特許拒絶査定不服審判
2024-002040
電子エアロゾル供給システム
- 審判番号
- 2024-002040
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-067128外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年02月05日
- 審決日
- 2026年03月23日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
- 【請求人代理人】池田 成人
- 【請求人代理人】酒巻 順一郎
- 【請求人代理人】野田 雅一
- 【請求人代理人】鈴木 英彦
- 分類
- P18 .121-WZ (A24F) / P18 .113-WZ (A24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-67128「電子エアロゾル供給システム」拒絶査定不服審判事件〔令和4年6月9日出願公開、特開2022-87293〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)10月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年10月24日(GB)グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)を国際出願日とする特願2020-522816号の一部を、令和4年4月14日に新たな特許出願としたものであって、その手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和4年 9月30日付け :拒絶理由通知
令和5年 3月 6日 :意見書・手続補正書の提出
令和5年 6月 2日付け :拒絶理由通知(最後)
令和5年 9月 5日 :意見書・手続補正書の提出
令和5年 9月28日付け :補正の却下の決定・拒絶査定
令和6年 2月 5日 :審判請求書・手続補正書の提出
令和7年 5月28日付け :拒絶理由通知
令和7年 8月28日 :意見書・手続補正書の提出
第2 当審拒絶理由の概要
当審が、令和7年5月28日付けで通知した拒絶理由通知における拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)のうち、進歩性に係る拒絶理由の概要は、次のとおりである。
本願の請求項1ないし14に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引用文献等一覧>
1.英国特許出願公開第2523585号明細書
2.特表2013-518577号公報
3.特表2017-501805号公報(周知技術を示す文献)
4.特表2017-523093号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2016-169049号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願の請求項1ないし14に係る発明は、令和7年8月28日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載されたとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
保管ケースのハウジング内に装填されたエアロゾル形成コンポーネントを再充電するための電源を有する前記保管ケースであって、前記ハウジングが、シャーシセクションとハッチセクションとから形成され、前記ハッチセクションが前記シャーシセクションに接続され、前記シャーシセクション及び前記ハッチセクションが協働して、エアロゾル形成コンポーネントが配置されるための閉じた空間を画定する第1の位置と、前記シャーシセクション及び前記ハッチセクションが前記空間へのアクセスを可能とするように互いに離間される第2の位置との間で移動可能であり、
前記ハッチセクションは、前記空間に向かって突出するように前記ハッチセクションの内壁に取り付けられたスリーブを備え、前記スリーブは、前記エアロゾル形成コンポーネントを収容することができる実質的に縦長の凹部を画定し、
前記閉じた空間が形成されるように前記ハッチセクションが前記第1の位置に移動されると、前記スリーブは前記空間を占有し、
前記ハッチセクションは、前記スリーブ内への挿入後に前記エアロゾル形成コンポーネントの取り外しに抗するように構成された保持部を備え、
前記保持部は、前記ハッチセクションの部分に配置された磁石を含み、前記磁石は、前記スリーブからの取り外しに抗するために、前記エアロゾル形成コンポーネントの金属コンポーネントと相互作用する、保管ケース。」
第4 当審の判断
1 引用文献の記載事項等
(1)引用文献1
当審拒絶理由で引用された英国特許出願公開第2523585号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審にて付したものである。以下同様。)。なお、摘記箇所の行数は本文左側方に付された行番号による。
