2022-019032
加熱式ゲル容器を備えるエアロゾル発生システム
- 審判番号
- 2022-019032
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-502564外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月25日
- 審決日
- 2025年06月13日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WZ (A24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)7月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年7月29日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続の主な経緯は以下のとおりである。
第2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2015/101479号
2.中国特許出願公開第104256888号明細書
第3 本願発明
本願の請求項1ないし12に係る発明は、令和6年1月10日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載されたとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】エアロゾル発生システムであって、電力供給源および電気ヒーターを備える装置本体であって、前記電気ヒーターが、前記電力供給源に接続される、装置本体と、室温で固体であるゲルの形態のエアロゾル形成基体を収容する出口のないくぼみを備える基体容器を備える、消耗可能な部分であって、前記ゲルがエアロゾル形成体を含む、消耗可能な部分と、を備え、前記消耗可能な部分が、前記装置本体の中に受けられるように構成され、前記装置本体が、前記消耗可能な部分を受けるためのくぼみを有する装置ハウジングを備え、前記くぼみが、前記消耗可能な部分の直径と実質的に等しいかまたはわずかに大きい直径を有し、前記電気ヒーターが、前記基体容器の外部にあり、前記エアロゾル形成基体と接触することなく前記基体容器を加熱して、前記エアロゾル形成基体から蒸気を発生するように構成され、前記ゲルが熱可逆性ゲルである、エアロゾル発生システム。」
第4 引用文献の記載事項、引用発明等
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1 引用文献1
本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、以下の記載事項及び図示事項がある。なお、翻訳文は、引用文献1の公表特許公報である特表2017-503499号公報による。(下線は、参考のために当審が付した。以下同様。)
(1)「The base of the shell is preferably substantially circular, and the recess preferably has a substantially circular cross-section. In this embodiment, the ratio of the radius of the base to the radius of the recess in the base is between about 1.5 and about 4.0. By providing the recess with a circular cross-section having such a radius advantageously reduces the maximum distance from the heater to aerosol-forming substrate while providing sufficient volume within the capsule to contain enough aerosol-forming substrate to provide the user with a good user experience.」(第3ページ第17行ないし第23行)
<翻訳文>
「シェルの基部は、実質的に円形であることが好ましく、また窪みは実質的に円形の断面を持つことが好ましい。この実施形態において、基部内の基部の半径と窪みの半径の比は、約1.5~約4.0である。こうした半径を持つ円形断面を窪みに与えることで、有利なことにヒーターからエアロゾル形成基体までの最大距離が短縮され、一方でカプセル内にユーザーに良好なユーザー体験を提供するための十分なエアロゾル形成基体を含む十分な容積が提供される。」(段落【0018】)
(2)「The aerosol-generating device preferably further comprises control electronics. The control electronics are preferably configured to supply power from the power supply to the at least one heater. The control electronics are preferably further configured to maintain the temperature of the at least one heater at an operating temperature of between about 100 degrees C to 260 degrees C, more preferably 180 degrees C and about 260 degrees C, and most preferably between about 220 degrees C and about 240 degrees C.」(第7ページ第13行ないし第19行)
