特許拒絶査定不服審判
2023-007694
ホッパーおよびそれを用いた二次電池用正極活物質の焼成装置
- 審判番号
- 2023-007694
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-062431
- 請求日
- 2023年05月11日
- 審決日
- 2025年04月11日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】住友金属鉱山株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人山内特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 油原 博
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P18 .561-WZ (B65D) / P18 .572-WZ (B65D) / P18 .537-WZ (B65D) / P18 .121-WZ (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 62431「ホッパーおよびそれを用いた二次電池用正極活物質の焼成装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 1日出願公開、特開2020-158188〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年3月28日の出願であって、令和4年8月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月20日に意見書及び手続補正書が提出され、令和5年2月9日付けで拒絶査定(原査定)がなされた(原査定の謄本の送達日:同年2月14日)のに対し、同年5月11日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、当審において令和6年6月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月2日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月25日付けで拒絶の理由(最後の拒絶理由)が通知され、同年12月23日に意見書及び手続補正書(以下、この手続補正書でされた補正を「本件補正」という。)が提出され、令和7年2月10日に上申書が提出されたものである。
第2 令和6年12月23日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年12月23日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
令和6年12月23日に提出された手続補正書による手続補正は、特許請求の範囲について、本件補正前の令和6年9月2日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲を、本件補正後の特許請求の範囲へと補正するものである(下線は当審にて付したものであり補正箇所を示す。)。
(1)本件補正前
「【請求項1】
物理的性状が異なるニッケル複合酸化物とリチウム化合物を含む混合粉末原料を供給するホッパーであって、
円筒状のホッパー部と、
該ホッパー部の下端に接続された円錐状のコーン部と、
該コーン部の下端に接続された排出部とからなり、
前記コーン部の開き角aが、前記混合粉末原料の安息角の最大値をbとしたとき、式(1)で表わされる角度であり、
a≦180-2b-10・・・式(1)、
前記ホッパー部の内部において、垂直方向に延びる複数の仕切り板が設置され、該仕切り板が平面視で前記ホッパー部の中心を通るように放射状または枡目状に設置されており、該ホッパー部の内部が4~8分割されている
ことを特徴とするホッパー。
【請求項2】
焼成すべき被焼成物が充填される複数のセッターと、
前記各セッターに被焼成物を供給する供給部と、
前記各セッターに供給された被焼成物を焼成する焼成炉と、
前記各セッターを前記供給部から前記焼成炉に搬入し、前記焼成炉で焼成された焼成物を載せている各セッターを前記焼成炉から搬出する搬送部と、
前記焼成物を前記各セッターから排出する排出部と、を備える二次電池用正極活物質の焼成装置において、
請求項1記載のホッパーが、前記供給部において被焼成物を供給する装置として用いられている
ことを特徴とする二次電池用正極活物質の焼成装置。
【請求項3】
前記排出部が、
前記各セッターから排出された焼成物を破砕する破砕機構を備えている
ことを特徴とする請求項2記載の二次電池用正極活物質の焼成装置。
【請求項4】
前記破砕機構が、ロールクラッシャーであり、
かつ高温の焼成物と接触するロールを冷却する冷却機構を備えている
ことを特徴とする請求項3記載の二次電池用正極活物質の焼成装置。
【請求項5】
前記供給部、前記焼成炉、前記排出部、または前記破砕機構の少なくとも一つが、
作業空間の酸素濃度を80%以上に維持される機構を備えている
ことを特徴とする請求項3記載の二次電池用正極活物質の焼成装置。
【請求項6】
前記焼成物が、
リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及び、それ以外の元素(M)を含み、かつ、各元素の原子数比がLi:Ni:Co:M=s:(1-x-y):x:y(ただし、0.93<s<1.03、0.00≦x≦0.35、0.03≦y≦0.35、Mは1種類以上の遷移金属、アルカリ土類金属、卑金属、または、半金属)で表わされるリチウムニッケル複合酸化物である
ことを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の二次電池用正極活物質の焼成装置。」
(2)本件補正後
「【請求項1】
リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及び、それ以外の元素(M)を含み、かつ、各元素の原子数比がLi:Ni:Co:M=s:(1-x-y):x:y(ただし、0.93<s<1.03、0.00≦x≦0.35、0.03≦y≦0.35、Mは1種類以上の遷移金属、アルカリ土類金属、卑金属、または、半金属)で表わされるリチウムニッケル複合酸化物である混合粉末原料を供給するホッパーであって、
円筒状のホッパー部と、
該ホッパー部の下端に接続された円錐状のコーン部と、
