eが支持部6Bで支持され自立性が高い形状に変形される。なお、図3において図示されるティシュペーパー2の形状は例であって、必ずしもこの形状と一致する形状になるわけではない(図4~6においても同様である)。このように、本発明に係るフィルム包装ティシュー1では、取出口6からティシュペーパー2を引き出した後に、次に取出口から引き出されて露出されるティシュペーパー2の一部が起立した状態になりやすく、次に使用する際には、その起立した状態の一部が掴みやすくなる。 【0023】 また、案内縁部6Aは、図4に示す形態のように、取出口6の束長手方向両端部に形成された略円形形状をなす部分とすることができる。なお、この略円形間の取出口6の長手方向縁6y、6yの間の幅は、略円形部分の直径より幅狭とするのがよい。この図4の形態では、束3の最上位のティシュペーパー2を引き出すと、その直近下方に位置する次のティシュペーパー2の一部が開口より引き出される過程で、その引き出されるティシュペーパー2の束長手方向の各側縁部2E,2Eが、案内縁部6Aである円形形状6Aの円周に沿って巻き込むように移動させられやすい。その結果、取出口6から露出されるティシュペーパー2の一部は、長手方向両側部2E,2Eにおいて略筒型部分が形成され、これが柱構造となる自立性が高い形状となりやすい。この形態でも、取出口6からティシュペーパーを引き出した後に、次に取出口6から露出されるティシュペーパー2の一部が起立した状態になりやすく、次に使用する際には、その起立した状態の一部が掴みやすくなる。円形形状の直径は、ティシュペーパーの紙力等に応じて、引き出し時にその長手方向側の各側縁部の巻き込み性を考慮して適宜に定めればよい。」 「【0027】 本発明に係る包装フィルム4を構成する具体的な柔軟性のある樹脂製のフィルム材は、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムが例示できる。コストの観点からはポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好適である。フィルム材の厚さは20~60μmであるのが望ましい。ティシュペーパーを案内する剛性を確保しやすい。前記厚みが20μm未満であると、使用時に簡単に破れてしまうという問題があり、前記厚みが60μm以上であると、フィルムが硬質となり、使用性が悪化する。なお、フィルム材の厚さの測定方法は、標準状態において、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G-1A型」(尾崎製作所製)を用いて測定した値とする。具体的な測定の手順は、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。厚みは測定を10回行って得られる平均値とする。」 「【実施例】 【0041】 次いで、本発明に係るフィルム包装ティシューと、比較例となるフィルム包装ティシューとについて、内包されているティシュペーパーを引き出して、その取出抵抗値、ポップアップ性及びティシュペーパーの自立性について試験した。 【0042】 取出抵抗値は、下記の(1)~(3)の手順で測定した。 (1)取出口から露出しているティシュペーパーの一部の長手方向中央先端部を、クリップ(コクヨ株式会社製、目玉クリップ クリー17)で挟み固定する。 (2)クリップの一方の穴に、プッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、型番Z2-20)のフックを通し、プッシュプルゲージを垂直上方に引いて、0.4秒~0.6秒でティシューを引き出して取り出す。その取出し操作時の抵抗値の最大値を測定する。 (3)束の最上層から1~5組目の平均値と、6~10組目の平均値をそれぞれ算出する。 【0043】 ポップアップ性は、束を構成するティシュペーパーをすべて引き出す操作を連続して行い、引き出したティシュペーパーの次のティシュペーパーの一部が取出口から露出されず、内部に落ち込んだ際の束上部からの組数と、落ち込みが発生した回数を測定した。また、束を構成するティシュペーパーをすべて引き出す操作を連続して行い、包装フィルムごと浮き上がった際の束上部からの組数を測定した。 