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意匠拒絶査定不服審判

2022-016707

押しボタンスイッチ

審判番号
2022-016707
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2022-000591外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
1742559
請求日
2022年10月19日
審決日
2023年03月01日
公報発行日
2023年04月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .113-WY (H1-5)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

意願2022- 591「押しボタンスイッチ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 8項目
理 由

第1 事案の概要

1 手続の経緯

本願は、令和4年(2022年)1月14日の意匠登録出願であって、同年5月25日付けの拒絶理由の通知に対し、同年7月8日に意見書が提出されたが、同年7月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「押しボタンスイッチ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶理由通知における拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

上記の拒絶理由通知において引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は、以下の意匠であって、その形状等を、同ウェブページに記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。

「本願意匠は、実線で表されたベゼル部およびボタン部を、意匠登録を受けようとする部分としたものと認められます。
本願意匠の意匠登録を受けようとする部分と、引用意匠のこれに相当する部分とを対比すると、ベゼル部は略正方形状の額縁状であり、その正面側周縁部は、外側へ向かうにつれて後方へ傾斜する傾斜面として形成されており、ボタン部は正面視略正方形状であり、その正面側周縁部は帯状の発光部として形成されている点が顕著に共通しています。
この共通点が見る者に強い共通の美感を起こさせますので、両意匠は類似するものといえます。
(引用意匠)
続きを表示(全16行)
掲載者 IDEC株式会社
表題 フラッシュシルエットスイッチ LBWシリーズ
掲載箇所 製品カタログ「フラッシュシルエットスイッチLB/LBWシリーズ φ16コントロールユニットLBシリーズ」 B-093ページ上部 「平形リング照光タイプ」として掲載された2つの画像のうちの右側
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2021年1月19日(※)
検索日 [2022年5月24日検索]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://jp.idec.com/idec-jp/ja/JPY/medias/SJPJA01A-B071B136-LB.pdf?context=bWFzdGVyfHJvb3R8NDk3NDQyOHxhcHBsaWNhdGlvbi9wZGZ8aGI3L2gyMi85MDk2NzYxODM1NTUwLnBkZnxmMDEzN2NkMzgzNWEyMWI4YzYxMDM0N2MzN2NkNzNhYzBiMDkyZDYzZTE2ZDk0MGU0OWYxNWFlMzk5MDA5NmQz
に掲載された押しボタンスイッチの意匠のうち、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分
(添付の資料3/4参照)
※下記URLのウェブページ(添付の資料1/4参照)の下方に記載された「更新日」を、引用意匠の「掲載年月日」として認定しています。また、下記URLのウェブページ下方の文字列「LB/LBWシリーズ フラッシュ シルエット スイッチ」に、上記の製品カタログへのリンクが貼られています。
https://jp.idec.com/idec-jp/ja/JPY/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%83%E3%83%81/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%83%E3%83%81/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88-LBW%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA/p/LBW7ML-A1RT21WG」

以下、本審決では、引用意匠において本願部分と対比、判断する部分、すなわち、本願部分に相当する部分を、「引用部分」という。

第2 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品の対比

本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「押しボタンスイッチ」であって、一致する。

(2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比

まず、本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、押しボタンスイッチの本体上端部に配設した枠体の部分(以下「ベゼル部」という。)、及びその内部に配設した操作ボタンの上方部分(以下「ボタン上部」という。)からなる構成のものである。

次に、両部分の各構成部分における用途及び機能を対比すると、以下のとおりである。

ア 両部分のベゼル部は、操作盤等に押しボタンスイッチを取り付ける際の取り付け枠として用いられるものであって、操作盤等に見栄えよくボタン部を取り付けて、ボタン部を保護する等の機能を有している。

イ 両部分のボタン上部は、押しボタンスイッチ内部の接点を開閉操作するための操作ボタンの上面部分として用いられるものであって、オルタネイト型スイッチの場合、該部位を一度押下することで内部の接点が開いてボタン上方部が発光し、さらにもう一度押下することで内部の接点が閉じてボタン上方部の発光も消えるという機能を有している。

したがって、両部分の各構成部分における用途及び機能は一致するから、両部分の用途及び機能は一致するといえる。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の対比

両部分の位置、大きさ及び範囲については、両部分のベゼル部及びボタン上部は、いずれも押しボタンスイッチの本体上端部に位置し、これらの部位の物品全体に占める大きさ及び範囲も一致するものである。

(4)両部分の形状等の対比

両部分の形状等を対比する(以下、対比のため、引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとする。)と、その形状等には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。

