2022-017369
遊技機
- 審判番号
- 2022-017369
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-200667外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年10月28日
- 審決日
- 2023年05月09日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-ZB (A63F) / P18 .575-ZB (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
この出願は、平成29年10月16日の出願であって、令和2年3月30日及び令和3年5月14日に手続補正書が提出され、同年8月18日付けの拒絶理由通知に対して同年10月29日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年3月1日付けの最後の拒絶理由通知に対して同年5月9日に意見書及び手続補正書(以下、該手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出され、同年7月21日付けで同年5月9日付け手続補正書でした補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定(送達日:同年8月2日)がなされ、これに対し、同年10月28日に、拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 補正の却下の決定について
審判請求書の請求の趣旨において、「特願2017-200667について、平成4年7月21日(起案日)になされた補正の却下の決定ならびに査定を取り消す。本願発明は特許すべきものとする、との審決を求める。」と記載されているところ、「平成4年7月21日(起案日)」は、「令和4年7月21日(起案日)」の誤記と認められることから、令和4年7月21日付けでなされた補正の却下の決定(以下「本件補正却下の決定」という。)の当否について検討する。
1 本件補正却下の決定の理由
本件補正却下の決定の理由は、概略、次の理由を含むものである。
本願請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるか、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者であれば容易に想到し得る発明である。
よって、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下する。
<引用文献等一覧>
1.特開2017-164457号公報
2 本件補正
本件補正は、令和3年10月29日に提出された手続補正書においては、特許請求の範囲が、
(本件補正前の請求項1)
「【請求項1】発射手段と、該発射手段によって発射された遊技球が流下する流下領域と、該流下領域の所定の領域を通過した遊技球を検知する複数の所定検知手段と、続きを表示(全22行)前記所定の領域の一部に対応して設けられ、対応する所定の領域への遊技球の通過を制御する遊技球誘導部材と、前記複数の所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、前記遊技価値として遊技球を払い出す払出手段と、前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、前記払出手段と制御信号の送受信を行う事なく、前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報の処理を含む所定の処理を実行する処理実行手段と、を備える遊技機であって、前記遊技価値付与手段は、前記遊技に対する遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、当該遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、を備え、前記処理実行手段は、前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段と、前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号と、前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報とに基づいて前記所定の処理を実行する実行手段と、該実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段と、前記処理結果情報に基づいて所定の表示手段を制御する表示制御手段と、を備え、前記表示手段は、遊技中に遊技者が触れられない位置に設けられて少なくとも数字情報が表示され、前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、それぞれ異なる半導体チップに集積された集積回路を用いて構成され、異なる基板ボックスに収納され、前記遊技価値付与手段は、前記第2参照用情報記憶手段に対して直接情報を書き込みしないように構成されることを特徴とする遊技機。」
であったものを、
(本件補正後の請求項1)
「【請求項1】発射手段と、該発射手段によって発射された遊技球が流下する流下領域と、該流下領域の所定の領域を通過した遊技球を検知する複数の所定検知手段と、続きを表示(全22行)前記所定の領域の一部に対応して設けられ、対応する所定の領域への遊技球の通過を制御する遊技球誘導部材と、前記複数の所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、前記遊技価値として遊技球を払い出す払出手段と、前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、前記払出手段と制御信号の送受信を行う事なく、前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報の処理を含む所定の処理を実行する処理実行手段と、を備える遊技機であって、前記遊技価値付与手段は、前記遊技に対する遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、当該遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための特定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、を備え、前記処理実行手段は、前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段と、前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号と、前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報とに基づいて前記所定の処理を実行する実行手段と、該実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段と、前記処理結果情報に基づいて所定の表示手段を制御する表示制御手段と、を備え、前記表示手段は、遊技中に遊技者が触れられない位置に設けられて少なくとも数字情報が表示され、前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、それぞれ異なる半導体チップに集積された集積回路を用いて構成され、異なる基板ボックスに収納され、前記遊技価値付与手段は、前記第2参照用情報記憶手段に対して直接情報を書き込みしないように構成され、前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものであることを特徴とする遊技機。」
と補正することを含むものである(下線は、補正箇所を示す。)。
3 本件補正の目的
本件補正は、以下の補正事項1及び補正事項2を含むものである。
(補正事項1)補正前の請求項1の発明特定事項である「遊技を進行させるための所定処理」を「遊技を進行させるための特定処理」に変更する。
(補正事項2)補正前の請求項1の発明特定事項である「遊技価値付与手段」について、「前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものであ」ることを限定する。
補正事項1は、「処理実行手段」が実行する「所定の処理」と明確に区別するために表現を変更したものであり、補正前と補正後とで実質的に意味するところは変わらないものと認められる。
補正事項2は、補正前の請求項1の発明特定事項である「遊技価値付与手段」を限定するものである。
よって、本件補正は、全体として特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認める。
4 独立特許要件の判断
上記3で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。
(1) 本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(符号A等は、分説するため合議体が付した。なお、符号Jは用いていない。)。
(本願補正発明)
「【請求項1】A 発射手段と、B 該発射手段によって発射された遊技球が流下する流下領域と、C 該流下領域の所定の領域を通過した遊技球を検知する複数の所定検知手段と、続きを表示(全25行)D 前記所定の領域の一部に対応して設けられ、対応する所定の領域への遊技球の通過を制御する遊技球誘導部材と、E 前記複数の所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、F 前記遊技価値として遊技球を払い出す払出手段と、G 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、前記払出手段と制御信号の送受信を行う事なく、前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報の処理を含む所定の処理を実行する処理実行手段と、K を備える遊技機であって、E 前記遊技価値付与手段は、E1 前記遊技に対する遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、E2 当該遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための特定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、E3 前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、を備え、G 前記処理実行手段は、G1 前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段と、G2 前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号と、前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報とに基づいて前記所定の処理を実行する実行手段と、G3 該実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段と、G4 前記処理結果情報に基づいて所定の表示手段を制御する表示制御手段と、を備え、H 前記表示手段は、遊技中に遊技者が触れられない位置に設けられて少なくとも数字情報が表示され、I 前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、それぞれ異なる半導体チップに集積された集積回路を用いて構成され、異なる基板ボックスに収納され、E 前記遊技価値付与手段は、E4 前記第2参照用情報記憶手段に対して直接情報を書き込みしないように構成され、E5 前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものであるK ことを特徴とする遊技機。」
