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特許拒絶査定不服審判

2021-005071

消火栓装置

審判番号
2021-005071
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-205921外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月20日
審決日
2022年03月29日
公報発行日
2022年06月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A62C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-205921「消火栓装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年3月12日出願公開、特開2020-36942〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この出願(以下「本願」という。)は、平成28年1月8日に出願した特願2016-2147号の一部を令和元年11月14日に新たな特許出願としたものであって、令和元年12月5日に上申書が提出され、令和2年11月25日付け(発送日:同年12月2日)で拒絶理由が通知され、その指定期間内である令和3年1月5日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年1月20日付け(発送日:同年1月27日)で拒絶査定がされ、これに対し、令和3年4月20日に拒絶査定不服審判が請求され、その請求と同時に特許請求の範囲及び明細書を補正する手続補正書が提出され、当審において令和3年12月23日付け(発送日:令和4年1月5日)で拒絶理由が通知され、その指定期間内である令和4年2月9日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし6に係る発明は、令和4年2月9日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 〔本願発明〕 「筐体に外部からの給水配管を接続する消火栓接続口を設けると共に、消火用水を放水するノズル付きのホース及び前記消火栓接続口から前記ホースに至る配管系統を収納し、 前記筐体の前面部であって前記配管系統の上方に火災検知器を設け、 更に、前記火災検知器の下方且つ側方に、前記ホースを前記筐体の前後方向に挿通するホース取出口を設け、 前記火災検知器の下方であって前記ホース取出口の上方に、前記ホースの前記ノズルを着脱自在に保持する保持部材を設けたことを特徴とする消火栓装置。」 第3 当審において通知した拒絶の理由について 当審において令和3年12月23日付けで通知した拒絶の理由のうち、進歩性についての概要は以下のとおりである(以下「当審拒絶理由」という。)。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項1ないし6 ・引用文献等2及び3 <引用文献等一覧> 2.特開2015-12880号公報 3.特開2014-87416号公報 第4 引用文献 1 引用文献2 当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-12880号公報(以下「引用文献2」という。)には、「消火栓装置」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同じ。)。 (1)「【技術分野】 【0001】 本発明は、 筐体前面の開口に設けた前傾式扉を開いて、前記筐体のホース収納部に内巻きして収納したノズル付きのホースを引き出して放水する消火栓装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネルに設置されるトンネル消火栓装置は、開放自在な前傾式扉を備えた筐体内に、先端にノズルを装着したホースとバルブ類を収納し、また、開閉自在な消火器扉を備えた消火器収納部に例えば2本の消火器を収納している。」 (2)「【発明を実施するための形態】 【0030】 [消火栓装置の概要] 図1は本発明の消火栓装置を示した正面図、図2は図1について前傾式扉を外して本体内部構造を示した正面図、図3は筐体内のバケットフレーム構造を示した正面図、図2は前傾式扉を開いた状態で本体内部構造を示した正面図、図5は前傾式扉を開いた状態で内部構造を示した平面図、図6は前傾式扉を開いた状態で内部のバケットフレーム構造を示した右側面図である。 