【0044】 ティシュペーパーの自立性は、束を構成するティシュペーパーのうち、束上面から11組目~20組目までティシュペーパーを一枚ずつ引きだし、次の1組が天面にほぼ垂直に自立した状態となった組数を測定した。10組中、起立した状態となった組数が、8組以上を◎、7組~5組を〇、4組~3組を△、2組以下を×として評価した。 【0045】 各例に係るフィルム包装ティシューの形態、取出口の寸法、内包されるティシュペーパー束の形状・物性、包装フィルムの物性等は、結果とともに下記表1に示す。 なお、実施例1に係る取出口形状は、図3に示すものであり、実施例2に係る取出口形状は、図4に示すものであり、実施例3に係る取出口形状は、図6に示すものであり、実施例4に係る取出口形状は、図5に示すものであり、比較例1~比較例4に係る取出口形状は、一直線状のミシン目を裂開して形成したスリット状の取出口形状である。 【0046】 【表1】 [図:0001427066000001.jpg] 【0047】 表1に示すとおり、本発明の実施例1~4は、ポップアップ性に関し、内部に落ち込んだ際の束上部からの組数は、比較例よりも格段に底側に近い組数でしか発生せず、落ち込みが発生した回数も少ない傾向にある。また、包装フィルムごと浮き上がるものはなかった。ティシュペーパーの起立性も優位性がみられ、特に、実施例2及び実施例3は、非常に優れる結果となった。対して、比較例1~4は、フィルム厚、長手方向長さなどに関係なく、各試験の結果は、本発明の実施例よりも劣る結果となっている。」 「 [図:0001427066000002.jpg] 」 「 [図:0001427066000003.jpg] 」 「 [図:0001427066000004.jpg] 」 「 [図:0001427066000005.jpg] 」 イ 引用文献1の記載から認定できる事項 (ア)引用文献1には「本発明に係る包装フィルム4を構成する具体的な柔軟性のある樹脂製のフィルム材は、ポリエチレンフィルム・・・が例示できる。コストの観点からは・・・ポリエチレンフィルムが好適である。」(【0027】)と記載されているから、フィルム包装ティシュー1の包装フィルム4の好適な樹脂製フィルム材として、ポリエチレンフィルムを使用することができるといえる。 (イ)引用文献1図6の取出口6において、扇形に近似した形状の案内縁部6Aが看取される。 ウ 引用文献1に記載された発明 上記ア及びイを総合的に勘案すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。 「樹脂製の包装フィルム4により、ポップアップ式のティシュペーパー2の束3が包装されている、フィルム包装ティシュー1であって、 取出口形成用ミシン目5は、環状かつ束長手方向に沿って形成されたものであり、 取出口6は、フィルム包装ティシュー1の天面に、前記取出口形成用ミシン目5の裂開によって形成されるものであり、 前記取出口6の形成により最上位のティシュペーパー2を引き出すことができ、 前記取出口6の縁が、ティシュペーパー2の束長手方向の各側縁部を束短手方向に向かって移動させる案内縁部6Aを有しており、 当該案内縁部6Aが取出口6の束長手方向両端部に形成された略円形形状をなす部分であり、 この略円形間の取出口6の長手方向縁6y、6yの間の幅は、略円形部分の直径より幅狭であり、 フィルム包装ティシュー1の包装フィルム4を構成する好適な樹脂製フィルム材として、ポリエチレンフィルムを使用することができるフィルム包装ティシュー1。」 エ 引用文献1に記載された事項 (ア)上記イ(イ)によれば、引用文献1には、以下の事項(以下「引用文献1記載事項1」という。)が記載されているといえる。 「案内縁部6Aを扇形に近似した形状の取出口6を有するフィルム包装ティシュー1。」 (イ)また、上記イ(ア)によれば、以下の事項(以下「引用文献1記載事項2」という。)が記載されている。 「フィルム包装ティシュー1の包装フィルム4を構成する樹脂製のフィルム材として、ポリエチレンフィルムを使用すること。」 (ウ)そして、引用文献1(【0019】、図1)によれば、以下の事項(以下「引用文献1記載事項3」という。)