(2) 引用文献の記載及び引用発明
ア 引用文献1の記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。)。
「【0025】第1始動口33及び第2始動口34は、共に上向きに開放されており、第1始動口33が第2始動口34よりも上方となるように鉛直方向に並んで配置されている。本実施形態では、第1始動口33に遊技球が入賞すると3個の遊技球が賞球として払い出される。第2始動口34には、左右一対の可動片よりなる電動役物34aが設けられている。電動役物34aが閉鎖状態のときには、遊技球は第2始動口34に入賞することはできない。一方、電動役物34aが開放状態のときには、遊技球は第2始動口34に入賞することができる。本実施形態では、第2始動口34に遊技球が入賞すると4個の遊技球が賞球として払い出される。なお、遊技盤30の最下部にはアウト口43が設けられており、各種入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口43を通って遊技領域PAから排出される。」
「【0336】図31は、音声発光制御装置90及び表示制御装置100の電気的構成を中心として示すブロック図である。なお、電源装置85等の一部の構成は省略されている。音声発光制御装置90に設けられた音声発光制御基板91には、MPU92が搭載されている。MPU92は、ROM93、RAM94、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが内蔵された素子である。」
「【1629】M.第13実施形態:M1.遊技機の構造:次に第13実施形態について説明する。以下では、本実施形態と上記実施形態との相違点について説明する。本実施形態において上記各実施形態と異なる点は、主側MPU62に、後述する遊技履歴管理チップ300が設けられている点である。上記実施形態と同一の構成および処理については説明を省略する。続きを表示(全140行)・・・【1631】前扉枠14の略中央部には、開口された窓部18が形成されている。前扉枠14の窓部18の周囲には、パチンコ機10を装飾するための樹脂部品や電飾部品が設けられている。電飾部品は、LEDなどの各種ランプからなる発光手段によって構成されている。発光手段は、パチンコ機10によって行われる各遊技回、大当たり当選時、リーチ発生時などに点灯又は点滅することによって、演出効果を高める役割を果たす。また、前扉枠14の裏側には、2枚の板ガラスからなるガラスユニット19が配置されており、開口された窓部18がガラスユニット19によって封じられている。内枠13には、後述する遊技盤が着脱可能に取り付けられており、パチンコ機10の遊技者は、パチンコ機10の正面からガラスユニット19を介して遊技盤を視認することができる。遊技盤の詳細については後述する。・・・【1636】図176は、パチンコ機10の背面図である。図示するように、パチンコ機10は、第1制御ユニット51と、第2制御ユニット52と、第3制御ユニット53とを備えている。具体的には、これら機構部は内枠13の背面に設けられている。【1637】第1制御ユニット51は、主制御装置60を備えている。主制御装置60は、遊技の主たる制御を司る機能と電源を監視する機能とを有する主制御基板を有している。主制御基板は、透明樹脂材料からなる基板ボックスに収容されている。この基板ボックスは、開閉の痕跡が残るように構成されている。例えば、開閉可能な箇所に封印シールが貼付されており、基板ボックスを開放すると「開封」といった文字が現れるように構成されている。【1638】第2制御ユニット52は、音声発光制御装置90と、表示制御装置100とを備えている。音声発光制御装置90は、主制御装置60から送信されたコマンドに基づいて、パチンコ機10の前面に設けられたスピーカーや各種ランプ等の発光手段の制御を行う。表示制御装置100は、音声発光制御装置90から送信されたコマンドに基づいて、図柄表示装置を制御する。図柄表示装置は、図柄や演出用の映像を表示する液晶ディスプレイを備えている。・・・【1641】図177は、遊技盤30の正面図である。遊技盤30は、合板によって構成されており、その前面には遊技領域PAが形成されている。遊技盤30には、遊技領域PAの外縁の一部を区画するようにして内レール部31aと、外レール部31bとが取り付けられている。内レール部31aと外レール部31bとの間には、遊技球を誘導するための誘導レール31が形成されている。遊技球発射機構から発射された遊技球は、誘導レール31に誘導されて遊技領域PAの上部に放出され、その後、遊技領域PAを流下する。遊技領域PAには、遊技盤30に対して略垂直に複数の釘42が植設されるとともに、風車等の各役物が配設されている。これら釘42や風車は、遊技領域PAを流下する遊技球の落下方向を分散、整理する。【1642】遊技盤30には、一般入賞口32、第1始動口33、第2始動口34、スルーゲート35、および、可変入賞装置36が設けられている。また、遊技盤30には、可変表示ユニット40及びメイン表示部45が設けられている。メイン表示部45は、特図ユニット37と、普図ユニット38と、ラウンド表示部39とを有している。【1643】一般入賞口32は、遊技球が入球可能な入球口であり、遊技盤30上に複数設けられている。本実施形態では、一般入賞口32に遊技球が入球すると、10個の遊技球が賞球として払出装置71から払い出される。本実施形態では、一般入賞口32として、3つの一般入賞口32a、32b、32cが設けられている。以下では、一般入賞口32aを第1入賞口32a、一般入賞口32bを第2入賞口32b、一般入賞口32cを第3入賞口32cとも呼ぶ。・・・【1645】第2始動口34は、遊技球が入球可能な入球口であり、遊技盤30の右側に設けられている。本実施形態では、第2始動口34に遊技球が入球すると、3個の遊技球が賞球として払い出されるとともに、後述する大当たり抽選が実行される。また、第2始動口34には、普通電動役物としての電動役物34aが設けられている。・・・【1647】可変入賞装置36は、遊技盤30の背面側へと通じる大入賞口36aと、当該大入賞口36aを開閉する開閉扉36bとを備えている。開閉扉36bは、通常は遊技球が大入賞口36aに入球できない閉鎖状態となっている。第1始動口33又は第2始動口34に遊技球が入球すると、主制御装置60は、大当たり抽選(内部抽選)を実行する。大当たり抽選の結果、大当たり又は小当たりに当選すると、パチンコ機10は、開閉実行モードに移行する。開閉実行モードとは、可変入賞装置36の開閉扉36bの開閉処理を実行するモードである。具体的には、可変入賞装置36の開閉扉36bは、開閉実行モードに移行すると、遊技球が入球できない閉鎖状態から遊技球が入球可能な開放状態に遷移するとともに、所定の条件が満たされた後に、再び、閉鎖状態に遷移する。本実施形態では、可変入賞装置36の大入賞口36aに遊技球が入球すると、払出装置71によって15個の遊技球が賞球として払い出される。・・・【1660】可変表示ユニット40は、遊技領域PAの略中央に配置されている。可変表示ユニット40は、図柄表示装置41を備える。図柄表示装置41は、液晶ディスプレイを備えている。図柄表示装置41は、表示制御装置100によって表示内容が制御される。なお、可変表示ユニット40が備える表示装置の構成は、図柄表示装置41に限定されず、例えば、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTなど、種々の表示装置によって構成されてもよい。・・・【1668】主制御装置60は、遊技の主たる制御を司る主制御基板61を備えている。主制御基板61は、複数の機能を有する素子によって構成されるMPU62を備えている。MPU62は、各種制御プログラムを実行するCPU62xと、各種制御プログラムや固定値データを記録したROM63と、ROM63内に記録されているプログラムをCPU62xが実行する際に各種データ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM64と、入出力ポート62aとを備えている。MPU62は、さらに、遊技履歴管理チップ300と、検査用端子65とを備えている。・・・【1671】MPU62の入力側には、払出制御装置70と、電源装置85に設けられた停電監視回路86とが接続されている。主制御基板61は、停電監視回路86を介して、電源装置85から直流安定24Vの電源の供給を受ける。電源装置85は、外部電源としての商用電源に接続されており、商用電源から供給される外部電力を、主制御装置60や払出制御装置70等が必要な動作電力に変換して、各装置に電力を供給する。また、本実施形態では、電源装置85は、コンデンサ87を備えており、停電が発生した場合や電源スイッチがOFFにされた場合には、所定期間、各装置への電力供給を継続する。【1672】また、MPU62の入力側には、各入球口に設けられた入球検知センサーが接続されている。具体的には、大入賞口36aに入球した遊技球を検知する大入賞口検知センサー44aと、第1始動口33に入球した遊技球を検知する第1始動口検知センサー44bと、第2始動口34に入球した遊技球を検知する第2始動口検知センサー44cと、第1入賞口32aに入球した遊技球を検知する第1入賞口検知センサー44dと、第2入賞口32bに入球した遊技球を検知する第2入賞口検知センサー44eと、第3入賞口32cに入球した遊技球を検知する第3入賞口検知センサー44fと、スルーゲート35を通過した遊技球を検知するスルーゲート検知センサー44gと、上述した排出通路を通過した遊技球を検知する排出通路検知センサー44hとが接続されている。MPU62は、これらの検知センサーからの信号に基づいて、遊技領域PAを流下する遊技球が始動口や入賞口に入球したか否かの判定や、遊技球がスルーゲートや排出通路を通過したか否かの判定を行う。さらに、MPU62は、第1始動口33、第2始動口34への遊技球の入球に基づいて大当たり抽選を実行する。【1673】MPU62の出力側には、可変入賞装置36の開閉扉36bを開閉動作させる可変入賞駆動部36cと、第2始動口34の電動役物34aを開閉動作させる電動役物駆動部34bと、メイン表示部45とが接続されている。