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特許拒絶査定不服審判

2022-015420

筆記具

審判番号
2022-015420
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-018458外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年09月28日
審決日
2024年01月05日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (B43K) / P18 .57 -Z (B43K) / P18 .575-Z (B43K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 18458「筆記具」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月15日出願公開、特開2019-135093〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成30年2月5日の出願であって、令和3年11月15日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、令和4年1月24日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年2月28日付けで拒絶理由(最後)が通知され、これに対して、同年5月9日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年6月10日付けで同年5月9日に提出された手続補正書による補正が却下されるとともに、拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、令和4年9月28日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和4年9月28日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

令和4年9月28日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲を全文にわたって補正をするものを含むものであるところ、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和4年1月24日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至4を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1へと補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)

(1)本件補正前の特許請求の範囲

「【請求項1】
ペン芯を備えたペン先であって、ペン芯は少なくとも筆記面との先端部が着色され、L*a*b*(CIE LAB)表色系での明度(L*値)が40以下であると共に、無彩色度C*が30以下であることを特徴とするペン先。
【請求項2】
少なくともペン芯は筆跡の色より低い明度(L*値)と無彩色度C*の色で着色されていることを特徴とする請求項1記載のペン先。
【請求項3】
ペン芯は、炭素系黒色顔料、鉄酸化物、銅とクロムからなる複合酸化物、銅、クロム、亜鉛からなる複合体、酸化物系黒色顔料のいずれかを用いた焼結芯で構成され、スチレンアクリル樹脂を含有するインクにより着色されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のペン先。
【請求項4】
筆記方向を視認することができる可視部を有する保持体と、該保持体に装着し、前記保持体からのペン芯の先端側の突出量がペン芯の厚さの40~65%となる請求項1~3の何れか一つに記載のペン先を備えたことを特徴とする筆記具。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲

「【請求項1】
少なくとも、ペン芯を備えたペン先を、筆記具本体の端部に備えた筆記方向を視認することができる可視部を有する保持体に装着してなる筆記具であって、ペン芯は、ポリエチレン製の焼結芯で構成され、少なくとも筆記面との先端部が炭素系黒色顔料、鉄酸化物、銅とクロムからなる複合酸化物、銅、クロム、亜鉛からなる複合体、酸化物系黒色顔料のいずれかの顔料と、スチレンアクリルエマルションを含有するインクにより着色され、L*a*b*(CIE LAB)表色系での明度(L*値)が40以下であると共に、無彩色度C*が30以下であり、かつ、JIS S 6050-2002に規定する鉛筆描線の消し能力(消字率)が70%以下の熱可塑性エラストマーを前記筆記具本体に着脱自在に取り付けられるキャップの頂部に形成したことを特徴とする筆記具。」

2 補正の適否について

(1)本件補正

ア 本件補正後の請求項1は、「筆記具」に係る発明であるところ、本件補正前の請求項1乃至3は、「ペン先」に係る発明であり、「ペン先」は、「筆記具」の一部の構成であるから、本件補正前の請求項1乃至3に係る「ペン先」なる発明を、本件補正後の請求項1に係る「筆記具」なる発明へ補正することは、特許法第17条の2第5項に掲げるいずれの目的にも該当しない。

イ そうすると、本件補正により、本件補正前の請求項4に係る「筆記具」を、本件補正後の請求項1の「筆記具」へと補正した(以下「補正事項1」という。)として、以下検討する。

(2)検討

ア 特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明瞭でない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。

イ そこで、補正事項1について、以下検討する。

ウ 本件補正前の請求項4は、「前記保持体からのペン芯の先端側の突出量がペン芯の厚さの40~65%となる」を発明特定事項とするところ、本件補正後の請求項1は、前記発明特定事項を備えないものである。

エ そうすると、本件補正前の請求項4に係る「筆記具」を、本件補正後の請求項1の「筆記具」へと補正する本件補正は、上記アに掲げるいずれの目的とするものに該当しないことは明らかである。

