特許拒絶査定不服審判
2022-018948
消火栓装置
- 審判番号
- 2022-018948
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-070918外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月25日
- 審決日
- 2024年06月11日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A62C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 70918「消火栓装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月30日出願公開、特開2021-151480〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特願2021-70918号(以下、「本願」という。)は、平成28年1月8日に出願された特願2016-2147号の一部を令和元年11月14日に新たな特許出願とした特願2019-205921号の一部を令和3年4月20日に新たな特許出願としたものであり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和4年5月26日付け :拒絶理由通知(発送日:同年6月1日)
令和4年7月7日 :意見書及び手続補正書の提出
令和4年9月1日付け :拒絶査定(発送日:同年9月14日)
令和4年11月25日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和5年11月9日付け :拒絶理由通知(発送日:同年11月15日)
令和5年12月27日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
令和5年12月27日に提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「筐体に外部からの給水配管を接続する消火栓接続口を設けると共に、消火用水を放水するノズル付きのホース及び前記消火栓接続口から前記ホースに至る配管系統を収納し、
前記筐体の前面部であって、前記ホースを収納するホース収納空間の側方であって前記配管系統を収納するバルブ類収納空間の上方の検知器収納空間に火災検知器を設け、
前記ホース収納空間の内部に、前記ホースを収納するホースバケットを設け、
更に、前記ホースバケットの前記検知器収納空間の下方に、前記ホースを前記筐体の前後方向に挿通するホース取出口を設け、
前記ホース収納空間及び前記バルブ類収納空間の前方を開放して前記ホースを前記ホースバケットに収納した状態で、前記ノズルの保持位置が、設置状態において前記前面部側から見たときに、前記ホース取出口と前記火災検知器との横方向の境界領域と縦方向の境界領域が重なる範囲に配置されるように、前記ホースバケットの右端にノズルホルダを設け、且つ前記ホース取出口の上端部が、前記ノズルの保持位置よりも下方に形成されたことを特徴とする消火栓装置。」
第3 拒絶の理由
令和5年11月9日付けで当審が通知した拒絶理由通知中の理由4は、次のとおりのものを含むものである。
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載の技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2015-12880号公報
引用文献3:特開2015-80544号公報
第4 引用文献
1 引用文献1の記載及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同じ。)。
ア「【0001】
本発明は、 筐体前面の開口に設けた前傾式扉を開いて、前記筐体のホース収納部に内巻きして収納したノズル付きのホースを引き出して放水する消火栓装置に関する。」
イ「【0030】
[消火栓装置の概要]
図1は本発明の消火栓装置を示した正面図、図2は図1について前傾式扉を外して本体内部構造を示した正面図、図3は筐体内のバケットフレーム構造を示した正面図、図2は前傾式扉を開いた状態で本体内部構造を示した正面図、図5は前傾式扉を開いた状態で内部構造を示した平面図、図6は前傾式扉を開いた状態で内部のバケットフレーム構造を示した右側面図である。」
ウ「【0031】
(外部構造の概略)
図1に示すように、消火栓装置10は、消火栓側と消火器側に筐体12を分割した構造であり、前面に分割した化粧板14を各々装着し、筐体12に対し必要な機器及び部材を組付けた後に連結固定し、この状態でトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。」
エ「【0038】
(内部構造の概略)
