特許拒絶査定不服審判
2022-016148
サーマルプリンタの印字方法
- 審判番号
- 2022-016148
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-077856外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年10月11日
- 審決日
- 2024年02月27日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】大阪シーリング印刷株式会社
- 【請求人代理人】嶋田 太郎
- 分類
- P18 .113-WZ (B41J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018- 77856「サーマルプリンタの印字方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月24日出願公開、特開2019-181858〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年4月13日の出願であって、令和4年2月15日付けで拒絶理由が通知され、同年4月14日に意見書及び手続補正書が提出され、同年同月15日に意見書及び手続補正書が提出され、同年同月28日に手続補正書が提出され、同年7月4日付けで拒絶査定がなされたのに対し、同年10月11日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、令和5年11月17日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和6年1月16日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和6年1月16日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるつぎのとおりのものである。(なお、下線は当審で付した。以下同じ。)
「【請求項1】
ライン状に配置された複数の発熱部を有するサーマルヘッドユニットと、前記サーマルヘッドユニットの前記発熱部に当接するように対向して配置されるプラテンローラとを備えたサーマルプリンタを用いて、前記サーマルヘッドユニットと前記プラテンローラとの間に記録媒体を挟持して、前記記録媒体の搬送開始から搬送終了までの間における前記記録媒体の連続的な搬送時に前記発熱部と前記記録媒体との間の摩擦によって前記発熱部の発熱の有無に関わらず起こり得る前記発熱部の断線を抑制するための印字方法であり、前記記録媒体の前記搬送開始から前記搬送終了までの間において前記記録媒体の搬送方向に延びる辺が前記発熱部の配列方向に対して恒常的に非直交であり、前記発熱部の配列方向と直交する方向に搬送しながら所望の印字情報を前記発熱部を介して前記記録媒体に印字するサーマルプリンタの印字方法であって、
前記記録媒体の搬送方向に延びる辺が前記発熱部の配列方向に対して恒常的に非直交である前記記録媒体を用いて印字を行う印字工程を備える、サーマルプリンタの印字方法。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由において通知した理由は、次に概略を記した理由を含むものである。
(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された特開2003-291389号公報に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
第4 当審の判断
1 引用例
本願の出願前である平成15年10月14日に頒布された刊行物である特開2003-291389号公報(以下「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項3】 複数の発熱素子が主走査方向に対してライン状に配列されたサーマルヘッドと、プリント用紙を副走査方向に搬送する搬送機構とを備えた感熱プリンタを用い、前記発熱素子の主走査方向より幅が短いプリント用紙の全幅に、画像を記録する縁なしプリント方法において、
台形状をしたプリント用紙を、その長辺側を先頭として搬送するとともに、前記サーマルヘッドは、前発熱素子を画像データに応じて駆動することを特徴とする縁なしプリント方法。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーマルプリンタに用いられる縁なしプリント用紙及び縁なしプリント方法に関するものである。」
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようなサーマルプリンタでは、プリント用紙の側縁より外側に対峙する発熱素子はデータの空打ちとなり、発生させた熱を放熱対象であるプリント用紙に伝導できない。そのため、連続的に空打ちをしている発熱素子は過熱状態となり、その熱の一部が近傍の発熱素子に伝導する。これ「により、プリント用紙側縁に対峙する発熱素子は、プリント用紙の側縁外側に対峙する発熱素子からの熱が伝導されるので、プリント用紙の側縁に濃度の高い黒線が記録されてしまい、プリント画像のプリント品質が低下するという問題がある。