ア 「Referring to Figure 1, there is shown a portable charging case 1 according to the invention. The portable charging case 1 houses a fluid reservoir 3 and a rechargeable case battery 5 both of which are removable and replaceable. The vapour dispenser holder 7 is shown in an open configuration and is adapted to store an electronic cigarette 9 or any other vapour dispenser. The vapour dispenser holder 7 in this embodiment is pivotally attached to the main body of the portable charging case I such that in a closed configuration the electronic cigarette 9 is stored within the casing of the portable charging case 1.In use, the electronic cigarette is placed in the electronic vapour dispenser holder 7 and the vapour dispenser holder 7 is moved to the closed configuration in order to store and/or refill the electronic cigarette 9.」(5ページ29行ないし6ページ5行)
〔訳〕「図1を参照すると、本発明による携帯用充電ケース1が示されている。ポータブル充電ケース 1 には、液体リザーバー 3 と充電式ケース バッテリー 5 が収納されており、どちらも取り外しおよび交換可能である。蒸気ディスペンサーホルダー 7 は開いた構成で示されており、電子タバコ 9 またはその他の蒸気ディスペンサーを保管するのに適している。この実施形態の蒸気ディスペンサーホルダー7は、ポータブル充電ケース1の本体に枢動可能に取り付けられており、閉じた構成では電子タバコ9がポータブル充電ケース1の筐体内に収納される。 使用時には、電子タバコを電子蒸気ディスペンサーホルダー 7 に配置し、電子タバコ 9 を保管および/または補充するために、蒸気ディスペンサーホルダー 7 を閉じた構成に移動させる。」
イ 「When the electronic cigarette 9 is in the vapour dispenser holder 7, cigarette charging contacts electrically connect the electronic cigarette 9 to the rechargeable case battery 5 so that the electronic cigarette 9 recharges its internal battery from the rechargeable case battery of the portable recharge case 1.」(7ページ3行ないし6行)
〔訳〕「電子タバコ 9 が蒸気ディスペンサーホルダー 7 内にある場合、タバコ充電接点が電子タバコ9 を充電式ケースバッテリー 5 に電気的に接続し、電子タバコ 9 がポータブル充電ケース 1の充電式ケースバッテリーから内部バッテリーを充電する。」
ウ 「
[図:0001437685000001.jpg]
」(図1)
エ 「
[図:0001437685000002.jpg]
」(図2)
オ 「
[図:0001437685000003.jpg]
」(図3)
カ 「
[図:0001437685000004.jpg]
」(図5)
キ 図1ないし3から、「携帯用充電ケース1」が「シャーシセクション」(枠組部分)、「蒸気ディスペンサーホルダー7」が「ハッチセクション」(蓋部分)となり、両者が協働して「ハウジング」を形成する様子が看取できる。そうすると、引用文献1に記載の「携帯用充電ケース1」は「シャーシセクション」ということができ、同様に、「蒸気ディスペンサーホルダー7」は「ハッチセクション」ということができる。
ク 上記アの「蒸気ディスペンサーホルダー7は、携帯用充電ケース1の本体に枢動可能に取り付けられており」との記載から、蒸気ディスペンサーホルダー7が携帯用充電ケース1に接続されているといえる。
ケ 上記アの「閉じた構成では電子タバコ9が携帯用充電ケース1のケース内に収納される。」との記載から、「閉じた構成」では電子タバコ9がケース内に収納されるために、蒸気ディスペンサーホルダー7が携帯用充電ケース1と協働して、電子タバコ9が配置される閉じた空間を画定する第1の位置があるといえる。
コ 図3から、蒸気ディスペンサーホルダー7が開いた構成において、蒸気ディスペンサーホルダー7及び携帯用充電ケース1が互いに離間して、その中の空間にアクセス可能とするように互いに離間する様子が看取できるから、開いた構成は、携帯用充電ケース1及び蒸気ディスペンサーホルダー7が空間へのアクセスを可能とするように互いに離間される第2の位置ということができる。
サ 図1及び3から、蒸気ディスペンサーホルダー7が、蒸気ディスペンサーホルダー7の内壁に取り付けられたスリーブを備えること、スリーブが、電子タバコ9を配置することができる実質的に縦長の凹部を画定すること、スリーブが、携帯用充電ケース1と蒸気ディスペンサーホルダー7とで形成される空間に向かって突出すること、が看取できる。