【0031】 (外部構造の概略) 図1に示すように、消火栓装置10は、消火栓側と消火器側に筐体12を分割した構造であり、前面に分割した化粧板14を各々装着し、筐体12に対し必要な機器及び部材を組付けた後に連結固定し、この状態でトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。 【0032】 右側の化粧板14の扉開口部16は上下に2分割し、下側扉開口部にヒンジ21により下向きに開く前傾式扉18を配置し、上側扉開口部にヒンジ23により上向きに開く保守扉22を配置し、その内部をホース収納空間及びバルブ類収納空間としている。 【0033】 前傾式扉18は、下側のヒンジ21を中心に下向きに開閉自在に設け、マグネットと受け板を用いた扉ロック機構により閉止位置に閉じている。前傾式扉18は、ハンドル20を手前に引いて扉ロック機構の磁気吸着によるロックを外すことで前方に開くことができる。 【0034】 前傾式扉18の上にはヒンジ23により上向きに開閉する保守扉22を設け、マグネットと受け板を用いた扉ロック機構により閉止位置に閉じており、点検時に前傾式扉18を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。 【0035】 扉開口部16の左側には通報装置扉24を設け、ここに赤色表示灯26、発信機28及び応答ランプ30を設け、また通報装置扉24の内側には図2に示すように電話ジャック31を設けている。 【0036】 赤色表示灯26は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機28を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ30を点灯する。 【0037】 通報装置扉24の左側には開放可能な消火器扉32を設け、例えば2本の消火器37を収納している。消火器扉32にはハンドル34を設け、ハンドル34を手前に引くとラッチが外れて消火器扉32を左側に開くことができる。また、消火器扉34の下側には覗き窓35を設け、外部から消火器の収納状態の有無を確認可能としている。 【0038】 (内部構造の概略) 図2に示すように、前傾式扉18を外し、保守扉22は上向きに開いてステー27で支持した状態で内部構造を示している。尚、保守扉22は、消火栓装置の保守以外には通常閉じられている。筐体12の略中央にはホース収納空間36を形成し、その右側にバルブ類収納空間38を形成している。なお、筐体12の左側の消火器収納空間39には、2本の消火器37を収納している。 【0039】 (ホース収納空間) ホース収納空間36には、フレームパイプにより構成されたホースバケット構造を設ける。ホースバケット構造は、 図3に示すように、水平方向の2本のバケットフレーム40と縦方向の2本のホースガイド42を配置し、2本のホースガイド42の下側に、前方に張出し形成された張出ホースガイド47を水平に設け、2本のバケットフレーム、下側のホースガイド42及び張出ホースガイド46で囲んだ矩形のホース取出口45を仕切り形成している。 【0040】 ホース取出口45の下側に設けた張出ホースガイド46は、その内側にホース44の外径に略相当する幅の張出スペースを確保し、張出ホースガイド46に接触してホース44を引き出すことで、ホース44の急激な曲がりを抑えている。 【0041】 ホース取出口45は、扉開口部16の上下方向の中心線77の下側に仕切り形成し、開放した前傾式扉18の裏面に近い位置となるようにしている。また、ホース取出口45は、バケットフレーム40の中央から右側にオフセットした位置、即ち扉開口部16の左右方向における中心線78で示す略中央となる位置に仕切り形成している。 【0042】 ホース取出口45を仕切り形成するホースガイド42、下側のバケットフレーム40及び張出ホースガイド47は、ホース44を引き出す際の接触抵抗により、内巻きしているホース44が崩れたり、扉開口部16に擦れてホース44が損傷したり折れたりすることを防ぎ、更に開放している前傾式扉18の右端又は左端にホース44が引っかかって引き出せなくなることを防ぐ。 【0043】 バケットフレーム40及び筐体内壁で囲まれたホース収納空間36にはホース44を内巻きして収納している。ここで、ホース収納空間36へのホース44の巻き込みは、扉開口部16から見て右巻きとなるようにホース44を巻き込んでいる。 【0044】 ホース44の先端にはノズル48を装着し、ノズル48は放水部とハンドルから構成しており、バケットフレーム40の右端に固定した取付板43のノズルホルダ50に対し放水部を横向きに保持した状態で、ハンドルは放水部の下側に位置して前傾式扉18の開放による下側扉開口部の中央方向に向くように保持している。 