特許拒絶査定不服審判
2022-015868
X線検査装置
- 審判番号
- 2022-015868
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-053046外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年10月05日
- 審決日
- 2024年01月29日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G01T)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-53046号「X線検査装置」拒絶査定不服審判事件〔令和元年9月26日出願公開、特開2019-164088号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、平成30年3月20日を出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
令和3年 3月17日 :手続補正書の提出
同年11月10日付け:拒絶理由通知書
令和4年 1月12日付け:意見書の提出
同年 3月 2日付け:拒絶理由通知書
同年 5月 9日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月27日付け:拒絶査定
同年10月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年11月10日付け:前置報告書
令和5年 3月20日 :上申書の提出
同年 7月21日付け:拒絶理由通知書
同年 8月 1日 :刊行物提出
同月14日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月21日付け:拒絶理由通知書
同年11月27日 :意見書、手続補正書の提出
2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年11月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される物品にX線を照射するX線照射部と、
前記物品を透過した前記X線を検出するセンサと、前記センサを制御する制御基板とがユニットとして一体的に形成されたX線検出ユニットと、
内部に前記X線による前記物品の検査が実施される検査領域が設けられた筐体と、
前記X線検出ユニットに対して冷風機から供給される冷気をダクトを介して導風する導風部と、
前記センサにより検出される前記X線からX線透過画像を生成し、前記X線透過画像に基づいて前記物品の検査を行う制御部と、を備え、
前記X線検出ユニットは、前記導風部の一部を構成する流路を有する収容部に収容されており、
前記流路は、前記冷気により前記X線検出ユニットの温度が上昇することを抑制するように配置されており、
前記ダクトは、前記流路に前記冷気を導風する、X線検査装置。」
3 拒絶の理由
本願発明は、令和5年11月27日に提出された手続補正書により補正前の請求項1に係る発明が補正されたものであるところ、令和5年9月21日付けで当審が通知した拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次の内容を含むものである。
(進歩性)請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
1.特開2012-78254号公報
2.特開平2-163691号公報
4 引用文献の記載事項及び引用発明等の認定
(1) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1の記載事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献1には、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。」
「【0024】
[X線検査装置の全体構成]
本実施形態に係るX線検査装置100は、図1に示すように、食品等の被検査物Bの生産ラインにおいて、被検査物BのX線検査を行う装置である。このX線検査装置100は、上流側の搬入コンベア101から搬送されてくる被検査物Bに対して、X線を照射することによって、当該被検査物Bを透過したX線を検知して被検査物Bの不良判断を行う。
(・・・省略・・・)
【0025】
