2022-015543
特定システム、入退場管理システム、及びPOSシステム
- 審判番号
- 2022-015543
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-522641外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月29日
- 審決日
- 2023年05月30日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社アスタリスク
- 【請求人代理人】浅野 哲平
- 【請求人代理人】福屋 好泰
- 分類
- P18 .121-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は、2022年(令和4年)4月13日を国際出願日とする出願であって、令和4年5月18日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月29日に意見書とともに手続補正書が提出され、同年7月4日付けで拒絶査定(謄本送達日同年7月12日。以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して同年9月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。
第2 令和4年9月29日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年9月29日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所を示す。)
「人物を特定する特定システムであって、複数の特定場所の各々に設けられたスマートデバイスと、当該スマートデバイスの各々と通信可能なサーバと、を備え、前記スマートデバイスの各々は、前記人物を撮像し、当該人物の画像を生成する撮像部と、続きを表示(全13行)前記人物の画像を前記サーバに送信する送信部と、を備え、前記サーバは、前記スマートデバイスの各々から前記人物の画像を受信する受信部と、前記受信した人物の画像に基づいて当該人物を特定する特定部と、前記特定された人物を認証する認証部と、を備え、前記認証部により認証された場合に、前記特定した人物を他のシステムに送信する送信部と、を備える、特定システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年6月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「スマートデバイスと、当該スマートデバイスと通信可能なサーバと、を備える特定システムであって、前記スマートデバイスは、人物を撮像し、当該人物の画像を生成する撮像部と、前記人物の画像を前記サーバに送信する送信部と、続きを表示(全12行)を備え、前記サーバは、前記スマートデバイスから前記人物の画像を受信する受信部と、前記受信した人物の画像に基づいて当該人物を特定する特定部と、前記特定部によって特定された人物を認証する認証部と、を備え、前記認証した人物を他のシステムに送信する送信部と、を備える、特定システム。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「スマートデバイス」、「送信部」及び「特定システム」について、上記のとおり限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用例の記載事項
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ア 引用例1の記載事項及び引用発明
(ア)原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、国際公開第2020/149136号(2020年7月23日国際公開。以下、これを「引用例1」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
a 「[0024] 以下に、添付図面を参照して、本発明に係る認証システム、管理装置及び認証方法の好適な実施例を詳細に説明する。以下に示す実施例1及び2では、クライアント-サーバシステムのサーバ装置として機能する管理装置を用いて認証サービスを提供する場合を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、クラウドシステム上で認証サービスを提供する場合に本発明を適用することもできる。[0025] <実施例1に係る認証システムの概要>まず、本実施例1に係る認証システムの概要について説明する。本実施例1に係る認証システムは、動画像を用いた顔認証、音声認識等を利用した本人認証サービスを行う認証システムである。すなわち、利用者があらかじめ顔及び音声を含む動的生体情報を認証システムに登録しておき、この動的生体情報を用いた認証処理を行うことにより、第三者に対して利用者が本人であることを証明することができるシステムである。[0026] 具体的には、利用者の顔画像を含む公的証明書をあらかじめ認証システムに登録する。例えば、マイナンバーカード又は運転免許証を公的証明書として利用することができる。認証システムは、登録された公的証明書に含まれる顔画像と、例えば携帯端末10にて撮像された利用者の顔画像とが同一であることを顔認証により認証する。また、認証システムは、利用者の氏名又はキーワードを携帯端末10の認証アプリ上で発話させ、この音声を音声認識した氏名又はキーワードが公的証明書のキーワードと同一であることを認証する。また、認証システムは、携帯端末10の認証アプリ上で発話された音声に含まれる声紋と、あらかじめ登録された利用者の声紋とが同一であることを認証する。また、認証システムは、音声に含まれる各音素と利用者の口、唇の動きとがマッチしているか否かを口唇認証する。認証システムは、このような様々な認証のうちの複数の認証を含む動的生体認証を行うことにより、利用者が本人であるか否かを認証する」