が記載されている。 「フィルム包装ティシュー1は、包装フィルム4の束3の最上位のティシュペーパー2に対面する位置に取出口形成用ミシン目5が形成され、この取出口形成用ミシン目5を裂開することで、フィルム包装ティシュー1の天面に取出口6が形成されること。」 (2)引用文献6について ア 引用文献6の記載 引用文献6(中国実用新案公告第207860945号明細書)には、以下の記載がある(以下、翻訳は当審による。)。 「 [図:0001427066000006.jpg] 」 (翻訳)実用新案登録請求の範囲 1.ペーパータオルを入れることに用いる箱状軟質袋を含み、前記箱状軟質袋の上部には、ペーパータオルを抜き取ることに用いる切り口が備えられ、前記切り口は前記上面長さ方向に沿って設置され、ペーパータオルが落ちて前記箱状軟質袋に戻ることを防ぐことに用いる挟持口を含み、前記挟持口の長さ方向の両端には切り口を開く切り口端が設けられ、前記挟持口は2本の相互に平行なミシン目で成形され、前記切り口端の幅方向の寸法は2本のミシン目の距離より長いことを特徴とする、抜き取り式紙包装物の切り口構造。 2.前記2本のミシン目の距離は3mm-5mmであることを特徴とする、請求項1に記載の抜き取り式紙包装物の切り口構造。 3.前記切り口端の幅方向の寸法は8mm-12mmであることを特徴とする、請求項1に記載の抜き取り式紙包装物の切り口構造。 4.前記切り口端は実際に切れている線で成形されていることを特徴とする、請求項1に記載の抜き取り式紙包装物の切り口構造。 5.前記切り口端は楕円形を呈することを特徴とする、請求項1に記載の抜き取り式紙包装物の切り口構造。 6.前記切り口端は円形を呈し、前記円形の半径は4mm-6mmであることを特徴とする、請求項1に記載の抜き取り式紙包装物の切り口構造。 7.前記切り口端は方形を呈することを特徴とする、請求項1に記載の抜き取り式紙包装物の切り口構造。 「 [図:0001427066000007.jpg] 」 (翻訳) 抜き取り式紙包装物の切り口構造 技術分野 [0001]本実用新案はペーパータオルの包装分野に関し、特に抜き取り式紙包装物の切り口構造である。 背景技術 [0002]紙ナプキンやティッシュペーパー等の各種ペーパータオルは、日常生活において必要不可欠な生活用品である。ペーパータオルの外包装には一般的に2種類ある。つまり、紙箱型の硬質包装形式と、ビニール袋型の軟質包装形式である。従来の軟質包装形式、つまり軟質抜き取り包装袋は、一般的にはその切り口に2本のミシン目で形成される切れ目が形成され、使用時に、ミシン目を切り開き、切り口が形成されることで、ペーパータオルを抜き取ることができる。しかしながら、従来の切り口はその幅が広く、ペーパータオルを抜き取った後に、次のペーパータオルは軟質包装袋に容易に戻り、次の使用する時に再度包装袋内からペーパータオルを引き出さねばならず、非常に面倒である。ペーパータオルが包装袋に戻ることを回避するため、一部の包装袋は幅が狭い切れ目を採用し、1本のミシン目を採用する場合もある。ただし、ミシン目の切れ目を切り開く場合、消費者は中央部から両側に向かって開く方式を採用することが多く、力を制御することが難しいため、切り口が大きくなりすぎたり、抜き取り包装袋全体が破れることがあり、使用中に大いに不便となる。 「 [図:0001427066000008.jpg] 」 (翻訳) 発明の内容 [0003]従来技術における不足点を解決するため、本実用新案の目的は、切り開きやすく、ペーパータオルを抜き取った後の次の1枚が包装袋に戻りにくい抜き取り式紙包装物の切り口構造を提供することである。 [0004]上記目的を実現するため、本実用新案は以下の技術的解決手段を採用する。 [0005]抜き取り式紙包装物の切り口構造であって、ペーパータオルを入れることに用いる箱状軟質袋を含み、前記箱状軟質袋の上部には、ペーパータオルを抜き取ることに用いる切り口が備えられ、前記切り口は前記上面長さ方向に沿って設置され、ペーパータオルが落ちて前記箱状軟質袋に戻ることを防ぐことに用いる挟持口を含み、前記挟持口の長さ方向の両端には切り口を開く切り口端が設けられ、前記挟持口は2本の相互に平行なミシン目で成形され、前記切り口端の幅方向の寸法は2本のミシン目の距離より長い。 [0006]さらに、前記2本のミシン目の距離は3mm-5mmである。 [0007]さらに、前記切り口端の幅方向の寸法は8mm-12mmである。 [0008]さらに、前記切り口端は実際に切れている線で成形されている。 [0009]好ましくは、前記切り口端は楕円形を呈する。 [0010]好ましくは、前記切り口端は円形を呈し、前記円形の半径は4mm-6mmである。 [0011]好ましくは、前記切り口端は方形を呈する。 [0012]本実用新案は、上記技術的解決手段を使用し、切り口は挟持口および挟持口の両端に設置された切り口端を含み、紙包装物の切り口を開く場合、手を使って切り口端をつまめば、紙包装物の切り口を開くことができ、使用時には、ペーパータオルを抜き出した後、次のペーパータオルは挟持口によって挟まれ、紙包装物内に落ちることはなく、次の抜き取りが便利となり、本実用新案の構造は簡単で使用しやすい。 「 [図:0001427066000009.jpg] [図:0001427066000010.jpg] 」 (翻訳) 付属図の説明 [0013]以下、付属図と具体的な実施方式を用いて、本実用新案の詳細をさらに説明する。 [0014]図1は、本実用新案の抜き取り式紙包装物の切り口構造の概略図である。 [0015]図2は、本実用新案の別の実施例の構造概略図である。 [0016]図3は、本実用新案の別の実施例の構造概略図である。 「 [図:0001427066000011.jpg] 」 (翻訳) 具体的な実施方法 [0017]付属図1-3が示すように、本実用新案は、ペーパータオルを入れることに用いる箱状軟質袋1を含み、前記箱状軟質袋の上部には、ペーパータオルを抜き取ることに用いる切り口2が備えられ、前記切り口2は前記上面長さ方向に沿って設置され、ペーパータオルが落ちて前記箱状軟質袋に戻ることを防ぐことに用いる挟持口21を含み、前記挟持口の長さ方向の両端には切り口を開く切り口端22が設けられ、前記挟持口21は2本の相互に平行なミシン目で成形され、前記切り口端22の幅方向の寸法は2本のミシン目の距離より長い。好ましくは、前記2本のミシン目の距離は3mm-5mmである。好ましくは、前記切り口端の幅方向の寸法は8mm-12mmである。好ましくは、前記切り口端は実際に切れている線で成形されている。 [0018]図1が示すように、本実用新案の実施例において、前記切り口端22はおおよそ楕円形を呈する。 [0019]図2が示すように、本実用新案の別の実施例において、前記切り口端22はおおよそ円形を呈し、前記円形の半径は4mm-6mmである。 [0020]図3が示すように、本実用新案の別の実施例において、前記切り口端22はおおよそ方形を呈する。 [0021]本実用新案の切り口は挟持口および挟持口の両端に設置された切り口端を含み、紙包装物の切り口を開く場合、手を使って切り口端をつまめば、紙包装物の切り口を開くことができ、使用時には、ペーパータオルを抜き出した後、次のペーパータオルは挟持口によって挟まれ、紙包装物内に落ちることはなく、次の抜き取りが便利となり、本実用新案の構造は簡単で使用しやすい。 「 [図:0001427066000012.jpg] 」(図1) 「 [図:0001427066000013.jpg] 」(図2) イ 引用文献6に記載された発明 上記アを総合的に勘案すると、引用文献6には、特に図1及び図2の実施例に着目すると、以下の発明(以下「引用発明6」という。)が記載されている。 「ペーパータオルを入れることに用いる箱状軟質袋1を含み、前記箱状軟質袋1の上部には、ペーパータオルを抜き取ることに用いる切り口2が備えられ、前記切り口2は前記上面長さ方向に沿って設置され、ペーパータオルが落ちて前記箱状軟質袋に戻ることを防ぐことに用いる挟持口21を含み、前記挟持口21の長さ方向の両端には切り口2を開く切り口端22が設けられ、前記挟持口21は2本の相互に平行なミシン目で成形され、前記切り口端22の幅方向の寸法は2本のミシン目の距離より長く、前記切り口端22は実際に切れている線で成形され、前記切り口端22は楕円形又は円形を呈し、ペーパータオルを抜き取った後の次の1枚が包装袋に戻りにくい、切り口構造を有した抜き取り式紙包装物。」 