2022-017942
流量測定装置
- 審判番号
- 2022-017942
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-178735外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月08日
- 審決日
- 2023年10月18日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .575-Z (G01F) / P18 .161-Z (G01F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第184条の13、特許法第184条の4第3項、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、令和元年9月30日に出願された特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
同年 7月19日 :意見書、手続補正書の提出
(同年 8月30日 :原査定の謄本の送達)
同年11月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年11月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年11月8日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和4年11月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであり、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正する補正事項を含むものである。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1
「 【請求項1】本流側の流路を、流体の流路の中心に設けたセンサー側の第一流路と当該第一流路の外側に設けた複数のバイパス流からなる第二流路に分け、上記第一流路からセンサーを経て第一流路に至る第三流路を有し、上記第三流路を流通する流体の流量を上記センサーで検知して第一電気信号に変換し、流体の流量に相当する電気信号であって第一電気信号とは異なる第二電気信号を発生させて、第一電気信号と第二電気信号との差信号がゼロになるように本流の下流側に設けた流量制御バルブを作動させて本流側流路を流通する流体の流量を制御することにより、本流側流路を流通する流体の流量を得ることを特徴とする流量測定装置。」
(2) 本件補正後の請求項1
「 【請求項1】本流側の流路を、流体の流路の中心に設けたセンサー側の第一流路と当該第一流路の外側に設けた複数のバイパス流からなる第二流路に分け、上記第一流路からセンサーを経て第一流路に至る第三流路を有し、上記第三流路を流通する流体の流量を上記センサーで検知して第一電気信号に変換し、流体の流量に相当する電気信号であって第一電気信号とは異なる第二電気信号を発生させて、第一電気信号と第二電気信号との差信号がゼロになるように本流の下流側に設けた流量制御バルブを作動させて本流側流路を流通する流体の流量を制御することにより、本流側流路を流通する流体の流量を得る流量測定装置において、複数のバイパス流からなる第二流路が円周方向に均等間隔で放射線状に設けられており、本流側流路を流通する流体の流量に対する第三流路を流通する流体の流量の比率が一定であることを特徴とする流量測定装置。」
2 本件補正の目的
(1) 本件補正による請求項1の補正は、以下の補正事項からなる。
「流量測定装置」における「複数のバイパス流からなる第二流路」について、「円周方向に均等間隔で放射線状に設けられて」いることに限定するとともに、「流量測定装置」において、「本流側流路を流通する流体の流量に対する第三流路を流通する流体の流量の比率が一定である」ことに限定すること。
(2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) よって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件についての当審の判断
本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2) 先願発明の認定等
ア 先願明細書等の記載及び先願発明の認定
(ア) 先願明細書等に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前の外国語特許出願であって、本願の出願後に国際公開された下記の外国語特許出願(以下「先願」という。)の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、次のa~dにおいて摘記した事項が記載されている。
記
PCT/JP2020/007623号(国際公開第2020/179562号)
なお、上記先願の日本語パテントファミリー文献である特表2022-522933号公報の対応する段落の記載を括弧内に日本語翻訳文として記載した。下線は合議体が付した。以下同様である。
a 段落[0001]~[0005]
「[0001] The present disclosed embodiments relate generally to systems and methods for mass flow control. In particular, but not by way of limitation, the present disclosed embodiments relate to mass flow controller bypass design.」
(本開示の実施の形態は、概してマスフロー制御のためのシステム及び方法に関する。特に、限定はされないが、本開示の実施の形態は、マスフローコントローラバイパス設計に関する。)
「[0002] A mass flow controller (MFC) is a device commonly used to control the flow of a gas to a desired location (e.g., processing chamber). As shown in FIG. 11, an MFC 1100 typically has a sensor, in this case a thermal sensor 1130, that is used to measure a mass flow rate of a gas passing through the MFC 1100. The thermal sensor 1130 does this by measuring the flow rate through a sensor tube 1120 that is connected to a main flow path 1115 of the MFC 1100. This flow rate measurement is communicated by way of a measured flow signal 1140 to a controller 1150 that adjusts a valve 1160 to achieve a desired flow rate depending upon the application.」
(マスフローコントローラ(MFC)は、所望の場所(例えば、処理室)へのガスの流れを制御するために通常使用される装置である。図11に示すように、MFC1100は、典型的には、センサ、この場合にはMFC1100を通過するガスの質量流量を測定するために使用される熱式センサ1130を備えている。熱式センサ1130は、MFC1100の主流路1115に接続されたセンサ管1120を通る流量を測定することにより、この質量流量の測定を行う。この流量測定値は、本適用による所望の流量を達成すべく弁1160を調節するコントローラ1150へ測定流量信号1140により通信される。)
「[0003] As shown, the MFC 1100 includes a bypass 1110 through which a gas flows, and when operating properly, the bypass 1110 directs a constant proportion of the gas through the main flow path 1115 and the sensor tube 1120. As a consequence, the flow rate of the gas through the sensor tube 1120 is indicative of the flow rate of the gas flowing through the main flow path 1115 of the MFC 1100.」