主制御基板61には各種ドライバ回路が設けられており、MPU62は、当該ドライバ回路を通じて各種駆動部の駆動制御を実行する。・・・【1675】また、MPU62の送信側には、払出制御装置70と、音声発光制御装置90とが接続されている。払出制御装置70には、例えば、主制御装置60から入球判定結果に基づいて賞球コマンドが送信される。主制御装置60が賞球コマンドを送信する際には、主制御基板61のMPU62は、ROM63のコマンド情報記憶エリア63fを参照する。具体的には、一般入賞口32への遊技球の入球を特定した場合には10個の遊技球の払い出しに対応した賞球コマンドが主制御装置60から送信され、第1始動口33への遊技球の入球を特定した場合には3個の遊技球の払い出しに対応した賞球コマンドが主制御装置60から送信され、第2始動口34への遊技球の入球を特定した場合には1個の遊技球の払い出しに対応した賞球コマンドが主制御装置60から送信される。払出制御装置70は、主制御装置60から受信した賞球コマンドに基づいて、払出装置71を制御して賞球の払出を行う。・・・【1677】音声発光制御装置90は、主制御装置60から送信された各種コマンドを受信し、受信した各種コマンドに対応した処理を実行する。具体的には、音声発光制御装置90は、主制御装置60から受信した各種コマンドに基づいて、前扉枠14に配置されたLEDなどの発光手段からなる各種ランプ47の駆動制御や、スピーカー46の駆動制御を行うとともに、表示制御装置100の制御を行う。また、音声発光制御装置90には、演出操作ボタン24が接続されており、所定のタイミングで遊技者によって演出操作ボタン24が操作された場合には、当該操作を反映した遊技演出を行うように各種ランプ47、スピーカー46、表示制御装置100等の制御を行う。・・・【1679】図180は、第13実施形態のパチンコ機10が備える主制御装置60の構成及び検査機320の構成を詳細に示すブロック図である。以下では、MPU62、CPU62x、ROM63及びRAM64を、それぞれ主側MPU62、主側CPU62x、主側ROM63及び主側RAM64とも呼ぶ。【1680】主側MPU62の主側ROM63には、賞球数データ記憶エリアと、演算実行条件記憶エリアとが設けられている。【1681】賞球数データ記憶エリアには、各入球部に遊技球が入球した場合に賞球として払い出される遊技球の個数(賞球数データ)が記憶されている。本実施形態では、賞球数データ記憶エリアには、以下の賞球数データが記憶されている。・第1始動口33に遊技球が入球した場合に賞球として払い出される遊技球の個数(第1始動口賞球数P1):3・第2始動口34に遊技球が入球した場合に賞球として払い出される遊技球の個数(第2始動口賞球数P2):3・第1入賞口32aに遊技球が入球した場合に賞球として払い出される遊技球の個数(第1入賞口賞球数PN1):10・第2入賞口32bに遊技球が入球した場合に賞球として払い出される遊技球の個数(第2入賞口賞球数PN2):10・第3入賞口32cに遊技球が入球した場合に賞球として払い出される遊技球の個数(第3入賞口賞球数PN3):10・大入賞口36aに遊技球が入球した場合に賞球として払い出される遊技球の個数(大入賞口賞球数PS):15【1682】主側MPU62は、主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを参照することによって、遊技球が各入球部に入球した場合に賞球として払い出す遊技球の個数を決定する。・・・【1697】CPU308は、演算実行条件記憶用メモリ307に記憶されている演算実行条件が成立したか否かを判定するとともに、演算実行条件が成立したと判定した場合には、賞球数データ記憶用メモリ306に記憶された賞球数データと、レジスタ304に記憶された各入球口への遊技球の入球個数とに基づいて、各種の遊技履歴情報を算出する。本実施形態では、CPU308は、レジスタ304に記憶された排出通路通過個数NOUTの値が500個に達する毎に、遊技履歴情報として下記の値を算出する。【1698】・役物比率=役物作動によって賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数=(N2×P2+NS×PS)/(NN1×PN1+NN2×PN2+NN3×PN3+N1×P1+N2×P2+NS×PS)・連続役物比率=連続役物作動によって賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数=(NS×PS)/(NN1×PN1+NN2×PN2+NN3×PN3+N1×P1+N2×P2+NS×PS)・出玉率(トータル)=賞球として払い出された遊技球の合計個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数=(NN1×PN1+NN2×PN2+NN3×PN3+N1×P1+N2×P2+NS×PS)/NOUT【1699】なお、上記の値の算出根拠は以下の通りである。・役物作動によって賞球として払い出された遊技球の個数=普通電動役物としての電動役物34a及び特別電動役物としての可変入賞装置36が作動することによって賞球として払い出された遊技球の個数=第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数=N2×P2+NS×PS・連続役物作動によって賞球として払い出された遊技球の個数=特別電動役物としての可変入賞装置36が作動することによって賞球として払い出された遊技球の個数=大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数=NS×PS・第1~第3入賞口32a~32cへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数=NN1×PN1+NN2×PN2+NN3×PN3・賞球として払い出された遊技球の合計個数=第1~第3入賞口32a~32c、第1始動口33、第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数=NN1×PN1+NN2×PN2+NN3×PN3+N1×P1+N2×P2+NS×PS・・・【1707】M3.遊技機において実行される各種処理の詳細:次に、MPU62(本実施形態では、CPU62x)にて実行される各処理を説明する。かかるMPU62の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では4msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがある。【1708】先ず、図182のフローチャートを参照しながらメイン処理を説明する。【1709】図182は、主側MPU62にて実行されるメイン処理を示すフローチャートである。ステップS9701では、初期設定処理を実行する。具体的には、電源投入に伴う各制御装置の初期設定や、RAM64に記憶保持されたデータの有効性の判定などを実行する。さらに、本実施形態では、初期設定処理において、演算用データを遊技履歴管理チップ300に送信する処理を実行する。具体的には、主側ROM63に記憶されている演算用データ(賞球数データ及び演算実行条件)を遊技履歴管理チップ300に送信する。後述するように、当該演算用データを受信した遊技履歴管理チップ300は、賞球数データ及び演算実行条件を賞球数データ記憶用メモリ306及び演算実行条件記憶用メモリ307にそれぞれ記憶し、記憶が完了したことを示す設定完了コマンドを主側MPU62に送信する。ステップS9701を実行した後、ステップS9702に進む。【1710】ステップS9702では、設定完了コマンドを受信しているか否かを判定する。ステップS9702において、設定完了コマンドを受信していると判定した場合には(S9702:YES)、ステップS9703に進み、タイマ割込み処理の発生を許可するために割込み許可の設定を行う。一方、ステップS9702において、設定完了コマンドを受信していないと判定した場合には(S9702:NO)、再びステップS9702の処理を実行する。すなわち、設定完了コマンドを受信するまでは、ステップS9703に進まず、タイマ割込み処理の発生を許可するための割込み許可の設定を行なわない。・・・【1713】次に、主側MPU62(本実施形態では、CPU62x)にて実行されるタイマ割込み処理について説明する。・・・【1715】タイマ割込み処理では、まずステップS9801にて抽選用乱数更新処理を実行する。抽選用乱数更新処理では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4から現状の数値情報を順次読み出し、それら読み出した数値情報をそれぞれ1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。その後、ステップS9802に進む。【1716】ステップS9802では、乱数初期値更新処理において乱数初期値カウンタCINIの更新を実行するとともに、ステップS9803に進み、変動種別カウンタ更新処理において変動種別カウンタCSの更新を実行する。その後、ステップS9804に進む。【1717】ステップS9804では、ポート出力処理を実行する。ポート出力処理では、前回のタイマ割込み処理において出力情報の設定が行われている場合に、その出力情報に対応した出力を各種駆動部36c,34bに行うための処理を実行する。例えば、大入賞口36aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には可変入賞駆動部36cへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。また、第2始動口34の電動役物34aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には電動役物駆動部34bへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。その後、ステップS9805に進む。【1718】ステップS9805では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、入球信号以外の信号の読み込みを実行し、その読み込んだ情報を今後の処理にて利用するために記憶する。その後、ステップS9806に進む。【1719】ステップS9806では、各入球検知センサー44a~44hから受信している信号を読み込むとともに、その読み込んだ情報に対応した処理を行うための入球検知処理を実行する。当該入球検知処理の処理内容は、後に詳細に説明する。その後、ステップS9807に進む。【1720】ステップS9807では、入球検知情報を遊技履歴管理チップ300のバッファ302のビットに出力する。具体的には、ステップS9806の入球検知処理において遊技球が入球したと判定した入球口に対応したビットをON(「1」)にするとともに、パチンコ機10の遊技状態に対応したビットをON(「1」)にする。その後、ステップS9808に進む。【1721】ステップS9808では、主側RAM64に設けられている所定のタイマカウンタの数値情報をまとめて更新するためのタイマ更新処理を実行する。