b 「[0030] 本認証システムの中核をなす管理装置20は、利用者Aの携帯端末10と通信可能である。携帯端末10は、スマートフォン又はタブレット等の端末装置である。携帯端末10は、例えば、4G規格のLTE(Long Term Evolution)通信又はWiFi通信により、管理装置20にアクセスする。[0031] 管理装置20は、ある金融機関の金融機関サーバ32、ある決済システムの決済サーバ43、公的機関の公的機関サーバ44と通信可能に接続されている。金融機関サーバ32は、利用者の携帯端末10を用いたインターネットバンキングを可能とするために設けられた管理装置である。決済サーバ43は、各利用者の電子マネー額などを管理するサーバ装置である。公的機関サーバ44は、市区町村の住民表などを管理するサーバ装置である。[0032] 管理装置20は、利用種別を判定する機能と、判定された利用種別に対応する認証種別を複数の認証種別から選択する機能と、選択された認証種別に基づいて利用者Aの認証処理を行う機能と、利用者Aの認証結果を通知する機能とを有する。利用種別に応じた認証とは、利用者Aの利用シーンに合わせた認証を行うことを意味する。例えば、利用者Aが金融機関ABCの店舗Xに所在する場合には、該利用者Aの氏名などの個人情報を発話させるべきではない。このため、管理装置20は、個人情報を含まないキーワードの発話を含む動画像を用いた認証種別を選択する。一方、利用者Aが自宅に所在する場合、管理装置20は、個人情報の発話を含む動画像を用いた認証種別を選択する。また、例えば、利用者Aがコンビニエンスストアの店舗Yで低額な商品を購入する場合には、管理装置20は、動画像を用いた比較的簡単な認証種別を選択する。一方、利用者Aが金融機関ABCの店舗Xで高額の出金を行う場合、管理装置20は、動画像を用いた高精度な認証種別を選択することになる[0033] 利用者Aが認証システムによる認証サービスを受ける場合には、該利用者Aが所持する携帯端末10を用いて管理装置20にアクセスし、初期登録を行う(ステップS1)。本実施例1では、携帯端末10を用いて管理装置20又は所定のサイトから認証サービスの認証アプリをダウンロードし、この認証アプリを携帯端末10上で起動して初期登録を行う場合について説明するが、直接管理装置20にアクセスしてウエブ上で登録しても良い。初期登録においては、利用者の顔画像及び音声を含む動画像、属性情報、選択サービス、銀行口座の口座情報、電子マネーの口座情報、マイナンバー等が登録される。初期登録の詳細な説明については後述する。[0034] その後、利用者Aが金融機関ABCの店舗Xに移動して、例えば、口座の住所変更又は新規口座の開設を行う。窓口端末31を操作する窓口担当者から呼び出された利用者は、携帯端末10の認証アプリを起動してログイン操作を行い、管理装置20にアクセスして認証要求を行う(ステップS2)。認証要求を受けた管理装置20は、利用者Aの認証処理を行う。このとき、管理装置20は、利用種別に合わせた認証種別を複数の認証種別の中から選択し、この認証種別に対応する動画像を用いた認証処理を行う。認証処理の詳細な説明については後述する。[0035] 管理装置20は、認証結果を金融機関ABCの金融機関サーバ32に通知する(ステップS3)。金融機関サーバ32は、認証結果が正当である旨の通知を受けたならば、引き続き口座の住所変更又は新規口座の開設等の窓口処理を行う(ステップS4)。これにより、金融機関ABCは、利用者のなりすましを防止しつつ各種の手続きを行うことができる。ここでは利用者Aの携帯端末10から管理装置20に対して認証要求を行う場合を示したが、窓口端末31に動画像を撮像する機能と認証要求を行う機能とが設けられている場合には、窓口端末31から管理装置20に認証要求を行うこともできる。」
c 「[0036] その後、利用者Aがコンビニエンスストアの店舗Yに移動して、商品を購入する場合には、店舗YのPOS端末41に接続されたカメラ42が利用者Aの動画像を撮像する(ステップS5)。POS端末41は、この動画像を用いて管理装置20に認証要求を行う(ステップS6)。認証要求を受けた管理装置20は、利用者Aの認証処理を行う。このとき、管理装置20は、利用種別に合わせた認証種別を複数の認証種別の中から選択し、この認証種別に対応する動画像を用いた認証処理を行う。[0037] 管理装置20は、認証結果を決済サーバ43に通知する(ステップS7)。決済サーバ43は、認証結果が正当である旨の通知を受けたならば、電子マネー又は金融機関ABCの口座引落等により商品の決済が可能である旨をPOS端末41に通知し、POS端末41において決済処理を行う(ステップS8)。このため、例えば利用者Aの携帯端末10が電池切れを起こした場合や利用者Aが携帯端末10を紛失した場合であっても、該利用者Aは商品を購入することができる。特に、災害などが発生し、携帯端末10が使用できない場合でも、利用者Aの動画を撮像することができれば、利用者Aは店舗Yで商品を購入することが可能となる。なお、金融機関ABCの場合と同様に、利用者Aの携帯端末10を用いて認証要求を行うこともできる。」
