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特許拒絶査定不服審判

2021-014345

インクジェット印刷装置

審判番号
2021-014345
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-164542
請求日
2021年10月22日
審決日
2022年12月21日
公報発行日
2023年03月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】理想科学工業株式会社
  • 【請求人代理人】三好 秀和
審判長/審判官
  • 審判長 古屋野 浩志
  • 審判官 藤本 義仁
  • 審判官 比嘉 翔一
分類
P18 .113-Z (B41J) / P18 .121-Z (B41J) / P18 .575-Z (B41J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2016-164542「インクジェット印刷装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月 1日出願公開、特開2018- 30314〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年8月25日の出願であって、令和2年5月14日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、同年7月20日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月8日付けで拒絶理由(最後)が通知され、これに対して、令和3年2月9日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年7月6日付けで同年2月9日に提出された手続補正書が却下されると共に拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、同年10月22日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和3年10月22日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和3年10月22日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を全文にわたって補正をするものであるところ、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和2年7月20日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至4を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至4へと補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。) (1)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 インクを吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルが分割されてなる複数のノズル群ごとに形成され、それぞれ対応する前記ノズル群の前記ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部、供給されるインクを複数の前記インク保持部にそれぞれ流入させるインク経路、および、複数の前記インク保持部に対応して設けられ、前記インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁を有するインクジェットヘッドと、 複数の前記ノズルを覆うように前記インクジェットヘッドにキャッピングするキャップと、 前記インクジェットヘッドにキャッピングした状態の前記キャップ内の空間から空気を吸引することで、前記インクジェットヘッドに接続されたインクタンクから前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部と、 前記インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、少なくとも1つの前記インク保持部に対するインクの充填タイミングを他のインク保持部に対するインクの充填タイミングとずらしつつ複数の前記インク保持部にインクを充填するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御する制御部と を備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。 【請求項2】 インクを吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルが分割されてなる複数のノズル群ごとに形成され、それぞれ対応する前記ノズル群の前記ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部、供給されるインクを複数の前記インク保持部にそれぞれ流入させるインク経路、および、複数の前記インク保持部に対応して設けられ、前記インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁を有するインクジェットヘッドと、 前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部と、 前記インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、少なくとも1つの前記インク保持部に対するインクの充填タイミングを他のインク保持部に対するインクの充填タイミングとずらしつつ複数の前記インク保持部にインクを充填するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御する制御部とを備え、 前記制御部は、前記インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、前記インク保持部に充填されたインク中に気泡が残ることを抑制するための所定の圧力を前記インク保持部にかけるよう前記インク供給機構部を制御することを特徴とするインクジェット印刷装置。 【請求項3】 前記制御部は、前記ノズルの吐出回復動作において、複数の前記ノズル群のうち吐出不良が発生した前記ノズルが属する前記ノズル群に対応する前記インク保持部のみにインクが流入するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット印刷装置。 