【0045】 図5の内部構造に示すように、ホース収納空間36には平面から見て横L字形にバケットフレーム40を配置し、筐体内壁との間に形成したホース収納空間36にホース44を右巻きにより内巻き状態で収納している。またパケットフレーム40の奥行き部分には、ホース44の滑り止めとして機能するゴムチューブ等の摩擦部材47を装着している。 【0046】 (バルブ類収納空間) ホース収納空間36の右側に形成したバルブ類収納空間38には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口51からホース44に至る配管系統に、給水弁52、消火栓弁、自動調圧弁56、自動排水弁、安全弁及びメンテナンス装置57を設けている。このうち消火栓弁に設けた消火栓弁開閉レバー60に対応して銘板を設け、その裏側に消火栓弁、自動排水弁58(図5参照)を配置している。」 (3)図1「 [図:0001384832000001.jpg] 」 (4)図2「 [図:0001384832000002.jpg] 」 (5)図3「 [図:0001384832000003.jpg] 」 (6)図4「 [図:0001384832000004.jpg] 」 引用文献2の図2及び図4から、「ホース取出口45」の上方に「ノズルホルダ50」を設けることが看取される。 上記記載事項及び図面の図示内容を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 〔引用発明〕 「筐体12にポンプ設備からの配管を接続する消火栓接続口51を設けると共に、放水部を備えるノズル48が先端に装着されたホース44をホース収納空間36に収納し、消火栓接続口51からホース44に至る配管系統をバルブ類収納空間38に収納し、 ホース44を引き出すホース取出口45を設け、 ホース取出口45の上方に、ホース44の先端に装着されたノズル48を保持するノズルホルダ50を設けた消火栓装置10。」 2 引用文献3 当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2014-87416号公報(以下「引用文献3」という。)には、「トンネル消火栓装置」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (1)「【技術分野】 【0001】 この発明は、例えば高速自動車道等のトンネルに設置されたトンネル消火栓装置に関するものである。」 (2)「【0005】 この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本体内の空きスペースに火災検知器を配置するようにし、コンクリート躯体への火災検知器の煩雑な設置作業を不要とし、設置コストを低減できるトンネル消火栓装置を得ることを目的とする。」 (3)「【0011】 図1および図2において、トンネル消火栓装置1は、火災の消火の機能に加えて、火災の監視と通報の機能を備えた非常用設備であり、前面に開口する直方体の箱形に作製された筐体2と、筐体2の前面に締着固定され、筐体2の前面開口を塞口する前面パネル3と、を備えている。先端に消火用ノズルを有し、ホース収納部としてのホースバケット6に内巻きに巻かれた消火用ホース5が、筐体2と前面パネル3とからなる本体の内部中央部に収納されている。消火器(図示せず)および各種電気機器(図示せず)が本体内の消火用ホース5の収納部の幅方向一側に収納されている。自動調圧弁8および消火栓弁9などを備えた配管系統7が、本体内の消火用ホース5の収納部の本体幅方向他側の下部側に収納され、消火栓弁9の二次側が消火用ホース5に接続されている。」 (4)「【0015】 火災検知器20は、検知器本体21と、ラグビーボール状、半球状などの凸状に成形され、検知器本体21の前面に突設された受光ガラス22と、検知器本体21の前面の受光ガラス22の上部両側に突設されたグローブ23と、を備え、検知器本体21を保守扉11の背面に締着固定され、受光ガラス22およびグローブ23を保守扉11に形成された穴から前面側に突出させて、保守扉11の幅方向他側に配設されている。この火災検知器20には、例えば、特開2003-296849号公報に記載されているような周知の検知器が用いられるので、その詳細な構成の説明を省略するが、火災の炎から発する波長を検出する検出素子および検出回路からなる火災検出部が受光ガラス22の内部に配設され、受光ガラス汚損確認試験用発光部がグローブ23の内部に配設され、火災検知器20の全体を制御するマイクロコンピュータ、ROM、RAM、出力回路、入力回路、定電圧部などが検知器本体21内に収納されている。」 (5)「【0019】 この発明によれば、トンネル消火栓装置1の本体内の配管系統7の上部側の空きスペースを利用して、火災検知器20を本体内に設置しているので、火災検知器20をコンクリート躯体に取り付ける煩雑な作業が不要となり、トンネル内の非常用設備の設置コストを低減できる。」 (6)「【0021】 この発明によれば、火災検知器20が本体の上部側に設置されているので、手摺りに起因する死角が車線の監視員通路近傍となり、火災検知器20による監視エリアの実質的な縮小が抑えられる。また、受光ガラス22が消火用ホース5の収納部を挟んで赤色表示灯13と反対側に配置されているので、赤色表示灯13と火災検知器20との間の距離が長くなる。そこで、赤色表示灯13による、火災検知器20による監視エリアの縮小が抑えられる。」 (7)図1「 [図:0001384832000005.jpg] 」 (8)図2「 [図:0001384832000006.jpg] 」 上記記載事項及び図面の図示内容を総合すると、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。 〔引用文献3記載事項〕 「トンネル消火栓装置1の本体内の配管系統7の上部側の空きスペースかつ消火用ホース5の収納部を挟んで赤色表示灯13と反対側に、火災検知器20を設置すること。」 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「筐体12」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明の「筐体」に相当し、以下同様に、「ポンプ設備からの配管を接続する消火栓接続口51」は「外部からの給水配管を接続する消火栓接続口」に、「放水部を備えるノズル48が先端に装着されたホース44」は「消火用水を放水するノズル付きのホース」に、「ホース44を引き出すホース取出口45」は「ホースを筐体の前後方向に挿通するホース取出口」に、「消火栓装置10」は「消火栓装置」に、それぞれ相当する。 引用発明の「放水部を備えるノズル48が先端に装着されたホース44をホース収納空間36に収納し、消火栓接続口51からホース44に至る配管系統をバルブ類収納空間38に収納」することは、筐体12にホース収納空間36及びバルブ類収納空間38を形成しているから、本願発明の「筐体に」「消火用水を放水するノズル付きのホース及び前記消火栓接続口から前記ホースに至る配管系統を収納」することに相当する。 引用発明は、ホース44を引き出す際にノズル48がノズルホルダ50から取り外されると理解でき、ノズルホルダ50はノズル48を介してホース44を間接的に着脱自在に保持するといえるから、引用発明の「ホース44の先端に装着されたノズル48を保持するノズルホルダ50」は、本願発明の「前記ホースの前記ノズルを着脱自在に保持する保持部材」に相当する。 引用発明の「ホース取出口45の上方に、ホース44の先端に装着されたノズル48を保持するノズルホルダ50を設けた」ことと、本願発明の「前記火災検知器の下方であって前記ホース取出口の上方に、前記ホースの前記ノズルを着脱自在に保持する保持部材を設けたこと」とは、「ホース取出口の上方に、前記ホースの前記ノズルを着脱自在に保持する保持部材を設けたこと」の限りで一致する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 〔一致点〕 「筐体に外部からの給水配管を接続する消火栓接続口を設けると共に、消火用水を放水するノズル付きのホース及び前記消火栓接続口から前記ホースに至る配管系統を収納し、 更に、前記ホースを前記筐体の前後方向に挿通するホース取出口を設け、 前記ホース取出口の上方に、前記ホースの前記ノズルを着脱自在に保持する保持部材を設けた消火栓装置。」 〔相違点〕 本願発明は、「前記筐体の前面部であって前記配管系統の上方に火災検知器を設け、更に、前記火災検知器の下方且つ側方に、」前記ホースを前記筐体の前後方向に挿通するホース取出口を設け、「前記火災検知器の下方であって」前記ホース取出口の上方に、前記ホースの前記ノズルを着脱自在に保持する保持部材を設けたのに対し、引用発明は、筐体の前面部であって配管系統の上方に火災検知器を設けることが特定されていない点。 第6 当審の判断 1 相違点について 上記相違点について検討する。 引用発明もトンネル消火栓装置に関するものであるから(上記第4 1(1)及び(2)を参照。)、引用発明及び引用文献3記載事項は、ともにトンネル消火栓装置という同一の技術分野に属するものであり、両者は、トンネル消火栓装置において、先端にノズルを有するホースを本体の略中央に収納し(上記第4 1(1)、(2)、(4)及び(6)並びに2(3)、(6)及び(7)を参照。)、配管系統をホースの収納部を挟んで赤色表示灯と反対側に配置した(上記第4 1(2)、(4)及び(6)並びに2(3)、(6)及び(7)を参照。)ものに関する点でも共通する。 