【0005】このため、プリント用紙の側縁より外側に位置する発熱素子が過熱することがないように、プリント用紙の側縁を検出するセンサを設け、プリント用紙の側縁より外側に位置する発熱素子を強制的に非駆動状態にしている。このプリント用紙の側縁を検出するセンサは、複数の発熱素子とほぼ同一ピッチで主走査方向に配列されている。従って、従来はセンサーが必要となるため、コストがかかるという欠点があった。
【0006】本発明は、サーマルプリンタのコストダウンを図り、プリント用紙の側縁まで所望の発色濃度でプリントできるようにした縁なしプリント用紙及び縁なしプリント方法を提供することを目的とする。」
「【0009】
【発明の実施の形態】図1において、感熱プリンタ2は、プリント用紙(感熱記録紙)3を3回通過させ、その間にイエロー,マゼンタ,シアンの各色を熱記録する3パス方式を採用している。」
「【0011】サーマルヘッド5は、複数の発熱素子4が主走査方向にライン状に配列された発熱素子アレイ40を備えている。発熱素子アレイ40は、プリント用紙3に余白のない画像をプリントするため、プリント用紙3の幅より僅かに長く配列されている。」
「【0014】プリント用紙3は、従来使用される矩形状のプリント用紙8(二点鎖線で示す)と異なり、長辺3aと、短辺3bと、長辺3aに対して鋭角な一対の側端3cからなる台形をしており、その側端3cの幅は、搬送方向に対して漸減している。プリント用紙3は、長辺3aを先頭として、搬送ローラ対6bに より搬送される。発熱素子4は、図2の点線に示す位置では、プリント用紙3の側端3cと対峙するものは符号4cであるが、矢印Aの方向に搬送されると、その側端3cと対峙する位置が4gとなり、空打ちしている発熱素子が外側にずれていくことになる。」
「【0016】図2に示すように、プリント中は、各発熱素子4a、4b、4c・・・が対応する画像データに応じて駆動されて発熱する。発熱素子アレイ40が点線で示す位置にあるときには、発熱素子4a~4cは、画像記録用に使用されない、いわゆる空打ち状態となっており、発生した熱エネルギーの多くが蓄積されることになる、他方、プリント用紙3に対面している発熱素子4d、4e、4f・・・は、プリント用紙を加熱して、各ドットを発色記録している。
【0017】プリント用紙3の移動によって、発熱素子アレイ40が実線で示す位置に移動すると、空打ち状態となる発熱素子は4a~4eである。ここで、プリント用紙3の側端3cに隣接し、空打ち状態となっている発熱素子4eは、その少し前まで実働しており、発生した熱エネルギーがプリント用紙3の記録に使われている。そのために、発熱素子4eは、空打ち状態となっても、その時間が短いために蓄積エネルギーが小さい。その結果、隣接している実働中の発熱素子4fは、空打ちしている発熱素子4eから受ける熱エネルギーが僅かである。これにより、発熱素子4fは、他の発熱素子の影響で、過大な熱エネルギーを側端3cに与えて、濃度が高くなることはなく、所望の濃度のドットを発色記録する事ができる。
【0018】イエロー画像の記録が終了すると、図1に示すように、プリント用紙のB方向に戻される。次に、イエロー画像の光定着をしながら、サーマルヘッド5によって、マゼンタ画像が1ラインずつ記録される。この場合でも、プリント用紙3の側端3cが高濃度で記録されることはない。そして、マゼンタ画像の記録後に、プリント用紙3を戻してから、マゼンタ画像の光定着と、シアン画像の記録とが行われる。」
「【図2】
[図:0001409672000001.jpg]
」
上記記載より、プリント中は、プリント用紙3の側端3cと対峙する発熱素子4は、プリント用紙3の搬送に伴って、発熱素子4dから発熱素子4fへと移動する記録方法が記載されているものと認められる。
そうすると、引用例には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「複数の発熱素子4a~4f…が主走査方向に対してライン状に配列されたサーマルヘッドと、プリント用紙を副走査方向に搬送する搬送機構とを備えた感熱プリンタを用い、前記発熱素子の主走査方向より幅が短いプリント用紙の全幅に、画像を記録する縁なしプリント方法において、台形状をしたプリント用紙を、その長辺側を先頭として搬送するとともに、前記サーマルヘッドは、前記発熱素子を画像データに応じて駆動し、イエロー画像の記録が終了すると、プリント用紙を戻し、次に、イエロー画像の光定着をしながら、サーマルヘッドによって、マゼンタ画像を1ラインずつ記録し、そして、マゼンタ画像の記録後に、プリント用紙を戻してから、マゼンタ画像の光定着と、シアン画像の記録とが行う、縁なしプリント方法であって、
プリント中は、プリント用紙の側端と対峙する発熱素子は、プリント用紙の搬送に伴って、発熱素子4dから発熱素子4fへと移動する、縁なしプリント方法。」
