特許拒絶査定不服審判
2024-003942
サセプタおよびエアロゾル前駆体材料を組み合わせたエアロゾル源部材
- 審判番号
- 2024-003942
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-571509
- 請求日
- 2024年03月06日
- 審決日
- 2026年03月11日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 平瀬 知明
- 審判官 大山 健
- 審判官 鈴木 充
- 分類
- P18 .121-WZ (A24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-571509「サセプタおよびエアロゾル前駆体材料を組み合わせたエアロゾル源部材」拒絶査定不服審判事件〔令和元年12月26日国際公開、WO2019/244127、令和3年10月21日国内公表、特表2021-528077〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)6月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年6月22日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和3年 2月24日 :手続補正書の提出
令和5年 5月23日付け:拒絶理由通知
同年 8月24日 :意見書、手続補正書の提出
同年10月26日付け:拒絶査定
令和6年 3月 6日 :審判請求書の提出
令和7年 5月28日付け:拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)
同年 9月 2日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~14に係る発明は、令和7年9月2日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
エアロゾル送達装置であって、
その一端に開口部が画定されたハウジングを有する制御本体と、
制御本体内に配置された共振送信機と、
共振送信機を駆動するように構成された制御構成要素と、
その少なくとも一部が制御本体の受容チャンバ内に配置されるように構成されたエアロゾル源部材と、を備え、
エアロゾル源部材が、タバコ基材および多数の多孔質サセプタ粒子を含み、
多孔質サセプタ粒子には、エアロゾル前駆体組成物が注入され、
エアロゾル源部材が、カプセルを備えたゲル体構造を有し、
多数の多孔質サセプタ粒子がゲル体構造に埋め込まれており、カプセルがツーピース構成を備えている、エアロゾル送達装置。」
第3 当審拒絶理由通知による拒絶理由
当審拒絶理由通知による拒絶理由のうちの請求項1に係る発明について通知した理由1は、次のとおりのものである。
理由1:(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.国際公開第2017/068096号
引用文献2.国際公開第2018/019578号
引用文献3.国際公開第2018/019738号
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
ア 引用文献1には、次の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「The aerosol-forming substrate preferably comprises nicotine and at least one aerosol former.」(5ページ3~4行)
(当審訳)
エアロゾル形成基体は、好ましくはニコチン及び少なくとも1つのエアロゾルフォーマを含む。
(イ)「The susceptor may be formed from any material that can be inductively heated to a temperature sufficient to generate an aerosol from the aerosol-forming substrate. Preferred susceptors comprise a metal or carbon. A preferred susceptor may comprise or consist of a ferromagnetic material, for example ferritic iron, a ferromagnetic alloy, such as ferromagnetic steel or stainless steel, ferromagnetic particles, and ferrite. A suitable susceptor may be, or comprise, aluminium.