(図示するように、MFC1100はガスが流れるバイパス1110を備えており、適切に作動する場合、バイパス1110は、主流路1115とセンサ管1120とに一定の割合でガスを分配する。結果として、センサ管1120を通るガスの流量が、MFC1100の主流路1115を通って流れるガスの流量を示すことになる。)
「[0004] A high-flow MFC typically implements the bypass 1110 as a high-flow tubular bypass, which includes of a large number of tiny capillary tubes. When operating properly, the flow of the gas through these capillary tubes is laminar, so that the pressure drop across the bypass 1110 is linearly proportional to the flow. That pressure drop is applied to the sensor tube 1120, producing a very small flow through the sensor tube 1120 that is still linearly proportional to the flow through the bypass 1110 and main flow path 1115.」
(大流量MFCは、典型的には、多数の小さな毛細管を有する大流量管状バイパスとしてのバイパス1110を実装している。適切に作動する場合、これらの毛細管を通るガスの流れは線状であるので、バイパス1110による圧力低下は流れに線形比例する。この圧力低下はセンサ管1120に適用され、バイパス1110及び主流路1115を通る流れに依然として線形比例するセンサ管1120を通る非常に小さな流れを生成する。)
「[0005] An aspect may be characterized as a mass flow meter that includes a main flow path for a gas and a bypass with a length, L, within the main flow path. The bypass includes a continuous flow section including a plurality of continuous capillary tubes wherein each of the plurality of continuous capillary tubes has a length, L. The bypass also includes n flow segments that form n-1 spaces within the bypass where n is greater than or equal to 2, and each of the n flow segments includes a plurality of capillary tubes. The mass flow meter also includes at least one thermal sensor including a sensor tube, and the sensor tube is positioned across at least one of the n flow segments to divert a portion of the gas around the at least one of the flow segments and provide a measured flow signal in response to the diverted portion of the gas.」
(一態様は、ガスの主流路と、主流路内の長さがLであるバイパスとを備えるマスフローメータとして特徴付けられる。それぞれの長さがLである複数の連続した毛細管を有する連続した流れ区域を、バイパスは備えている。バイパスは、また、バイパス内部に(n-1)箇所(nは2以上の整数)の空間を形成するn個の流れ分画を備えており、n個の流れ分画それぞれは複数の毛細管を有している。マスフローメータは、また、センサ管を有する少なくとも1つの熱式センサを備えており、センサ管は、n個の流れ分画の少なくとも1つの周囲のガスの一部を分流させてこのガスの分流部分に応じて測定流量信号を提供するために、その少なくとも1つの流れ分画を跨いて配置されている。)
b 段落[0008]~[0017]、Fig.1
「[0008] Aspects of the present disclosure include various high flow tubular bypass embodiments. Applicant has found that high flow tubular bypass designs are faced with several challenging design requirements, which the prior art mass flow controller 1100 of FIG. 11 does not address. For example, the diameter of the capillary tubes must be small enough to ensure laminar flow with a small enough Reynolds number, e.g., less than 1000. Also, the capillary tube length-to-diameter ratio should be high enough, e.g., greater than 20, to avoid “Reynolds entrance effects.” But a size of a housing of many mass flow meters and mass flow controllers constrain the geometry and total number of capillary tubes.」
(本開示の態様は、大流量管状バイパスの種々の実施の形態を含んでいる。大流量管状バイパスは、図11の従来のマスフローコントローラ1100が解決できないいくつかの取り組むべき設計要求に直面していることに、出願人は気が付いた。例えば、毛細管の直径は、例えば1000未満であるような十分に小さいレイノルズ数を有する層流を確実にするために十分小さくなければならない。また、毛細管の長さ/直径の比は、「レイノルズ入口効果」を避けるために、例えば20を超えるように十分高くすべきである。しかしながら、多くのマスフローメータ及びマスフローコントローラを収容するハウジングの寸法は、毛細管の形状及び合計数を制約する。)
「[0009] Design constraints, for example, may require the prior art bypass 1110 to have a relatively long length, and this relatively long length may cause a pressure drop that is higher than a desired-maximum pressure drop for the sensor tube 1120.」
(例えば、設計の制約は、従来のバイパス1110に比較的長い長さを有することを要求し、この比較的長い長さは、センサ管1120における望ましい最大の圧力低下よりも高い圧力低下を引き起こす。)
「[0010] As a result, the pressure drop across typical designs of the prior art bypass 1110 is often higher than the optimal pressure drop for the sensor tube 1120, particularly if the flow rate is higher than 100 to 200 standard liters per minute (SLM). Consequently, the flow through the sensor tube 1120 can become too high, resulting in non-optimal operating conditions for the thermal sensor 1130, such as a loss of linear proportionality between the flow and a measured flow signal 1140 from the thermal sensor 1130.」