本実施形態に係るX線検査装置100は、従来のX線検査装置(管電圧:25kV~70kV)に比べて、高出力タイプ(管電圧:100kV以上)のX線検査装置であって、高精度のX線検査が可能である。具体的には、X線検査装置100は、X線源300から照射される高エネルギー帯のX線と低エネルギー帯のX線とをそれぞれ検知して、高エネルギー帯のX線を検知して得られたX線透過画像と低エネルギー帯のX線を検知して得られたX線透過画像とに画像処理を施して、高精度のX線検査を行う。このX線検査装置100は、図1に示すように、脚部110、及び、脚部110に固定される本体部120を備えている。そして、図2および図3に示すように、本体部120は、主として、シールドボックス(筺体)200と、X線源300と、センサユニット400と、コンベアユニット500と、X線遮蔽扉600と、X線遮蔽カーテン670と、冷却機700と、制御部800と、フロントパネル900とを備えている。
(・・・省略・・・)
【0027】
[シールドボックス(筺体)]
シールドボックス200は、X線遮蔽構造を有している。このシールドボックス200には、図2および図3に示すように、被検査物Bを搬入するための搬入口201が形成されていると共に、被検査物Bを搬出するための搬出口202が形成されている。なお、この搬入口201および搬出口202のそれぞれには、X線遮蔽カーテン670が設けられている。図3に示すように、シールドボックス200の内部には、X線源300および制御部800等が収容されている。このシールドボックス200は、図2および図3に示すように、フロントパネル900が設けられる前面部210、前面部210に対向配置され、冷却機700が設けられる背面部220、X線源300の上方に設けられる天面部230、天面部230に対向配置され、X線源300の下方に設けられる底面部240、上記した搬入口201が設けられる右側面部250、および、搬出口202が設けられる左側面部260を有している。ここでは、搬入口201が右側面部250に、搬出口202が左側面部260に設けられる例について説明したが、コンベアユニット500による搬送方向を逆にすれば、右側面部250に搬出口202が設けられ、左側面部260に搬入口201が設けられても良い。また、シールドボックス200は、図3に示すように、底面部240に連続して設けられ、鉛直方向(Z方向)に延在する奥壁部270と、当該奥壁部270の下端から背面部220の下端まで延びる奥底面部280とを有している。これらの前面部210、背面部220、天面部230、底面部240、右側面部250、左側面部260、奥壁部270、および、奥底面部280によって区画された空間が、X線源300および制御部800などを収容する収容空間S1となる。
(・・・省略・・・)
【0033】
[X線源]
X線源300は、被検査物BにX線を照射するために設けられている。本実施形態では、X線源300は、高エネルギー帯のX線を照射するために、X線源300の管電圧を100kV以上に設定することが可能である。このように、X線源300を高電圧で使用する場合、X線源300の発熱量が多くなる。そうすると、図3(a)および(b)に示すように、X線源300によって熱せられた気体は、上昇して凹部231の高さが高い位置PH(図3(b)参照)に向かう。これにより、シールドボックス200内で熱せられた気体が凹部231内に集まる。このX線源300は、上記したシールドボックス200の収容空間S1に配置されており、コンベアユニット500の搬送面Mの下方に配置されたセンサユニット400のラインセンサ410に向かってX線を照射する。X線源300は、コンベアユニット500による搬送方向(矢印X方向)に直交する方向に扇状にX線を照射する(図3のDが示す2点鎖線参照)。本実施形態では、X線源300は、下方に向けてX線を照射するように固定配置されており、当該X線源300から照射されたX線は、シールドボックス200の底面部240に形成される開口(図示せず)を介して、検査室S2に照射される。
【0034】
なお、底面部240の開口には、検査室S2側に延在するX線規制部材241が設けられており、底面部240の開口を通過したX線が搬送方向(矢印X方向)に拡散しないように規制している。なお、上記した検査室S2とは、シールドボックス200の底面部240、シールドボックス200の奥壁部270、コンベアユニット500の搬送面M、X線遮蔽扉600、および、X線遮蔽カーテン670により囲まれる空間をいう。
【0035】
また、底面部240のX線源300側の面には、X線遮蔽板242が設けられている。これにより、X線源300から照射されて、収容空間S1内で反射したX線が外部に漏洩するのを防止することができる。
【0036】
[センサユニット]
センサユニット400は、図6および図7に示すように、コンベアユニット500の搬送面Mの下方に配置されている。このセンサユニット400は、図8に示すように、X線源300から照射されたX線を検知するラインセンサ410と、ラインセンサ410との間に所定空間を設けて略平行に配置された一対の遮蔽部材421および422と、ラインセンサ410および遮蔽部材421,422を収容するセンサボックス430と、を有している。
