特許拒絶査定不服審判
2024-009674
エアロゾルの発生
- 審判番号
- 2024-009674
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-554644外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年06月11日
- 審決日
- 2026年02月18日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
- 【請求人代理人】轟木 哲
- 【請求人代理人】植田 晋一
- 【請求人代理人】中島 勝
- 分類
- P18 .121-WZ (A24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-554644「エアロゾルの発生」拒絶査定不服審判事件〔令和2年9月17日国際公開、WO2020/182765、令和4年5月11日国内公表、特表2022-525091〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、2020年(令和2年)3月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年3月11日、(GB)グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、2019年3月11日、(GB)グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)を国際出願日とする出願であって、令和4年11月30日付けで拒絶理由通知がされ、令和5年5月29日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和5年9月11日付けで拒絶理由通知がされ、令和5年12月14日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、令和6年1月31日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、令和6年6月11日に拒絶査定不服審判の請求がされ、令和7年6月16日付けで拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)がされ、令和7年9月17日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1-21に係る発明は、令和7年9月17日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-21に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明21」という。)。なお、下線部は、補正箇所について、請求人が付したものである。
「【請求項1】
(i)ニコチンおよび/またはエアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品と、(ii)誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、少なくとも(i)10μgのニコチンおよび/または(ii)10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生システムであって、前記物品は、前記物品の外部から内部へと空気が流れることを可能にするように構成された換気領域をさらに含み、前記換気領域は、少なくとも20%の換気率を提供する、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
エアロゾル発生材は固体であり、タバコを含むことを特徴とする請求項1記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
エアロゾル発生材はニコチンを含み、作動中、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、1パフ当たり2秒間で55mlのエアロゾルを引き込むことを含む、少なくとも7回のパフの間に少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるニコチンの総量は少なくとも約0.20mgであることを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
エアロゾル発生材はニコチンを含み、作動中、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、1パフ当たり2秒間で55mlのエアロゾルを引き込むことを含む、少なくとも7回のパフの間に少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるニコチンの総量は少なくとも約0.43mgであることを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
エアロゾル発生材はエアロゾル発生剤を含み、作動中、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、1パフ当たり2秒間で55mlのエアロゾルを引き込むことを含む、少なくとも7回のパフの間に少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生剤の総量は少なくとも約2mgであることを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
エアロゾル発生材はエアロゾル発生剤を含み、作動中、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ、1パフ当たり2秒間で55mlのエアロゾルを引き込むことを含む、少なくとも9回のパフの間に少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されるエアロゾル発生剤の総量は少なくとも約5mgであることを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、少なくとも10μgのニコチンが2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される、ニコチンを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法。
【請求項8】
少なくとも30μg、または少なくとも40μgのニコチンが2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されることを特徴とする請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
約200μg未満のニコチン、または約150μg未満のニコチンまたは約125μg未満のニコチンが2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されることを特徴とする請求項7乃至9いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、少なくとも10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される、エアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法。
【請求項12】
少なくとも100μgのエアロゾル発生剤、または少なくとも1mgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化されることを特徴とする請求項7乃至11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
エアロゾル発生剤はグリセリンを含むことを特徴とする請求項9、11または12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
エアロゾル発生材はエアロゾル発生剤とニコチンとを含み、2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1であることを特徴とする請求項7乃至13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
エアロゾル発生材は固体であり、タバコを含むことを特徴とする請求項7乃至14いずれか1項記載の方法。
【請求項16】
2秒間のエアロゾル密度は少なくとも0.1μg/ミリリットルであることを特徴とする請求項7乃至15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
発生したエアロゾル中の平均粒径または滴径は、約100nm超であり、約1000nm未満または約400nm未満であることを特徴とする請求項7乃至16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下でエアロゾル発生材を少なくとも150℃に誘導加熱することによって得られる少なくとも10μgのニコチンおよび/または少なくとも10μgのエアロゾル発生剤を含むエアロゾル。