(結果として、従来のバイパス1110の設計に係る圧力低下が、特に流量が100~200標準リットル毎分(standard liters per minute:SLM)より大きい場合には、センサ管1120における最適な圧力低下よりしばしば高くなる。したがって、センサ管1120を通る流れが非常に大きくなり過ぎると、流れと熱式センサ1130からの測定流量信号1140との間の線形比例性の消失などの熱式センサ1130における望ましくない作動条件が生じてしまう。)
「[0011] As discussed herein, several embodiments of the present disclosure avoid exposing thermal sensors (such as the thermal sensor 1130) to a higher than optimal pressure drop.」
(ここで述べるように、本開示のいくつかの実施の形態は、熱式センサ(熱式センサ1130など)が最適の圧力低下より高い状態にさらされることを回避する。)
「[0012] Turning to aspects of the present disclosure, FIG. 1 is a block diagram of an MFC 100 that includes a thermal sensor 130 that is used to measure a mass flow rate of a gas passing through the MFC 100. Similar to the thermal sensor 1130 of the prior art mass flow controller 1100, the thermal sensor 130 measures the mass flow rate of the gas through the MFC 100 by measuring the flow rate through a sensor tube 120 that is connected to a main flow path 115 of the MFC 100. This flow rate measurement is communicated by way of a measured flow signal 140 to a controller 150 that adjusts a valve 160 to achieve a desired flow rate depending upon the application.」
(本開示の態様に目を向けると、図1はMFC100のブロック図であり、MFC100は内部を流れるガスの質量流量を測定するために使用される熱式センサ130を備えている。従来のマスフローコントローラ1100の熱式センサ1130と同様に、熱式センサ130は、MFC100の主流路115に接続されたセンサ管120を通る流量を測定することにより、MFC100を通るガスの質量流量を測定する。この流量測定値は、本適用による所望の流量を達成すべく弁160を調節するコントローラ150へ測定流量信号140により通信される。)
「[0013] Although a unitary MFC 100 is depicted in FIG. 1, in some embodiments a mass flow meter 117 is separately realized apart from the controller 150 and valve 160. For example, the mass flow meter 117 may be realized by omitting the controller 150 and valve 160 so that the gas exits the mass flow meter 117 without being controlled.」
(図1には単一のMFC100が示されているが、いくつかの実施の形態では、マスフローメータ117はコントローラ150及び弁160とは別に分離して実現される。例えば、ガスが制御されずにマスフローメータ117を出ていくようにコントローラ150及び弁160を省いた構成にて、マスフローメータ117が実現されても良い。)
「[0014] When viewing FIG. 1, it should be recognized that the depiction of the components of the MFC 100 is not to scale. For example, a diameter of the sensor tube 120 is exaggerated relative to dimensions of other components (such as, for example, a length, L, of the bypass 110 along an axial direction) to show directions of gas flow through the sensor tube 120. Specifically, inlet gas flow 121 into the sensor tube 120 (flowing out of the bypass 110 along a radial direction) is shown and outlet gas flow 122 flowing out of the sensor tube 120 (back into the main flow path 115 along an opposite radial direction) to a downstream side of the bypass 110 is depicted.」
(図1を参照すると、MFC100の各要素が同じ縮尺で示されていないことは認識すべきである。例えば、センサ管120の直径は、センサ管120を流れるガスの方向を示すために、他の要素の寸法(例えば、軸心方向に沿ったバイパス110の長さLなど)に比べて誇張されている。特に、センサ管120内への入口ガス流れ121(径方向に沿ったバイパス110からの流出)が示され、バイパス110の下流側に向かってセンサ管120から流出する出口ガス流れ122(反対の径方向に沿った主流路115内への戻り)が示されている。)
「[0015] In contrast to the MFC 1100 of the prior art depicted in FIG. 11, the sensor tube 120 of the MFC 100 depicted in FIG. 1 is positioned across only a portion of a bypass 110. In general, the bypass 110 is structurally configured so that gas flow is laminar through capillary tubes (not shown in FIG. 1) of the bypass 110 while providing a pressure differential, dP, across the sensor tube 120 that produces a flow rate through the sensor tube 120 that provides linear proportionality between the flow through the MFC 100 and the measured flow signal 140 from the thermal sensor 130.」
(図11に示されている従来のMFC1100とは対照的に、図1に示されているMFC100のセンサ管120は、バイパス110の一部のみを跨いで配置されている。全体的に、バイパス110は、MFC100を通る流れと熱式センサ130からの測定流量信号140との間に線形比例性を呈するようなセンサ管120を通る流量を生成するセンサ管120による圧力差分dPを提供しながら、バイパス110の毛細管(図1に示さず)でガス流れが層状になるように、構造的に構成されている。)