該コーン部の下端に接続された排出部とからなり、
前記コーン部の開き角aが、前記混合粉末原料の安息角の最大値をbとしたとき、式(1)で表わされる角度であり、
a≦180-2b-10・・・式(1)、
前記ホッパー部の内部において、前記混合粉末原料の横方向移動を抑止するため垂直方向に延びる複数の仕切り板が設置され、該仕切り板の少なくとも一つが平面視で前記ホッパー部の中心を通るように放射状または枡目状に設置されており、該ホッパー部の内部が4~8分割されている
ことを特徴とするホッパー。
【請求項2】
焼成すべき被焼成物が充填される複数のセッターと、
前記各セッターに被焼成物を供給する供給部と、
前記各セッターに供給された被焼成物を焼成する焼成炉と、
前記各セッターを前記供給部から前記焼成炉に搬入し、前記焼成炉で焼成された焼成物を載せている各セッターを前記焼成炉から搬出する搬送部と、
前記焼成物を前記各セッターから排出する排出部と、を備える二次電池用正極活物質の焼成装置において、
請求項1記載のホッパーが、前記供給部において被焼成物を供給する装置として用いられている
ことを特徴とする二次電池用正極活物質の焼成装置。
【請求項3】
前記排出部が、
前記各セッターから排出された焼成物を破砕する破砕機構を備えている
ことを特徴とする請求項2記載の二次電池用正極活物質の焼成装置。
【請求項4】
前記破砕機構が、ロールクラッシャーであり、
かつ高温の焼成物と接触するロールを冷却する冷却機構を備えている
ことを特徴とする請求項3記載の二次電池用正極活物質の焼成装置。
【請求項5】
前記供給部、前記焼成炉、前記排出部、または前記破砕機構の少なくとも一つが、
作業空間の酸素濃度を80%以上に維持される機構を備えている
ことを特徴とする請求項3記載の二次電池用正極活物質の焼成装置。」
2 本件補正の適否
(1)補正の目的について
ア 本件補正において、本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「物理的性状が異なるニッケル複合酸化物とリチウム化合物を含む混合粉末原料」を、本件補正後の「リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及び、それ以外の元素(M)を含み、かつ、各元素の原子数比がLi:Ni:Co:M=s:(1-x-y):x:y(ただし、0.93<s<1.03、0.00≦x≦0.35、0.03≦y≦0.35、Mは1種類以上の遷移金属、アルカリ土類金属、卑金属、または、半金属)で表わされるリチウムニッケル複合酸化物である混合粉体原料」と補正すること(以下、「補正事項」という。)は、本件補正前の「物理的性状が異なるニッケル複合酸化物とリチウム化合物を含む」特定事項を削除した上で、「物理的性状が異なるニッケル複合酸化物とリチウム化合物を含む」ことを必ずしも満たすものではない「リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及び、それ以外の元素(M)を含み、各元素の原子数比を特定の数値範囲としたリチウムニッケル複合酸化物」に補正するものであるから、「物理的性状が異なるニッケル複合酸化物とリチウム化合物を含む混合粉末原料」という発明特定事項を限定するものではない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
イ また、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除、同項第3号に掲げる誤記の訂正、同項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことが明らかである。
したがって、上記補正事項を含む本件補正の目的は、特許法第17条の2第5項各号に掲げる目的のいずれにも該当しないから、本件補正は同項の規定に違反する。
(2)新規事項の有無について
ア 願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載された事項について
本願の当初明細書等には、次の記載がある(下線は当審にて付した。)。
「【0052】
(3)リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
本発明のホッパーおよび焼成装置は二次電池用正極活物質の原料の供給と焼成に好適に用いることができる。
本発明が適用される二次電池用正極活物質の原料には、とくに制限はないが、リチウムニッケル複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池用正極活物質(以下、単に「正極活物質」ともいう。)が一例としてあげられる。
リチウムニッケル複合酸化物は、リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及び、それ以外の元素(M)を含み、かつ、各元素の原子数比がLi:Ni:Co:M=s:(1-x-y):x:y(ただし、0.93<s<1.03、0.00≦x≦0.35、0.03≦y≦0.35、Mは1種類以上の遷移金属、アルカリ土類金属、卑金属、または、半金属)で表される。また、上記リチウムニッケル複合酸化物(以下、単に「複合酸化物」ともいう。)は、層状構造の結晶構造を有し、一次粒子が凝集して形成された二次粒子の形態を含んでもよい。
【0053】
図6は、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法の一例を示す図である。図6に示されるように、正極活物質の製造方法は、例えば、ニッケル複合酸化物と、リチウム化合物と、を含むリチウム混合物を得ること(混合工程:ステップS10)と、リチウム混合物を焼成すること(焼成工程:ステップS30)と、を含むものである。以下、各工程について説明する。
【0054】
(混合工程:ステップS10)
まず、ニッケル複合酸化物と、リチウム化合物とを混合してリチウム混合物を得る(ステップS10)。製造方法は、原料としてニッケル複合酸化物を用いることにより、非常に短時間の焼成で結晶性の高いリチウムニッケル複合酸化物を生産性高く得ることができる。以下、混合工程(ステップS10)に用いる各原料について説明する。」
(イ)新規事項についての検討・判断
ア 上記2(1)アにおいて示した補正事項について検討する。