図2に示すように、前傾式扉18を外し、保守扉22は上向きに開いてステー27で支持した状態で内部構造を示している。尚、保守扉22は、消火栓装置の保守以外には通常閉じられている。筐体12の略中央にはホース収納空間36を形成し、その右側にバルブ類収納空間38を形成している。なお、筐体12の左側の消火器収納空間39には、2本の消火器37を収納している。」
オ「【0039】
(ホース収納空間)
ホース収納空間36には、フレームパイプにより構成されたホースバケット構造を設ける。ホースバケット構造は、 図3に示すように、水平方向の2本のバケットフレーム40と縦方向の2本のホースガイド42を配置し、2本のホースガイド42の下側に、前方に張出し形成された張出ホースガイド47を水平に設け、2本のバケットフレーム、下側のホースガイド42及び張出ホースガイド46で囲んだ矩形のホース取出口45を仕切り形成している。」
カ「【0043】
バケットフレーム40及び筐体内壁で囲まれたホース収納空間36にはホース44を内巻きして収納している。ここで、ホース収納空間36へのホース44の巻き込みは、扉開口部16から見て右巻きとなるようにホース44を巻き込んでいる。」
キ「【0044】
ホース44の先端にはノズル48を装着し、ノズル48は放水部とハンドルから構成しており、バケットフレーム40の右端に固定した取付板43のノズルホルダ50に対し放水部を横向きに保持した状態で、ハンドルは放水部の下側に位置して前傾式扉18の開放による下側扉開口部の中央方向に向くように保持している。」
ク「【0045】
図5の内部構造に示すように、ホース収納空間36には平面から見て横L字形にバケットフレーム40を配置し、筐体内壁との間に形成したホース収納空間36にホース44を右巻きにより内巻き状態で収納している。またパケットフレーム40の奥行き部分には、ホース44の滑り止めとして機能するゴムチューブ等の摩擦部材47を装着している。」
ケ「【0046】
(バルブ類収納空間)
ホース収納空間36の右側に形成したバルブ類収納空間38には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口51からホース44に至る配管系統に、給水弁52、消火栓弁、自動調圧弁56、自動排水弁、安全弁及びメンテナンス装置57を設けている。このうち消火栓弁に設けた消火栓弁開閉レバー60に対応して銘板を設け、その裏側に消火栓弁、自動排水弁58(図5参照)を配置している。」
コ「【0047】
[前傾式扉のホースガイド構造]
(ガイドポールの構成)
図4、図5及び図6に示すように、前方に開放した前傾式扉18の裏側には、筐体12側のホース取出口45に相対してその前方両側となる位置に一対のガイドポール64を起立し、ホース取出口45から引き出したホース44を一対のガイドポール64の間を通して外部に引き出すようにしている。」
サ「
[図:0001412724000001.jpg]
」(図2)
シ「
[図:0001412724000002.jpg]
」(図3)
ス「
[図:0001412724000003.jpg]
」(図5)
セ「
[図:0001412724000004.jpg]
」(図6)
(2)認定事項
ア 上記(1)ケの【0046】の記載事項及びサの【図2】の図示内容から、筐体12にポンプ設備からの配管を接続する消火栓接続口51が設けられると認められ、バルブ類収納空間38には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口51からホース44に至る配管系統に、給水弁52、消火栓弁、自動調圧弁56、自動排水弁、安全弁及びメンテナンス装置57を設けているから、バルブ類収納空間38は配管系統を収納すると認められる。
イ 上記(1)アの【0001】及びキの【0044】の記載事項から、先端にノズル48が装着されたホース44を引き出して放水することが記載されているから、ノズル48付きのホース44は放水すると認められる。
ウ 上記(1)エの【0038】の記載事項及びサの【図2】の図示内容から、バルブ類収納空間38は、消火栓装置10の前傾式扉18を外し、保守扉22は上向きに開いた状態で筐体12から露出されるから、筐体12の前面部に設けられていると認められる。
エ 上記(1)オの【0039】、カの【0043】及びコの【0047】の記載事項、サの【図2】、シの【図3】及びスの【図5】の図示内容から、ホース収納空間36にはホースバケット構造が設けられ、ホースバケット構造に配置されるバケットフレーム40及び筐体12内壁で囲まれたホース収納空間36にはホース44が収納されているから、ホース収納空間36の内部に、ホース44を収納するホースバケット構造が設けられると認められる。更に、ホースバケット構造は水平方向の2本のバケットフレーム40と縦方向の2本のホースガイド42を配置し、2本のホースガイド42の下側に、前方に張出し形成された張出ホースガイド47を水平に設け、2本のバケットフレーム、下側のホースガイド42及び張出ホースガイド46で囲んだ矩形のホース取出口45を仕切り形成し、ホース取出口45からホース44が筐体12の後方から前方へ引き出されているから、ホースバケット構造の下方に、ホース44を筐体12の前後方向に挿通するホース取出口45が設けられると認められる。