<翻訳文>
「エアロゾル発生装置は、制御電子回路をさらに含むことが好ましい。制御電子回路は、電力が電源から少なくとも1つのヒーターに供給されるように構成されることが好ましい。制御電子回路は、少なくとも1つのヒーターの温度を約100℃~260℃の使用温度に、より好ましくは180℃~約260℃、最も好ましくは約220℃~約240℃に維持するようにさらに構成されていることが好ましい。」(段落【0046】)
(3)「The cavity for receiving a capsule is configured to substantially match the shape and dimensions of a capsule. The cavity walls may be insulated. The insulation may reduce the external wall temperature of the device.The aerosol-generating device may comprise at least two heaters consisting of: at least one first internal heater configured to be insertable in the recess of a capsule; and, at least one second external heater within the interior of the cavity. Alternatively, the second external heater may be provided such that it surrounds the cavity for receiving the capsule. In this embodiment, the at least one second heater referably conforms to the shape of side walls of the cavity. Conforming the heater to the shape of the cavity improves the heat transfer from the second heater to the capsule. Regardless of the position of second heater, a further reduction in time to first puff may be achieved by providing a second heater.」(第6ページ第9行~第19行)
<翻訳文>
「カプセルを受けるための窪みは、カプセルの形状および寸法に実質的に一致するように構成される。窪みの壁は断熱されうる。断熱は、装置の外壁温度を低下させうる。エアロゾル発生装置は、カプセルの窪みに挿入できるように構成されている少なくとも1つの第一の内部ヒーターと、窪みの内部内の少なくとも1つの第二の外部ヒーターとで構成される、少なくとも2つのヒーターを備えうる。別の方法として、第二の外部ヒーターは、カプセルを受けるための窪みを囲むように提供されうる。この実施形態において、少なくとも1つの第二のヒーターは、窪みの側壁の形状と一致することが好ましい。ヒーターを窪みの形状に一致させることで、第二のヒーターからカプセルへの熱伝達が向上する。第二のヒーターの位置に関係なく、第二のヒーターを提供することにより、初回吸煙までの時間のさらなる短縮が達成されうる。」(段落【0040】ないし【0041】)
(4)「According to a yet further aspect of the present invention there is provided an aerosol- generating system comprising an aerosol-generating device as described herein and a capsule as described herein.」(第8ページ第8行ないし第10行)
<翻訳文>
「本発明のなおさらなる態様によれば、本明細書で説明したエアロゾル発生装置および本明細書で説明したカプセルを含む、エアロゾル発生システムが提供されている。」(段落【0052】)
(5)「Figure 2 shows a cross-sectional view of the capsule 100 for use in an aerosol-generating device. As can be seen, and as described above, the lid 200 is sealed to the lip portion 104. The lid may be sealed using any suitable method, including: adhesive, such as an epoxy adhesive, heat sealing, ultrasonic welding, or laser welding. Before the lid is sealed to the lip portion, the shell 102 of the capsule is filled with an aerosol-forming substrate 202. Approximately 250 mg of aerosol-forming substrate is provided within the shell. The aerosol- forming substrate comprises a nicotine containing material, such as tobacco, and an aerosol- former. The aerosol-former is glycerine that provides a good mouth feel for the user; it has also been found that glycerine produces a suitably small aerosol droplet diameter as compared to other aerosol-formers.」(第9ページ第10行ないし第26行)