【請求項19】
誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1である、ニコチンとエアロゾル発生剤とを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法。
【請求項20】
(i)ニコチンとエアロゾル発生剤とを含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品と、(ii)誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱してエアロゾルを発生させ、2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1であるエアロゾル発生システム。
【請求項21】
エアロゾル発生剤とニコチンとを含み、ニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1であり、2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下でエアロゾル発生材を少なくとも150℃に誘導加熱することによって得られるエアロゾル。」
第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の理由2(進歩性)の概要は、次のとおりのものである。
本願の請求項1~2、6~21に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された次の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(引用文献1及び引用文献2)に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願の請求項3~5に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された次の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(引用文献1ないし引用文献3)に基いて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特表2017-501676号公報
引用文献2.特表2017-192393号公報
引用文献3.国際公開第2018/037048号
第4 引用文献等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、次の記載事項及び図示事項がある。なお、下線は、当審において付した(以下同様。)。
ア 「【0001】
本発明の明細書は、エアロゾル発生物品で使用するための非たばこニコチン含有材料のシートの集合体を備えるエアロゾル発生ロッドに関連する。本明細書はまた、エアロゾル形成基体としてこうしたエアロゾル発生ロッドを含む、エアロゾル発生物品にも関連する。」
イ 「【0003】
最も新しい商業電子たばこまたは電子ニコチン送達システム(ENDS)は、カナダ保健省喫煙制度下で吸煙1回当たり50μgを超えるニコチンの送達をすることができない。一般に、ENDSでの吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量は、吸煙1回当たり20~30μgの範囲のニコチンである。ENDSはわずかなニコチンしか血液に送達しないことが、少数の研究から報告されている。初めて使う、すなわち初回ENDS使用者に関するニコチン動態学データは、紙巻たばこ喫煙による一般的な血漿中ニコチン濃度10~20ng/mLと比較して0.5ng/mL~3.5ng/mL範囲という非常に低い血漿中ニコチン濃度を示している。ところが、「使い慣れた」ENDS使用者(すなわち、ENDSを約1年間使用してきた使用者)についてのより最近の研究では、血漿中ニコチン濃度(Cmax=10.3ng/mL)の有意な増大が示されたが、これは従来式の紙巻たばこ喫煙者の薬物動態データとほぼ一致する。「初めて使う」ENDS使用者と「使い慣れた」ENDS使用者との間での血漿中ニコチン濃度でこのような矛盾が観察されたことは、最近の研究が示した通り、「使い慣れた」ENDS使用者(吸煙時間=4.2+/-0.7秒)では「初めて使う」ENDS使用者(吸煙時間=2.4+/-0.5秒)と比較して平均吸煙時間が著しく長いことで説明できるかもしれない。これは、「初めて使う」ENDS使用者は、従来式の紙巻たばこ(吸煙時間=2.1+/-0.4秒)と同様にENDSを喫煙する傾向があるためと考えられている。「使い慣れた」ENDS使用者は、より長くかつより深く吸煙をするため、従来式の紙巻たばこ喫煙者によって到達するレベルと同様のニコチン送達量および血漿中ニコチンレベルに達しうる。」
ウ 「【0038】
本明細書で描写したエアロゾル発生ロッドは、多孔性のラッパーまたは非多孔性ラッパーにより囲まれた非たばこ材料のシートの集合体を備えうる。」
エ 「【0047】
エアロゾル発生ロッドは、エアロゾル発生物品の数多くの構成要素の1つとしうる。例えば、エアロゾル発生物品は、本明細書で描写したエアロゾル発生ロッドおよび紙巻たばこ用紙内で組み立てられる1つ以上のその他の要素を備えうる。1つ以上のその他の要素には、マウスピース、エアロゾル冷却要素、支持要素(中空のアセテート管など)が含まれうる。一つの実施形態で、エアロゾル発生物品は直線的かつ連続的に配置され、エアロゾル発生ロッドから形成されるエアロゾル形成基体と、エアロゾル形成基体のすぐ下流に位置する支持要素と、支持要素の下流に位置するエアロゾル冷却要素と、エアロゾル形成基体、支持要素およびエアロゾル冷却要素を囲む外側ラッパーとを備えうる。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置の発熱体により貫通可能としうる。
【0048】
電気的に動作するエアロゾル発生装置または器具、およびその器具で使用するためのエアロゾル発生物品を含むシステムが提供されうる。エアロゾル発生物品は、本明細書で描写したエアロゾル発生ロッドを含む。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品に挿入するように設計された発熱体を備えうる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の一部を取り囲むように設計された発熱体を備えうる。システムの一定の実施形態では、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品内に含まれるサセプタを誘導的に加熱するための誘導要素を備えうる。」
オ 「【0052】
図1に示す通り、連続的なシートを供給するための供給手段は、ボビン4に取り付けられた連続的な非たばこシート2を含む。非たばこ材料は、ピルビン酸ニコチン、グリセリン、および水を含む液剤に浸された紙巻たばこ用紙である。紙巻たばこ用紙は液剤を吸収し、そのため非たばこシートはニコチンピルビン酸塩、グリセリンおよび水を含む。グリセリン対ニコチンの比は5:1である。
【0053】
捲縮手段は1対の回転可能な捲縮ローラー6を含む。使用中、非たばこ材料2の連続的なシートは第1のボビン4から引き出され、1対の捲縮ローラー6まで、一連のガイドおよびテンションローラーを経由して搬送機構によって下流に搬送される。非たばこ材料2の連続的なシートが1対の捲縮ローラー6間に供給されると、捲縮ローラーが噛み合い、シート2を捲縮して、器具を通して、シートの長軸方向軸に対して実質的に平行な複数の間隙を介した隆起または波型形状を持つ、連続的に捲縮したシート8を形成する。
【0054】
連続的に捲縮したシート8は、1対の捲縮ローラー6からロッド形成手段へと下流に搬送され、そこで先細の漏斗またはホーン10を通して供給される。先細の漏斗10は、連続的なシート8をその長軸方向の軸に対して横方向に集合させる。材料シート8は、先細の漏斗10を通過する際は実質的に円筒形の構造であると想定される。
【0055】
先細の漏斗10を出ると、非たばこ材料のシートの集合体は、ラッパー材料12の連続的なシートで包まれる。ラッパーは紙ラッパーであり、ボビン14から供給され、エンドレスベルトコンベアまたは装具によって、連続的に捲縮したシートの集合体の周りで包まれる。図1に示す通り、ロッド形成手段は、ラッパーの対向にある長軸方向の端が接触すると互いに接着して連続的なロッドを形成するように、ラッパーの長軸方向の端のうち片方に接着剤を塗布する接着剤塗布手段16を含む。
【0056】
ロッド形成手段は、接着剤塗布手段16の下流にある乾燥手段18をさらに含むが、これは使用中に、連続的なロッドがロッド形成手段から切断手段へと下流に搬送される際に、連続的なロッドの継ぎ目に塗布された接着剤を乾燥させる。
【0057】
切断手段は、連続的なロッドを単位ロッド長さまたは複数単位ロッド長さの複数の個々のエアロゾル形成ロッドに切断するロータリーカッター20を含む。
【0058】
