特許拒絶査定不服審判
2025-000537
レジシステムおよび情報提示装置
- 審判番号
- 2025-000537
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-139699
- 請求日
- 2025年01月15日
- 審決日
- 2025年10月14日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社アスタリスク
- 【請求人代理人】浅野 哲平
- 【請求人代理人】福屋 好泰
- 審判長/審判官
- 審判長 富澤 哲生
- 審判官 坂庭 剛史
- 審判官 梅本 章子
- 分類
- P18 .121-WZ (G07G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-139699「レジシステムおよび情報提示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 3月 4日出願公開、特開2022- 35400〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年8月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 5月 8日付け:拒絶理由通知書
令和6年 7月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年10月 1日付け:拒絶査定
令和7年 1月15日 :拒絶査定不服審判の請求
令和7年 6月10日付け:拒絶理由通知書
令和7年 8月18日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願請求項1-6に係る発明は、令和7年8月18日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりの発明である。
「【請求項1】
商品を販売する店舗に設けられる店舗設備であって、
顧客によって運ばれてきた前記商品から情報を読み取る読取部、及び当該商品の情報を表示する表示部を有する可動形の情報提示装置と、
前記情報提示装置と通信可能であり、前記読み取られた情報に基づいて会計処理を行い、前記顧客が金銭の支払いを行うレジ装置と、
前記レジ装置と離れた位置に設けられ、前記店舗の混雑時には前記情報提示装置が設置され、当該店舗が空いた時には当該情報提示装置が撤去される増設エリアと、
を備える、店舗設備。」
第3 拒絶の理由
令和7年6月10日付けで当審が通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)のうちの理由1の概要は、次のとおりのものである。
(進歩性)この出願の請求項1-2に係る発明は、以下の引用文献1-2に記載された発明に基づいて、請求項3に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明に基づいて、請求項4-5に係る発明は、以下の引用文献1-4に記載された発明に基づいて、請求項6に係る発明は、以下の引用文献1-5に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2020-027584号公報
引用文献2:特開2010-182105号公報
引用文献3:特開2016-095588号公報
引用文献4:特開2018-079090号公報
引用文献5:特開2020-035313号公報
第4 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1、引用発明
(1)当審拒絶理由にて引用された特開2020-027584号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0008】
以下、実施形態に係るチェックアウトシステムについて、図面を参照して説明する。以下に示す実施形態では、スーパーマーケット等の小売店(店舗)に導入されるチェックアウトシステムに適用した例について説明するが、この実施形態に限定されるものではない。
【0009】
図1は、実施形態に係るチェックアウトシステム1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、チェックアウトシステム1は、登録装置10と、決済装置20とを有する。登録装置10と決済装置20とは、LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して通信可能に接続される。なお、ネットワークNに接続される登録装置10及び決済装置20の個数は特に問わないものとする。
【0010】