オ よって、補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではない。

3 むすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

4 独立特許要件について

上記のとおり、本件補正後の請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものに該当するものではないが、念のため、本件補正後の請求項1に係る補正が限定的減縮であると仮定して、本件補正後の請求項1に係る発明(令和4年9月28日に提出された手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。))が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記「1 (2)」に示した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められる。

(2)引用例

ア 引用例1

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前である平成15年1月15日に頒布された刊行物である特開2003-11579号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、サインペン、マーキングペンなどの各種筆記具及びそれらの筆記具に用いられるペン先に係り、より具体的には、実用一点張りでなく、遊戯性や遊び心のある筆記具やそのペン先に関し、筆記具製造技術に属するものである。」
(イ)「【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明の請求項1に記載の発明は、インクリザーバを内装した筒状の筆記主体と、前記インクリザーバ内のインクを毛管作用によって筆記端に供給するペン先主体とでペンを構成するに際し、前記ペン先主体を、インクリザーバに充填されたインクの色相と異なる色相に着色したことを特徴とするペンである。
【0008】また、この発明の請求項5に記載の発明は、筒状の筆記主体に内装されたインクリザーバのインクを、毛管作用によって筆記端に供給するペン先主体を構成するに際し、前記ペン先主体を、前記インクリザーバに充填されたインクの色相と異なる色相に着色したことを特徴とするペン先である。」
(ウ)「【0017】
【実施例】以下、この発明の筆記具およびこの筆記具に使用されるペン先の実施例を説明するが、筆記具1は、尾端部が閉塞されており、図1に示すように、先端の開口部を軸方向に縮径させてペン先保持部2aを形成した比較的径の細い筒状の筆記主体2の内部にインクリザーバ5を固定するとともに、前記ペン先保持部2aにホルダー3を介してペン先主体4を、その基端部がインクリザーバ5と接するように設けたものである。
【0018】<実施例1>ポリエステル繊維を収束させ、ウレタン樹脂をバインダとして調製したペン先主体4を、黒色染料(日本化薬株式会社製;カヤロン・ポリエステル・ブラック・ECX300)3.0%(対繊維質量%)、染色助剤(塩)0.5g/L、浴比1:100、pH4.5の染浴で、温度135℃×30分間染色した。染め上がったペン先主体4の余分な染料を洗い流すために、ソーピング剤を用いて温度80℃×20分間還元洗浄を行い、明度1.5の黒色に着色したペン先を得た。白紙の紙に筆記したとき、色調が黄色で、明度が8の黄色のインクの充填された筆記主体2に、上記明度1.5の黒色に着色したペン先を組み合わせて筆記具1とした。この筆記具1は減法混色の効果で、ペン先は明度1.5の黒色でありながら、筆記するインクの色は明度8の黄色であった。」

(エ)上記(ウ)より、ペン先主体4はペン先に対応する。

上記(ア)乃至(ウ)の記載事項、並びに(エ)の認定事項から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「先端の開口部を軸方向に縮径させてペン先保持部2aを形成した比較的径の細い筒状の筆記主体2の内部にインクリザーバ5を固定するとともに、ポリエステル繊維を収束させ、ウレタン樹脂をバインダとして調製したペン先主体4を明度1.5の黒色に染料で染め上げたペン先を、その前記ペン先保持部2aにホルダー3を介して基端部がインクリザーバ5と接するように設けた筆記具1。」

イ 引用例2

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前である平成12年2月22日に頒布された刊行物である特開2000-52682号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筆記具本体から供給されるインキを誘導し、かつ保留できるペン体を有する筆記具等に関し、更に詳しくは、一般に、ペイントマーカー、油性マーカー、水性マーカー、アンダーラインペンと呼ばれるタイプの液体筆記具等に関する。」
(イ)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、筆記具本体から供給されるインキを誘導し、かつ保留できるペン体を有する筆記具において、ペン先となるペン体の反対側が簡単に視認でき、線引きの終点位置を容易に認識できる筆記具を提供することを目的とする。」