【0037】
ラインセンサ410は、上下方向(Z方向)に所定の間隔を隔てて配置されるデュアルセンサであって、この2重のセンサによって、X線源300から照射される低エネルギー帯のX線と高エネルギー帯のX線とを検知する。一対の遮蔽部材421および422は、ラインセンサ410の素子配列方向(矢印Y方向)に沿って延在する板状部材であり、当該ラインセンサ410を挟んで対向して配置される。また、センサボックス430の背面部220側の部分には、開口部431が形成されている。この開口部431は、当該開口部431の近傍に配置されたファン950(図3参照)から送風される気体を、センサボックス430内に導入するために設けられている。そして、本実施形態では、遮蔽部材421および422は、センサボックス430の開口部431と対向する面432との間に、所定空間を有するように配置されている。これにより、センサボックス430内において、気体が対流するボックス内対流経路R2が形成される。
【0038】
[コンベアユニット(搬送部)]
コンベアユニット500は、図6および図7に示すように、X線検査装置100の上流側に配置される搬入コンベア101から受け取った被検査物Bを、X線検査装置100の下流側に配置される搬出コンベア102まで搬送するために設けられており、途中で上記したX線源300のX線が照射されるX線照射位置(X線源300の真下の位置)において、被検査物BのX線検査を行う。
(・・・省略・・・)
【0052】
[制御部]
制御部800は、X線検査装置100の各部の動作を制御する。具体的には、制御部800は、X線源300に印加する電圧の大きさを制御したり、ラインセンサ410によって検知されたX線に係るX線透過データに基づいてX線透過画像を作成したりする。この制御部800は、CPU、記憶部、入力装置および出力装置等を有するコンピュータである。
(・・・省略・・・)
【0058】
[センサボックス内の冷却について]
図8に示すように、ファン950が駆動することによって、センサボックス430の開口部431からセンサボックス430内に空気が流入する。そして、一対の遮蔽部材421,422間において、ラインセンサ410の素子配列方向(Y方向)に沿って空気が流れて、開口部431に対向する面432に到達する。このとき、当該面432と遮蔽部材421,422との間に所定空間が形成されているので、面432に到達した空気は、当該所定空間でUターンして、ファン950側に流れる。
(・・・省略・・・)
【0070】
(L)
さらに、遮蔽部材421,422をラインセンサ410と所定空間を設けて略並行に配置するとともに、遮蔽部材421,422をセンサボックス430の開口部と対向する面との間に所定空間を有した状態で配置することによって、開口部431から流入した空気が、ラインセンサ410に沿って対向する面432に向かって流れ、対向する面432側における遮蔽部材421,422の所定空間を通過して、開口部431側に戻るボックス内対流経路R2を生成することができる。その結果、当該経路R2により、ラインセンサ410の冷却効率を高めることができる。」
図8は次のとおりである。
【図8】
[図:0001428399000001.jpg]
イ 引用発明の認定
上記アから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、参考までに、引用発明の認定に用いた引用文献1の記載等に係る段落番号等を括弧内に付してある。)
<引用発明>
「上流側の搬入コンベア101から搬送されてくる被検査物Bに対して、X線を照射することによって、当該被検査物Bを透過したX線を検知して被検査物Bの不良判断を行うX線検査装置100であって、【0024】
前記X線検査装置100は、脚部110、及び、脚部110に固定される本体部120を備え、本体部120は、シールドボックス(筺体)200と、X線源300と、センサユニット400と、コンベアユニット500と、X線遮蔽扉600と、X線遮蔽カーテン670と、冷却機700と、制御部800と、フロントパネル900とを備え、(【0025】)
前記シールドボックス200は、フロントパネル900が設けられる前面部210、前面部210に対向配置され、冷却機700が設けられる背面部220、X線源300の上方に設けられる天面部230、天面部230に対向配置され、X線源300の下方に設けられる底面部240、上記した搬入口201が設けられる右側面部250、および、搬出口202が設けられる左側面部260を有し、底面部240に連続して設けられ、鉛直方向(Z方向)に延在する奥壁部270と、当該奥壁部270の下端から背面部220の下端まで延びる奥底面部280とを有し、これらの前面部210、背面部220、天面部230、底面部240、右側面部250、左側面部260、奥壁部270、および、奥底面部280によって区画された空間が、X線源300および制御部800などを収容する収容空間S1となり、(【0027】)