登録装置10及び決済装置20は、例えば店舗の出口付近等、店舗内の所定エリアに設けられる。図2は、登録装置10及び決済装置20のレイアウトの一例を示す図である。図2に示すように、登録装置10と決済装置20とは、店舗内の所定エリアにおいて、分離(離間)した状態で配置される。登録装置10は、例えば、テーブル状の作業台40の上に設置される。本実施形態の登録装置10は、店員等のチェッカーC1又は客C2自身により操作され、当該操作に応じて客C2が購入する商品の登録処理を実行する。
【0011】
図2のレイアウトにおいて、客C2は、購入する商品を籠等に入れて作業台40に運ぶ。チェッカーC1又は客C2は、登録装置10に設けられたスキャナ101(図3参照)を用いて各商品を読み取ることで、その商品を識別可能な商品識別情報を登録装置10に入力する。登録装置10は、商品識別情報に基づき客C2が購入する商品の登録処理を行う。なお、登録装置10を操作する操作者がチェッカーC1の場合には、チェッカーC1は、作業台40を挟んで客C2と対面した状態で登録装置10を操作する。
【0012】
そして、登録装置10において一取引分の商品の登録が完了すると、タッチパネル103又はキーボード105(図3参照)を操作することで登録終了を指示する。その後、客C2は、登録が完了した商品を籠等に入れて何れか一の決済装置20に運び、決済装置20を操作することで商品の決済を行う。
【0013】
図3は、登録装置10の外観構成の一例を示す斜視図である。図3では、登録装置10の操作者側から見た登録装置10の状態を示している。図3に示すように、作業台40の上面に設置された登録装置10は、読取窓102を有する縦型のスキャナ101をベースに構成されている。スキャナ101は、読取窓102の奥側に撮像部(不図示)を配置している。
【0014】
また、登録装置10は、スキャナ101の上部にタッチパネル103付き表示器104及びキーボード105を備えている。表示器104にはスキャナ101の撮像部で撮像された商品の商品名及び価格等が表示される。タッチパネル103及びキーボード105は、操作者が操作入力を行うためのものである。」
「【0017】
また、登録装置10は、特定した商品の確認や、個数等の入力を受け付ける画面を表示器104に表示する。そして、登録装置10は、特定した商品の登録を行う。なお、登録とは、PLUファイルF1から読み出した商品の商品情報を、その商品の個数(購入数)等と関連付けてRAMに保持することを意味する。
【0018】
一方、決済装置20は、登録装置10で登録された販売データに基づいて、商品の決済処理を実行する決済装置である。本実施形態の決済装置20は、チェッカーC1又は客C2自身により操作され、客C2が購入する商品の決済処理を行う。」
「【0039】
図6に示すように、登録装置10は、登録処理部1501と、決済用データ生成部1502と、データ送信部1503と、動作状態取得部1504と、動作制御部1505とを機能部として備える。これらの機能部は、制御部150とプログラムP1との協働により実現されるソフトウェア構成であってもよいし、CPU等のプロセッサや専用回路等により実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0040】
登録処理部1501は、登録手段の一例である。登録処理部1501は、客C2が購入する商品を一取引の対象商品として登録する登録処理を実行する。具体的には、登録処理部1501は、スキャナ101から入力される商品コードや商品画像を商品識別情報として取得し、取得した商品識別情報に対応する商品をPLUファイルF1から特定する。例えば、登録処理部1501は、スキャナ101から商品コードが入力された場合には、PLUファイルF1を参照して商品コードに対応する商品を特定する。また、登録処理部1501は、スキャナ101から商品画像が入力された場合には、画像中に含まれる物体を認識する一般物体認識により商品を特定する。
【0041】
また、登録処理部1501は、特定した商品の商品コード、商品名、単価、商品分類等の商品情報をPLUファイルF1から取得する。また、登録処理部1501は、取得した商品情報と、別途入力された商品の個数(購入数)とを関連付け販売データとして、RAMやHDD153等の記憶領域に記憶することで商品の登録を行う。」
「【0043】
ここで、決済用データは、客C2が購入する商品の商品コードや商品名、単価、購入数、商品の金額を合計した商品総額等を含む。具体的には、決済用データ生成部1502は、販売データに含まれた商品の単価に対し購入数を乗算することで、その商品の決済に係る金額を算出する。また、決済用データ生成部1502は、販売データ毎に算出した金額を合計することで、一取引で登録された全ての商品の合計金額(以下、商品総額という)を算出する。そして、決済用データ生成部1502は、算出した商品総額を含んだ決済用データを生成する。なお、タッチパネル103やキーボード105等を介して後述する特殊決済等の決済方法が指示された場合には、決済用データ生成部1502は、決済方法を示す情報を含んだ決済用データを生成する。