ア 形状等の共通点

(共通点1)両部分は、押しボタンスイッチの上端部分に配設したベゼル部及びその内周部分に配設したボタン上部からなる構成とした点が共通する。

(共通点2)両部分は、ベゼル部の形状等を、正面視略正方形枠状体とし、その枠状体の外側の部分を背面側に向かって傾斜する傾斜面とした点が共通する。

(共通点3)両部分は、ボタン上部の形状等を、略正方形板状体とし、その周縁部分のみ透光性を有する発光部分とした点が共通する。

イ 形状等の相違点

(相違点1)本願部分のベゼル部の具体的な形状等が、その断面視において、枠状体の内側部分を急勾配の傾斜面とし、枠状体の外側部分を緩勾配の傾斜面とする略山形の三角形状となるように形成しているのに対し、引用部分のベゼル部の具体的な形状等は、その断面視において、枠体の内側部分を平坦面とし、枠体の外側部分を緩勾配の傾斜面とし、外周部分を平坦面とする略直角台形状となるように形成している点で、両意匠は相違する。

(相違点2)本願部分のボタン上部の上面部分の形状等が、緩やかな凹曲面形状となるように形成しているのに対し、引用部分のボタン上部の上面部分の形状等は、平坦面となるように形成している点で、両意匠は相違する。

(相違点3)本願部分のボタン上部の発光部分には、略正方形状の枠線が表れているのに対し、引用部分のボタン上部の発光部分には、略正方形枠状の僅かに盛り上がった凸条部が二重に形成されている点で、両部分は相違する。

(相違点4)本願部分のベゼル部の上端部分とボタン上部の上端部分が、同じ高さとなるように配設しているのに対し、引用部分のベゼル部の上端部分とボタン上部の上端部分は、ボタン上部がやや低い位置に配設している点で、両部分は相違する。

2 両意匠の類否判断

(1)意匠に係る物品の類否判断

両意匠の意匠に係る物品は、一致するから同一である。

(2)両部分の用途及び機能の類否判断

両部分の用途及び機能は、一致するから同一である。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価

両部分の位置、大きさ及び範囲は、物品全体の形態の中における位置、大きさ及び範囲が一致するから、同一である。

(4)両部分の形状等の類否判断

ア 共通点の評価

(共通点1)は部分全体の構成態様に係るものであるが、この種物品においてこのような構成態様のものは既に存在するものであって、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえないから、この(共通点1)が部分意匠全体の美感に与える影響は小さい。

(共通点2)及び(共通点3)は、ベゼル部及びボタン上部の形状等に係るものであるが、これらの共通点は、両部分の形状等を概括的に捉えた場合のものにすぎないものであるから、この種物品分野でごく普通に見られる発光部分の共通性も含め、これらの(共通点2)及び(共通点3)が部分意匠全体の美感に与える影響は小さい。

イ 相違点の評価

(相違点1)のベゼル部の具体的な形状等については、使用時に特に目に付く部分であって、本願部分のものが、枠状体の外側部分のみならず内側部分も傾斜面とし、ボタン部上方の外周面部分の形状が表れるような従来にはない特徴的な形状のベゼル部であるとの印象を与えるのに対し、引用部分のものは、枠状体の外側部分のみを傾斜面とした従来からごく普通に見られる形状のベゼル部であるとの印象を与えるから、需要者の注意を惹くベゼル部の具体的な形状等の相違点が、部分意匠全体の類否判断に与える影響は大きい。

(相違点2)のボタン上部の上面部分の形状等については、該部位が緩やかな凹曲面形状のものも、平坦面のものも、ごく普通に見られるものであるから、このボタン上部の上面部分の形状等の相違が、部分意匠全体の類否判断に与える影響は小さい。

(相違点3)のボタン上部の発光部分の形状等については、シンプルな本願部分のものと複雑な引用部分のものとでは、需要者に別異な印象を与えるものであるから、使用時に目に付く部分である該部位の相違が、部分意匠全体の類否判断に与える影響は大きい。

(相違点4)のベゼル部の上端部分とボタン上部の上端部分の高さの相違については、いわれて気付く程度のごく僅かな相違であるから、この相違が、部分意匠全体の類否判断に与える影響は小さい。

ウ 両部分の形状等の類否判断

両部分の形状等における共通点及び相違点についての個別評価に基づき、両部分を部分全体として総合的に観察した場合、両部分は、需要者の注意を惹くベゼル部の具体的な形状等の相違やボタン上部の発光部分の形状等の相違が、部分意匠全体の類否判断に大きな影響を与えるのに対し、部分全体の構成態様やベゼル部及びボタン上部の形状等の共通性が、部分全体の美感に与える影響は小さいものであるから、これらの共通点が部分全体の類否判断に与える影響は、上記相違点が類否判断に与える影響を覆すには至らず、本願部分の形状等と引用部分の形状等は類似するとはいえないものである。

(5)小括

以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が同一であり、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲も同一であるが、両部分の形状等において、類似するとはいえないものであるから、本願意匠と引用意匠は類似するということはできない。

第3 むすび

上記のとおりであって、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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