本件補正後の「リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及び、それ以外の元素(M)を含み、かつ、各元素の原子数比がLi:Ni:Co:M=s:(1-x-y):x:y(ただし、0.93<s<1.03、0.00≦x≦0.35、0.03≦y≦0.35、Mは1種類以上の遷移金属、アルカリ土類金属、卑金属、または、半金属)で表わされるリチウムニッケル複合酸化物」については、上記(2)アに示したように当初明細書等には「リチウムニッケル複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池用正極活物質」の一例として記載されているが、同「リチウムニッケル複合酸化物」がリチウムイオン二次電池の原料として「ホッパー」に「供給」される「混合粉末」であるものとして記載されたものではなく、そのようなことを示唆するものでもない。
イ よって、上記補正事項は当初明細書等に記載がなく、当初明細書等から自明な事項や技術常識から導かれる事項でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、上記補正事項は、新たな技術的事項を導入するものである。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反しているものである。
3 審判請求人の主張について
審判請求人は令和6年12月23日に提出した意見書の[3]補正の根拠において、『請求項1中の「リチウム(Li)、ニッケル(Ni)・・・混合粉末原料」は、補正前請求項6の特定事項であり、明細書の段落0052に根拠があります。』と主張しているが、上記2に示した判断を左右するものではなく採用できない。
4 小括
上記2より、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げる目的のいずれにも該当せず、同項の規定に違反してなされたものであり、また、同法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和6年9月2日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、前記第2の1(1)に示したとおりのものと認められる。
第4 当審拒絶理由の概要
当審において通知した令和6年10月25日付け拒絶理由通知書(最後)の概要は次のとおりである。
理由1(明確性)この出願は、特許請求の範囲の請求項1~6の記載が明確でないので、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由2(進歩性)この出願の請求項1~6に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1. 特許第6120344号公報
2. 特開2016-207479号公報(周知技術を示す文献)
3. 特開2012-171764号公報(周知技術を示す文献)
第5 当審の判断
1 理由1(明確性)について
(1)請求項1の記載内容
特許請求の範囲の請求項1には、「前記ホッパー部の内部において、垂直方向に延びる複数の仕切り板が設置され、該仕切り板が平面視で前記ホッパー部の中心を通るように放射状または枡目状に設置されており」と記載されている。
(2)判断
上記記載に「該仕切り板が平面視で前記ホッパー部の中心を通るように放射状または枡目状に設置」とあるが、「仕切り板が平面視」で「枡目状に設置され」たものの場合、「中心を通る」「仕切り板」が、「複数の仕切り板」の全てを含むことを意味しているのか、それとも、「複数の仕切り板」の少なくとも一つを含むことを意味しているのか、明確ではない。
2 理由2(進歩性)について
(1)本願発明について
上記1で示したように、請求項1の記載は、「仕切り板が平面視で」「枡目状に設置」された点が不明であるから、上記第2の1(1)に示した本件補正前の請求項1に係る発明のうち、この点と択一的な構成を有する次の発明を請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)として、以下検討・判断する。
「【請求項1】
物理的性状が異なるニッケル複合酸化物とリチウム化合物を含む混合粉末原料を供給するホッパーであって、
円筒状のホッパー部と、
該ホッパー部の下端に接続された円錐状のコーン部と、
該コーン部の下端に接続された排出部とからなり、
前記コーン部の開き角aが、前記混合粉末原料の安息角の最大値をbとしたとき、式(1)で表わされる角度であり、
a≦180-2b-10・・・式(1)、
前記ホッパー部の内部において、垂直方向に延びる複数の仕切り板が設置され、該仕切り板が平面視で前記ホッパー部の中心を通るように放射状に設置されており、該ホッパー部の内部が4~8分割されている
ことを特徴とするホッパー。」
(2)引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1の記載事項
本願の出願前に頒布された刊行物である特許第6120344号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審が付した。)
(ア)段落【0012】
「【0012】
そこで、上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、サイロやホッパーなどの貯蔵槽内での粉粒体の偏りを少なくし、該粉粒体を用いた製品の品質(性能や効能など)を安定化させることを可能にする、新たな粉粒体貯蔵槽及び粉粒体貯蔵プラントを提供することにある。」
(イ)段落【0031】~【0041】
「【0031】
本発明は、粉粒体を一時的に貯蔵し排出する粉粒体貯蔵槽(以下「貯蔵槽」と略称)に関するものであり、この貯蔵槽の具体例としてはサイロやホッパーなどが挙げられる。また、貯蔵槽に一時的に貯蔵する粉粒体の具体的態様には、粉体、粒体、フレーク状体が含まれる。また、粉粒体の具体例としては、コンクリート用の粗骨材が挙げられる。
【0032】
・・・(中略)・・・
なお、添付図面では、貯蔵槽の具体例として、サイロからなる貯蔵槽を図示し、また、粉粒体の具体例として、粗骨材などからなる粒体を図示する。ただし、本発明の貯蔵槽をサイロに限定する趣旨ではなく、また、粉粒体を粗骨材に限定する趣旨ではない。
【0033】
(第1実施形態の貯蔵槽の構成)
図1~図3に示すように、粉粒体を一時的に貯蔵し排出する貯蔵槽1は、主として、
・粗骨材などの粉粒体を収容可能な容器3と、
・容器3の内側空間を二以上の貯蔵空間(部屋)に仕切る仕切り手段5と、
・仕切られた各貯蔵空間に粉粒体が向かうように粉粒体の流れを制御する制御部材7と、