【請求項4】 インクを吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルが分割されてなる複数のノズル群ごとに形成され、それぞれ対応する前記ノズル群の前記ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部、供給されるインクを複数の前記インク保持部にそれぞれ流入させるインク経路、および、複数の前記インク保持部に対応して設けられ、前記インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁を有するインクジェットヘッドと、 複数の前記ノズルを覆うように前記インクジェットヘッドにキャッピングするキャップと、 前記インクジェットヘッドにキャッピングした状態の前記キャップ内の空間から空気を吸引することで、前記インクジェットヘッドに接続されたインクタンクから前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部と、 前記ノズルの吐出回復動作において、複数の前記ノズル群のうち吐出不良が発生した前記ノズルが属する前記ノズル群に対応する前記インク保持部のみにインクが流入するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御する制御部と を備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 インクを吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルが分割されてなる複数のブロックごとに形成され、それぞれ対応する前記ブロックの前記ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部、供給されるインクを複数の前記インク保持部にそれぞれ流入させるインク経路、および、複数の前記インク保持部に対応して設けられ、前記インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁を有するインクジェットヘッドと、 複数の前記ノズルを覆うように前記複数のブロック全体にキャッピングするキャップと、 前記複数のブロック全体にキャッピングした状態の前記キャップ内の空間から空気を吸引することで、前記インクジェットヘッドに接続されたインクタンクから前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部と、 前記インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、少なくとも1つの前記インク保持部に対するインクの充填タイミングを他のインク保持部に対するインクの充填タイミングとずらしつつ複数の前記インク保持部にインクを充填するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御する制御部と を備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。 【請求項2】 インクを吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルが分割されてなる複数のノズル群ごとに形成され、それぞれ対応する前記ノズル群の前記ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部、供給されるインクを複数の前記インク保持部にそれぞれ流入させるインク経路、および、複数の前記インク保持部に対応して設けられ、前記インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁を有するインクジェットヘッドと、 複数の前記ノズルを覆うように前記インクジェットヘッドにキャッピングするキャップと、 前記インクジェットヘッドにキャッピングした状態の前記キャップ内の空間から空気を吸引することで、前記インクジェットヘッドに接続されたインクタンクから前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部と、 前記インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、少なくとも1つの前記インク保持部に対するインクの充填タイミングを他のインク保持部に対するインクの充填タイミングとずらしつつ、インクが充填されていない複数の前記インク保持部にインクを充填するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御する制御部とを備え、 前記制御部は、前記ノズルの吐出回復動作において、複数の前記ノズル群のうち吐出不良が発生した前記ノズルが属する前記ノズル群に対応する前記インク保持部のみにインクが流入するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御することを特徴とするインクジェット印刷装置。 【請求項3】 インクを吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルが分割されてなる複数のノズル群ごとに形成され、それぞれ対応する前記ノズル群の前記ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部、供給されるインクを複数の前記インク保持部にそれぞれ流入させるインク経路、および、複数の前記インク保持部に対応して設けられ、前記インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁を有するインクジェットヘッドと、 前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部と、 前記インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、少なくとも1つの前記インク保持部に対するインクの充填タイミングを他のインク保持部に対するインクの充填タイミングとずらしつつ、インクが充填されていない複数の前記インク保持部にインクを充填するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御する制御部とを備え、 前記制御部は、前記インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、前記インク保持部に充填されたインク中に気泡が残ることを抑制するための所定の圧力を前記インク保持部にかけるよう前記インク供給機構部を制御し、 前記ノズルの吐出回復動作において、複数の前記ノズル群のうち吐出不良が発生した前記ノズルが属する前記ノズル群に対応する前記インク保持部のみにインクが流入するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御することを特徴とするインクジェット印刷装置。 