Preferred susceptors are metal susceptors, for example stainless steel. However, susceptor materials may also comprise or be made of graphite, molybdenum, silicon carbide, aluminum, niobium, Inconel alloys (austenite nickel-chromium- based superalloys), metallized films, ceramics such as for example zirconia, transition metals such as for example Fe, Co, Ni, or metalloids components such as for example B, C, Si, P, Al.」(5ページ15~31行)
(当審訳)
サセプタは、エアロゾル形成基体からエアロゾルを生成するのに十分な温度まで誘導加熱することができる任意の材料から形成することができる。有利なサセプタは、金属または炭素を含む。好適なサセプタを備えていてもよい強磁性材料、例えばフェライト鉄、強磁性合金は、強磁性鋼又はステンレス鋼のような強磁性パーティクル、及びフェライトから構成されている。適当なサセプタは、アルミニウムであってもよい。
有利なサセプタは、金属、例えばステンレス鋼である。しかし、サセプタ材料は、グラファイト、モリブデン、炭化ケイ素、アルミニウム、ニオブ、インコネル合金(オーステナイトニッケル-クロムベース超合金)、金属化フィルム(例えば、ジルコニアなどのセラミックス)、Fe、Co、Niのような遷移金属、B、C、Si、P、Alなどの金属様元素の成分を用いることができる。
(ウ)「A susceptor may be solid, hollow or porous. Preferably, a susceptor is solid.」(6ページ8~9行)
(当審訳)
サセプタは、中実、中空、又は多孔質であってもよい。好ましくは、サセプタは中実である。
(エ)「A susceptor may be a carrier for a liquid aerosol-forming substrate. For example, liquid aerosol-forming substrate may be loaded onto or in the susceptor. For example, a susceptor may be a sponge-like material, for example, a metallic sponge.」(6ページ10~14行)
(当審訳)
サセプタは、液体のエアロゾル形成基体のための担体であってもよい。例えば、液体エアロゾル形成基体は、サセプタ上に装填されてもよい。例えば、サセプタは、スポンジ状の材料、例えば、金属スポンジとすることもできる。
(オ)「When actuated, a high-frequency alternating current is passed through coils of wire that form part of the inductor. When a capsule is correctly located in the capsule receiving cavity, the susceptor material in the capsule is located within this fluctuating electromagnetic field. The fluctuating field generates eddy currents or hysteresis losses within the susceptor material, which is heated as a result. The heated susceptor material heats the aerosol-forming substrate to a sufficient temperature to form an aerosol, for example to about 180 to 220 degree Celsius.」(15ページ4~13行)
(当審訳)
作動時に、高周波交流電流がインダクタの一部を形成するワイヤのコイルを通過する。カプセルがカプセル受けキャビティ内に配置されるとき、カプセル内のサセプタ材料は、この変動する電磁界内に配置されている。この変動する電磁界は、サセプタ材料内にうず電流又はヒステリシス損失を生成し、その結果、材料が加熱される。加熱されたサセプタ材料は、エアロゾル形成基体を十分な温度に加熱してエアロゾルを形成するために、例えば約180~220℃にする。
(カ)「Fig. 1 shows a capsule 1 containing an active substrate 2 comprising an aerosol-forming substrate and susceptor material for use with a device capable of inductively heat the susceptor material of the active substrate 2 and capable of vaporizing the aerosol-forming substrate. The capsule 1 contains a shell 10 that is sealed with a lid 11.」(18ページ26~31行)
(当審訳)
図1は、活性基体2のサセプタ材料を誘導加熱可能な装置と共に使用するためのエアロゾル形成基体とサセプタ材料を含む活性基体2を収容し、かつエアロゾル形成基体を蒸発させることが可能なカプセル1を示す。カプセル1は、蓋11で封止されたシェル10を含んでいる。
(キ)「Preferably, tobacco or tobacco material is filled into the capsule 1. Here, tobacco or tobacco material is defined as any combination of natural and synthetic material comprising tobacco. A capsule can be prepared using cured tobacco, an aerosol-former such as glycerine or propylene glycol, flavourings and susceptor material. For example, tobacco may be chopped into fine pieces (for example, less than 2 millimeter diameter, preferably less than 1 millimeter), adding the other ingredients, and mixing until even consistency is achieved. The active substrate may also be processed into a paste-like consistency, for example, with tobacco particle sizes less than 1 millimeter and susceptor material in the form of particles. Such a paste-like substrate or slurry may facilitate the processing of filling the capsule 1.
