特許拒絶査定不服審判
2023-002811
膨大な存在数の既存等の電柱へ放水消火設備設置消防方法
- 審判番号
- 2023-002811
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-067066
- 請求日
- 2023年01月31日
- 審決日
- 2024年04月30日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】坂井 貴義
- 審判長/審判官
- 審判長 河端 賢
- 審判官 倉橋 紀夫
- 審判官 青木 良憲
- 分類
- P18 .121-WZ (A62C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-67066「膨大な存在数の既存等の電柱へ放水消火設備設置消防方法」拒絶査定不服審判事件〔令和3年9月27日出願公開、特開2021-146157〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年3月16日に出願された特願2020-67066号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 4年 7月27日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 9月 7日提出:意見書
令和 4年10月31日付け:拒絶査定
令和 5年 2月 2日提出:審判請求書、手続補正書
令和 5年11月 2日付け:拒絶理由通知書
令和 5年12月 6日提出:意見書、手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和5年12月6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「新たに柱やポールを立てる必要がなく膨大に存在する既存電柱を利用しこれに放水初期消火設備を設置することにより、消防車の到着を待たずして、火災発生時、迅速に電柱に設置した放水初期消火設備から、火災発生場所に放水初期消火を行ない、延焼防止し、大規模火災を防ぎ、日本国民の火災からの人命と貴重な財産損失を防ぐことができる消防方法」
第3 拒絶の理由
令和5年11月2日付けで当審が通知した拒絶理由の理由3は、次の通りのものである。
本願発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2~5にみられる周知の技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2005-36779号公報
引用文献2:特開2001-238970号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開平9-162823号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2004-173993号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5:実願昭62-199735号(実開平1-101560号) のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
ア 「【発明の名称】電柱」
イ 「[発明の属する技術分野]
【0001】
本発明は、風力発電装置、太陽光発電装置、その他燃料電池をはじめいろいろなものを設置できる、電柱への設置構成方法に関するものである。
[従来の技術]
【0002】
従来の電柱は、電線と電話線をはるための利用がほとんどであった。もちろん地中化は良いが、やはり費用がかかる。電柱は道路上で大変邪魔な存在である。景観も崩してしまう。日常生活において、大変重要な役目があるし、なくてはならないのであるならば、このスペースや、電柱のより有効利用がはかれないか、多くの問題がある。
[発明が解決しようとする課題]
【0003】
現在の我が国では、国民の日常生活をする際に電気電話はなくてはならない。そのためには電柱というものはなくてはならない。電線や電話線(照明)のみの利用ではあるが、より有効な利用方法がないかということになる。
【0004】
そこで本発明は、電柱があるのであるなら、なくすことはできても費用がかかるゆえあるのであるなら、このある電柱並びに道路スペース等を今よりより有効に利用することを課題とする。」
ウ 「【0007】
本発明の電柱を用いることにより、通常電線や電話線のための電柱が、よりエネルギー供給の面でも活用がはかれるようになる。普段邪魔者扱いされている電柱も、見直されることにもなる。まず、図1、図2に基づき本発明の実施形態について説明する。この電柱1は上部に風力発電装置2を取り付ける。また電柱上部ないし側面に太陽発電装置5を取り付けてある。また変圧器11を取り付けてある。また、プレート40に取り付けてある太陽光発電装置2の上部には鳥よけ汚れ取りの回転装置、鳥よけクリーナー12を取り付けてある。また下部には電光掲示版10や電飾版、立体看板等立地の状況でいろいろと取り付けることができる。」
エ 「【0017】
図22、図23、図24に基づき実施形態について説明する。図22は、U字型電柱17を家の四方に取り付け、ブリッジ6で固定する。U字型電柱17は家をカバーする形にもなり、一つに家、建物の耐震構造の強化、また防火設備をつけることによって、防火対策も図れる。」