【請求項4】 インクを吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルが分割されてなる複数のブロックごとに形成され、それぞれ対応する前記ブロックの前記ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部、供給されるインクを複数の前記インク保持部にそれぞれ流入させるインク経路、および、複数の前記インク保持部に対応して設けられ、前記インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁を有するインクジェットヘッドと、 複数の前記ノズルを覆うように前記複数のブロック全体にキャッピングするキャップと、 前記複数のブロック全体にキャッピングした状態の前記キャップ内の空間から空気を吸引することで、前記インクジェットヘッドに接続されたインクタンクから前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部と、 前記ノズルの吐出回復動作において、前記複数のブロックのうち吐出不良が発生した前記ノズルが属する前記ブロックに対応する前記インク保持部のみにインクが流入するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御する制御部と を備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。」 2 補正(請求項1に係る補正)の適否について (1)本件補正により、本件補正前の請求項1の「インクジェット印刷装置」の発明特定事項である「ノズル群」について、「ブロック」と補正し(以下「補正事項1」という。)、「インクジェットヘッド」を「複数のブロック全体」と補正(以下「補正事項2」という。)するものである。 (2)補正事項1は、複数のノズルからなる「ノズル群」を明示的に「ブロック」という単位に限定する補正である。 (3)補正事項2は、上記明細書等の記載より、インクジェットヘッドが複数のノズル群からなるものであるところ、上記補正事項1に伴い、「複数のブロック全体」と限定する補正である。 (4)そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 (5)そうすると、請求項1に係る補正である補正事項1及び補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (6)また、上記イのとおり、補正事項1は、願書の最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0027】に「ここで、インクジェットヘッド2が有する複数のノズル16aは、図4に示すように、4つのブロック(請求項のノズル群に相当)」の記載に基づいており、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件について 上記2(5)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の請求項1に係る発明(令和3年10月22日に提出された手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】乃至【請求項4】(以下、それぞれ「本件補正発明1」乃至「本件補正発明4」という。))における本件補正発明1が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1)本件補正後の請求項1に係る発明 本件補正発明1は、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載された事項により特定されるものと認められる。 (2)引用例 ア 引用例 本願の出願前に頒布された公開公報である特開2013-63628号公報(以下「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、液体吐出装置、及び、液体流動方法に関する。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、前記第一ヘッド部及び前記第二ヘッド部のうちの第一ヘッド部のみから液体を吐出して画像を記録する場合がある。かかる画像記録の際には、第二ヘッド部へ液体を供給するための第二供給流路内で、液体が滞留し当該液体の成分が沈降する不都合が生じていた。 【0005】 本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画像記録が実行される際に供給流路内の液体を流動させることにある。」 (ウ)「【0013】 本実施の形態に係る画像記録装置1は、図1及び図2に示すように、搬送ユニット20、及び、該搬送ユニット20がロール紙2を搬送する搬送経路(図1において、当該搬送経路は、巻軸18から巻き取り駆動軸92までの間の、ロール紙2が位置する部分により表されている)に沿って、給送ユニット10、プラテン29、巻き取りユニット90、を有し、さらに、搬送経路上の画像記録領域Rにおいて液体の一例としてのインクを吐出して画像記録を行うヘッドユニット30と、インク補給ユニット35と、キャリッジユニット40と、クリーニングユニット43と、ヒーターユニット70と、プラテン29上のロール紙2に風を送る送風ユニット80と、これらのユニット等を制御し画像記録装置1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。」 (エ)「【0023】 ヘッドユニット30は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位に画像を記録するためのものである。すなわち、ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の画像記録領域Rに(プラテン29上に)送り込まれたロール紙2の部位に、インクを吐出して画像を形成する。本実施の形態において、このヘッドユニット30は、15個のヘッド31を有している。 【0024】 各々のヘッド31は、その下面に、列方向にノズルが並んだノズル列を有している。本実施の形態においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ホワイト(W)等の色毎にそれぞれ複数のノズル♯1~♯Nからなるノズル列を有している。各ノズル列の各ノズル♯1~♯Nは、ロール紙2の搬送方向に交差する交差方向(つまり、当該交差方向が前述した列方向である)に直線状に配列されている。各ノズル列は、当該搬送方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。 【0025】 各ノズル♯1~♯Nには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1~♯Nから吐出される。 【0026】 そして、かかるヘッド31が、前記交差方向(前記列方向)において15個並べられ、このことにより、ヘッドユニット30が形成されている。