【0044】
データ送信部1503は、送信手段の一例である。データ送信部1503は、決済用データ生成部1502が生成した決済用データを決済装置20の一つに送信する。なお、決済用データの送信先、つまり会計先(決済先)となる一の決済装置20は、動作制御部1505により選択(決定)される。」
「【0060】
図7に示すように、決済装置20は、データ受信部2501と、データ保持部2502と、決済処理部2503と、動作状態通知部2504と、動作制御部2505とを機能部として備える。これらの機能部は、制御部250とプログラムP2との協働により実現されるソフトウェア構成であってもよいし、CPU等のプロセッサや専用回路等により実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0061】
データ受信部2501は、通信I/F254と協働することで、登録装置10から送信される決済用データを受信する。データ保持部2502は、データ受信部2501が受信した決済用データを、RAMやHDD253等の記憶領域に記憶(保持)する。なお、記憶領域が保持することが可能な決済用データの個数は、1に限らず複数であってもよい。複数の決済用データを保持する場合、データ保持部2502は、FIFO形式で決済用データを記憶させる。つまり、先頭のデータ保持部2502以外は、決裁待ちの決済用データとなる。
【0062】
決済処理部2503は、決済手段の一例である。決済処理部2503は、タッチパネル2062等を介して決済開始の指示を受け付けると、記憶領域に保持された決済用データに基づき決済処理を実行する。具体的には、決済処理部2503は、決済用データに含まれた商品の金額を、現金やクレジットカード決済、商品券、クーポン券等によって支払う決済処理を実行する。」
「【0105】
例えば、上記実施形態では、登録装置10を据え置き型としたが、これに限らず、移動可能な装置構成としてもよい。例えば、登録装置10は、スマートフォンやタブレット端末等の携帯型の装置構成としてもよい。また、例えば、登録装置10は、ショッピングカート等の移動体に取り付けられる装置構成としてもよい。」
「【図1】
[図:0001430922000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001430922000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001430922000003.jpg]
」
「【図4】
[図:0001430922000004.jpg]
」
(2)引用発明
上記(1)の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「スーパーマーケット等の店舗に導入されるチェックアウトシステムが有する登録装置10及び決済装置20が設けられる店舗内の所定エリアであって、
登録装置10と決済装置20とは、店舗内の所定エリアにおいて、離間した状態で配置され、
登録装置10は、テーブル状の作業台40の上に設置され、
客C2は、購入する商品を籠等に入れて作業台40に運び、
チェッカーC1は登録装置10に設けられたスキャナ101を用いて各商品を読み取り、
登録装置10は表示器104を備え、
表示器104にはスキャナ101の撮像部で撮像された商品の商品名及び価格等が表示され、
決済装置20は、客C2自身により操作され、客C2が購入する商品の決済処理を行い、
登録装置10は、登録処理部1501と、決済用データ生成部1502と、データ送信部1503を機能部として備え、
登録処理部1501は、スキャナ101から入力される商品コードを商品識別情報として取得し、取得した商品識別情報に対応する商品をPLUファイルF1から特定し、
登録処理部1501は、特定した商品の商品コード、商品名、単価、商品分類等の商品情報をPLUファイルF1から取得し、
決済用データは、客C2が購入する商品の商品コードや商品名、単価、購入数、商品の金額を合計した商品総額等を含み、
決済用データ生成部1502は、販売データに含まれた商品の単価に対し購入数を乗算することで、その商品の決済に係る金額を算出し、
データ送信部1503は、決済用データを決済装置20の一つに送信し、
決済装置20は、データ受信部2501と、決済処理部2503を機能部として備え、
データ受信部2501は、登録装置10から送信される決済用データを受信し、
決済処理部2503は、決済用データに含まれた商品の金額を、現金やクレジットカード決済等によって支払う決済処理を実行し、
登録装置10を移動可能な装置構成としてもよい、
店舗内の所定エリア。」
2 他の引用文献の記載