前記X線源300は、下方に向けてX線を照射するように固定配置されており、当該X線源300から照射されたX線は、シールドボックス200の底面部240に形成される開口を介して、検査室S2に照射され、(【0033】)
前記検査室S2とは、シールドボックス200の底面部240、シールドボックス200の奥壁部270、コンベアユニット500の搬送面M、X線遮蔽扉600、および、X線遮蔽カーテン670により囲まれる空間をいい、(【0034】)
前記センサユニット400は、前記X線源300から照射されたX線を検知するラインセンサ410と、ラインセンサ410との間に所定空間を設けて略平行に配置された一対の遮蔽部材421および422と、ラインセンサ410および遮蔽部材421,422を収容するセンサボックス430と、を有し、(【0036】)
前記センサボックス430の背面部220側の部分には、開口部431が形成され、この開口部431は、当該開口部431の近傍に配置されたファン950から送風される気体を、センサボックス430内に導入するために設けられ、遮蔽部材421および422は、センサボックス430の開口部431と対向する面432との間に、所定空間を有するように配置され、これにより、センサボックス430内において、気体が対流するボックス内対流経路R2が形成され、(【0037】)
前記ファン950が駆動することによって、センサボックス430の開口部431からセンサボックス430内に空気が流入し、一対の遮蔽部材421,422間において、ラインセンサ410の素子配列方向に沿って空気が流れて、開口部431に対向する面432に到達し、当該面432と遮蔽部材421,422との間に所定空間が形成されているので、面432に到達した空気は、当該所定空間でUターンして、ファン950側に流れ、(【0058】)
前記開口部431から流入した空気が、ラインセンサ410に沿って対向する面432に向かって流れ、対向する面432側における遮蔽部材421,422の所定空間を通過して、開口部431側に戻るボックス内対流経路R2を生成することができ、その結果、当該経路R2により、ラインセンサ410の冷却効率を高めることができ、(【0070】)
前記コンベアユニット500は、前記X線検査装置100の上流側に配置される搬入コンベア101から受け取った被検査物Bを、X線検査装置100の下流側に配置される搬出コンベア102まで搬送するために設けられており、途中で上記したX線源300のX線が照射されるX線照射位置(X線源300の真下の位置)において、被検査物BのX線検査を行い、(【0038】)
前記制御部800は、X線源300に印加する電圧の大きさを制御し、ラインセンサ410によって検知されたX線に係るX線透過データに基づいてX線透過画像を作成する、(【0052】)
X線検査装置100。」
(2) 引用文献2の記載事項及び引用文献2に記載された技術的事項の認定
ア 引用文献2の記載事項
本願の出願前に日本国内又は外国において発行された引用文献2には、次の記載がある。
「〈課題を解決するための手段〉
上記の目的を達成するだめの構成を、実施例に対応する第1図、第2図を参照しつつ説明すると、本発明は、基板1に放射線センサ2とその信号処理回路(ICチップ)3a、3bを搭載して一つのモジュール10を形成し、このモジュール10複数個を3次元的に実装した放射線検出装置において、放射線センサ群2…2を含む空間と信号処理回路群3a…3a、3b…3bを含む空間とを個別に区画すべく壁体(例えば基板の折り曲げ部1a、壁体4等)を形成するとともに、信号処理回路群3a…3a、3b…3bを含む空間には液体冷媒(例えばパーフロロカーボン)を導入し得るよう構成したことを特徴としている。」(2頁右上欄7行-最下行)
「まず、第3図に示すように、一端が折り曲げられたセラミック製の基板1上に、複数個の放射線センサ2…2および信号処理回路用のICチップ3a…3a、3b…3bをそれぞれ一列に配列して1次元の検出モジュール10を形成し、また、フラットな基板1′上に同様に放射線センサ2…2およびICチップ3a…3a、3b…3bを配列して検出モジュール10′を形成し、この検出モジュール10′を最下部として検出モジュール10を放射線センサ2の幅だけシフトして段階状に順次積み重ね、さらに最上部には折り曲げ基板1を積み重ねて、全体として2次元の放射線検出装置を構成している。なお、各基板1の折り曲げ部1aの端部はその下方の基板1′もしくは1に気密に接着されている。
以上のような構成の放射線検出装置が、第1図、第2図に示すように、エアチャンバ5の内部に、放射線センサ2が下方に位置するよう配設されており、その上方部および左右両側方部は壁体4によって覆われている。この壁体4は基板1もしくは1′の端部に気密に接着されている。」(2頁左下欄12行-右下欄12行)