そのため、ヘッドユニット30は、色毎に15×N個のノズルを有している。 【0027】 インク補給ユニット35は、ヘッド31によるインクの吐出に起因してヘッドユニット30内のインクの量が減った際に、ヘッドユニット30にインクを補給するためのものである。なお、インク補給ユニット35については、後に詳述する。 【0028】 キャリッジユニット40は、ヘッドユニット30(ヘッド31)を移動させるためのものである。このキャリッジユニット40は、搬送方向(左右方向)に延びるキャリッジガイドレール41と(図1に二点鎖線で示す)、キャリッジガイドレール41に沿って搬送方向(左右方向)へ往復移動可能に支持されたキャリッジ42と、不図示のモーターとを有する。【0029】 キャリッジ42には、ヘッドユニット30、すなわち、15個のヘッド31が設けられている。より具体的には、キャリッジ42は、4つのサブキャリッジ(第一サブキャリッジ乃至第四サブキャリッジ)に分かれており、第一サブキャリッジ乃至第三サブキャリッジには、それぞれ4個のヘッド31が、第四サブキャリッジには、3個のヘッド31が設けられている。 【0030】 換言すれば、15個のヘッド31は、4つのヘッド群、すなわち、第一ヘッド乃至第四ヘッドが属する第一ヘッド群302、第五ヘッド乃至第八ヘッドが属する第二ヘッド群304、第九ヘッド乃至第十二ヘッドが属する第三ヘッド群306(第一ヘッド部に相当)、第十三ヘッド乃至第十五ヘッドが属する第四ヘッド群308(第二ヘッド部に相当)を構成している。そして、第一ヘッド群302は第一サブキャリッジに、第二ヘッド群304は第二サブキャリッジに、第三ヘッド群306は第三サブキャリッジに、第四ヘッド群308は第四サブキャリッジに、それぞれ設けられている。 【0031】 そして、4つのサブキャリッジからなるキャリッジ42は、不図示のモーターの駆動により、ヘッドユニット30(換言すれば、4つのヘッド群、又は、15個のヘッド31)と一体となって搬送方向(左右方向)へ移動するよう構成されている。 【0032】 クリーニングユニット43(図1においては、不図示)は、ヘッド31をクリーニングするためのものである。このクリーニングユニット43は、ホームポジション(以下、HPと呼ぶ。図1参照)に設けられており、不図示のキャップと、吸引ポンプ43a(図4等参照)等とを有している。ヘッド31(キャリッジ42)が搬送方向(左右方向)に移動してHPに位置すると、ヘッド31の下面(ノズル面)に不図示のキャップが密着するようになっている。このようにキャップが密着した状態で吸引ポンプ43aが作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引される。このようにして、目詰まりしたノズルが不吐出状態から回復することによってヘッドのクリーニングが完了する。なお、当該クリーニングユニット43は、後に詳述するインク充填処理の際にも用いられる。」 (オ)「【0052】 また、既に説明したとおり、本実施の形態に係るヘッドユニット30は、15個のヘッド31を有し、当該15個のヘッド31は、4つのヘッド群、すなわち、第一ヘッド群302乃至第四ヘッド群308を備えているが、4つの供給チューブの各々は、図4に示すように、それぞれ4つのヘッド群の各々に接続されている。 【0053】 すなわち、第一供給チューブ372は、第一ヘッド群302(第一ヘッド乃至第四ヘッド)に接続されており、サブタンク364から第一ヘッド群302(第一ヘッド乃至第四ヘッド)へインクを供給する。また、第二供給チューブ374は、第二ヘッド群304(第五ヘッド乃至第八ヘッド)に接続されており、サブタンク364から第二ヘッド群304(第五ヘッド乃至第八ヘッド)へインクを供給する。また、第三供給チューブ376(第一供給流路に相当)は、第三ヘッド群306(第九ヘッド乃至第十二ヘッド)に接続されており、サブタンク364から第三ヘッド群306(第九ヘッド乃至第十二ヘッド)へインクを供給する。また、第四供給チューブ378(第二供給流路に相当)は、第四ヘッド群308(第十三ヘッド乃至第十五ヘッド)に接続されており、サブタンク364から第四ヘッド群308(第十三ヘッド乃至第十五ヘッド)へインクを供給する。 【0054】 なお、図1から明らかなように、インク補給ユニット35のサブタンク364とヘッドユニット30とは遠く離れた位置にある。そのため、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378の各々は、非常に長いチューブとなっており、その長さは、5~6メートルである。そして、図4に示すように、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378を這わせるためのケーブルベア400が設けられており、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378は当該ケーブルベア400内に収容されている。 【0055】 また、図4に示すように、互いに異なる供給チューブ間には、バイパス流路の一例としてのバイパスチューブが掛け渡されている。より具体的には、4つのバイパスチューブ(第一バイパスチューブ382乃至第四バイパスチューブ388)が備えられており、第一供給チューブ372と第二供給チューブ374に、第一バイパスチューブ382が掛け渡され、第二供給チューブ374と第三供給チューブ376に、第二バイパスチューブ384が掛け渡され、第三供給チューブ376と第四供給チューブ378に、第三バイパスチューブ386(供給流路間流路に相当)が掛け渡され、第四供給チューブ378と第一供給チューブ372に、第四バイパスチューブ388が掛け渡されている。 【0056】 なお、第一バイパスチューブ382乃至第四バイパスチューブ388の各々は、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378とは異なり、非常に短いチューブとなっており、その長さは、5~20cmである。 【0057】 また、図4に示すように、第二バイパスチューブ384及び第四バイパスチューブ388は、共に、サブタンク364及びヘッドユニット30のうちのサブタンク364により近い位置に位置しており、一方、第一バイパスチューブ382及び第三バイパスチューブ386は、共に、サブタンク364及びヘッドユニット30のうちのヘッドユニット30により近い位置に位置している。換言すれば、第二バイパスチューブ384及び第四バイパスチューブ388は、前記ケーブルベア400外であって、ケーブルベア400とサブタンク364との間に設けられており、第一バイパスチューブ382及び第三バイパスチューブ386は、前記ケーブルベア400外であって、ケーブルベア400とヘッドユニット30との間に設けられている。 【0058】 そして、これらのバイパスチューブは、供給チューブ内でインクが滞留し当該インクの成分が沈降する不都合を改善するために、供給チューブとバイパスチューブで構成される循環流路内でインクを循環させるために、設けられたものである。 