<翻訳文>
「図2は、エアロゾル発生装置で使用するためのカプセル100の断面図を示す。見てわかる通り、また上述の通り、リッド200はリップ部分104にシールされる。リッドは、エポキシ接着剤、ヒートシール、超音波溶接、またはレーザー溶接などの接着剤を含めた、適切な任意の方法を使用してシールされうる。リッドがリップ部分にシールされる前に、カプセルのシェル102はエアロゾル形成基体202で充填される。およそ250mgのエアロゾル形成基体がシェル内に提供される。エアロゾル形成基体は、たばこ、およびエアロゾル形成剤などのニコチン含有材料を含む。エアロゾル形成剤は、ユーザーのために良好な食感を提供するグリセリンであるが、グリセリンは、その他のエアロゾル形成剤と比較して適切に小さいエアロゾル液滴直径を生むことも分かっている。」(段落【0062】)
(6)「Figure 4 shows a cross-sectional view of an aerosol-generating system 400 comprising an aerosol-generating device 300 and a capsule 100 as described above; like reference numerals refer to like components. The capsule is received in the cavity of the housing and the heater is inserted within the recess of the capsule.In use, the user inserts the capsule 100 into the cavity of the aerosol-generating device 300, and then attaches the mouthpiece 312 to the housing 302. By attaching the mouthpiece, the piercing portion 314 pierces the lid of the capsule, and forms an airflow pathway from the air inlet, through the capsule to the air outlet. Figure 4 shows the portion of the airflow pathway entering the capsule 402, and the portion of the airflow pathway 404 exiting the capsule. The user then presses a button (not shown) to activate the device. In activating the device, the heater is supplied with power by the control electronics 306 from the power supply 304. When the temperature of the capsule reaches the operating temperature of between about 220 degrees C and about 240 degrees, the user is informed by means of an indicator (not shown) that the user may then draw on the mouthpiece. When the user draws on the mouthpiece, air enters the air inlet, proceeds through the conduit 316 within the mouthpiece and into the capsule, entrains vapourised aerosol-forming substrate, and then exits the capsule via the outlet conduit 318 in the mouthpiece.」(第10ページ第1行ないし第17行)
<翻訳文>
「図4は、上述したエアロゾル発生装置300およびカプセル100を含む、エアロゾル発生システム400の断面図を示すが、同様な参照番号は同様な構成要素を参照する。カプセルは、ハウジングの窪み内に受けられ、またヒーターはカプセルの窪み内に挿入される。使用時に、ユーザーは、カプセル100をエアロゾル発生装置300の窪みに挿入してから、マウスピース312をハウジング302に取り付ける。マウスピースを取り付けることにより、貫通部分314がカプセルのリッドを貫通し、空気吸込み口からカプセルを通して空気出口への気流経路を形成する。図4は、カプセル402に入る気流経路の部分、およびカプセルを出る気流経路404の部分を示す。ユーザーは次に、ボタン(図示せず)を押して装置を起動する。装置の起動においては、ヒーターに、電源304から制御電子回路306によって電力が供給される。カプセルの温度が約220℃~約240℃の使用温度に達した時、インジケータ(図示せず)の手段によってユーザーは通知を受け、その後でユーザーはマウスピースを吸うことができる。ユーザーがマウスピースを吸う時、空気は空気吸込み口に入り、マウスピース内にあるコンジット316を通ってカプセル内に進み、蒸発したエアロゾル形成基体を混入してから、マウスピース内の出口コンジット318を経由してカプセルを出る。」(段落【0064】ないし【0065】)