図2は、本明細書で描写したエアロゾル発生ロッドを備えた加熱式エアロゾル発生物品1000の実施形態を図示したものである。物品1000は、エアロゾル発生ロッドを含むエアロゾル形成基体1020と、中空の酢酸セルロースチューブ1030と、スペーサー要素1040と、マウスピースフィルター1050という4つの要素を含む。これら4つの要素は順に同軸の配置で並べられ、紙巻たばこ用紙1060によって組み立てられ、エアロゾル発生物品1000を形成する。物品1000は口側の端1012を有し、使用者は使用中にその端を口の中に挿入し、遠位端1013は口側の端1012に対して物品の反対側の端に位置する。図2に図示したエアロゾル発生物品の実施形態は、エアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターを備えた電気的に動作するエアロゾル発生装置との併用に特に適切である。」
カ 「【0060】
エアロゾル形成基体1020は、ピルビン酸ニコチンおよびグリセリン含有紙の捲縮したシートの集合体から形成されるエアロゾル発生ロッドを含む。
【0061】
図2に図示したエアロゾル発生物品1000は、消費されるためにエアロゾル発生装置と勘合するように設計されている。こうしたエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体1020を十分な温度に加熱してエアロゾルを形成する手段を含む。一般に、エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体1020に隣接したエアロゾル発生物品1000を囲む発熱体、またはエアロゾル形成基体1020に挿入される発熱体を備えうる。
【0062】
エアロゾル発生装置と勘合されると、使用者は喫煙物品1000の口側端1012を吸い、エアロゾル形成基体1020が約220℃の温度に加熱される。この温度で、ピルビン酸ニコチン、グリセリン、および水を含むエアロゾルが展開される。エアロゾルはフィルター1050を通して引き出され、使用者の口に入る。基体はエアロゾルがたばこ基体から放出されるのに必要な温度よりもかなり低い温度まで加熱されることが注記される。」
キ 「【0065】
図5は、エアロゾル発生物品1000のエアロゾル発生基体1020を加熱するための加熱用ブレード2100を利用した電気的に動作するエアロゾル発生システム2000の一部を図示する。加熱用ブレードは、電気的に動作するエアロゾル発生装置2010のエアロゾル物品受入れチャンバ内に取り付けられる。エアロゾル発生装置は、空気がエアロゾル発生物品1000に流れるようにするための複数の空気穴2050を画定する。空気の流れは、図5の矢印で表示されている。エアロゾル発生装置は電源および電子部品を含むが、図5では図示されていない。図5のエアロゾル発生物品1000は、図2に関連して説明した通りである。」
ク 「【図2】
[図:0001436613000001.jpg]
」
ケ 「【図5】
[図:0001436613000002.jpg]
」
(2)上記(1)から認められる事項
(引用発明1に関し)
ア 記載事項カに記載されたエアロゾル形成基体1020は、ニコチン及びグリセリンを含有する紙の捲縮したシートの集合体からなるロッドを含むものである。
そして当該ロッドは、記載事項オに記載されているエアロゾル発生物品1000に用いられるものであって、非たばこシート2がロッドに形成され、グリセリンとニコチンを5:1の比で含むものであるから、エアロゾル形成基体1020は、グリセリンとニコチンを5:1の比で含み、エアロゾル発生物品1000に用いられるものといえる。
イ 記載事項キから、エアロゾル発生システム2000が、エアロゾル発生物品1000と、エアロゾル発生装置2010とを含むものといえる。
そして、エアロゾル発生装置2010は、エアロゾル発生基体1020を加熱するための加熱用ブレード2100を含むものである。
ウ 記載事項カ及び記載事項キから、エアロゾル発生物品1000(喫煙物品1000)が、エアロゾル発生装置2010と勘合されると、使用者がエアロゾル発生物品1000の口側端1012を吸い、エアロゾル形成基体1020が加熱用ブレード2100を利用して約220℃の温度に加熱されニコチン、グリセリン及び水を含むエアロゾルが展開されるものといえる。
エ 記載事項イから、一般に電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量が、20~30μgの範囲であるといえる。
オ 記載事項オから、エアロゾル発生物品1000が含む紙巻たばこ用紙1060は、ラッパー材料12から形成されたものと理解される。
そして、実施例において、ラッパーは、この紙巻たばこ用紙1060を意味するといえるから、記載事項ウの「多孔性のラッパー」についての記載から、紙巻たばこ用紙1060は、多孔性であるものを含んでいる。
(引用発明2に関し)
カ 上記ア~ウにより認定した事項を踏まえると、引用文献1には、加熱用ブレード2100を使用してグリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020を約220℃の温度に加熱することを含むエアロゾルを発生させる方法が開示されているといえる。
(引用発明3に関し)
キ 上記ア~ウにより認定した事項を踏まえると、引用文献1には、グリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020を加熱用ブレード2100を使用して約220℃の温度に加熱することによって得られるエアロゾルが開示されているといえる。
(3)引用文献1に記載された発明
ア 上記(1)及び(2)ア~オを踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用発明1〕
「(i)グリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020及び多孔性の紙巻たばこ用紙1060を含むエアロゾル発生物品1000と、(ii)加熱用ブレード2100を含むエアロゾル発生装置2010とを含み、エアロゾル発生物品1000が、エアロゾル発生装置2010と勘合されると、使用者がエアロゾル発生物品1000の口側端1012を吸い、エアロゾル形成基体1020が加熱用ブレード2100を利用して約220℃の温度に加熱され、ニコチン、グリセリン及び水が含まれるエアロゾルが展開されるエアロゾル発生システム2000。」
イ 上記(2)カを踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用発明2〕
「加熱用ブレード2100を使用してグリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020を約220℃の温度に加熱することを含むエアロゾル形成基体1020からエアロゾルを発生させる方法。」
ウ 上記(2)キを踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用発明3〕
「グリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020を加熱用ブレード2100を使用して約220℃の温度に加熱することによって得られるエアロゾル。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2には、次の記載事項及び図示事項がある。また、「・・・」は、中略を意味する。
ア 「【0001】
本発明は、非吸口端から吸口端に向かって所定方向に沿って延びる形状を有する非燃焼型香味吸引器及びコンピュータ読取り可能媒体に関する。」
イ 「【0033】
霧化ユニット120は、図2に示すように、保持体60と、吸収体70と、熱源80と、破壊部90とを有する。霧化ユニット120は、カプセルユニット130と、吸口ユニット140とを有する。ここで、霧化ユニット120は、外気を内部に取り込むための空気導入孔125と、雄コネクタ121を介して電装ユニット110(センサ20)に連通する空気流路122と、筒状に配置されるセラミック123とを有する。霧化ユニット120は、霧化ユニット120の外形を形成する筒状の外壁124を有する。セラミック123によって囲まれる空間は、空気流路を形成する。セラミック123は、例えば、アルミナを主成分として含む。
【0034】
保持体60は、筒状形状を有しており、エアロゾルを発生するエアロゾル源を保持する。エアロゾル源は、グリセリン又はプロピレングリコールなどの液体である。保持体60は、例えば、エアロゾル源が含浸された孔質体によって構成されている。孔質体は、例えば、樹脂ウェブである。
・・・
【0037】
熱源80は、燃焼を伴わずにエアロゾル源を加熱する。例えば、熱源80は、吸収体70に巻き回された電熱線である。熱源80は、吸収体70によって吸い上げられたエアロゾル源を加熱する。」
ウ 「【0044】
香味源131は、エアロゾル源を保持する保持体60よりも吸口端側に設けられており、エアロゾル源から発生するエアロゾルとともに吸引者によって吸引される香味を発生する。ここで、香味源131は、所定膜133とフィルタ132とによって区画される空間内から流出しないように、固体状の物質によって構成されることに留意すべきである。香味源131としては、刻みたばこ、たばこ原料を粒状に成形した成形体、たばこ原料をシート状に成形した成形体を用いることができる。香味源131は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源131には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。」