【0059】 すなわち、当該バイパスチューブが設けられていることで、第一供給チューブ372、第一バイパスチューブ382、第二供給チューブ374、第二バイパスチューブ384、第三供給チューブ376、第三バイパスチューブ386、第四供給チューブ378、第四バイパスチューブ388により構成される閉流路が形成される(当該閉流路を図4において太線で示す。なお、当該太線については、図4中のどの部分が閉流路であるかを表すために便宜上太くしたものであり、線の太さとチューブの太さとは無関係である)。すなわち、形成される閉流路は、サブタンク364、ヘッドユニット30、供給チューブ、バイパスチューブのうちの供給チューブ及びバイパスチューブのみで構成されるものである。 【0060】 そして、当該閉流路にインクを流すためのポンプ366が、チューブ(本実施の形態においては、第四バイパスチューブ388だが、これに限定されるものではない)に設けられており、当該ポンプ366が作動すると、当該閉流路が循環流路となり、当該循環流路内でインクが循環するようになっている(このようなインクの循環により、前記沈降に係る不都合が改善される)。 【0061】 なお、図4に示すように、4つの供給チューブの各々には、2つのバルブ(サブタンク側バルブとヘッドユニット側バルブ)が設けられており、合計で8個のバルブが供給チューブに備えられている。 【0062】 すなわち、サブタンク側バルブとして、第一供給チューブ372においては、第四バイパスチューブ388が接続されている第一接続部372aとサブタンク364との間に第一サブタンク側バルブ391が、第二供給チューブ374においては、第二バイパスチューブ384が接続されている第二接続部374aとサブタンク364との間に第二サブタンク側バルブ392が、第三供給チューブ376においては、第二バイパスチューブ384が接続されている第三接続部376aとサブタンク364との間に第三サブタンク側バルブ393が、第四供給チューブ378においては、第四バイパスチューブ388が接続されている第四接続部378aとサブタンク364との間に第四サブタンク側バルブ394が、それぞれ設けられている。 【0063】 また、ヘッドユニット側バルブとして、第一供給チューブ372においては、第一バイパスチューブ382が接続されている第五接続部372bとヘッドユニット30との間に第一ヘッドユニット側バルブ395が、第二供給チューブ374においては、第一バイパスチューブ382が接続されている第六接続部374bとヘッドユニット30との間に第二ヘッドユニット側バルブ396が、第三供給チューブ376においては、第三バイパスチューブ386が接続されている第七接続部376bとヘッドユニット30との間に第三ヘッドユニット側バルブ397が、第四供給チューブ378においては、第三バイパスチューブ386が接続されている第八接続部378bとヘッドユニット30との間に第四ヘッドユニット側バルブ398が、それぞれ設けられている。 【0064】 なお、これらのサブタンク側バルブ及びヘッドユニット側バルブが設けられている理由については、後に明らかにする。」 (カ)「【0076】 <<<インクを充填させるインク充填処理について>>> 前述したとおり、画像記録(印刷)等が行われることによりインクがヘッドユニット30(ヘッド31)から吐出されて、ヘッドユニット30内のインクが消費されると、消費された当該インクを補うように、サブタンク364内のインクが第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378を通ってヘッドユニット30へ流入するが、当該第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378に空気(気泡)が含まれていると、当該空気(気泡)がインクと共にヘッドユニット30へ流入し画像記録(印刷)へ悪影響を及ぼす可能性がある。 【0077】 そこで、かかる不都合の発生を抑えるために、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378をインクで予め充填して、空気(気泡)が第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378に存在しないようにするインク充填処理が行われる。 【0078】 また、本実施の形態においては、バイパスチューブが設けられていることを考慮して、バイパスチューブに対する充填処理も行われる(当然のことながら、当該充填処理の対象は、ホワイトインク補給ユニット36のみである)。すなわち、第一バイパスチューブ382乃至第四バイパスチューブ388に空気(気泡)が含まれていると、インク循環処理の実行により当該空気(気泡)が第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378に流入する可能性がある。そして、流入した当該空気(気泡)がインクと共にヘッドユニット30へ流入し画像記録(印刷)へ悪影響を及ぼす可能性がある。 【0079】 そこで、かかる不都合の発生を抑えるために、第一バイパスチューブ382乃至第四バイパスチューブ388をインクで予め充填して、空気(気泡)が第一バイパスチューブ382乃至第四バイパスチューブ388に存在しないようにするインク充填処理も行われる。 【0080】 なお、このようなインク充填処理(初期充填処理とも呼ばれる)は、画像記録装置1の出荷の際に製造者によって行われる。また、画像記録装置1のメンテナンスの際にメンテナンス担当者やユーザー等により行われる場合もある。 【0081】 以下では、インク充填処理について、図7乃至図10を用いて説明する。図7は、インク充填処理が実行される前のホワイトインク補給ユニット36の様子を示したブロック図である。図8は、供給チューブに対するインク充填処理(便宜上、供給チューブ充填処理と呼ぶ)が実行されているときのホワイトインク補給ユニット36の様子を示したブロック図である。図9及び図10は、バイパスチューブに対するインク充填処理(便宜上、バイパスチューブ充填処理と呼ぶ)が実行されているときのホワイトインク補給ユニット36の様子を示したブロック図であり、図9は、バイパスチューブ充填処理の第一ステップを、図10は、バイパスチューブ充填処理の第二ステップを、それぞれ表したものである。 【0082】 先ず、図7に着目する。図7には、インク循環処理が実行される前のホワイトインク補給ユニット36の様子が示されている。このときには、図7に示されているように、サブタンク側バルブ及びヘッドユニット側バルブは開いている。また、図には示されていないが、ヘッドユニット30(ヘッド31)はHPに位置しており、ヘッド31の下面(ノズル面)にキャップが密着している。 【0083】 そして、かかる状態で、先ず、供給チューブ充填処理が、コントローラー60により行われる。