2 引用文献1を主引用例とする拒絶理由2-1(進歩性) (1)対比 本願発明と引用発明1とを対比する。 ア 引用発明1の「ティシュペーパー2」、「ポップアップ式のテッシュペーパー2の束3」、「フィルム包装ティシュー1」は、それぞれ、本願発明の「シート」、「積層された複数枚のシート」、「シート包装体」に相当する。 イ 引用発明1は、「樹脂製の包装フィルム4により、ポップアップ式のティシュペーパー2の束3が包装」されている、すなわち、「樹脂製のフィルム4」により包装袋を形成し「ティシュペーパー2」を収容しているものにほかならない。そうすると、これは、本願発明の「前記シートが収容されたポリエチレン製の包装袋」との関係において、「前記シートが収容された樹脂製の包装袋」という限りで一致する。 ウ 引用発明1において、「取出口6は、フィルム包装ティシュー1の天面に、前記取出口形成用ミシン目5の裂開によって形成されるものであり、前記取出口6の形成により前記最上位のティシュペーパー2を引き出すことができ」るものであるから、当該「取出口6」は、その形成されている部位及び機能にかんがみれば、本願発明の「前記包装袋の上面に形成され、前記シートが引き出される取出口」に相当する。 エ 引用発明1の「取出口形成用ミシン目5」は、本願発明の「ミシン目」にひとまず相当する。また、引用発明1において、「取出口6」は、「前記取出口形成用ミシン目5の裂開によって形成されるもの」であるから、本願発明の「ミシン目を破ることで前記取出口が構成され」るものである。 オ 上記エに関連し、引用発明1において、「取出口形成用ミシン目5」の外形と「取出口6」の外形は同じ形状である。そして、引用発明1の「取出口6」は、「ティシュペーパー2の束長手方向の各側縁部を束短手方向に向かって移動させる案内縁部6Aを有しており、当該案内縁部6Aが取出口6の束長手方向両端部に形成された略円形形状をなす部分であり、この略円形間の取出口6の長手方向縁6y、6yの間の幅は、略円形部分の直径より幅狭であ」るから、その形状にかんがみれば、「取出口6の長手方向縁6y、6y」は、本願発明の「第1方向に延びる細長い長方形のスリット」に相当するとともに、同「案内縁部6A」は、本願発明の「前記スリットの両端部とそれぞれ連続する扇形の開口部とを有し」と、「前記スリットの両端部とそれぞれ連続する開口部とを有し」という限りで一致する。 そうすると、これらを総合すると、引用発明1の「取出口6」は、本願発明における「前記取出口は、第1方向に延びる直線または細長い長方形のスリットと、前記スリットの両端部とそれぞれ連続する開口部とを有し、前記スリットと前記開口部とが連続するミシン目で形成され、」という限りで一致する。 カ 上記オのとおり、引用発明1の「取出口6の長手方向縁6y、6yの幅は、略円形部分の直径より幅狭であ」るから、これは、本願発明の「前記第1方向と交差する第2方向において、前記開口部の幅が前記スリットの幅より大きい」ことに相当する。 そうすると、本願発明と引用発明1とを対比すると、 「積層された複数枚のシートと、 前記シートが収容された樹脂製の包装袋と、 前記包装袋の上面に形成され、前記シートが引き出される取出口とを有し、 前記取出口は、 第1方向に延びる直線または細長い長方形のスリットと、 前記スリットの両端部とそれぞれ連続する開口部とを有し、 前記スリットと前記開口部とが連続するミシン目で形成され、 前記ミシン目を破ることで前記取出口が構成され、 前記第1方向と交差する第2方向において、前記開口部の幅が前記スリットの幅より大きい、シート包装体。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1-1> スリットの両端部とそれぞれ連続する開口部に関し、本願発明の開口部は「扇形」であるのに対し、引用発明1の案内縁部6Aは略円形形状である点。 <相違点1-2> シートが収容された樹脂製の包装袋に関し、本願発明は、「ポリエチレン製」であるのに対し、引用発明1は、「好適な樹脂製フィルム材としてポリエチレンフィルムを使用することができる」と特定されている点。 (2)判断 まず、相違点1-1について検討する。 引用文献1には、案内縁部6Aを略円形形状とする技術的意義に関し、「また、案内縁部6Aは、図4に示す形態のように、取出口6の束長手方向両端部に形成された略円形形状をなす部分とすることができる。・・・この図4の形態では、束3の最上位のティシュペーパー2を引き出すと、その直近下方に位置する次のティシュペーパー2の一部が開口より引き出される過程で、その引き出されるティシュペーパー2の束長手方向の各側縁部2E,2Eが、案内縁部6Aである円形形状6Aの円周に沿って巻き込むように移動させられやすい。その結果、取出口6から露出されるティシュペーパー2の一部は、長手方向両側部2E,2Eにおいて略筒型部分が形成され、これが柱構造となる自立性が高い形状となりやすい。この形態でも、取出口6からティシュペーパーを引き出した後に、次に取出口6から露出されるティシュペーパー2の一部が起立した状態になりやすく、次に使用する際には、その起立した状態の一部が掴みやすくなる。円形形状の直径は、ティシュペーパーの紙力等に応じて、引き出し時にその長手方向側の各側縁部の巻き込み性を考慮して適宜に定めればよい。」(【0023】)と記載されており、これを踏まえると、引用文献1において、ティシュペーパー2を引き出すとき、長手方向両端部で略筒状部分が形成され、これが柱構造となる自立性が高い形状となりやすい案内縁部Aである限りにおいて、その形状は適宜決定し得たことである。 してみれば、引用発明1における取出口6の束長手方向両端部に円形部分を含む「扇形」を選択することは、当業者であれば困難なことではない。 ここで、上記1(1)イ(イ)のとおり、引用文献1の図6には、案内縁部6Aを扇形に近似した形状が看取され、当該「扇形」が特別なものとも認められない。 次に、相違点1-2について検討する。 引用発明1のフィルム包装ティシュー1において、「好適な樹脂製フィルム材としてポリエチレンフィルムを使用することができる」から、包装フィルム4のフィルム材を好適な選択肢の一つである「ポリエチレンフィルム」を採用する、すなわち「包装フィルム4をポリエチレン製とする」ことは、当業者が容易に想到し得たものである。 (3)効果について 引用文献1の【0041】~【0047】(特に【表1】の「取出抵抗値(5組の平均値)」、「落ち込み発生組数(初回)」、「落ち込み発生回数」及び「浮き発生組数」)に着目すると、引用発明1のフィルム包装ティシュー1において、取出抵抗値は比較的小さく、ポップアップ性に関し、内部に落ち込んだ際の束上部からの組数は、比較例よりも格段に底側に近い組数でしか発生せず、落ち込みが発生した回数も少ない傾向にあり、包装フィルムごと浮き上がるものはないという効果を有しているといえ、このことを踏まえると、本願発明の奏する作用効果は、引用発明1の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (4)請求人の主張について 請求人は、意見書で、「効果(A)~(G)」について種々の主張をするとともに、「引用文献1~3、6のいずれにも、上記の相違点1-1、1-2・・・を含む構成を採用することで、上記(A)~(G)の効果が得られるという本願発明の技術思想は開示されておりません。そのため、引用発明1、引用発明1~3、引用発明6または引用発明6、1から本願発明に想到する動機付けがありません。」と主張する。 しかしながら、上記(2)で検討したとおり、引用発明1を本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとともに、上記(3)で述べたとおり、取出性、非落ち込み性、非持ち上がり性等の効果は、引用文献1に記載されているものであるし、他の効果も、良好な取出抵抗値や「前記取出口6の縁が、ティシュペーパー2の束長手方向の各側縁部を束短手方向に向かって移動させる案内縁部6Aを有」する構成から予測されるものである。 そうすると、請求人の主張は採用できない。 (5)小括 よって、本願発明は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 引用文献6を主引用例とする拒絶理由2-2(進歩性) (1)対比 本願発明と引用発明6とを対比する。 