d 「[0039] <管理装置20の構成>次に、図1に示した管理装置20の構成について説明する。図2は、図1に示した管理装置20の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、管理装置20は、入力部21、表示部22、通信I/F部23、記憶部24及び制御部25を有する。…中略…[0054] 図2の説明に戻ると、制御部25は、管理装置20の全体制御を行う。制御部25は、認証情報管理部25aと、初期登録処理部25bと、利用種別判定部25cと、認証種別選択部25dと、認証処理部25eと、認証結果通知部25fとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、認証情報管理部25a、初期登録処理部25b、利用種別判定部25c、認証種別選択部25d、認証処理部25e及び認証結果通知部25fにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。…中略…[0059] 認証処理部25eは、認証種別選択部25dにより選択された認証種別に対応する認証処理を行う。例えば、認証種別選択部25dにより認証種別5が選択された場合、認証処理部25eは、利用者の動画像を用いて顔認証処理、音声認証処理(キーワード)、口唇認証処理を含む動的生体認証を行う。顔認証処理、音声認証処理(キーワード)、口唇認証処理の詳細な説明については省略する。[0060] 認証結果通知部25fは、認証処理部25eによる認証結果を通知する。認証結果の通知先は、携帯端末10に限定されず、金融機関の窓口端末31、決済サーバ43等を通知先とすることもできる。」
e 「[0070] 上述してきたように、本実施例1に係る認証システムでは、利用者Aの携帯端末10から管理装置20にアクセスして、利用者Aの動画像を含む初期登録が行われる。利用者Aが金融機関ABCの店舗X又はコンビニエンスストアの店舗Yでサービスを受ける場合、利用者Aを撮像した動画像が管理装置20に送信される。管理装置20は、利用種別に応じた認証処理を行い、認証結果を店舗に通知する。これにより、利用者Aが各種の手続きを行う場合における本人認証を効率良く行うことができる。[0071] 特に、本実施例1によれば、種別の異なる複数のシステムでの認証を、業態を超えて効率良く行うことができる。また、カードレス化を促進するができる。さらに、認証用の専用機器を携帯端末10に追加する必要がなく、携帯端末10にカメラ、マイク、通信機能があれば足りるため、利用範囲の拡大を図ることができる。[0072] また、本認証システムは、N人の中から1人を認証する1対N認証を行う場合に適用することもできる。災害により各利用者が所持するスマートフォンを使えない場合であっても、音声付きの動画が撮像できるタブレットなどの共用端末が1台あれば、これを携帯端末10として利用者の本人認証を行うことができるため、災害時に極めて有効である。共有システムの組み合わせ次第で、災害時における本人認証により金銭が無くとも商品を購入するよう構成することもできる。」
f 「図1[図:0001407253000001.jpg]」
g 「図2[図:0001407253000002.jpg]」
(イ) 引用発明
a 上記(ア)aの、「利用者があらかじめ顔及び音声を含む動的生体情報を認証システムに登録しておき、この動的生体情報を用いた認証処理を行うことにより、第三者に対して利用者が本人であることを証明することができるシステム」([0025])との記載、及び、「利用者の顔画像を含む公的証明書をあらかじめ認証システムに登録する」([0026])との記載から、引用例1には、“利用者があらかじめ顔及び音声を含む動的生体情報を認証システムに登録しておき、この動的生体情報を用いた認証処理を行うことにより、第三者に対して利用者が本人であることを証明することができる認証システム”及び、“利用者の顔画像を含む公的証明書をあらかじめ認証システムに登録”することが記載されているといえる。
b 上記(ア)aの、「本認証システムの中核をなす管理装置20」([0030])との記載、及び、「本発明に係る認証システム…中略…クライアント-サーバシステムのサーバ装置として機能する管理装置を用いて認証サービスを提供する」([0024])との記載から、引用例1には、“認証システムの中核をなす管理装置20は、クライアント-サーバシステムのサーバ装置として機能”するものであることが記載されているといえる。
c 上記(ア)bの、「管理装置20は、ある金融機関の金融機関サーバ32、ある決済システムの決済サーバ43、公的機関の公的機関サーバ44と通信可能に接続されている」([0031])との記載から、引用例1には、“管理装置20は、ある金融機関の金融機関サーバ32、ある決済システムの決済サーバ43、公的機関の公的機関サーバ44と通信可能に接続され”ることが記載されているといえる。