オ 上記(1)キの【0044】の記載事項から、ホースバケット構造を構成するバケットフレーム40の右端に固定した取付板43にノズルホルダ50が設けられているから、ホースバケット構造の右端にノズルホルダ50が設けられると認められる。
カ 上記(1)オの【0039】及びキの【0044】の記載事項、サの【図2】の図示内容から、ホース取出口45の上端部は、ノズルホルダ50よりも下方に形成されると認められる。
(3)引用文献1記載の発明
引用文献1の上記(1)の記載事項及び上記(2)の認定事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「筐体12にポンプ設備からの配管を接続する消火栓接続口51を設けると共に、消火用水を放水するノズル48付きのホース44及び前記消火栓接続口51から前記ホース44に至る配管系統を収納し、
前記筐体12の前面部であって、前記ホース44を収納するホース収納空間36の右側であって前記配管系統を収納するバルブ類収納空間38を設け、
前記ホース収納空間36の内部に、前記ホース44を収納するホースバケット構造を設け、
更に、前記ホースバケット構造の下方に、前記ホース44を前記筐体12の前後方向に挿通するホース取出口45を設け、
前記ホースバケット構造の右端にノズルホルダ50を設け、且つ前記ホース取出口45の上端部が、前記ノズルホルダ50よりも下方に形成された消火栓装置10。」
2 引用文献3の記載及び引用発明
(1)引用文献3の記載事項
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
ア「【0001】
この発明は、例えば高速自動車道等のトンネルに設置される消火栓装置に関し、特に火災検知器を備えた消火栓装置に関するものである。」
イ「【0004】
従来のトンネルでは、火災検知器および消火栓装置を設置するためには、それぞれ、コンクリート躯体の壁面にアンカーボルトなどを用いて個別に固定する必要があり、設置作業が煩雑で設置コストが高くなるという課題があった。」
ウ「【0005】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本体内の空きスペースに火災検知器を配置するようにし、コンクリート躯体への火災検知器の煩雑な設置作業を不要とし、設置コストを低減できる消火栓装置を得ることを目的とする。」
エ「【0006】
この発明による消火栓装置は、前面を開口する箱形の筐体と、上記筐体の前面に取り付けられる前面パネルと、上記前面パネルに形成された開口部を開閉可能に上記前面パネルに取り付けられる扉体と、を備え、消火用ホースを収納するホース収納部が上記筐体内に設けられる。そして、取付架台が、上記ホース収納部の幅方向の側方に、機器載置面を前方に向けて、上記筐体に固定され、火災検知器が、光学窓を上記筐体から前面側に突出させて、上記機器載置面に載置されて上記取付架台に取り付けられ、火災検知器カバーが、上記火災検知器の前面側から、上記光学窓を突出させて、上記取付架台に取り付けられている。」
オ「【0007】
この発明によれば、火災検知器が、消火栓装置の本体内の空きスペースを利用して、本体内に設置されているので、火災検知器をコンクリート躯体に取り付ける煩雑な作業が不要となり、トンネル内の非常用設備の設置コストを低減できる。
また、火災検知器と火災検知器カバーが、筐体に固定された取付架台に取り付けられているので、火災検知器と火災検知器カバーを取付架台に前方から順次取り付けることができ、火災検知器と火災検知器カバーの取り付け作業性が高められる。」
カ「【0026】
この発明によれば、消火栓装置1の本体内の配管系統7の上部側の空きスペースを利用して、火災検知器20を本体内に設置しているので、火災検知器20をコンクリート躯体に取り付ける煩雑な作業が不要となり、トンネル内の非常用設備の設置コストを低減できる。」
キ「【0027】
筐体2に取り付けられた取付架台30に、火災検知器20と火災検知器カバー12を取り付けるようになっている。そのため、火災検知器20と火災検知器カバー12を取付架台30に前方から順次取り付けることができるので、火災検知器20と火災検知器カバー12の取り付け作業性が高められる。」
ク「【0028】
消火用ホース4に消火用水を供給する配管系統7が本体内のホース収納部の本体幅方向他側、かつ下部側に配設され、取付架台30が配管系統7の上部側に配設されているので、取付架台30が本体内の空きスペースに配置され、消火栓装置1の小型化が図られる。」
ケ「
[図:0001412724000005.jpg]
」(図1)
コ「
[図:0001412724000006.jpg]
」(図3)
サ「
[図:0001412724000007.jpg]
」(図4)
シ「