ア 引用発明6の「ペーパータオル」は、本願発明の「シート」に相当する。また、引用発明6において、「ペーパータオルを抜き取った後の次の1枚が包装袋に戻りにくい」としていることに照らせば、「ペーパータオル」が複数枚積層されていることは明らかであるから、これは、本願発明の「積層された複数枚のシート」に相当する。 イ 引用発明6の「ペーパータオルを入れることに用いる箱状軟質袋1」は、本願発明の「前記シートが収容されたポリエチレン製の包装袋」と、「前記シートが収容された包装袋」という限りで一致する。 ウ 引用発明6の「前記箱状軟質袋1の上部」に備えられた「ペーパータオルを抜き取ることに用いる切り口2」は、本願発明の「前記包装袋の上面に形成され、前記シートが引き出される取出口」に相当する。 エ 引用発明6の「前記切り口2は前記上面長さ方向に沿って設置され、ペーパータオルが落ちて前記箱状軟質袋に戻ることを防ぐことに用い」られ、「2本の相互に平行なミシン目で成形され」る「挟持口21」は、本願発明の「第1方向に延びる直線または細長い長方形のスリット」に相当する。 オ 引用発明6の「前記挟持口21の長さ方向の両端に」設けられ、「楕円形又は円形を呈」する「切り口端22」は、本願発明の「前記スリットの両端部とそれぞれ連続する扇形の開口部」と、「前記スリットの両端部とそれぞれ連続する開口部」という限りで一致する。 カ 技術常識に照らせば、引用発明6は「ミシン目」を破ることで「切り口2」が構成されることは明らかである。そうすると、上記エ、オと合わせると、引用発明6の「切り口2」は、本願発明の「取出口」との関係において、「前記取出口は、第1方向に延びる直線または細長い長方形のスリットと、前記スリットの両端部とそれぞれ連続する開口部とを有し、ミシン目を破ることで前記取出口が構成され、」という点に限り一致する。 キ 引用発明6の「前記挟持口21は2本の相互に平行なミシン目で成形され、前記切り口端22の幅方向の寸法は2本のミシン目の距離より長」いことは、本願発明の「前記第1方向と交差する第2方向において、前記開口部の幅が前記スリットの幅より大きい」ことに相当する。 ク 引用発明6の「抜き取り式紙包装物」は、本願発明の「シート包装体」に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明6とを対比すると、 「積層された複数枚のシートと、 前記シートが収容された包装袋と、 前記包装袋の上面に形成され、前記シートが引き出される取出口とを有し、 前記取出口は、 第1方向に延びる直線または細長い長方形のスリットと、 前記スリットの両端部とそれぞれ連続する開口部とを有し、 前記ミシン目を破ることで前記取出口が構成され、 前記第1方向と交差する第2方向において、前記開口部の幅が前記スリットの幅より大きい、シート包装体。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点6-1> スリットの両端部とそれぞれ連続する開口部に関し、本願発明の開口部は「扇形」であるのに対し、引用発明6の切り口端22は「楕円形又は円形」である点。 <相違点6-2> シートが収容された包装袋に関し、本願発明は「ポリエチレン製」であるのに対し、引用発明6はそのような特定がない点。 <相違点6-3> 本願発明は「前記スリットと前記開口部とが連続するミシン目で形成され」ているのに対し、引用発明6は「前記挟持口21は2本の相互に平行なミシン目で成形され」てはいるものの、「前記切り口端22は実際に切れている線で成形され」ており、それらが連続するミシン目で構成されていない点。 (2)判断 まず、相違点6-1について検討する。 引用文献6において、「切り口端22」の形状として、図1、図2などの具体例が提示されているとおり、「切り口端22」の幅方向の寸法が2本のミシン目の距離より長い限りにおいて、「切り口端22」をどのような形状にするかは適宜設計できることが分かる。 そして、引用発明6の「楕円形又は円形」と同様に、円形部分を含む「扇形」を選択することは、当業者であれば困難なことではない。 