(7)「The aerosol-generating device comprises an outer housing 302, adapted to house: a power supply 304 such as a rechargeable battery; control circuitry 306; an internal electrical heater 308; and an external electrical heater 702. The housing 302 further comprises a cavity 309 configured to receive a capsule 100. The internal electrical heater 308 is housed within a heater housing 310 having a frusto-conical shape configured to match the frusto-conical shape of the recess of a capsule. The external heater 702 is provided within the cavity 309. The aerosol-generating device 300 further comprises a mouthpiece 312 attachable to a proximal end of the aerosol-generating device housing 302. The mouthpiece comprises a piercing portion 314, and two airflow conduits, an inlet conduit 316 and an outlet conduit 318.」(第11ページ第25行ないし第33行)
<翻訳文>
「エアロゾル発生装置は、再充電可能電池などの電源304と、制御回路306と、内部電気ヒーター308と、外部電気ヒーター702を収容するように適合された外側ハウジング302を含む。ハウジング302は、カプセル100を受けるように構成された窪み309をさらに含む。内部電気ヒーター308は、カプセルの窪みの円錐台形状に一致するよう構成された円錐台形状を持つヒーターハウジング310内に収容される。外部ヒーター702には窪み309が提供される。エアロゾル発生装置300は、エアロゾル発生装置ハウジング302の近位端に取付け可能なマウスピース312をさらに含む。マウスピースは、貫通部分314と、2つの気流コンジットである入口コンジット316および出口コンジット318を含む。」(段落【0074】)
(8)「[図:0001428403000001.jpg]」(図1(a))
(9)「[図:0001428403000002.jpg]」(図2)
(10)「[図:0001428403000003.jpg]」(図7)
(11)上記(8)、(9)から、カプセルのシェル102は、出口のないくぼみを備えるものであることが看取される。
(12)上記(1)の「シェルの基部は、実質的に円形であることが好ましく」、上記(3)の「カプセルを受けるための窪みは、カプセルの形状および寸法に実質的に一致するように構成される。」、上記(7)の「カプセル100を受けるように構成された窪み309」との記載から、エアロゾル発生装置の窪み309は、カプセル100の直径と実質的に等しい直径を有するものであると認められる。
(13)上記(3)の「第二の外部ヒーターは、カプセルを受けるための窪みを囲むように提供されうる。」、上記(6)の「蒸発したエアロゾル形成基体」、上記(7)の「エアロゾル発生装置は、・・・外部電気ヒータ702を収容するように適合された外側ハウジング302を含み、ハウジング302は、カプセル100を受けるように構成された窪み309をさらに含む。」から、エアロゾル発生装置の外部電気ヒーター702は、カプセル100を受ける窪み309を囲むように配置され、当該窪み309にカプセル100が収容され、外部電気ヒーター702によってカプセル100内のエアロゾル形成基体202が蒸発することが理解できる。
(14)上記(5)の「カプセルのシェル102はエアロゾル形成基体202で充填される。」の記載事項、上記(13)の認定事項及び上記(10)の図示事項から、外部電気ヒーター702は、シェル102の外部にあり、エアロゾル形成基体202と接触することなくシェル102を加熱して、エアロゾル形成基体202から蒸気を発生するように構成されるものであると認められる。
上記から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明〕
「エアロゾル発生システムであって、電源304と外部電気ヒーター702を含むエアロゾル発生装置であって、外部電源ヒーター702に電源304から電力が供給される、エアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体202で充填される出口のないくぼみを備えるシェル102を備える、カプセル100であって、エアロゾル形成基体202がエアロゾル形成剤を含む、カプセル100と、を含み、エアロゾル発生装置300は、外側ハウジング302を含み、外側ハウジング302は、カプセル100を受けるように構成された窪み309を含み、窪み309は、カプセル100の直径と実質的に等しい直径を有し、外部電気ヒーター702は、シェル102の外部にあり、エアロゾル形成基体202と接触することなくシェル102を加熱して、エアロゾル形成基体202から蒸気を発生するように構成される、エアロゾル発生システム400。」