d 上記(ア)dの、「管理装置20は、…中略…制御部25を有する」([0039])との記載、「制御部25は、…中略…認証処理部25eと、認証結果通知部25fとを有する」([0054])との記載、「認証処理部25eは、…中略…認証処理を行う」([0059])との記載、及び、「認証結果通知部25fは、認証処理部25eによる認証結果を通知する」([0060])との記載から、引用例1には、“管理装置20の制御部25は、認証処理部25eと、認証結果通知部25fとを有し、認証処理部25eは認証処理を行い、認証結果通知部25fは、認証処理部25eによる認証結果を通知”することが記載されているといえる。
e 上記(ア)bの、「利用者Aが認証システムによる認証サービスを受ける場合には、該利用者Aが所持する携帯端末10を用いて管理装置20にアクセスし、初期登録を行う」([0033])との記載、「管理装置20は、…中略…動画像を用いた認証処理を行う」([0034])との記載、及び、「管理装置20は、認証結果を金融機関ABCの金融機関サーバ32に通知する」([0035])との記載から、引用例1には、“利用者Aが認証システムによる認証サービスを受ける場合には、該利用者Aが所持する携帯端末10を用いて管理装置20にアクセスし、初期登録を行い、管理装置20は動画像を用いた認証処理を行って、認証結果を金融機関ABCの金融機関サーバ32に通知”することが記載されているといえる。
f 上記(ア)cの、「利用者Aがコンビニエンスストアの店舗Yに移動して、商品を購入する場合には、店舗YのPOS端末41に接続されたカメラ42が利用者Aの動画像を撮像する…POS端末41は、この動画像を用いて管理装置20に認証要求を行う…認証要求を受けた管理装置20は、利用者Aの認証処理を行う…管理装置20は、…中略…動画像を用いた認証処理を行う」([0036])との記載、及び、「管理装置20は、認証結果を決済サーバ43に通知する…決済サーバ43は、認証結果が正当である旨の通知を受けたならば…中略…商品の決済が可能である旨をPOS端末41に通知し、POS端末41において決済処理を行う」([0037])との記載から、引用例1には、“利用者Aがコンビニエンスストアの店舗Yに移動して、商品を購入する場合には、店舗YのPOS端末41に接続されたカメラ42が利用者Aの動画像を撮像し、POS端末41は、この動画像を用いて管理装置20に認証要求を行い、認証要求を受けた管理装置20は、利用者Aの動画像を用いた認証処理を行い、管理装置20は、認証結果を決済サーバ43に通知し、決済サーバ43は、認証結果が正当である旨の通知を受けたならば、商品の決済が可能である旨をPOS端末41に通知し、POS端末41において決済処理を行”うことが記載されているといえる。
g 上記(ア)eの、「本認証システムは、N人の中から1人を認証する1対N認証を行う場合に適用することもできる」([0072])との記載から、引用例1には、“認証システムは、N人の中から1人を認証する1対N認証を行う場合に適用することもできる”ことが記載されているといえる。
h 以上、上記a~gより、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「利用者があらかじめ顔及び音声を含む動的生体情報を認証システムに登録しておき、この動的生体情報を用いた認証処理を行うことにより、第三者に対して利用者が本人であることを証明することができる認証システムであって、利用者の顔画像を含む公的証明書をあらかじめ認証システムに登録し、認証システムの中核をなす管理装置20は、クライアント-サーバシステムのサーバ装置として機能し、管理装置20は、ある金融機関の金融機関サーバ32、ある決済システムの決済サーバ43、公的機関の公的機関サーバ44と通信可能に接続され、管理装置20の制御部25は、認証処理部25eと、認証結果通知部25fとを有し、認証処理部25eは認証処理を行い、認証結果通知部25fは、認証処理部25eによる認証結果を通知し、利用者Aが認証システムによる認証サービスを受ける場合には、該利用者Aが所持する携帯端末10を用いて管理装置20にアクセスし、初期登録を行い、管理装置20は動画像を用いた認証処理を行って、認証結果を金融機関ABCの金融機関サーバ32に通知し、利用者Aがコンビニエンスストアの店舗Yに移動して、商品を購入する場合には、店舗YのPOS端末41に接続されたカメラ42が利用者Aの動画像を撮像し、POS端末41は、この動画像を用いて管理装置20に認証要求を行い、認証要求を受けた管理装置20は、利用者Aの動画像を用いた認証処理を行い、管理装置20は、認証結果を決済サーバ43に通知し、決済サーバ43は、認証結果が正当である旨の通知を受けたならば、商品の決済が可能である旨をPOS端末41に通知し、POS端末41において決済処理を行い、認証システムは、N人の中から1人を認証する1対N認証を行う場合に適用することもできる認証システム。」
イ 引用例2の記載事項
(ア)原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、特許第6951796号公報(令和3年10月20日発行。以下、これを「引用例2」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