すなわち、コントローラー60は、供給チューブにインクを流して当該供給チューブにインクを充填させる。より具体的には、サブタンク364から第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378の各々を経由してヘッドユニット30へインクを流すことにより、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378にインクを充填させる。そして、本実施形態において、コントローラー60は、かかる処理を実現するために、クリーニングユニット43の吸引ポンプ43aを作動させる。このことにより、図8の矢印で示すようにインクが流れて、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378にインクが充填されることとなる。 【0084】 次に、バイパスチューブ充填処理が、コントローラー60により行われる。すなわち、コントローラー60は、バイパスチューブにインクを流して当該バイパスチューブにインクを充填させる。より具体的には、サブタンク364からバイパスチューブを経由してヘッドユニット30へインクを流すことにより、バイパスチューブにインクを充填させる。 【0085】 なお、本実施の形態においては、当該バイパスチューブ充填処理を二つのステップに分けて行う。 【0086】 第一ステップにおいては、図9に示すように、サブタンク364から、第四供給チューブ378、第四バイパスチューブ388、第一供給チューブ372、第一バイパスチューブ382、及び、第二供給チューブ374を経由してヘッドユニット30(より具体的には、第二ヘッド群304)へインクを流すことにより、第四バイパスチューブ388及び第一バイパスチューブ382にインクを充填させる。 【0087】 そして、本実施形態において、コントローラー60は、かかる処理を実現するために、図9に示すように、第四サブタンク側バルブ394及び第二ヘッドユニット側バルブ396以外のバルブ(すなわち、第一サブタンク側バルブ391、第二サブタンク側バルブ392、第三サブタンク側バルブ393、第一ヘッドユニット側バルブ395、第三ヘッドユニット側バルブ397、第四ヘッドユニット側バルブ398)を閉じ、さらに、第二ヘッド群304に対応した吸引ポンプ43aを作動させる。このことにより、図9の矢印で示すようにインクが流れて、第四バイパスチューブ388及び第一バイパスチューブ382にインクが充填されることとなる。 【0088】 第二ステップにおいては、図10に示すように、サブタンク364から、第二供給チューブ374、第二バイパスチューブ384、第三供給チューブ376、第三バイパスチューブ386、及び、第四供給チューブ378を経由してヘッドユニット30(より具体的には、第四ヘッド群308)へインクを流すことにより、第二バイパスチューブ384及び第三バイパスチューブ386にインクを充填させる。 【0089】 そして、本実施形態において、コントローラー60は、かかる処理を実現するために、図10に示すように、第二サブタンク側バルブ392及び第四ヘッドユニット側バルブ398以外のバルブ(すなわち、第一サブタンク側バルブ391、第三サブタンク側バルブ393、第四サブタンク側バルブ394、第一ヘッドユニット側バルブ395、第二ヘッドユニット側バルブ396、第三ヘッドユニット側バルブ397)を閉じ、さらに、第四ヘッド群308に対応した吸引ポンプ43aを作動させる。このことにより、図10の矢印で示すようにインクが流れて、第二バイパスチューブ384及び第三バイパスチューブ386にインクが充填されることとなる。 【0090】 このように、第一ステップ及び第二ステップが完了すれば、第一バイパスチューブ382乃至第四バイパスチューブ388にインクが充填される。」 そうすると、上記記載事項(ア)乃至(カ)より、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「搬送経路上の画像記録領域Rにおいて液体の一例としてのインクを吐出して画像記録を行うヘッドユニット30と、インク補給ユニット35と、キャリッジユニット40と、クリーニングユニット43と、ヒーターユニット70と、プラテン29上のロール紙2に風を送る送風ユニット80と、これらのユニット等を制御し動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している画像記録装置1であって、 ヘッドユニット30は、15個のヘッド31を有し、 各々のヘッド31は、色毎にそれぞれ複数のノズル♯1~♯Nからなるノズル列を有し、 15個のヘッド31は、4つのヘッド群を構成し、 ホームポジション(以下、HPと呼ぶ。)に設けられているクリーニングユニット43は、キャップと、吸引ポンプ43a等とを有し、ヘッド31(キャリッジ42)が搬送方向(左右方向)に移動してHPに位置すると、ヘッド31の下面(ノズル面)にキャップが密着するようになっており、キャップが密着した状態で吸引ポンプ43aが作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引され、目詰まりしたノズルが不吐出状態から回復するクリーニングに用いられたり、下記インク充填処理にも用いられ、 4つの供給チューブの各々は、それぞれ4つのヘッド群の各々に接続されており、第一供給チューブ372は、第一ヘッド群302(第一ヘッド乃至第四ヘッド)に接続されており、サブタンク364から第一ヘッド群302(第一ヘッド乃至第四ヘッド)へインクを供給し、第二供給チューブ374は、第二ヘッド群304(第五ヘッド乃至第八ヘッド)に接続されており、サブタンク364から第二ヘッド群304(第五ヘッド乃至第八ヘッド)へインクを供給し、第三供給チューブ376(第一供給流路に相当)は、第三ヘッド群306(第九ヘッド乃至第十二ヘッド)に接続されており、サブタンク364から第三ヘッド群306(第九ヘッド乃至第十二ヘッド)へインクを供給し、第四供給チューブ378(第二供給流路に相当)は、第四ヘッド群308(第十三ヘッド乃至第十五ヘッド)に接続されており、サブタンク364から第四ヘッド群308(第十三ヘッド乃至第十五ヘッド)へインクを供給し、 互いに異なる供給チューブ間には、バイパスチューブが掛け渡され、4つのバイパスチューブ(第一バイパスチューブ382乃至第四バイパスチューブ388)が備えられており、第一供給チューブ372と第二供給チューブ374に、第一バイパスチューブ382が掛け渡され、第二供給チューブ374と第三供給チューブ376に、第二バイパスチューブ384が掛け渡され、第三供給チューブ376と第四供給チューブ378に、第三バイパスチューブ386(供給流路間流路に相当)が掛け渡され、第四供給チューブ378と第一供給チューブ372に、第四バイパスチューブ388が掛け渡され、 4つの供給チューブの各々には、2つのバルブ(サブタンク側バルブとヘッドユニット側バルブ)が設けられており、 インクを充填させるインク充填処理は、 第一ステップにおいては、サブタンク364から、第四供給チューブ378、第四バイパスチューブ388、第一供給チューブ372、第一バイパスチューブ382、及び、第二供給チューブ374を経由してヘッドユニット30(第二ヘッド群304)へインクを流すことにより、第四バイパスチューブ388及び第一バイパスチューブ382にインクを充填させ、コントローラー60は、かかる処理を実現するために、図9に示すように、第四サブタンク側バルブ394及び第二ヘッドユニット側バルブ396以外のバルブ(すなわち、第一サブタンク側バルブ391、第二サブタンク側バルブ392、第三サブタンク側バルブ393、第一ヘッドユニット側バルブ395、第三ヘッドユニット側バルブ397、第四ヘッドユニット側バルブ398)を閉じ、さらに、第二ヘッド群304に対応した吸引ポンプ43aを作動させる。