2 引用文献2
本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2には、以下の記載及び図面がある。なお、翻訳文は、当審で作成した。
(1)「[図:0001428403000004.jpg]」
<翻訳文>
「(57)要約本発明は、以下の成分を重量百分率で含む感熱式電子タバコリキッドを開示する:5~8%のタバコ抽出物、0.1~3.5%のニコチン、0.1~2%の酸味調整剤、2~3%のタバコ香料、0.4~8%の増粘剤、15~35%の水、及び残部のプロピレングリコールであり、各成分の合計は100であり、混合後に製造される。ここで、前記増粘剤は、ゼラチン、寒天、可燃性ガム、カラギーナンから選ばれる1種以上である。本発明は、前記増粘剤の存在により、熱に弱く、加熱温度が50~80℃の時、電子タバコリキッドは液体状態にあり、加熱を停止すると、電子タバコリキッドは熱により液化した後、冷却すると固体状態に復元し、任意に流動しないので、電子タバコリキッドの保存、輸送過程における漏れ、逆流、揮発の問題を効果的に解決し、消費者が携帯して使用することを大いに容易にする。本発明の電子タバコリキッドは長期保存が可能であり、保存期間中、電子タバコリキッドの品質と風味は変化しない。」
(2)「[図:0001428403000005.jpg]」
<翻訳文>
「[0006] 本発明が解決しようとする第一の技術的課題は、保存状態では固体ゲルであり、加熱されると液体となる感熱式電子タバコリキッドを提供することであり、加熱が停止され、電子タバコリキッドは熱によって液化された後、再び固体ゲルに凝縮される。この電子タバコリキッドは、既存の液体電子タバコリキッドの使用方法と保存方法を変更し、液体電子タバコリキッドの保存と輸送プロセスで発生する多くの問題を効果的に解決する。そして、本発明に記載の電子タバコリキッドは、長期保存中の有効成分の揮発を防止することができる。」
(3)「[図:0001428403000006.jpg]」
<翻訳文>
「[0009] 感熱式電子タバコリキッドは、重量%で、以下の成分からなることを特徴とする:0.1~3.5%のニコチン、0.1~2%の酸性調整剤、2~3%のタバコ香料、0.4~8%の増粘剤、15~35%の水、及び残部のプロピレングリコール。」
(4)「[図:0001428403000007.jpg][図:0001428403000008.jpg]」
<翻訳文>
「[0026] 2.本発明により調製された電子タバコリキッドは、熱可逆性であり、室温では固体のゲルであり、加熱すると液体となるため、電子タバコリキッドの保管や輸送が容易であり、液漏れを防止することができる。[0027] 3.本発明により調製された電子タバコ用リキッドは、保存期間中は固体ゲルであり、長期保存中のリキッド中の有効成分の揮発を防止する。」
上記(1)~(4)から、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
〔引用文献2記載事項〕
「熱可逆性であり、室温では固体のゲルであり、加熱すると液体となるため、電子タバコリキッドの保管や輸送が容易であり、液漏れを防止することができ、保存期間中は固体ゲルであり、長期保存中のリキッド中の有効成分の揮発を防止する、プロピレングリコールを含む、電子タバコリキッド。」
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「エアロゾル発生システム」は、本願発明の「エアロゾル発生システム」に相当する。
(2)引用発明の「電源304」、「外部電気ヒーター702」及び「エアロゾル発生装置」は、それぞれ、本願発明の「電力供給源」、「電気ヒーター」及び「装置本体」に相当する。
引用発明の「外部電気ヒーター702に電源304から電力が供給される」ことは、本願発明の「前記電気ヒーターが、前記電力供給源に接続される」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「電源304と外部電気ヒーター702を含むエアロゾル発生装置であって、外部電気ヒーター702に電源304から電力が供給される、エアロゾル発生装置」は、本願発明の「電力供給源および電気ヒーターを備える装置本体であって、前記電気ヒーターが、前記電力供給源に接続される、装置本体」に相当する。
(3)引用発明の「エアロゾル形成基体202」、「出口のないくぼみ」、「シェル102」、「カプセル100」及び「エアロゾル形成剤」は、それぞれ、本願発明の「エアロゾル形成基体」、「出口のないくぼみ」、「基体容器」、「消耗可能な部分」及び「エアロゾル形成体」に相当する。
そうすると、引用発明の「エアロゾル形成基体202で充填される出口のないくぼみを備えるシェル102を備える、カプセル100」は、本願発明の「エアロゾル形成基体を収容する出口のないくぼみを備える基体容器を備える、消耗可能な部分」に相当する。
(4)引用発明は、「エアロゾル発生装置は、外側ハウジング302を含み、外側ハウジング302は、カプセル100を受けるように構成された窪み309を含」むものであるから、エアロゾル発生装置がカプセル100を受けるための窪み309を有するものであって、カプセル100がエアロゾル発生装置に受けられるともいえる。