エ 「【0061】
或いは、香味源131から使用者の口腔に供給される香味成分のデリバリー量が、非燃焼型香味吸引器100を27.5ml/secの吸引量で2.0秒間吸引動作を行った際に20μgを下回った時に香味源131の寿命が尽きたと設定することができる。
【0062】
香味源131の寿命は、たばこ原料中に含まれる香味成分(例えばニコチン)の含有量や、安定剤(例えばニコチン成分に対する溶解性パラメータ間距離が17以下で、かつ、25℃における蒸気圧が1mmHg以下の特性を有する化合物、具体的にはクエン酸トリエチル等の化合物)の添加の有無や添加する化合物の種類及び添加量や、香味源131を含むカートリッジの形状、特に香味源131への通気量が制御されたカートリッジ形状等の要素によって増減させることができる。」
オ 「【図2】
[図:0001436613000003.jpg]
」
(2)引用文献2に記載された技術的事項
熱源80によってエアロゾル源を加熱することで、エアロゾルが発生することは、技術常識であるから、上記(1)から、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用文献2に記載された技術的事項〕
「霧化ユニット120が有する保持体60に、グリセリン又はプロピレングリコールなどの液体を、エアロゾルを発生するエアロゾル源として保持させるとともに、エアロゾル源を保持する保持体60よりも吸口端側に、刻みたばこ、たばこ原料を粒状に成形した成形体、たばこ原料をシート状に成形した成形体からなり、香味成分としてニコチンを含む香味源131を設け、熱源80が燃焼を伴わずにエアロゾル源を加熱することで、エアロゾルを発生させ、香味源131から使用者の口腔に供給される香味成分のデリバリー量が、非燃焼型香味吸引器100を27.5ml/secの吸引量で2.0秒間吸引動作を行った際に20μgを下回った時に香味源131の寿命が尽きたと設定すること。」
第5 進歩性に関する判断
請求人は、それぞれ独立請求項である、本願発明7、本願発明11、本願発明18、本願発明19、本願発明20、本願発明21について、当審拒絶理由通知に対し、補正しておらず、また、令和7年9月17日提出の意見書において、何らの意見を述べていない。
したがって、事案に鑑み、まず、本願発明7、本願発明11、本願発明18、本願発明19、本願発明20、本願発明21について検討する。また、補正された本願発明1については予備的に後述する。
1 本願発明7について(引用文献1~2)
(1)対比
本願発明7と引用発明2(上記第4の1(3)イ)とを対比する。
引用発明2の「加熱用ブレード2100」は、その機能、構成又は技術的意義から見て、本願発明7の「誘導ヒーター」と、「ヒーター」である限りで一致する。
また、引用発明2の「エアロゾル形成基体1020」は、本願発明7の「エアロゾル発生材」に相当する。
また、引用発明2の「エアロゾル形成基体1020」を「約220℃の温度に加熱すること」ことは、本願発明7の「エアロゾル発生材」を「少なくとも150℃に加熱すること」に包含される。
そうすると、引用発明2の「加熱用ブレード2100を使用してグリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020を約220℃の温度に加熱することを含」むことは、本願発明7の「誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含」むことと、「ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含」むことの限りにおいて一致する。
また、引用発明2の「エアロゾル形成基体1020からエアロゾルを発生させる方法」は、「エアロゾル形成基体1020」に「グリセリンとニコチンを5:1の比で含む」ことから、本願発明7の「ニコチンを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法」に相当する。
よって、本願発明7と、引用発明2とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違するものと認められる。
〔一致点1〕
「ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、ニコチンを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法。」
〔相違点1〕
「ヒーター」について、本願発明7では、「誘導ヒーター」であるのに対して、引用発明2では、「加熱用ブレード2100」である点。
〔相違点2〕
本願発明7では、「少なくとも10μgのニコチンが2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される」のに対して、引用発明2では、このような限定がされていない点。
(2)相違点についての判断
ア 相違点1について
上記第4の1(1)エには、エアロゾル発生物品1000が含むエアロゾル形成基体1020を加熱する手段について、エアロゾル発生物品内にサセプタを含み、このサセプタを誘導的に加熱するための誘導要素を備えうること(以下「引用文献1の記載事項」という。)が示唆されており、この加熱手段は、本願発明7の「誘導ヒーター」に相当するものといえる。
そして、引用発明2の加熱用ブレード2100と、上記第4の1(1)エに記載されている加熱手段とは、いずれもエアロゾル形成基体1020の加熱手段に関するものであるから技術分野が共通しており、また、エアロゾル形成基体1020を加熱するという機能においても共通している。
してみると、引用発明2の加熱用ブレード2100を、上記第4の1(1)エに記載されている加熱手段と置換して、相違点1に係る本願発明7の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
イ 相違点2について
次に、相違点2について以下の(ア)及び(イ)の2通りに検討する。
(ア)引用発明2と、引用文献2に記載された技術的事項に基づく判断
引用文献2に記載された技術的事項において、香味源131から使用者の口腔に供給される香味成分のデリバリー量が、非燃焼型香味吸引器100を27.5ml/secの吸引量で2.0秒間吸引動作を行った際に20μgを下回った時に香味源131の寿命が尽きたと設定することは、27.5ml/secの吸引量で2.0秒間吸引動作を行うことにより、1.65リットル/分の空気流が生じる状況で吸煙当たりのエアロゾル量を測定して、デリバリー量が20μgを下回ったら寿命が尽きたと設定することであるから、寿命が尽きていない通常の使用時においては、2秒間で1.65リットル/分の空気流下でエアロゾル発生材からエアロゾル化される香味成分のデリバリー量を20μg以上に設定していることは明らかである。
引用発明2と引用文献2に記載された技術的事項とは、互いに関連する技術分野に属するものであって、また、吸煙当たりのエアロゾル発生材から発生するエアロゾルの量を特定するという機能においても共通している。
したがって、引用発明2において、引用文献2に記載された技術的事項を適用して、2秒間で1.65リットル/分の空気流下で、(寿命が尽きていない)通常の使用時に、20μg以上のニコチンを含む香味源をデリバリーするよう構成することは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
したがって、引用発明2と、引用文献2に記載された技術的事項に基づき、相違点2に係る本願発明7の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
また、本願発明7は、全体としてみても引用発明2及び引用文献2に記載された技術的事項から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
(イ)引用発明2と、カナダ保健省により定められた喫煙方法の定義に基づく判断
上記第4の1(1)イから、商業電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでは、カナダ保健省喫煙制度下で吸煙1回当たり、20~30μgの範囲の量のニコチンが送達されることが認められる。
そして、ここで、喫煙分野における当業者が有する通常の知識といえるカナダ保健省喫煙制度について、例えば、BSI Standard Publicationの「ISO and Health Canada intense smoking parameters」
(https://webstore.ansi.org/preview-pages/BSI/preview_30313651.pdf?srsltid=AfmBOoruV0l9YL1fHohuv9kbQwOG0DbBmq-a-jpinc-x85lHVXO_4md8)
の9ページには、
「2.3 Health Canada Intense regime
HCI regime
puffing regime, first described by Health Canada, when taking one puff of 55 ml volume and 2 s duration every 30 s with 100 % of the ventilation zone on the cigarette filter blocked」