「[0016] More specifically, many variations of the bypass 110 are capable of directing a constant proportion of the gas through the main flow path 115 and the sensor tube 120 at flow rates higher than 100 SLM, and some variations of the bypass 110 are capable of directing a constant proportion of the gas through the main flow path 115 and the sensor tube 120 at flow rates higher than 200 SLM. As a consequence, even at relatively high flow rates, the flow rate of the gas through the sensor tube 120 is indicative of the flow rate of the gas flowing through the main flow path 115 of the MFC 100.」
(より詳細には、バイパス110の多くの変形例は、100SLMより大きい流量である場合に主流路115とセンサ管120とに一定の割合でガスを分配でき、また、バイパス110のいくつかの変形例は、200SLMより大きい流量である場合に主流路115とセンサ管120とに一定の割合でガスを分配できる。結果として、比較的大きい流量であっても、センサ管120を通るガスの流量は、MFC100の主流路115を流れるガスの流量を示すことになる。)
「[0017] In general, a position of the bypass 110 in the main flow path 115 in connection with the internal structure of the bypass 110 causes a pressure drop, dP, across the length, L, of the bypass 110. As discussed further herein, the bypass 110 is implemented with various means for dividing the pressure drop across the bypass 110 to provide a plurality of pressure drops. Configurations of the bypass 110 discussed further herein provide means for accessing one of the plurality of the divided pressure drops so that the sensor tube 120 of the thermal sensor 130 may be positioned across one of the plurality of pressure drops to divert a desired portion of the gas through the sensor tube 120. The desired portion of the gas may be, for example, a range of gas flow values within an operating range of the thermal sensor 130.」
(全体的に、バイパス110の内部構造に関連する主流路115中でのバイパス110の位置は、バイパス110の長さLにわたって圧力低下dPを引き起こす。さらにここで述べるように、バイパス110に係る圧力低下を分割して複数の圧力低下を提供するための種々の手段が、バイパス110に実装されている。ここでさらに述べられるバイパス110の構成は、熱式センサ130のセンサ管120が複数の圧力低下のうちの1つに跨って配置されてセンサ管120を流れるガスの所望の部分を分流するように、分割された複数の圧力低下のうちの1つに接続するための手段を提供する。このガスの所望の部分は、例えば、熱式センサ130の動作範囲内でのガス流量値の範囲である。)
「[図:0001405484000001.jpg]」
c 段落[0023]~[0024]、Fig.2~Fig.3
「[0023] As depicted, sensing elements 225 and 227 are electrically connected to a sensing-element circuit 235 that may be included in the thermal sensor 130. In general, the sensing-element circuit 235 is configured (responsive to signals from the sensing elements 225, 227) to provide the measured flow signal 140, which is indicative of the flow rate through the sensor tube 220, and hence, indicative of the flow rate through the main flow path 115 of the MFC 100. More specifically, the measured flow signal 140 is defined by a temperature profile along the sensor tube 220 that affects a temperature difference between the sensing elements 225, 227. As an example, without limitation, the sensing element circuit 235 may be implemented with a Wheatstone bridge circuit topology well known to those of ordinary skill in the art. Those of ordinary skill in the art are also familiar with processing techniques to convert the measured flow signal 140 to the digital domain and use an analog or digital version of the measured flow signal 140 in a feedback loop (to control the valve 160) and/or to provide a display of the measured flow rate to an operator via a display (no shown) of the MFC 100.」
(図示するように、センサ素子225,227は、熱式センサ130に含まれるセンサ素子回路235に電気的に接続されている。一般的に、センサ素子回路235は、(センサ素子225,227からの信号に応じて)測定流量信号140を提供するように構成されている。この測定流量信号140は、センサ管120を通る流量を示しているため、MFC100の主流路115を通る流量を示している。より詳細には、測定流量信号140は、センサ素子225,227間の温度差に影響を及ぼすセンサ管220に沿った温度プロフィールにより定義される。例示として限定はされないが、センサ素子回路235は、当業者には良く知られているホイートストンブリッジ回路トポロジーを実装しても良い。測定流量信号140をデジタルドメインに変更して(弁160を制御するために)フィードバックループ内で測定流量信号140のアナログ形態またはデジタル形態を使用する、及び/または、MFC100の表示部(図示せず)を介して測定流量信号140の表示を操作者に提供するという処理技術に、当業者は精通している。)