A tobacco containing slurry may also be spread and dried to form a sheet, so called cast leaf. The dried leaf may be inserted into the capsule in a crimped and folded form, while the susceptor material may be combined with the cast leaf either before or after insertion of the cast leaf into the capsule.」(21ページ28行~22ページ16行)
(当審訳)
好ましくは、タバコ又はタバコ材料は、カプセル1内に充填されている。ここで、タバコ又はタバコ材料は、タバコを含む天然及び合成材料の任意の組み合わせとして定義される。カプセルは、乾燥されたタバコ、グリセリン又はプロピレングリコールなどのエアロゾルフォーマ、香味料、及びサセプタ材料を使用して製造することができる。例えば、タバコ微片(例えば、直径2mm未満、好ましくは1mm未満)に刻み、他の成分を添加することが可能であり、均一な粘度が達成されるまで混合される。活性基体はまた、例えば、ペースト状の粘度に加工タバコ粒度1mm未満の粒子の形態で、サセプタの材料で行うことができる。そのようなペースト又はスラリーは、カプセル1の充填処理を容易にすることができる。
タバコ含有スラリーはまた、分散及び乾燥シート、いわゆるキャストリーフを形成することができる。キャストリーフは、けん縮して折り畳まれた形態でカプセルに挿入されてもよいが、サセプタ材料は、キャストリーフのカプセルへの挿入前または挿入後にキャストリーフと組み合わせることができる。
(ク)「In Fig.2 to Fig.4 schematically drawn capsules 1 in tubular form are filed with different examples of active substrate.」(23ページ1~3行)
(当審訳)
図2~図4に概略的に円筒形に描かれたカプセル1は、活性基体の異なる例である。
(ケ)「Active substrate 2 may also be provided in the form of a plurality of particles having a susceptor core and an aerosol-forming substrate coating. In Fig.5 and Fig.6 four examples of active substrate 2 particles in the form of beads (Fig. 5) and in the form of flakes (Fig. 6) are shown.」(24ページ4~9行)
(当審訳)
活性基体2は、また、サセプタの核及びエアロゾル形成基体のコーティングを有する複数の粒子の形態で提供することができる。図5および図6において、一連のビーズ(図5)形態であり、そしてフレーク(図6)の形態の活性基体2の4つの実施例が示されている。
(コ)「Fig.7 shows a cross-sectional view of an inductively heatable aerosol-generating system 8 comprising an aerosol-generating device 7 and a capsule 1 as described above. The aerosol-generating device 7 comprises an outer housing 70 adapted to house a power supply 700 such as a rechargeable battery, control electronics 701, and an inductor 702, for example a inductor coil. The housing 70 further comprises a cavity 703 wherein the capsule 1 is received. The inductor 702 is embedded in the proximal portion of the housing 70 surrounding the cavity 703 as well as the capsule 1 arranged in the cavity 703.」(27ページ1~11行)
(当審訳)
図7は、上述したように、エアロゾル発生装置7とカプセル1を備える誘導加熱可能なエアロゾル発生システム8の断面図を示している。エアロゾル発生装置7は、電源700(例えば充電式バッテリー)、制御電子機器701、およびインダクタ702(例えばインダクタコイル)を収容するハウジング70を含む。ハウジング70は更に、カプセル1が収容される空洞703を含む。インダクタ702は、空洞703を囲むハウジング70並びに空洞703内に配置されたカプセル1の近位部分に埋め込まれている。
(サ)図面
[図1]
[図:0001437697000001.jpg]
[図5]
[図:0001437697000002.jpg]
[図6]