・搬送されてきた粉粒体が容器3内(貯蔵槽1内)に入ることを可能にする供給口9と、
・貯蔵空間に貯蔵された粉粒体を排出して取り出すための排出口11と、
・排出口11を所定のタイミングで開閉する開閉部材13を有している。
【0034】
容器3は、既存のサイロなどと同様に、筒状の本体部15と、該本体部の下端に設けられた逆円錐状(略すり鉢状)のホッパー部17を有している。上側に位置する「本体部15」と下側に位置する「ホッパー部17」の結合体である容器3は、その内側空間に粉粒体を収容可能であって、且つ、該粉粒体を排出可能に構成されている。
【0035】
ホッパー部17の内側のすり鉢状の傾斜面19は、前記貯蔵空間に一時的に貯蔵されている粉粒体を、排出口11の方へガイドする排出ガイド手段として機能する。このように、ホッパー部17の内周面をすり鉢状に形成することで、容器3内に粉粒体が残留することなく、良好に排出することができる。なお、本実施形態では、ホッパー部17を具備する容器3を一例として用いているが、このようなホッパー部17やすり鉢状の傾斜面19が無い容器を具備する貯蔵槽も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0036】
仕切り手段5は、容器3の内側空間を二以上の貯蔵空間(部屋)に仕切って、容器本体部15の内径Dに起因する偏析(粗いもの、細かいものの分離)などが生じないようにする役割を担っている。本実施形態では、仕切り手段5は、筒状体21(内側に空間を有する柱状体)と複数の仕切り板23(板状の仕切り部材)を含んで構成されている。仕切り手段5による分割によって生じた複数の貯蔵空間には、それぞれ、供給口9を介して投入される粉粒体が収容される。
・・・(中略)・・・
【0040】
仕切り手段5の一部である仕切り板23(板状の仕切り部材)は、筒状体21の外周面と容器3の内周面との間の空間を、少なくとも二以上の貯蔵空間に仕切る役割を担っている。・・・(中略)・・・
【0041】
仕切り板23は、容器3内において縦向きに設置され、その下端は排出口11に方向に向いている。・・・(中略)・・・」
(ウ)段落【0090】~【0112】
「【0090】
(第3実施形態の貯蔵槽の構成)
次に、図10に基づいて、本発明に係る貯蔵槽の第3実施形態について説明する。
なお、前述した第1実施形態と同様の構成については、添付図面において同じ符号を記載し、説明を簡略化又は省略する。
【0091】
図10に示すように、粉粒体を一時的に貯蔵し排出する貯蔵槽1cは、主として、
・粗骨材などの粉粒体を収容可能な容器3と、
・容器の内側空間を二等分する隔壁51(仕切り手段)と、
・粉粒体を所定方向に導くように粉粒体の流れを制御する粉粒体制御部材53と、
・搬送されてきた粉粒体が容器3内(貯蔵槽内)に入ることを可能にする供給口9と、
・貯蔵空間に貯蔵された粉粒体を排出して取り出すための排出口11と、
・排出口11を所定のタイミングで開閉する開閉部材13を有している。
【0092】
隔壁51(仕切り手段)は、容器3の内側空間を、均等サイズの二つの貯蔵空間に仕切って、容器本体部15の内径Dに起因する偏析(粗いもの、細かいものの分離)などが生じないようにする役割を担っている。本実施形態では、隔壁51は、一枚の板状の仕切り部材で構成されている。隔壁51による分割によって生じた2つの貯蔵空間61,62には、それぞれ、供給口9を介して投入される粉粒体が収容される。
【0093】
以下、隔壁51によって仕切られた一方の貯蔵空間を「第1の貯蔵空間」と称し、他方を「第2の貯蔵空間」と称する。
【0094】
板状の隔壁51は、容器3内において縦向きに設置され、その下端は排出口11の方向に向いている。また、隔壁51は、下方のホッパー部17との間に隙間55を空けた状態で、容器3の内周面に対して固定されている。
・・・(中略)・・・
【0110】
(第3実施形態の貯蔵槽の変形例)
上述した第3実施形態に係る貯蔵槽は、本発明の一例であって、特許請求の範囲に記載の貯蔵槽をこれに限定する趣旨ではない。例えば、第3実施形態に係る貯蔵槽の変形例として、図12や図13に示す変形例を採用することも可能である。
・・・(中略)・・・
【0112】
また、上述した第3実施形態に係る貯蔵槽1cでは、仕切り手段として一枚の隔壁51を採用しているが、隔壁の構成は図示するものに限定されず、例えば図13(a)に示すように、容器3内を4等分する断面略十字状に組み合わせた隔壁51aで仕切り手段を構成してもよく、あるいは、図13(b)に示すように容器3内を3等分する隔壁51cで仕切り手段を構成してもよい。なお、本発明において、隔壁(仕切り手段)は必ずしも容器内を等分する必要はなく、分割する貯蔵空間のサイズに差を設けることも可能である。」
(エ)図11
[図:0001422857000001.jpg]
(オ)図11から看取できる事項
前記(エ)で示した図11から、以下の事項が看取できる(以下、「図11看取事項」という。)。
・排出口11がホッパー部17の下端に接続されていること
(カ)図13
[図:0001422857000002.jpg]
(キ)図13から看取できる事項
前記(ウ)の記載及び前記(カ)で示した図13(a)によれば、以下の事項が看取できる(以下、「図13看取事項」という。)。
・隔壁(仕切り手段)51aが平面視で容器3の本体部15内の中心を通るように放射状に設置され、本体部15が4分割されていること
イ 引用発明について
引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
なお、引用発明は、引用文献1に記載された「第3実施形態に係る貯蔵槽の変形例」(【0110】等)に着目したものである。第3実施形態の記載について、「前述した第1実施形態と同様の構成については、添付図面において同じ符号を記載し、説明を簡略化又は省略する」(【0090】)とあることから、図11や図13において第1実施形態と同じ符号が記載された部材については第1実施形態の記載を引用して、引用発明を認定する。
また、「粉粒体を一時的に貯蔵し排出する粉粒体貯蔵槽(以下「貯蔵槽」と略称)」(【0031】)との記載から、「粉粒体貯蔵槽」と「貯蔵槽」とは同じものを意味しているので、引用発明の認定においては統一して「貯蔵槽」とする。
<引用発明>
「ホッパーなどの貯蔵槽内での粉粒体の偏りを少なくし、該粉粒体を用いた製品の品質を安定化させることを可能にする、貯蔵槽であって、(【0012】)