(1)当審拒絶理由にて引用された特開2010-182105号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0002】
スーパーマーケット等の店舗では、集客を目的として、ある特定商品を期間或いは時間を区切って、通常販売している価格より安く商品を提供する特売或いはタイムサービスを実施することがある。そして、その特売或いはタイムサービスを実施する日(以下、特売日とする)は顧客が購入する商品数が通常時より多いため、POS(Point Of Sale)レジスタにおいて、顧客が購入する商品の商品コードを入力して登録する登録操作は通常よりも多くの時間を要する。加えて、特売日は来店顧客が多いため、顧客は、POSレジスタに待ち行列を作って精算処理を待つ場合がある。また、特売日に限らず、レジ担当者の熟練度合いによってPOSレジスタに待ち行列ができる場合がある。
特許文献1には、顧客が購入する商品の商品コードを読み取るスキャナを複数接続可能な売上データ処理装置が記載されている。
また、登録専用のPOSレジスタと会計専用のPOSレジスタとをネットワークで接続し、精算処理を行う方法がある。この方法では、登録専用のPOSレジスタで顧客が購入する商品の登録を行い、その顧客の会計番号を印字したレシートを発行する。発行されたレシートは店員から顧客へ手渡される。顧客は会計専用のPOSレジスタへ行き、会計専用のPOSレジスタを操作する店員へそのレシートを渡す。店員は、レシートに印字された会計番号を会計専用のPOSレジスタに入力する。そして、会計専用のPOSレジスタが、この顧客が購入する商品の商品コードを登録専用のPOSレジスタから読み出して、会計処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平07-016231号公報」
イ 「【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、複数のスキャナを使って購入する商品に付された商品コードを読み取るため、登録操作を行うキャッシャー担当者が、現在会計中の顧客の買物カゴの中へ隣の次に会計する顧客が購入する商品を混入させてしまう可能性がある、という問題がある。
また、登録専用のPOSレジスタと会計専用のPOSレジスタとをネットワークで接続して精算処理を行う方法では、少なくとも2台のPOSレジスタを用いなければならないので不経済であり、また、会計情報である商品登録情報の記憶場所が離れているため、ネットワークの通信不良等が発生した場合には、会計専用のPOSレジスタから登録専用のPOSレジスタのデータを読み出せない。
また、予備用POSレジスタを特売日にのみ臨時に複数台追加設置することも考えられるが、設置するスペースに余裕がなければならず、使用頻度と購入費用とのバランスから見ても経済的とは言えない。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、より経済的に操作性良くPOSレジスタにおける登録操作のスループットを上げて会計待ち行列を解消する(列崩しする)POSシステム及び中継器を提供することにある。」
(2)実願昭52-170779号(実開昭54-095402号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「スーパーマーケットやデパートなどの大型小売販売店ではお歳暮、中元その他のシーズンの大売出しには平常より大勢の客が来店し、販売額が大巾に増加するので、平常時における会計設備では賄いきれなくなって会計を待つ客が店内にあふれ大混乱を起すことがある。そこで、それらの混乱を未然に防止するには会計設備を増設すれば解決する。しかしながら、今度は平常時の来客数が閑散とした時に会計設備の増設分が広く場所を占めて無駄となる。
本考案の目的は、上記の二律背反を止揚して、平常時には梱包して倉庫に収納し、大売出時には倉庫から引き出して簡単に増設することが可能なレジスタースタンドを創作して提供するにある。」(第4頁第4-17行)
イ 「本考案は上記の構成を有せしめたので、組立時には第1図に示すようなレジスタースタンドが形成され、その上に金銭登録機を載置すれば直ちに会計事務を行なうことができ、買物客が多いときなどは本案レジスタースタンドを急造して混雑に備えることができる。
さて、大売出も終り買物客が閑散としたときには、本案レジスタースタンドは場所ふさぎとなって大変邪魔になるので、たたんで小さく整理して倉庫に収めておきたい。」(第6頁第18行-第7頁第7行)
ウ 「本考案は上記の構成及び作用を有せしめたので、レジスタースタンドを臨時に増設したいときには、普通の店員でも簡単にできる組立方で直ちに頑丈なレジスタースタンドを急造して混雑した会計事務を消化することができ、客の少ないときには、簡単な分解折りたたみ方によって2つの直方体形状の荷物にまとめあげ、倉庫に収納することができるから、スーパーマーケットやデパートの如き大型小売販売店に常備して顕著な実益を有する。」(第8頁第4-12行)
