意匠拒絶査定不服審判
2024-012895
ラベル用紙
- 審判番号
- 2024-012895
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2023-004631
- 登録番号
- 1809159
- 請求日
- 2024年08月07日
- 審決日
- 2025年07月28日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社リコー
- 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
- 【請求人】株式会社イシダ
- 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
- 審判長/審判官
- 審判長 前畑 さおり
- 審判官 坂田 麻智
- 審判官 清野 貴雄
- 分類
- D18 .113-WY (F3-4)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第10条第1項、意匠法第3条第1項第3号、意匠法第10条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2023- 4631「ラベル用紙」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとし、意匠登録第1729891号(意願2022-012829)の意匠を本意匠とする関連意匠として出願された、令和5年(2023年)3月8日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年(2024年) 1月31日付け:拒絶理由通知書
同年 3月11日 :意見書の提出
同年 4月30日付け:拒絶査定
同年 8月 7日 :審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「ラベル用紙」とし、その形状、模様、若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし、物品の部分について意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「図面中、実線で表した部分が、意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界を示す線である。」とし、「正面図において左右にのみ連続するものである。」としたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、第一に、本願意匠が、願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないため、意匠法第10条第1項の規定に該当しない、というものである。
第二に、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1729891号
(意匠に係る物品、ラベル用紙)の意匠のラベルとなる材がそれぞれ接続する部分
以下、本審決では、引用意匠のうち本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分を「引用部分」という。
第4 本意匠
本意匠(意匠登録第1729891号)は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、令和4年(2022年)6月15日の意匠登録出願であって、同年11月7日に設定登録され、同年11月15日に登録公報が発行されたものであり、その意匠に係る物品を「ラベル用紙」とし、物品の部分について意匠登録を受けようとする部分(以下「本意匠部分」という。)を、「図面中、実線であらわした部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」とし、「この意匠は、正面図において左右にのみ連続するものである。」としたものである。(別紙第2参照)
なお、本意匠について、令和4年11月15日発行の意匠公報に掲載された意匠が前記引用意匠である。
第5 当審の判断
以下において、本願意匠と引用意匠が類似するか否か及び本願意匠と本意匠が類似するか否かについて検討し、判断する。
1 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の類否判断
(1)対比
ア 両意匠の意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、いずれもラベルプリンタに使用する「ラベル用紙」であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。
イ 本願部分と引用部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも左右に複数連接する一単位のラベル(以下「単位ラベル」という。)の接続部分(以下「連接部」という。)であるから、両部分の用途及び機能は、一致する。また、両部分の位置は、単位ラベルの各両端に位置し、大きさ及び範囲は、単位ラベルごとに左右合わせて全体の半分程度で、隣接する単位ラベルの境目のスリット孔列を除いた大きさ及び範囲であるから、両部分の位置、大きさ及び範囲も、一致する。
ウ 両部分の形状等
両部分の形状等を対比すると、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
(ア)共通点
(共通点ア)連接部について、全体を正面視略縦長長方形の薄シート状とし、上下端に外側に向かって開いた略U字状の切れ込み(以下「切れ込み部」という。)を設けている点、
(共通点イ)切れ込み部について、正面視左側の辺がやや拡開している点、
(共通点ウ)各部の長さの比率について、全体の縦、横の長さ及び厚みの比率が、約32:48:1であって、切れ込み部の縦方向の高さは、ラベル用紙全高の約1/7である点、
において共通する。
(イ)相違点
両部分は、特段の相違は見当たらない。
(2)類否判断
ア 両意匠の意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。
イ 両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は、一致するから、同一である。
ウ 両部分の形状等の共通点及び相違点の評価