(当審訳:「2.3 カナダ保健省規格
カナダ保健省規格
カナダ保健省(Health Canada)により最初に記述された吸引規格で、タバコのフィルター上の通気ゾーンを100%塞いだ状態で、30秒毎に、55mlの容量と2秒の持続時間で1パフすること。」)
と記載されていることを踏まえると、上記第4の1(1)イに記載されたカナダ保健省喫煙制度下での測定が、1回のパフを、30秒毎に、2秒間の持続時間で55mlの空気流下で行うこと、すなわち、2秒間で1.65リットル/分の空気流下に擬制して、測定を行うこと(以下「カナダ保健省により定められた喫煙方法の定義」という。)を意味することは、喫煙分野における通常の知識であったものといえる。
また、上記第4の1(2)エで認定したとおり、一般に電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量が、20~30μgの範囲である(以下「一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量)という。)といえる。
してみると、電子たばこ又は電子ニコチン送達システムを用いてエアロゾルを発生させる方法に関する引用発明2においても、カナダ保健省喫煙制度下での測定における一般の平均ニコチン送達量を送達することで、20~30μgのニコチンが、2秒間で1.65リットル/分の空気流下でエアロゾル化するように構成することは、当業者が容易になし得た事項にすぎない。
したがって、引用発明2と、カナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基づき、相違点2に係る本願発明7の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
また、本願発明7は、全体としてみても引用発明2、カナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
(3)本願発明7についてのまとめ
したがって、本願発明7は、引用発明2、引用文献1の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明2、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 本願発明11に対して(引用文献1~2)
(1)対比
上記1(1)の対比を踏まえて、本願発明11と、引用発明2(上記第4の1(3)イ)とを対比する。
引用発明2の「加熱用ブレード2100を使用してグリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020を約220℃の温度に加熱することを含」むことは、その機能、構成又は技術的意義から見て、本願発明11の「誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含」むことと、「ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含」むことの限りにおいて一致する。
また、引用発明2の「エアロゾル形成基体1020からエアロゾルを発生させる方法」は、「エアロゾル形成基体1020」に「グリセリンとニコチンを5:1の比で含む」ことから、本願発明11の「エアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法」に相当する。
よって、本願発明11と、引用発明2とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違するものと認められる。
〔一致点2〕
「ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、エアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法。」
〔相違点3〕
「ヒーター」について、本願発明11では、「誘導ヒーター」であるのに対して、引用発明2では、「加熱用ブレード2100」である点。
〔相違点4〕
本願発明11では、「少なくとも10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される」のに対して、引用発明2では、そのような限定がされていない点。
(2)相違点についての判断
ア 相違点3について
上記1で相違点1に対して示した判断と同様の理由で、引用発明2の加熱用ブレード2100を、上記第4の1(1)エに記載されている加熱手段と置換して、相違点3に係る本願発明11の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
イ 相違点4について
上記1(2)イでは、引用発明2に対して、引用文献2に記載された技術的事項を適用して、20μg以上のニコチンを含む香味源をデリバリーするよう構成することが、当業者にとって容易になし得た事項に過ぎないことを説示したところ、引用発明2は、エアロゾル形成基体1020に、グリセリンとニコチンを5:1の比で含むものであるから、グリセリンは、20μmの5倍以上が含まれるといえる。すなわち、少なくとも10μgのグリセリンがエアロゾル化するものといえる。
してみると、上記1で相違点2に対して示した判断と同様の理由で、引用発明2と、引用文献2に記載された技術的事項に基づき、相違点4に係る本願発明11の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎず、また、引用発明2と、カナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基づき、相違点4に係る本願発明11の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
(3)本願発明11についてのまとめ
したがって、本願発明11は、引用発明2、引用文献1の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明2、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本願発明18に対して(引用文献1~2)
(1)対比
上記1(1)の対比を踏まえて、本願発明18と、引用発明3(上記第4の1(3)ウ)とを対比する。
引用発明3の「エアロゾル形成基体1020を加熱用ブレード2100を使用して約220℃の温度に加熱すること」は、その機能、構成又は技術的意義から見て、本願発明18の「エアロゾル発生材を少なくとも150℃に誘導加熱すること」と、「エアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱すること」の限りにおいて一致する。
また、引用発明3の「グリセリンとニコチンを5:1の比で含む」ことは、本願発明18の「エアロゾル発生剤を含む」ことに相当する。
また、引用発明3の「エアロゾル」は、本願発明18の「エアロゾル」に相当する。
よって、本願発明18と、引用発明3は、以下の一致点で一致し、相違点で相違するものと認められる。
〔一致点3〕
「エアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによって得られるエアロゾル発生剤を含むエアロゾル。」
〔相違点5〕
「加熱」について、本願発明18では、「誘導加熱」であるのに対して、引用発明3では、「加熱用ブレード2100を使用し」た加熱である点。
〔相違点6〕
本願発明18では、「2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で」「少なくとも10μgのニコチンおよび/または少なくとも10μgのエアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生剤」が得られるのに対して、引用発明3では、そのような限定がされていない点。
(2)相違点についての判断
ア 相違点5について
上記1で相違点1に対して示した判断と同様の理由で、引用発明3の加熱用ブレード2100を、上記第4の1(1)エに記載されている加熱手段と置換して、相違点5に係る本願発明18の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
イ 相違点6について
上記1で相違点2に対して示した判断と同様の理由で、引用発明3と、引用文献2に記載された技術的事項に基づき、相違点6に係る本願発明18の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎず、また、引用発明3と、カナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基づき、相違点6に係る本願発明18の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
(3)本願発明18についてのまとめ
したがって、本願発明18は、引用発明3、引用文献1の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明3、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 本願発明19に対して(引用文献1~2)