その後、ステップS9809に進み、賞球コマンドの出力設定処理を実行する。その後、ステップS9810に進む。【1722】ステップS9810では、第1始動口33及び第2始動口34への遊技球の入球に伴う始動口用の入球処理を実行する。始動口用の入球処理の内容は、上述した実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS9810を実行した後、ステップS9811に進む。【1723】ステップS9811では、スルーゲート35への遊技球の入球(通過)に伴うスルーゲート用の入球処理を実行する。スルーゲート用の入球処理の内容は、上述した実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS9811を実行した後、ステップS9812に進む。【1724】ステップS9812では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。遊技回制御処理では、大当たり抽選や、第1図柄表示部37a,第2図柄表示部37bの表示制御などを行う。遊技回制御処理の内容は、上述した実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS9812を実行した後、ステップS9813に進む。【1725】ステップS9813では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。遊技状態移行処理を実行することにより、遊技状態が開閉実行モード、高確率モード、高頻度サポートモードなどに移行する。遊技状態移行処理の内容は、上述した実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS9813を実行した後、ステップS9814に進む。【1726】ステップS9814では、電動役物34aを制御するための電役サポート用処理を実行する。電役サポート用処理では、電動役物34aを開放状態とするか否かの判定を行うとともに、開放状態とすると判定した場合には電動役物34aを駆動制御する。電役サポート用処理の内容は、上述した実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS9814を実行した後、ステップS9815に進む。【1727】ステップS9815では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理は、遊技者によって操作ハンドル25が操作された際に遊技球を遊技領域PAに発射するために実行する処理である。遊技球発射制御処理の内容は、上述した実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS9815を実行した後、ステップS9816に進む。【1728】ステップS9816では、今回のタイマ割込み処理にて実行された各種処理の処理結果に応じた外部信号の出力の開始及び終了を制御するように外部情報設定処理を実行する。ステップS9816を実行した後、本タイマ割込み処理を終了する。・・・【1773】上記のように入球検知処理が実行されることにより、各入球検知センサー44a~44hにおける検知結果の監視が実行されることともに、遊技球の付与に対応した入球が発生している場合には、その入球箇所に応じて、3個賞球カウンタ、10個賞球カウンタ及び15個賞球カウンタへの加算処理が実行される。これらカウンタのいずれかが「1」以上となっている場合には、タイマ割込み処理(図183)における賞球コマンドの出力設定処理(ステップS9809)にて賞球コマンドの設定が行われ、その設定された賞球コマンドが払出制御装置70に送信される。この場合、賞球コマンドの出力設定はタイマ割込み処理の1処理回において1回のみ行われる。したがって、例えば15個賞球カウンタが「2」以上となっていたとしても、1処理回では15個賞球コマンドが1回のみ送信される。但し、これに限定されることはなく、1処理回において所定の複数(例えば2個又は3個)の賞球コマンドが送信される構成としてもよい。・・・【1788】さらに、本実施形態では、遊技履歴管理チップ300及び主側CPU62xは、共に主側MPU62に搭載されており、これらは同一の電源によって動作するように構成されている。したがって、例えば、当該パチンコ機10が遊技ホールに設置されている場合であって、ホールコンピュータによってパチンコ機10の遊技履歴情報を算出していた場合に、当該ホールコンピュータの電源系統に不具合が生じた場合や、当該ホールコンピュータの処理に不具合が生じた場合であっても、パチンコ機10に電源が供給されている状況であれば、遊技履歴情報を算出することができる。仮に、主側CPU62xと遊技履歴管理チップ300とが異なる電源によって動作している場合、遊技履歴管理チップ300の電源供給に不具合があった場合に、パチンコ機10によって遊技が実行されているにも関わらず遊技履歴情報を算出できないといった不具合が生じる。これに対して、本実施形態によれば、主側CPU62xと遊技履歴管理チップ300とが同一の電源によって動作しているので、遊技が実行可能な状況であれば必ず遊技履歴情報を算出することができる。よって、遊技履歴情報の信頼性を向上させることができる。・・・【1792】さらに、本実施形態によれば、主側CPU62xのメイン処理において、設定完了コマンドを受信するまでは、タイマ割込み処理の割り込みが許可されず、タイマ割込み処理に含まれる遊技球発射制御処理が実行されない構成となっている。すなわち、賞球数データの賞球数データ記憶用メモリ306への記憶が完了するまでは遊技球が発射されないので、遊技履歴管理チップ300による遊技履歴情報の算出対象から遊技球が漏れてしまうことを抑制することができる。」
「【1797】M4.第13実施形態の他の態様:<態様1>上記第13実施形態では、主側ROM63の演算実行条件記憶エリアに記憶された演算実行条件として、排出通路検知センサー44hに検知された遊技球が500個に達することが設定されていたが、演算実行条件として、演算を実行する時間的間隔が設定されている構成としてもよい。例えば、演算を実行する時間的間隔として1時間が設定されており、遊技履歴管理チップ300のCPU308は、1時間が経過する毎に遊技履歴情報を算出する構成としてもよい。パチンコ機10の検査者は、1時間毎に算出された詳細な遊技履歴情報を確認することができ、パチンコ機10に不正な改造等が施されていないかを適切に判断することが可能となる。この結果、遊技の健全性を向上させることができる。・・・【1912】<態様21>上記第13実施形態及び上記の他の態様において、音声発光制御装置90が遊技履歴情報を算出する構成としてもよい。具体的には、例えば、主制御装置60の主側CPU62xが初期設定処理において主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信する構成とし、音声発光制御装置90は、取得した賞球数データと、主制御装置60から送信される遊技球の入球情報とに基づいて遊技履歴情報を算出し、当該算出した遊技履歴情報を図柄表示装置41に表示させる構成としてもよい。【1913】このような構成によれば、音声発光制御装置90が主側ROM63の賞球数データ記憶エリアにアクセスすることができない構成や、音声発光制御装置90が主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データの記憶位置(メモリアドレス)を把握することができない構成であっても、音声発光制御装置90が主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを取得することが可能となり、遊技履歴情報を算出することが可能となる。また、主制御装置60の代わりに音声発光制御装置90が遊技履歴情報を算出するので、主制御装置60の処理負荷を大幅に低減させることができる。」
「【図179】[図:0001400290000001.jpg]」
「【図182】[図:0001400290000002.jpg]」
イ 認定事項
(ア) 図179からは、音声発光制御装置90は、MPU62、演出操作ボタン24、スピーカー46、各種ランプ47、表示制御装置100と接続していること、及び、払出制御装置70と接続していないことが見て取れる。
また、【1679】には「以下では、・・・MPU62・・・を、・・・主側MPU62・・・とも呼ぶ。」と記載されている。
以上のことから、引用文献1には、「音声発光制御装置90は、主側MPU62、演出操作ボタン24、スピーカー46、各種ランプ47、表示制御装置100と接続し、払出制御装置70と接続していない」ことが示されていると認められる(認定事項ア)。
(イ) 【1671】には「MPU62の入力側には、払出制御装置70と、電源装置85に設けられた停電監視回路86とが接続されている。」と、【1672】には「MPU62の入力側には、各入球口に設けられた入球検知センサーが接続されている。」と、【1679】には「以下では、・・・MPU62・・・を、・・・主側MPU62・・・とも呼ぶ。」と、それぞれ記載され、図179から、払出制御装置70と各種入球検知センサー44a~44hから、MPU62の入出力ポートに向けた矢印が、電源装置85から主制御基板61に向けた矢印が、それぞれ記載されていることが見て取れることから、MPU62の入出力ポート又は主制御基板61に向けた矢印は、MPU62の入力側に接続されていることを示すものと理解できる。
また、【1673】には「MPU62の出力側には、・・・可変入賞駆動部36cと、・・・電動役物駆動部34bと、メイン表示部45とが接続されている。」と、【1675】には「MPU62の送信側には、払出制御装置70と、音声発光制御装置90とが接続されている。」と、それぞれ記載され、図179からは、MPU62の入出力ポートから可変入賞駆動部36c、電動役物駆動部34b、メイン表示部45、音声発光制御装置90及び払出制御装置70に向けた矢印が記載されていることが見て取れることから、MPU62の入出力ポートから他の構成に向けた矢印は、MPU62の出力側に接続されていることを示すものと理解できる。
さらに、【1671】、【1673】の記載及び図179において、音声発光制御装置90からMPU62の入出力ポート又は主制御基板61に向けた矢印が記載されていないことから、音声発光制御装置90は、MPU62の入力側には接続されていないことが把握される。
以上のことから、引用文献1には、「音声発光制御装置90は、主側MPU62の出力側には接続されているが、主側MPU62の入力側には接続されていない」ことが示されていると認められる(認定事項イ)。
(ウ) 第13実施形態について、【1707】には「電源投入に伴い起動されるメイン処理」と、【1709】には「図182は、主側MPU62にて実行されるメイン処理を示すフローチャートである。ステップS9701では、初期設定処理を実行する。」と、それぞれ記載され、図182から、ステップS9701の初期設定処理は、メイン処理において最初に実行される処理であることが見て取れる。
そして、第13実施形態の態様21についての記載である【1912】、【1913】には、初期設定処理が行われるタイミングや契機について、第13実施形態から変更することは記載されていない。