「また、エアチャンバ5の下部には、空気入口管5aおよび出口管5bが設けられている。」(3頁左上欄1-2行)
「第4図は、第1図に示す実施例に使用する冷却装置の構成例を示すブロック図である。
この冷却装置は、液体冷媒循環系と冷風循環系によって構成されている。
(・・・省略・・・)
また、冷風循環系も同様に、ファン111と熱交換器112およびろ過器113を備えており、ファン111によって冷風を、ろ過器113を介してエアチャンバ5の空気入口管5aに導き、センサ部の熱を奪った温風を熱交換器112によって再び冷却して空気入口管5aに導くことができる。」(3頁左上欄最下行-左下欄2行)
第2図―第4図は次のとおりである。
[図:0001428399000002.jpg]
イ 引用文献2に記載された技術的事項の認定
上記アから、引用文献2には、以下の技術的事項(以下「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されている。
<引用文献2に記載された技術的事項>
「基板に放射線センサとその信号処理回路(ICチップ)を搭載して一つのモジュールを形成した放射線検出装置において、(2頁右上欄10~13行)
エアチャンバの内部に放射線センサが下方に位置するよう配設されており、(2頁右下欄8~10行)
冷風循環系が、ファンと熱交換器およびろ過器を備えており、ファンによって冷風を、ろ過器を介してエアチャンバの空気入口管に導き、センサ部の熱を奪った温風を熱交換器によって再び冷却して空気入口管に導くこと。(3頁右上欄16行~左下欄2行)」
5 対比・判断
(1) 対比
ア 対比分析
本願発明と引用発明とを対比する。
(ア) 引用発明の「前記X線検査装置100の上流側に配置される搬入コンベア101から受け取った被検査物Bを、X線検査装置100の下流側に配置される搬出コンベア102まで搬送するために設けられて[いる]」「コンベアユニット500」は、本願発明の「物品を搬送する搬送部」に相当する。
(イ) 引用発明は、「前記コンベアユニット500は、前記X線検査装置100の上流側に配置される搬入コンベア101から受け取った被検査物Bを、X線検査装置100の下流側に配置される搬出コンベア102まで搬送するために設けられており、途中で上記したX線源300のX線が照射されるX線照射位置(X線源300の真下の位置)において、被検査物BのX線検査を行[う]」から、その「X線源300」は、コンベアユニット500によって搬送される被検査物BにX線を照射するものであるといえる。
したがって、引用発明の「X線源300」は、本願発明の「前記搬送部によって搬送される物品にX線を照射するX線照射部」に相当する。
(ウ) 引用発明は、「上流側の搬入コンベア101から搬送されてくる被検査物Bに対して、X線を照射することによって、当該被検査物Bを透過したX線を検知して被検査物Bの不良判断を行う」ものであって、「ラインセンサ410」は、「前記X線源300から照射されたX線を検知する」から、「ラインセンサ410」は、被検査物Bを透過したX線を検知するものであるといえる。
したがって、引用発明の「ラインセンサ410」は、本願発明の「前記物品を透過した前記X線を検出するセンサ」に相当する。
(エ) 引用発明は、「本体部120は、シールドボックス(筺体)200と、X線源300と、センサユニット400と、コンベアユニット500と、X線遮蔽扉600と、X線遮蔽カーテン670と、冷却機700と、制御部800と、フロントパネル900とを備え」、「前記X線源300は、下方に向けてX線を照射するように固定配置されており、当該X線源300から照射されたX線は、シールドボックス200の底面部240に形成される開口を介して、検査室S2に照射され」、「前記検査室S2とは、シールドボックス200の底面部240、シールドボックス200の奥壁部270、コンベアユニット500の搬送面M、X線遮蔽扉600、および、X線遮蔽カーテン670により囲まれる空間をい[う]」から、「本体部120」には、シールドボックス200の底面部240、シールドボックス200の奥壁部270、コンベアユニット500の搬送面M、X線遮蔽扉600、および、X線遮蔽カーテン670により囲まれる空間である、X線源300から照射されたX線が照射される検査室S2が設けられているといえる。
したがって、引用発明の「本体部120」は、本願発明の「内部に前記X線による前記物品の検査が実施される検査領域が設けられた筐体」に相当する。
(オ)a 引用発明は、「前記ファン950が駆動することによって、センサボックス430の開口部431からセンサボックス430内に空気が流入し、一対の遮蔽部材421,422間において、ラインセンサ410の素子配列方向に沿って空気が流れ」ており、「前記開口部431から流入した空気が、ラインセンサ410に沿って対向する面432に向かって流れ」ているから、引用発明のラインセンサ410にはファン950から送風される気体が導風されているといえる。