(ウ)「【0014】図8は、本発明の筆記具の要旨となるペン体の第1実施形態であり、上述した筆記具の実施形態A~Eのペン体として示されている。第1実施形態のペン体10は、支持部材11の外周面にインキ誘導部12が被覆されている。支持部材11は筆記方向を視認できる透明な樹脂又はガラス等の部材、具体的には、平行光線透過率30%以上、好ましくは、平行光線透過率50%以上、更に好ましくは平行光線透過率70%以上の透明な樹脂又はガラス等の部材(以下、「透明な支持部材」ということもある)であり、前方に幅広の平滑面となる可視部11aと後方に軸部11bが形成されている。この平行光線透過率30%未満の樹脂又はガラス等の部材であると、筆記方向を鮮明に視認することができず、好ましくない。この物性を満足する樹脂等としては、例えば、スチレン-イソプレン樹脂、アイオノマー樹脂、SBR-PPのブレンド樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。また、インキ誘導部12は、スポンジなどの高分子発泡体、浸透印等に用いられる多孔質のゴム体、不繊布、フェルト、繊維束を樹脂で固めたもの、または、金属、セラミック、高分子の焼結体などの多孔質部材から構成されたものであり、これらの多孔質部材(以下の実施形態においても同様)は、嵌着、または接着剤による接着、または熔着などにより支持部材11の外周に被覆されている。なお、支持部材11の外周面にインキ誘導部12の被覆を更に確実にするため嵌合溝等を施してもよいものである。」

上記(ア)乃至(ウ)の記載事項から、引用例2には、次の発明(以下「引用例2に記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「ペン先となるペン体の反対側が簡単に視認でき、線引きの終点位置を容易に認識できる筆記具であって、
ペン体10は、支持部材11の外周面にインキ誘導部12が被覆されており、
支持部材11は筆記方向を視認できる透明な樹脂又はガラス等の部材、具体的には、平行光線透過率30%以上、好ましくは、平行光線透過率50%以上、更に好ましくは平行光線透過率70%以上の透明な樹脂又はガラス等の部材であり、前方に幅広の平滑面となる可視部11aと後方に軸部11bが形成され、
インキ誘導部12は、金属、セラミック、高分子の焼結体などの多孔質部材から構成されたものである、筆記具。」

ウ 引用例3

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前である平成29年7月20日に頒布された刊行物である特開2017-124544号公報(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒にシール、印刷等の表示部を施した筆記具に関する。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の課題等について、これを解消しようとするものであり、筆記部の向きと軸筒の把持位置を安定させ、使用時における表示面の方向を一定とし、使用感の向上などを図ることができる筆記具を提供することを目的とする。」
(ウ)「【0018】
保持体40は、図5(a)~(f)及び図6(a)~(g)に示すように、上記ペン芯35を固定して、軸筒10に固着された先軸20の先端開口部22に固着されるものであり、外面形状が楕円形状となる本体部41と、該本体部41の前方側に、楕円形状となるフランジ部42と、筆記方向を視認することができる可視部43とを有すると共に、該本体部41の後方側に、上記本体部41に連設される保持片44を有する後方保持部45とを備えたものである。また、これらの部材から構成される保持体40の長手方向外周面全体には、上記コ字型状のペン芯35を嵌入保持する保持溝46が形成されている。この保持溝46にペン芯35を確実に抜け止めするために、ホットメルト型等の接着剤や溶着などの固着手段を用いて固着してもよい。 また、本体部41の幅方向外周面には、凹状の嵌合部41aが形成され、長手方向外周面には、空気流通溝41b、41bが形成されている。」

上記(ア)乃至(ウ)の記載事項から、引用例3には、次の発明(以下「引用例3に記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「筆記方向を視認することができる可視部43をペン芯35に備えた筆記具。」