[図:0001437697000003.jpg]
[図7]
[図:0001437697000004.jpg]
イ 上記アから理解できること
(ア)上記アの記載事項(コ)及び図7から、エアロゾル発生システム8は、エアロゾル発生装置7とカプセル1を備え、エアロゾル発生装置7のハウジング70は、その一端にカプセル1を収容する空洞703が画定されていること、及びハウジング70内にインダクタ702が配置されていることが、それぞれ理解できる。
(イ)上記アの記載事項(オ)、(コ)から、電源700及び制御電子回路701がインダクタ702を駆動するように構成されていることは明らかである。
(ウ)上記アの記載事項(コ)及び図7から、カプセル1は、ハウジング70の空洞703内に配置されるように構成されていることが理解できる。
(エ)上記アの記載事項(キ)、(ケ)から、カプセル1が、タバコ材料、グリセリン又はプロピレングリコールなどのエアロゾルフォーマ、及び複数のサセプタ粒子を含むことが理解できる。
(オ)上記アの記載事項(ウ)、(エ)から、多孔質サセプタ粒子を、液体のエアロゾル形成基体のための担体とすることが理解できる。
そして、上記アの記載事項(ア)により、エアロゾル形成基体はエアロゾルフォーマを含むから、上記の多孔質サセプタ粒子は、液体のエアロゾルフォーマのための担体となることが理解できる。
ウ 引用発明
上記ア、イから、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「 エアロゾル発生システム8であって、
その一端に空洞703が画定されたハウジング70を有するエアロゾル発生装置7と、
ハウジング70内に配置されたインダクタ702と、
インダクタ702を駆動するように構成された電源700及び制御電子回路701と、
ハウジング70の空洞703内に配置されるように構成されたカプセル1と、を備え、
カプセル1が、タバコ材料、エアロゾルフォーマ及び複数の多孔質サセプタ粒子を含み、
多孔質サセプタ粒子は、液体のエアロゾルフォーマのための担体となり、
カプセル1は、蓋11で封止されたシェル10を含んでいる、
エアロゾル発生システム8。」
2 引用文献2及び引用文献3
(1)引用文献2の記載
引用文献2には、次の記載がある。なお、引用文献2の当審訳については、引用文献2の公表公報である特表2019-526242号公報を参考にした。
ア 「1 . A cartridge for an aerosol-generating system, the cartridge comprising:
a first chamber having a first chamber housing and a second chamber separate to the first chamber and having a second chamber housing, wherein the first chamber contains an aerosol-forming substrate in the form of a gel, and wherein the second chamber contains a source of a compound for inhalation,
wherein the first and second chamber housings are separate or separable from one another.」(18ページ4~10行。「Claims 1」)
(当審訳)
【請求項1】
エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾル形成するエアロゾル発生システム用のカートリッジであって、第一のチャンバーハウジングを有する第一のチャンバーと、前記第一のチャンバーとは分離しており、かつ第二のチャンバーハウジングを有する第二のチャンバーとを備え、前記第一のチャンバーがゲルの形態の前記エアロゾル形成基体を収容し、また前記第二のチャンバーが吸入用の化合物の供与源を収容し、
前記第一のチャンバーハウジング及び前記第二のチャンバーハウジングが互いに分離している、又は互いに分離可能である、カートリッジ。
イ 「A susceptor may be located within the first or second chambers. For example, the gel may comprise a susceptor material.」(4ページ31~32行)
(当審訳)
サセプタは第一のチャンバー又は第二のチャンバー内に位置されうる。例えば、ゲルはサセプタ材料を含みうる。
ウ 「A first chamber 30 holds a first gel, containing nicotine and aerosol-former, and the second chamber 32 holds a second gel, containing shredded tobacco leaves.」(11ページ31~33行)
(当審訳)
第一のチャンバー30は、ニコチン及びエアロゾル形成体を含む第一のゲルを保持し、また第二のチャンバー32は、断片たばこ葉を含む第二のゲルを保持する。