ここで、上記(1)エの引用文献1記載事項1のとおり、引用文献1には、「案内縁部6Aを扇形に近似した形状の取出口6を有するフィルム包装ティシュー1」が記載されており、当該「扇形」が特別なものとも認められない。 次に、相違点6-2について検討する。 上記(1)エの引用文献1記載事項2のとおり、引用文献1には、「フィルム包装ティシュー1の包装フィルム4を構成する樹脂製のフィルム材として、ポリエチレンフィルムを使用すること」が記載されている。 また、引用発明6と引用文献1記載事項2は、共に「積層された複数枚のシートと、前記シートが収容された包装袋と、前記包装袋の上面に形成され、前記シートが引き出される取出口とを有するシート包装体」であり、技術分野が共通であることや同一の構成を有することを踏まえると、引用発明6に引用文献1記載事項2を組み合わせる動機付けは十分に存在する。 そうすると、引用発明6において、引用文献1記載事項2を参考にして、「箱状軟質袋1をポリエチレン製とすること」は、当業者が容易に想到し得たものである。 最後に、相違点6-3について検討する。 引用発明6において、使用時に「箱状軟質袋1」を切り開くための脆弱部をどのように形成するかは当業者であれば適宜設計できる事項であるから、「挟持口21」を2本の相互に平行なミシン目で成形し、「切り口端22」を実際に切れている線で成形することに換えて、切り口端22もミシン目で成形し、前記「挟持口21」と前記「切り口端22」とを連続するミシン目で形成することに格別の困難性はない。 さらに、上記(1)エの引用文献1記載事項3のとおり、引用文献1には、「フィルム包装ティシュー1は、包装フィルム4の束3の最上位のティシュペーパー2に対面する位置に取出口形成用ミシン目5が形成され、この取出口形成用ミシン目5を裂開することで、フィルム包装ティシュー1の天面に取出口6が形成されること」、すなわち、取出口形成用ミシン目5を連続するミシン目で形成することが記載されており、引用発明6において、引用文献1記載事項3を参考にして、相違点6-3に係る構成とすることは当業者にとって容易であるともいえる。 (3)効果について 引用文献6の[0021]には、「本実用新案の切り口は挟持口および挟持口の両端に設置された切り口端を含み、紙包装物の切り口を開く場合、手を使って切り口端をつまめば、紙包装物の切り口を開くことができ、使用時には、ペーパータオルを抜き出した後、次のペーパータオルは挟持口によって挟まれ、紙包装物内に落ちることはなく、次の抜き取りが便利となり、本実用新案の構造は簡単で使用しやすい。」と記載されており、この効果を踏まえると、本願発明の奏する作用効果は、引用発明6及び引用文献1に記載された事項の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (4)請求人の主張について 請求人は、意見書で、「効果(A)~(G)」について種々の主張をするとともに、「引用文献1~3、6のいずれにも、上記の・・・相違点6-1、6-2を含む構成を採用することで、上記(A)~(G)の効果が得られるという本願発明の技術思想は開示されておりません。そのため、引用発明1、引用発明1~3、引用発明6または引用発明6、1から本願発明に想到する動機付けがありません。」と主張する。 しかしながら、引用発明6のものに関しても、上記2(4)で検討したとおり、引用発明6を本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たものであるとともに、上記(A)~(G)の効果は予測される範囲のものである。 そうすると、請求人の主張は採用できない。 (5)小括 よって、本願発明は、引用発明6及び引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 上記の通り、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、又は引用文献6に記載された発明及び引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-019086

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