そうすると、「前記X線検出ユニットに対して冷風機から供給される冷気をダクトを介して導風する」本願発明と引用発明は、センサに「対して」気体を「導風」する点で共通する。
b 引用発明は、「前記ファン950が駆動することによって、センサボックス430の開口部431からセンサボックス430内に空気が流入し、一対の遮蔽部材421,422間において、ラインセンサ410の素子配列方向に沿って空気が流れて、開口部431に対向する面432に到達し、当該面432と遮蔽部材421,422との間に所定空間が形成されているので、面432に到達した空気は、当該所定空間でUターンして、ファン950側に流れ、前記開口部431から流入した空気が、ラインセンサ410に沿って対向する面432に向かって流れ、対向する面432側における遮蔽部材421,422の所定空間を通過して、開口部431側に戻るボックス内対流経路R2を生成することができ、その結果、当該経路R2により、ラインセンサ410の冷却効率を高めることができ[る]」から、引用発明の、「ファン950」、「開口部431」及び「ボックス内対流経路R2」を含む構成は、本願発明の「導風部」に相当する。
c したがって、本願発明と引用発明は、前記センサ「に対して」気体を「導風する導風部」を備える点で共通する。
(カ) 引用発明の「X線検査装置100」は「制御部800」を備え、「前記制御部800は、X線源300に印加する電圧の大きさを制御し、ラインセンサ410によって検知されたX線に係るX線透過データに基づいてX線透過画像を作成し、」「上流側の搬入コンベア101から搬送されてくる被検査物Bに対して、X線を照射することによって、当該被検査物Bを透過したX線を検知して被検査物Bの不良判断を行[う]」ものであるから、「制御部800」は、ラインセンサ410によって検知されたX線に係るX線透過データに基づいてX線透過画像を作成し、当該被検査物Bを透過したX線を検知して被検査物Bの不良判断を行うものであるといえる。
したがって、引用発明の「制御部800」は、本願発明の「前記センサにより検出される前記X線からX線透過画像を生成し、前記X線透過画像に基づいて前記物品の検査を行う制御部」に相当する。
(キ)a 前記(オ)bを踏まえると、引用発明の「気体が対流するボックス内対流経路R2」は、本願発明の「前記導風部の一部を構成する流路」に相当する。
b 引用発明は、「センサボックス430内において、気体が対流するボックス内対流経路R2が形成され[る]」ものであるから、前記aを踏まえると、引用発明の「センサボックス430」は、本願発明の「前記導風部の一部を構成する流路を有する収容部」に相当する。
c 引用発明の「センサボックス430」は、「ラインセンサ410および遮蔽部材421,422を収容する」ものであるから、前記bを踏まえると、本願発明と引用発明は、前記センサは、「前記導風部の一部を構成する流路を有する収容部に収容されて[いる]」点で共通する。
(ク)a 引用発明は、「開口部431から流入した空気が、ラインセンサ410に沿って対向する面432に向かって流れ、対向する面432側における遮蔽部材421,422の所定空間を通過して、開口部431側に戻るボックス内対流経路R2を生成することができ、その結果、当該経路R2により、ラインセンサ410の冷却効率を高めることができ[る]」ものであって、ラインセンサ410の冷却効率を高めることは、ラインセンサ410の温度が上昇することが抑制することを意味するから、引用発明の「気体が対流するボックス内対流経路R2」は、気体によりラインセンサ410の温度が上昇することを抑制するように配置されているといえる。
b したがって、本願発明と引用発明は、「前記流路は、」前記気体「により」前記センサ「の温度が上昇することを抑制するように配置されて[いる]」点で共通する。
(ケ) 引用発明の「X線検査装置100」は、本願発明の「X線検査装置」に相当する。
イ 一致点及び相違点
上記アの対比分析を踏まえると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される物品にX線を照射するX線照射部と、
前記物品を透過した前記X線を検出するセンサと、
内部に前記X線による前記物品の検査が実施される検査領域が設けられた筐体と、
前記センサに対して気体を導風する導風部と、
前記センサにより検出される前記X線からX線透過画像を生成し、前記X線透過画像に基づいて前記物品の検査を行う制御部と、を備え、
前記センサは、前記導風部の一部を構成する流路を有する収容部に収容されており、