シ 図2から、蒸気ディスペンサーホルダー7が閉じた構成に移動されると、スリーブが、携帯用充電ケース1と蒸気ディスペンサーホルダー7の間の空間を占有することが看取できる。
以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用発明〕
「携帯用充電ケース1及び蒸気ディスペンサーホルダー7のハウジング内に収納された電子タバコ9を充電するためのバッテリー5を有する携帯用充電ケース1及び蒸気ディスペンサーホルダー7であって、前記ハウジングが、シャーシセクションとハッチセクションとから形成され、前記ハッチセクションが前記シャーシセクションに接続され、前記シャーシセクション及び前記ハッチセクションが協働して、電子タバコ9が配置されるための閉じた空間を画定する第1の位置と、前記シャーシセクション及び前記ハッチセクションが前記空間へのアクセスを可能とするように互いに離間される第2の位置との間で移動可能であり、
前記ハッチセクションは、前記空間に向かって突出するように前記ハッチセクションの内壁に取り付けられたスリーブを備え、前記スリーブは、前記電子タバコ9を収容することができる実質的に縦長の凹部を画定し、
前記閉じた空間が形成されるように前記ハッチセクションが前記第1の位置に移動されると、前記スリーブは前記空間を占有し、
前記電子タバコ9が前記蒸気ディスペンサーホルダー7内にある場合、タバコ充電接点が電子タバコ9をバッテリー5に電気的に接続し、電子タバコ9は携帯用充電ケース1のバッテリー5から内部バッテリーに充電する、携帯用充電ケース1及び蒸気ディスペンサーホルダー7。」
(2)引用文献3
当審拒絶理由で引用された特表2017-501805号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0197】
装置の幾つかの実施形態において、装置本体には、バッテリ(23)を再充電するための補助的な充電ユニットも存在する。図16A-16Cに示されるように、充電ユニット(60)は、電源用のプラグ(63)と保護キャップ(64)を備え、(カートリッジを設置したまたは設置していない)装置本体(20)を捕捉するための台(61)を備えたUSB装置を含んでもよい。台は更に、充電中に装置本体を適所で安全に保持するための、磁石または電磁接触器(62)を含んでもよい。図6Bに示されるように、装置本体は更に、補助的な充電ユニットのための、はめ合いの充電接触部(28)および磁石または電磁接触器(29)を含む。図16Cは、電源(65)(ラップトップコンピュータまたはタブレット)において充電されている装置(20)の例示的な例である。」
イ 「【図16A】
[図:0001437685000005.jpg]
」
ウ 「【図16B】
[図:0001437685000006.jpg]
」
以上によれば、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用文献3記載事項〕
「充電ユニット(60)は、装置本体(20)を捕捉するための台(61)を備え、台は更に、充電中に装置本体を適所で安全に保持するための、磁石または電磁接触器(62)を含んでもよいこと。」
(3)引用文献4
当審拒絶理由で引用された特表2017-523093号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0021】
さらに、または別の方法として、容器は、移動可能な容器の後部壁とボックスとの間に磁石式留め具または面ファスナーのうち少なくとも一つを備えて、移動可能な容器の後部壁を閉位置に開放できるように保持しうる。」
以上によれば、引用文献4には、次の事項(以下「引用文献4記載事項」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用文献4記載事項〕
「容器は、移動可能な容器の後部壁とボックスとの間に磁石式留め具を備えて、移動可能な容器の後部壁を閉位置に開放できるように保持しうること。」
(4)引用文献5
当審拒絶理由で引用された特表2016-169049号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0038】
次に上記図面の図2乃至図4を参照すると、本発明の実施形態に従って生産される紙巻たばこSの箱P及び該実施形態に対応する包装ブランクB及びフレームFが図示されている。図2及び図3では、組み立てられた箱Pは、紙巻たばこSの分量Cを保持する容器部Hと、容器部Hにヒンジ型接続をし、容器部H内の喫煙物品Sにアクセスさせないようにする閉位置(図2に示す)と喫煙物品Sにアクセスさせる開位置(図3に示す)との間で移動又は枢動可能なリッドLとを含むことがわかる。さらに、箱Pは、リッドLを閉位置に保持するために、互いに対して磁力を及ぼすように構成、配置された第1磁気クロージャ要素M1及び第2磁気クロージャ要素M2を有する磁気クロージャMを含む。図2から明らかなように、この実施形態は、箱Pは、リッドLが閉位置にある状態で示すと、フリップトップボックス様式の略直方形状を有する実施形態である。図3から明らかなように、第1磁気クロージャ要素M1は箱PのリッドLの前側内面に組み込まれる。