(1)対比
上記1(1)の対比を踏まえて、本願発明19と、引用発明2(上記第4の1(3)イ)とを対比する。
引用発明2の「加熱用ブレード2100」は、その機能、構成又は技術的意義から見て、本願発明19の「誘導ヒーター」と、「ヒーター」である限りにおいて一致する。
また、引用発明2の「グリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020」により発生するエアロゾルにおいて、グリセリンが、ニコチンに対して5:1の比となり、喫煙物品の分野で成分の比を重量比で表すことが技術常識であることから、本願発明19の「発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1である」ことに相当する。
そうすると、引用発明2の「加熱用ブレード2100を使用してグリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020を約220℃の温度に加熱することを含」むことは、本願発明19の「誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み」「発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1である」ことと、「ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1である」ことの限りにおいて一致する。
また、引用発明2の「エアロゾル形成基体1020からエアロゾルを発生させる方法」は、「エアロゾル形成基体1020」に「グリセリンとニコチンを5:1の比で含む」ことから、本願発明19の「ニコチンとエアロゾル発生剤とを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法」に相当する。
よって、本願発明19と、引用発明2とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違するものと認められる。
〔一致点4〕
「ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することを含み、発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1である、ニコチンとエアロゾル発生剤とを含むエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させる方法。」
〔相違点7〕
「ヒーター」について、本願発明19では、「誘導ヒーター」であるのに対して、引用発明2では、「加熱用ブレード2100」である点。
〔相違点8〕
本願発明19では、「2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下」でエアロゾルを発生するのに対して、引用発明2では、そのような限定がされていない点。
(2)相違点についての判断
ア 相違点7について
上記1で相違点1に対して示した判断と同様の理由で、引用発明2の加熱用ブレード2100を、上記第4の1(1)エに記載されている加熱手段と置換して、相違点7に係る本願発明19の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
イ 相違点8について
上記1で相違点2に対して示した判断と同様の理由で、引用発明2と、引用文献2に記載された技術的事項に基づき、相違点8に係る本願発明19の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎず、また、引用発明2と、カナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基づき、相違点8に係る本願発明19の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
(3)本願発明19についてのまとめ
したがって、本願発明19は、引用発明2、引用文献1の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明2、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 本願発明20に対して(引用文献1~2)
(1)対比
上記1(1)の対比を踏まえて、本願発明20と、引用発明1(上記第4の1(3)ア)とを対比する。
引用発明1の「ニコチン」、「グリセリン」、「エアロゾル形成基体1020」及び「エアロゾル発生物品1000」は、それぞれ、本願発明20の「ニコチン」、「エアロゾル発生剤」、「エアロゾル発生材」及び「エアロゾル発生物品」に相当する。
そうすると、引用発明1の「グリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020及び多孔性の紙巻たばこ用紙1060を含むエアロゾル発生物品1000」は、本願発明20の「ニコチンとエアロゾル発生剤とを含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品」に相当する。
また、引用発明1の「加熱用ブレード2100を含むエアロゾル発生装置2010」は、本願発明20の「誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイス」と、「ヒーターを含むエアロゾル発生デバイス」の限りにおいて一致する。
また、引用発明1の「使用者がエアロゾル発生物品1000の口側端1012を吸」うことは、作動中のエアロゾル発生物品1000が展開するエアロゾルを吸うことを意味するから、本願発明20の「作動中」に相当する。
また、引用発明1の「エアロゾル発生物品1000が、エアロゾル発生装置2010と勘合される」ことは、本願発明20の「前記物品は前記デバイスに挿入され」ることに相当する。
また、引用発明1の「ニコチン、グリセリン及び水が含まれるエアロゾルが展開され」ることは、本願発明20の「エアロゾルを発生させ」ることに相当する。
そうすると、引用発明1の「エアロゾル発生物品1000が、エアロゾル発生装置2010と勘合されると、使用者がエアロゾル発生物品1000の口側端1012を吸い、エアロゾル形成基体1020が加熱用ブレード2100を利用して約220℃の温度に加熱され、ニコチン、グリセリン及び水が含まれるエアロゾルが展開され」ることは、本願発明20の「作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ」ることと、「作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ」ることの限りにおいて相当する。
また、引用発明1の「グリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020」により発生するエアロゾルにおいて、グリセリンが、ニコチンに対して5:1の比となることから、本願発明20の「発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1である」ことに相当する。
また、引用発明1の「エアロゾル発生システム2000」は、本願発明20の「エアロゾル発生システム」に相当する。
よって、本願発明20と、引用発明1とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違するものと認められる。
〔一致点5〕
「(i)ニコチンとエアロゾル発生剤とを含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品と、(ii)ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱してエアロゾルを発生させ、発生させたエアロゾルにおいてニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1であるエアロゾル発生システム。」
〔相違点9〕
「ヒーター」について、本願発明20では、「誘導ヒーター」であるのに対して、引用発明1では、「加熱用ブレード2100」である点。
〔相違点10〕
本願発明20では、「2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下」でエアロゾルを発生するのに対して、引用発明1では、そのような限定がされていない点。
(2)相違点についての判断
ア 相違点9について
上記1で相違点1に対して示した判断と同様の理由で、引用発明1の加熱用ブレード2100を、上記第4の1(1)エに記載されている加熱手段と置換して、相違点9に係る本願発明20の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
イ 相違点10について
上記1で相違点2に対して示した判断と同様の理由で、引用発明1と、引用文献2に記載された技術的事項に基づき、相違点10に係る本願発明20の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎず、また、引用発明1と、カナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基づき、相違点10に係る本願発明20の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