エ 引用例4

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前である平成7年3月14日に頒布された刊行物である特開平7-68988号公報(以下「引用例4」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明はペン先に関するものであり、特に小管ペン先型筆記具に用いるペン先に関するものである。」
(イ)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ペン先には、以下のような問題があった。焼結体タングステンカーバイドによるペン先を備えた小管ペン先型筆記具は、保存中にインキが凝集を起し筆記できなくなることがある。その原因は、焼結体タングステンカーバイドを形成する際に混入する金属成分、例えばコバルト等とインキとの化学反応である。インキの凝集は、ペン先部材を異種金属を含まないタングステンカーバイドのみで形成する事により回避される。しかし、異種金属を含まず、タングステンカーバイドのみで焼結体のペン先を形成することは困難である。さらに、微細な構造を有するペン先を焼結体で形成するには製造経費が多くかかり、安価で汎用性が要求される筆記具として好ましくない。
【0006】一方、物理蒸着法で形成したタングステンカーバイドの高硬度薄膜層を形成したペン先は、高硬度薄膜層内に金属成分が存在しないためインキの凝集を発生しない。しかし、このタングステンカーバイドの高硬度薄膜層は、筆記時、薄膜層に欠けや割れなどの崩壊が生じ易いという問題を有している。この問題を解決するためには、高硬度薄膜層の組成をタングステンカーバイドのみでなく、炭素、タングステン及びタングステンカーバイドの混合成分となすことによって解決できるが、薄膜層内にタングステンという金属成分が存在することになるためインキの凝集が発生することとなる。
【0007】そこで、インキの凝集および薄膜層の崩壊を回避するため、インキ成分の改良が試みられているが、インキ成分の改質は筆跡乾燥性など筆跡特性の低下を招きやすく必ずしも良好な結果が得られていない。本発明は、高硬度薄膜層に欠けや割れなどの崩壊が発生し難く、しかも、インキに凝集などの悪影響を及ぼさない小管ペン先型筆記具用のペン先を提供することを課題とする。」
(ウ)「【0027】比較例
従来公知のタングステンカーバイドを焼結体としたものを、ペン先として用いた。
【0028】上記実施例1~32で得たペン先と、比較例で得たペン先とについて、インキとの反応性試験を行った。また、筆記具として組立てて、筆記性試験、高硬度薄膜層の耐崩壊性試験及び筆記距離の試験(強制条件での筆記可能距離測定試験)を行なった。試験結果を表3に示す。
【0029】インキとの反応性試験
着色材としてカーボンブラック、分散剤としてメチルスチレンアクリル酸共重合体の塩を用いた水性顔料インキ5cc中に、前記ペン先約500本を投入し、密封した後、90℃加熱の条件下で48時間放置し、インキの凝集発生の有無を調べた。」

上記(ア)乃至(ウ)の記載事項から、引用例4には、次の発明(以下「引用例4に記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「着色材としてカーボンブラックを用いた水性顔料インキ」