具体例としてホッパーが挙げられ、粉粒体を一時的に貯蔵し排出する貯蔵槽1cは、(【0031】、【0033】)
粉粒体を収容可能な容器3と、容器3の内側空間を貯蔵空間に仕切る隔壁51(仕切り手段)と、貯蔵空間に貯蔵された粉粒体を排出して取り出すための排出口11とを有しており、(【0091】)
容器3は、筒状の本体部15と、該本体部の下端に設けられた逆円錐状のホッパー部17を有しており、上側に位置する本体部15と下側に位置するホッパー部17の結合体である容器3は、その内側空間に粉粒体を収容可能であって、且つ、該粉粒体を排出可能に構成されて、(【0034】)
ホッパー部17の内側のすり鉢状の傾斜面19は、前記貯蔵空間に一時的に貯蔵されている粉粒体を、排出口11の方へガイドする排出ガイド手段として機能し、ホッパー部17の内周面をすり鉢状に形成することで、容器3内に粉粒体が残留することなく、良好に排出することができ、(【0035】)
隔壁51(仕切り手段)は、容器3の内側空間を、貯蔵空間に仕切って、容器本体部15の内径Dに起因する偏析(粗いもの、細かいものの分離)などが生じないようにする役割を担っており、(【0092】)
板状の隔壁51は、容器3内において縦向きに設置され、その下端は排出口11の方向に向いており、(【0094】)
第3実施形態に係る貯蔵槽の変形例として、(【0110】)
容器3内を4等分する断面略十字状に組み合わせた隔壁51aで仕切り手段を構成し(【0112】)
排出口11がホッパー部17の下端に接続されており、(図11看取事項)
隔壁(仕切り手段)51aが平面視で容器3の本体部15内の中心を通るように放射状に設置され、本体部15が4分割されている、(図13看取事項)
貯蔵槽。」
(3)引用文献2について
ア 引用文献2の記載事項
引用文献2(特開2016-207479号公報)には、次の事項が記載されている。
(ア)段落【0038】
「【0038】
[2.非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法]
本実施の形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法(以下、単に「正極活物質の製造方法」という。)は、図1に示すように、少なくとも、酸化焙焼工程S12、混合工程S13及び焼成工程S14を有している。酸化焙焼工程S12では、ニッケル複合水酸化物を、所定の条件で酸化焙焼してニッケル複合酸化物を得る。混合工程S13では、酸化焙焼工程S12で得られたニッケル複合酸化物とリチウム化合物を所定の条件で混合してリチウム混合物を得る。焼成工程S14では、混合工程S13で得られたリチウム混合物を所定の条件で焼成してリチウムニッケル複合酸化物を得る。即ち、正極活物質の製造方法では、少なくとも、上述した各工程を経ることにより、リチウムニッケル複合酸化物を含む非水系電解質二次電池用正極活物質を作製することができる。以下、正極活物質の製造方法について、工程ごとに詳細に説明する。」
(イ)段落【0053】~【0065】
「【0053】
(2-4.混合工程)
図1に示すように、混合工程S13は、酸化焙焼工程S12で得られたニッケル複合酸化物とリチウム化合物を混合して、ニッケル、コバルト、マンガン及びマグネシウムの原子数の和(Me)に対するリチウムの原子数(Li)との比(Li/Me)が1.015~1.030であるリチウム混合物を得る工程である。
【0054】
Li/Meは、混合工程S13で得られるリチウム混合物のLi/Meが、リチウムニッケル複合酸化物のLi/Meとなり、焼成工程S14の前後で殆ど変化することはない。従って、混合工程S13では、リチウム混合物のLi/Meが、得ようとするリチウムニッケル複合酸化物のLi/Meと同じになるように混合する。即ち、混合工程S13では、リチウムニッケル複合酸化物の組成を示す一般式(1)におけるuの値が0.015≦u≦0.030となるように、ニッケル複合酸化物とリチウム化合物を混合する。
【0055】
リチウム化合物としては、特に限定されることはなく、たとえば、水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、又はこれらの混合物が、入手が容易であるという点で好ましい。混合工程S13では、特に、品質の安定性、混合の均一性、更には焼成温度を考慮すると、水酸化リチウム若しくは炭酸リチウム、又はこれらの混合物を用いることがより好ましく、水酸化リチウムを用いることが更に好ましい。
【0056】
混合工程S13では、ニッケル複合酸化物とリチウム化合物の混合の際に、ニッケル複合酸化物の形骸が破壊されない程度に均一に混合されればよく、一般的な混合機を使用することができる。そのような混合機としては、シェーカーミキサ、レーディゲミキサ、ジュリアミキサ、Vブレンダ等を用いることができる。
【0057】
(2-5.焼成工程)
焼成工程S14は、混合工程S13で得られたリチウム混合物を、酸化性雰囲気中において720℃~780℃の温度で焼成してリチウムニッケル複合酸化物を得る工程である。焼成工程S14では、焼成温度を720℃~780℃とすることで、カチオンミキシングを抑制しながら、結晶子径が100nm~130nmのリチウムニッケル複合酸化物を得ることができる。
【0058】
焼成温度が720℃未満の場合には、リチウムの拡散が十分に進行せず、余剰のリチウムが残存し、結晶構造が整わなくなり、電池に用いられた場合に十分な特性が得られない。一方、焼成温度が780℃を超える場合には、カチオンミキシングが発生し、十分な電池性能が得られない。
【0059】
焼成工程S14では、焼成時間を、ニッケル複合酸化物とリチウム化合物が十分に反応する時間とすればよいが、焼成温度での保持時間を2時間以上とすることが好ましく、3時間~24時間とすることがより好ましい。上記焼成温度における保持時間が2時間未満の場合には、ニッケル複合酸化物中にリチウムが十分に拡散せず、余剰のリチウムや未反応のニッケル複合酸化物が残存したり、得られるリチウムニッケル複合酸化物粒の結晶性が低下することがある。
【0060】
なお、焼成工程S14では、ニッケル複合酸化物とリチウム化合物との反応を均一に行わせる観点から、昇温速度を1℃/min~5℃/minとして、上記焼成温度まで昇温することが好ましい。更に、焼成工程S14では、リチウム化合物の融点付近の温度で、1時間~10時間程度保持することで、より反応を均一に行わせることができる。
【0061】
焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気であればよいが、酸素濃度が18容量%~100容量%の雰囲気とすることが好ましく、酸素濃度の酸素と不活性ガスの混合雰囲気とすることが特に好ましい。即ち、焼成工程S14では、リチウム混合物の焼成を、大気又は酸素気流中で行うことが好ましい。酸素濃度が18容量%未満の場合には、リチウムニッケル複合酸化物の結晶性が低下することがある。
【0062】
焼成工程S14に用いられる炉は、特に制限されることはなく、大気又は酸素気流中でリチウム混合物を加熱できるものであればよい。ただし、焼成工程S14では、炉内の雰囲気を均一に保つ観点から、ガスの発生がない電気炉が好ましく、バッチ式又は連続式の電気炉の何れも好適に用いることができる。なお、酸化焙焼工程S12でも、焼成工程S14と同様の観点から、バッチ式又は連続式の電気炉を用いることが好ましい。
【0063】
焼成工程S14によって得られたリチウムニッケル複合酸化物は、凝集又は軽度の焼結が生じている場合がある。このような場合には、リチウムニッケル複合酸化物の凝集体又は焼結体を解砕することが好ましい。焼成工程S14では、このような操作を行うことによって、得られる正極活物質の平均粒径や粒度分布を好適な範囲に調整することができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキング等により生じた複数の二次粒子からなる凝集体に、機械的エネルギーを投入して、二次粒子自体をほとんど破壊することなく分離させて、凝集体をほぐす操作を意味する。
【0064】
解砕の方法としては、公知の手段を用いることができ、例えば、ピンミルやハンマーミル等を使用することができる。なお、リチウムニッケル複合酸化物の凝集体又は焼結体の解砕を行う際には、二次粒子を破壊しないように解砕力を適切な範囲に調整することが好ましい。
【0065】
従って、本実施の形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、図1に示すように、少なくとも、酸化焙焼工程S12、混合工程S13及び焼成工程S14を有しており、各工程を経ることにより、高容量とサイクル特性及び高温保存特性を高い次元で両立させた、リチウムニッケル複合酸化物を含む非水系電解質二次電池用正極活物質を作製することができる。また、非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、正極活物質粒子への表面処理工程等を追加することは無いので、従来法のように量産化により工程数を増加させる必要もなく、工業的規模においても容易で生産性を阻害することのないものであり、その工業的価値は極めて高いものといえる。」
(エ)段落【0115】
「【表1】
[図:0001422857000003.jpg]
」
イ 引用文献2記載技術について
引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2記載技術」という。)が記載されている。
<引用文献2記載技術>
「二次電池用正極活物質の製造方法において、
混合工程S13及び焼成工程S14を有しており、(【0038】)
混合工程S13は、ニッケル複合酸化物とリチウム化合物を混合して、ニッケル、コバルト、マンガン及びマグネシウムの原子数の和(Me)に対するリチウムの原子数(Li)との比(Li/Me)が1.015~1.030であるリチウム混合物を得る工程であり、(【0053】)
焼成工程S14は、混合工程S13で得られたリチウム混合物を、酸化性雰囲気中において720℃~780℃の温度で焼成してリチウムニッケル複合酸化物を得る工程であり、(【0057】)
焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気であればよいが、酸素濃度が18容量%~100容量%の雰囲気とすることが好ましく、(【0061】)
焼成工程S14には炉を用い、(【0062】)
リチウムニッケル複合酸化物の凝集体又は焼結体を解砕し、(【0063】)
解砕の方法としては、公知の手段を用いることができ、例えば、ピンミルやハンマーミル等を使用することができ、(【0064】)
焼成物が、Li1.02Ni0.83Co0.12Mn0.03Mg0.02のリチウムニッケル複合酸化物である(【0115】)こと。」
(4)引用文献3について
ア 引用文献3の記載事項
引用文献3(特開2012-171764号公報)には、次の事項が記載されている。
(ア)段落【0014】
「【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る粉粒体搬送時の発塵抑制方法を使用する粉粒体の搬送設備(以下、単に搬送設備ともいう)10について説明する。
搬送設備10は、粉粒体11の貯留ホッパー12と、この貯留ホッパー12から切り出された粉粒体11を水平方向に搬送する複数(ここでは、2台)のベルトコンベア(搬送装置の一例)13、14と、粉粒体11の搬送方向に隣り合うベルトコンベア13、14の乗り継ぎ部に配置されたシュート15とを有している。」
(イ)段落【0025】~【0027】
「【0025】
これにより、粉粒体11を貯留ホッパー12から切り出した後、ベルトコンベア13のベルト23上の粉粒体11層の下層側に、微粉を更に集中させることができる。従って、粉粒体11がベルトコンベア13のベルト23上に切り出される直前に、ベルト23の積載面25上にノズル19で泡を供給することで、泡による粉粒体11の発塵抑制効果を大きくできる。
ここで、貯留ホッパー12の斜面27の傾斜角度θ1は、水平方向に対して下方へ、粉粒体11の安息角を超え85度以下の範囲内に設定することが好ましい。
【0026】
これにより、粉粒体11が貯留ホッパー12の斜面27に沿って安定に滑落できるが、更には、下限を「粉粒体の安息角+5度」とすることが好ましく、また上限を80度、更には75度とすることが好ましい。
なお、粉粒体の安息角は、粉粒体の種類によっても異なるが、例えば、製鉄所で使用する原料であれば、30~60度程度である。
また、上記した貯留ホッパーの垂直面(斜面27と対向する面)は、垂直面とすることなく、貯留ホッパーの内幅が、貯留ホッパーの上端から下端へかけて狭まるように(例えば、貯留ホッパー12a)、又は同一となるように、傾斜させてもよい。
【0027】
更に、シュート15も、粉粒体11が滑落するための斜面29を備えている。