前記流路は、前記気体により前記センサの温度が上昇することを抑制するように配置されている、X線検査装置。」
【相違点1】
本願発明は、「センサと、センサを制御する制御基板とがユニットとして一体的に形成されたX線検出ユニット」をなして、導風部は「前記X線検出ユニット」に対して導風し、「前記X線検出ユニット」が収容部に収容され、「前記X線検出ユニット」の温度が上昇することを抑制するように流路が配置されているのに対して、引用発明は、ラインセンサ410がラインセンサ410を制御する制御基板を備えてユニットとして一体的に形成されているかどうか不明である点。
【相違点2】
導風部について、本願発明は、「冷風機から供給される冷気をダクトを介して」導風するものであって、「前記冷気」により前記X線検出ユニットの温度が上昇することを抑制するように流路が配置されており、「前記ダクトは、前記流路に前記冷気を導風する」のに対して、引用発明は、冷風機及びダクトを備えず、「ファン950から送風される気体」をセンサボックス内に導入する点。
(2) 判断
ア 相違点についての判断
相違点1及び2について併せて検討する。
(ア)a 引用文献2には、放射線検出装置において、「基板に放射線センサとその信号処理回路(ICチップ)を搭載して一つのモジュールを形成」すること(上記2(2)引用文献2に記載された技術的事項参照。)が記載されており、引用発明の「ラインセンサ410」についても、信号処理回路が必要であることは明らかであって、ラインセンサとこのような信号処理回路をモジュール化することは引用文献2に記載された技術的事項にも見られるように常套手段に過ぎないから、引用発明の「ラインセンサ41」と「ラインセンサ410を制御する信号処理回路(ICチップ)」を基板に搭載して一つのモジュールを形成することは、当業者が容易になし得たことであり、このとき、当該信号処理回路を搭載した基板が相違点1に係る本願発明の「前記センサを制御する制御基板」に相当する。
b ここで、本願の発明の詳細な説明及び図面には、「ユニット」について特に定義がなされていないが、一般的に、「ユニット」は、「単位。構成単位。ユニット-システムに使う単位部分。」(広辞苑 第六版 DVD-ROM版)を意味することを踏まえれば、「ラインセンサ41」と「ラインセンサ410を制御する信号処理回路(ICチップ)」を基板に搭載して一つのモジュールを形成することは、基板を介して、ラインセンサ41とラインセンサ410を制御する信号処理回路(ICチップ)がユニットとして一体的に形成されているものであると解されるから、当該「一つのモジュール」が、相違点1に係る本願発明のセンサと制御基板とが「ユニットとして一体的に形成されたX線検出ユニット」に相当することとなる。
c(a) そうすると、上記aで検討したように引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用して「ラインセンサ41」と「ラインセンサ410を制御する信号処理回路(ICチップ)」を基板に搭載して一つのモジュールを形成した構成(以下「モジュール形成引用発明」という。)においては、「センサユニット400」は、モジュールを収容するセンサボックス430を有するものとなり、相違点1に係る本願発明の「前記X線検出ユニット」が収容部に収容されるとの構成を満たすものである。
(b) また、モジュール形成引用発明においては、上記(1)ア(オ)bで説示したように本願発明の「導風部」に相当する、「ファン950」、「開口部431」及び「ボックス内対流経路R2」を含む構成は、モジュールに導風することとなり、相違点1に係る本願発明の導風部は「前記X線検出ユニット」に対して導風するとの構成を満たすものである。
(c) さらに、モジュール形成引用発明においては、モジュールのうち少なくともラインセンサ410の冷却効率を高めることとなり、このことは、モジュールの少なくともラインセンサ410の部分の温度が上昇することを抑制しているといえるから、モジュール形成引用発明は、相違点1に係る本願発明の「前記X線検出ユニット」の温度が上昇することを抑制するように流路が配置されているとの構成を満たすものである。
(イ)a 上記(ア)のように、引用発明の「ラインセンサ41」と「ラインセンサ410を制御する信号処理回路(ICチップ)」を基板に搭載して一つのモジュールを形成する際に、引用文献2に記載された技術的事項の「冷風循環系が、ファンと熱交換器およびろ過器を備えており、ファンによって冷風を、ろ過器を介してエアチャンバの空気入口管に導き、センサ部の熱を奪った温風を熱交換器によって再び冷却して空気入口管に導く」構成も併せて採用して、熱交換器で冷却した冷風を空気流入管を介してセンサボックス430内に導入することも当業者が容易になし得たことである。