したがって、第13実施形態の態様21においても、第13実施形態と同様に、「初期設定処理は、電源投入に伴い起動されるメイン処理において最初に実行される処理である」と認められる(認定事項ウ)。
(エ) 第13実施形態の態様21において算出される「遊技履歴情報」は、第13実施形態において算出される「遊技履歴情報」(【1697】~【1699】)と同じく、役物比率(第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数)の値、連続役物比率(大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数)の値、出玉率(賞球として払い出された遊技球の合計個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数)の値を含むと認められる(認定事項エ)。
ウ 引用発明
上記アに摘記した引用文献1の記載事項、及び上記イに記載した認定事項から、引用文献1には、第13実施形態の態様21として、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
なお、a等の符号は、本願補正発明の分説に概ね対応させて合議体が付与した。
(引用発明)
「a 遊技球発射機構と(【1641】)、b 遊技盤30の前面に形成され、遊技球発射機構から発射された遊技球が流下する遊技領域PAと(【1641】)、c 遊技盤30には、第1入賞口32a、第2入賞口32b、第3入賞口32c、第1始動口33、第2始動口34、スルーゲート35、および、可変入賞装置36が設けられ(【1642】、【1643】)、可変入賞装置36の大入賞口36aに入球した遊技球を検知する大入賞口検知センサー44aと、第1始動口33に入球した遊技球を検知する第1始動口検知センサー44bと、第2始動口34に入球した遊技球を検知する第2始動口検知センサー44cと、第1入賞口32aに入球した遊技球を検知する第1入賞口検知センサー44dと、第2入賞口32bに入球した遊技球を検知する第2入賞口検知センサー44eと、第3入賞口32cに入球した遊技球を検知する第3入賞口検知センサー44fと、スルーゲート35を通過した遊技球を検知するスルーゲート検知センサー44gなどの各入球口に設けられた入球検知センサーと(【1647】、【1672】)、続きを表示(全31行)d 第2始動口34に設けられ、閉鎖状態のときには、遊技球は第2始動口34に入賞することはできない一方、開放状態のときには、遊技球は第2始動口34に入賞することができる、左右一対の可動片よりなる電動役物34aと(【0025】、【1645】)、可変入賞装置36の大入賞口36aに備えられ、通常は遊技球が大入賞口36aに入賞できない閉鎖状態になっており、大当たり抽選の結果、大当たり又は小当たりに当選し、開閉実行モードに移行すると、遊技球が入球できない閉鎖状態から遊技球が入球可能な開放状態に遷移するとともに、所定の条件が満たされた後に、再び、閉鎖状態に遷移する、大入賞口36aを開閉する開閉扉36bと(【1647】)、ea 入力側には、各入球口に設けられた入球検知センサーが接続され(【1672】)、送信側には、払出制御装置70が接続され(【1675】)、各入球検知センサー44a~44hから受信している信号を読み込み(【1719】)、遊技球の付与に対応した入球が発生している場合には、その入球箇所に応じて、3個賞球カウンタ、10個賞球カウンタ及び15個賞球カウンタへの加算処理が実行され、これらカウンタのいずれかが「1」以上となっている場合には、払出制御装置70に送信される賞球コマンドの設定を行う(【1773】)主側CPU62xを搭載する(【1788】)主制御装置60の主側MPU62(【1668】、【1679】、【1713】)と、f 主制御装置60から受信した賞球コマンドに基づいて、払出装置71を制御して賞球の払出を行う払出制御装置70と(【1675】)、k を備えるパチンコ機10(【1629】、【1636】)であって、eb 主側MPU62は、主側MPU62が、遊技球が各入球部に入球した場合に賞球として払い出す遊技球の個数を決定するときに参照するものであって、各入球部に遊技球が入球した場合に賞球として払い出される遊技球の個数である賞球数データが記憶されている主側ROM63を備え(【1668】、【1679】~【1682】)、ec 主側MPU62の主側CPU62xの処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(4msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがあり(【1707】)、タイマ割込み処理では、抽選用乱数更新処理、乱数初期値更新処理、変動種別カウンタ更新処理、ポート出力処理、読み込み処理、入球検知処理、タイマ更新処理、始動口用の入球処理、スルーゲート用の入球処理、遊技回制御処理、遊技状態移行処理、電役サポート用処理、遊技球発射制御処理、外部情報設定処理を実行し(【1715】~【1728】)、h 前扉枠14の略中央部に開口された窓部18を封じるガラスユニット19を介して、遊技者が視認することができる遊技盤の遊技領域PAの略中央に配置された可変表示ユニット40は、図柄表示装置41を備え(【1631】、【1641】、【1660】)、i パチンコ機10は、背面に、第1制御ユニット51と、第2制御ユニット52とを備え(【1636】)、第1制御ユニット51は、主制御装置60を備え、主制御装置60は、遊技の主たる制御を司る機能を有する主制御基板を有し、主制御基板は、透明樹脂材料からなる基板ボックスに収容され(【1637】)、主制御基板61は、複数の機能を有する素子によって構成される主側MPU62を備え(【1668】、【1679】)、第2制御ユニット52は、音声発光制御装置90と、表示制御装置100とを備え、音声発光制御装置90は、主制御装置60から送信されたコマンドに基づいて、各種コマンドに対応した処理や、パチンコ機10の前面に設けられたスピーカーや各種ランプ等の発光手段の制御を行い(【1638】、【1677】)、ga 音声発光制御装置90は、主側MPU62、演出操作ボタン24、スピーカー46、各種ランプ47、表示制御装置100と接続し、払出制御装置70と接続しておらず(認定事項ア)、また、音声発光制御装置90は、主側MPU62の出力側には接続されているが、主側MPU62の入力側には接続されていないものであり(認定事項イ)、音声発光制御装置90に設けられた音声発光制御基板91には、ROM93、RAM94、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが内蔵された素子であるMPU92が搭載され(【0336】)、表示制御装置100は、音声発光制御装置90から送信されたコマンドに基づいて、図柄や演出用の映像を表示する液晶ディスプレイを備える図柄表示装置を制御し(【1638】)、gb 主制御装置60の主側CPU62xが初期設定処理において主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信し、音声発光制御装置90は、取得した賞球数データと、主制御装置60から送信される遊技球の入球情報とに基づいて遊技履歴情報を算出し、当該算出した遊技履歴情報を図柄表示装置41に表示させ(【1912】)、初期設定処理は、電源投入に伴い起動されるメイン処理において最初に実行される処理であり(認定事項ウ)、遊技履歴情報は、役物比率(第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数)の値、連続役物比率(大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数)の値、出玉率(賞球として払い出された遊技球の合計個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数)の値を含む(認定事項エ)k パチンコ機10(【1636】)。」
(3) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出しは(a)等とし、本願補正発明の分説に対応させている。
(a) 引用発明の「遊技球発射機構」は、本願補正発明の「発射手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Aを備える。
(b) 引用発明の「遊技球発射機構から発射された遊技球が流下する遊技領域PA」は、本願補正発明の「該発射手段によって発射された遊技球が流下する流下領域」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Bを備える。
(c) 引用発明のbの「遊技領域PA」は、「遊技盤30の前面に形成され」ているから、引用発明の「遊技盤30」に「設けられ」た「第1入賞口32a、第2入賞口32b、第3入賞口32c、第1始動口33、第2始動口34、スルーゲート35、および、可変入賞装置36」は、本願補正発明の「該流下領域の所定の領域」に相当するといえる。
そうすると、引用発明の「可変入賞装置36の大入賞口36aに入球した遊技球を検知する大入賞口検知センサー44aと、第1始動口33に入球した遊技球を検知する第1始動口検知センサー44bと、第2始動口34に入球した遊技球を検知する第2始動口検知センサー44cと、第1入賞口32aに入球した遊技球を検知する第1入賞口検知センサー44dと、第2入賞口32bに入球した遊技球を検知する第2入賞口検知センサー44eと、第3入賞口32cに入球した遊技球を検知する第3入賞口検知センサー44fと、スルーゲート35を通過した遊技球を検知するスルーゲート検知センサー44gなどの各入球口に設けられた入球検知センサー」は、本願補正発明の「所定の領域を通過した遊技球を検知する複数の所定検知手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Cを備える。
(d) 上記(c)を踏まえると、引用発明の「第2始動口34」及び「可変入賞装置36」は、本願補正発明の「前記所定の領域の一部」といえる。
そして、引用発明の「第2始動口34に設けられ、閉鎖状態のときには、遊技球は第2始動口34に入賞することはできない一方、開放状態のときには、遊技球は第2始動口34に入賞することができる、左右一対の可動片よりなる電動役物34a」と、「可変入賞装置36の大入賞口36aに備えられ、通常は遊技球が大入賞口36aに入賞できない閉鎖状態になっており、大当たり抽選の結果、大当たり又は小当たりに当選し、開閉実行モードに移行すると、遊技球が入球できない閉鎖状態から遊技球が入球可能な開放状態に遷移するとともに、所定の条件が満たされた後に、再び、閉鎖状態に遷移する、大入賞口36aを開閉する開閉扉36b」は、いずれも「対応する所定の領域への遊技球の通過を制御する」ものといえるから、「電動役物34a」及び「開閉扉36b」は、本願補正発明の「遊技球誘導部材」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Dを備える。