一方、第2磁気クロージャ要素M2は、リッドが閉位置にある時に第1磁気クロージャ要素M1と直接隣接して一直線に並ぶように位置決めされて容器部Hの前面内又は上に設けられる。このようにして、磁気クロージャMの第1及び第2磁気クロージャ要素M1,M2間の磁気引力が、リッドLが閉じる時に箱PのリッドLと容器部Hとの間の明確かつ確実な係合を提供する。図4に見られるように、第1磁気クロージャ要素M1は、包装ブランクBのフラップであって、カルーセル34において箱Pを形成するためにブランクBを組み立てる際に折り曲げられてリッドLの内面を形成するフラップに組み込まれる。第2磁気クロージャ要素M2は、包装ブランクB上の第1磁気クロージャ要素M1上に設けられ又は配置され、磁気引力により箱の生産中一時的にそこに保持される。カルーセル34におけるブランクBの組み立ての間、内フレームFは、ブランクBと組み合わさり、箱Pの容器部Hの一部、より具体的には、リッドLが開いている時の紙巻たばこSへのアクセスを容易にするための切り欠きFCを含む容器部Hの上方前側部分を形成する。カルーセル34でブランクBが組み立てられる際、第1磁気クロージャ要素M1上に一時的に保持、位置を制限されている第2磁気クロージャ要素M2は、内フレームFの図4中に破線で印した位置に粘着貼付又は接着される。
【0039】
図2乃至図4のこの実施形態では、第1磁気クロージャ要素M1は、組立カルーセル34に運ぶためのサブシステム30の山31に供給される各包装ブランクBにすでに組み込まれていてもよい。積み上げられるブランクBの第1磁気クロージャ要素M1が互いに影響してサブシステム30での包装ブランクBの個別の取り扱いを中断させないように、各第1磁気クロージャ要素M1は、直径約10mm、厚さ約0.5mm以下の鉄系金属のディスクであってもよい。該ディスクM1は、例えばブランクBの生産中に、包装ブランクBのリッドフラップに粘着接着されてもよい。一方、第2磁気クロージャ要素M2は、同様に直径約10mm、厚さ約0.5mmの薄い円形ディスクとして形成された小型の永久磁石、例えばネオジム磁石であってもよく、第1磁気クロージャ要素M1がサブシステム30のコンベヤ32及び/又はローラ33により組立カルーセル34に運ばれる際、又はその後に、各第1磁気クロージャ要素M1上に個別に取り付けられてもよい。このように、各ディスク状永久磁石要素M2は、サブシステム30においてフレームFに粘着接着されるまで、ブランクBの相補の鉄系金属のディスク要素M1上で適所に保持されてもよい。或いは、各包装ブランクBに組み込まれる第1磁気クロージャ要素M1を永久磁石とし、単に、サブシステム30内で、ブランクBがシステム100内を移動する際に隣り合うブランクの磁石M1が互いに負の干渉をしないようにブランクBを取り扱うようにすることも可能である。その場合、例えばカルーセル34の上流で又はカルーセル34において、第1磁気クロージャ要素M1上に取り付け又は配置される第2磁気クロージャ要素M2は、薄い鉄系金属のディスク(又は他の磁気を感知する金属)の形態であっても、又は第2磁気クロージャ要素M2自体も第2の永久磁石であってもよい。」
以上によれば、引用文献5には、次の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用文献5記載事項〕
「箱Pは、リッドLを閉位置に保持するために、互いに対して磁力を及ぼすように構成、配置された第1磁気クロージャ要素M1及び第2磁気クロージャ要素M2を有する磁気クロージャMを含み、第2磁気クロージャ要素M2は、薄い鉄系金属のディスクの形態であってもよいこと。」
2 対比・判断
本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
引用発明の「携帯用充填ケース1及び蒸気ディスペンサーホルダー7」は、本願発明の「保管ケース」に相当し、以下同様に、「電子タバコ9」は「エアロゾル形成コンポーネント」に、「充電」は「再充電」に、「バッテリー5」は「電源」に、それぞれ相当する。
そうすると、引用発明の「携帯用充電ケース1及び蒸気ディスペンサーホルダー7内に収納された電子タバコ9を充電するためのバッテリー5を有する前記携帯用充電ケース1」は、本願発明の「保管ケース内に装填されたエアロゾル形成コンポーネントを再充電するための電源を有する前記保管ケース」に相当する。
よって、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
〔一致点〕
「保管ケースのハウジング内に装填されたエアロゾル形成コンポーネントを再充電するための電源を有する前記保管ケースであって、前記ハウジングが、シャーシセクションとハッチセクションとから形成され、前記ハッチセクションが前記シャーシセクションに接続され、前記シャーシセクション及び前記ハッチセクションが協働して、エアロゾル形成コンポーネントが配置されるための閉じた空間を画定する第1の位置と、前記シャーシセクション及び前記ハッチセクションが前記空間へのアクセスを可能とするように互いに離間される第2の位置との間で移動可能であり、
前記ハッチセクションは、前記空間に向かって突出するように前記ハッチセクションの内壁に取り付けられたスリーブを備え、前記スリーブは、前記エアロゾル形成コンポーネントを収容することができる実質的に縦長の凹部を画定し、
前記閉じた空間が形成されるように前記ハッチセクションが前記第1の位置に移動されると、前記スリーブは前記空間を占有する、保管ケース。」