b このとき、モジュールに対して熱交換器から供給される冷却された空気を空気入口管を介して導風し、冷却された空気によりモジュールの温度が上昇することを抑制し(上記(ア)c(c))、空気流入管は、ボックス内対流経路R2に冷却された空気を導風することとなるところ、「熱交換器」及び「空気入口管」が、それぞれ相違点2に係る本願発明の「冷風機」及び「ダクト」に相当することとなり、熱交換器により冷却された空気は、本願発明の「冷気」に相当することとなるから、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用した構成は、相違点2に係る本願発明の「冷風機から供給される冷気をダクトを介して」導風するものであって、「前記冷気」により前記X線検出ユニットの温度が上昇することを抑制するように流路が配置されており、「前記ダクトは、前記流路に前記冷気を導風する」との構成を備えることとなる。
イ 本願発明の奏する効果について
そして、上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ 審判請求人の主張について
(ア) 審判請求人は、令和5年11月27日付けの意見書において、概略次のように主張する。
a 引用文献2の図3及び図4に記載されている、基板1に放射線センサ2とその信号処理回路(ICチップ)3a、3bを搭載して一つのモジュール10を形成し、このモジュール10複数個を3次元的に実装した放射線検出装置は、放射線センサ群2・・・2を含む空間と信号処理回路群3a・・・3a、3b・・・3bを含む空間とを個別に区画すべく壁体(例えば基板の折り曲げ部1a、壁体4等)を形成しているが、このような、放射線センサ群とICチップ群とが明確に区切られ、放射線センサ群及びICチップ群のそれぞれが専用の冷却手段によって冷却される構成は、一体的に構成されているとは言えない。
b 引用文献2の図3及び図4に記載されている放射線検出装置は、センサに冷気を供給して、冷気によりセンサの温度の上昇を抑制すると共に、制御基板に液体冷媒を供給して、液体冷媒により制御基板の温度の上昇を抑制する構成であるから、液体冷媒を用いずに冷風機から供給される冷気のみにより、センサと制御基板とが一体的に形成されたX線検出ユニットの温度が上昇することを抑制するものではない。
(イ) 上記主張について検討する。
a 上記(ア)aの点について
本願発明における、「前記物品を透過した前記X線を検出するセンサと、前記センサを制御する制御基板とがユニットとして一体的に形成されたX線検出ユニット」との発明特定事項について、ユニットとして一体的に形成されることは、「一体的に形成」との用語の通常の意味どおりにセンサと制御基板がユニットとして一体的に形成されていれば充足するのであって、センサと制御基板が壁体などで区切られないことや、センサと制御基板の冷却手段が共通であることまでを特定していると解することはできない。そして、引用発明において引用文献2に記載された技術的事項を採用した構成において、「ラインセンサ41」と「ラインセンサ410を制御する信号処理回路(ICチップ)」を基板に搭載して形成された一つのモジュールが、相違点1に係る本願発明のセンサと制御基板とが「ユニットとして一体的に形成されたX線検出ユニット」に相当することとなることは上記ア(ア)で説示したとおりである。
したがって、請求人の上記(ア)aの主張は、請求項の記載に基づくものではなく、採用できない。
b 上記(ア)bの点について
本願発明における、「前記流路は、前記冷気により前記X線検出ユニットの温度が上昇することを抑制するように配置されて[いる]」との発明特定事項は、審判請求人が主張するように冷気「のみ」によりX線検出ユニットの温度が上昇することを抑制するとまでは特定するものとは解されず、他の冷却手段の有無にかかわらず、少なくとも冷気によりX線検出ユニットの温度が上昇することを抑制していれば充足すると解するのが相当である。そして、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用した構成においては、「前記流路は、前記冷気により前記X線検出ユニットの温度が上昇することを抑制するように配置されて[いる]」ことになることは、上記ア(ア)c及びア(イ)bで説示したとおりである。
したがって、請求人の上記(ア)bの主張は、請求項の記載に基づくものではなく採用できない。
なお、仮に、本願発明が、冷気「のみ」によりX線検出ユニットの温度が上昇することを抑制するものであると解したとしても、引用文献2には、従来技術として強制空冷方式でICチップを冷却することが開示されている(1頁左欄最下行-右欄14行及び第5図参照)ことに照らして、当業者が容易に発明をすることができたものであることにかわりはない。
エ 小括
以上のとおり、本願発明は、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-015868