第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「スーパーマーケット等の店舗」は、「客C2」が「商品」を「購入する」店舗であるから、本願発明の「商品を販売する店舗」に相当する。
また、引用発明の「登録装置10」、「決済装置20」及び「登録装置10及び決済装置20が設けられる店舗内の所定エリア」は、それら全体で店舗設備を形成しているといえる。
したがって、引用発明の当該店舗設備は、後述する相違点を除き、本願発明の「商品を販売する店舗に設けられる店舗設備」に相当する。
(2)引用発明では「客C2は、購入する商品を籠等に入れて作業台40に運」んでいるから、引用発明の「購入する商品」は、本願発明の「顧客によって運ばれてきた前記商品」に相当する。
また、引用発明の「商品名及び価格」は、本願発明の「情報」に相当する。そして、引用発明の「登録処理部1501は、スキャナ101から入力される商品コードを商品識別情報として取得し、取得した商品識別情報に対応する商品をPLUファイルF1から特定し、」「特定した商品の」「商品名、単価」「等の商品情報をPLUファイルF1から取得」することは、本願発明の「商品から情報を読み取る」ことに相当する。
したがって、引用発明の「スキャナ101」及び「登録処理部1501」は、本願発明の「顧客によって運ばれてきた前記商品から情報を読み取る読取部」に相当する。
(3)上記(2)を踏まえると、引用発明の「スキャナ101の撮像部で撮像された商品の商品名及び価格等が表示され」る「表示器104」は、本願発明の「当該商品の情報を表示する表示部」に相当する。
(4)上記(2)及び(3)を踏まえると、引用発明の「スキャナ101」が「設けられ」、「登録処理部1501」「を機能部として備え」、「表示器104を備え」る「登録装置10」と、本願発明の「顧客によって運ばれてきた前記商品から情報を読み取る読取部、及び当該商品の情報を表示する表示部を有する可動形の情報提示装置」とは、「顧客によって運ばれてきた前記商品から情報を読み取る読取部、及び当該商品の情報を表示する表示部を有する情報提示装置」である点で共通する。
(5)引用発明の「決済装置20」においては、「データ受信部2501は、登録装置10から送信される決済用データを受信し」ているから、「データ受信部2501」は、「登録装置10」と通信可能である機能を有しているといえる。そして、上記(4)を踏まえると、「決済装置20」の当該機能は、本願発明の「前記情報提示装置と通信可能であ」ることに相当する。
引用発明では「客C2が購入する商品の決済処理を行」っているから、引用発明で「現金やクレジットカード決済等によって支払う」主体は「客C2」であることは明らかである。そして、引用発明の「決済処理部2503」は、「商品の単価に対し購入数を乗算することで、その商品の決済に係る金額を算出」することによって生成された「商品の商品コードや商品名、単価、購入数、商品の金額を合計した商品総額等を含」む「決済用データに含まれた商品の金額を、現金やクレジットカード決済等によって支払う決済処理を実行する」機能を有しており、上記(2)を踏まえると、引用発明の当該機能は、本願発明の「前記読み取られた情報に基づいて会計処理を行い、前記顧客が金銭の支払いを行う」ことに相当する。
したがって、引用発明の「データ受信部2501と、決済処理部2503を機能部として備え」る「決済装置20」は、本願発明の「前記情報提示装置と通信可能であり、前記読み取られた情報に基づいて会計処理を行い、前記顧客が金銭の支払いを行うレジ装置」に相当する。
2 上記1から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「商品を販売する店舗に設けられる店舗設備であって、
顧客によって運ばれてきた前記商品から情報を読み取る読取部、及び当該商品の情報を表示する表示部を有する情報提示装置と、
前記情報提示装置と通信可能であり、前記読み取られた情報に基づいて会計処理を行い、前記顧客が金銭の支払いを行うレジ装置と、
を備える、店舗設備。」
3 また、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明では「情報提示装置」が「可動形」であるのに対し、引用発明の「登録装置10」はそのように特定されるものではない点。
(相違点2)
本願発明では、「店舗設備」が「前記店舗の混雑時には前記情報提示装置が設置され、当該店舗が空いた時には当該情報提示装置が撤去される増設エリア」を備えるのに対し、引用発明の「登録装置10」、「決済装置20」及び「登録装置10及び決済装置20が設けられる店舗内の所定エリア」からなる店舗設備はそのように特定されるものではない点。