「[0024] In another embodiment shown in FIG. 3, a measurement region 311 of a bypass 310 can be divided into three flow segments (i.e., n = 3): a first flow segment 302, a second flow segment 303, and a third flow segment 304 forming three pressure drops and two spaces used as access spaces 313 within a measurement region 311 of the bypass 310 where one of the access spaces 313 is upstream from the other access space 313. As shown, the upstream access space 313 provides an inlet flow path along a radial direction for a diverted portion of the gas to enter the sensor tube 220, and the downstream access space 313 provides an exit flow path (out of the sensor tube 220) for the diverted portion of the gas to exit the sensor tube 220 along an opposite radial direction.」
(図3に示す別の実施の形態では、バイパス310の測定領域311が、3つの流れ分画(n=3)、バイパス310の測定領域311内で3つの圧力低下と接続空間313として使用される2箇所の空間とを形成する第1流れ分画302,第2流れ分画303及び第3流れ分画304に分割され得る。ここで、接続空間313の一方は接続空間313の他方の上流側に位置する。図示するように、上流側の接続空間313は、センサ管220に入るガスの分流部分のために径方向に沿った入口流路を提供し、下流側の接続空間313は、センサ管220を出ていくガスの分流部分のために反対の径方向に沿った(センサ管220からの)出口流路を提供する。)
「[図:0001405484000002.jpg]」
「[図:0001405484000003.jpg]」
d 段落[0030]、Fig.7A~Fig.7C
「[0030] In another embodiment shown in FIGS. 7A-7C, the cross-sectional area of a bypass 710 at each space contains a thin slit 715 that functions as an access space 713 that is connected to a central hole. Thus, a measurement region 711 is primarily disposed in the center of the bypass 710. A side view of the bypass 710 is shown in FIG. 7A that is formed by alternating a first piece 710B that has a circular cross-sectional area, as shown in FIG. 7B, and a second piece 710C that has a circular cross-sectional area with the thin slit 715 as shown in FIG. 7C. These exemplary embodiments allow for a lessened influence on the overall flow distribution by the measurement region 711, while maintaining access point functionality in coupling to the sensor tube 220.」
(図7A-7Cに示されている別の実施の形態では、各空間におけるバイパス710の断面が、中心孔に連通する接続空間713として機能する細いスリット715を含んでいる。よって、測定領域711は、主としてバイパス710の中心に配置されている。バイパス710の側面図が図7Aに示されており、このバイパス710は、図7Bに示されているような円状断面を有する第1部材710Bと図7Cに示されているような細いスリット715が形成された円状断面を有する第2部材710Cとを交互に配置して構成されている。このような典型的な構成は、センサ管220への結合時の接続点としての機能を維持しながら、測定領域711による全体の流れ分配に対する影響を低減することを考慮している。)
「[図:0001405484000004.jpg]」
「[図:0001405484000005.jpg]」
「[図:0001405484000006.jpg]」
(イ) 先願明細書等に記載された事項から認定した事項
a 先願明細書等の段落[0030]にある、「各空間におけるバイパス710の断面が、中心孔に連通する接続空間713として機能する細いスリット715を含んでいる。よって、測定領域711は、主としてバイパス710の中心に配置されている。」との記載からみて、前記(ア)dにおいて摘記したFig.7Aに示された「測定領域711」の位置は、「バイパス710の中心に配置されて」いない点において誤りであると認められる。
前記段落[0030]の記載に沿って、「測定領域711」の位置を「バイパス710の中心に配置」されるように正確に示すと、合議体が作成した次の修正図Fig.7A’のようになるものと認められる。
[Fig.7A’(合議体が作成した修正図)]
「[図:0001405484000007.jpg]」
b 先願明細書等の段落[0030]、Fig.7B及びFig.7Cの記載並びに前記aの修正図Fig.7A’の記載からみて、Fig.7Cの細いスリット715の下端部にある楕円に対応するFig.7Bの毛細管は、下記参考図におけるバイパス710を構成する毛細管のうち、中心部に配置された楕円で囲った2つの毛細管(以下「第1毛細管」という)であると認められる。
そうすると、先願明細書等の記載から、バイパス710を構成する毛細管のうち、中心部に配置された第1毛細管において、細いスリット715を介してセンサ管220に接続し、複数の管からなる前記第1毛細管以外の毛細管(以下「第2毛細管」という)が前記第1毛細管の周りに軸方向に延びて径方向に均等間隔で設けられていることが読み取れる。
なお、下記参考図は、Fig.7Bに基づいて合議体が作成した図である。
[参考図]
「[図:0001405484000008.jpg]」
c 先願明細書等の段落[0012]、Fig.1の記載から、弁160が、主流路115の下流側に設けられていることが読み取れる。
d 先願明細書等の段落[0030]及びFig.7Cの記載並びに前記aの修正図Fig.7A’の記載からみて、バイパス710は、円状断面を有する第1部材710Bと細いスリット715が形成された円状断面を有する第2部材710Cとを交互に配置して構成されており、上流側及び下流側にある第2部材710Cのいずれにおいても、中心孔に連通する接続空間713として機能する細いスリット715が設けられていることが読み取れる。
(ウ) 先願発明の認定
前記(ア)において摘記した事項及び前記(イ)において認定した事項を総合すると、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
[先願発明]
「内部を流れるガスの質量流量を測定するために使用される熱式センサ130を備えているMFC(マスフローコントローラ)100であって、([0002]、[0012])熱式センサ130は、MFC100の主流路115に接続されたセンサ管120を通る流量を測定することにより、MFC100を通るガスの質量流量を測定し、([0012])この流量測定値は、本適用による所望の流量を達成すべく弁160を調節するコントローラ150へ測定流量信号140により通信され、([0012])弁160を制御するために、測定流量信号140をデジタルドメインに変更して、フィードバックループ内で測定流量信号140のアナログ形態またはデジタル形態を使用し、([0023])続きを表示(全13行)弁160が、主流路115の下流側に設けられており、(前記(イ)cの認定事項)主流路115中で、バイパス110は、バイパス110の長さLにわたって圧力低下dPを引き起こすように位置し、([0017])バイパス110は、主流路115とセンサ管120とに一定の割合でガスを分配でき、([0016])センサ管120内への径方向に沿ったバイパス110からの流出である入口ガス流れ121と、バイパス110の下流側に向かってセンサ管120から流出する出口ガス流れ122を有し、([0014])一実施形態では、各空間におけるバイパス710の断面が、中心孔に連通する接続空間713として機能する細いスリット715を含み、測定領域711は、主としてバイパス710の中心に配置され、([0030])バイパス710は、円状断面を有する第1部材710Bと細いスリット715が形成された円状断面を有する第2部材710Cとを交互に配置して構成されており、上流側及び下流側にある第2部材710Cのいずれにおいても、中心孔に連通する接続空間713として機能する細いスリット715が設けられており、(前記(イ)dの認定事項)バイパス710を構成する毛細管のうち、中心部に配置された第1毛細管において、細いスリット715を介してセンサ管220に接続し、複数の管からなる前記第1毛細管以外の第2毛細管が前記第1毛細管の周りに軸方向に延びて径方向に均等間隔で設けられている、(前記(イ)bの認定事項)MFC100。」