ここでは、粉粒体11がシュート15からベルトコンベア14のベルト24上に積載される直前に、ベルト24の積載面26上にノズル20で泡を供給する。これは、粉粒体11がシュート15を滑落する際に粒度偏析が生じ、微粉が下層へ移動することから、乗り継ぎ後のベルトコンベア14のベルト24上では下層側に微粉が更に集中して、泡と微粉の接触確率を高めることができることによる。
このシュート15の斜面29の傾斜角度θ2も、貯留ホッパー12の斜面27と同様、上記した傾斜角度θ1の角度範囲とすることが好ましい。
上記したように、貯留ホッパーとシュートの斜面の傾斜傾斜θ1、θ2を設定することが好ましいが、粉粒体を滑落可能な角度であれば、この傾斜角度に限定されるものではない。」
イ 引用文献3記載技術について
引用文献3には、次の技術的事項(以下「引用文献3記載技術」という。)が記載されている。
<引用文献3記載技術>
「粉粒体11が貯留ホッパー12の斜面27に沿って安定に滑落できるよう、粉粒体11の貯留ホッパー12の斜面27の傾斜角度θ1の下限を「粉粒体の安息角+5度」とすること。」
3 対比・判断
(1)本願発明について
ア 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明における「貯蔵槽1c」は「粉粒体を」「排出する」もので「具体例としてホッパーが挙げられる」ので、本願発明の「粉末原料を供給する」「ホッパー」に相当する。また、引用発明の「容器3」の「筒状の本体部15」は、本願発明の「円筒状のホッパー部」に相当し、引用発明の「本体部の下端に設けられた逆円錐状のホッパー部17」は、本願発明の「ホッパー部の下端に接続された円錐状のコーン部」に相当し、さらに、引用発明の「ホッパー部17の下端に接続され」た「排出口11」は、本願発明の「排出部」に相当する。
また、引用発明において「縦向き」は、本願発明の「垂直方向」に相当する。そして、引用発明の「隔壁51a」は、容器3の内部において「縦向き」に設けられたものであって「容器3の内側空間を、貯蔵空間に仕切」るものであるから、「ホッパー部の内部において、垂直方向に延びる」「仕切り板」に相当する。さらに、引用発明の「隔壁51a」は「断面略十字状に組み合わせた」ものであるから、複数あるものであることは明らかであって、「平面視で容器3の本体部15内の中心を通るように放射状に設置され、本体部15が4分割されている」ものである。以上を踏まえると、本願発明と引用発明とは「前記ホッパー部の内部において、垂直方向に延びる複数の仕切り板が設置され、該仕切り板の少なくとも一つが平面視で前記ホッパー部の中心を通るように放射状に設置されており、該ホッパー部の内部が4~8分割されている」点で、一致している。
よって、本願発明と引用発明は、次の一致点で一致し、相違点1及び2で相違する。
<一致点>
粉末原料を供給するホッパーであって、
円筒状のホッパー部と、
該ホッパー部の下端に接続された円錐状のコーン部と、
該コーン部の下端に接続された排出部とからなり、
前記ホッパー部の内部において、垂直方向に延びる複数の仕切り板が設置され、該仕切り板が平面視で前記ホッパー部の中心を通るように放射状に設置されており、
該ホッパー部の内部が4~8分割されている
ホッパー。
<相違点1>
「ホッパー」が「供給する」「粉末原料」が、本願発明では「物理的性状が異なるニッケル複合酸化物とリチウム化合物を含む混合粉末原料」であるのに対し、引用発明はそのようなものであるという特定がない点。
<相違点2>
「コーン部」について、本願発明は、「コーン部の開き角aが、前記混合粉末原料の安息角の最大値をbとしたとき、式(1)で表わされる角度であり、a≦180-2b-10・・・式(1)」と特定されているのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
イ 判断
相違点について検討する。
(ア)相違点1について
例えば、引用文献2記載技術にあるような混合工程と焼成工程を備えた粉粒体の製造方法において、粉粒体を一時的に貯蔵するホッパーを利用して粉粒体を供給することは技術常識からして明らかであって、ホッパーが供給する粉粒体としてニッケル複合酸化物とリチウム化合物の混合粉末原料があることは周知である。また、ニッケル複合酸化物とリチウム化合物とが物理的性状が異なるものであることも技術常識から明らかである。してみれば、ホッパーが一時的に貯蔵し供給する粉粒体として、物理的性状が異なるニッケル複合酸化物とリチウム化合物の混合粉末原料があることは周知技術である(以下、「周知技術1」という。)。
すると、引用発明の貯蔵槽が一時的に貯蔵し排出する粉粒体を、上記周知技術1にある物理的性状が異なるニッケル複合酸化物とリチウム化合物の混合粉末原料とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ)相違点2について
例えば、引用文献3記載技術にあるように、ホッパーにおいて、粉粒体が安定に滑落できるよう、ホッパーの斜面の傾斜角度を「粉粒体の安息角+5度」以上とすることは、周知技術である(以下、「周知技術2」という。)。
引用発明において、ホッパー部17は逆円錐状であって、その内側の傾斜面19がなす角度(円錐の頂角)をA(°)、傾斜面の傾斜角度をθ(°)とすると、
A=(90-θ)×2=180-2θ
となる。
ここで、引用発明は「貯蔵槽内での粉粒体の偏りを少なくし」ようとするものであって、ホッパー部17の内側のすり鉢状の傾斜面19は粉粒体を「良好に排出」しようとするものであるから、傾斜面19の角度の設定において、粉粒体がなるべく安定に滑落できるよう上記周知技術2にあるように傾斜面19の傾斜角度を「粉粒体の安息角+5度」以上とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
その場合、「傾斜面の傾斜角度θ≧粉粒体の安息角+5度」となるわけであるから、上記の式に代入して、
A≦180-2×(粉粒体の安息角+5度)
A≦180-2×粉粒体の安息角-10(以下、「式1」という)
となり、上記式1は本願発明の式(1)と同じものとなる。
してみれば、上記相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)本願発明の効果について
各相違点1、2に係る本願発明の効果は、引用発明、周知技術1、及び、周知技術2に基づいて、当業者が予測し得た効果の総和にすぎず顕著な効果とはいえない。
ウ 審判請求人の主張について
(ア)主張の概要
審判請求人は、令和6年12月23日付け意見書及び令和7年2月10日付け上申書において、概ね、次の主張をしている。
a 主張1