また、引用文献3記載事項は、本体内の空きスペースに火災検知器を配置するようにし、コンクリート躯体への火災検知器の煩雑な設置作業を不要とし、設置コストを低減できるトンネル消火栓装置を得ることを課題とするものである。 そして、トンネル消火栓装置において、火災検知器および消火栓装置をそれぞれコンクリート躯体の壁面に個別に固定することは普通に行われているから、前記課題はトンネル消火栓装置という技術分野に属する引用発明においても内在するものであり、引用文献2の図2及び図4においてホース収納空間36を挟んで赤色表示灯26と反対側の部分に空きスペースが看取できる。 さらに、引用発明において、本体内の空きスペースに火災検知器を配置することを阻害する事由は見当たらない。 そうすると、引用発明において、引用文献3記載事項を採用することは、当業者が容易に想到できたことである。 この場合、「前記筐体の前面部であって前記配管系統の上方に火災検知器を設け、更に、前記火災検知器の下方且つ側方に、前記ホースを前記筐体の前後方向に挿通するホース取出口を設け、前記火災検知器の下方であって前記ホース取出口の上方に、前記ホースの前記ノズルを着脱自在に保持する保持部材を設けた」ものとなる。 したがって、引用発明において引用文献3記載事項を採用し、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 2 効果について 本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献3記載事項から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 3 小括 よって、本願発明は、引用発明及び引用文献3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 請求人の主張について 請求人は令和4年2月9日の意見書の「4、本願発明と引用文献との対比」において、以下のように主張する。 「(進歩性) 引用文献2、3が、共にトンネル消火栓装置という同一の技術分野に属したとしても、引用文献2の「ホースの引き出し方向を規制して機器との干渉を防止する」という課題と、引用文献3の「設置コストを低減する」という課題が異なり、また、両者を組み合わせることの示唆や動機付けとなる記載もない。 引用文献3には、ホース先端のノズルについての記載はない。引用文献3の図1の記載からは、右側のバルブ系統の先にホースの元が接続され、ホースが左側に内巻きされて収納されているが、ホース先端のノズルは示されておらず、また、ノズルはどこに保持されているかは不明である。 従って、引用文献3は、筐体内の火災検知器の下方にノズルを保持しているものとは認められず、またホース収納部におけるホース取出口にノズルを保持しているものとも認められない。 引用文献2の消火栓装置は火災検知を備えておらず、引用文献3の消火栓装置はノズルの保持位置が不明であるから、仮に引用文献2と引用文献3を組み合わせようとしても、本願発明の「火災検知器の下方であってホース取出口の上方に、ホースのノズルを着脱自在に保持する保持部材を設け」ることは導出されない。 また、本願発明は、ホース取出口を、ホースを引き出し易い位置、且つホースを引き出す際にホースが感知器に干渉(接触)し難い位置に設けることで、火災検知器を汚したり損傷させたりすることを防止できるという効果を備えているが、このような効果についても、引用文献2、3には開示及び示唆されておらず、引用文献2、3を組み合わせても教示されない。 故に、引用文献2、3から、本願請求項1に係る発明の構成や特徴を容易に想到することは当業者であっても困難である。従って、本願請求項1に係る発明、及びこれらを更に限定する請求項2-6に係る発明は、引用文献2、3に対して進歩性を有する。」 上記主張について検討する。 引用文献2及び3の【発明が解決しようとする課題】の欄に記載された課題が共通していないからといって引用発明及び引用文献3記載事項を組み合わせることができないわけではない。 そして、前述のとおり、引用発明と引用文献3記載事項とは、技術分野が同じであり、引用文献3記載事項の課題は、引用発明にも内在していることから、引用発明において引用文献3記載事項を採用する動機付けは存在するといえる。 そうすると、引用発明において引用文献3記載事項を採用し、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 したがって、請求人の上記主張は採用することができない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-005071

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