オ 「[発明の効果]
【0022】
以上のように本発明によれば、今までに邪魔扱いされてきた電柱を、エネルギー発生供給できる拠点とすることができ、都市の中でも手軽に電気を作ることができ、スペースも路上、線路上等、街中の限られた空間の中にも設けることができ、又、需要消費地が近いということで、効率化、合理化をはかれる。商店街などにも電柱を利用したアーケードが簡単にでき、住宅、マンションにも利用できる。電柱の強度を上げることができ、建物の耐震構造の強化、補強になり、消火設備を付けることによって防火対策にも役立つ。」
(2)引用文献1の上記(1)の記載事項から、引用文献1には、以下の事項が記載されていると認められる。
ア 上記(1)イの【0004】の記載事項から、既存の電柱をより有効に利用することを課題としていると認められることから、上記(1)イの「風力発電装置、太陽光発電装置、その他燃料電池をはじめいろいろなものを設置できる、電柱」の「電柱」とは、少なくとも既存の電柱を含むと認められる。
(3)引用文献1の上記(1)の記載事項及び上記(2)の認定事項から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「既存の電柱に、風力発電装置、太陽光発電装置、その他燃料電池をはじめいろいろなものを設置できる、電柱への設置構成方法。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大型施設内の大空間のように、効率的に消火することが難しい場所に用いて好適な局所用消火装置、大型施設用消火装置及び大型施設用消火システムに関する。」
イ 「【0006】本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、大空間での火災に対して早期発見、早期消火を可能にした局所用消火装置、大型施設用消火装置及び大型施設用消火システムを提供することを目的とする。」
ウ 「【0020】この大型施設用消火システム11は主に、消火剤を噴き出す噴出部12と、各噴出部12に消火剤を供給する消火剤供給系13と、火災の発生を検知する火災検知センサ14と、この火災検知センサ14からの火災検知信号に基づいて消火剤供給系13を制御し、火災近傍の噴出部12から消火剤を噴出させる制御部15とを備えて構成されている。
【0021】消火剤供給系13は、消火剤としての消火用水を貯えた消火用水槽17と、この消火用水槽17内の消火用水をくみ上げて設定圧力で噴出部12に送り出すポンプ18と、このポンプ18から送り出された消火用水をドーム1内全体に配設された各噴出部12に供給する供給配管19と、各噴出部12近傍の供給配管19に設けられて供給配管19を開閉制御する開閉弁20とを備えて構成されている。なおここでは、消火剤供給系13として、噴出部12の近傍まで常時消火用水が供給されている湿式構造の供給系を用いている。」
エ 「【0026】上述の横向き型放水ヘッド及び上向き型放水ヘッドは、その取付場所や消火用水の噴出方向等の条件に応じて適宜選択される。横向き型放水ヘッドは、図2及び図8に示すように、レストハウス3の壁面や屋根や内部、樹木6、街灯8、イス9、山の斜面、ドーム1の側壁等に設けられ、消火用水を横方向に噴出させる。上向き型放水ヘッドは、レストハウス3の屋根や内部や床部、道路5の地面、会場7の床部、山の斜面等に設けられ、消火用水を縦方向に噴出させる。これら横向き型放水ヘッド及び上向き型放水ヘッドは、その設置位置を厳密に区別できるものではなく、消火用水を放水させる態様に応じて適宜選択する。
【0027】放水ヘッドを街灯8に取り付けるときは、図9に示すようになる。街灯8は主に、支柱部8Aと、ランプ部8Bとからなる。支柱部8Aの内部には供給配管19が通されている。噴出部12は、支柱部8Aのうち、地上3~5mくらいの高さの位置に設けられている。この噴出部12には、横向き型放水ヘッドが用いられ、支柱部8Aに、等間隔に2~4個程度設けられる。この噴出部12に、支柱部8A内を通された供給配管19が接続されている。
【0028】樹木6の場合も街灯8と同様にして噴出部12が設けられている。なお、樹木6の場合、供給配管19を樹木6内に設けることはできないので、外側面に這わせる。樹木6が人工の場合は、内部に配設される。」
オ 「【0052】以上により、ドーム1内の大空間での火災に対して早期発見、早期消火が可能になる。」
3 引用文献3について
(1)引用文献3には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、市街地等に設置されて、平常時には市民や役所等の通信手段、或は広報手段として使用され、非常時には、映像等を用いた災害情報の送信、把握、或は緊急通信手段等の公共の用に供する情報通信装置の技術に関する。」
イ 「【0013】さらに、ボックス内には、通常の配電線とは別個に設けられた非常電源回路からなる非常電源(図示せず)が装備され、一般使用電力供給用とは異なった経路で、非常用の電気供給ができるようになっている。かかる非常電源も、平常時には、多目的公共通信情報装置を中心としたイベント等での、各種電気設備用の臨時電源として使用できるものである。また、ボックス内には給水用配管が通され、消火手段として消火栓100がボックス側面に設けられている。多目的公共通信情報装置自体に消火栓100を設けることにより、速やかな自己消火が行なえるようになっている。消火手段としては、温度関知センサーにより自動的に作動するスプリンクラーを設けておいても構わない。また夜間照明用に、ボックスの上方には通常照明71が設けられている。」