両部分の形状等は、前記(1)ウ(ア)のとおり、おおむね共通しており、特段の相違はないから、類似する。
(3)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が同一で、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲が同一で、その形状等においても類似するから、両意匠は類似する。
2 本願意匠と本意匠の類否判断
次に、本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当するか否かについて判断し、また、本願意匠と本意匠が類似するか否かについて検討し、判断する。
本意匠の意匠権者と、本願の意匠登録出願人は同一であるから、意匠法第10条第1項に規定する関連意匠の意匠登録出願人の要件を満たしている。
また、本願意匠の意匠登録出願の日は、本意匠の意匠登録出願の日以後であって、本意匠の意匠登録出願の日から10年を経過する日前であるから、意匠法第10条第1項に規定される関連意匠の意匠登録出願の日の要件を満たしている。
(1)対比
ア 本願意匠と本意匠の意匠に係る物品
本願意匠と本意匠の意匠に係る物品は、いずれもラベルプリンタに使用する「ラベル用紙」であるから、意匠に係る物品は、一致する。
イ 本願部分と本意匠部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分は、左右に複数連接する単位ラベルの連接部からスリット孔列を除いた部分であるのに対し、本意匠部分は、ラベル用紙全体からスリット孔列を除いた部分であるから、本願部分と本意匠部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は、各単位ラベル中央の印字部分(以下「印字部」という。)の有無において、相違する。
ウ 本願部分と本意匠部分の形状等
本願部分と本意匠部分の形状等は、主として以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
(ア)共通点
(共通点ア)連接部について、全体を正面視略縦長長方形の薄シート状とし、上下端に外側に向かって開いた略U字状の切れ込み部を設けている点、
(共通点イ)切れ込み部について、正面視左側の辺がやや拡開している点、
(共通点ウ)各部の長さの比率について、全体の縦の長さと厚みの比率が、約32:1であって、切れ込み部の縦方向の高さは、ラベル用紙全高の約1/7である点、
において共通する。
(イ)相違点
本願部分は、意匠登録を受けようとする部分に、印字部を含まないのに対し、本意匠部分は、連接部の最大幅と等幅で薄テープ状に広げた印字部を含むものである点において、相違する。
(2)類否判断
ア 本願意匠と本意匠の意匠に係る物品
本願意匠と本意匠の意匠に係る物品は、同一である。
イ 本願部分と本意匠部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と本意匠部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は、印字部の有無において相違するが、この種のラベル用紙の分野においては、連接部は、単位ラベルを切り離す時に需要者が注目する部分であるのに対し、印字部は、バーコード、材料名、製造業者等の情報表示のためのエリアであって、特段創作の余地は見当たらないことから、相対的に需要者の注目を引く部分とは言えず、印字部の有無の相違が、本願部分と本意匠部分の類否判断に与える影響は小さい。
ウ 本願部分と本意匠部分の形状等の共通点及び相違点の評価
(ア)共通点の評価
本願部分と本意匠部分は、前記(1)ウ(ア)のとおり、連接部の態様が酷似しており、需要者に共通の美感を与えているから、共通点が類否判断に与える影響は大きい。
(イ)相違点の評価
ラベル用紙の物品分野においては、2(2)イで述べたとおり、印字部は相対的に需要者の注意を引く部分とは言えず、さらに、印字部の形状を、連接部の最大幅と等幅で薄テープ状に広げることはごく一般的であって(例えば、下記の参考意匠1及び参考意匠2参照)、当該相違点が、格別需要者の注意を引くものとはいえないから、本願意匠と本意匠の類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠1(別紙第3参照)
登録意匠第1680702号「ラベル用紙」の意匠
参考意匠2(別紙第4参照)
登録意匠第1716928号「ラベル用紙」の意匠
以上のとおり、本願部分と本意匠部分を総合的に観察した場合、共通点に比べて、相違点が与える影響の方が小さく、別異の美感を起こさせるほどのものではないから、本願部分と本意匠部分の形状等は、類似する。
(3)小括
そうすると、本願意匠と本意匠について、意匠に係る物品は同一であり、また、本願部分と本意匠部分について、用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は相違するものの、それらが類否判断に与える影響は小さく、形状等においても、共通点が類否判断に与える影響は極めて大きいのに対し、相違点が類否判断に与える影響は小さいから、本願意匠は、本意匠に類似するものである。
したがって、本願意匠は、意匠登録第1729891号(意願2022-12829)の意匠を本意匠とする関連意匠として、意匠登録を受けることができるものである。
第6 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は意匠法第10条第1項に規定する本意匠に類似する意匠に該当するから、原査定の第一の拒絶理由(意匠法第10条第1項)によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
そして、本願意匠と引用意匠は類似するところ、一方で、上記第4に記載の経緯のとおり、引用意匠は意匠法第10条第2項に規定する本意匠と同一又は類似の自己の意匠に該当し、本願の同法第3条第1項の適用について、同条第1項第1号又は第2号に該当するに至らなかったものとみなされるから、原査定の第二の拒絶理由(同法第3条第1項第3号)によっても本願を拒絶するべきものとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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