そうすると、引用発明の「エアロゾル発生装置は、外側ハウジング302を含み、外側ハウジング302は、カプセル100を受けるように構成された窪み309を含み、窪み309は、カプセル100の直径と実質的に等しい直径を有」することは、本願発明の「前記消耗可能な部分が、前記装置本体の中に受けられるように構成され、前記装置本体が、前記消耗可能な部分を受けるためのくぼみを有する装置ハウジングを備え、前記くぼみが、前記消耗可能な部分の直径と実質的に等しいかまたはわずかに大きい直径を有」することに相当する。
(5)引用発明の「外部電気ヒーター702は、シェル102の外部にあり、エアロゾル形成基体202と接触することなくシェル102を加熱して、エアロゾル形成基体202から蒸気を発生するように構成される」ことは、本願発明の「前記電気ヒーターが、前記基体容器の外部にあり、前記エアロゾル形成基体と接触することなく前記基体容器を加熱して、前記エアロゾル形成基体から蒸気を発生するように構成され」ることに相当する。
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
〔一致点〕
「エアロゾル発生システムであって、電力供給源および電気ヒーターを備える装置本体であって、前記電気ヒーターが、前記電力供給源に接続される、装置本体と、エアロゾル形成基体を収容する出口のないくぼみを備える基体容器を備える、消耗可能な部分と、を備え、前記消耗可能な部分が、前記装置本体の中に受けられるように構成され、前記装置本体が、前記消耗可能な部分を受けるためのくぼみを有する装置ハウジングを備え、前記くぼみが、前記消耗可能な部分の直径と実質的に等しいかまたはわずかに大きい直径を有し、前記電気ヒーターが、前記基体容器の外部にあり、前記エアロゾル形成基体と接触することなく前記基体容器を加熱して、前記エアロゾル形成基体から蒸気を発生するように構成される、エアロゾル発生システム。」
〔相違点〕
本願発明は、エアロゾル形成基体が「室温で固体であるゲルの形態」であり、「前記ゲルがエアロゾル形成体を含」み、「前記ゲルが熱可逆性ゲルである」のに対して、引用発明は、エアロゾル形成基体がエアロゾル形成剤を含むものである点。
2 判断
上記相違点について検討する。
引用文献2の段落[0026]ないし[0027]に示唆される、電子タバコリキッドの保管や輸送を容易化すること、液漏れを防止すること、長期保存中のリキッド中の有効成分の揮発を防止することは、いずれも、エアロゾル発生システムにおいて周知の技術課題であり、引用発明においても、当該課題は内在するものであるから、引用発明に引用文献2記載事項を適用する動機付けが存在する。
そうすると、引用発明において、エアロゾル形成基体202の保管や輸送を容易化するため、液漏れを防止するため、又は、長期保存中のエアロゾル形成基体202中の有効成分の揮発を防止するために、引用文献2記載事項を適用して、エアロゾル形成基体202を、熱可逆性であり、室温では固体のゲルであり、加熱すると液体となる、プロピレングリコールを含む、電子タバコリキッドとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2記載事項から当業者が予測し得る範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 請求人の主張について
請求人は、令和6年12月24日に提出された意見書において、引用文献1に記載されたエアロゾル発生装置が「260℃まで、好ましくは180℃~260℃、より好ましくは220℃~240℃の温度で動作するよう構成」されているのに対して、引用文献2に記載された熱可逆性ゲル基質が「ゲルの熱可逆性を維持するため、80℃以上に加熱してはならないことを、開示しています。」とした上で、以下のとおり主張している。
「当業者であれば、加熱温度が著しく異なることから、引用文献2に開示されている電子タバコリキッドを引用文献1に記載されているエアロゾル発生装置で使用することは到底できないと理解するはずです。引用文献2に開示されている電子タバコリキッドを引用文献1に記載されているエアロゾル発生装置の動作温度で使用したのでは、引用文献2に開示されている電子タバコリキッドは最初の加熱操作中にその熱可逆性特性を直ちに失い、液漏れを防止することはもはや不可能であることは明らかであるからです。」
上記主張について検討する。
上記主張は、要するに、引用発明と引用文献2記載事項とは加熱温度が異なるから、引用発明に引用文献2記載事項に適用することには阻害事由がある、というものと理解できる。
しかしながら、引用文献2には、第4の2(1)に摘記したとおり、「前記増粘剤の存在により、熱に弱く、加熱温度が50~80℃の時、電子タバコリキッドは液体状態にあり、加熱を停止すると、電子タバコリキッドは熱により液化した後、冷却すると固体状態に復元し、任意に流動しない・・・」と記載されているものの、引用文献2において増粘剤として例示されている寒天は、沸騰させて水に溶解させるものであることが技術常識であり(例えば、https://shokulab.unitecfoods.co.jp/article/detail29/の「寒天の特性」の項を参照。)、少なくとも100℃程度の耐熱性を有しているといえるから、当該記載が、80℃以上に加熱してはならないことまで意味しているとは解されない。
一方、上記第4の1(2)のとおり、引用発明のエアロゾル発生装置におけるヒーターの温度は、約100℃~260℃の範囲から、エアロゾル形成材料に応じて適宜定め得るものと解される。
そうすると、引用発明において、引用文献1の上記記載を踏まえて、ヒータの温度を適宜設定できることは、当業者であれば理解できるから、引用発明と引用文献2記載事項の加熱温度が異なることが、引用発明に引用文献2記載事項を適用することを阻害するとはいえない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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