4 引用文献4について
(1)引用文献4には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0003】
いざ火災が発生すると、被害を最小限にとどめるためには早期発見による初期消火が最も重要であり、一部の建物にはスプリンクラー設備等が設置されている。しかしながら、スプリンクラー設備は屋内での火事の早期発見、初期消火を担うものであり、放火のように屋外から延焼するようなケースでは効果を発揮できないという問題点がある。このような問題点を解決するために特許文献1に示されているように、屋外の雨どいの下方に散水管を設置し、延焼を防止しようとするものがある。
【0004】
図9はこの従来の防火用散水管の設置図である。建物の屋根301の軒には雨どい303が設けられており、この雨どい303に支持されるように防災用散水管304が設けられている。この防災用散水管304には建物の壁面302に向けて多数の小穴が開けられており、防火用散水管の元弁を開くことで壁面302に向けて散水が行われるようになっている。」
イ 「
[図:0001411862000001.jpg]
」
5 引用文献5について
(1)引用文献5には、以下の事項が記載されている。
「(産業上の利用分野)
この考案は、例えば化学コンビナートにおける各種建造物外周の敷地内に適当間隔を隔てて点在設置して、火災発生時に建造物の設定指向箇所に向かって放水することで、特に初期消火を行わせるべく使用される消火用放水装置に関するものである。」(明細書2頁7行~13行)
第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
引用発明の「既存の電柱」は本願発明の「膨大な数の既存電柱」に相当する。
また、引用発明の「風力発電装置、太陽光発電装置、その他燃料電池をはじめいろいろなもの」と前者の「放水初期消火設備」とは、「設備」という限りにおいて一致し、以下同様に、「既存の電柱に、風力発電装置、太陽光発電装置、その他燃料電池をはじめいろいろなものを設置できる」という態様と「新たに柱やポールを立てる必要がなく膨大に存在する既存電柱を利用しこれに放水初期消火設備を設置することにより、消防車の到着を待たずして、火災発生時、迅速に電柱に設置した放水初期消火設備から、火災発生場所に放水初期消火を行ない、延焼防止し、大規模火災を防ぎ、日本国民の火災からの人命と貴重な財産損失を防ぐことができる」という態様とは、「新たに柱やポールを立てる必要がなく膨大に存在する既存電柱を利用しこれに設備を設置する」という態様の限りにおいて一致し、「電柱への設置構成方法」と「消防方法」とは、「方法」という限りにおいて一致する。
2 よって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
「新たに柱やポールを立てる必要がなく膨大に存在する既存電柱を利用しこれに設備を設置する方法」
3 そして、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
[相違点]
本願発明は、設備が「放水初期消火設備」であり、放水初期消火設備を設置することにより、「消防車の到着を待たずして、火災発生時、迅速に電柱に設置した放水初期消火設備から、火災発生場所に放水初期消火を行ない、延焼防止し、大規模火災を防ぎ、日本国民の火災からの人命と貴重な財産損失を防ぐことができる消防方法」であるのに対し、引用発明は、設備が「いろいろなもの」であり、「電柱への設置構成方法」である点。
第6 判断
1 [相違点]について
(1)上記第4の1(1)オのとおり、引用文献1の【0022】には、「今までに邪魔扱いされてきた電柱」に設置する設備として「消火設備」が記載されており、当該消火設備の設置により「防火対策にも役立つ」ことが記載されている。すなわち、引用発明の既存の電柱に設置できる「いろいろなもの」は、消火設備を含むといえ、それにより「防火対策にも役立つ」ことが理解できる。
また、消火設備として放水して初期消火を行う「放水初期消火設備」は、上記第4の2~5に示した引用文献2~5にそれぞれみられるように周知の技術である。
そして、引用発明の既存の電柱に設置できる「いろいろなもの」に含まれる「消火設備」の具体化手段として、消火するという共通の機能を有する上記周知の技術を採用する動機付けがあるといえ、そのような上記周知の技術の採用により、「消防車の到着を待たずして、火災発生時、迅速に電柱に設置した放水初期消火設備から、火災発生場所に放水初期消火を行ない、延焼防止し、大規模火災を防ぎ、日本国民の火災からの人命と貴重な財産損失を防ぐことができる消防方法」とすることができるといえることから、引用発明に上記周知の技術を採用して相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
(2)なお、仮に、引用発明の既存の電柱に設置できる「いろいろなもの」に「消火設備」が含まれないとしても、上記第4の1(1)オのとおり、引用文献1の【0022】には、「電柱に消火設備を付ける」という技術(以下、「引用文献1記載技術」という。)が記載されており、それによって「防火対策にも役立つ」ことが記載されている。