(e) 引用発明のeaの「主制御装置60の主側MPU62」の「入力側には、各入球口に設けられた入球検知センサーが接続され」ることは、本願補正発明の「前記複数の所定検知手段と電気的に接続され」ることに相当する。
また、引用発明のeaの「主制御装置60の主側MPU62」の「主側CPU62x」が「各入球検知センサー44a~44hから受信している信号を読み込み、遊技球の付与に対応した入球が発生している場合には、その入球箇所に応じて、3個賞球カウンタ、10個賞球カウンタ及び15個賞球カウンタへの加算処理が実行され、これらカウンタのいずれかが「1」以上となっている場合には、払出制御装置70に送信される賞球コマンドの設定を行う」ことは、本願補正発明の「遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する」ことに相当する。
してみると、引用発明のeaの「主制御装置60の主側MPU62」は、本願補正発明の「遊技価値付与手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Eを備える。
(f) 引用発明の「主制御装置60から受信した賞球コマンドに基づいて、払出装置71を制御して賞球の払出を行う」ことは、本願補正発明の「前記遊技価値として遊技球を払い出す」ことに相当する。
よって、引用発明の「払出制御装置70」は、本願補正発明の「払出手段」に相当し、引用発明は、本願補正発明の特定事項Fを備える。
(g) 引用発明のgaの「音声発光制御装置90」が「主側MPU62」「と接続し、払出制御装置70と接続して」いないことは、本願補正発明の「処理実行手段」が「前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、前記払出手段と制御信号の送受信を行う事」が「な」いことに相当する。
また、上記(d)より、引用発明の「電動役物34a」が「設けられ」た「第2始動口34」及び「開閉扉36b」が備えられる「大入賞口36a」を有する「可変入賞装置36」は、本願補正発明の「前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域」に相当する。
そうすると、引用発明のgbの「役物比率(第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数)の値、連続役物比率(大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数)の値」は、本願補正発明の「前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報」に相当する。
そして、引用発明のgbの「音声発光制御装置90」は、「役物比率(第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数)の値、連続役物比率(大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数)の値」とともに、「出玉率(賞球として払い出された遊技球の合計個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数)の値を含む」「遊技履歴情報を算出」するものであるから、本願補正発明の「前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報の処理を含む所定の処理を実行する」機能を備えているといえる。
以上のことから、引用発明の「音声発光制御装置90」は、本願補正発明の「前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、前記払出手段と制御信号の送受信を行う事なく、前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報の処理を含む所定の処理を実行する処理実行手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Gを備える。
(e1) 引用発明のebの「主側MPU62が、遊技球が各入球部に入球した場合に賞球として払い出す遊技球の個数を決定するときに参照する」ことは、本願補正発明の「前記所定検知手段の検知に対して参照される」ことに相当する。
また、引用発明のebの「各入球部に遊技球が入球した場合に賞球として払い出される遊技球の個数である賞球数データ」は、本願補正発明の「前記遊技に対する遊技価値を付与するための処理に用いられる情報」といえる。
したがって、引用発明のebの「賞球数データ」は、本願補正発明の「参照用情報」に相当し、引用発明のebの「賞球数データが記憶されている主側ROM63」は、本願補正発明の「第1参照用情報記憶手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項E1を備える。
(e2) 引用発明のecの「タイマ割込み処理」は、「定期的に(4msec周期で)起動される」ものであって、「抽選用乱数更新処理、乱数初期値更新処理、変動種別カウンタ更新処理、ポート出力処理、読み込み処理、入球検知処理、タイマ更新処理、始動口用の入球処理、スルーゲート用の入球処理、遊技回制御処理、遊技状態移行処理、電役サポート用処理、遊技球発射制御処理、外部情報設定処理を実行」するものであるから、本願補正発明の「遊技を進行させるための特定処理」に相当する。
引用発明のgbの「初期設定処理」が実行されるのは、「電源投入に伴い起動されるメイン処理において最初に実行される処理であ」るから、電源投入後であって、「タイマ割込み処理」の実行を開始する前であることは明らかであり、このタイミングは、本願補正発明の「当該遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための特定処理の実行を開始する前」に相当する。
上記(g)より、引用発明の「音声発光制御装置90」は、本願補正発明の「処理実行手段」に相当し、上記(e1)より、引用発明の「賞球数データ」及び「主側ROM63」は、それぞれ本願補正発明の「参照用情報」及び「第1参照用情報記憶手段」に相当することから、引用発明のgbの「初期設定処理において主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信」する「主制御装置60の主側CPU62x」は、本願補正発明の「当該遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための特定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項E2を備える。
(e3) 引用発明のeaによれば、「主制御装置60」は、「入力側には、各入球口に設けられた入球検知センサーが接続され」、「各入球検知センサー44a~44hから受信している信号を読み込」む「主側CPU62xを搭載する」ものであるから、引用発明のgbの「主制御装置60から送信される遊技球の入球情報」は、「各入球検知センサー44a~44hから受信している信号」に基づくものと認められ、本願補正発明の「前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号」に相当する。
そうすると、引用発明gbの「遊技球の入球情報」を「音声発光制御装置90」に「送信」する「主制御装置60」は、本願補正発明の「前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項E3を備える。
(g2) 引用発明のgbの「音声発光制御装置90」は、「取得した賞球数データと、主制御装置60から送信される遊技球の入球情報とに基づいて遊技履歴情報を算出」することから、「取得した賞球数データと、主制御装置60から送信される遊技球の入球情報とに基づいて遊技履歴情報を算出」する手段を備えていることは明らかであり、このことは、本願補正発明の特定事項G、G2と、「前記処理実行手段は、」「前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号と、」「前記参照用情報とに基づいて前記所定の処理を実行する実行手段」を備える点で共通する。
(g4) 引用発明のgbの「音声発光制御装置90」が「算出」する「遊技履歴情報」は、本願補正発明の「該実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報」に相当する。
引用発明のgbの「音声発光制御装置90は」、「遊技履歴情報を図柄表示装置41に表示させる」ことから、引用発明が「遊技履歴情報」を表示するように「図柄表示装置41」を制御する手段を備えていることは明らかであり、このことは、本願補正発明の特定事項G、G4と、「前記処理結果情報に基づいて所定の表示手段を制御する表示制御手段」を備える点で共通する。
(h) 上記(g4)より、引用発明のhの「図柄表示装置41」は、本願補正発明の「表示手段」に相当する。
そして、引用発明のhの「図柄表示装置41」が、「前扉枠14の略中央部に開口された窓部18を封じるガラスユニット19を介して、遊技者が視認することができる遊技盤の遊技領域PAの略中央に配置された可変表示ユニット40」に「備え」られることは、本願補正発明の「前記表示手段は、遊技中に遊技者が触れられない位置に設けられ」ることに相当する。
また、引用発明のgbの「遊技履歴情報」は、「役物比率(第2始動口34及び大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数)の値、連続役物比率(大入賞口36aへの遊技球の入球に基づいて賞球として払い出された遊技球の個数/賞球として払い出された遊技球の合計個数)の値、出玉率(賞球として払い出された遊技球の合計個数/遊技盤30に発射された遊技球の個数)の値を含む」ことから、数字情報であることは明らかである。
そうすると、引用発明のgbの「遊技履歴情報」が「表示」される「図柄表示装置41」には、「遊技履歴情報」として数字情報が「表示」されるといえる。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Hを備える。
(i) 上記(e)より、引用発明の「主制御装置60の主側MPU62」は、本願補正発明の「遊技価値付与手段」に相当し、上記(g)より、引用発明の「音声発光制御装置90」は、本願補正発明の「処理実行手段」に相当する。
そして、引用発明の「主制御装置60」が「有」する「主制御基板61」が備える「主側MPU62」及び「音声発光制御装置90に設けられた音声発光制御基板91」に搭載されている「ROM93、RAM94、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが内蔵された素子であるMPU92」が半導体チップに集積された回路であることは明らかであり、「主側MPU62」と「MPU92」は異なるMPUと認められ、このことは、本願補正発明の「前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、それぞれ異なる半導体チップに集積された集積回路を用いて構成され」ることに相当する。