(3)本願発明20についてのまとめ
したがって、本願発明20は、引用発明1、引用文献1の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明1、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 本願発明21に対して(引用文献1~2)
(1)対比
上記1(1)の対比を踏まえて、本願発明21と、引用発明3(上記第4の1(3)ウ)とを対比する。
引用発明3の「エアロゾル形成基体1020を加熱用ブレード2100を使用して約220℃の温度に加熱すること」は、その機能、構成又は技術的意義から見て、本願発明21の「エアロゾル発生材を少なくとも150℃に誘導加熱すること」と、「エアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱すること」の限りにおいて一致する。
また、引用発明3の「エアロゾル」は、本願発明21の「エアロゾル」に相当する。
また、引用発明3の「エアロゾル」は、「グリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020」を加熱することで得られるものだから、このエアロゾルには、ニコチンに対して5倍の「グリセリン」が含まれるものといえるので、本願発明21の「エアロゾル発生剤とニコチンとを含み、ニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1」である「エアロゾル」に相当する。
よって、本願発明21と、引用発明3は、以下の一致点で一致し、相違点で相違するものと認められる。
〔一致点6〕
「エアロゾル発生剤とニコチンとを含み、ニコチンに対するエアロゾル発生剤の重量比が少なくとも約2.5:1、または少なくとも8.5:1であり、エアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによって得られるエアロゾル。」
〔相違点11〕
「加熱」について、本願発明21では、「誘導加熱」であるのに対して、引用発明3では、「加熱用ブレード2100を使用し」た加熱である点。
〔相違点12〕
本願発明21では、「2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で」誘導加熱するのに対して、引用発明3では、そのような限定がされていない点。
(2)相違点についての判断
ア 相違点11について
上記1で相違点1に対して示した判断と同様の理由で、引用発明3の加熱用ブレード2100を、上記第4の1(1)エに記載されている加熱手段と置換して、相違点11に係る本願発明21の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
イ 相違点12について
上記1で相違点2に対して示した判断と同様の理由で、引用発明3と、引用文献2に記載された技術的事項に基づき、相違点12に係る本願発明21の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎず、また、引用発明3と、カナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基づき、相違点12に係る本願発明21の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
(3)本願発明21についてのまとめ
したがって、本願発明21は、引用発明3、引用文献1の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明3、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 本願発明1に対して(引用文献1~2)
令和7年9月17日にした手続補正で補正された請求項1についても、当審拒絶理由通知の理由2(進歩性)の拒絶理由が解消していないことを予備的に示す。
(1)対比
上記1(1)の対比を踏まえて、本願発明1と、引用発明1(上記第4の1(3)ア)とを対比する。
引用発明1の「グリセリンとニコチンを5:1の比で含むエアロゾル形成基体1020及び多孔性の紙巻たばこ用紙1060を含むエアロゾル発生物品1000」は、本願発明1の「ニコチンおよび/またはエアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品」に相当する。
また、引用発明1の「加熱用ブレード2100を含むエアロゾル発生装置2010」は、本願発明1の「誘導ヒーターを含むエアロゾル発生デバイス」と、「ヒーターを含むエアロゾル発生デバイス」の限りにおいて一致する。
また、引用発明1の「使用者がエアロゾル発生物品1000の口側端1012を吸」うこと及び「エアロゾル発生物品1000が、エアロゾル発生装置2010と勘合される」ことは、それぞれ、本願発明1の「作動中」及び「前記物品は前記デバイスに挿入され」ることに相当する。
また、引用発明1の「エアロゾル形成基体1020が加熱用ブレード2100を利用して約220℃の温度に加熱され、ニコチン、グリセリン及び水が含まれるエアロゾルが展開される」ことは、本願発明1の「誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ」ることと、「ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ」ることの限りにおいて一致する。
そうすると、引用発明1の「エアロゾル発生物品1000が、エアロゾル発生装置2010と勘合されると、使用者がエアロゾル発生物品1000の口側端1012を吸い、エアロゾル形成基体1020が加熱用ブレード2100を利用して約220℃の温度に加熱され、ニコチン、グリセリン及び水が含まれるエアロゾルが展開される」ことは、本願発明1の「作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ」ることと、「作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ」ることの限りにおいて相当する。
また、引用発明1の「エアロゾル発生システム2000」は、本願発明1の「エアロゾル発生システム」に相当する。
また、引用発明1の「エアロゾル発生物品1000」は、「多孔性の紙巻たばこ用紙1060」を含むものであるところ、多孔性のラッパーが外部から内部へと空気を流通させることが可能であることが技術常識であることを踏まえると、「エアロゾル発生物品1000」は、外部から内部へと空気が流れることが可能に構成されているといえる。
そうすると、引用発明1の「エアロゾル発生物品1000」が「多孔性の紙巻たばこ用紙1060」を含むことは、本願発明1の「前記物品は、前記物品の外部から内部へと空気が流れることを可能にするように構成された換気領域をさらに含」むことに相当する。
よって、本願発明1と、引用発明1とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違するものと認められる。
〔一致点7〕
「(i)ニコチンおよび/またはエアロゾル発生剤を含むエアロゾル発生材を含むエアロゾル発生物品と、(ii)ヒーターを含むエアロゾル発生デバイスとを含み、作動中、前記物品は前記デバイスに挿入され、ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させるエアロゾル発生システムであって、前記物品は、前記物品の外部から内部へと空気が流れることを可能にするように構成された換気領域をさらに含むエアロゾル発生システム。」
〔相違点13〕
「ヒーター」について、本願発明1では、「誘導ヒーター」であるのに対して、引用発明1では、「加熱用ブレード2100」である点。
〔相違点14〕
本願発明1では、「少なくとも(i)10μgのニコチンおよび/または(ii)10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される」のに対して、引用発明1では、このような限定がされていない点。
〔相違点15〕
本願発明1では、「前記換気領域は、少なくとも20%の換気率を提供する」のに対して、引用発明1では、そのような限定がされていない点。
(2)相違点についての判断
ア 相違点13について
上記1で相違点1に対して示した判断と同様の理由で、引用発明1の加熱用ブレード2100を、上記第4の1(1)エに記載されている加熱手段と置換して、相違点13に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
イ 相違点14について
上記1で相違点2に対して示した判断と同様の理由で、引用発明1と、引用文献2に記載された技術的事項に基づき、相違点14に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎず、また、引用発明1と、カナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基づき、相違点14に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