2 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「複数の発熱素子」、「複数の発熱素子が主走査方向に対してライン状に配列されたサーマルヘッド」、「感熱プリンタ」、「プリント用紙」、「画像データ」、及び「プリント方法」は、それぞれ、本願発明の「複数の発熱部」、「ライン状に配置された複数の発熱部を有するサーマルヘッドユニット」、「サーマルプリンタ」、「記録媒体」、「所望の印字情報」、及び「サーマルプリンタの印字方法」に相当する。
(2)サーマルプリンタがサーマルヘッドの複数の発熱素子に当接するよう対向配置したプラテンローラを備えることは、技術常識から自明の事項であって、引用発明の「感熱プリンタ」は、サーマルヘッドの複数の発熱素子に当接するように対向して配置されるプラテンローラを備えているといえるから、本願発明の「サーマルプリンタ」と引用発明の「感熱プリンタ」とは、「サーマルヘッドユニットの発熱部に当接するように対向して配置されるプラテンローラとを備えた」ものとの概念で一致する。
(3)サーマルプリンタがサーマルヘッドユニットとプラテンローラとの間に記録媒体を挟持して記録媒体に印字することは、技術常識から自明の事項であるところ、引用発明の「プリント方法」は、「サーマルヘッド」の「複数の発熱素子が主走査方向に対してライン状に配列され」、「プリント用紙」は「副走査方向に搬送」され、「プリント用紙を、その長辺側を先頭として搬送するとともに、サーマルヘッドは、発熱素子を画像データに応じて駆動する」ものであるから、本願発明の「プリント方法」と引用発明の「サーマルプリンタの印字方法」とは、「サーマルヘッドユニットとプラテンローラとの間に記録媒体を挟持して、発熱部の配列方向と直交する方向に搬送しながら所望の印字情報を前記発熱部を介して前記記録媒体に印字する」方法との概念で一致する。
(4)引用発明の「プリンタ方法」は、「プリント中は、プリント用紙の側端と対峙する発熱素子は、プリント用紙の搬送に伴って、発熱素子4dから発熱素子4fへと移動する」ものであるところ、「プリント中」とは、プリント用紙の搬送開始から搬送終了までの間を指すことは技術常識から明らかなところ、「台形状のプリント用紙」は、その側端と対峙する発熱素子が発熱素子4dから4e、そして4fへと2素子分移動するのであるから、「複数の発熱素子の配列方向に対して恒常的に非直交である記録媒体」といえるから、引用発明の「サーマルプリンタの印字方法」とは、「記録媒体の搬送開始から搬送終了までの間において」「記録媒体の搬送方向に延びる辺が発熱部の配列方向に対して恒常的に非直交である前記記録媒体を用いて印字を行う印字工程を備える」といえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の一応の相違点で相違する。
<一致点>
「ライン状に配置された複数の発熱部を有するサーマルヘッドユニットと、前記サーマルヘッドユニットの前記発熱部に当接するように対向して配置されるプラテンローラとを備えたサーマルプリンタを用いて、前記サーマルヘッドユニットと前記プラテンローラとの間に記録媒体を挟持する印字方法であり、前記記録媒体の前記搬送開始から前記搬送終了までの間において前記記録媒体の搬送方向に延びる辺が前記発熱部の配列方向に対して恒常的に非直交であり、前記発熱部の配列方向と直交する方向に搬送しながら所望の印字情報を前記発熱部を介して前記記録媒体に印字するサーマルプリンタの印字方法であって、
前記記録媒体の搬送方向に延びる辺が前記発熱部の配列方向に対して恒常的に非直交である前記記録媒体を用いて印字を行う印字工程を備える、サーマルプリンタの印字方法。」
<一応の相違点>
本願発明の「サーマルプリンタの印字方法」は、「記録媒体の搬送開始から搬送終了までの間における前記記録媒体の連続的な搬送時に発熱部と前記記録媒体との間の摩擦によって前記発熱部の発熱の有無に関わらず起こり得る前記発熱部の断線を抑制するための印字方法」であるのに対し、引用発明の「プリント方法」は、そのような作用・機能が明示されていない点。
3 一応の相違点についての判断
引用発明の「プリント方法」において、プリント中は、プリント用紙の側端と対峙する発熱素子は、プリント用紙の搬送に伴って、発熱素子4dから発熱素子4fへと移動する、すなわち、プリント用紙の側端と対峙する発熱素子は、プリント用紙の搬送に伴って、移動するから、引用発明の「プリント方法」は、「記録媒体の搬送開始から搬送終了までの間における前記記録媒体の連続的な搬送時に発熱部と前記記録媒体との間の摩擦によって起こり得る前記発熱部の断線を抑制する」作用・機能を奏することは明らかである。
また、引用発明の「プリント方法」は、「縁なし」プリントを行うものであるところ、画像データを構成する各色(イエロー、マゼンタ、シアン、等)の画像データが、ベタ画像でないことは、技術常識から明らかなところ(各色(イエロー、マゼンタ、シアン、等)の画像データが、ベタ画像であると、合算した画像データは黒い画像となる)からすると、引用発明の「プリント方法」における各色(イエロー、マゼンタ、シアン、等)の画像データには、発熱のないデータが含まれていることは明らかである。