a 「【0017】認証システム80は、店舗において顧客の顔と、顧客の提示するスマートフォンに表示されたコード情報(1次元バーコード、2次元コード等)とを認識する画像認識装置1を用いて、本人認証を行う。図1のブロック図に示すように、認証システム80は、画像認識装置1、認証装置81、決済装置82を備える。画像認識装置1は、広域カメラ10、第1制御ユニット20、ズームカメラ30、第2制御ユニット40を備える。」
b 「【0035】画像認識部412は、ズームカメラ制御部411で取得されたズーム画像Izに基づいて、認識対象の画像認識を行う。より具体的には、画像認識部412は、ズーム画像Iz及び第1制御ユニット20から受信した認識対象情報に含まれる、認識対象の種別情報に基づいて、画像認識を行う。例えば、認識対象の種別が人の顔である場合、画像認識部412は、記憶部42に予め記憶されている顔画像データに基づいて、ズーム画像Izに撮影されている人物の特定を行う。また、種別情報がコード情報を表すものであった場合、画像認識部412は、ズーム画像Izに撮影されているコード情報を読み取る。…中略…【0040】認証装置81は、第2制御ユニット40と接続されており、第2制御ユニット40で特定された人物の情報、コード情報等を取得して、本人認証を行う。例えば、認証装置81内の記憶手段に予め記憶されている登録済み顧客と、顧客ごとに付与されているコード情報との組み合わせが、第2制御ユニット40から受信した人物の情報とコード情報との組み合わせに一致する場合、正常に本人認証ができたものと判断する。中略…【0063】本実施の形態に係る認証システム80では、広域画像Ibに撮影されている顔とQRコードとを認識対象として検出し、ズーム画像Izで認識対象を認識して本人認証を行うこととしたが、これに限られない。例えば、まず顔認識を行い、その情報を認証装置81へ送信する。そして、認証装置81から、認識された顧客の情報端末として予め登録されているスマートフォンに認証用コードを発行し、第2制御ユニット40がズーム画像Izからスマートフォンに表示された認証用コードを読み取ることとしてもよい。これにより、認証の度に異なる認証用コードが発行されるので、よりセキュリティの高い本人認証を行うことが可能となる。」
c 「図1[図:0001407253000003.jpg]」
(イ)引用例2記載事項
a 上記(ア)aの、「認証システム80は…中略…本人認証を行う」(【0017】)との記載、同bの、「認識対象の種別が人の顔である場合、…中略…予め記憶されている顔画像データに基づいて、…画像…に撮影されている人物の特定を行う」(【0035】)との記載、及び「特定された人物の情報、コード情報等を取得して、本人認証を行う」(【0040】)との記載から、引用例2には、次の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されているといえる。
「本人認証を行う認証システム80において、認識対象の種別が人の顔である場合、予め記憶されている顔画像データに基づいて、画像に撮影されている人物の特定を行い、特定された人物の情報、コード情報等を取得して、本人認証を行う認証システム80。」
ウ 引用例3の記載事項
(ア)原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、特開2020-126544号公報(令和2年8月20日公開。以下、これを「引用例3」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
a 「【0008】本開示に係る現金による入金を実施するための形態について、図面を参照して説明する。<システム構成>図1は、本開示の一実施形態に係る通信システム1の構成を示す図である。図1に開示されるように、通信システム1では、ネットワーク130を介してサーバ110A、サーバ110Bと、端末120A、端末120B、端末120Cと、POS端末140A、POS端末140B、POS端末140Cとが接続される。」
b 「【0012】サーバ110は、ネットワーク130を介してユーザが利用する端末120に、所定のサービスを提供する。所定のサービスは、限定でなく例として、決済サービス、金融サービス、電子商取引サービス、インスタントメッセンジャー等を用いるメッセージングサービスを代表とするSNS(Social Networking Service)、楽曲・動画・書籍などのコンテンツ提供サービス等を含む。ユーザが端末120を介して所定のサービスを利用することで、サーバ110は1以上の端末120に所定のサービスを提供することができる。【0013】本開示において、決済サービスとは1以上のユーザが金銭または金銭相当物の授受ができるサービスを意味する。限定でなく例として、一次元コード(バーコードなど)、二次元コード(QRコード(登録商標)など)(以下で、一次元コードおよび二次元コードをまとめて「二次元コード等」と総称する。)、近距離無線通信(NFC (Near Field Communication)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)、超音波通信、赤外線通信など)を利用して決済を行うサービスを含む。また、代金の支払いを行うユーザ(支払者)の端末120が二次元コード等を読み取ることで決済を行うことを「ユーザ読取型コード決済」または「MPM(Merchant Presented Mode)」と表現し、支払いを行うユーザの端末120が二次元コード等を表示し、表示された二次元コード等を、代金を請求する店舗側等のユーザ(販売者、請求者、店員)のPOS端末140が読み取ることで決済を行うことを「店舗読取型コード決済」または「CPM(Consumer Presented Mode)」と表現する。なお、MPMおよびCPMは、動的であってもよいし、静的であってもよい。【0014】POS端末140は、例えば、店舗等に設置されるPOS(Point of sale system)の端末である。POS端末140は、例えば、スマートフォン等の端末により実現されてもよい。POS端末140は、端末120のユーザが店舗で商品を購入する場合に、サーバ110により提供される決済サービスを用いて、承認の代金の支払いを受ける。」