[図:0001412724000008.jpg]
」(図11)
(2)認定事項
上記(1)アの【0001】、ウの【0005】、キの【0027】及びクの【0028】の記載事項、ケの【図1】の図示内容から、引用文献3には、消火栓装置において、本体内の空きスペースに火災検知器を配置するようにし、火災検知器の煩雑な設置作業を不要とし、設置コストを低減できる消火栓装置を得ることを目的として、火災検知器が取り付けられる取付架台30を本体内のホース収納部の本体幅方向他側、かつ下部側に配設された配管系統7の上部側の空きスペースに配置する技術(以下、「引用文献3記載技術」という。)が記載されており、この空きスペースは本願発明における「検知器収納空間」に相当すると認められる。
第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
(1)引用発明の「筐体12」は本願発明の「筐体」に相当し、以下同様に、「ポンプ設備からの配管を接続する消火栓接続口51」は「外部からの給水配管を接続する消火栓接続口」に、「放水する」という態様は「消火用水を放水する」という態様に、「ノズル48付きのホース44」は「ノズル付きのホース」に、「ホース収納空間36」は「ホース収納空間」に、「右側」は「側方」に、「バルブ類収納空間38」は「バルブ類収納空間」に、「ホースバケット構造」は、「ホースバケット」に、「ホース取出口45」は「ホース取出口」に、「ノズルホルダ50」は「ノズルホルダ」に、それぞれ相当する。
(2)引用発明において、引用文献1の上記第4の(1)キの【0044】の記載事項及びサの【図2】の図示内容から、ノズル48はノズルホルダ50に保持されることは明らかであり、ノズルホルダ50の位置がノズルを保持する位置といえることから、引用発明の「前記ホース取出口45の上端部が、前記ノズルホルダ50よりも下方に形成された」という態様は本願発明の「前記ホース取出口の上端部が、前記ノズルの保持位置よりも下方に形成された」という態様に相当する。
2 したがって、本願発明と引用発明とは以下の点で一致する。
「筐体に外部からの給水配管を接続する消火栓接続口を設けると共に、消火用水を放水するノズル付きのホース及び前記消火栓接続口から前記ホースに至る配管系統を収納し、
前記筐体の前面部であって、前記ホースを収納するホース収納空間の側方であって前記配管系統を収納するバルブ類収納空間を設け、
前記ホース収納空間の内部に、前記ホースを収納するホースバケットを設け、
更に、前記ホースバケットの下方に、前記ホースを前記筐体の前後方向に挿通するホース取出口を設け、
前記ホースバケットの右端にノズルホルダを設け、且つ前記ホース取出口の上端部が、前記ノズルの保持位置よりも下方に形成された消火栓装置。」
3 そして、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
[相違点1]本願発明は、バルブ類収納空間の上方の検知器収納空間に火災検知器を設けているのに対し、引用発明は、バルブ類収納空間38の上方に検知器収納空間を設けておらず、火災検知器を設けていない点。
[相違点2]本願発明は、ホースバケットの検知器収納空間の下方に、ホース取出口を設けているのに対し、引用発明は、ホースバケット構造の下方に、ホース取出口45を設けている点。
[相違点3]本願発明は、ホース収納空間及びバルブ類収納空間の前方を開放してホースをホースバケット構造に収納した状態で、ノズルの保持位置が、設置状態において前記前面部側から見たときに、ホース取出口と火災検知器との横方向の境界領域と縦方向の境界領域が重なる範囲に配置されているのに対し、引用発明は、火災検知器を備えていないから、ホース取出口と火災検知器との横方向の境界領域と縦方向の境界領域が重なる範囲が特定されず、ノズルの保持位置が、前記範囲に配置されていない点。
第6 判断
1 [相違点1]について
上記第4の2(2)で認定したように、引用文献3には、以下の引用文献3記載技術が記載されている。
「消火栓装置において、本体内の空きスペースに火災検知器を配置するようにし、火災検知器の煩雑な設置作業を不要とし、設置コストを低減できる消火栓装置を得ることを目的として、火災検知器が取り付けられる取付架台30を本体内のホース収納部の本体幅方向他側、かつ下部側に配設された配管系統7の上部側の空きスペースに配置する技術」
引用発明と引用文献3記載技術とは、消火栓装置に関する点で技術分野が共通している。そして、火災検知器の煩雑な設置作業を不要とし、設置コストを低減するために、消火栓装置内に火災を監視するための装置を配置することは、極めて周知な課題であり、引用発明も当然内在している。よって、当該課題を解決するために、引用発明に引用文献3記載技術の火災検知器を採用することは、当業者が適宜なし得ることである。その際に、引用文献3記載技術の「空きスペース」同様に、引用文献1の図2等から、下記参考図に示すように、筐体12内のホース収納空間36の右側、すなわち筐体12