オ 引用例5

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前である平成8年10月15日に頒布された刊行物である特開平8-267982号公報(以下「引用例5」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばマーキングペンのペン先体に用いられる繊維製ペン先用原棒及びその製造法並びにペン先体に関するものである。」
(イ)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のように原棒51から作られるペン先体53はマーキングペン用として利用するとき、図11に示すようにペン本体58の先端開口部に嵌挿されてペン先体53を保持するペン軸先端部60の環状段部62に環状段部64を係止させ、かつその後端部をインキ吸蔵体としての中綿66に含ませて組み付けられる。そしてこのように組み付けられた後、ペン先体53はその後端面からだけでなく中綿66と接触する表面(外周面)からもインキを吸収し、繊維間の毛細管を介して先端部のペン先55にインキが供給されるようになっていた。図11で68は尾栓である。
【0004】そのため、粘度および表面張力が低いインキを用いたマーキングペンでペン本体58のペン先体53を保持するペン軸先端部60の色が白色や淡色の場合には、ペン先体53の先端部とペン軸先端部60との接触部分からインキがペン軸先端部60の外側に滲んで伝わり汚染しやすく、見苦しい外観を呈するという問題があった。フィルム筆記用のマーキングペンやオーバーヘッドプロジェクター(O.H.P)用のマーキングペンなどは、その性質上インキの表面張力を低くせざる得ず、この欠陥が現われやすい典型的な例である。また、原棒51及びペン先体53ともその表面の繊維が剥き出しのままであるため、毛羽立ちが起こり、ペン先55がくずれ易くて筆記性能に悪影響を与えていた。
【0005】そこでこの発明は、前記のような従来の問題点を解決することができ、ペン先体からインキが滲んでペン軸先端部に伝わって汚染することを防止することができるとともに、繊維からなるペン先体表面の毛羽立ちを防ぎ、ペン先をくずれにくくすることができ、さらに研磨されたペン先に供給され現れてくるインクの色と、研磨されないペン先以外のペン先体の表面色とのコントラストによってかもし出される美的な色彩的効果を発現させることができる繊維製ペン先体用原棒及びその製造法並びにペン先体を提供することを目的とする。
【0006】前記のようなことから本発明者は原棒及びペン先体の表面を何らかの層により覆えば目的を達成できるのではないかと考え、種々実験を重ねた。例えば、原棒及びペン先体の表面を黒に着色コーティングしたものをチズルカットしたチズル型の蛍光ペンに応用した場合などは、研磨されたペン先のインキ色と外側の黒色とのコントラストが鮮やかになり、またパール調のものを蛍光ペンに用いた場合には、インキの蛍光色が透過してパール色に混じって見え、あたかも玉虫色や、こがね虫のように美しく見えるなど、デザイン的な点でも極めて効果的であることがわかった。
【0007】しかしながら、繊維製ペン先体のコーティング着色は、通常のものの場合とは異なり極めて条件が厳しく、技術的にも容易ではない。すなわち、次のような条件をクリヤーしなければならない。まず、第1にコーティングによりペン先体のインキフローを阻害しないことが必要であり、コーティング用の樹脂がペン先体の内側に滲透して入りすぎると、毛細管が目づまりして働かなくなり、ペン先体として筆記性能に致命的な影響を与えるため表面より内側に樹脂が入ることは絶対にさけなければならない。同様に染顔料等の着色剤も内側に入って、内側まで染着すると、例えインキの流れに影響がなかったとしても、折角のインキの色との対比効果が失われてしまい美的効果の面で台無しになってしまう。第2にペン先体は組み付け後、水性または油性のインキを含み、濡れてくるため、これらのインキに対してコーティング用の樹脂や接着剤は耐久性をもったものでなければならない。すなわちコーティング層がインキに侵されて剥離したり膨潤してはならないし、インキによってブリード、すなわち、染顔料がペン先体の内側に滲んで汚染する「泣き出し現象」を起こしてはならない。第3にペン先体は適当な長さに切断し、先端部を通常、チズル型や砲弾型などに研磨して用いるため、グライダーで研磨する際にコーティング層が剥離したり、砥石に熱融着したりせず、きれいに研磨可能であることが必要である。そのためには着色剤を含む樹脂層が柔らかすぎず密着性が良くなければならない。前記のように繊維製ペン先体の着色コーティングは、以上のような厳しい条件を満たさなければならないため、表面を塗料で処理すればよいという単純なものではない。このような認識のうえで、本発明者は次に述べるような発明を完成させた。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、前記の目的を達成するため、請求項1の発明に係る繊維製ペン先体用原棒は、熱加工と樹脂バインダによって繊維を長手方向に集束してなる繊維製ペン先体用原棒の表面を着色剤を含むセルロース誘導体を塗膜成分とするビヒクル(展色剤)によりコーティングして被覆している。一般に、コーティングするための樹脂としては、ポリウレタン、ポリエステル、メラミン、アルキッド、エポキシ、ユリア樹脂、フタル酸樹脂、アクリル、アクリル酸エステル等が考えられるが、内側への滲透防止や乾燥の手軽さ、研磨用砥石への融着防止などの点で、ニトロセルロース、アセチルセルロース、ベンジルセルロース等のセルロース誘導体に可塑剤(DBP,TCP)を添加したものが総合的に最もよい。着色剤としては、無機、有機願料、油溶性染料、カーボンブラック、黒色チタン、雲母系着色剤、及び合成樹脂により表面被覆した金属粉等があげられる。」

上記(ア)及び(イ)の記載事項から、引用例5には、次の発明(以下「引用例5に記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「着色剤(カーボンブラック)を含むセルロース誘導体を塗膜成分とするビヒクル(展色剤)によりコーティングして被覆しているペン先。」