c 「図1[図:0001407253000004.jpg]」
(イ)引用例3記載事項
a 上記(ア)aの、「通信システム1では、ネットワーク130を介してサーバ110A、サーバ110Bと、端末120A、端末120B、端末120Cと、POS端末140A、POS端末140B、POS端末140Cとが接続される」(【0008】)との記載から、引用例3には、“ネットワーク130を介してサーバ110A、サーバ110Bと、端末120A、端末120B、端末120Cと、POS端末140A、POS端末140B、POS端末140Cとが接続される通信システム”が記載されているといえる。
b 上記(ア)bの、「サーバ110は、ネットワーク130を介してユーザが利用する端末120に、所定のサービスを提供する…所定のサービスは決済サービス」(【0012】)との記載、及び上記(ア)bの、「決済サービスとは1以上のユーザが金銭または金銭相当物の授受ができるサービスを意味する」(【0013】)との記載から、引用例3には、“サーバ110は、ネットワーク130を介してユーザが利用する端末120に、1以上のユーザが金銭または金銭相当物の授受ができるサービスである決済サービスなどの所定のサービスを提供するサーバであ”ることが記載されているといえる。
c 上記(ア)bの、「POS端末140は、例えば、店舗等に設置されるPOS(Point of sale system)の端末である。POS端末140は、例えば、スマートフォン等の端末により実現されてもよい」(【0014】)との記載から、引用例3には、“POS端末140は、例えば、店舗等に設置されるPOSの端末であり、POS端末140は、スマートフォン等の端末により実現されてもよい”ことが記載されているといえる。
d 以上、上記a~cより、引用例3には、次の事項(以下、「引用例3記載事項」という。)が記載されているといえる。
「ネットワーク130を介してサーバ110A、サーバ110Bと、端末120A、端末120B、端末120Cと、POS端末140A、POS端末140B、POS端末140Cとが接続される通信システムであって、サーバ110は、ネットワーク130を介してユーザが利用する端末120に、1以上のユーザが金銭または金銭相当物の授受ができるサービスである決済サービスなどの所定のサービスを提供するサーバであり、POS端末140は、例えば、店舗等に設置されるPOSの端末であり、POS端末140は、スマートフォン等の端末により実現されてもよい通信システム。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「店舗YのPOS端末41」は、「利用者Aがコンビニエンスストアの店舗Yに移動して、商品を購入する場合」に用いられるものであって、本件補正発明の「スマートデバイス」とは、“デバイス”である点で一致する。
そして、引用発明「POS端末41」は、「コンビニエンスストア」に設置されていることから、“複数の特定の場所に各々設けられ”ているといえるから、引用発明の「POS端末41」と本件補正発明の「スマートデバイス」とは、“複数の特定場所の各々に設けられたデバイス”である点で一致する。
イ 引用発明の「認証システムの中核をなす管理装置20」は、「クライアント-サーバシステムのサーバ装置として機能」するものであるから、本件補正発明の「サーバ」に相当する。
また、引用発明の「認証システム」と本件補正発明の「特定システム」とは、“システム”である点で一致する。
そして、引用発明の「管理装置20」は、「決済サーバ43…中略…と通信可能に接続され」るとともに、引用発明の「POS端末41」は、「管理装置20に認証要求を行」い、「認証要求を受けた管理装置20」が「認証処理を行」って「認証結果を決済サーバ43に通知」し、「決済サーバ43」から、「商品の決済が可能である旨」を受信することから、上記アの認定も踏まえ以上を総合すると、引用発明と本件補正発明とは、下記の点で相違するものの、“複数の特定場所の各々に設けられたデバイスと、当該デバイスの各々と通信可能なサーバと、を備え”る“システム”である点で一致する。
ウ 引用発明の「POS端末41」は、当該「POS端末41に接続されたカメラ42が利用者Aの動画像を撮像」することから、上記アの認定を踏まえると、本件補正発明の「前記人物を撮像し、当該人物の画像を生成する撮像部」を「備え」る「スマートデバイス」とは、“人物を撮像し、当該人物の画像を生成する撮像部”を備える点で一致する。
また、引用発明の「POS端末41」は、「POS端末41に接続されたカメラ42が利用者Aの動画像を撮像し、POS端末41は、この動画像を用いて管理装置20に認証要求を行」うことから、当該「動画像」、すなわち“前記人物の画像”を「管理装置20」に送信しているといえ、当該送信のための“送信部”を有することは明らかである。