〔相違点〕
本願発明は「前記ハッチセクションは、前記スリーブ内への挿入後に前記エアロゾル形成コンポーネントの取り外しに抗するように構成された保持部を備え、前記保持部は、前記ハッチセクションの部分に配置された磁石を含み、前記磁石は、前記スリーブからの取り外しに抗するために、前記エアロゾル形成コンポーネントの金属コンポーネントと相互作用する」のに対して、引用発明は、かかる事項を備えていない点。
上記相違点について検討する。
二部材の接続状態を保持するための保持部に磁石を用いることは、周知の技術である(以下「周知技術」という。例えば、引用文献3記載事項、引用文献4記載事項 、引用文献5記載事項を参照。)。
引用発明は「電子タバコ9が蒸気ディスペンサーホルダー7内にある場合、タバコ充電接点が電子タバコ9をバッテリー5に電気的に接続し、電子タバコ9は携帯用充電ケース1のバッテリー5から内部バッテリーに充電する」ものであるから、充電を確実に行うために、電気的に接続状態を保てるように、電子タバコ9の取り外しに抗するように保持部を設けることは、引用発明において内在する課題である。よって、引用発明に周知技術を適用する動機付けが存在する。
そうすると、引用発明の電子タバコの取り外しに抗することが必要なハッチセクションの部分に周知技術を適用し、エアロゾル形成コンポーネントの金属コンポーネントと相互作用するように構成することは、当業者が容易に想到できたことである。
そして、本願発明が奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別なものではない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 請求人の主張について
請求人は、令和7年8月28日の意見書の「3-2.理由2」において、次のとおり主張する。
「しかしながら、以下のような理由により、「充電を確実に行うために、電気的に接続状態を保てるように、電子タバコ9の取り外しに抗するように保持部を設けること」は、引用文献1に記載の発明において内在する課題であるとは言えないと思料致します。
即ち、引用文献1に記載の発明は、図5に示すように、電子たばこ9がホルダー7とともにケース1の本体内に収納される構造を有するものと思料致します。この構成では、電子たばこは物理的に完全に拘束され、所定位置に保持されています。より詳細には、引用文献1に記載の発明では、電子たばこ9は、閉位置にあるときにのみ、携帯充電ケース1の充電可能ケース用バッテリ5から自らのバッテリを充電するものと思料致します。閉位置では、電子たばこ9は補充機構15に係合しており、特に図5に示すように、その位置に物理的に完全に拘束されています。そのため、充電時に電子たばこ9が外れるおそれも、充電可能ケース用バッテリ5との電気的接続が失われるおそれもないものと思料致します。さらに、引用文献1に記載の発明では、携帯充電ケース1における電子たばこ9の使用態様(電子たばこ9が流体リザーバ3から蒸気用流体の補充を受ける)からすれば、ホルダーの開口が下向きとなる向きで電子たばこ9が蒸気供給器ホルダー7に挿入されることはないものと思料致します。何故なら、下向きの姿勢では電子たばこ9の補充に支障をきたすためです。そのため、電子たばこ9が蒸気供給器ホルダー7から落下するという内在的なリスクは存在しないものと思料致します。
以上のような理由により、「充電を確実に行うために、電気的に接続状態を保てるように、電子タバコ9の取り外しに抗するように保持部を設けること」は、引用文献1に記載の発明において内在する課題であるとは言えないと思料致します。
そして、引用文献1に記載の発明において、そのような課題が内在していないにも関わらず、当業者が引用文献1に記載の発明を、発明特定事項1を満たすように変形したはずであるという示唆等は、引用文献1~5のいずれにおいても存在しないため、当業者がそのような変形を行う動機付けは存在しないものと思料致します。特に、引用文献3~5のいずれも、「保管ケースのハウジング内に装填されたエアロゾル形成コンポーネントを再充電するための電源を有する前記保管ケース」を開示していないため、引用文献3~5は、当業者がそのような変形を行ったはずであることを示唆するものではないものと思料致します。
新請求項1に係る発明は、発明特定事項1に基づき、本願明細書の段落0041に説明されているように、現在使用されているエアロゾル形成コンポーネントをスリーブに挿入する際、スリーブの開口部が下を向いている場合でも、エアロゾル形成コンポーネントがスリーブから脱落するのを防ぐことができる、という効果を発揮致します。ハッチセクションが後方に動かされると、保持部がエアロゾル形成コンポーネントを所定の位置に保持し、保持部が磁石であるため、損傷のリスクを低減するという特に信頼性の高い効果的な手段が実現されています。」
上記主張について検討する。
引用発明において、電子たばこ9を補充機構15に係合し、物理的に完全に拘束した状態を維持するため、不測の事態が生じても電子たばこ9と補充機構15との係合が外れないように構成とすることは、引用発明に内在すると解するのが合理的である。
そうすると、引用発明において、電子タバコ9の取り外しに抗するように保持部を設ける動機付けは存在するといえる。
したがって、請求人の主張は採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-002040