そして、防火対策を図ることは、技術分野を問わず周知の課題であって引用発明においても当然に内在する課題であるといえ、そのような内在する周知の課題を解決するために、引用発明に引用文献1記載技術を採用し、その際、消火設備の具体化手段として上記周知の技術を採用して、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
(3)また、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知の技術、又は、引用発明並びに引用文献1記載技術及び周知の技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
2 審判請求人の主張
(1)令和5年12月6日提出の意見書において、審判請求人は、以下のように主張している。
ア 「理由3で引用文献1は、「既存の電柱に、風力発電装置、太陽光発電装置、その他燃料電池をはじめいろいろなものを設置できる、電柱への設置構成方法。」とあり、引用文献1の主たる目的は、電力供給であり、消防方法ではない。
単に、いろいろなものを設置できるとついでに書いてあるだけである。」
イ 「又、引用文献1の図面には、電柱をU字型に連結しさらにブリッジで建物の四方に電柱を立て囲むようにした上で耐震構造の強化、また防火設備をつけることによって、防火対策も図れるとあり、本願のように電柱1本を単独で使用するのではなく、電柱への、防火設備の取り付け方の記載もなく単に取り付ければ防火対策も図れるとの記載のみで本願とは著しく相違している、引用文献1の消火設備には具体性が記載されていない。」
ウ 「 また引用文献1の「設備」という語句と、本願の「設備」と記載した語句が「設備」という限りにおいて一致し、とあるがそれならば、公園の噴水設備と水のみ設備も設備という限りにおいて一致すると言うのと同様で設備の規模は、全く相違するものであり、過大解釈、拡大解釈である。」
エ 「引用文献1の消火設備は、1軒の家の四方を電柱で囲み消火設備を付ける限定的範囲のものであるが、本願は、新たに建物の四方に電柱を立てる必要はなく、既存の電柱1本に単独で付けるものであり電柱のあるところであれば限定されず広範囲に付けられ電柱のある膨大な範囲に付けられる。
よって、引用文献1の防火設備と本願とは、著しく相違している。」
(2)審判請求人の上記主張について、以下検討する。
ア 上記(1)アについて
上記第4の1(1)イの【0001】及び【0004】に記載されたとおり、引用発明は、電柱があるのであるなら、このある電柱並びに道路スペース等を今よりより有効に利用することを課題とした「電柱への設置構成方法」であって、電力供給を主たる目的としたものではない。
また、審判請求人も認めているように、引用文献1には、電柱に「いろいろなもの」を設置できることが記載されており、上記第4の1(2)アにて説示したとおり、当該電柱には、少なくとも既存の電柱を含むと認められる。
そして、引用発明の既存の電柱に設置できる「いろいろなもの」に「消火設備」が含まれるといえることは、上記1(1)にて説示したとおりである。
仮に、引用発明の既存の電柱に設置できる「いろいろなもの」に「消火設備」が含まれないとしても、上記1(2)にて説示したとおり、引用発明に引用文献1記載技術及び周知の技術を採用して、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
イ 上記(1)ウについて
「設備」に関し、上記第5の1及び2で、引用発明の「風力発電装置、太陽光発電装置、その他燃料電池をはじめいろいろなもの」と本願発明の「放水初期消火設備」とは「設備」という限りにおいて一致する、すなわち、「設備」という上位の概念において一致するとしつつ、当該「設備」に関し、上記第5の3で、本願発明は、設備が「放水初期消火設備」であり、引用発明は、設備が「いろいろなもの」である点で相違すると説示したとおりである。
ウ 上記(1)イ及びエについて
審判請求人の上記(1)イ及びエの主張は、上記第4の1(1)エの【0017】の記載に基づくものと認められる。
一方で、上記第4の1(1)オの【0022】には、「今までに邪魔扱いされてきた電柱」に「消火設備を付けることによって防火対策にも役立つ」ことが記載されており、この【0022】に記載された「今までに邪魔扱いされてきた電柱」は、必ずしも【0017】に記載された「家の四方に取り付け」た「U字型電柱17」であるとはいえない。
よって、上記1(1)にて説示したとおり、引用発明の既存の電柱に設置できる「いろいろなもの」に「消火設備」が含まれるといえる。
仮に、引用発明の既存の電柱に設置できる「いろいろなもの」に「消火設備」が含まれないとしても、上記1(2)にて説示したとおり、引用発明に引用文献1記載技術及び周知の技術を採用して、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
エ 以上より、上記第4の1(3)でした引用発明の認定、上記第5でした対比及び上記第6の1でした相違点に係る判断のとおりであり、審判請求人の主張は、採用することができない。
3 まとめ
以上より、本願発明は、引用発明及び周知の技術、又は、引用発明並びに引用文献1記載技術及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の技術、又は、引用発明並びに引用文献1記載技術及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-002811