カ 引用例6

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前である平成18年6月15日に頒布された刊行物である特開2006-152187号公報(以下「引用例6」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、穂先やフェルトなどの繊維収束体や多孔質弾性体など、インキ保持能を有する棒状部材をペン先とするマーキングペンに充填して使用し、光の弱い環境でも虹やプリズム、真珠のような多彩に光り輝く光輝感ある連続した筆跡が、濃淡を生じることなく得られる光輝性インキ組成物に関する。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パール顔料や金属粉顔料を含んだインキをマーキングペンに用いた場合、大径の顔料を吐出させることはできるが、パール顔料や金属粉顔料は金属を含んでいるため比重が大きく、大径の顔料を用いると自らの重みによる落下傾向で、ペン先にこれら顔料が吸着しにくい。そのため、一度ペン先にインキを供給して筆記すると、次に使用するまでにペン先に残った顔料が徐々にペンを下向きにした方向へと徐々に流れ、顔料はペン先の一部にあつまってしまい、再筆記時には顔料がペン先の一部にあつまった状態で筆記面に塗布されるため、顔料の塗布される量が均一とならず、濃淡を発生し易くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、充分光輝性を発揮できる筆跡を、濃淡を生じることなく連続的に形成できるインキ組成物を提供することを目的とする。」
(ウ)「【0022】
実施例2
レインボーNo.550スカイブルー(最長径;0.60mm、短径×長径;0.5mm×0.6mm、形状は四角形、ダイヤ工業(株)製) 3.00重量部
HYTEC E-1000(ポリエチレン系エマルジョン、東邦化学工業(株)製) 8.00重量部
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ジョンクリル450(スチレンアクリル共重合体のエマルジョン、定着用樹脂、ジョンソンポリマー(株)製) 10.00重量部
水 48.69重量部
エチレングリコール 10.00重量部
プロクセルGXL(前述) 0.20重量部
TSA739(前述) 0.10重量部
FUJI SP BLACK 8970(着色剤、冨士色素(株)製) 20.00重量部
ケルザンAR(粘度調整剤、三晶(株)社製) 0.01重量部
上記成分をプロペラ撹拌機で30分撹拌混合し、光輝性を有する黒色インキを得た。」
(エ)「【0024】
実施例4
レインボーNo.580クリスタル(最長径;0.80mm、短径×長径;0.7mm×0.8mm、形状は四角形、ダイヤ工業(株)製) 5.00重量部
HYTEC E-1000(前述) 10.00重量部
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ジョンクリル775(スチレンアクリル共重合体のエマルジョン、定着用樹脂、ジョンソンポリマー(株)製) 10.00重量部
水 59.70重量部
プロピレングリコール 10.00重量部
グリセリン 5.00重量部
プロクセルGXL(前述) 0.20重量部
TSA739(前述) 0.10重量部
上記成分をプロペラ撹拌機で30分撹拌混合し、光輝性を有するインキを得た。」