以上、上記ア及びイの認定も踏まえると、引用発明と本件補正発明とは、下記の点で相違するものの、“前記デバイスの各々”が、“人物を撮像し、当該人物の画像を生成する撮像部”と、“前記人物の画像を前記サーバに送信する送信部”と“を備え”る点で一致する。
エ 引用発明の「管理装置20」は、「POS端末41に接続されたカメラ42」によって「撮像」された「利用者Aの動画像」を用いた「認証要求」を当該「POS端末41」から受信しているといえるから、引用発明の「管理装置20」は、上記ア及びウの認定を踏まえれば、“前記デバイスの各々から前記人物の画像を受信する受信部”を備えているといえる。
また、引用発明の「管理装置20」は、「認証処理を行」う「認証処理部25e」を備えることから、上記ア~ウの認定を踏まえると、引用発明と本件補正発明とは、下記の点で相違するものの、“前記サーバ”が、“前記デバイスの各々から前記人物の画像を受信する受信部”と、“前記人物を認証する認証部”と“を備え”る点で一致する。
オ 引用発明の「管理装置20」は、「利用者Aの動画像を用いた認証処理を行い、…認証結果を決済サーバ43に通知」するものであるところ、当該「決済サーバ43」は、引用発明の「認証システム」に対して、“他のシステム”といい得る。
そして、「認証結果を決済サーバ43に通知」するためには、当該「認証結果」を「通知」するための、所定の“送信部”が存在することは自明であるから、上記ア~エの認定を踏まえ、以上を総合すると、引用発明と本件補正発明とは、下記の点で相違するものの、“前記認証部により認証された場合に、認証結果を他のシステムに送信する送信部”を“備える”点で一致する。
カ 以上、ア~オの検討結果を踏まえると、引用発明と本件補正発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
複数の特定場所の各々に設けられたデバイスと、当該デバイスの各々と通信可能なサーバと、を備え、
前記デバイスの各々は、
人物を撮像し、当該人物の画像を生成する撮像部と、
前記人物の画像を前記サーバに送信する送信部と、
を備え、
前記サーバは、
前記デバイスの各々から前記人物の画像を受信する受信部と、
前記人物を認証する認証部と、
を備え、
前記認証部により認証された場合に、認証結果を他のシステムに送信する送信部と、
を備える、システム。
〈相違点1〉
本件補正発明が、「人物を特定する特定システム」であって、「前記受信した人物の画像に基づいて当該人物を特定する特定部」を備え、本件補正発明の「認証部」は、「前記特定された人物」を認証して、「前記特定した人物」を他のシステムに送信するものであるのに対し、引用発明は、「利用者があらかじめ顔及び音声を含む動的生体情報を認証システムに登録しておき、この動的生体情報を用いた認証処理を行う」ものであるものの、当該「利用者」の“特定”がどのように行われるのかについて特定されていない点。
〈相違点2〉
本件補正発明の“デバイス”が、「スマートデバイス」であるのに対し、引用発明は「POS端末41」である点。
(4)当審の判断
上記相違点につき検討する。
ア 相違点1について
本件補正発明の「人物を特定する特定システム」における、「前記受信した人物の画像に基づいて当該人物を特定する特定部」について、本件明細書の段落【0027】~【0028】には、次のとおりの記載が認められる。
「【0027】ここで、顔画像に基づく利用者の特定は、代表的には機械学習によって特定することができる。具体的には、上記ネットワークNに接続されているコンピュータ3(スマートフォン、タブレット端末、パソコン)から利用者の顔画像を特定サーバ20に送信し、特定サーバ20において、利用者IDと受信した顔画像を教師データとする機械学習を予め実施して学習済みモデルを生成しておく。そして、特定サーバ20は、スマートデバイス10から受信した顔画像を学習済みモデルに入力することで利用者IDを特定する。【0028】なお、顔画像に基づく利用者の特定態様は上記の機械学習に限られず、顔の特徴量に基づいて利用者を特定するものであっても構わない。具体的には、上記ネットワークNに接続されているコンピュータ3から受信した顔画像を解析して、顔画像に含まれている目、鼻、口、耳、輪郭などの相対的な位置や大きさなどの特徴量を算出し、当該特徴量を利用者の利用者IDに対応付けて記憶しておく。そして、特定サーバ20は、スマートデバイス10から受信した顔画像に基づいて特徴量を算出し、特徴量の一致度が高い利用者の利用者IDを特定する。全登録データを検索する必要はなく、特徴点などを索引として絞り込むことや、近侍近傍点探索手法などのアルゴリズムにより絞り込むことで、高速化をさせることも可能である。」
以上の記載によると、本件補正発明の「特定部」における、人物の特定、すなわち利用者の特定は、代表的には機械学習により(【0027】)、また、これに限られず、顔の特徴量に基づいて利用者を特定するものであってもよい(【0028】)ものであることを読取ることができる。