幅方向他側、かつ下部側に配設された配管系統の上部側に空きスペースが看て取れることから、当該空きスペースに火災検知器を設けて、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
(参考図)
[図:0001412724000009.jpg]
2 [相違点2]について
引用文献1の図2等から、上記参考図で示すように、上記1で検討した引用文献1記載の空きスペースは、ホース取出口45よりも上方にあると看て取れる。よって、上記1で検討したように、引用発明に引用文献3記載技術を採用すると、必然的に引用発明のホース取出口45は、ホースバケット構造において火災検知器を収納した検知器収納空間の下方に配置されるから、本願発明の相違点2に係る構成は、引用発明に引用文献3記載技術を採用することにより必然的に付随する構成に過ぎない。
3 [相違点3]について
上記第4の1(1)エの【0038】の記載事項及びサの【図2】の図示内容から、上記1で検討した引用文献1記載の空きスペースは、前傾式扉18を外し、保守扉22を上向きに開いて支持し、ホース44を収納した状態でホース取出口45と横方向及び縦方向でずれた位置にあり、上記参考図で示すように、ノズルホルダ50は、ホース取出口45と前記空きスペースとの横方向の境界領域と縦方向の境界領域が重なる範囲に概ね配置されていると看て取れる。
よって、上記1で検討したように、引用発明に引用文献3記載技術を採用すると、必然的に引用発明のノズルホルダ50は、ホース取出口45と火災検知器との横方向の境界領域と縦方向の境界領域が重なる範囲に概ね配置されることとなり、当該ノズルホルダ50でノズル48を保持する位置を上記範囲にすることは、引用発明に引用文献3記載技術を採用することにより必然的に付随する構成であるか、そうでないとしても当業者が必要に応じて適宜なし得る設計変更に過ぎない。
そうすると、引用発明に引用文献3記載技術を採用して、本願発明の相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
4 小括
そして、相違点1~3に係る本願発明の発明特定事項を備えることにより奏される効果を勘案しても、本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献3記載技術の奏する効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
よって、本願発明は、当業者が引用発明及び引用文献3記載技術に基いて容易に発明をすることができたものである。
5 令和5年12月27日提出の意見書における審判請求人の主張について
(1)上記意見書において審判請求人は、以下のように主張している。
ア 「引用文献1-3が、共にトンネル消火栓装置という同一の技術分野に属したとしても、引用文献1の「ホースの引き出し方向を規制して機器との干渉を防止する」という課題と、引用文献2、3の「設置コストを低減する」という課題が異なり、また、両者を組み合わせることの示唆や動機付けとなる記載もない。」
イ 「仮に、引用文献1-3を組み合わせたとしても、ホース取出口が火災検知器の下方且つ側方に設けられ、ホース取出口の上端部がノズルの保持位置よりも下方に形成されたというレベルでしかなく、本願発明の『ノズルの保持位置が、設置状態において前面部側から見たときに、ホース取出口と火災検知器との横方向の境界領域と縦方向の境界領域が重なる範囲に配置されるように、ホースバケットの右端にノズルホルダを設けた』ことまでは特定できず、本願請求項1に係る発明を教示しない。」
(2)上記審判請求人の主張について、以下検討する
ア 上記アの主張に関し、上記1で説示したとおり、引用文献3には引用文献3記載技術が記載されているところ、火災検知器の煩雑な設置作業を不要とし、設置コストを低減するために、消火栓装置内に火災を監視するための装置を配置することは、極めて周知な課題であり、引用発明も当然内在している。よって、当該課題を解決するために、引用発明に引用文献3記載技術の火災検知器を採用することは、当業者が適宜なし得ることである。
イ 上記イの主張に関し、上記2及び3において判断したように、引用発明に引用文献3記載技術を採用して、「ノズルの保持位置が、設置状態において前面部側から見たときに、ホース取出口と火災検知器との横方向の境界領域と縦方向の境界領域が重なる範囲に配置されるように、ホースバケットの右端にノズルホルダを設けた」構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
ウ したがって、審判請求人の主張は当を得たものではなく、採用できない。
6 まとめ
以上より、本願発明は、引用発明及び引用文献3記載技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献3記載技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-018948