そして、引用発明の「プリント方法」は、個別の色の画像の記録が終了すると、プリント用紙を戻し、別の色の画像の記録するものであるところ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、等)の画像データに発熱のないデータが含まれていることを勘案すると、各色毎のプリント中においては、プリント用紙の側端と対峙する発熱素子には、発熱するものと発熱しないものとの両方が含まれていることが理解できる。
してみると、本願発明の「サーマルプリンタの印字方法」と引用発明の「プリント方法」とは、「記録媒体の搬送開始から搬送終了までの間における前記記録媒体の連続的な搬送時に発熱部と前記記録媒体との間の摩擦によって起こり得る前記発熱部の断線を抑制する」作用・機能を奏する点で一致する。
そうすると、本願発明と引用発明とを対比した場合の相違点は、実質的にないこととなる。
よって、本願発明の発明特定事項は、すべて引用発明が備えているから、本願発明と、引用発明とに差異はない。
4 請求人の主張について
(1)請求人は、令和6年1月16日に提出された意見書において、概略、以下のとおり主張する。
「このように、引用文献1では、空打ち状態となる発熱素子の対策を課題としています。このため、引用文献1では、プリント用紙を単に搬送しているような状態も想定した発明ではないと思料致します。引用文献1では、発熱素子に熱エネルギーが生じている、すなわち、発熱素子の駆動が必須であるため、プリント用紙を単に搬送しているときの発熱素子を想定する必要はなく、このような場面における発熱素子の問題点に一切言及されていないと思料致します。
これに対し、本願発明は、「前記記録媒体の搬送開始から搬送終了までの間における前記記録媒体の連続的な搬送時に前記発熱部と前記記録媒体との間の摩擦によって前記発熱部の発熱の有無に関わらず起こり得る前記発熱部の断線を抑制するための印字方法であり、前記記録媒体の前記搬送開始から前記搬送終了までの間において前記記録媒体の搬送方向に延びる辺が前記発熱部の配列方向に対して恒常的に非直交であり、」との構成を備えております。本願明細書の段落0002には、「従来、サーマルプリンタは、記録媒体の搬送時に、サーマルヘッドユニットを構成する複数の発熱部と記録媒体との間の摩擦により発熱部が断線することがあった。」と記載されており、段落0036には、「一般的には、記録媒体3の搬送時に、サーマルヘッドユニット7の複数の発熱部20と記録媒体3との間の摩擦により発熱部20が断線することが知られている。具体的には、発熱部20と記録媒体3との間の摩擦が酷くなると、発熱部20の表面の保護層26が磨耗して共通電極24および個別電極25が露出され、最終的には断線するというものである。」と記載されています。本願発明は、このような複数の発熱部と記録媒体との間の摩擦による発熱部の断線を抑制することを目的としております(本願の明細書段落0007)。そして、このような断線は、発熱部の発熱時だけではなく、搬送時すなわち発熱部が発熱していないときであっても起こり得ます。
この点、上記したとおり、引用文献1に記載の発明は、発熱素子の駆動が必須だと思料致します。すなわち、引用文献1には、発熱素子の発熱の有無に関わらずプリント用紙を搬送しているときの発熱素子に関する構成が一切開示されておらず、また示唆もされていないことが理解できると思料致します。
このように、本願発明と引用文献1に記載の発明とは全く相違します。
また、引用文献1に記載の発明に基づいて、当業者が本願発明に容易に想到することもできません。
本願発明は、引用文献1に開示も示唆もない上記構成を備えるため、記録媒体の搬送方向に延びる辺と発熱部との擦れ(磨耗)が1つの発熱部に集中せずに複数の発熱部に分散され、1つの発熱部の保護層が集中的に磨耗することを抑制できます。これにより、発熱部の断線を抑制することができるため、発熱部の寿命を延ばすことができるという有利な技術的効果を奏します(本願の明細書段落0010)。このような有利な技術的効果は、発熱部の発熱の有無に関わらず記録媒体の搬送時においても奏します。
引用文献1には本願発明の上記構成が開示も示唆もされていないため、当業者が上記した有利な技術的効果を奏する本願発明に、容易に想到することはできません。」
(2)しかし、上記3の通り、引用発明の「プリント方法」は、個別の色の画像の記録が終了すると、プリント用紙を戻し、別の色の画像の記録するものであるところ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、等)の画像データに発熱のないデータが含まれていることを勘案すると、各色毎のプリント中においては、プリント用紙の側端と対峙する発熱素子には、発熱するものと発熱しないものとの両方が含まれていることが理解できるのであるから、発熱しない発熱素子に対してもプリント用紙を搬送している構成が開示されているといえる。
してみると、上記(1)の請求人の主張は採用できない。
5 小括
したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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