上記(ア)乃至(エ)の記載事項から、引用例6には、次の発明(以下「引用発明6」という。)が記載されているものと認められる。

「スチレンアクリル共重合体のエマルジョン含有インキ。」

キ 引用例7

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前である平成27年8月6日に頒布された刊行物である特開2015-143001号公報(以下「引用例7」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具に関する。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノック式の筆記具は、非筆記状態において、意図せず操作部が前方に押圧されて筆記状態となってしまう場合がある。例えば、ノック式の筆記具は、筆箱に入れて持ち運ぶ際に筆箱内を移動し、筆箱の内壁面に対する衝突によって非筆記状態から筆記状態になってしまう場合がある。そのような場合には、当該筆記具のインク等が、筆箱内の周囲の物に対して付着して汚してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、意図せず操作部が前方に押圧され、非筆記状態から筆記状態となってしまうことが防止されるノック式の筆記具を提供することを目的とする。」
(ウ)「【0022】
図4は、図1の筆記具のキャップ20の縦断面図である。キャップ20は、筒状に形成されたキャップ本体21と、キャップ本体21の外周面に設けられたクリップ22と、消去具台23と、円柱状の消去具24と、カバー部材25とを有している。キャップ20は、クリップ22を有することによって、筆記具本体10に嵌合させた状態で筆記具1をポケットや手帳等に挟持させることが可能となっている。なお、本明細書中では、キャップ20の軸線方向において、筆記具本体10を受容する開口端側を「前」側と規定し、閉鎖端側を「後」側と規定する。
」
(エ)「【0038】
消去具24を形成する材料として、シリコーンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等のゴム材質やスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーといったゴム弾性材料、2種以上のゴム弾性材料の混合物、及び、ゴム弾性材料と合成樹脂との混合物、市販されている消しゴム等が挙げられる。消去具24は、特にポリプロピレン樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーの混合物、またはポリプロピレン樹脂及びポリプロピレン系熱可塑性エラストマーの混合物から形成され、その配合比率がそれぞれ重量比で1:1~1:4であり、研磨剤、可塑剤、充填剤を含有せず、JIS K6251に規定されたデュロメータ硬度Aが70°~100°となる材質からなり、JIS S 6050-2002に規定する鉛筆描線の消し能力(消字率)が70%以下のものである可塑剤を含有しない低摩耗性の弾性材料から形成される。それによって消去具24は、擦過時に消しカスが生じにくく、熱変色性も優れているので有効である。カバー部材25を、消去具24と同種の材料で形成し、消去具として機能するようにしてもよい。」

上記(ア)乃至(エ)の記載事項から、引用例7には、次の発明(以下「引用例7に記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「消去具24を有し、消去具24は、JIS S 6050-2002に規定する鉛筆描線の消し能力(消字率)が70%以下のものである可塑剤を含有しない低摩耗性の弾性材料から形成される、筆記具のキャップ。」

(3)対比

本件補正発明と引用発明1とを対比する。

ア 後者の「ペン先」、及び「筆記具1」は、前者の「ペン先」、及び「筆記具」に相当する。

イ 後者の「ペン先」は、明度1.5の黒色に染料で染め上げたものであるから、前者の「ペン先」と後者の「ペン先」とは、インクにより着色されたものとの概念で一致する。

ウ 後者の「ペン先」は、筆記する際に紙と当接することは明らかであるから、後者の「ペン先」は、前者の「筆記面との先端部」を包含する。

エ 色彩学の技術常識からすると、引用発明1の明度1.5の黒色はL*a*b*(CIE LAB)表色系での明度(L*値)が40以下であり、黒色は無彩色であるから無彩色度C*が0であることも明らかである。

オ 筆記具の技術常識からすると、ペン先がペン芯を備えていることは、明らかである。

そうすると、本件補正発明と引用発明1とは、

[一致点]

「ペン芯を備えたペン先を、装着してなる筆記具であって、
筆記面との先端部が着色され、L*a*b*(CIE LAB)表色系での明度(L*値)が1.5であると共に、無彩色度C*が0である筆記具。」

で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]

本件補正発明が、ペン先を、「筆記具本体の端部に備えた筆記方向を視認することができる可視部を有する保持体」に装着してなる筆記具であるのに対し、引用発明1は、ホルダー3を介してペン先を、設けた筆記具である点。

[相違点2]

「ペン芯」が、本件補正発明は、「ポリエチレン製の焼結芯」で構成されるものであるのに対し、引用発明1は、ポリエステル繊維を収束させ、ウレタン樹脂をバインダとして調製したものである点。

[相違点3]

本件補正発明が、「筆記面との先端部が炭素系黒色顔料、鉄酸化物、銅とクロムからなる複合酸化物、銅、クロム、亜鉛からなる複合体、酸化物系黒色顔料のいずれかの顔料」により着色されたものであるのに対し、引用発明1は、明度1.5の黒色に染料で染め上げたものである点。

[相違点4]

本件補正発明が、「筆記面との先端部」が「スチレンアクリルエマルションを含有するインクにより着色され」たものであるのに対し、引用発明1は、明度1.5の黒色に染料で染め上げたものである点。

[相違点5]