また、引用発明の「主制御装置60」が「有」する「主制御基板は、透明樹脂材料からなる基板ボックスに収容され」るものである。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Iと、「前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、それぞれ異なる半導体チップに集積された集積回路を用いて構成され」、「前記遊技価値付与手段」は「基板ボックスに収納され」る点で共通する。
(k) 引用発明の「パチンコ機10」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Kを備える。
以上のことから、本願補正発明と引用発明は、
「A 発射手段と、B 該発射手段によって発射された遊技球が流下する流下領域と、C 該流下領域の所定の領域を通過した遊技球を検知する複数の所定検知手段と、D 前記所定の領域の一部に対応して設けられ、対応する所定の領域への遊技球の通過を制御する遊技球誘導部材と、続きを表示(全19行)E 前記複数の所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、F 前記遊技価値として遊技球を払い出す払出手段と、G 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、前記払出手段と制御信号の送受信を行う事なく、前記遊技球誘導部材が設けられた前記所定の領域への遊技球の通過に係る情報の処理を含む所定の処理を実行する処理実行手段と、K を備える遊技機であって、E 前記遊技価値付与手段は、E1 前記遊技に対する遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、E2 当該遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための特定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、E3 前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、を備え、G 前記処理実行手段は、G2’ 前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号と、前記参照用情報とに基づいて前記所定の処理を実行する実行手段と、を備え、G4’ 所定の表示手段を制御する表示制御手段を備え、H 前記表示手段は、遊技中に遊技者が触れられない位置に設けられて少なくとも数字情報が表示され、I’ 前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、それぞれ異なる半導体チップに集積された集積回路を用いて構成され、前記遊技価値付与手段は、基板ボックスに収納されたK 遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1](特定事項G、G1)
「処理実行手段」に関して、
本願補正発明の「処理実行手段」が、「前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段」を備えているのに対し、
引用発明の「音声発光制御装置90」が、本願補正発明の「第2参照用情報記憶手段」に相当する構成を備えているか不明である点。
[相違点2](特定事項G、G2)
本願補正発明の「処理実行手段」が「備え」る「実行手段」が「実行する」「前記所定の処理」が、「前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号と、前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報とに基づいて」いるのに対し、
引用発明の「音声発光制御装置90」(処理実行手段)が「遊技履歴情報を算出」する処理が、「取得した賞球数データ」(前記参照用情報)と、「主制御装置60から送信される遊技球の入球情報」(前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号)「とに基づいて」いるものの、本願補正発明の「前記第2参照用情報記憶手段」に相当する構成を備えているか不明であるため、「主制御装置60から送信される遊技球の入球情報」が、本願補正発明の「前記第2参照用情報記憶手段」に相当する構成に記憶されたものであるか不明である点。
[相違点3](特定事項G、G3)
本願補正発明の「処理実行手段」が、「該実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段」を備えているのに対し、
引用発明の「音声発光制御装置90」(処理実行手段)が、「遊技履歴情報」(該実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報)を記憶する手段(処理結果情報記憶手段)を備えているか不明である点。
[相違点4](特定事項G、G4)
「前記処理結果情報に基づいて所定の表示手段を制御する表示制御手段」(「図柄表示装置41」を制御する手段)を備える構成が、
本願補正発明では、「処理実行手段」であるのに対し、
引用発明では、「音声発光制御装置90」(処理実行手段)であるか不明である点。
[相違点5](特定事項I)
本願補正発明では、「前記遊技価値付与手段と、前記処理実行手段とは、」「異なる基板ボックスに収納され」るのに対して、
引用発明では、「主側MPU62」を備える「主制御装置60」が「有」する「主制御基板は、透明樹脂材料からなる基板ボックスに収容され」るが、「音声発光制御装置90に設けられた音声発光制御基板91」が「主制御基板」が「収容され」る「透明樹脂材料からなる基板ボックス」とは異なる基板ボックスに収容されるのか不明である点。
[相違点6](特定事項E、E4)
「遊技価値付与手段」は、
本願補正発明では、「前記第2参照用情報記憶手段に対して直接情報を書き込みしないように構成され」るのに対して、
引用発明では、そもそも本願補正発明の「前記第2参照用情報記憶手段」に相当する構成を備えているか不明である点。
[相違点7](特定事項E、E5)
本願補正発明では、「前記遊技価値付与手段」は、「前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものであ」るのに対し、
引用発明では、本願補正発明の「前記第2参照用情報記憶手段」に相当する構成を備えているか不明であり、本願補正発明の「前記第2参照用情報記憶手段」に相当する構成を備えている場合に、「主制御装置60の主側MPU62」(前記遊技価値付与手段)は、「主制御装置60の主側CPU62x」(前記遊技価値付与手段)により実行される「初期設定処理において主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信し」た後(前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後)、「賞球数データ」(該参照用情報信号に対応した参照用情報)が「前記第2参照用情報記憶手段」に相当する構成(前記第2参照用情報記憶手段)に記憶されたか否かにかかわらず「タイマ割込み処理」(前記特定処理)の実行を開始するものであるか不明である点。
(4) 判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1及び相違点2について(特定事項G、G1、G2)
相違点1及び相違点2は、いずれも、引用発明の「音声発光制御装置90」が、本願補正発明の「第2参照用情報記憶手段」に相当する構成を備えているか不明であることによるものであるから、まとめて検討する。
引用発明の「音声発光制御装置90」は、「取得した賞球数データと、主制御装置60から送信される遊技球の入球情報とに基づいて遊技履歴情報を算出」するものであるところ、そのためには、「音声発光制御装置90」が「遊技履歴情報を算出」するのに用いる「取得した賞球数データと、主制御装置60から送信される遊技球の入球情報」を記憶する手段を備える必要があるから、「音声発光制御装置90」が「取得した賞球数データ」を記憶する手段を備えることは自明である。
よって、引用発明が、上記相違点1及び相違点2に係る本願補正発明の構成を備えることは自明であり、相違点1及び相違点2は実質的な相違点ではない。
イ 相違点3及び相違点4について(特定事項G、G3、G4)
相違点3及び相違点4は、いずれも、本願補正発明の「所定の表示手段」の「制御」に用いられる「処理結果情報」に関するものであるから、まとめて検討する。
引用発明のgbによれば、「音声発光制御装置90は、取得した賞球数データと、主制御装置60から送信される遊技球の入球情報とに基づいて遊技履歴情報を算出し、当該算出した遊技履歴情報を図柄表示装置41に表示させ」るところ、「遊技履歴情報を図柄表示装置41に表示させ」るためには、「遊技履歴情報」を記憶する手段と、「図柄表示装置41」を制御する手段が必要であり、この「遊技履歴情報」を記憶する手段と、「図柄表示装置41」を制御する手段を、「遊技履歴情報を算出し、当該算出した遊技履歴情報を図柄表示装置41に表示させ」る「音声発光制御装置90」に設け、相違点3及び相違点4に係る本願補正発明の特定事項G、G3、G4の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
ウ 相違点5について(特定事項I)
遊技機の技術分野において、遊技の主たる制御を司るメイン基板と、各種演出装置等の制御を司るサブ基板とを、それぞれ別個の基板ボックスに収納して遊技機に設置することは、例を挙げるまでもなく周知技術(以下「周知技術1」という。)である。
上記周知技術1を考慮すると、引用発明の「主側MPU62を備え」る「遊技の主たる制御を司る機能を有する主制御基板(上記「メイン基板」に相当。)」と、「音声発光制御装置90に設けられ」「スピーカーや各種ランプ等の発光手段の制御を行」う「音声発光制御装置90に設けられた音声発光制御基板91(上記「サブ基板」に相当。)」とを、それぞれ別個の基板ボックスに収納することにより、「主制御基板61」が備える「主側MPU62」(前記遊技価値付与手段)と、「音声発光制御基板91」が設けられた「音声発光制御装置90」(前記処理実行手段)とを、異なる基板ボックスに収納することとして、上記相違点5に係る本願補正発明の特定事項Iの構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
エ 相違点6について(特定事項E、E4)
引用発明のgbによれば、「主制御装置60の主側CPU62x」は、「初期設定処理において主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信」するものであり、引用発明のi及びgaによれば、「主制御装置60」及び「音声発光制御装置90」はそれぞれ、「主制御基板61」及び「音声発光制御基板91」という異なる基板により構成されていることから、上記アで検討した「音声発光制御装置90」が「取得した賞球数データ」を記憶する手段に対して「賞球数データ」等の情報を直接書き込むのは、「音声発光制御装置90」であり、「主制御装置60の主側CPU62x」は、「賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信」するにすぎず、「音声発光制御装置90」の「取得した賞球数データ」を記憶する手段に対して、「賞球数データ」等の情報を直接書き込むものではないと認められる。