イ 引用文献5及び技術常識1の認定
(ア) 引用文献5に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である、社団法人日本計量機器工業連合会,「計装エンジニアのための流量計測AtoZ」,初版,(有)工業技術社,平成7年11月1日(以下「引用文献5」という。)の173~174頁には、次の事項が記載されている。
「 10.2.3 測定原理(1)バイパスキャピラリ加熱形管内を流れる質量流量Qmの気体を発熱量Wのヒータで加熱したときの気体の温度上昇をΔT、気体の定圧比熱をCpとすると、発熱量は次式で表される。W=Qm・Cp・ΔTΔTあるいはWを測定することにより質量流量Qmを求めることができる。実際には気体が流れる管を加熱し、その温度を検出する。図10.2.1はキャピラリ(細管)センサを加熱するヒータと、キャピラリの温度を検出する温度センサを共通にした自己加熱形のセンサの構造図である。キャピラリを加熱する2個の抵抗線ヒータは、外部回路上に設けられた2つの抵抗とブリッジ回路を構成しており、流れない状態でバランスしている。ブリッジ回路を流れる電流によって加熱された管に気体を通すと、下流側で加熱された気体が流れるのであまり冷却されず、下流側ヒータの抵抗値が上流側の抵抗値より大きくなり、ブリッジ回路の平衡がくずれ、出力電圧が現れる。この出力電圧は、気体の物性が一定ならば気体質量に依存するので、出力電圧から質量流量が求められる。センサの流量特性に影響をおよぼす気体の物性値は定圧比熱と熱伝導率であり、測定気体が変わる場合には、これらの物性値の相違による流量特性の変化に対して厳密な補正が行われる。」
「[図:0001405484000009.jpg]」
(イ) 技術常識1の認定
前記(ア)に摘記した図10.2.1によれば、センサからブリッジ回路等を介して得られる流量信号と、設定器から得られる流量設定信号とを比較制御回路で処理し、コントロールバルブを制御しガスの流量を制御していると認められる。
したがって、前記引用文献5の記載に例示されるように、次の事項は、本願の出願前において、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という。)
[技術常識1]
「熱式質量流量計において、設定されたガス流量を得るために、キャピラリ(細管)に設置した温度センサから得られる流量信号と、設定されたガス流量に対応する流量設定信号とを比較制御回路で処理し、コントロールバルブを制御すること。」
ウ 引用文献3、引用文献6に記載された事項及び周知技術1の認定
(ア) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特表2006-523827号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0005】本発明の目的はガスメーター構造のための差圧手段及び差圧手段を有するガスメーター構造を提示することであり、前記差圧手段と前記ガスメーター構造は改良された測定範囲により特徴付けられる。この目的は本発明に係る前記独立請求項の特徴により実現された。【課題を解決するための手段】【0006】本発明の一つの特徴によれば、本発明はガスメーター構造のための差圧手段に関するものである。ガス管を通るガス消費量を測定する前記ガスメーター構造は前記ガス管のバイパス内に配置されるガスメーターを備え、前記差圧手段は前記ガス管内に取り付けられるように設計されかつ特有な直径を有する複数のフローダクトを有し、これらのフローダクトは前記圧手段の異なる径方向位置に設けられ、中心に近い径方向位置のより近くに前記差圧手段に配置されたそれらのフローダクトはより大きい直径を有し、外周に近い径方向位置のより近くに前記差圧手段に配置されたそれらのフローダクトはより小さい直径を有する。前記差圧手段の外周部において直径が減少していることにより、この範囲でガス管から分岐するバイパスにとって、圧力の有利な増加とそれ故にガス管の中が低流量率の場合バイパスにおける測定効果の増大が達成できる。このような差圧手段は、少ない体積流量に対して改良された測定感度と拡大された測定範囲とを保証でき、特に層流のための構造に適している。」
「【0014】図3a,3bは本発明による管束差圧手段4bの一つの実施例を示している。前記フローダクト40は、異なる径方向位置R1、R2、R3にまたは一般にnを整数の指数としてR1、...Rnに、前記差圧手段4に配置される。フローダクト40は、特有な直径D1 ... 、D4、または一般にmを整数の指数としてD1、...、Dmを有しており、特に円形断面を有する直径D1、... 、D4または一般にD1、... 、Dmを有している。有利には、mは2と6の間、または3と5の間、またはm=4である。…(中略)…【0019】図3aと3bによる実施例において、前記複数のフローダクト40は前記差圧手段4の断面Q上にある同心円7上に、等間隔で配置されている。前記差圧手段4の断面Qは0.3~0.8の範囲の、好ましくは0.3~0.6の範囲の、特に好ましくは0.4~ 0.5の範囲の開口率を有することができる。」
「[図:0001405484000010.jpg]」
(イ) 引用文献6に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である、特表2005-534007号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0001】発明の分野この発明は、毛細管流量センサに関し、特に毛細管のバイパスを備えた毛細管流量センサに関する。」
「【0010】概要一実施例では、この発明は、流体の入口および流体の出口を有するハウジングを含む流量センサを提供する。少なくとも1つの毛細管チューブを含むバイパスは、入口と出口との間に配置され、かつ流体が流れるように入口および出口に接続され、センサユニットは、センサ導管を介して流体が流れるように入口および出口に接続される。少なくとも1つの毛細管チューブは、センサ導管のものと実質的に等しい長さを有する。毛細管チューブは、センサ導管の内径および断面の形状に実質的に等しい内径および/または断面の形状を有してもよい。」
「【0024】上述のように、毛細管チューブは、任意の構成でバイパスに配置してもよい。たとえば、毛細管チューブは束ねて、バイパスにぎっしりと詰め込んでもよい。バイパスは、円形、三角形、正方形、六角形、八角形等の任意の内側の形状を有してもよい。一実施例では、バイパスの内面は六角形の形状であり、毛細管チューブをぎっしりと詰め込まれる。別の実施例では、バイパスの内面は円形である。別の実施例では、バイパスの内部は、毛細管チューブを支持するための1つまたは複数の流体の流れの開口部からなり得る。開口部は、毛細管チューブを支持するように任意の構成で作られ配置されてもよい。たとえば、開口部は、円形、六角形等であってもよく、バイパスの内面にわたって任意に間隔をあけられてもよい。またはこれに代えて、開口部は、図13に示されるように、バイパスにわたって一様に間隔をあけられてもよい。一実施例では、円形の開口部は、バイパス内で円形のパターンで一様に間隔をあけられ、任意で1つまたは複数の付加的な円形の開口部がバイパスの中心にある。これら開口部は、たとえば、以下にさらに詳しく述べるように、いくつかの毛細管チューブおよび/またはピンで満たされ得る都合のよい直径の貫通孔として機械加工してもよい。そのような実施例は、バイパス内の毛細管の寸法の個々のチューブを機械加工するのに必要な費用および精度を回避することを理解されたい。全体的な所望の流量および流体の物理的な特性に基づいて、任意の数の毛細管チューブをバイパスとして使用してもよい。」