本件補正発明が、「JIS S 6050-2002に規定する鉛筆描線の消し能力(消字率)が70%以下の熱可塑性エラストマーを前記筆記具本体に着脱自在に取り付けられるキャップの頂部に形成した」ものであるのに対し、引用発明1は、キャップを備えない点。

(4)判断

ア 相違点1について

ペン先を筆記具本体の端部に備えた筆記方向を視認することができる可視部を有する保持体に装着するものは、当該技術分野において周知の技術手段であり(例えば、引用例2に記載の技術事項、引用例3に記載の技術事項参照。以下「周知技術1」という。)、筆記具において、筆記方向を視認することは、自明の課題であるところからすると、引用発明1に前記周知技術1を適用する動機付けはあるといえるから、引用発明1のペン先に、前記周知技術1を適用し、相違点1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

イ 相違点2について

ペン先を高分子の焼結体から構成することは、当該技術分野において周知の技術手段であり(例えば、引用例2に記載の技術事項参照。以下「周知技術2」という。)、引用発明1に前記周知技術2を適用し、相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

ウ 相違点3について

ペン先の着色剤として、カーボンブラックを用いることは、当該技術分野において周知の技術手段であり(例えば、引用例5に記載の技術事項参照。以下「周知技術3」という。)、引用発明1に前記周知技術3を適用し、相違点3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

エ 相違点4について

スチレンアクリルエマルションを含有するインクは、当該技術分野において周知の技術手段であり(例えば、引用例6に記載の技術事項参照。以下「周知技術4」という。)、引用発明1に前記周知技術4を適用し、相違点4の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

オ 相違点5について

JIS S 6050-2002に規定する鉛筆描線の消し能力(消字率)が70%以下のものである可塑剤を含有しない低摩耗性の弾性材料から形成される消去具24を有する筆記具のキャップは、当該技術分野において周知の技術手段であり(例えば、引用例7に記載の技術事項参照。以下「周知技術5」という。)、引用発明1に前記周知技術5を適用し、相違点5の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本件補正発明の効果も、引用発明1、及び上記周知技術1乃至5から、当業者が予測し得る程度のものといえる。

したがって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、当業者が容易に発明できた発明である。

(5)独立特許要件についての検討のまとめ

以上検討したように、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、本件補正発明は、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に違反する。

5 補正の却下の決定のむすび

以上のとおり、本件補正は、上記において検討したように、本件補正発明は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下された。

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和4年1月24日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
ペン芯を備えたペン先であって、ペン芯は少なくとも筆記面との先端部が着色され、L*a*b*(CIE LAB)表色系での明度(L*値)が40以下であると共に、無彩色度C*が30以下であることを特徴とするペン先。」

2 原査定の拒絶の理由

原査定の理由とされた、令和4年2月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は、以下のものを含むものである。

(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された特開2003-11579号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

3 引用例

令和4年2月28日付けの拒絶理由通知書で引用された引用例、及び、その記載内容は上記「第2 4(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、実質的に、本件補正発明の「少なくとも」、「筆記具本体の端部に備えた筆記方向を視認することができる可視部を有する保持体に装着してなる筆記具」、「ポリエチレン製の焼結芯で構成され」、「炭素系黒色顔料、鉄酸化物、銅とクロムからなる複合酸化物、銅、クロム、亜鉛からなる複合体、酸化物系黒色顔料のいずれかの顔料と、スチレンアクリルエマルションを含有するインクにより」着色され、「JIS S 6050-2002に規定する鉛筆描線の消し能力(消字率)が70%以下の熱可塑性エラストマーを前記筆記具本体に着脱自在に取り付けられるキャップの頂部に形成した」との事項を削除したものである。

そうすると、本願発明と引用発明1とを対比すると、上記「第2 4(4)対比」での検討を勘案すると、両者は、

[一致点]

「ペン芯を備えたペン先であって、ペン芯は少なくとも筆記面との先端部が着色され、L*a*b*(CIE LAB)表色系での明度(L*値)が1.5であると共に、無彩色度C*が0以下であるペン先。」

で一致する。

したがって、本願発明の発明特定事項は、すべて引用発明1が備えているから、本願発明と、引用発明1とに差異はない。

したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載されたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。

したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-015420

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