「引用発明1の処理対象物は、コンクリート用粗骨材です(段落0004、0031参照 )。・・・引用文献1にいうコンクリート粗骨材は、JISによると「5mm網ふるいに質量で85%以上とどまる骨材」(A 0203)を意味します。・・・引用発明の処理対象と本願発明の処理対象では、挙動が大きく相違します。・・・粒径等の基礎的物性と挙動の違いを考慮すると、引用発明1と本願発明とは技術分野において明らかに相違し、課題と効果の面でも相違するものです。」
(令和6年12月23日付け意見書の第3頁第7~20行、及び第4頁第33行~第5頁第6行)
b 主張2
「引用発明1が採用した仕切り板は、貯蔵槽内の貯蔵空間を小分けすることに技術的意義があります。
・・・引用文献1の隔壁51a(仕切り板)は制御部材53bと貫通孔71から落下した後の粉体を囲む役割をもつものと理解するのが技術的常識に即した解釈であります。したがって、引用文献1は、本願発明における落下中の粉体の水平面での不規則移動を抑止する技術思想は教示していないものです。
・・・これに対し、本願発明の仕切り板は粉末原料の落下中の横移動を抑止することに主たる技術的意義があります。換言すれば、粉体の落下後に役立つのが引用発明1で、粉体の落下中に役立たせるのが本願発明です。
・・・本願発明では、原料粉体が交点上に落下することで、落下中の原料粉体の不規則横移動を抑止し、それによって混合原料粉末の舞い上がりも抑止するものです。したがって、複数枚の仕切り板の交点がホッパー中心部にあることに技術的意義が存します。」
(令和6年12月23日付け意見書の第3頁第22~23行、第4頁第14~17行、及び第5頁第8~22行)
c 主張3
「引用発明1はコンクリート粗骨材であり、本願発明は二次電池用正極活物であって大きく相違します。このため、引用文献1は本願発明に対する引用文献としての適性を欠いています。
また、引用発明1は引用発明2とも技術分野を異にするので、引用文献1と引用文献2の組合せも、容易とはいえません。
・・・引用発明1における仕切り板は・・・落下中の粉体(粗骨材)横流れを防ぐ効果はないので・・・本願発明が採用した「混合粉末原料の横方向移動を抑止するため垂直方向に延びる複数の仕切り板」および「仕切り板の少なくとも一つが平面視で前記ホッパー部の中心を通るように…設置した」仕切り板に対し、引用文献1は何らの動機付けを与えていません。」
(令和6年12月23日付け意見書の第5頁第45行~第6頁第22行)
(イ)主張に対する見解
a 主張1について
上記2(2)ア(イ)において示したように、引用文献1の段落【0031】、【0032】に「貯蔵槽に一時的に貯蔵する粉粒体の具体的態様には、粉体、粒体、フレーク状体が含まれる。また、粉粒体の具体例としては、コンクリート用の粗骨材が挙げられる。・・・(中略)・・・また、粉粒体の具体例として、粗骨材などからなる粒体を図示する。ただし、本発明の貯蔵槽をサイロに限定する趣旨ではなく、また、粉粒体を粗骨材に限定する趣旨ではない。」と記載されているように、「粉粒体」は「粗骨材」に限定するものではなく、様々な粒径のものを含む「粉粒体」と解するものである。
よって、引用発明の処理対象物は、粗骨材に限定されるものではなく、粉粒体の具体的態様に粉体が含まれることからしても、引用発明と本願発明とは、処理対象物の挙動が大きく相違するものではなく、引用発明と本願発明とが技術分野において相違するものではなく、さらに、課題と効果の面でも相違するものではない。
b 主張2について
本願明細書の段落【0011】に記載される課題や、段落【0013】、【0018】、【0019】の記載からみて、ホッパー部の内部に仕切り板が垂直方向に設置されるという構成を備えることによって、ホッパーに投入された混合粉末原料の水平面(横方向)の不規則な移動が抑制される、という技術的意義を有しているものといえる。
そうすると、混合粉末原料の水平面(横方向)の不規則な移動が抑制される、という技術的意義は、ホッパーの内部が、垂直方向に延びる複数の仕切り板で、仕切られている構成のみで達成されるものと解することができる。
また、「ホッパー」という物の発明である本願発明には、混合粉末原料がホッパーに対してどの位置から投入されるかの特定がなされておらず、ましてや、混合粉末原料が仕切り板の交点上に落下するとの特定が一切なされていないところ、「原料粉体が交点上に落下することで・・・横移動を抑止し、それによって混合原料粉体の舞い上がりも抑止するものです。」という主張は、特許請求の範囲に特定されていない構成に基づく主張である。
一方、引用発明は、前記2(2)イで示したとおり、複数の仕切り板が平面視でホッパー部の中心を通るように放射状に設置されており、ホッパー部の内部を垂直方向に延びる仕切り板により、ホッパー部の内部の空間を仕切る構成を有しているものであるから、本願発明が、粉粒体の粒径や原料の投入位置などの発明特定事項を備えておらず、単に、ホッパー部の内部に仕切り板が垂直方向に設置されること自体で技術的意義を有するものである以上、「仕切り板」について本願発明と引用発明との技術的意義に、本質的な差異は認められず、上記アで対比したとおりである。
c 主張3について
上記aにおいて示したように、引用発明の処理対象物は、粗骨材に限定されるものではなく、粉粒体の具体的態様に粉体が含まれることからして、引用発明と本願発明とは技術分野において相違するものではない。
また、上記イ(ア)において示したように、粉粒体を一時的に貯蔵するホッパーを利用して粉粒体を供給することは、例えば引用文献2記載技術にあるように技術常識から明らかであって、ホッパーが供給する粉粒体としてニッケル複合酸化物とリチウム化合物の混合粉末原料があることは周知である。
そして、上記bに示したように、「原料粉体が交点上に落下することで・・・横移動を抑止し、それによって混合原料粉体の舞い上がりも抑止するものです。」という主張は、特許請求の範囲に特定されていない構成に基づく主張である。
よって、引用発明に引用文献2記載技術を適用する動機付けは存在しないとはいえない。
d 小括
よって、上記a~cに示したように、主張a~cは上記イに示した判断を左右するものではなく、採用できない。
エ 本願発明のまとめ
よって、本願発明は、引用発明、周知技術1、及び、周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第36条第6項第2号、及び、同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-007694