「【0032】図3Bは、中程度の流量の条件に使用され得る吐出しブロックまたはハウジング内に位置付けられるバイパスの別の実施例を示す。バイパス420は、図4A、および図10および図11にも詳細に示されるが、開口部400 および環状の空隙300を含む。図12および図13に示されるように、毛細管チューブを支持するための個々の流れの開口部430をバイパスに形成してもよい。図13は、バイパスの周囲に一様に間隔をあけられたいくつかの流れの開口部を示し、中心の流れの開口部を含み得る。図14Aおよび図14Bに示されるように、各流れの開口部の直径および場所は、所望の毛細管チューブの数に応じて異なり得る。各流れの開口部は毛細管チューブで完全に満たされてもよい。またはこれに代えて、毛細管チューブは、図1 6に詳細に示されるように、中心のピン440または流れの絞りのまわりに位置付けてもよい。所望の数の直線のおよび/または曲げられた毛細管チューブを収容するために任意の組合せおよび構成の流れの開口部を使用してもよいことを理解されたい。」
「[図:0001405484000011.jpg]」
(ウ) 周知技術1の認定
前記(ア)及び(イ)に摘記した引用文献3及び引用文献6の記載に例示されるように、次の事項は、本願の出願前において、当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。)
[周知技術1]
「流量センサの主流路に取り付けられる複数の細管を有する構造体において、当該複数の細管を円周方向に等間隔で放射状に設けること。」
(3) 対比・判断
ア 対比
(ア) 対比分析
本件補正発明と先願発明を対比する。
a 先願発明の「主流路115」は、本件補正発明の「本流側(の)流路」に相当し、先願発明の「MFC100の主流路115に接続されたセンサ管120を通る流量を測定することにより、MFC100を通るガスの質量流量を測定」することは、本件補正発明の「本流側流路を流通する流体の流量を得る」ことに相当するから、先願発明の「内部を流れるガスの質量流量を測定するために使用される熱式センサ130を備え」る「MFC(マスフローコントローラ)100」は、本件補正発明の「本流側流路を流通する流体の流量を得る流量測定装置」に相当する。
したがって、本件補正発明と先願発明は、「流量測定装置」の発明である点で一致する。
b(a) 先願発明は、「熱式センサ130を備えているMFC100」の「バイパス110」は、「主流路115とセンサ管120とに一定の割合でガスを分配」するものであるところ、「一実施形態」では、「バイパス710を構成する毛細管のうち、中心部に配置された第1毛細管において、細いスリット715を介してセンサ管220に接続し、複数の管からなる前記第1毛細管以外の第2毛細管が前記第1毛細管の周りに軸方向に延びて径方向に均等間隔で設けられている」構成を有するから、「主流路115」は、「中心部に配置された第1毛細管」と、「複数の管からなる前記前記第1毛細管以外の第2毛細管」に分けられているといえる。
(b) ここで、先願発明の「熱式センサ130」は、本件補正発明の「センサー」に相当し、先願発明の「第1毛細管」は、「中心部に配置され」、「細いスリット715を介してセンサ管220に接続し」ているから、本件補正発明の「流体の流路の中心に設けたセンサー側の第一流路」に相当する。
(c) また、「バイパス」とは、一般に「混雑する市街地などを避けてやや迂回してつくる道路。迂回道路。副道。」(広辞苑第七版)を意味するところ、先願発明の「第1毛細管の周りに」「設けられている」「複数の管からなる」「第2毛細管」は、「第1毛細管」に対し、迂回流路として機能することは自明であるから、「第1毛細管」の外側に設けた複数のバイパス流路であるといえる。
(d) そうすると、先願発明の「第2毛細管」は、本件補正発明の「当該第一流路の外側に設けた複数のバイパス流からなる第二流路」に相当する。
(e) したがって、本件補正発明と先願発明は、「本流側の流路を、流体の流路の中心に設けたセンサー側の第一流路と当該第一流路の外側に設けた複数のバイパス流からなる第二流路に分け」られた構成を有する点で一致する。
c(a) 先願発明において、「バイパス110は、主流路115とセンサ管120とに一定の割合でガスを分配でき」、「センサ管120内への径方向に沿ったバイパス110からの流出である入口ガス流れ121と、バイパス110の下流側に向かってセンサ管120から流出する出口ガス流れ122を有し」ているところ、「一実施形態」では、「バイパス710は、円状断面を有する第1部材710Bと細いスリット715が形成された円状断面を有する第2部材710Cとを交互に配置して構成されており、上流側及び下流側にある第2部材710Cのいずれにおいても、中心孔に連通する接続空間713として機能する細いスリット715が設けられて」いるから、「センサ管120」において、「ガス」は、「主流路115」から「第1毛細管」を介して「入口ガス流れ121」に入り、「熱式センサ130」を経て、「出口ガス流れ122」から「第1毛細管」に至る流路を流れるといえる。
(b) ここで、先願発明の「センサ管120」は、本件補正発明の「第三流路」に相当するところ、前記(a)において説示した事項を踏まえると、本件補正発明と先願発明は、「上記第一流路からセンサーを経て第一流路に至る第三流路を有し」ている点で一致する。
d(a) 先願発明の「内部を流れるガスの質量流量を測定するために使用される熱式センサ130を備えているMFC100」においては、「MFC100の主流路115に接続されたセンサ管120を通る流量を測定することにより、MFC100を通るガスの質量流量を測定し」、「この流量測定値は、本適用による所望の流量を達成すべく弁160を調節するコントローラ150へ測定流量信号140により通信され」、「弁160が、主流路115の下流側に設けられて」いる。
(b) ここで、先願発明の「測定流量信号140」は「熱式センサ130」で検知したものを変換した信号であることは明らかであるから、先願発明の「測定流量信号140」及び「主流路115の下流側に設けられ」た「弁160」は、それぞれ本件補正発明の「上記第三流路を流通する流体の流量を上記センサーで検知して」「変換」した「第一電気信号」及び「本流の下流側に設けた流量制御バルブ」に相当する。
(c) また、先願発明において、「弁160を制御するために、測定流量信号140をデジタルドメインに変更して、フィードバックループ内で測定流量信号140のアナログ形態またはデジタル形態を使用し」ており、「測定流量信号140」を用いて「弁160」を制御しているといえる。
一方、本件補正発明では、「流体の流量に相当する電気信号であって第一電気信号とは異なる第二電気信号を発生させて、第一電気信号と第二電気信号との差信号がゼロになるように本流の下流側に設けた流量制御バルブを作動させて本流側流路を流通する流体の流量を制御」しており、前記(a)を踏まえると、本件補正発明と先願発明は、「第一電気信号を用いて本流の下流側に設けた流量制御バルブを作動させて本流側流路を流通する流体の流量を制御」している点で共通する。
(d) そして、先願発明においては、「流量測定値」が「所望の流量を達成すべく弁160を調節するコントローラ150へ測定流量信号140により通信され」、「フィードバックループ内で測定流量信号140」が「弁160を制御するために」「使用」されるのであるから、先願発明は、弁160を作動させて主流路115を流通する流体の流量を制御することにより、主流路115を流通する流体の流量を得るものであるといえる。
(e) したがって、本件補正発明と先願発明は、「上記第三流路を流通する流体の流量を上記センサーで検知して第一電気信号に変換し、第一信号を用いて本流の下流側に設けた流量制御バルブを作動させて本流側流路を流通する流体の流量を制御することにより、本流側流路を流通する流体の流量を得る」点で共通する。
e 先願発明においては、「複数の管からなる前記第1毛細管以外の第2毛細管が前記第1毛細管の周りに軸方向に延びて径方向に均等間隔で設けられて」いるから、本件補正発明と先願発明は、「複数のバイパス流からなる第二流路が均等間隔で設けられて」いる点で共通する。
f 先願発明においては、「バイパス110は、主流路115とセンサ管120とに一定の割合でガスを分配でき」る構成を有するから、本件補正発明と先願発明は、「本流側流路を流通する流体の流量に対する第三流路を流通する流体の流量の比率が一定である」点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と先願発明は、次の一致点において一致し、後記の相違点において一応相違する。
a 一致点