よって、引用発明が、本願補正発明の特定事項E、E4を備えることは自明であり、相違点6は、実質的な相違点ではない。
オ 相違点7について(特定事項E、E5)
(ア) 引用発明のgaより、引用発明の「音声発光制御装置90は、主側MPU62の出力側には接続されているが、主側MPU62の入力側には接続されていない」ことから、引用発明の「主制御装置60」と「音声発光制御装置90」は、「主制御装置60」から「音声発光制御装置90」にはコマンド等の信号を送信できるが、「音声発光制御装置90」から「主制御装置60」にはコマンド等の信号を送信できない、「主制御装置60」から「音声発光制御装置90」への一方向通信といえる。
(イ) また、遊技機において、メイン基板はサブ基板からのコマンド等の信号を受信せずに遊技の制御を行うことが技術常識である。
(ウ) 上記(e2)で検討したように、引用発明の「タイマ割込み処理」は、本願補正発明の「遊技を進行させるための特定処理」に相当する。
上記(ア)で述べた引用発明の構成及び上記(イ)の技術常識を考慮すると、引用発明において、「音声発光制御装置90」から「主制御装置60」に信号を送信できないことから、「主制御装置60」は、「音声発光制御装置90」からの信号を受信することはなく、このため、「賞球数データ」が「音声発光制御装置90」により記憶されたか否かにかかわらず「主制御装置60」が「タイマ割込み処理」の実行を開始することは明らかであって、このことは、相違点7に係る本願補正発明の特定事項E、E5の「前記遊技価値付与手段は、前記第1送信手段により前記参照用情報信号を送信した後、該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず前記特定処理の実行を開始するものであ」ることに相当する。
以上のことから、引用発明が、上記相違点7に係る本願補正発明の特定事項E、E5の構成に相当する構成を備えることは自明であるか、上記技術常識を考慮して、上記相違点7に係る本願補正発明の特定事項E、E5の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(エ) また、「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(昭和六十年国家公安委員会規則第四号)」には、
「別表第3 不正な改造その他の変更を防止するための遊技機の構造に係る技術上の規格(第6条関係)(1) 基板に関する規格イ 主基板に関する規格は、次のとおりとする。…(ホ) 周辺基板が送信する信号を受信することができるものでないこと。」
と定められている。
当該規則に基づき、遊技機の技術分野において、メイン基板(主基板)は、サブ基板を含む周辺基板が送信する信号を受信することができるものでないことが技術常識であり、メイン基板はサブ基板からのコマンドを受信せずに遊技の制御を行い、メイン基板はサブ基板の状況とは無関係にタイマ割込処理(タイマ割込の許可)を実行することが通常行われることであることを考慮すると、引用発明が、上記規則に合致しつつ、「パチンコ機10」として機能するように、「賞球数データ」が「音声発光制御装置90」に記憶されたか否かにかかわらず(該参照用情報信号に対応した参照用情報が前記第2参照用情報記憶手段に記憶されたか否かにかかわらず)、「タイマ割込み処理」の実行を開始する(前記特定処理の実行を開始する)ことは、当業者が容易になし得たことである。
以上のことから、引用発明において、上記相違点7に係る本願補正発明の特定事項E、E5の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
以上のことから、本願補正発明は、引用発明、周知技術1及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(5) 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和4年10月28日付け審判請求書の3.(3)において、以下の旨を主張する。
「しかしながら、引用文献1において、「音声発光制御装置90が遊技履歴情報を算出する構成とし」た場合に、主側MPU62が、電源投入に伴う初期設定処理において賞球数データを遊技履歴管理チップ300に送信した後、遊技履歴管理チップ300からの設定完了コマンドの受信を待たずに遊技の進行を開始することについて、明示も示唆もありません。また、そのような構成が記載された文献も提示されていません。また、引用文献1の段落[1791]には『主側CPU62xのメイン処理において、設定完了コマンドを受信するまでは、タイマ割込み処理の割り込みが許可されず、タイマ割込み処理に含まれる遊技球発射制御処理が実行されない構成となっている。すなわち、賞球数データの賞球数データ記憶用メモリ306への記憶が完了するまでは遊技球が発射されないので、遊技履歴管理チップ300による遊技履歴情報の算出対象から遊技球が漏れてしまうことを抑制することができる。』と記載されており、「設定完了コマンド」が必須の構成となっていますが、「音声発光制御装置90が遊技履歴情報を算出する構成とし」た場合に、「設定完了コマンド」を省略してもよいと解釈できる積極的な記載もありません。よって、引用文献1には、「音声発光制御装置90が遊技履歴情報を算出する構成と」する場合に、「設定完了コマンド」を音声発光制御装置90から主側MPU62へと送信する構成までは想到できるとしても、「設定完了コマンド」をなくし、主側MPU62が、電源投入に伴う初期設定処理において賞球数データを遊技履歴管理チップ300に送信した後、遊技履歴管理チップ300からの設定完了コマンドの受信を待たずに遊技の進行を開始することについて記載されているとは言えず、また、引用文献1の記載に基づいて当業者が容易に想到することはできません。」
上記主張について検討する。引用文献1の【1709】、【1710】及び【1792】(上記請求人の主張における「段落[1791]」は、「段落[1792]」の誤記と認められる。)の記載は、主側MPU62に設けられている遊技履歴管理チップ300が遊技履歴情報を算出する(【1629】、【1669】)第13実施形態についてのものであるのに対して、引用発明は、音声発光制御装置90が遊技履歴情報を算出する第13実施形態の態様21としての発明であって、上記(4)オで検討したように、「音声発光制御装置90」から「主制御装置60」にはコマンド等の信号を送信できないのであるから、【1709】の記載のように、「遊技履歴管理チップ300」が「記憶が完了したことを示す設定完了コマンドを主側MPU62に送信する」ことができず、このため、仮に、【1710】の「主側MPU62」が「設定完了コマンドを受信していると判定した場合には」、「タイマ割込み処理の発生を許可するために割込み許可の設定を行」い、「設定完了コマンドを受信するまでは」、「タイマ割込み処理の発生を許可するための割込み許可の設定を行なわない」との構成や、【1792】の「主側CPU62xのメイン処理において、設定完了コマンドを受信するまでは、タイマ割込み処理の割り込みが許可されず、タイマ割込み処理に含まれる遊技球発射制御処理が実行されない構成」を採用した場合には、タイマ割込み処理の発生が許可されることがなく、遊技を進行することができない。
そして、【1709】、【1710】及び【1792】の上記記載の構成は、「賞球数データの賞球数データ記憶用メモリ306への記憶が完了するまでは遊技球が発射されないので、遊技履歴管理チップ300による遊技履歴情報の算出対象から遊技球が漏れてしまうことを抑制することができる」(【1792】)ことを目的としたものであるところ、遊技履歴情報の算出を、遊技履歴管理チップ300ではなく音声発光制御装置90が行う引用発明においては、必要のない構成であり、「遊技履歴情報の算出対象から遊技球が漏れてしまうことを抑制すること」は、遊技の進行にも遊技履歴情報の算出にも必須の事項ではなく、任意付加的な事項にすぎない。
引用発明において、「主制御装置60の主側CPU62xが初期設定処理において主側ROM63の賞球数データ記憶エリアに記憶されている賞球数データを含む信号を音声発光制御装置90に送信し」た後、「賞球数データ」が「音声発光制御装置90」により記憶されたか否かにかかわらず「主制御装置60」が「タイマ割込み処理」の実行を開始することは、技術常識を考慮すれば自明であるか、当業者が容易になし得たことであることは、上記(4)オで検討したとおりである。
したがって、上記主張は採用することができない。
(6) 補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明、周知技術1及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであり、原審において、本件補正に対してなされた令和4年6月16日付け補正の却下の決定は適法になされたものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
上記第2の4「(6) 補正の却下の決定についてのむすび」のとおり、原審における補正の却下の決定は適法なものであり、本件補正は却下されているので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の2に示した(本件補正前の請求項1)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含むものである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2017-164457号公報
3 引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1に記載された発明は、上記第2の4(2)ウにおいて認定したとおりである。
4 対比・判断
上記第2の3でみたように、本願発明は、上記第2の4で検討した本願補正発明のうち、「遊技を進行させるための特定処理」を「遊技を進行させるための所定処理」と実質的に意味するところの変わらない表現の変更をするとともに、特定事項E5を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を実質的に全て含み、さらに特定事項E5を加えたものである本願補正発明が、上記第2の4に検討したとおり、引用発明、周知技術1及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであることから、技術常識に基いて当業者が容易になし得たことと認められる特定事項E5を削除し、実質的に意味するところの変わらない表現の変更がなされた本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2022-017369