このことにより、図9の矢印で示すようにインクが流れて、第四バイパスチューブ388及び第一バイパスチューブ382にインクが充填されることとなり、 第二ステップにおいては、図10に示すように、サブタンク364から、第二供給チューブ374、第二バイパスチューブ384、第三供給チューブ376、第三バイパスチューブ386、及び、第四供給チューブ378を経由してヘッドユニット30(第四ヘッド群308)へインクを流すことにより、第二バイパスチューブ384及び第三バイパスチューブ386にインクを充填させ、コントローラー60は、かかる処理を実現するために、図10に示すように、第二サブタンク側バルブ392及び第四ヘッドユニット側バルブ398以外のバルブ(すなわち、第一サブタンク側バルブ391、第三サブタンク側バルブ393、第四サブタンク側バルブ394、第一ヘッドユニット側バルブ395、第二ヘッドユニット側バルブ396、第三ヘッドユニット側バルブ397)を閉じ、さらに、第四ヘッド群308に対応した吸引ポンプ43aを作動させる。このことにより、図10の矢印で示すようにインクが流れて、第二バイパスチューブ384及び第三バイパスチューブ386にインクが充填されることとなる、 画像記録装置1。」 (3)当審の判断 ア 本件補正発明1と引用発明との対比 (ア)後者の「複数のノズル」、「供給チューブ」、「『色毎にそれぞれ複数のノズル♯1~♯Nからなるノズル列を有』する『ヘッド31』」、「『ヘッド31の下面(ノズル面)』に『密着する』『キャップ』」、「サブタンク364」及び「画像記録装置1」は、それぞれ、前者の「インクを吐出する複数のノズル」、「インク経路」、「インクジェットヘッド」、「ノズルを覆うようにキャッピングするキャップ」、「インクタンク」及び「インクジェット印刷装置」に相当する。 (イ)後者の「4つのヘッド群」は、ヘッドユニット30を構成する15個のヘッド31からなり、各々のヘッド31は、色毎にそれぞれ複数のノズル♯1~♯Nを有しているから、後者の「4つのヘッド群」には、ヘッドユニット30が有する全ノズルを4つに分割した数のノズルを有しているといえるから、後者の「4つのヘッド群」は、前者の「複数のノズルが分割されてなる複数のブロック」に相当する。 (ウ)後者の各「ヘッド群」には、それぞれ、サブタンク364から供給チューブを介してインクが供給されるものであるから、インクジェットプリントヘッド分野の技術常識からすれば、後者の各「ヘッド群」が「ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部」を備えることは明らかである。 (エ)後者の「供給チューブ」はヘッド群に、サブタンク364からインクを供給するものであるところ、上記(ウ)のとおり、後者の各「ヘッド群」が「インク保持部」を備えることは明らかであるから、後者の「供給チューブ」は、「供給されるインクをインク保持部に流入させるインク経路」といえる。 (オ)後者の「バルブ」は、4つの供給チューブの各々に設けられ、上記(エ)のとおり、後者の「供給チューブ」は、「供給されるインクをインク保持部に流入させるインク経路」といえるものであるから、前者の「複数のインク保持部に対応して設けられ、インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁」に相当する。 (カ)後者の「インク充填処理」は、サブタンク364から、各供給チューブ、各バイパスチューブを経由して各ヘッド群へインクを流すとともに、ヘッド31の下面(ノズル面)にキャップが密着し、キャップが密着した状態で吸引ポンプ43aが作動すると、ヘッド31内のインクが、吸引される行われるものであるから、後者の「画像記録装置1」は、前者の「キャッピングした状態のキャップ内の空間から空気を吸引することで、インクジェットヘッドに接続されたインクタンクからインクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部」を備えるといえる。 (キ)後者の「インク充填処理」における「第一ステップ」においては、第二ヘッド群304に対してインクを充填し、「第二ステップ」においては、第四ヘッド群308に対してインクを充填するものであるところからすれば、「インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、少なくとも1つのインク保持部に対するインクの充填タイミングを他のインク保持部に対するインクの充填タイミングとずらしつつ複数のインク保持部にインクを充填するよう複数の弁およびインク供給機構部を制御」しているといえる。 イ 本件補正発明1と引用発明の一致点と相違点について 上記アの対比を踏まえると、本件補正発明1と引用発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「インクを吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルが分割されてなる複数のブロックごとに形成され、それぞれ対応する前記ブロックの前記ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部、供給されるインクを複数の前記インク保持部にそれぞれ流入させるインク経路、および、複数の前記インク保持部に対応して設けられ、前記インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁を有するインクジェットヘッドと、 複数の前記ノズルを覆うようにキャッピングするキャップと、 前記キャッピングした状態の前記キャップ内の空間から空気を吸引することで、前記インクジェットヘッドに接続されたインクタンクから前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部と、 前記インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、少なくとも1つの前記インク保持部に対するインクの充填タイミングを他のインク保持部に対するインクの充填タイミングとずらしつつ複数の前記インク保持部にインクを充填するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御する制御部と を備えるインクジェット印刷装置。」 [相違点] 「キャップ」が、本件補正発明1は「複数のブロック全体」をキャッピングするものであるのに対し、引用発明はヘッド31の下面に密着するものの、15個のヘッド31(すなわち、ヘッドユニット30)の全体をキャップするのか否か不明である点。 ウ 上記相違点についての検討 インクジェット印刷装置分野において、複数のブロック全体をキャッピングするキャップは、周知の技術手段である(例えば、特開2004-299292号公報(図2参照。)、特開2007-331298号公報(図7参照。)、特開2015-120292号公報(【0056】、図14参照。)、特開2016-150482号公報(【0031】、図3~10参照。)。以下「周知技術」という。)。 ここで、引用発明のキャップは、少なくとも、15個のヘッド31の各をキャップするものであるところ、部材の共通化・一体化は、一般的な慣用手段であって、上記周知技術に示されているように、インクジェット印刷装置の分野においても、慣用されている技術である。 そうすると、引用発明において、上記周知技術を採用する動機付けはあるといえる。 そして、引用発明の15個のヘッド31は、その配置位置に特徴的な配置を採用するものではないことからすれば、上記周知技術を採用し、以て、15個のヘッド31全体をキャップするようにすることは、当業者が容易になし得るものである。 してみると、引用発明に、上記周知技術を適用し、本件補正発明1とすることは、当業者が容易になし得るものである。 エ 小括 上記で検討したとおり、本件補正発明1は、引用発明に上記周知技術を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)独立特許要件についての検討のまとめ 以上検討したように、本件補正発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、本件補正発明1は、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に違反する。 4 補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、上記において検討したように、本件補正発明1は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和2年7月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 インクを吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルが分割されてなる複数のノズル群ごとに形成され、それぞれ対応する前記ノズル群の前記ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部、供給されるインクを複数の前記インク保持部にそれぞれ流入させるインク経路、および、複数の前記インク保持部に対応して設けられ、前記インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁を有するインクジェットヘッドと、 複数の前記ノズルを覆うように前記インクジェットヘッドにキャッピングするキャップと、 前記インクジェットヘッドにキャッピングした状態の前記キャップ内の空間から空気を吸引することで、前記インクジェットヘッドに接続されたインクタンクから前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部と、 前記インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、少なくとも1つの前記インク保持部に対するインクの充填タイミングを他のインク保持部に対するインクの充填タイミングとずらしつつ複数の前記インク保持部にインクを充填するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御する制御部と を備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。」(以下「本願発明」という。) 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、令和2年12月8日付けの拒絶理由通知書により通知された次に示すものを含むものである。 (新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された特開2013-63628号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 3 引用例 令和2年12月8日付けの拒絶理由通知書で引用された引用例、及び、その記載内容は上記「第2 3 (2)」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、実質的に、本願補正発明の「ブロック」を「ノズル群」とし、「複数のブロック全体」を「インクジェット」としたものである。 そうすると、本願発明と引用発明とを対比すると、上記「第2 3 (3)ア 本件補正発明と引用発明との対比」での検討を勘案すると、両者は、 「インクを吐出する複数のノズル、複数の前記ノズルが分割されてなる複数のノズル群ごとに形成され、それぞれ対応する前記ノズル群の前記ノズルから吐出するインクを保持する複数のインク保持部、供給されるインクを複数の前記インク保持部にそれぞれ流入させるインク経路、および、複数の前記インク保持部に対応して設けられ、前記インク経路から前記インク保持部へのインクの流入を許容および遮断する複数の弁を有するインクジェットヘッドと、 複数の前記ノズルを覆うようにキャッピングするキャップと、 前記キャッピングした状態の前記キャップ内の空間から空気を吸引することで、前記インクジェットヘッドに接続されたインクタンクから前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構部と、 前記インクジェットヘッドへのインクの初期充填時において、少なくとも1つの前記インク保持部に対するインクの充填タイミングを他のインク保持部に対するインクの充填タイミングとずらしつつ複数の前記インク保持部にインクを充填するよう複数の前記弁および前記インク供給機構部を制御する制御部と を備えるインクジェット印刷装置。」 の点で一致する。 そうすると、本願発明の発明特定事項は、すべて引用発明が備えているから、本願発明と、引用発明とに差異はない。 したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-014345

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