「 本流側の流路を、流体の流路の中心に設けたセンサー側の第一流路と当該第一流路の外側に設けた複数のバイパス流からなる第二流路に分け、上記第一流路からセンサーを経て第一流路に至る第三流路を有し、上記第三流路を流通する流体の流量を上記センサーで検知して第一電気信号に変換し、第一信号を用いて本流の下流側に設けた流量制御バルブを作動させて本流側流路を流通する流体の流量を制御することにより、本流側流路を流通する流体の流量を得る流量測定装置において、複数のバイパス流からなる第二流路が均等間隔で設けられており、本流側流路を流通する流体の流量に対する第三流路を流通する流体の流量の比率が一定である流量測定装置」である点。
b 相違点
(a) 相違点1
本件補正発明においては、「流体の流量に相当する電気信号であって第一電気信号とは異なる第二電気信号を発生させて、第一電気信号と第二電気信号との差信号がゼロになるように本流の下流側に設けた流量制御バルブを作動させて」いるのに対し、
先願発明は、「弁160を制御するために、測定流量信号140をデジタルドメインに変更して、フィードバックループ内で測定流量信号140のアナログ形態またはデジタル形態を使用し」ているものの、測定流量信号140と、測定流量信号140とは異なる第二電気信号との差信号を用いて、弁160を制御することについて明示されていない点。
(b) 相違点2
本件補正発明においては、「複数のバイパス流からなる第二流路」が「円周方向に均等間隔で放射線状に設けられて」いるのに対し、
先願発明においては、「複数の管からなる前記第1毛細管以外の第2毛細管が前記第1毛細管の周りに軸方向に延びて径方向に均等間隔で設けられている」ものの、具体的な管の配置がFig.7Bにおいて示されたようなものである点。
イ 判断
前記相違点について検討する。
(ア) 相違点1について
a 先願発明において、「所望の流量を達成すべく」、「弁160を制御するために、測定流量信号140をデジタルドメインに変更して、フィードバックループ内で測定流量信号140のアナログ形態またはデジタル形態を使用し」ている。
b ここで、JIS Z 8116-1994 「自動制御用語一般」によれば、「フィードバック制御、閉ループ制御」とは、「フィードバックによって制御量を目標値と比較し,それらを一致させるように操作量を生成する制御。」を意味するから、先願発明の「フィードバックループ」が、「測定流量信号140」(制御量に対応)を「目標値」と比較し、それらを一致させるように操作量を制御していることは明らかである。
c また、「熱式質量流量計において、設定されたガス流量を得るために、キャピラリ(細管)に設置した温度センサから得られる流量信号と、設定されたガス流量に対応する流量設定信号とを比較制御回路で処理し、コントロールバルブを制御すること」は、本願の出願時において技術常識であり(前記「技術常識1」を参照)、前記bを踏まえると、先願発明においても「測定流量信号140」を「目標値」である「設定されたガス流量に対応する流量設定信号」(本件補正発明の「第二電気信号」に相当)と一致するように、すなわち、両者の差信号がゼロになるように制御を行っていると認められる。
d したがって、前記相違点1に係る本件補正発明の構成は、先願明細書等に記載された事項から本願の出願時における技術常識を参酌することにより当業者が導き出せる事項であると認められ、前記相違点1は実質的な相違点ではない。
(イ) 相違点2について
a 「流量センサの主流路に取り付けられる複数の細管を有する構造体において、当該複数の細管を円周方向に等間隔で放射状に設けること」は、本願の出願時において周知技術である(前記「周知技術1」を参照)。
b 先願発明の「複数の管からなる前記第1毛細管以外の第2毛細管が前記第1毛細管の周りに軸方向に延びて径方向に均等間隔で設けられている」という管の配置構成を前記周知技術1をもとに転換すると、「複数のバイパス流からなる第二流路が円周方向に均等間隔で放射線状に設けられて」いるという本件補正発明の構成が得られることになる。
c また、本件補正発明の効果として、本願の明細書の段落【0010】には、「本流側流路を流通する流体の流量に対するセンサー流量の比率である分流比を制御しやすくなる」等の効果が記載されているが、当該効果は、先願発明においても「主流路115とセンサ管120とに一定の割合でガスを分配できる」としている点からも明らかなように、先願発明においても奏する効果である。
仮に両者に若干の効果の差が生じていたとしても、前記周知技術1を採用することにより当然奏される効果にとどまるものであるから、いずれにせよ新たな効果を奏するものとはいえない。
d したがって、前記相違点2は、課題解決のための具体化手段における微差であるものと認められ、実質的な相違点ではない。
(ウ) 総合評価
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、相違点1及び相違点2は実質的な相違点ではないから、本件補正発明と先願発明は実質的に同一である。
ウ 請求人の主張について
(ア) 審判請求書の主張内容
審判請求書において請求人は、概略次の主張をしている。
先願発明では、第1部材710Bの微細な孔から第2部材710Cの楕円形の孔に流体が流入するときに乱流が発生するので、分流比k=Qs/Qを一定とするように設計することは不可能であり、質量流量を求めることはできない。
(イ) 請求人の主張についての検討
先願発明においては、「MFC100を通るガスの質量流量を測定」しており(先願明細書等の段落[0012]についても参照)、先願発明が質量流量を求めることはできないとする請求人の主張は失当である。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(4) 独立特許要件の判断についてのまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、先願発明と同一であり、しかも、本願の発明者が先願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、本願の出願人が先願の出願人と同一でもないので、特許法184条の13により読み替えて適用される同法29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 本件補正の適否のまとめ
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和4年7月19日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に記載した事項により特定されるとおりのものであると認める。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。
理由1(拡大先願)
本願発明は、その出願の日前の外国語特許出願(特許法184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、その出願後に国際公開がされた下記の外国語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法184条の13参照)。
記
(国際公開第2020/179562号、特表2022-522933号公報)
3 先願明細書等に記載された事項
前記先願明細書等には、前記第2の3(2)ア(ウ)において認定したとおりの先願発明が記載されていると認められる。
また、技術常識1は、前記第2の3(2)イ(イ)において認定したとおりである。
4 対比・判断
(1) 本願発明は、本件補正発明のうち、下記の限定を省いたものである(前記第2の2参照)。
「流量測定装置」における「複数のバイパス流からなる第二流路」について「円周方向に均等間隔で放射線状に設けられて」いることに限定するとともに、「流量測定装置」において、「本流側流路を流通する流体の流量に対する第三流路を流通する流体の流量の比率が一定である」ことに限定すること。
(2) そうすると、前記第2の3(3)アにおける検討結果を踏まえると、本願発明と先願発明の相違点は、前記相違点1である。
(3) 相違点1は、前記第2の3(3)イ(ア)において示したとおり、実質的な相違点ではないから、本願発明は、先願発明と実質的に同一である。
第4 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、先願発明と同一であり、しかも、本願の発明者が先願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、本願の出願人が先願の出願人と同一でもないので、特許法184条の13により読み替えて適用される同法29条の2の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-017942