エ 「It is also possible to provide susceptor material within the first and second chambers, suspended in the gel or other material contained there.」(15ページ7~9行)
(当審訳)
ゲル内に浮遊される、又はその他の材料がそこに含まれる第一及び第二のチャンバー内のサセプタ材料を提供することも可能である。
(2)引用文献3の記載
引用文献3には、次の記載がある。なお、引用文献3の当審訳については、引用文献3の公表公報である特表2019-526232号公報を参考にした。
ア 「1 . An aerosol-generating system comprising:
a device comprising a power supply and an electrical heater, the electrical heater connected to the power supply; and
a substrate cartridge containing an aerosol-forming substrate in the form of a thermoreversible gel that is solid at room temperature;
wherein the substrate cartridge is configured to be inserted into or connected to the device prior to use and removed or disconnected from the device after use.」(18ページ3~9行。「Claims 1」))
(当審訳)
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
電源及び電気ヒーターを備える装置であって、前記電気ヒーターが前記電源に接続される、装置と、
室温で固体である熱可逆性ゲルの形態のエアロゾル形成基体を収容する、基体カートリッジと、を備え、
前記基体カートリッジが、使用前に前記装置内に挿入され、又はそれに接続され、使用後に前記装置から取り外される、又は分離されるように構成される、エアロゾル発生システム。
イ 「A susceptor may be located within a chamber in the cartridge. For example, the gel may comprise a susceptor material.」(5ページ6~7行)
(当審訳)
サセプタは、カートリッジのチャンバー内に位置されうる。例えば、ゲルはサセプタ材料を含みうる。
ウ 「A first chamber 30 holds a first gel, containing nicotine and aerosol-former, and the second chamber 32 holds a second gel, containing shredded tobacco leaves.」(12ページ1~3行)
(当審訳)
第一のチャンバー30は、ニコチンおよびエアロゾル形成体を含む第一のゲルを保持し、第二のチャンバー32は、断片たばこ葉を含む第二のゲルを保持する。
エ 「It is also possible to provide susceptor material within the first and second chambers, suspended in the gel or other material contained there.」(14ページ17~19行)
(当審訳)
ゲル内に浮遊される、又はその他の材料がそこに含まれる第一及び第二のチャンバー内のサセプタ材料を提供することも可能である。
(3)周知の技術的事項
上記(1)及び(2)から、以下の技術的事項は周知であると認められる(以下「周知の技術的事項」という。)。
[周知の技術的事項]
「エアロゾル発生システムのカートリッジにおいて、チャンバーがゲルとサセプタ材料を含み、サセプタ材料がゲル内に埋め込まれていること。」
第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比する。
(1)後者の「エアロゾル発生システム8」は、エアロゾル発生装置7とカプセル1を備えるものであり、前者の「エアロゾル送達装置」に相当する。
(2)後者の「空洞703」は、エアロゾル発生装置7のハウジング70において、カプセル1を受容する開口した部分であるから、前者の「開口部」及び「受容チャンバ」に相当する。
後者の「ハウジング70」は、前者の「ハウジング」に相当する。
後者の「エアロゾル発生装置7」は、電源700、制御電子機器701及びインダクタ702をそのハウジング70内に収容するものであるから、前者の「制御本体」に相当する。
以上から、後者の「その一端に空洞703が画定されたハウジング70を有するエアロゾル発生装置7」は、前者の「その一端に開口部が画定されたハウジングを有する制御本体」に相当する。
(3)後者の「インダクタ702」は、例えばインダクタコイルであって、前者の「共振送信機」に相当する。
以上から、後者の「ハウジング70内に配置されたインダクタ702」は、前者の「制御本体内に配置された共振送信機」に相当する。