そして、本件補正発明の「特定部」において、「前記受信した人物の画像に基づいて当該人物を特定する」とは、上記明細書の記載によれば、機械学習によって人物を特定する場合には、利用者IDと受信した顔画像を教師データとする機械学習を予め実施して学習済みモデルを生成し、顔の特徴量に基づいて人物を特定する場合には、顔画像に含まれている目、鼻、口、耳、輪郭などの相対的な位置や大きさなどの特徴量を算出しておき(以下、上記学習済みモデルの生成や特徴量の算出などの処理をまとめて、「事前処理」という。)、受信した顔画像を当該学習済みモデルに入力したり、受信した顔画像に基づいて算出される特徴量と当該算出しておいた特徴量との一致度をみたりして、利用者を特定することをいうものと解される。
一方、引用発明の「認証システム」は、「利用者があらかじめ顔及び音声を含む動的生体情報を認証システムに登録しておき、この動的生体情報を用いた認証処理を行うことにより、第三者に対して利用者が本人であることを証明することができる」ものであるところ、「利用者があらかじめ顔及び音声を含む動的生体情報を認証システムに登録してお」くことは、このような「登録」が行われて、「動的生体情報を用いた認証処理を行」えば、「利用者が本人であることを証明することができる」のであるから、本件補正発明の「特定部」における「前記受信した人物の画像に基づいて当該人物を特定する」ための上記事前処理に相当するものといえる。
そして、引用発明が「利用者が本人であることを証明することができる」ものである以上、「利用者が本人であること」、すなわち当該「利用者」の特定が行われているものといえるから、本件補正発明の「前記受信した人物の画像に基づいて当該人物を特定する特定部」における、「人物を特定する」ことと、引用発明における、「利用者があらかじめ顔及び音声を含む動的生体情報を認証システムに登録しておき、この動的生体情報を用いた認証処理を行うことにより、第三者に対して利用者が本人であることを証明する」こととの間に、実質的な相違を見いだすことはできない。
また、上記引用例2記載事項にあるように、「本人認証を行う認証システム80において、認識対象の種別が人の顔である場合、予め記憶されている顔画像データに基づいて、画像に撮影されている人物の特定を行」うことも、本件出願前知られた公知技術に過ぎず、引用例2記載事項の「本人認証を行う認証システム80」と“認証システム”で共通する、引用発明の「本人であることを証明することができる認証システム」における「管理装置20」において、「前記受信した人物の画像に基づいて当該人物を特定する特定部」を設けた上、当該「特定された人物」を認証して、「前記特定した人物」を他のシステムに送信するよう構成することは、引用例2記載事項に基づけば、当業者が容易になし得たことというほかなく、相違点1は格別なものとはいえない。
イ 相違点2について
引用例3記載事項にあるように、「POS端末140」を「スマートフォン等の端末により実現」するなどして、スマートフォンなどのスマートデバイスを、通常使用される形態と異なる態様で用いることは、本件出願前広く行われていることに過ぎず、引用発明においても、「POS端末41」を「スマートフォン等の端末」、すなわちスマートデバイスとすることに、特段の困難性を見いだすことはできず、相違点2も格別なものとはいえない。
ウ 当審の判断についての結論
以上検討したとおり、相違点1及び相違点2はいずれも格別なものとはいえず、またそのことによる効果も、当業者であれば普通に想起し得る程度のことに過ぎない。
したがって、本件補正発明は、引用発明並びに引用例2及び3に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正(令和4年9月29日にされた手続補正)は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年6月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
1.(省略)
2.(省略)
3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由3(特許法第29条第2項)について
・請求項 12
・引用文献等 1
・請求項 1、3~4、6~10
・引用文献等 1、3
・請求項 2
・引用文献等 1~3
・請求項 5
・引用文献等 1、3~5
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2020/149136号
2.特開2020-021459号公報
3.特許第6951796号公報
4.特開2018-101420号公報
5.特開2020-126544号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献1、3及び5(前記第2の[理由]2(2)の引用例1~3)に記載された事項、及び引用発明は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「スマートデバイス」、「送信部」及び「特定システム」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]の2(3)、(4)に記載したとおり、引用例1に記載された引用発明並びに引用例2及び3(原査定の引用文献1、3及び5)に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明並びに引用例2及び3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-015543