第6 当審の判断
1 相違点1-2について
「情報提示装置」において相互に関連する相違点1-2について、まとめて検討する。
上記第4の2(1)アに記載された引用文献2の「スーパーマーケット等の店舗では、・・・特売日は来店顧客が多いため、顧客は、POSレジスタに待ち行列を作って精算処理を待つ・・・」及び上記第4の2(2)アに記載された引用文献6の「スーパーマーケット・・・などの・・・販売店では・・・大売出しには平常より大勢の客が来店し、・・・平常時における会計設備では賄いきれなくなって会計を待つ客が店内にあふれ・・・」からみて、「商品を販売する店舗に平常時よりも多くの客が来店した場合にレジスタに待ち行列ができる」ことは、店舗設備における一般的な課題であったといえる。
そして、上記第4の2(1)イに記載された引用文献2の「・・・予備用POSレジスタを特売日にのみ臨時に複数台追加設置することも考えられる・・・」は、当該課題の解決手段として、店舗の混雑時には精算処理に係る予備用の装置が設置され、当該店舗が空いた時には当該予備用の装置が撤去される増設エリアを設けるとの技術的事項を開示するものである。
そもそも、このような技術的事項は、引用文献2に加え、上記第4の2(2)イに記載された引用文献6の「・・・買物客が多いときなどは本案レジスタースタンドを急造して混雑に備え・・・買物客が閑散としたときには、本案レジスタースタンドは場所ふさぎとなって大変邪魔になるので、・・・倉庫に収め・・・」及び上記第4の2(2)ウに記載された同「・・・レジスタースタンドを臨時に増設したいときには、・・・レジスタースタンドを急造して混雑した会計事務を消化することができ、客の少ないときには、・・・倉庫に収納することができる・・・」からも明らかなように周知であり、当業者であれば容易に思いつく程度のものである。
してみれば、上述した一般的な課題を内在する引用発明の「登録装置10及び決済装置20が設けられる店舗内の所定エリア」において、当業者には、その解決手段として上記技術的事項を適用する動機付けがあるといえ、店舗の混雑時に「登録装置10」が設置され、当該店舗が空いた時には撤去される増設エリアを備えるようにした構成は、当業者であれば、容易に想到し得た程度のものであり、その場合には、当該増設エリアは「決済装置20」から離れた位置に設けられるものとなる。
そして、引用発明では「登録装置10を移動可能な装置構成としてもよい」から、増設した「登録装置10」を店舗が空いた時に撤去するために「可動形」とすることも、当業者が当然に採用し得た程度の事項にすぎないといえる。
2 作用効果について
本願発明の作用効果は、引用発明及び上述の技術的事項から当業者が容易に予測し得る程度のものにすぎない。
3 請求人の主張について
請求人は、令和7年8月18日提出の意見書において、引用文献2の段落【0004】は、「特売日にのみ臨時に複数台の予備用POSレジスタを追加設置し、特売日以外の日には設置しない」という技術的事項を開示するものではなく、むしろ、引用文献2は、当該技術的事項について、設置スペースや経済性の観点から実施が適切でないことを明示しており、その実施を否定しているから、例え、特売日に登録操作に通常よりも多くの時間を要するという一般的な課題が存在したとしても、引用文献2に記載された技術的事項を知り得た当業者は、その教示に反して上記技術的事項を採用する動機付けを得ることはない旨、主張している。
しかしながら、引用文献2の段落【0004】の「予備用POSレジスタを特売日にのみ臨時に複数台追加設置することも考えられる」との記載は、「特売日にのみ臨時に複数台の予備用POSレジスタを追加設置し、特売日以外の日には設置しない」との事項を採用することに技術的な困難性がないことを示していることは、明白である。
そして、同段落【0004】に続けて記載された「設置するスペースに余裕がなければならず、使用頻度と購入費用とのバランスから見ても経済的とは言えない。」という説明は、上記事項を採用する場合の経済的な事情として、追加の店舗空間の一時的占有と追加のコストが必要になることを説明しているにすぎないから、上記事項の採用が技術的に不可能であることを説明しているのではない。
そうすると、引用文献2の上記記載は、引用発明に上記1で検討した技術的事項を適用する動機付けを否定するものとはいえない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
4 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び上述の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2(引用文献6)に示された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-000537