ウ 相違点15について
エアロゾル発生物品の技術分野において、エアロゾル発生物品のラッパーが、エアロゾル発生物品の外部から内部へと空気が流れることを可能にするように構成され、少なくとも20%の換気率を提供する換気領域を含むことは、従来周知の技術(以下「従来周知の技術」という。)にすぎない(必要であれば、特表2017-501732号公報の段落【0012】~【0013】及び【0093】~【0094】、特表2018-501818号公報の段落【0019】、【0031】及び【0062】、特表2017-536850号公報の段落【0007】、【0019】及び【0056】~【0057】、特表2015-500011号公報の段落【0003】及び【0066】~【0076】を参照されたい。)。
そして、引用発明1と上記従来周知の技術とは、互いに関連する技術分野に属するものであって、また、喫煙物品のラッパーを備える点においても共通している。
さらに、第4の1(1)キの記載から、引用発明1のエアロゾル発生物品1000は、空気を外部から内部に流すことが意図されているといえるから、上記従来周知の技術と機能が共通しているともいえる。
したがって、引用発明1において、上記従来周知の技術を適用して、「多孔性の紙巻たばこ用紙1060」における換気の程度を、少なくとも20%の換気率を提供するよう構成することは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
したがって、引用発明1と、上記従来周知の技術に基づき、相違点15に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
なお、引用発明1の「エアロゾル発生物品1000」が「多孔性の紙巻たばこ用紙1060」を含むことが、本願発明1の「前記物品」が「換気領域」を含むことと、相違点であると考えた場合であっても、引用発明1と、上記従来周知の技術を適用して、相違点15に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、令和7年9月17日提出の意見書において、本願発明1について以下の主張をしている。
(ア)主張1
「(3)相違点1について
拒絶理由では、相違点1として認定された本願発明の誘導ヒーターと引用発明1の加熱用ブレードとは、機能の共通性から置換可能であると認定されている。しかし、両者は加熱原理および熱制御の精緻さにおいて根本的に異なる。
本願発明は、明細書段落[0018]に「誘導ヒーターを使用することによってより迅速な加熱およびその熱プロファイルを良好に制御することができる」とあるように、電子的制御による精密な熱プロファイル(図7A、7B参照)の実現を前提とする。これに対し、引用文献1の加熱ブレード方式は、物理的に挿入したブレードからの伝導熱に依存するため、本願発明のような精密な熱プロファイルにより、「誘導ヒーターを使用してエアロゾル発生材を少なくとも150℃に加熱することによってエアロゾルを発生させ」ることで、「1パフ当たり2秒間で55mlのエアロゾルを引き込む」高効率なエアロゾル化性能を達成し、「少なくとも(i)10μgのニコチンおよび/または(ii)10μgのエアロゾル発生剤が2秒間で少なくとも1.50リットル/分の空気流下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化」を実現することは困難である。」
(イ)主張2
「拒絶理由では相違点2についての(ア)において、引用文献2の段落[0061]に記載された「デリバリー量が20μgを下回った時に寿命が尽きたと設定する」という記述を、本願発明の性能規定を想到する根拠としている。
しかし、この引用文献2の規定が持つ技術的意味合いは、本願発明の特徴がもつものとは異なる。引用文献2の「20μgを下回った時」という規定は、消耗品が劣化し、交換すべき時期を定義するための寿命の閾値に過ぎず、本願発明のように、製品の通常使用時の性能として規定されたものではない。」
(ウ)主張3
「拒絶理由では相違点2についての(イ)において、カナダ保健省喫煙制度を参照し、当該制度において一般的なニコチン送達量が知られていることから、当該制度が製品の設計基準となり相違点2に係る本願発明を容易に想到できたと判断している。
しかしながら、設計目標と、それを達成するための具体的な技術的手段(発明の構成)とは明確に区別されるべきである。カナダ保健省喫煙制度等の設計目標値が公知であったとしても、その目標を達成するための具体的な構成、すなわち、本願発明が採用する「誘導ヒーター」と「少なくとも20%の換気率を有する換気領域」という特定の構成の組み合わせに想到することまで、技術常識から導き出されるものではない。」
(エ)主張4
「(5)引用文献1への引用文献2、3の適用について
上記(3)項に記載の通り、本願発明は誘導ヒーターを用いる一方、引用文献1は加熱ブレード方式である。さらに、引用文献2はタバコを直接加熱しないハイブリッド方式であり(段落[0045]参照)、引用文献3は燃焼式熱源を前提とする。
このように、各発明は加熱原理やシステム構成が根本的に異なるため、当業者が引用文献1の技術に対し、引用文献2および3の技術を動機付けなく組み合わせることは極めて困難である。」
イ 主張1~4に対する判断
(ア)主張1に対して
上記第4の1(1)エから、引用文献1にも、加熱用ブレードと代替されるエアロゾル発生物品1000が含むエアロゾル形成基体1020を加熱する手段について、エアロゾル発生物品内にサセプタを含み、このサセプタを誘導的に加熱するための誘導要素を備えうることが示唆されている。
したがって、加熱原理及び熱制御の精緻さが異なるとしても、当業者が、加熱用ブレードと、サセプタ及び誘導要素を用いた加熱手段とを置換することについての、容易想到性の判断を左右するものとはいえない。
よって、主張1を採用することはできない。
(イ)主張2に対して
上記第4の2(2)から、引用文献2に記載された技術的事項では、「デリバリー量が、非燃焼型香味吸引器100を27.5ml/secの吸引量で2.0秒間吸引動作を行った際に20μgを下回った時に香味源131の寿命が尽きたと設定」しているのだから、引用文献2に接した当業者にとって、消耗品である香味源131の寿命が尽きていない状態である製品の通常使用時は、デリバリー量が20μg以上であると把握するのが、引用文献2に対する通常の理解であるといえる。
よって、主張2を採用することはできない。
(ウ)主張3に対して
上記(2)ア、ウで示したように、「ヒーター」について「誘導ヒーター」を用いることと、エアロゾル発生物品のラッパーが「少なくとも20%の換気率を有する換気領域」を持つようにすることは、いずれも当業者が容易になし得た事項であるから、「誘導ヒーター」と「少なくとも20%の換気率を有する換気領域」という構成の組み合わせとすることも、当業者が容易になし得た事項にすぎない。
よって、主張3を採用することはできない。
(エ)主張4に対して
上記(2)イで示したように、引用発明1に対して、引用文献2に記載された技術的事項は適用づけられる。
よって、主張4を採用することはできない。
(4)本願発明1についてのまとめ
したがって、本願発明1は、引用発明1、引用文献1の記載事項、引用文献2に記載された技術的事項及び従来周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明1、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量及び従来周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明7、本願発明11、本願発明19は、引用発明2、引用文献1の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明2、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本願発明18及び本願発明21は、引用発明3、引用文献1の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明3、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本願発明20は、引用発明1、引用文献1の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明1、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本願発明1は、引用発明1、引用文献1の記載事項、引用文献2に記載された技術的事項及び従来周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明1、引用文献1の記載事項並びにカナダ保健省により定められた喫煙方法の定義及び一般的な電子たばこ又は電子ニコチン送達システムでの、吸煙1回当たりの平均ニコチン送達量及び従来周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明1、本願発明7、本願発明11、本願発明18、本願発明19、本願発明20、本願発明21は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-009674