(4)後者の「電源700及び制御電子回路701」は、前者の「制御構成要素」に相当する。
以上から、後者の「インダクタ702を駆動するように構成された電源700及び制御電子回路701」は、前者の「共振送信機を駆動するように構成された制御構成要素」に相当する。
(5)後者の「カプセル1」は、タバコ材料、エアロゾルフォーマ、香味料、及びサセプタ材料を使用して製造され、誘導加熱されてエアロゾルを発生させるものであるから、前者の「エアロゾル源部材」に相当する。
以上から、後者の「ハウジング70の空洞703内に配置されるように構成されたカプセル1」は、前者の「その少なくとも一部が制御本体の受容チャンバ内に配置されるように構成されたエアロゾル源部材」に相当する。
また、後者の「カプセル1と、を備え」ることは、前者の「エアロゾル源部材が、カプセルを備えたゲル体構造を有」することと「エアロゾル源部材が、カプセルを備えた構造を有」する限りで一致する。
(6)後者の「タバコ材料」及び「複数の多孔質サセプタ粒子」は、前者の「タバコ基材」及び「多数の多孔質サセプタ粒子」に、それぞれ相当する。
以上から、後者の「カプセル1が、タバコ材料、エアロゾルフォーマ及び複数の多孔質サセプタ粒子を含み」は、前者の「エアロゾル源部材が、タバコ基材および多数の多孔質サセプタ粒子を含み」に相当する。
(7)後者の「エアロゾルフォーマ」は、グリセリン、プロピレングリコールなどであるから、前者の「エアロゾル前駆体組成物」に相当する。
後者の「多孔質サセプタ粒子は、液体のエアロゾルフォーマのための担体とな」ることは、多孔質サセプタの孔に液体のエアロゾルフォーマが入ることにより多孔質サセプタ粒子がエアロゾルフォーマを保持する担体となることを意味するから、前者の「多孔質サセプタ粒子には、エアロゾル前駆体組成物が注入され」ることに相当する。
(8)後者の「カプセル1は、蓋11で封止されたシェル10を含んでいる」ことは、カプセルが蓋とシェルの2部材で構成されることを意味するから、前者の「カプセルがツーピース構成を備えている」ことに相当する。
2 以上より、本願発明と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
「 エアロゾル送達装置であって、
その一端に開口部が画定されたハウジングを有する制御本体と、
制御本体内に配置された共振送信機と、
共振送信機を駆動するように構成された制御構成要素と、
その少なくとも一部が制御本体の受容チャンバ内に配置されるように構成されたエアロゾル源部材と、を備え、
エアロゾル源部材が、タバコ基材および多数の多孔質サセプタ粒子を含み、
多孔質サセプタ粒子には、エアロゾル前駆体組成物が注入され、
エアロゾル源部材が、カプセルを備えた構造を有し、
カプセルがツーピース構成を備えている、エアロゾル送達装置。」
[相違点]
「エアロゾル源部材」が有する「カプセルを備えた構造」が、本願発明は、「ゲル体構造」であり、「多数の多孔質サセプタ粒子がゲル体構造に埋め込まれている」のに対し、引用発明は、液体のエアロゾルフォーマのための担体となる多孔質サセプタ粒子を含むカプセル1にすぎず、ゲルについての特定はない点。
第6 判断
1 相違点についての判断
引用発明と周知の技術的事項(上記第4の2(3)を参照。)とは、エアロゾル発生システムに関するものである点で技術分野が共通し、さらにサセプタを用いてエアロゾルを発生させる点で作用・機能も共通するから、引用発明に当該周知の技術的事項を適用して、カプセル1において、複数の多孔質サセプタ粒子が、ゲル内に埋め込まれているゲル体構造とすることは、当業者が容易になし得るものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものである。
また、効果について検討しても、本願発明が、引用発明及び周知の技術的事項から予測できないような顕著な効果を奏すると認めることはできない。
2 請求人の主張
請求人は、上記第3の当審拒絶理由通知による拒絶理由に対して、令和7年9月2日提出の意見書の3.において、以下のとおり主張している。
「補正後の本願請求項1および8は、以下の本願図5および図6にも現れておりますように、エアロゾル源部材が、カプセルを備えたゲル体構造を有し、多数の多孔質サセプタ粒子がゲル体構造に埋め込まれており、カプセルがツーピース構成を備えていることが特徴として特定されております。
かかる特徴の全体そのものは、引用文献1-3の何れにも開示も示唆もされていないものと思料致します。よって、補正後の本願請求項1および8に記載の本願発明は、引用文献に対して進歩性を有するものであると思料致します。」
しかしながら、引用発明のカプセル1もツーピース構成を備えるものであるとともに、サセプタ材料がゲル内に埋め込まれることは周知の技術的事項であり、請求人が主張する特徴的な構成を含めて、本願発明が、引用発明及び周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものであることは、上記1で示したとおりである。
よって、請求人の主張は採用することができない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の技術的事項に基いて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-003942